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けんこう一番!第二十七回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第二十七回三遊亭兼好独演会
於:春日 文京シビックホール

三遊亭兼好『時そば』
三遊亭けろよん『元犬』
三遊亭兼好『粗忽の使者』
矢島絵里子 中村大史 アイリッシュフルート、ギター
三遊亭兼好『木乃伊取り』

正楽師匠、1回くらいリクエスト出せばよかったなあ……。つくづく後悔するも遅すぎた。寄席だと真ん中の席に座ることが多いから、どうしてもためらってしまう。あの名人芸がもう見られないのかあ……。喜多八師以来のショックかも。遅くなりましたがご冥福をお祈りいたします。

さて今月初めて1日の労働時間が10時間を切ったんじゃなかろうか。今年入ってから毎日午前様だからなあ。

兼好師の一席め、「今年初めての『けんこう一番!』、今年もよろしくお願いします。しかしもうほぼひと月が経とうとしている。早いですね。しかしこの『時が経つのが早い』というのは危険なんだそうですよ。人間というのは細胞が死んで新しく生まれて、ということを繰り返している。3か月もすればまったくの別人なんです。……話は逸れますけど、上司とか奥さんとか旦那さんとか、『あの人はこないだ言ってたことと全然違う!』というのはしょうがないのです。まったくの別人なんですから。そう思わないと。だから、『こないだの兼好は面白かったのに今日は面白くないなあ』というのは仕方ないのです! むしろ毎回面白い方が奇跡なのです!」じゃあだいぶ奇跡が続いていますなあ。
細胞の再生速度と体内時計のズレが体感時間の速さだというところから時間の話に。
「昔の時の測り方だと0時が九つ。これは中国からきてるそうですね。一番高貴な数だそうで。で、八つ、七つ、六つと減っていく。これなんで減っていくんだと思いません? これね、減ってないんですって。九つが二つで十八、三つで二十七のひと桁だけが残ってるんですって」。へえー! それは初めて知った。会場も感嘆の声が溢れる。
昔の時の数え方から『時そば』に。
おや今年初の兼好師で聴いた噺だ。てことはひと月あいてないってことで、非常に珍しい。まあほぼあいてるけど。
それにしてもふたりめの男の(うどんより太い)そばをたぐる時の「どぼぼぼぼぼ」という音の秀逸なこと。いかにもべっちゃべちゃでねちょねちょしてそうで絶対にマズいと伝わってくる。
「ツユの辛口甘口ってのはあるけど苦口って……。ダシなにで取ってんの? ……ニガウリ!?」というトンデモメニューがおかしい。

二席め、「爆弾犯の桐島という人が名乗って亡くなりましたけど……。しかし50年ですか、彼は自分を忘れて別人に成りすましていたんでしょう。落語の方にはそんなことをしなくても自分を忘れてしまうという人物が出てくるのがいいところで」と『粗忽の使者』へ入る。
相変わらずお屋敷での別当との漫才のような掛け合いが楽しい。最初犬に乗り、馬に反対向きに乗り、再び犬に乗るとかくだらないけどそれがゲラゲラ笑える。
それにしてもいつもながら場面転換の巧みさに舌を巻く。
たとえば留っこが再現していたはずの治部田治部右衛門と田中三太夫との会話が、いつの間にか本人たちの語り口調となるが、それがまた留っこと仲間の会話へとなっていく。この移り変わり具合がホントに絶妙。マンガ的というかアニメ的というか、でもやっぱり落語だからこその表現なのだろう。

ゲストのおふたり、アイリッシュフルート/フルートとギターのデュオ。
アイルランドの民謡『ダニー・ボーイ』も演奏したが、メインはオリジナル曲。
アイリッシュフルートの低くて濃密な音が美しい。
私はアイルランドのバンドThe Corresのファンで、彼らもアイリッシュフルートを使っているのでとても心地よい。

兼好師の三席め、お金の使い方の価値観が合わないとして政治家の話に。「それにしても都合が悪くなると秘書に責任を押し付けて……。でもよくわからないのは、それで罪をかぶって刑務所に行く人たち。ヤクザだと親分のかわりに服役したら出所後に出世するとかあるんでしょうけど、政治家ではそんなのないでしょ? 出所したら官房長官になれるんならいいですけど、そんなことないですもんね。というか普通に前科つくんでしょ? そしたら秘書を辞めて普通に暮らしていけばいいじゃないですか。私、師匠好楽のことを尊敬してますけど、……なんで笑うんですか。少なくとも政治家の秘書が政治家を尊敬するよりも尊敬してますよ。でも師匠が『身代わりになってくれ』といってきても……ならないなあ。『刑務所のほうが稽古に集中できますよ』とか『寂しいなら弟子もつけますよ』とかいうかもしれませんけど」。とても真っ当だと思います。まあ好楽師が犯罪するとは思えないけど。
「相撲で総理大臣杯ってありますけど、人気のある総理は授賞式に出る。小泉さんとか。……岸田さんは絶対出ないですもんね。力士からも『アイツからもらったってなあ』っていう空気がある。代理の人もすぐ帰っちゃいますもんね。とりあえず安倍派の5人に土俵に上がってもらって、照ノ富士にビンタしてもらえばよかったのに」。それはいいなあ。
「でも彼らも初当選した頃は悪いことをしようとは思ってなかったんでしょうね。もしかしたら『俺だけはやらない』とか『俺がそういう習慣をやめさせる』とか思っていたのかもしれない。それが長く続けるうちに染まっていったというか、木乃伊取りが木乃伊になるというか……」と『木乃伊取り』に。相変わらず流れるようなマクラですな。
これもまた先ほどと同様に、語り手がいつの間にが変わっていく。お調子者の大工の頭が「若旦那を連れて帰ってきます。任しておくんなさい!」と言った形のまま「……といったきり帰ってこない」と大旦那にシフトする。『粗忽の使者』のときは平行だったが、こちらは入れ子構造のようになっていて、同じような手法なんだけどちょっと違う。その違いが楽しい、というかホント芸達者だなあと思う。
吉原に乗り込んだ清三が、若旦那説得後に酒を飲み始めたところからあっという間にうじゃじゃけていく様子が楽しい。真面目で一本気だからこそ花魁かしくの手練手管に簡単に堕ちていくんだろうなあと思わせる説得力がある。

