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第9回 三遊亭兼好 噺の会 [落語]

第9回 三遊亭兼好 噺の会
於:浅草 ことぶ季亭

三遊亭けろよん『桃太郎』
三遊亭兼矢『鈴ヶ森』
三遊亭好二郎『代書屋』
三遊亭兼太郎『北区』
三遊亭兼好『紀州』
桂小すみ 三味線と唄
三遊亭兼好『富久』

毎年恒例の年末兼好一門会。
昨年はゴッド長渕剛とのライブと重なってしまい来られなかったので2年振りとなる。
昨日まで仕事だったのだが、仕事は早めに上がって高校時代の友人と新橋で飲む。そして泥酔。やや二日酔い気味のなか浅草に。割といつもこの会は二日酔い気味で来ているような気がする。

けろよんさん、兼好師直伝であろう『桃太郎』。
鬼は鬼門である丑寅を表し、桃太郎はその反対の未、そのお供だから申酉戌になるという理屈っぽいのは兼好師でしか聞いたことがない。

兼矢さん、さすがにここで新作は掛けないかー。
子分の天真爛漫な間抜けっぷりが兼矢さんのキャラに合っていて楽しい。「口移しで教えてやる」といわれて割とすんなり受け入れるのもなんかおかしい。

好二郎さんはスタンダードな型。「れれきしょ」を書いてもらうために飛び込んできた軽薄なオッサンとのやり取りが楽しい。代書屋のイヤミな感じが似合っている。噺が進んでいくとツッコミも冴え、イヤミっぽさも薄れていく。

兼太郎さん、格闘技つながりで彦いち師からかわいがられているらしい。「新作やらないの?」「はい、やりません!」「そうか!」でしぶらくの新作の会に呼ばれたらしい。そういやこないだ天どん師の会に勉強にきていたのはこれのためだったのか。
「もうすごい滑りまして。もうその時だけでやめようと思ったんですが、ここでお焚き上げをしたいと思います」と初の新作を披露。
会社で寒いオヤジギャグを飛ばす課長と若い部下たちのやりとりで、課長がなぜそうなったのかを語るもの。「亡き妻との約束」みたいな流れになり、客席の中には涙する人も。

兼好師の一席め、「この会も恒例になってきて嬉しい。……お客さんも(高齢に)……。このコロナ禍で弟子がひとりくらい脱落するかと思いましたけど、全員残りましたね。大したもんじゃないですか。岸田総理が任命した大臣より残ってますから。昔は『末は博士か大臣か』といわれるような立場だったんですけどね。しかしリーダーというのは岸田さんみたいに目立たないほうが恐ろしい。いつの間にか大胆なことをやってたりしますから。アメリカが攻撃されたら日本が反撃していいなんて、安倍さんが何年もかかったことを1年でやったんですよ。恐ろしいですねえ」とリーダー論から昔のリーダー、将軍を決める噺の『紀州』に。
脱線しながら着実に大きな笑いをかっさらう。

小すみ先生は相変わらず何度聴いてもお見事。
今日は三味線ばかりではなく尺八まで。いろんなことできんだね。

兼好師の二席めは年末にピッタリの『富久』。
火事見舞いの熱燗をチラチラみているときの顔つきがまた素晴らしい。気になって仕方がないという表現がすごい。それをようやく飲めて徐々に酔っていきながら明るくなっていくのも楽しい。
また富くじに当たって札がない、となり、五百両でいい、三百両……と値段交渉しているときの顔もまた。一応笑っているんだけど、目が全然笑わずに逆に鬼気迫る感じ。それがどうしようもないと悟っていくときの表情の切なさがすごい。
喜怒哀楽がたっぷりと詰まり、聴き応えのある一席で今年の落語締め。

今年は3年ぶりに打ち上げも復活。兼太郎さんは諸事情により参加されなかったが、好二郎さんや兼矢さんとも久しぶりにたくさん話せた。もちろん兼好師とも。けろよんさんとも初めて話した。二松学舎大で兼好師の後輩なんだそうだ。以前にあった「二松落研創部50周年記念寄席」で兼好師を初めて聴き、それが入門のきっかけだったそうだ。

さて自己満以外の何物でもない一年の集計ー!
今年はジャスト900席!
披露目興行があり、寄席通いが多かったこともあるけれど、我ながら頭おかしい。でもなあ、披露目に毎日行ってる人もいるようだし、その他にも「この人この会にもきてるのかよ」と思うほど顔を見かける人もいる。それでも話したことはないのでその人たちはもっと聴いてるかもしれない。上には上がいるもんだし。
とはいえさすがに今後はこれ以上行くことはないだろうなー。

一位はもちろん兼好師で102席(50会)。
二位は入船亭小辰 改メ 入船亭扇橋師で65席(45会)。ちなみに小辰40席、扇橋で25席。聴きまくった気がするけどやはり兼好師には届かなかったか。
三位は一蔵師で42席(28会)。
四位は入船亭扇辰師で29席(21会)。
五位は柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝師で21席(21会)。市弥3席、小燕枝18席。
六位に三遊亭天どん師20席(13会)と三遊亭萬橘20席(12会)。このふたりは披露目とは全然関係なくいつもの通りよく聴くってことかな。

以下10席以上聴いた人たち。
8位:柳亭市馬14席(14会)
9位:三遊亭遊馬13席(8会)
10位:林家正楽12席(12会)
11位:桃月庵白酒10席(6会)
11位:三遊亭圓歌10席(8会)
11位:鈴々舎馬風10席(10会)
11位:三遊亭わん丈10席(8会)
11位:ロケット団10席(10会)

