SSブログ

真打昇進披露興行 令和六年三月三十日 [落語]

真打昇進披露興行 令和六年三月三十日
於:鈴本演芸場

金原亭杏寿『ざるや』
鏡味仙志郎・仙成 太神楽
三遊亭天どん『ドライブスルー』
五明楼玉の輔『紙入れ』
ニックス 漫才
春風亭一之輔『初天神』
鈴々舎馬風『楽屋外伝』
柳家小さん『長屋の花見』
江戸家猫八 動物ものまね
柳家三三『つる』
真打昇進披露口上
林家二楽 紙切り 桃太郎 じゃあわん丈
林家正蔵『一眼国』
林家つる子『片棒』
立花家橘之助 浮世節
三遊亭わん丈『河童鍋』

広小路亭がハネたあとにそのまま鈴本に。ちょうど会場時間だったので並ばずにスムーズに入れた。
うまい具合に前の方の真ん中の席が空いていたので遠慮なく入れてもらう。今日は土曜で鈴本の千穐楽ということもあるのか満員御礼だそう。
開演前に緑助さんが落語協会黙認誌『そろそろ』の行商をしていたので一冊購入。かなり売れたようで「えっこんなに売れると思ってないから全然持ってきてない」と慌てて楽屋に在庫を取りに行くほど。「昨日は5冊しか売れなくて(『そろそろ』無責任者の)玉の輔師匠にキツめのお小言を頂いたので、今日は胸を張れます」だそう。

天どん師、わん丈さんの師匠なのにこんな浅い出番なんて。でも他の顔付けを見るとしょうがないのかあー。理事でもないもんねえ。
『ドライブスルー』は絶対に聴いたことがあるはずなんだけど、このブログには出てきてないなあ。天どん師はブロク始めてから高座で聴き始めたので聴いてるなら絶対に書いてるはず。CDで聴いたかと思ったんだけどCDにも収録されてないんだよなあ。なんでだ。テレビで見たのかなあ。
看板が木で隠されたために民家がドライブスルーに間違われるという、もうそれだけで「んなわけねーだろ」と面白いシチュエーションなのだがそこにどんどん客が来る。これがまたばっかんばっかんウケる。申し訳ないけどファンが集まるはずの独演会でもこんな爆笑されてるのは見たことがないくらい。
「チーズバーガーセット? そんなもんあるわけねーだろ。……待てよ。チンするのでいいか? 飲み物は? コーラ? ……あるよ」「コーラ開いてるじゃないですか」「ウチの女子高生の娘の飲み残しだ」「じゃあ千円で買います」ってのは引かれてた。俺は大爆笑だけどね。

ニックスも今まで見た中で一番のウケ。
妹のトモさんが姉のエミさんのツッコミを「そうでしたか」と流すギャグがあり、以前はネタ中に1回くらいだったのが何度も繰り返される。それをエミさんが一度パクったらまあウケる。

一之輔師、二ツ目時代にはまあ数え切れないほど聴いた『初天神』だがすげえ久しぶりに聴いた。え、12年ぶり? マジ?
聞き飽きてた頃は「今日もこれかよー」と思ってたものだが、一之輔師自体を聴くことが少なくなってしまい久しぶりに聴いたらやっぱり面白い。


真打昇進披露口上、司会は三三師で下手側から三三玉の輔正蔵わん丈天どん小さん馬風各師。
玉の輔師の口上で「本来の圓丈師匠が亡くなって、本来こういうときは一番弟子が預かるものなんですが、らん丈師匠は存在感がない。白鳥師匠は金に汚い。丈二師匠は危険です。『危険なじょうじ』……。そういうわけで天どん師匠のところに……」。
おそらく史上最速で祝う側に回った天どん師、いつものような毒舌やイヤミなどもなく、ちゃんと師匠としての口上を。毒舌もちょっと期待したのだが、やっぱり天どん師がオトナだった。

二楽師、はさみ試しで切った桃太郎を欲しがった人が3人おり、そのうちのひとりが子どもだったため、「じゃあ君にはリクエストを切ってあげる」と神対応。……なのだが、その子が「えー……」とモジモジしてなかなか注文をしない。
「ゴメン、君だけにそんなに時間かけられないんだ」という二楽師にやっと出た注文が「じゃあわん丈」。
「君、『じゃあ』って言ったね!? しかも呼び捨て!? わん丈さーん、いる?」とわん丈さんを呼ぶ。「このお子さんのリクエストが『じゃあわん丈』ってことなんでね、モデルになって」「『じゃあわん丈』!?」と高座のわきにわん丈さんを座らせる。
「……わん丈さん、君も大人ならちょっと付き合いなさい。なんで揺れないの」などさんざんいじられつつ高座姿を。その脇に名前にちなんだ犬も。……それさっきの桃太郎での犬と同じでは?