さて明日っからまた午前様ですかねえ。
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辰と橋 〜扇辰、扇橋 親子会〜 [落語]

辰と橋 〜扇辰、扇橋 親子会〜
於:日本橋 食堂ピッコロ

入船亭扇橋『初天神』
入船亭扇辰『雪とん』
入船亭扇辰『紋三郎稲荷』
入船亭扇橋『鰍沢』

ピッコロでの初の親子会。
なんだかピッコロでの会はあまり天気に恵まれない印象が強い。半分くらいは電車で行っているような。今日も冷たい雨がポツポツと降っていたので電車で。
ちょっと時間があったので、アメ横の脇にある小さなトンカツ屋で厚さ6〜7センチはあろうかというロースカツを食す。カウンターで数席しかないし、それだけ厚いので結構待つが、それだけのことはある。うんま。豚の脂ってやっぱ美味いなあ。

さて上野広小路からピッコロ最寄りの日本橋まで。
東京の広い地下鉄駅あるあるだと思うんだけど、D2出口を目指して案内板を頼りに歩いていたのにいつの間にか案内板から目当ての出口が消えている。BCD出口という案内を信じて歩いてたら次の案内板にはBC出口の案内しかない、みたいな。なんでそんな初見殺しみたいなことすんの。
仕方ないから少し離れた出口から出て少し濡れながら歩く。いや傘はあるんだけどなんか出すの面倒くさくて。

そういやこれが今年初扇橋師。まあ毎年1月は兼好師がメインになることが多いので珍しいこっちゃないけれど。

「えーと、『辰と橋』……ですね、扇辰扇橋二人会ということで。いまだに『扇橋扇辰』と言いそうになってしまうんですよ。師匠との親子会ということで、いつもよりも三割増しで背筋が伸びますね。いつもピッコロさんでやるときは何も考えずにダラダラ喋ってますから。前半二席で1時間半とか今日はちゃんとやらなきゃって思いますね」だそう。
「皆さんご存知かと思いますけど、ウチの師匠は雨男で。ヨーロッパ公演に一緒に行かせていただいたときに、雨があまり降らないスウェーデンで、滞在した2日間はずっと雨が降ってた。スウェーデンの方も『こんなこと100年に1回です』って。この会の数日前に週間天気予報を見てみたら雨マークで流石だなと思いましたよ。……ただ、私は入門前は晴れ男だったんですよ。だけどどうも真打昇進の披露目の頃から雨に振られることが多くて……。そういうところも師匠から引き継いだんですかね」。
芸の親子の話から実の親子の話になり、「うちにも倅がいるんですが、ふと『そういや君は、』あ、なんか改まって話を聞こうとすると倅に『君』とか『あなた』とか言っちゃうんですが、『そういや君は”妹や弟がほしい”って言ったことがないね?』と聞いてみたんですよ」と息子さんとの会話の話題に。その息子さんの回答に驚く。
親子の話から『初天神』に。
口の減らない金坊だが、最初は一応約束を守って屋台を見ても何も言わない。ただ屋台を見るたびに驚いたような顔をし、親父の顔を盗み見、それからガックリとうなだれるということを繰り返すのがおかしい。「黙っててうるせえってのはどういうことだ!」という親父のツッコミも納得。

扇辰師の一席め、「あけましておめでとうございます。皆さんご存知だと思いますけど……今年に入って全然休んでない。ヘトヘトです。寄席へ行くと楽屋でよく会うのが白酒さん、はん治師匠、三三さんあたりかな、もうみんな黙っちゃってため息なんかついてる」。お疲れ様です。
「暖かくていいお正月……といいたいところでしたが、元日から大変なことが起こりまして。なにも元日に起こることはねえじゃねぇかと思いましたがね……。まあ今回は若手が中心になってなにかやろうということになりましてね。……これは声を大にして言いたい。我々はノーギャラです! 木戸銭やチャリティオークションの売上は寄付されますんでぜひお越しくださいな」。とはいえ土曜の夜に開かれるらくごカフェのは即完売だったし、扇辰師や兼好師が出るばばん場は平日昼間だし……。新版三人集のメンバーが出る赤坂のは平日夜だから、行けるとしたらここかなあ。
「以前の中越地震のときにもやりましてね。私と……しょうがねえから白鳥さんとね。ヤだったけど。新潟出身だからさ。結構お金が集まりまして。それをジャラジャラ持って笑顔で『儲かるなあ!』って……。鬼かアンタは!」。……言いそう……。
「昨日は暖かったのに今日は寒くてね。風邪ひきそう。風邪は万病のもとですから。昔は病は四百四病と決まっていたんですが、その他の病が恋の病」と『雪とん』に。
田舎の若旦那の純朴さとカネに汚い糸屋の女中のキャラクターが楽しい。

