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人形町噺し問屋 その107 [落語]

人形町噺し問屋 その107
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『強情灸』
三遊亭兼好『風の神送り』
寒空はだか 唄うスタンダップコメディ
三遊亭兼好『明烏』

今年初の噺し問屋、しかし今日提出期限の書類がありそれをやっつけていたため少し遅れる。来年度の目標管理とか。辞めようと思ってるくらいなのに目標なんてねーよ。これ以上俺になんかやらせるつもりか。当たり障りのない目標をなんとか捻り出して会場へ向かう。

10分ほど遅れて到着。ご挨拶が始まっていた。
どうやら閏日の話題だったようで、昔のスコットランドでは4年に一度の閏日に女性から結婚を申し込むと男は断れないという法律があったということを話していたようだ。
「だからね、……大谷くんはこれを使われたんじゃないですかねえ。彼は真面目だから、そういう法律があったと聞いたら『あっそうなんだ』って結婚したんじゃないですか」。相変わらず世間話のスピード感がすごい。聞くところによるとこのご挨拶も一度稽古してるそうだが、数時間で変えてきたってことだもんなあ。
「でもどうですか、女性もこの制度があったら一度くらい使いたいでしょ。今なら羽生結弦くんとか藤井くんとかでも使えるんですよ。少子化対策にもいいと思うんですよね。男も変な女性と結婚したくないから、その前に急いで結婚するでしょ。独身貴族なんて言ってビルに住んでる場合じゃない」。なんか女性から怒られそうな理論のような……。
「でもまあその日は男性は逃げ回るんでしょうね。逃げ回るといえば政倫審。テレビを入れてやるそうですが、テレビは都合良く切り取りますから、政治家も信用できないんでしょ。テレビってのは『嘘じゃないけど正しくはない』ってことがありますからね」と以前に王楽師のドキュメンタリーで相談を受ける先輩として兼好師が出たときのエピソードを。ちゃんこ屋でバカ話をしているところの再現をし、後で見たら合間の一言二言しかしてないところを切り取られて真面目に話してるようになってたのだとか。なんかその番組見たな。
「政治家の生で話せばいいんですよ、あの5人と野党何人か連れて、ひとり15分ずつ順番言い訳をする。読売ホールを皮切りに4500円くらい取って、北海道から『ドッサリ回るぜ』って全国を回ればいい。『やっぱり西村がトリのときは客が入るなあ』なんて……。で、その売り上げをまた裏金にすればいい」とオチも鮮やか。

けろよんさん、師匠の型の『強情灸』を。そら師匠と比べたら物足りない部分もあるけれど、これだけできる前座ってすげえな。このまま進んでいけば抜擢だって……人の少ない圓楽党で抜擢っていってもアレか……。
峰の灸の店員の顔が揺れているのも兼好師のまま。このとき顔が笑っていたが、個人的にはここは真顔の方がかえって面白いと思う。

兼好師の一席め、「最近はインフルも流行っている。日本人は忘れっぽいんでもうコロナもなかったかのように振る舞ってますけどまだ流行ってますからね。それにアフリカ豚熱なんてものも流行っていて、致死率は100%なんですって。人間にはうつらないそうですが、ウィルスなんてどう変異するかわからないですからね。鳥インフルエンザなんてのも毎年流行ってる。アレは渡り鳥が持ってくるって聞いて、私は渡り鳥がニワトリなんかに『このあたりにいい沼があるって聞いたんだが、どこだい?』『あー、アタスらは飛べないんで……』『そうかい、あばよ!』……なんてやり取りの間に感染するんだと思ってた。そしたら感染した渡り鳥が死んで、それにたかったハエが媒介するんですってね」。へぇー。
感染症から風邪の話題になり、「風邪が弱みに付け込むのか、弱ってるから風邪をひくのか……」と『風の神送り』に。去年の雲助師一朝師と一緒の会で聴いたきりだ。
前半部は町内の若い衆がわちゃわちゃしてるしてる噺で、『饅頭こわい』とか『浮世床』のような群像劇的な趣き。一応取りまとめる兄貴分がいてツッコミだったり狂言回しを努めるが、若い衆たちの無邪気で不躾なやり取りがとにかく楽しい。またこのときの兼好師の楽しそうなことといったら。
仕込みが効いていたか、サゲも前回聴いた時よりもストンときれいに納得できる。いわゆる地口オチというやつなんだろうが、現代では一回聴いただけじゃわからないことも多いからなあ。

はだか先生、今日は新ネタもたっぷりと。
なにとは言えないけど来年大阪である(予定の)大イベントについて盛大に毒を吐いていて楽しい。たしかにミャクミャクのいいところはまったく思いつかないよなあ……。
そしてやっぱり東京タワーの唄で締めくくり。これこれ、これを聴かないと。