つる子さん、いやつる子師は女性目線の噺ではなくスタンダード風の『片棒』。
身代を一代で大きくするために夢中で子どもたちにかまけている暇がなかったというのは説得力がある。
時間的なのか最初からなのか銕三郎パートはなく銀次郎まで。

わん丈さん、ではなくわん丈師、高座に飾られていた圓丈師の形見の陣羽織に一礼してから高座に。犬がデザインされた陣羽織で、「わん丈」の名前の由来となったとか。
「鈴本は初高座を経験した寄席でもあるので思い入れがあります。前座として夜席に入ってたときに、ネタ帳に昼席の菊丸師匠のネタとして『河』と『豚』と『鍋』って書かれてたんですね。いや読めますよ!? 大学出てるんですから。でもそのときはなぜか『イルカ』か『カッパ』の二択だな、と思ってしまいまして。まさかの正解がない二択クイズ。で、そのときにスタッフのMさんから『昼席の菊丸師匠の噺なんだった? お客さんから問い合わせきてるんだけど』と内線電話がかかってきまして、『どっちだ!?』って考えた末に『カッパ鍋です』と答えてしまって……。でもそのときに一朝師匠や現国宝も居たんですよ。それで何にも言わないから合ってるんだと思ったんですよ。そしたらその後で楽屋にMさんが『さっき電話に出た前座誰だ!』って怒鳴り込んできて……。そしたら一朝師匠も雲助師匠も私をビッと指をさされて。怒られるのかと思ったんですけど、『お前、圓丈師匠のところの前座だな。二ツ目に昇進したら”河童鍋”って噺を作れよ』って。二ツ目に上がってホントに作って、当時あった早朝寄席で掛けようとしたんですよ。Mさんに『”河童鍋”やりますから』っていったら『出番何番め』って聞かれて『トリです』っていったら『ダメだ、その時間は社長が来る!』って……」と前座時代の鈴本の思い出を話す。
噺に入ると兄貴分が若い衆を長屋に呼び寄せる。え、披露目のトリネタに『寄合酒』? と思うもやはり普通に乾物屋からいろいろ盗んでくる。時間持つのかな? と思っていると、「おい与太郎なにを持ってきたんだ」「……河童」あたりから噺がおかしな方向へ進んでいく。
「河童ってどうやって食えばいいんだ?」「ご隠居を呼んでこよう」と長屋にご隠居を呼び寄せる。
「あのなあ、落語のルールは守れ。ご隠居になにか聞きたいなら訪ねてこい!」。
河童を食べるには頭の皿が重要で、河童を楽しませた度合いによって皿の大きさが変わる……とかだったかな、もうよくわからないけどとにかく大きな河童の皿を得るために歌を聞かせるというカオスな展開に。
「番頭さん、お願いします!」というとB’zの『ultra soul』のイントロがかかり、座布団の後ろからマイクを取り出して歌い出す。客席もある程度予想していたのか大盛り上がり。「そして輝くウルトラソウッ!」には客席からも「ハイ!」のレスポンスが。
ご隠居さんが「……お前これもう鈴本出禁だな、だから千穐楽に持ってきたんだな」と悪巧みの顔。
続いてUNICORNの『May be blue』を歌い出すと立ち上がり高座の上を歩きだしての熱唱。世代なのでUNICORNは嬉しい。寄席の客席からの声掛けで「フゥ~!」とか「フォー!」なんて初めて聴いた。
さらにご隠居さんも歌うというテイでMr.childrenの『innocent world』もフルコーラス。
すると袖の扉が開いてお手伝いの二ツ目さんたちとつる子師がなだれ込んできて全員で大合唱。何だこれ。しかもなぜかつる子師は号泣している。鈴本が無事千穐楽までたどりついて安心したのか。
歌が終わったところで「まだ落語の途中だよ! (引っ込んでる高座用の)マイク出して!」と後輩たちを追い出す。

サゲを言い終わって幕が下りた後に客席からアンコールの声が掛かり、なんと幕が開く。そして高座には二楽師や橘之助師匠、天どん師や三三師まで楽屋に残っていた師匠方も登場する。すげえ。
三三師から「つる子、お前は泣きすぎ。お客さんも甘やかしすぎです!」と怒られた。「あとね、さっきわん丈『マイク出せ!』って言ってたけど、マイク出したの鈴本の社長」と衝撃の事実を告げられてわん丈師が慄く。
さらに撮影のOKも出る。GR IIを持っていたのでそれでパシャリと。いやあお祭りって感じですなあ。

R0004638.jpg
RICOH GR II
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。