次点で林家彦いち師、桂宮治師、三遊亭兼矢さん、すず風にゃん子金魚先生が各9席。
参考記録としてけろよんさん22席、辰ぢろさん14席。

今年は十席以上聞いた人がたくさんいるけど、まあ披露目興行があったからってのが大きい。
さすがに今年はカネ使いすぎた。来年はもう少し控えます。
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第百十四回 一蔵ひとりの会 [落語]

第百十四回 一蔵ひとりの会
於:神保町 らくごカフェ

春風亭一蔵『鷺とり』『天災』『御神酒徳利』

社長まで流行病にやられてやんの。
とりあえずこれで年内はガリ喰らうこともなくなった。けど1個小言のタネ抱えてんだよな。今日さっさと済ませたかったのになあ。週末はもやもやを抱えながら過ごしたのに、このもやもやを抱えて年を越すのかよ。やだなあ。

今回で114回を迎えた一蔵ひとりの会も、らくごカフェでの開催は今日で最終回とのこと。次のステップに挑戦するためにもう少し広い会場に移すという。私は今日も含めて58回行っているので、ちょうど半分てところか。前座の頃は落語協会の2階で行っていた勉強会がらくごカフェに移り、また他の場所へと移るということで感慨深い。……とはいえ半分か。もっと来てたように思うんだけど……。
一蔵師も「この会が私のホームでした」と感慨深げ。「ここでまず新しいマクラをネタおろしして、反応が良ければ地方に持っていく。それで反応が良ければようやく寄席で使える鉄板のマクラに育てていくんです。今だいだい10本くらいあってそれで回してる」。てことは年に1本てところか……。あれだけ話してるのにそれしか残らないとは。
「この会はだいたい同じお客で固定されてる。ここの客はもう全然笑わないの」。そんなことないよ……。
一席めではやはり披露目での思い出をマクラに。鈴本の2日めで某師がブチ切れ、一蔵師が『夏泥』で「コ□せー……!、コ□せぇー!」とやっている裏で「コ□すぞ!」という怒号が聞こえてきた話とか。あの日そんなことになってたんだ。しかしこれ扇橋師も同じこと言ってたなあ。
それを受けて今回の新真打は馬風師のために弁当を張り込んだとか。値段聞いてびっくりした。それを前座や出演者全員に振る舞わなくてはならないそうで、そらあ弁当代だけでとんでもない額になるんだな……。弁当係の市童さんはそのへんの塩梅が上手かったらしく、常にギリギリの数を発注していたそうな。毎日ネタを変えてた裏話も交え、「今日はこんなに長くマクラ振ってる場合じゃないんだけど」といいつつたっぷり引っ張って『鷺とり』に。
常連客が多数を占めるこの会で擦り切れるほど掛けた『鷺とり』? 案の定反応はイマイチ、というか「うん、知ってる」という感じ。
なんでこの噺にしたのかなーと思っていたら、サゲで落ちのセリフに合わせて嬉しい報告を。まだ発表はできないということで会場にいた客だけにこっそりという感じらしいが、いやーそうかー。やったなあーと嬉しくなる。

そのまま二席めに。「ここの客を『鷺とり』で笑わせようなんて思ってない」だそうで。
以前は飽きっぽくて本が読めなかったそうだが、噺家になってようやく読めるようになったとのこと。そんな「噺家になったからこそできるようになったこと」もありつつも、字を書くことはいまでも苦手らしい。「『蒟蒻問答』なんてみんな『蒟蒻』が書けない。私は『問答』さえも書けませんでしたから」。楽屋には文字を書けない前座のために辞書が用意されているとか。いろいろ難しい字の名前の師匠とか演目もあるからなあ。
「落語には字の読めない書けない乱暴者なんて出てくるのが嬉しい」と『天災』に。
八五郎にも負けない鉄火な大家に言われるまま三光新道を訪れ、タバコ屋で「べらぼうになまけるってヤツはどこだ」と尋ねると隣のものすごい怠け者を教えられるのがおかしい。
途中でなぜか女房を気遣うセリフが出てきて「仲いいですな」と呆れられるの本末転倒ぶりも楽しい。

ラストは大ネタ。
鴻池の支配人のコテコテの関西弁圧がすごい。……なんかモデルにしてる師匠とかいそう……。
新羽屋から貰ったお礼の金を孝行女中のおうめにすべて与え、諭すところなどは父親っぽい優しさがある。

再開は5月頃だという。どこでやるのかはわからないが楽しみにしていよう。
平日だったが最終回に来られてよかった。
タグ:春風亭一蔵
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新宿末廣亭 令和四年十二月下席 12月25日 [落語]

新宿末廣亭 令和四年十二月下席 12月25日
於:新宿末廣亭

昼席
入船亭遊京『新聞記事』
春風亭一蔵『猫と金魚』
林家八楽 紙切り 花魁 兎 正楽祭
三遊亭天どん『テレビショッピング』
古今亭圓菊『新寿限無』
ホンキートンク 漫才
三遊亭吉窓『近日息子』
古今亭菊千代『松山鏡』
アサダ二世 奇術
むかし家今松『はなむけ』
柳家小満ん『時そば』
入船亭扇橋『高砂や』
ロケット団 漫才
三遊亭歌奴『掛け取り風景』
金原亭馬の助『かつぎや』 百面相
翁家社中 太神楽
橘家文蔵『試し酒』