兼好師の二席め、もう明日から3月であることに触れ、「早いですねえ。人間、新しい、初めてのことに触れないと時間が経つのが早くなるし感動もなくなる。最近、写真が出回りすぎていて観光地に行ってもあんまり感動しないですよね。その場所について情報が多すぎる。昔のように情報が少なかった頃の方が実際にその場所に行ったときに感動したのかも」。確かにそうかも……。
「落語も同じです」。ん? 「落語も『この人がすごく面白いんだよ』って勧められたら、実際に聴いて『それほどでも……』って思うでしょ。逆に情報もなくて期待してなかった人が面白かったら『あ、面白い』ってなるでしょ」。まあ確かに俺が兼好師や遊馬師、一之輔師にハマったのは前情報がほとんどない二ツ目時代ですけども。
「だから常連しかいないこの会のやりにくいこと」で会場大爆笑。
それでも俺は落語初心者に兼好師を激推しするけどね! 前情報があろうがなかろうが、兼好一之輔を聴いて落語がつまんないって思うんなら、もうソイツは落語聴くのに向いてないんよ。
「初めての経験」繋がりで『明烏』に。
相変わらず源兵衛太助の札付きコンビのやり取りが楽しい。
一晩明けて「珍談珍談……」となるときに、「どういう流れでその話を持ってきたの? そもそもアンタ誰? 源兵衛でも太助でもなさそうなんだけど……」となりがちなのだが、さすがに兼好師はそういう破綻をきたさない。お調子者の源兵衛が爪楊枝を使い、口を濯ぎに行った帰りに珍談を仕込んでくるということが明確にわかる。なおこの爪楊枝を使っての歯磨きの仕草が絶品であることも記しておく。
若旦那の「源兵衛太助、おはよう」の「おはよう」などの決め台詞がなぜか低音ボイスでキメるのがまたおかしい。それを受けた太助のリアクションもわかりみが深くて楽しい。

……あー明日憂鬱だなあ。目標管理で社長の呼び出し喰らわなきゃいいけど。
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3肥良乱ショー [落語]

3肥良乱ショー
於:中野 なかの芸能小劇場

林家十八『真田小僧』
オープニングトーク
柳家小ふね『牛ほめ』
林家きく麿『首領が行く!』
三遊亭歌武蔵『家見舞』
春風亭一蔵『笠碁』

オープニングトークは私服の3人と着物姿の小ふねさん。
勢いのある二ツ目になりたての人をゲストに呼ぼうと企画し、3人が小ふねさんを挙げたらしい。
前座の頃はよく知ってるが、二ツ目に上がると真打とは出番が離れるので聴く機会が極端に下がるのだとか。しかも新二ツ目も修行が明けて本性が現れるので、その人となりを知りたいとのこと。
歌武蔵師が二ツ目に上がった頃はバブルで二ツ目でも忙しく、きく麿師の時代は落語自体がどん底で月収が6千円だったとか。一蔵師の頃はそこそこ落語会が多かったのでそれなりに忙しかったそうだが、今は落語会自体はあるものの、呼ばれる人が結構限られているのだとか。
さらに今は同期の皆で呑みに行くということはまったくなく、むしろ皆終わったらすぐに帰りたがるのだとか。まあコロナもあったし、時代なんだろうなあ。

小ふねさんの得意ネタは与太郎ものなのだそうで、「これ一本でやっていきます」とのこと。
予告通り与太郎ものの『牛ほめ』に。
家の褒めようを父親に教えてもらいながら与太郎自身がメモをとるのだが、そのときにいろいろ毒づきながらなのがおかしい。

きく麿師、小さいあいびきを使っているようだ。まあ「3肥良乱ショー」だしなあ。
久しぶりに聞く『首領が行く!』。どんどんVシネマに毒されているクラスの様子がなんとも面白い。

歌武蔵師、座布団の横に小さな台が置いてあり、「? 喬太郎師のように釈台置いてやるのか? それにしちゃ小さいような……」と思っていたら特大のあいびきだったようだ。さすが。
江戸っ子たちのキレのいい会話が心地良い。

一蔵師、「今16時18分。で、この会場が17時に完徹。完徹ということは楽屋も客席もあの録画機材も全部撤去しないといけない。なんであまり長いことは話せません」。
「この時間は落語よりもボートのことが気になって……」といつものようにボートの話を捲し立て、「……この話題、興味がないですか」。最近はボートレース場に若い人たちも増えているそうで、舟券の買い方を教えたりして交流があるそうな。
共通の趣味があるのはいいと『笠碁』に。時間がないからか「金を貸したときに待てないと言ったか」というやり取りはなし。まあここは特にイヤラシイところなので、なくてもいいよなあ。
とにかく大人げないふたりのおじいちゃんたちがかわいらしい。