二席め、「最近は初詣に行かなくなったんですが、今年は箱根の九頭龍神社というところに行ってきまして。箱根のホテルの社長からお誘いを受けて泊まりに行ったんですよ。10日は寄席の出番がなかったし、11日は早起きすれば間に合うんで。……まあ早起きなんざ剃るワケねえよね。なんで11日も休みにしてね」。……さっき今年に入って休みがないって言ってませんでしたっけ。
「1月11日で1並びで、辰年で歳男が九頭『龍』神社ですから。なにかいいことあるんじゃないかと」と神社信仰のから『紋三郎稲荷』に。
さんざん調子に乗っていた山崎平馬が、寝床に入った途端に「これはマズいことになったぞ……」と愕然とする落差がおかしい。

扇橋師の二席め、大師匠との思い出を話す。「動じない師匠でしたね。もしかしたら隣に爆弾が落ちても気づかないんじゃないですかね。荷物持ちでお供したときも、落語会の主催者が色紙を書いてくれっていうんです。普通そういうときって抽選会の景品用に2~3枚くらいなんですけど、30枚書いてくれと……。さすがにそれはちょっと、と思ったんですけど大師匠は『いいよ、書くよ』と。しかもすべての色紙で違う句を書いてるんですよ。しかも書いている途中でピタッと筆を止めて『なあここは”が”と”は”とどっちがいいと思う?』と聞いてきたり。すごい師匠だなあと思いましたね」。
「花が『散る』というのは桜だけなんですってね。梅だと『こぼれる』、菊だと『舞う』と表現するんですって。俳句といえばこういう雪月花ですね」と雪の噺へと入っていく。
おそらく扇辰師仕込みであろう端正で静謐な世界が広がる。暗くシンとした雰囲気が表現されているのはさすが。

日本橋ピッコロではとつかりょうこさんの作品展が開かれるらしく、作品が展示されている。扇辰師、扇橋師、つる子さん、一花さん、小春志師のイラストが飾られている。あー、わかるわかる。扇橋師は「師匠、つる子さん、一花さん、小春志ネエさんはすぐわかったんですけど、残りひとり誰だろうと……。で、脇に橋が書いてあったんで『あ、これ俺か!』とわかった。……私、今こう見えてるんですね……」と言っていたけど、すぐわかったよ。ああいう表情するする。やっぱりプロはさすがですね。
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第12回チャリティ公演 いきいき笑転会 [落語]

第12回チャリティ公演 いきいき笑転亭
於:日比谷 日比谷図書文化館

三遊亭げんき『牛ほめ』
三遊亭兼好『替り目』
三遊亭兼好『佐々木政談』

クライアントのクソ担当から金曜の夕方に打ち合わせ資料が送られてきやがり、月曜9時半からの打ち合わせのためにまとめとけときた。……ほー、それはつまり俺に遅くまで残業するか休日出勤しろってことですかい。へー。あーマジぶっ◯したいわー。
結局金曜遅くまで残業したものの終わらなかったため昨日も休日出勤。それも深夜までかかっちまった。そろそろ心身ともに限界だなあ。
あーでもこの歳になってまた履歴書を書きたくねえー。

せめて今日はゆっくり寝ていたいが、猫砂やビールのストックが少なくなっていたので買い出しやら猫のトイレ掃除やら。
せめて今日は早く寝よう。

年に一度のチャリティ落語会。
日比谷公園内の図書館での公演で、日比谷公園は有楽町の駅から近いけど日比谷公園に入ってからが遠い。ということに毎年日比谷公園に入ってから思い出す。

主催のNPO法人の活動報告の後に高座をセッティングしてげんきさんが登場。
なんかしらんがやたらマイクの位置が高い。
げんきさんも戸惑っている様子。しかも電源が入っておらず、途中で気づいてげんきさんがスイッチを入れる。なんかまあこういうのもいかにもNPOの会って感じ。