夜席
三遊亭二之吉『二人旅』
林家やま彦『肉のV6』
おしどり 漫謡
三遊亭律歌『宗論』
古今亭志ん五『魚男』
マギー隆司 奇術
古今亭菊志ん『町内の若い衆』
金原亭駒三『六尺棒』
柳家小菊 粋曲
柳家小袁治『かかあ天下』
古今亭駒治『山手線慕情』
ニックス 漫才
林家きく麿『寝かしつけ』
林家鉄平『代書屋』
翁家勝丸 太神楽
林家彦いち『神々の唄』

久しぶりの昼夜ぶっ通しの一日中寄席。
彦いち師のチラシ割引で入ろうとすると、チケット売り場で「彦いち師匠は最後だけど大丈夫ですか?」と確認される。大丈夫です。
本来昼席は扇辰師がトリなのだが、流行病により年内休養とのこと。こればっかりは仕方がない。扇橋師の披露目では大丈夫だったのに、ご自身のトリのときにかかるとはついてない。まあ幸い軽症のようなので、正月に備えてゆっくり休んでもらう期間にしてもらうしかないか。一瞬代バネで扇橋師の初トリとかも妄想したが、まあすぐに実力でトリを取るだろうし、こんなアクシデントに頼らなくてもね。
本当なら昨日も来ようかと思ったのだが、一蔵師も代演だったし。それにクリスマスに2日続けてってのもなあ。まあこの歳になってクリスマスもないんだが。とりあえず昨日は家の掃除をしたり年賀状作ったり年末年始の買い出しをしたり、家の用事をいろいろと片付ける。
ところでいよいよPhotoshopをインストールしたmacのOSが起動しなくなってしまった。うーむ。Photoshopは好きだけど、家じゃもうほとんど使わないからなあ……。年に何度か使うだけで月額4千円近く払うのも嫌だし。……と思っていたら、Web上の無料アプリのPhotopeaってのがPhotoshopライクに使えるという。試してみたらなるほど多少使い勝手が異なるものの、年賀状のデザイン程度なら全然これで行ける。なんかすごい時代になったなあ。

さてさて今日も買い出しなどをしてから新宿に。年末だからかなんか道が混んでる? 前座さんに間に合わず遊京さんの途中から。
遊京さん、ご隠居から仕入れた竹さんの話を兄貴分に披露するが、その兄貴分も察しが悪いタイプで話がさらにややこしくなって面白い。

一蔵師、お嬢さんの高校の卒業式のマクラから『猫金』に。
ブログによればさすがに一昨日からネタかぶりは解禁したらしい。まるまる3ヶ月!? すごいねえ。
寅さんを呼びにやって「朝飯を食っていたところだった」というところで「これは朝飯か昼飯か」と悩むのはちょっと余計だったかも……。

八楽さん、この11月から年季明けだそうで。ハサミだめしで切った花魁のクオリティがすごい。
そう思ったら二楽師の子息だそうで、じゃあ子どもの頃からやってたんだろうなー。注文へのクオリティと意地悪な注文に対してのあしらいも上手い。「正楽祭」を一度披露しようとして確認し、「……あ。ちょっとお待ちください」と追加でハサミを入れる。「えー、今、紙切りでは珍しい『手直し』をご覧頂いています。……二代目がふたりいた……」。正直紙切りでは見分けはつかないが、見た目がすごいのはわかる。もう少し作品披露はゆっくりと長めにしてくれるとありがたい。

天どん師は馬るこ師の代演。久しぶりに馬るこ師も聴きたかったが、代演で天どん師が聴けるのはお得だし嬉しい。相変わらず寄席でも愚痴やらボヤキやらで客を置いてきぼりにしつつもちゃんと笑いをかっさらう。

今松師、大晦日に借金で首の回らなくなった弟が、兄に「昔兄貴が北海道へ行くときに5円のはなむけをやった。今俺が旅に行くといえばいくらかはなむけをくれるだろう」と訪ねる噺。初めて聴いた。ちょっとググってみても家元の音源が出てくるくらいで珍しいネタのようだ。

扇橋師は得意ネタの『高砂や』。ひで爺の豆腐屋での稽古シーンまで。
鈴本の昼席と掛け持ちのようで、順調にスタートダッシュ決めてるなあ。
来年中にはトリ取れるるかな? 取れるといいなあ。最近は披露目から初トリまでの期間が短く、「史上最短!」とかよくいってるけど、なんかそういう話題性だけじゃなく「さすが扇橋だね」といわれるトリが見たい。

歌奴師は久しぶり。二ツ目の頃はよく聴いていたのだが。
やっぱり上手いなあと思う。

馬の助師の『かつぎや』も季節に合わせたネタで初めて聴く。
たしか『しの字嫌い』はここからのカットアウトなんだっけ。
さらにおめでたく大黒、恵比寿、達磨の百面相を。一蔵師が頼み込んで教わったといってたっけ。

代バネの文蔵師、山出しの田舎者の久蔵のぶっきらぼうながら次第に愛嬌を出していく感じが楽しい。


夜席はきく麿師と彦いち師を目当てに。

やま彦さん、二ツ目に上がりたての頃は皆通る道なのかもしれないが、マクラも噺もまんま「彦いち師がやりそう」という、完全に言葉は悪いが「劣化コピー」というか「パチもん」というか……。言い方とか間まで似てるのはちょっとやりすぎかな。
あと前にも聴いたことのあるマクラなので彦いち師は許しているのだろうが、師匠を揶揄するようなマクラはちょっとね。そんなマクラ振りながら噺は師匠そっくりって、うーん、仲がいい印なのかもしれないけど師匠との距離感に違和感。