最近では珍しく打ち上げ付きの会で、久しぶりに行きたかったがこの後に高校の時の友人たちと飲む予定が入っていたのでパス。次回があれば参加しようかな。
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兼好54歳×文菊45歳二人会 [落語]

兼好54歳×文菊45歳二人会
於:人形町 日本橋社会教育会館ホール

三遊亭けろよん『本膳』
古今亭文菊『猫と金魚』
三遊亭兼好『磯のあわび』
トークコーナー
三遊亭兼好『日和違い』
古今亭文菊『小言幸兵衛』

文菊師が誕生日ということで企画された会のようだが、なぜ1月11日生まれの兼好師が? まあなんでもいいんですが。
そば打ちの会が予定外に早く終わったのでちょっと時間が空く。晴れてたら歩いて次の会場に行くんだけど、さすがに寒い雨の中はなあ。というか晴れてたらそもそもバイクで行くか。

けろよんさん、若干独特のイントネーションは残っているものの、いやもう前座? ってくらい達者。
肘鉄のやり場に困るオチではなく、肘鉄が往復してさらにもうひと波乱がある。

文菊師の一席め、今日が誕生日などで出囃子も『Happy Birthday to you』。「……すごく出にくかった」。
45歳になるにあたり、キャラについて悩んでいるところがあるようで、「今の師匠からは『執着を取れ』と厳しく教えられていてね……」今の師匠? 「あ、初めて聞く人はなんのことだかわからないと思うけど、今の師匠ってのはカミさんのことで」。あーなんか寄席で聞いたことあるかも。これはこれで新しい恐妻家キャラというか。
「よくマクラで『ごめんなさいね、イヤらしいお坊さんみたいで』といっていたんだけど、これを数日前からやめました。今のご時世、こういうこともダメなんでしょ? そういう風潮になってるから、これで客席で引く人がいる」とのこと。なんか最近めんどくさい流れだなあとは私も思う。とはいえ正直私自身もあの定番のフレーズはあんまり好きじゃないんだ。なんつーかオネエっぽい喋り方と相まって生々しくて。
噺に入るとネッチョリとしたオネエっぽいところはなくなる。話の通じない番頭にイライラし、徐々にヒートアップしていく旦那の様子がおかしい。

兼好師の一席め、「文菊さんの誕生日になんで私が呼ばれたのか。私は単なる被害者」と笑う。
「しかし文菊くんももう45歳なんですね。私は入門が遅かったので、年は離れてるんですが芸歴はさほど離れてない。なのでもっと若いと思ってたんですが……。まあ本人も言ってましたけど45にもなって『スケベなお坊さん』ってのもね」。「イヤらしい」と「スケベ」だとちょっとニュアンスが違う気が……。
「アレも若くてシュッとしてる人がいうからギャップがあってウケるんであって、今ならこうやって(腰を落として)出てくるだけでたいがいの人は引きますよ。正面に向いたらうわーってなって、お辞儀したらうひゃーってなって、仕上げに頭を上げるときに小声で『どーも』って言われたら……」とここで文菊師が抗議に出てくる。「止められなかったら40分間ワルグチを言ってた」と黒い笑みをこぼす。
「私は54歳で、普通の社会だったらもう分別をつけなきゃならない頃ですが、この世界は昇太師匠や喬太郎師匠のような60過ぎの師匠たちがこの前まで『若手のホープ』といわれてた世界ですから。こないだも権太楼師匠に『兼好さん、歳いくつ?』って聞かれて答えたら『もっと歳いってると思った。丁寧に話して損した』って言われましたから。『損した』ってことはないと思うんですがね……」。権太楼師のモノマネも似ていておかしい。
「最近は若い子の方がおとなしい。おそらくスマホやなんかでスケベなものがすぐに手に入るのが原因な気がしますね。おじさんの方が客席を覗いて『いい女いる!』とか騒いでますから。昔は若い人はスケベなことに熱心で、そうなると吉原ということになりますが……」と町内の若い衆が「女郎買いの師匠」に吉原でのコツを教わりに行く『磯のあわび』に。
女郎買いの師匠とでっちあげられ、「女郎っ買いの師匠! 女郎っ買いの師匠!」と押しかけられた隣町のご隠居の戸惑う姿がおかしい。
そのご隠居から無理やり教わったコツを実践する男の鬼気迫る表情がまた楽しい。