兼好師の一席め、「こんなに高座が高かったでしたっけ。いいですね、新年から命の危険を感じながら落語をやるというのは」とひと笑い。
「正月は若い人が『正月ぐらいは和のものを』と落語会にきてくれたりして、客席が若返るんです。……いいですね、この会はそういうことがない。着実に年齢を重ねていくという感じで……。それにしても一年が早い」と若い時に時間の経過が遅く、年を取ると早く感じる仕組みを話している時にメクリがバサっと落ちる。慌ててスタッフが出てくるも、「いいですよ、そのままで。大した話してないですから」と寛容さを示す。というか多分なんかのボードにテープかなんかで貼ってあるだけっぽく、すぐには直せなそう。「いいですいいですそのままで。どうせ落ちますから。……それに3年前も落ちたの」となんだか楽しそう。「えーと何の話してましたっけ。(マクラの)オチを言う前にメクリが落ちるという……」。
年末の紅白の話から八代亜紀の話題に。「私の子どもの頃から活躍されている方で、子どもながらにも『わっ、厚化粧だ』とわかるのがよかった。でも『舟唄』とか、じわじわとその良さが沁み込んでくる。『♪肴は炙ったイカでいい』……これを聴いて大学生の時にやってみたんです。そしたら美味いの。イカは炙るのがいいですね。刺身だと味がない。焼いてもいいですがちょっと苦味が出る。ちょっと炙るくらいが一番美味い。イカの味が口の中に広がってる時に酒で流す。……なのであの歌では安酒を呑んでます。イカの旨味で流し込んでる。イカが強すぎて味がわからなくなるから、いい酒を飲むはずがない」と名探偵兼好が誕生する。「『女は無口な方がいい』……そんな人はいません。というか女が無口になったら怖い」と兼好師のいつもの女性観から『替り目』に。上手いマクラだなあ。噺にピッタリだもんね。
ゴキゲンな酔っ払いの屁理屈ぶりが楽しく、おかみさんに論破されそうになるときにしばしば見せる拗ねた表情がおかしい。
おでんを買いに行かせた後に「今でも結構いい女なんだよな……。お向かいのおかみさん連中、3人ともしっちゃかめっちゃかだからな……」という表現がたまらない。

仲入りの際にようやくマイク位置が直され、兼好師も「やればできるんじゃないですか」と笑う。……が、今度はマイクを下げすぎてて声があまり拾われていないような……。
「最近も裏金やらいろいろなことが起こっていますが、国会でも『対策をしています』といいながら全然やる気がないというのが驚きますね。まあ泥棒が法律を作ってるようなものですよ。我々大人はまだ我慢しますけど、子どもは可哀想ですよね。子どもには『悪いことをしたら捕まるんだ、辞めなきゃいけないんだ』ということを見せたい。だから国会には常に子どもを何人か置いたらいいんじゃないですか。子どもに『おじさんはわるいことをしたのになんでやめないんですか』って質問させたらいいんですよ。野党よりよっぽどいい仕事しそう」。名案だけど子どもに恥じる心を持つ人間が議員なんかやらないか。
そこから『佐々木政談』に。これもまた見事なマクラ。
毎回書いていることだが、兼好師の『佐々木政談』はオリジナルキャラである吟味与力の三蔵がかなりいい味を出している。白吉が「佐々木信濃守であるぞ」と名乗りをあげ、「あの者、余と同名らしい」と笑う佐々木信濃守に対して「それではアナタは……?」と戸惑うなど、かなりすっトボけたキャラクター。『粗忽の使者』の治部田治部右衛門と通じるところがあり、それがとても楽しい。

あーあ、こんな楽しい噺を聴いても心が晴れない。明日の打ち合わせ憂鬱だなあ。
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入船亭扇辰独演会 〜扇辰落語手帖〜 [落語]

入船亭扇辰独演会 〜扇辰落語手帖〜
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰むめ『垂乳女』
入船亭扇辰『田能久』
入船亭扇辰『徂徠豆腐』

道楽亭が終わって3時間ほど空く。
一度帰ってとなると1時間休めるかどうかだし、何より新宿にいて次が中野なのに北千住に戻るなんて効率が悪すぎる。
なのでファミレスにこもってブログの記事を書く。時間が余ったら銭湯でも行くかと思って着替えも持ってきたのだが、なんだかんだで風呂でのんびりするには時間が足りなくなって結局ファミレスでコーヒーをがぶ飲みして時間を潰す。腹がたぷんたぷん。

辰むめさん、2月の上席から正式に前座として楽屋に入るのだとか。嬉しさ半分、緊張半分といったところか。
扇辰師によると『垂乳女』はネタおろしらしい。それにしては多少危ないところもあったものの、堂々とした話しぶり。
が、恒例のというか師匠からのダメ出しを喰らう。「気づきました? サゲの『よって件の如し』のときにアイツこうやって左手で酒を飲む仕草をしたでしょ。アイツね、ギッチョなんだよ。こういうところで出ちゃうんですなあ。酒を飲むのはこう右手でやらねえと」。左手だったのは気づいたけど、そんな右利き左利きの違いがあるとは。
「今日はネタ出しなんだけど、なんで『垂乳女』にしなかったのか。アイツの100倍は面白いよ」。そんな見習いと張り合わなくても。まあいつも弟子の後では同じように言っているけど。
「世間では今日までは正月ってことですが、もうヘトヘトです。自宅から一番遠いのは浅草演芸ホールなんですが、持ち時間3分とかだよ。これに往復2時間以上かけて行くの。鈴本は10分もらえるからまだいいけど。3分の持ち時間だって下手すりゃ前座さんから『師匠、今日は短く……』なんて言われちゃう。与太郎の小咄ふたつで終わりだよ」。まあねえ。俺も初席は行かなくなったなあ。
「それとこの時期お客さんによく言われるのは『稼ぎどきでしょ!?』って。どこからそういうことになったのかわからないけど、みんなにそう言われるんですよ。あのね、『これはネットに書かないでください』ってことはよく喋るけど、今日はその逆、『ネットに拡散してください』ってことを声を大にして言いたい。『年末年始は稼ぎ時なんかじゃない! 出銭が多くてピーピーしてる』。年末はお歳暮を持っていったり。新しい手拭いも染めなきゃならねえし。最近手拭いも高いんだよ。それに正月は前座さんとお囃子さんにお年玉を渡さなきゃならない。これが大金なんだよ。だからね、皆さん噺家に会ったらこのね、こういう袋を……。真打にお年玉あげたって失礼でもなんでもないんだから」だそうで。まあ忙しそうだから稼ぎどきだと思われるんだろうけど。
「正月だからおめでたい話でもいたしますか」と『田能久』へ。化ける噺だから昇進祝いなんかのときにはよく掛かるけれども、正月的なめでたさもあるのだろうか。
ややクサめに大げさなところが昔話的な感じになって噺の雰囲気によく似合う。