小袁治師の噺も初めて聴く。今日は初物が多くてお得だなあ。
年末という特別な期間ということもあるのかもしれないが。

駒治師は先日も聴いた山手線の噺。
日暮里と西日暮里が姉妹という設定で、そのあとのニックスが「自己紹介しまーす。日暮里と西日暮里でーす」と上手く拾っていた。
しかしニックスのお姉ちゃん、また、その、なんというかお育ちになられて……。おじいちゃんの白人の血のせいとのことだが。

きく麿師、自分の子どもの寝かしつけのために子守唄を歌ったり桃太郎を話したりするが、そこでいろいろ相談するほうがダメ出しをする。童謡『ももたろう』に乗せて桃太郎と犬のきびだんごをめぐる駆け引きがとにかくおかしい。

彦いち師、普段なら町内会の夏祭りのイベントで「スーザン・ボイルを呼べる」とホラを吹いてしまう噺なのだが、今日はもちろんクリスマス会。

さすがに8時間を超えて座っていると腰がヤバい。
クリスマスに浮かれる街並みを抜けてヨロヨロと家路につく。バイクさみぃー。
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人形町噺し問屋 その97 [落語]

人形町噺し問屋 その97
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『間抜け泥』
三遊亭兼好『宗論』
マキタスポーツ ギター漫談
三遊亭兼好『淀五郎』

昨日というか今日は3時までワールドカップの決勝戦を観、さらにその後に録画していたM-1を観る。だって最近はLINEとかのニュースアプリが速報で結果出しちゃうんだもんよ。朝起きてネタバレ2本はキツい。
だったらブログ書きがてら夜更かしして速報出る前に自分の目で見たらあ! と4時過ぎまで無理して起きる。眠くて仕方ないはずなのに布団に入ると何故かなかなか寝つかれず。結局今日は3時間くらいしか寝てないんじゃなかろうか。
しかしウエストランドは面白かった。兼好師が好きなことからもわかると思うけど、ああいう毒のある笑いは大好きです。さや香も面白かった。あとオズワルドみたいなサイコパス系も好き。

さて今年最後の噺し問屋。
ご挨拶ではまず三菱や電通の悪口を。
「三菱はなにか不祥事が起こるとまず隠しちゃう。あれは体質なんでしょう。それに比べたら『自分の実力が足りないので勉強し直してまいります』と正直に話して降板した三平兄貴の方がよっぽど正直ですよ。まあああいっておいて勉強していませんけど……。三菱も見習って『三平電気』って名前を変えたらいいんじゃないんですか」。……それは売れないでしょうねえ……。
「でも最近はなにかあるとすぐネットにアップして炎上させるのあるでしょう。あれはどうかと思いますよ。みんなカメラマンになっちゃって、国民全員が特高警察みたい。嫌ですねえ。こないだ可愛そうだなと思ったのが長崎の49歳の県会議員が酔った勢いで電車の吊り革で懸垂したのをアップされて謝罪会見までさせられてた。……コレ謝罪いります? 謝罪されたところでなにも思わないでしょ。アップした人はなにが目的なんでしょうね。……そもそも私もそうですけど、あの年代って急激に身体の衰えが自覚されて、その反動で筋トレとか始めるんですよ。だからあれくらいいいんじゃないですかねえ」。確かに私も衰えがね……。
「今年はコンプライアンスだとかパワハラだセクハラだといろいろ入ってきましたね。これまでは落語って『ちょんまげの世界の話でしょ!?』って治外法権的な感じだったんですよ。でも最近はダメですね。噺の中で『女は俺の言うことを聞いて俺の用だけやってりゃいいんだ』なんてセリフがあるとさーっと潮を引くようにお客さんが引くのがわかる。最近じゃ学校寄席で『饅頭こわい』がダメなんですって。『怖がってる人にムリヤリなにかするのはイジメに繋がる』って。そうすると『お前なにが怖いんだ』『うん、饅頭』『そうか、じゃあ横になってなよ』『……あのー』『どうした?』『いや、ああ言っておけば饅頭もらえるかなって思って』『なら本当はなにが怖い』『渋いお茶が』……これ面白いですか?」。逆に「コンプラ落語」みたいな感じでオムニバス形式でいくつかまとまっていたら面白いかも。
「こういう感じですからパワハラもね……。そもそも断ったのを無理に弟子入り志願したんだろと勘違いする人もいますから。どうでしょう、新しく弟子入り志願者が来たら『俺面倒見てもいいよ』っていう師匠がドラフトを行うってのは」。弟子を積極的に受け入れる師匠いるかなあ……。
圓生圓楽襲名問題にも触れるが、この問題の根は深そう。ファンからしたら単純に「人気実力ともに兼好師しかいないんだからちゃっちゃと圓生継いじゃえばいいのに。圓楽は先代の弟子の王楽師が継げばいいのに」なんて無責任に考えてるだけだけど。

さて一席め、先日小燕枝師と久しぶりに会ったと触れる。ご両親と面識もあるらしく、「子どもが噺家になりたいなんて言い出すと親は大変。二ツ目になりたての頃なんかは会のお客さんの大半が親の知り合いとかですから。……私も地元で会をやると、いまだに400人の会場で100人は私のことを知りませんから。母親の知り合いばっかり。小燕枝くんもしばらくはお母さんが会場でアメ配ってたりしてましたからね。でもこないだ彦いち師匠とも話してたんですけど、噺家の母親ってのはみんな面白いんですよ。例外がない」。前にもそんなこと言ってたなー。「噺家の母親の座談会なんかやったら面白そうですよね。ほら母親って悪気なく人を傷つけるじゃないですか。だから誰かの母親がxx家のおかみさんに『アンタんとこの子はダメだね』って……」。xx家はお察しください。
「親と宗教観が異なると大変」と『宗論』に。
兼好師のはほぼ1年ぶり。いつもは若旦那の「我らの信ずるところの主イ……エースは」と毎回溜めに溜めるのだが今日は短め。その分やや淡白になるのだがその軽さもまた心地いい。