幕が下りかけ、仲入りかと思ったら「まだ仲入りではありません! お戻りください!」と席亭のアナウンスが。
仲入り前にふたりのトークコーナー。
……なんかふたりしてちいかわの被り物を被らされている。何だこれ。事前アンケートで両師匠に好きなキャラクターを聞き、兼好師がドラえもん、文菊師がジブリキャラだと回答され、それぞれ抱きまくらをプレゼントされたのだが、席亭の好きなキャラとしてちいかわを被らされたらしい。
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撮影コーナーの後でクロストーク。
客から取ったアンケートを元に「落語家になっていなかったら何になっていたか」「稽古事をしているか」「夫婦円満の秘訣」を話し合う。

兼好師の二席め、スマホの発達ですぐに天気予報が見られるようになって便利になったのはいいが、その分自分で空気や雲の流れを感じて予測する能力は落ちたと『日和違い』に。
そもそも聴くこと自体が少ない噺で、あれ兼好師で初めて聴く? と思ってたら6年半前に一度だけ聞いていた。さすがにネタおろしとかそれに近い状態じゃないと兼好師の持ちネタで聴いたことがないってのはもうほとんどないか。
雨に振られた男が米屋で俵とサンダラボッチを貰い、それを着て雨具代わりにするのだが、それを着込む仕草がおかしい。俵とサンダラボッチなんて実物を見たことがあるかも怪しいのに、兼好師の仕草だけでなんとなく情景が浮かぶんだからすごい。

文菊師の二席め、「さっきのトークの『稽古事をしているか』というテーマのときにカミさんから『執着を捨てろ』といわれて習い事をやめた噺をしたんですけど……ちゃんと伝わってます?」とおかみさんとの関係性を説明する。一応はネタのような扱いのようなのだが、本気にする人もいる、ということのようなのだが、ちょっと特殊すぎて正直どこまでがネタでどこまでがホントなのか分かりづらいのは確か。特に私のように年に1~2度寄席で聴くか聴かないかという頻度ならそんなもんじゃないかなあ。結構説明してたけど、理解できてるかは正直わからん。
おかみさんから小言を食らうという小言つながりで『小言幸兵衛』に。
豆腐屋のおかみさんが吉原上がりの元花魁という設定は初めて聞く。だがそのおかみさんとも「惚れて惚れられ」と盛大に惚気けるのは同じ。確かに元花魁とそういう間柄になれば自慢もするだろうなあ。
仕立て屋の話を聴いて心中までのくだりを話すときにどんどん理不尽になっていく様子がおかしいっつーかこれ先代圓菊師やおかみさんがモデルなんじゃねーのと思わせる。

この会のために兼好師が描いたイラストをプリントしたクリアファイルがお土産に。オフィス10では珍しい。
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第9回そば打ち体験・兼好落語 [落語]

第9回そば打ち体験・兼好落語
於:本所地域プラザ・BIGSHIP

三遊亭げんき『手紙無筆』
三遊亭けろよん『真田小僧』
三遊亭兼好『しの字嫌い』

さっむ。こないだの火曜に「暑い」っていってたのに何この気温差。えっぐ。
バイクなら15分で来れるのに、雨なので電車で。北千住から蔵前ってアクセス悪いんだよな……。
つくばエクスプレスで浅草まで出て、途中のサイゼリヤでメシを食いつつビールやワインなどを。隣の席の多分父娘なんだろうが、最低限の会話は交わすものの娘はずっとスマホの動画を食い入るように前のめりで見ており、親父は親父でやっぱりスマホをずっと見ている。……え、今はこれが普通なの? さすがに姪っ子たちはここまでではないが……。ちょっと怖いなあ。