二席めのまえに抽選会というかプレゼント企画。色紙2枚と手拭いを一本。
くじ引きするのではなく、扇辰師が任意に番号を選ぶというもの。俳句だから五七五の17と短歌の三十一文字の31、理由は忘れたが25だか27だか。
驚いたのは当たった方のひとりが「私、紫檀楼古木の末裔なんですよ」と話したこと。これには扇辰師も「へえー、こんなことあるんだねえ」と驚いていた。

二席めはネタ出しの『徂徠豆腐』。席亭の「鬼社長」のリクエストらしい。いつもは年末に聴く風物詩だったが、昨年は聴いていなかったっけ。
やっぱり新年よりは年末の方が似合うような。
とはいえ七兵衛さんと荻生徂徠の真っ直ぐさが爽やかな一席で、めでたい雰囲気に一役買っている。

昼は暖かかったが、夜になると冷え込みが厳しいなあ。
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道楽亭初席 “俺たちの 時代2024” 2024年1月7日(日)【昼席】 [落語]

道楽亭初席 “俺たちの 時代2024” 2024年1月7日(日)【昼席】
於:新宿三丁目 道楽亭

柳家㐂三郎『初天神』
三遊亭天どん『新作(達成感)』
一龍斎貞寿『箱根駅伝100回目の奇跡』
蜃気楼龍玉『夢金』

朝猫にご飯をあげ、んーもうひと寝入りすっかと二度寝を決め込む。……起きたら12時45分。……やっちまった、開演15分前じゃねえか。一瞬行くのをやめるかとも思ったが、天どん師聴きたいなあと思って大急ぎで道楽亭まで。幸い……でもないが、ちょうどひとりめのごはんつぶさんが終わり、ふたりめの㐂三郎師が上がろうとしているところに間に合った。ごはんつぶさんも聴きたかったなあ。

㐂三郎師、恒例のダブルピースから。
「いいですね、ごはんつぶさん。狂乱の落語ですね」。何やったんだ、気になるー。
「この後は天どんアニさんで、天どん一門に挟まれてる。オセロだったら私も天どん一門ですよ。そしたら名前も『天むす』とかに変えて……そんな大きな名前はもらえないか、『タレ』とかですかね」。天どん一門の名前の大きさの基準がわかりません。
「私は新作はできないので……。といって龍玉アニさんほど本格派でもないという……。そんな落語でお付き合いいただきたい」と『初天神』に。飴玉から団子、凧揚げとフルコース。最後までは久しぶりに聴いた気がする。
「川には河童っていう怖え化け物がいて、お前のことをアタマからガジガジ齧るんだからな」という脅しが「河童というものは、柳田國男先生によれば水の神様が堕落した姿で……、尻子玉というものは……」とすごい勢いで語りだし、「妖怪博士か!」とツッコまれるのが㐂三郎師らしくて楽しい。

天どん師、「噺家は『正月は忙しいでしょう』と言われますが、完全に人によります。喬太郎師匠やたい平師匠の忙しさを見ていたら、僕が『忙しい』なんていえないですよ。一之輔くんなんかは普通にこなしてるみたいですけどね。◯ねばいいのに」と新年も相変わらず。
そうはいっても天どん師もいろいろ忙しそうで。「なのに預かり弟子のふう丈くんがいきなりやらかしましてね。詳しくはいえないんですけど」。なんか昨年に坊主にするほどしくじったらしいが、またなんかやったのか。「本来噺家なんて師匠が『破門だ!』と言えばクビになる特殊な業態なんですよ。それを分かったうえでやらかすんですから……」と嘆き節が止まらない。マジで何したんだ。
ひととおりグチをこぼした後に噺に入っていく。
友人と居酒屋で待ち合わせた男が、「いやあ大変だった、脚パンパン」と一駅分をママチャリ漕いでやってきたことを大げさにアピールしようとするのだが、友人や周りの常連客、居酒屋の大将の方が似たようなシチュエーションでもっとすごいエピソードを持っているというもの。
ちっちゃいことを大げさに話そうとするセコさや、それをあっさりと上回られて不貞腐れるところなど、いかにも天どん師の噺の登場人物らしくて楽しい。