マキタスポーツ、高座で見るのは初めて。
俳優のイメージが強いが、こういう芸なのね。
『サザエさん』をマイナーコードに編曲し、ちょっと別の意味がでてくるとかすごく面白い。
んでもってこの人絶対長渕ファン、というかマニアだろ。長渕の『乾杯』とサザンの『いとしのエリー』を混ぜた『いとしのエリーに乾杯』とかさあ……。長渕ポーズとか「セイッ」とかファンじゃなきゃ伝わらないって。俺にはガンガン刺さったけどね!

兼好師の二席め、歌舞伎でも客席の市松模様の規制が解除されて盛り上がってきていると『淀五郎』に。
兼好師では初めて聴く。ネタおろしなのかも。
ネタおろし(またはそれに近い状態?)だからか、派手なくすぐりなどはなく、じっくりとスタンダードに。
中村仲蔵は技術的なことについては一切触れず、「殿様が腹を切るから家来が近寄るんだ、『名代になれて嬉しい』と喜んでいる淀五郎に誰が近寄るんだ」と了見を入れ替えろとこんこんと諭す。これは先日聴いた遊雀師と近い気がする。ただちょっと念を押し過ぎかな、とも思った。
ここ最近の噺し問屋は珍しい噺や滑稽噺以外も掛けるようになり、ネタおろしの場として使われるように戻ってきたのか。まあ兼好師自身が主催の会ももはやこの会くらいだし、そうなると必然的にそうなるか。うーわこらあ平日だから控えようとかそんなこと言ってる場合じゃないなあ。

帰りに会津坂下町の兼好米とりんごを購入。またそば打ちの会も開かれるらしい。
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上野鈴本演芸場 令和四年十二月中席 夜の部 12月18日 年の瀬に聴く芝浜と掛け取り [落語]

上野鈴本演芸場 令和四年十二月中席 夜の部 12月18日 年の瀬に聴く芝浜と掛け取り
於:鈴本演芸場

柳亭市童『雑俳』
翁家社中 太神楽
柳家さん花『安兵衛狐』
古今亭文菊『権助提灯』
古今亭駒治『山手線慕情』
のだゆき 音楽
宝井琴調『赤穂浪士と忠臣蔵 赤垣源蔵徳利の別れ』
風藤松原 漫才
蝶花楼桃花『桃太郎』
林家正楽 紙切り 相合傘 羽子板市 WC杯決勝 芝浜
三遊亭天どん『芝浜』

昼に来年の年賀状用に猫の写真を撮る。自分の子どもたちの写真を年賀状に使う神経はわからないが、猫ならよかんべ。猫が嫌いな人がいるかもしれんがそんなことは知ったこっちゃない。え、猫様を嫌いとかそんな人いるの? 大変かわいい写真が大量に撮れてデザインをどうしようか悩むな。

文菊師、正妻がお妾さんのことをかわいがっているように見せても実際には面白くないということが表情から伝わってくる。

駒治師、「山手線に急行ができたらどこに停めるか」と各駅を擬人化していう会議をする。
新宿や渋谷、上野品川など大きなターミナル駅はすでに決まっており、残りのあと1枠を争う。各駅のあるあるが並び、山手線ユーザーに刺さるネタ。
最終的に五反田、日暮里、大崎が候補に残り、客席の拍手の大きさで決めるという。俺は日暮里大崎どちらも使ってるから迷うな。しかし常磐線は日暮里じゃなくても上野から乗れるから職場がある大崎だな! と真剣に考えてしまう。

桃花師はかなり現代の子ども版の『桃太郎』。

正楽師、芝浜は芝の浜で煙草を喫みながら夜明けを待っているシーン。

天どん師、高座返しのときになかなかめくりが出てこない。というのも昼席にも出ているので、昼席のめくりに含まれていたようだ。というか昼夜出るってすごくない?
天どん師の『芝浜』は何度か聴いているが、三木助型で変にくすぐりや入れごとを入れない実に本格的な噺。
意外と、といったら失礼だが、その本格的な型がいいんだ。
仕事に出る前に「包丁は」「お前さんがちゃんと研いであるよ」「仕入れの金は」「大家さんから無理言って借りてきた」というやり取りで、改心前は「俺はなにをやってるんだ」「余計なことをする大家だ」と文句を言っていたのが、改心後は「俺もやるなあ!」「なんていい大家さんなんだ」と態度が180度変わるのがおかしい。

今日はM-1もあるしワールドカップ決勝もあるし寄席もあるしで寝る暇ねーな……。
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第二回せせらぎ寄席 よるの会「人気噺家の共演と新真打披露の巻」 [落語]

第二回せせらぎ寄席 よるの会「人気噺家の共演と新真打披露の巻」
於:等々力 玉川せせらぎホール

古今亭松ぼっくり『転失気』
柳家三三『お血脈』
昇進お祝いトーク
三遊亭兼好『片棒』
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『夢の酒』