そば打ちはパスして落語会のみの参加。

げんきさん、久しぶりに『牛ほめ』以外のネタを聴いたような気がする。ネタは順調に増えているようで何より。

けろよんさん、だいぶテレもなく「10銭ここまでー!」ができるようになったようで。先日聴いた兼好師の形にだいぶ近い。

兼好師、「この会ももう9回めですが、大好きな会で。というのも落語の前にそば打ちがあるので、みなさんそんなに落語に重きを置いていないんでぜんぜん責任感なくできる。しかも落語会の後に蕎麦を茹でて食べるから、みんな落語のことなんて忘れてる。それにもしそば打ちに失敗して蕎麦が不味くてもそれは私のせいじゃない。だからすっごい気が楽なの」。いやいや俺落語会だけなんですけど。
「それにそもそも落語のお客さんて優しいですから、クレーマーとか〇〇ハラなんてのがほとんどいない。たとえばどんなに温厚な人でも、10個入りのパンで1つでも傷んでいたらクレームとまではいかなくても文句くらいは言うでしょ。でも落語は10人出てきてひとりつまんなくても誰も文句言わない。8人までは大丈夫。他がどんなにつまらなくても、まあ仲入りとトリが面白ければ怒らないですもん」。まあ俺は目当ての人さえ聴ければそれでいいので。
「たまにネットとかに書き込んだり、投書とかする人がいますけど、『野暮だなあ』と思うくらいで」。……おおっと。
「昔は出歩く範囲が狭く、その範囲内で生活せざるを得ないのであまり『客がエライ』というような価値観はなかった。お互いが客になりうるわけですし、他に買うところもないからそこで買うしかない。なので客よりも主従の方が面倒な人がいたようで……」と『しの字嫌い』に。約5年ぶりくらい。
お店の旦那が清蔵をいろいろと呼びつけるのだが、清蔵が嫌いなのではなく清蔵しかあいてにしてくれるひとがいないというのが悲哀を呼ぶ。
清蔵を凹ませようとなぞなぞを出すのだが、ことごとくあっさりと答えられ、「孫に教えてもらったのに……」「孫に教えたのがオラだ」というやりとりが何ともおかしい。

仲入りかと思いきやスタッフが高座へ出て「私たちの手違いでこの会場を17時までしかとっていませんでした」。この時点で16時55分。
「なので1000円返金させていただきます」。いやそもそも1500円なので、元は取れてるしいいんだけど、まあそういうわけにもいかないんだろうなあ。
奇しくも兼好師のマクラが効いているので怒ることもままならない。まあ怒りませんけど。しかしこのマクラ、偶然なのか……?
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しのばず寄席特別興行 第1回兼好・春水 二人会 [落語]

しのばず寄席特別興行 第1回兼好・春水 二人会
於:上野広小路亭

笑福亭ちづ光『初天神』
三遊亭兼好『元犬』
一龍斎春水『いざ鎌倉と源左ェ門駆けつけ』
一龍斎春水『杉山和一 苦心の管鍼』
三遊亭兼好『締め込み』

有給。
家のインターホンの音声が外に通じていないという症状になっており、インターホンを交換すると1万5千円くらいするらしい。たっけえ。Webを検索してみると子機のマイクを交換するだけでいいらしく、それなら1500円もかからない。1/10以下ならやってみない手はない。Amazonで900円くらいで購入し、ダイソーではんだごてとハンダを購入。ハンダ付けなんて中学校の技術の授業以来だ。35年ぶり!? 悪戦苦闘しながらもなんとかハンダ付けを行い、無事修理完了。
その後、上野へ出て海鮮の食べ放題飲み放題の店で昼飯。45分と60分があり、45分にしてみたが60分でもよかったかなあ。どうしても45分だと焦りが出てしまう。45分でビールジョッキ3杯と焼酎ソーダ割り1杯、さらにご飯茶碗で海鮮丼3杯も食えば腹もいっぱいになるが、もうちょい落ち着きたいところ。
満腹の腹を抱えて湯島天神まで歩き、久しぶりに一眼レフを活用。
そのままさらに神田明神まで歩き、秋葉原を経由してまた上野に戻って落語。なんか江戸っ子っぽいルートを辿っている気がする。歩き回ったからか、短時間でアルコールを流し込んだのに全然酔いが回らない。
それにしても暑い。パーカーにウルトラライトダウン着てたらダウンなんて着てられない。パーカーだけでも袖をまくる。てか昼間に電車に乗ったら冷房入ってた。2月だぞ!? ちょっと気候がおかしすぎる。

前座のちづ光さん、ちっちゃくてかわいらしい感じだけどどことなく年齢不詳なところも。もともと彦いち門下だったんだよね?
飴玉を飲んじゃったところでサゲ。

兼好師の一席め、「本来この時期なら『お寒いところをようこそ』と挨拶をするところなんですが、今日は暑いくらいで。これだけ気温の差があると体調を崩しやすいんでお気をつけください。でも人間は服で調節できるからいいですけど、動物はかわいそうですよね。ヤツらいくら暑くても脱げないですから。最近は犬と猫では猫を飼う方が多くなったそうで。でも不思議なもんで、昔はそうでもなかったのに、最近は犬を飼ってるオジサンはヘンな人が多い。ちょうど会社を退職して誰も慕ってくれないから、犬を部下代わりにしてるような感じ。私が家の近所を散歩してると、和服が珍しいのか犬が私に興味を示すことが多い。私は犬が好きなんで、寄ってこられると嬉しいんですけど、オジサンがそれを許さない。犬を引っ張っていった向こうで『ヘンなモノに近づくな』とかいってる。『ヘンなモノ』!?」と犬の話題から『元犬』に。
今日は上総屋さんには自分が元犬だとバラしているパターン。まあそれによってオチが変わったりするわけではないのだが、噺の整合性としては明かしている方が繋がりやすい。