貞寿先生は箱根駅伝がお好きらしく、今年の箱根駅伝の話や過去の山の神などのエピソードを。
箱根駅伝に1mmも興味がない身としてはなかなかツラい。毎年正月に「あーなんか走ってんなー」くらいの認識しかないので。

龍玉師、凍える寒さが伝わってくる『夢金』。
欲の熊蔵の図太さと侍の酷薄さがお見事。
やっぱりこういうピカレスク譚がよく似合う、といったら失礼なのかもしれないが、聴く方をグッと引き込んで離さない力がある。

返す返すもごはんつぶさんを逃したことが悔やまれる。まあ猫に囲まれて二度寝、というのはこの世のパラダイスなのは間違いないんだけど。
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初笑い 新春特選落語会 兼好・一之輔・桃花 with ナイツ・翁家勝丸 [落語]

初笑い 新春特選落語会 兼好・一之輔・桃花 with ナイツ・翁家勝丸
於:新八柱 森のホール21

三遊亭けろよん『浮世床(隠し芸・本)』
ナイツ 漫才
春風亭一之輔『あくび指南』
翁家勝丸 太神楽
蝶花楼桃花『こうもり』
三遊亭兼好『片棒』

最近仕事の夢を見る。
大体は2年くらい前から導入したシステムがうまく動かないとか、翻訳した内容がちゃんと反映されないとか。
それをポツリと上司に漏らしたところ、次の日には「社長と相談した。あなたはあのシステムを使わずに旧来の仕事のやり方でいい」と言われる。……あのーまあ気を使ってもらったのはありがたいんですけどね、俺がそのシステムを使いたくないとかっていうわけじゃなくて、会社の仕事のフローとしてあのシステムを使っていることへの不安とか不満が悪夢を見させてるんですよ。システム全体に俺の精神がNGを出してるわけで、会社があのシステムを使い続けるのであれば俺自身が使おうが使わまいが追い込まれるんですよ。ダメだなコレは。退職秒読み待ったナシですよ。……あーでもこの歳で履歴書また書くのとかしんどいなー。というかもう過去の経歴とか正確な年月忘れたわ。

ちょい遠出。
普通のホールかと思ったらすごいデカい。しかも大ホール。1000人規模のホールが満席なんだからすげえな。やっぱりテレビに出てる人が出るのは強いなあ。

ナイツのネタは正月のネタ番組でも見たものをいくつか組み合わせた感じ。
ルフィを名乗る強盗団を指して「アイツらはオレオレの実の能力者なんですかね」てのが面白かった。

仲入りに一之輔師。
「このホールは松戸と聞いていたんですけど……話が違うでしょう。まあ所在地としては松戸なんでしょうけど、最寄駅は八柱って」とブツブツ。
今日は13時半まで鈴本の出番があったそうで。え、今14時半ですけど。「上野から松戸までも電車が5分遅れてたんですよ。で、そこから新京成ですか、……いります? アレ。なんか全然乗ってなかったですよ」と新京成をディスる。「私は野田出身なんで。……野田線ですよ」で大ウケ。「千葉って地域地域では地域愛がありますけど、『千葉愛』ってないでしょ!?」と千葉への愛憎をいろいろと語る。
「それにしても東武線はネーミングセンスが悪い。……この中に東武線の社員の方います? いたら言いたい。なんですかスカイツリーラインって。伊勢崎線ですよ。それがたかだか鉄の塔が近くにできただけで名前を変えるって。しかも東上線までが下に見てるんですよ。小田急とか京王なんてもっと下に見てますから。我々が下に見られるのは……せいぜい流鉄流山線くらいですよ。『なんだ鰭ヶ崎って』って」。なんか駒治師みたいな話になってきてるな。私は埼玉出身なので微妙にわからん。伊勢崎線沿線なのでスカイツリーラインについては同意だけど。「……野田線はアーバンパークラインですよ」とポツリと言ってオチ。
一之輔師の『あくび指南』は2年半振り。やっぱり面白いなあ。
師匠のお手本2回めがクサくなるのはお約束だが、習いに行った男まで「夜は吉原にいってツーっと上がると……」の2回めがクサくなるのがおかしい。
とはいえお疲れなのか、いつもよりキレがないような?

仲入りを挟んで勝丸先生。
クイツキが太神楽って珍しい。そもそもトップバッターが漫才のナイツってのもヘンなんだけど。多分桃花師がまだ来てないんだろうな。さっき一之輔師が「ナイツはこのあともティアラこうとうで出番があるんですって。桃花もまだ来ていない。まあ正月ってみんなこんな感じです」っていってたし。
それにしても勝丸先生はアレなのか。わざとミスして笑いを取っているのか。マギー一門みたいに。ノーミスで終わったところを見たことがない。今日もポロポロとこぼしていたが、ちょっとこぼし過ぎでは……!?