桜木町から世田谷へ。
ここらへんは都内でも特にこないエリアなので土地鑑がまったくない。そういや数年前に等々力渓谷に写真撮りにきて以来じゃなかろうか。
ここらへんになじみがないのは三三師も同様らしく、「噺家は寄席4軒がある山手線の上半分で生きてる。自由が丘とか歩くだけでドレスコードがあるんですか? 浅草なんて半分以上裸ですよ。……みなさん今日はドレスダウンしてきていただいて……」と世田谷いじり。
「落語のプログラムを見て演目が書いていないことを不思議に思うみたいですね。でも落語ってそうなんですよ。『今日何やる?』なんて楽屋で話し合いとかしませんから。高座でお客様の反応を見ながら決めるんですよ。……今日は世田谷のハイソなお客様なんで……泥棒の噺をします」。
マクラでだいぶ時間を使っているためか、善光寺由来はカットしてお血脈の印のせいで地獄に亡者がこなくなった、というところから。地噺の常だが8割くらいは雑談というか漫談のように進む。今日は徹底して世田谷をいじって笑わせていた。

仲入り後に三三師、兼好師、小燕枝師の三人でトーク。前座から真打になるまでの時間などについて話す。協会が異なる兼好師だけちょっと期間が短い。約10年だそうで、てこたあ私は二ツ目時代から追いかけてるからキャリアの2/3くらいは聴いているのか。
「今日は兼好さんがトリを小燕枝さんに譲ってくれましたから。……このあとぺんぺん草も生えないくらい笑い取って帰るからね」と三三師が小燕枝師を脅す。

兼好師、「真打披露興行ってのはお祭りですからわーっとテンションが上がるんですよ。二ツ目のノリのまま突っ走ることができるんです。でもそうですね、披露興行が終わって1、2か月くらいですかね、そこらへんから落ち着いてきて、なんというか『真打の風格』みたいなものが出てきてまるで人が変わったかのようになるんです。ちょうど今頃ですね」とハードルを縛上げする。「……これだけいっときゃあ少しは上がりづらくなるでしょ」と黒い笑み。悪い人だ。
しかも演目は爆笑必至の『片棒』。マジでぺんぺん草も根絶やしにするつもりか。大人げないというか……。小燕枝師も強烈な洗礼を受けたのではないだろうか。

小燕枝師、やはり披露目の50日間はハードだったようで。「50日間休みなしなんですから。これ訴えたら勝てますよ」。
市馬師から着物を作ってもらった話や、五代目の小さん師と夢の中で対談をした話をマクラに。これ披露目だったら市馬師が乱入してくるヤツですな。
夢の話から『夢の酒』に
普通なら「若旦那の夢のところにいく」ために淡島様のおまじないを使うのだが、「お花、どうやって倅の見た夢のところに行けっていうんだい?」「なんとかしてください! どうしても行きたいと思えば行けます!」「根性論!?」とメチャクチャなのが楽しい。
それに対して「どうか倅の見た夢のところに行けますように! お花が包丁を持ち出している……命が危ないんです!」と大旦那もどうにかしようとしているのがおかしい。

駅からすぐ近くの会場の上ホームも低いので、帰ろうとしたときに会場から出てきた兼好師とホーム上で目が合い、お互い手を上げてご挨拶。こんな会場も珍しい。
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三遊亭兼好独演会 [落語]

三遊亭兼好独演会
於:桜木町 横浜にぎわい座芸能ホール

三遊亭兼好『新聞記事』
三遊亭けろよん『黄金の大黒』
三遊亭兼好『紋三郎稲荷』
三遊亭兼好『二番煎じ』

昨日は恵比寿で社長と少人数でのタイ料理食事会。
仕方がないのでここぞとばかりに自分が食いたいものを頼みまくる。美味い超美味い。どれも美味かったがトムヤムクンのシーフード版トムヤムタレーが最高に美味かった。そらトムヤムクンの「クン」は「海老」という意味だが、それが「タレー(海)」になり海老以外にもイカやら貝やら入るんだから美味いに決まってる。以前タイ人の元嫁にも「なんで日本人はトムヤムクンばかり食べるの? タイ人はトムヤムタレーを食べるのに」といわれたっけ。
そしてやはり社長はパワハラをしてる自覚はない様子。参加者全員で黙り込む。どんな唐辛子よりも辛いわ。

にぎわい座での夢空間主催の独演会。愛想もへったくれもない会の名前。なんかもうちょっとあったってよさそうなもんだが。

まずは兼好師で一席。相変わらずひとりで三席やってくれるので非常に嬉しい。
「もう年末、時が経つのが早い。特にスマホにしてから早くなった気がしますね。スマホに支配されているようで腹が立ちますが。聞いてみたらスマホを使ってると江戸時代の人の3ヶ月分の情報を1日で処理してるんですって」。確かにそうなんだろうなあ。私が子どもだった昭和後期に比べても3倍くらいの情報処理をしているような気がする。
昔は新聞くらいしかなかった、と『新聞記事』に。
兼好師のは担がれたとタネ明かしをしたあともしばらく気づかないパターン。気づいた後も「なんでそんな……」とべそべそと落ち込んでいるが、「入ったウチが天ぷら屋だから……? 面白ーい」と一瞬でころっと変わる様が楽しい。
「匕首」を思い出すために毎朝女房とイチャイチャしてるところを嬉しそうに話すというのはいかにも兼好師らしい。