春水先生、声優の麻上洋子として活躍されていたそうで、ちょっと調べてみたらいろいろなメジャーどころの役柄を演じている一流声優なのね。アニメとかほとんど見てなかったから知らんかった。関係ないけど知り合いにメジャー声優がいて、私世代直撃の役をやっていたそうなのだが、私自身はまったく見てなかったのでその人のありがたみが全然わからないという。
で、やっぱり声が優しくていい声なのですごく聞きやすい。なので一席めはあっという間に夢の世界に。昼のアルコールがここに出てきたか。
二席めはちゃんと起きて聴いてました。

兼好師の二席め、「今日は根津に用事があったので、そこから歩いてきました。湯島天神もあって、絵馬を見るのが好きなのですが、志望校に『東大』と書いてある人は字も大きい。『東大だぞ』と見せようとしている。私は二松学舎なので、もし絵馬を書いたら『絵馬に頼まなくても入れるでしょ』とか言われそう。日大だったら絵馬の裏側に書いてあったり。まあそもそも日大は絵馬というより大麻ですが……」と飛ばす。ていうか近くにいらしてたんですね。
天神さまと並んで受験生に人気なのが両国回向院のねずみ小僧の墓で、目的の家に難なく忍び込んだことから受験に通ずるんだそうだ。そこから泥棒の噺の『締め込み』に。
この噺は兼好師のネタの中でもかなり好きな部類なので聴けて嬉しい。
何度聴いても女房が間男をしていると勘違いした亭主が、半泣きになりながら女房を問い詰めている場面が素晴らしい。
最初は怒りのためか目が四白眼になっているのが怖いのに、話すうちにぐずぐずになっていく様子がとにかくおかしい。セリフだけは「もう許さねえ、出てけよ」と勇ましいのに、声がひっくり返ったりしてて、女房に未練たらたらなのがここまであからさまなのがむしろ微笑ましい。ここだけでも木戸分の価値がある。

終演後、せっかくの有給なのだからアメ横の立ち飲みででも一杯飲んでいこうかと思うも、昼に食いすぎたからかまったく腹も減らず。これで飲むんなら家で飲んだほうがいいかと思い、そそくさと帰る。
結構充実した休みだったかもしれん。また明日から仕事やだなあ。湯島天神と神田明神にお願いしてきたけど、どちらもあまり仕事運にご利益があるイメージはないしなあ。
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紀尾井らくご 三遊亭兼好独演会 [落語]

紀尾井らくご 三遊亭兼好独演会
於:四ツ谷 紀尾井ホール

三遊亭兼好『真田小僧』
三遊亭けろよん『金明竹』
三遊亭兼好『だくだく』
三遊亭兼好『崇徳院』

なんか季節はずれに暖かい。
昨日行った落語会についてのブログなぞを書いていると14時ぐらいになってしまう。うーむ時間がもったいないなあと思いながらもなんちゅーか辞め時がわからないというか。
もっとシンプルに書けばいいって何度も自分に言い聞かせてるのだけれども、それもまたうまくいっていないっつーか。
せめて昼飯を食いに出るときにバイクではなく散歩で。今日はあったけえなあ。

一席め、「今日のように暖かいといろいろ失敗する。今日は何を失敗したかというと、今日は17時開演の高円寺の会に出ることになっていた」。うん知ってる。さすがにその会はチケット取らなかったので。いやーどうするんだろうと思ってたんだ。
「いや、その高円寺の会って昼開演っていうイメージがあったんですよ」。えー? いつも夜だったような気が……。「で、この会は19時開演というイメージがあった。15時開演の会と19時開演の会なら間に合うと思うじゃないですか。そしたらこの会は18時開演だって。で、高円寺の会の私の出番は2番目なんですよ。前座さんが15分やって、吉坊さんが30分、それで私が30分。そうすると、私の出番が終わったときにはもう18時15分なワケです。これじゃいかんと出番を変わってもらって、それで時間を前座さんを10分、私の高座を20分で勘弁してもらえば17時半、高円寺から四谷までは電車一本で20分ですから、よし行ける、と思ったんですけど、今日は休日だから高円寺に中央線が止まらないの。それに座・高円寺2から駅まで少しありますし、この会場も四谷の駅からちょっとある。コレは無理だなと。仕方ないので開口ゼロ番として前座の前に上がってきた」そうだ。どんな高座になったのかちょっと興味がある。しかもうるさ型の志ん輔師も一緒だから、はたしてどう思われたのか……。
「でもまあこちらは間に合いましたから」というが、ホントどうやったんだろ。
「私は高座に間に合わないということはほとんどしたことがなくて。前座の頃に飛行機で佐賀に行ったときに飛行機トラブルで羽田に引き返したときくらいですかねえ。主催の方も『飛行機が遅れてて』と言ってくれればいいのに、そういうフォローが一切なかったんですって。で、私が前座ですからタクシーの中で着替えて、会場についたらそのまま高座に上がって『ようこそおいでくださいまして誠にありがとうございます』とやったら大ブーイングを受けたくらいですかねえ」だそうで。
その後、北九州は子どもまで怖いとか、子どもから褒められることが多いという噺から『真田小僧』に。一時期よく聴いていたような気がするが、今日は3年以上開いている。
おっかさんと男の人が家の中で何やら親しげに話しているが、障子が閉まっていてよく聞こえないという再現がさすがの兼好師の芸の細かさ。