桃花師、やはり狛江市から駆けつけたそうだ。
助けたコウモリが若い女性として恩返しにくるが、実は吸血鬼で……という新作。前に今は廃業した扇さんが掛けているのを聴いたことがある。
なんかあまり印象に残らない。

兼好師、いつものように会場をいじって笑いを取る。こういう客を怒らせない絶妙なラインの毒舌が相変わらずお見事。
キックバックなど最近の定番となっているマクラから『片棒』に。
もはや名人芸ともいえる銀次郎のひとりお祭りの楽しさは期待を裏切らない。見るたびに山車人形踊りが巧みになっているように見える。笑いと中手の量がすごい。
残念なのは大ホールで広すぎて音響があまり良くないというか声が廻って聴き取りにくい。せっかくの木遣や祭り囃子も魅力が目減りしてしまう。
それでもやはり銀次郎パートは盛り上がり、鉄三郎はたいぶクールなのでそのコントラストがすごいことになっている。

帰り道、夕焼け空のグラデーションの中にスカイツリーと富士山のシルエットが揃って見えるところがあり非常にエモい。こういうの写真撮りたいけど、車道でバイク走らせてるところですからまあ無理。しかもこういうのってホント一瞬しかチャンスがないからなあ。
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両国寄席 令和六年初席 一月三日 [落語]

両国寄席 令和六年初席 一月三日
於:お江戸両国亭

三遊亭円福『看板のピン』
三遊亭楽京『寄合酒』
三遊亭好太郎『災難寿司』
三遊亭竜楽『紀州』
ケンメリ 漫才
三遊亭兼好『粗忽の釘』

梅屋敷から両国へ。こういうときにバイクは便利ですなあ。15分で移動できる。
さすがにこの時間で兼好師も移動できないだろうと思ってはいたが、そこそこ余裕があったようだ。受付が好二郎さんだったので新年のご挨拶。

円福師、釈台を置いてメガネを掛け、なんか上方落語っぽい。
親分がこぼしたサイコロの目が五(ぐ)となっており、あららコレどうすんだろと思っていたら途中で「……これは正月から大変な間違いをしてしまいました。どうしましょう、他の噺にしましょうか、それとも続けていいですか」と大胆な質問を。

ケンメリ、いつも番組表では見ていたが、聴くのは初めて。
なんつーか不思議な雰囲気。

兼好師、ヘロヘロのはずがそんな素振りをまったく見せず、相変わらずパワフルな『粗忽の釘』。昨年も正月に聴いたなあ。
おかみさんに釘を打てと言われて一服させろと抗議するも、顔の圧だけで屈する亭主がおかしい。そのことにブツブツと文句をいいながらお向かいへ入っていき、「ねえ、そうでしょう!? そう思いませんか!?」と詰め寄ってお向かいのご主人を困惑させるのも楽しい。
ようやくお隣へ行き、「落ち着かせてください」とキセルを何口か吸い付けるも、「……まだタバコを詰めておりませんでした……」と落ち着き払ってタバコを詰め直すのがまたたまらない。

トリの好楽師まで聴いていきたいところだが、明日っから仕事なのでここで帰宅。
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亀戸梅屋敷寄席 令和六年一月三日 [落語]

亀戸梅屋敷寄席 令和六年一月三日
於:亀戸 亀戸梅屋敷 藤の間

三遊亭げんき『牛ほめ』
三遊亭楽大『紙入れ』
三遊亭真楽『禁酒番屋』
三遊亭好一郎『浮世床(将棋・本・かくし芸)』
三遊亭兼好『一分茶番』

今日で正月休み終わり。うちの会社燃えねえかな。
梅屋敷では落語の他にも野外ステージで演歌を歌ったりとイベントをしているようだ。

休日に兼好師がトリという好条件だからか超満員。
楽大師や好一郎師も「こんなに入っている梅屋敷は初めて」と驚く。誰かが「ここに来ているお客さんはそんなことないのかもしれませんが」と暗に「お前ら兼好師匠が出てる時しか来ないから知らないだろうけどな」というニュアンスのことをポツリとつぶやく。それの何が悪いっていうんですか(逆ギレ)。

兼好師、前の好一郎師が「我々噺家は年始はとにかく飲みながら仕事を回るのでヘロヘロになりますが、こんなにまでヘロヘロな兼好師匠を見たことがない」と言われていたのを受けて「ヘロヘロです。もうダメだと思ったら、外で歌っていた演歌歌手の方をここに呼ぼうかと……。歌はいいですね、屋外でもできますから。落語はさすがに屋外では無理ですから。でも前座の頃に師匠好楽のかわりに成増の団地に行ったことがありまして。狭い集会所に50人くらい入っていてもう高座が組めないんです。どうするかというと、集会所の窓を開けて、その窓の向こうに高座を作ってそこでやれと。でも集会所と高座の間には、団地内の道路が通ってるんです。落語やっている間に自転車がチリンチリンと通り過ぎて『何やってるのー?』なんて聞かれたりして、それが一番ウケるという……あれは辛かった」と前座時代の苦労話を。
「今は娯楽がたくさんありますが、昔は芝居くらいしかなかった」と『一分茶番』に。
数ある兼好師の持ちネタの中でも特に好きな噺のひとつ。二ツ目時代のポッドキャストで配信されていたこの噺は何度も繰り返し聴いていたっけ。なのだが、滅多に出会わない。今回も3年以上ぶり。久しぶりに聴けて嬉しい。
自由に振る舞う権助の純粋さが楽しい。俺にこれくらいの純粋さと減らず口があればなあ。
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新春特選演芸会2 [落語]