二席め、服飾大手のワコールが大量にリストラされていることに触れ、「ワコールの下着っていいらしいですね。……私は付けたことがないんでわかりませんが。でも私の周りで女装が趣味の方がいて、その人もいいと言ってました。下着にもお国柄というものがあるそうで、ヨーロッパは機能性重視、日本は年齢にかかわらず『かわいい』じゃないとだめなんですってね。中国は派手。龍がバラ咥えてるとか。あれはなんですかね、江戸時代の贅沢禁止令が出たときに裏地に金をかけたみたいに抑圧されると見えないところが派手になるんですかね」とあながち間違ってなさそうな。
「寒くなってくるとヒートテックの下着がありますけど、あれは汗をかくと余計暑くなるからダメ。以前先輩が『夢金』で船を漕ぐシーンで『うう、さみぃ』なんていいながら汗だくなの」。防寒具の話から昔はキツネの毛皮だったというところからキツネや狸の話に移る。
イタズラ付きの侍というキャラも珍しいが、駕籠屋をまったく悪びれずにからかうのがおかしい。そのためだけに稲荷寿司を犬食いしたり食後に毛繕いの仕草をするとか芸が細かい。

三席め、「昔は火事が怖かった」と火消しの話に。年末だし『富久』かとも思ったが火事の番小屋を描く『二番煎じ』だった。
毎度ながらキャッキャしているおじいちゃんたちがホント楽しそう。「シシの肉はいくら熱くても火傷しないそうですよ」なんていいながら慌てて食べてしっかり火傷したり。見回りの役人から鍋を隠すときに「尻に敷いて! シシの肉は火傷しないから」といってやっぱり火傷するとか細々と面白さが散りばめられている。
番小屋の湯気さえ見えてきそうな一席。
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両国寄席令和4年12月15日 [落語]

両国寄席令和4年12月15日
於:お江戸両国亭

三遊亭楽生『おすわどん』
こ〜すけ ジャグリング
三遊亭兼好『寝床』

今年の両国寄席も今日で最後。大千穐楽といったところか。
そろそろ本格的に忙しくなり、来年3月くらいまではべっとり仕事になりそう。さすがに平日に落語に行くのは難しくなってくるか。
まあ今年の落語ジャンキーのリハビリと考えれば……。さすがにこのペースを続けてたら財布がもたない。
ということで今のうちに行けるなら……って全然自制できてない。大丈夫か俺。

今年の両国寄席の大トリ(落語にはそんな言葉ないそうだけど)は兼好師。
「今年は圓楽師匠も亡くなって、来年からはまた新たにやっていきますのでよろしくお願いします。4軒の定席以外にも『どうも柱がないと落ち着かない、両国寄席に行こう』と思っていただけるほどいらしていただければ……」。
「とはいえお金が掛かりますからね、そういう方は今は前座も少ないんで『入門』という手もあります」。さすがにそれは。いくら圓楽一門は年齢制限はないといえども。
「落語を趣味にするってのはいいんじゃないですか。お金もかかりませんし」とは言うが、自分でやろうと思ったことはないなあ。
趣味での芸事の話から『寝床』に。
重蔵が旦那から「みんな喜んだろ」と言われたときの一瞬の真顔になるその間がまさに絶妙。これ以上長ければわざとらしいし、これ以上短ければ物足りなくて笑いになりにくい。そのホント一瞬の間でドッと笑いが起きるのはまさにお見事。
あとは毎回書いているけれども、損ねた機嫌を直していくその表情の移り変わりが素晴らしい。いやはやもはや名人芸じゃない!?
そのほかにも「普段は『良寛さん』と言われてるのに義太夫が絡むと『信長さん』になる」とか「義太夫が始まると味噌汁のしじみの貝が閉じる」とか全編に渡って楽しいくすぐりが仕込まれている。

……明日は社長と食事会かあ……。忘年会に参加しなかったから食事に連れてってやるってことらしいけど……ありがたいけど……アナタと同席したくないから忘年会行かなかったんだよね……。こんなことなら忘年会出ときゃよかったわ。
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第54回 みずほ笑ホール寄席 みずほ寄席15周年記念 菊之丞兼好二人会 [落語]

第54回 みずほ笑ホール寄席 みずほ寄席15周年記念 菊之丞兼好二人会
於:箱根ケ崎 瑞穂ビューパーク スカイホール小ホール

古今亭菊之丞『ふぐ鍋』
三遊亭兼好『雛鍔』
古今亭雛菊『辰巳の辻占』
古今亭菊之丞『棒鱈』
三遊亭兼好『厩火事』

昨日はゆにおん食堂で新版三人集の会があったので行きたかったのだが、別件があったのでそちらを優先。しかしゆにおん食堂が再開発に巻き込まれて閉店とは。あそこの料理美味かったんだけどなあ。最近は打ち上げができなくてめっきりそんな機会もなくなってしまったが。

さて久々のみずほ寄席。
ここ最近はソーシャルディスタンスということで大ホールで行っていたのだが、小ホールに戻って客席をぎゅっと固める。

今日は菊之丞師のお弟子さんの雛菊さんのお披露目もするそうで。
なので前座もなくいきなり菊之丞師から。
「まずは前座で一席」といって笑いを取る。
「寄席や落語会が本業ですが、たまにテレビに出ることなんてのもある。最近ですと……相撲中継に映った」。市馬師や菊之丞師はよくテレビに出てるね。両国の年間シートを持っているお客さんがチケットをくれるのだそうで、楽屋ではテレビの中継を見ながら「今日は誰が行ってる?」という会話がされているのだとか。
相撲と同様に、噺家になってから食べたものとしてふぐの話題になり『ふぐ鍋』に。
旦那と一八のお互いふぐを相手に先に食べさせようとする攻防がおかしい。