二席め、確定申告の時期がきたことに触れて「国会議員があんなに裏金作ってるなら、税金なんて払いたくないですよねえ」。どうにかしてサラリーマンが脱税する方法はないものか。
「私は脱税してないです。というより女房がそういうの嫌いで。落語会の主催者が『うちはそういうの裏で大丈夫ですから』っていうのを『そういうの嫌いです!』って電話ガチャッて切っちゃうくらい。弟子にも『いい? 師匠の帯を靴で踏んでもいいけど、脱税はしちゃダメ』って全員を集めて言っているくらいで」。私は脱税したいです。できるものなら。
「脱税で携帯電話の買取会社が摘発されてましたけど、その会社の名前が『富久』なんです。もう落語ファンにはたまらないですよね。それと、葛飾の露天商でルイ・ヴィトンの偽物を売っていた店も捕まった。……えー? 葛飾区ですよ? で露天商ですよ? そんなもん偽物に決まってるじゃないですか。しかも3500円て。買う方だってわかって買ってるでしょ。葛飾区の露天商ですよ? そりゃ伊勢丹とか三越で売ってたらダメですよ。でも葛飾区で本物売ってたらそっちが逮捕ですよ。……しかも全部手作りしてたってんだから。『本物より使いやすいわ』なんてことになってたんじゃないですか」と楽しそう。まあ葛飾で露天商といえば寅さんがいるしなあ。
そんな「偽物でも楽しめる」マインドで『だくだく』に。
「帰ってくるのが遅くなったときにふてくされて先に寝てしまった女房」を描いてくれ、と頼み、絵を描くご隠居の前でそのイマジナリー女房と痴話喧嘩でたわむれる様子を延々と続けて「……ていう女を描いてください」と急に真顔になるのがおかしい。


三席め、「最近のマッチングアプリとかでは、顔が写真ではなくアバターで登録するところもあるんですってね。声だけは本人のそのままの声で話して、お互いに話が合えば実際に会うんだそうで。これがマッチング率は意外と高いんですって。声や話し方が生理的に合わないという人はどんなに顔がよく立ってダメですが、声や話し方が好みに合うと顔がイマイチでも大丈夫なんですって。……これは噺家でも同じで、どんなに顔が良くても声がダメならダメでしょ。でもどうですか、白酒師匠なんてあんな顔なのにあの美声であんなに面白いんですから」。白酒師を出すのはちょっと反則だなあ。
「だから見た目だけで一目惚れをさせるというのはする方もさせる方もたいしたもんですよね」と『崇徳院』に。約2年ぶり。
毎回書くことだが、熊さんが若旦那から恋煩いを告白されて、「笑わない」と約束した手前どうにかしてこらえようとしながらもどうしても笑いが漏れ出てしまうシーンは本当に面白い。この場面だけでもカネを払って聴く価値があると思う。
サゲのセリフを言うのは熊さんでも相手のカシラでもなく、床屋の大将。確かに「買わんとぞ思う」といわせるなら床屋だよなあ。
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第48回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会 [落語]

第48回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭天どん『新作(褒められたい)』
三遊亭ごはんつぶ『スクキャット』
三遊亭天どん『文違い』
三遊亭ごはんつぶ『陰謀論者』
三遊亭天どん『二番煎じ』