新春特選演芸会2
於:桜木町 横浜にぎわい座

尾張萬歳保存会 門付万歳
三遊亭兼好『時そば』
尾張萬歳保存会 御殿万歳、音曲万歳
三遊亭圓橘『稲川』
三遊亭萬橘『熊の皮』
母心 漫才
三遊亭好楽『ANAがあったら入りたい』

あけましておめでとうございます

落語初めは兼好師で。
電車が遅れ、桜木町に着いたのは開演5分前。まだチケット発券もしてないんだから絶対遅れるなあしょっぱなから遅れるとは幸先悪いなあでもまあ兼好師の前になんかあるみたいだし前座もいるだろうし15分くらいまでに入れば大丈夫かと思っていたが、奇跡的に開演前に滑り込む。

紋付萬歳て何かと思ったら、……説明するの難しいな。まあつまり二人組で客席から舞台までを謡? のような感じで歌い踊りながら祝詞のようなものを寿ぐ、まあいわゆる万歳ですよ。説明になってないけど。
あぶねーこれ2分くらいしかなかった。諦めてたら兼好師に間に合わないところだった。

今年の落語初めは正真正銘兼好師。
今年も何卒宜しくお願いします。
おそらくまた一年で一番聴く噺家となるでしょう。
「落語はいいですね、お客様が品がありますもん。歌舞伎とか宝塚とか、『なんなら私が出ます』くらいの勢いで着飾るでしょ。落語はどうですか」と会場を見回して「朝、新聞を取りに出てそのまま来たって感じの人ばかり」と会場や観客をいじって落語のスタンダードナンバーに入る。
兼好師の『時そば』は実に6年ぶり。
おそらく今日の会場には普段寄席などに行かない人が多いと踏んだのか、脱線なども少ないキッチリとした型。
それだけに要所要所でキッチリと笑いをさらう。なんというか、「爆笑」っていうわけじゃないけど、ドンッと会場をひとつにまとめて笑わせてる感じ。それを絶えず続けるんだからすごいことです。

御殿万歳は祝詞を言い立てる太夫がひとりと、鼓で合いの手を入れる才蔵4人で舞い、音曲万歳は三味線2本と鼓、胡弓の4人組で謎かけを行う。

圓橘師は正月の恒例『稲川』。
人を試すような内容で、正直正月に掛けるような美談じゃないように個人的には思うんだけど。
言葉が出にくくなってるように見えて少し心配ではある。

萬橘師、「今日はちょっとドキドキしてる。というのもまだ好楽師匠が到着してない」そうで。
「だから、私が短く切り上げたら母心の漫才でお終い、って可能性もありますからね。私の心積りひとつなんですから気を使っていただきたい。……ってそう言ってるそばからお客さまがひとり出て行きましたよ! オイ今年もか……」とダメージ食らった様子。なんでそんなことが起こるんでしょうねえ。
引き続きグチが止まらない。「こっちが噺家だとわかると『蕎麦食ってくださいよ』って気軽にいうんだよ、アイツら。あなた方知り合いになった人がラーメン屋だったら『ラーメン作ってみてくださいよ』って言わないでしょ? でも一応食って見せたんですよ」と実演しようとしたところでクスクスと笑いが起こる。「オイ! ここで笑うってことは俺がヘタだってことになるでしょ! 笑えばいいってモンじゃないんですから!」と憤るが、兼好師圓橘師と連続で蕎麦をたぐるシーンがあり、連続3人めなので起きた笑いじゃないかな。
高座上での萬橘師の話に相槌というか反応する客が多く、「問いかけに答えなくていいですから!」と戸惑っている様子。
いつもの家族のグチから『熊の皮』に。甚兵衛さんのおかみさんはかなりの悪妻というか優しいところはほとんどない。それはそれで激しくて面白い。
サゲ間近で二階席の客が倒れるというアクシデントも。萬橘師もガチ戸惑いの中、「とにかくサゲまでやろう」と終わらせたが高座も客席も上の空という事態に。なんというか。

母心、ボケの嶋川さんが富山の県会議員で、昨日の地震のために現地へ行っているということで急遽ツッコミの関さんがひとりで漫談。フリップ芸で「議員になって相方が変わったこと」。
余芸として「10秒で似顔絵を描く」で男の子の似顔絵を。似てる。

最後は好楽師……なのだが、めくりが戻って再び萬橘師が高座に登場する。「なんかさっきいろいろ言っていたことにバチが当たったんじゃないか」とネガティブモードに。
結局好楽師が間に合わなかったそうで、「ちゃんと来ますから!」。まあ最悪間に合わなくても萬橘師がもう一席やってもいいんだけどね。
つなぎで小咄をしているときに、サゲへの仕込みのセリフのときにまた客席から相槌を入れられ、「だから答えるなっつってんだろ!」と激おこ。その瞬間にお後が整ったことを示す太鼓がドドン。「わぁーお! ……俺は降りないからな!」と無理やりオチまで。持ってるなあー。

好楽師、木久扇師の噂話から昨年真打に昇進した弟子のネタに。
……うん、いかにも彼のネタっぽい。
どうも好楽師の最近のお気に入りのネタらしいが、まあ1回聴きゃあもういいかな。
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