今日は前座がいないのか、そのまま兼好師が登場してめくりを返して高座返しもする。いまやなかなか見られないレアな絵面。「自分のことは自分でやる、という会のようです」。今日はけろよんさんは連れてきてないのだろうか。
雛菊さんに触れて「よく入門しましたよね。菊之丞師匠って厳しいんですよ、後輩たちにダメなものはダメとハッキリいいますし、小言なんかもビシッという。私のように弟子をほったらかしとかしない。ちゃんとしてるです。若い人にはそれを厳しいと思う人もいるでしょう。……それにみなさんもおわかりでしょうが、もう全身からスケベさがにじみ出てるでしょ? よく女の子であのスケベなところに行こうと思ったのか……。スケベに飛び込んでいくようなもんでしょ!?」となかなか失礼なことをぶっこむ。
弟子や子どもは似てほしくないところが似るものだ、と『雛鍔』に。
番頭さんとの打ち合わせの後、おかみさんに「お茶を出せ」と小言を延々と言い続ける場面があるが、高圧的でもないし、その小言から浮かび上がるおかみさん像がすっとぼけていてなんともおかしい。たまに小言が嫌味っぽくなる演者もいるが、兼好師の場合はそんなことは微塵も感じさせない。
「こんなもーのひーろた、こんなもーのひーろた」の金坊のわざとらしさもたまらない。

兼好師がまた座布団を返し、めくりもめくる。めくりには「まめ菊」となっていたが、雛菊さんが出てきたところで世話人の方が改めて「雛菊」に変えるという演出。
「兼好師匠に返してもらった座布団には座りにくい……」。
非常な汗っかきであるらしく、「前座のときには余計なことが言えないので大変だった」とか。
一部ネットでは人気があるようだが私は初めて。うん、まあ、今のところは特に。

菊之丞師がトリなのかと思ったら仲入り後に登場。師弟で出るからと遠慮したのかはたまた押し付けたのか。
「さっき兼好さんに『アニさん、自分のことは自分でやんなきゃダメだぃ! ……ただでさえスケベなんだから』と叱られました」。兼好師はそんな江戸っ子な喋り方するっけ?
と言ってるところに鳴り響く携帯の着信音。「今のうちに切っといてくださいね。……最近前座さんは『切り方がわからないときは隣の若い人に聞くか、ふたつにへし折ってください』なんていいますが……」と周りから注意される噺の『棒鱈』に。
これがまた変な入れごとなどもまったくなく、キッチリキッチリとした仕上がりで、これが「本寸法」というヤツか、と思う。

兼好師の二席め、「雛菊さんの将来が楽しみですね。ここにいらしてる方の当面の目標ができたんじゃないですか。『雛菊さんの真打昇進を見届ける』、あとは『モノレールに乗る』」。モノレールは瑞穂町が多摩都市モノレールを誘致していたようで、のぼりなどが立てられていた。どうやら決まったらしく、2030年代なかばに開業のようだ。……確かにふたつとも同じくらいの時期になりそう。
兼好師の『厩火事』は今年初か。結構頻繁に聴いているような気もするけど。
おさきさんのウザさに心底イヤそうな顔をする兄さんがおかしい。
晩飯を要していた亭主に向かって「お前さんは唐土の孔子♡」と嬉しそうに囁き、丼をさわるなと言われると「もう麹町の猿になったー!」と喚く感情の乱高下がすごい。

いつもはみずほ寄席に行くときは近くのかたくりの湯という温泉に立ち寄るのだが、行きも半端な時間になってしまうし帰りも用事があることを思い出して結局行けず。
帰りは渋滞を避けようとGoogleMapに任せていたら、なんかすごい住宅地の対面通行もできないような狭い路地裏を通らされた。街灯もないような「この道ホントに合ってんのか!?」と思うような変な道を出してくんのやめてくれないかなあ。こっちゃ土地勘ないんだから。
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三遊亭遊馬独演会 2022年12月4日 [落語]

三遊亭遊馬独演会 鏡ヶ池操松影 2022年12月4日
於:国立演芸場

三遊亭遊馬『鏡ヶ池操松影4』『鏡ヶ池操松影5』『鏡ヶ池操松影6』

夏にやった独演会の続き。前半部は寄席でも掛けていたようだが正直分割である場所だけ聴いてもなんだかよくわかんない。
一席めと二席めの境い目はよくわからないが、最初は前半のあらすじを説明することに終止していたかも。
開演前や仲入りのときに「本日は遊馬を無理矢理に聞く会……失礼しました遊馬独演会にお越しいただいて……」などとふざけた影ナレを入れている。前回は国立演芸場のスタッフに読ませてるのかと思っていたが、芸協前座の美よしさんが読んでいたらしい。
正直前半はさほどでもなかったが仲入り後の最後の場面は面白かった。これまでの伏線が一気に回収され、物語が大きく動いているような感じ。ここのためにずっと仕込みをしていたんだなという感じ。

終演後に美よしさんを高座に上げて紹介し、ついでに一門で唯一『鏡ヶ池操松影』を勉強したいとやってきていた遊七さんも紹介する。優しい。恒例の三本で締める。

来年はいよいよ圓朝者の『真景累ヶ淵』に取り組むそうで、国立演芸場の都合もあり6、7、8月の三か月連続での開催だそうだ。……平日の18時半開演とか無理だよお。せめて平日なら19時スタートとかにしてもらえばまだ行けそうなのに……。

ロビーで『こども落語』の最新刊の8巻を購入。そろそろメジャーどころがひととおり済んだ感じか。
タグ:三遊亭遊馬
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