浜松町から一度家に戻って少し休憩してからバイクで中野へ。

オープニングトーク、ビッグバンドのBGMに合わせて天どん師が登場。
「主催の人がね、調子悪いって帰っちゃったんですよ。そしたらいつもどの音楽で出てきたのかわからなくなっちゃって」だそうだけど、そもそもジャズだったっけ……?
「新作と古典それぞれネタおろししますよ。新作はね、昨日作りました。なんか原作者の問題とか今あるでしょ、それを取り入れていたら僕の黒い部分が出てきてしまってやめました」とのことだが、そんなにすぐにできるもんなんだ。すげえな。
「古典はね、よくないね。いやネタ自体が悪いわけじゃないんだけど。やってみたら楽しくなったりするかもしれないと思ってたらそうでもなかった」そうで。
「……ねえみなさん聞いてます? どういうつもりできてるんですか。ひとりずつ聞いていきますよ」と客席にも絡みだす。

出囃子はいつもの『松の木小唄』ではなくそのままビッグバンドの曲で。
一席め、スナックに入ってたふたり組、片方の第一声が「あー仕事頑張りたくねえ~」。ものすごく同意です。
片方がスナックの美人ママになぜか「いい男ねぇ~」気に入られたようが、このママの好みが特殊で、イケメンの客は出禁で、差し入れとして乾パンを持ってくるようなオッサンがお気に入りという。……なんかよくわからない。

二席めでは「さっきの噺、僕的にはすごく好きなんですけど。皆さん的にはそうでもなかったみたいですね」。
騙し騙されのマクラだったので『三枚起請』かとも思ったが、『文違い』に。
ネタおろしなので特に大きなアレンジをせず、スタンダードな形で。三席めのマクラでは「今後はどうしていくかを考えてやっていきます」とのこと。
女郎のお杉が芳次郎の手紙を読んでパニックになる様子はいかにも天どん師らしくてそれが楽しい。そしてそのお杉の手紙を読んでパニックになる半七のリアクションがお杉と同じなのがおかしい。

ごはんつぶさんの二席めは先日も聞いた『陰謀論者』。内容はほぼ同じだが構成や小道具を少し変えてきた。
というか落語協会のロゴが噺家がお辞儀しているところをデザイン化しているものなんだと初めて気づいた。

天どん師の三席め、「今日の天気を操りましたよ。一昨日やったら怒るでしょ、『もう暑いよ!』って。今日くらい寒いとちょうどいいですよね」と『二番煎じ』に。
天どん師のは一の組と二の組がなく、宗介さんだけ残して全員で火の回りに出かける。
見回りの間もきゃっきゃきゃっきゃしてるが、飲みに回った場面でずーっとおじいちゃんたちがイチャイチャしていていろんなことをやっている。コレなんでもできるし入れ替えも自在なので面白いなあ。
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第68回三田落語会 昼席 [落語]

第68回三田落語会 昼席
於:浜松町 文化放送メディアプラスホール

柳家小きち『真田小僧』
春風亭一蔵『短命』
春風亭一朝『転宅』
春風亭一朝『鮑のし』
春風亭一蔵『子別れ』

何気に一蔵師は今年初か。
昇進して「一蔵ひとりの会」がなくなったからなあ。

前座の小きちさん、一蔵師によれば国際基督教大を出て自衛隊の少尉に当たる階級まで昇進した挙句に噺家になったとか。
口跡もよく達者なのだが、なぜかそれが笑いに繋がらない。なんか間が溜めすぎなのかな。

一蔵師の一席め、「私は由緒正しい都立田柄高校出身ですから!」と逆の学歴自慢。最近ではこちらの方が珍しいんだろうなあ。
今日は朝から仕事があり、この三田落語会のために無理矢理30分繰り上げてもらったのだとか。9時半開演の落語会てすごいな。
「無理をいって繰り上げもらったんで、お客さんもちょっと機嫌が悪い。そんな中を一席めは軽い漫談みたいな話をして、二席めにちゃんと聞かせる噺を持っていったんです。そしたらその街で明日選挙があるらしくて、3分おきに選挙カーが」とその様子を面白おかしく話す。「うるさいけど、『しめた、これで三田落語会で話すことができた』と思ってしまった」と相変わらずマクラのネタ探しをしているようで。
『短命』はよく聴いていたネタだが、一蔵師のは一年半ぶり。
ちょっと『いろはで悔やみ』『寿限無で悔やみ』がやや雑になってきているような……。

一朝師の一席め、「ウチには弟子が10人いるんですが、アレが一番心配。まあ無事に一人前になってくれましたが……」だそうな。
「弟子入りにきたときも、私は気づかなかったんですがカミさんが『新しくきた子、ピアスしてるじゃない』と……。『それにセカンドバッグがルイヴィトン』って俺より金持ってんじゃねえかって」と入門当初の様子を話す。
「どうして九両三分二朱」や「万年も生きよおと思う亀吉が十両盗んで首がスッポン」の泥棒のマクラから『転宅』に。
食べ残しのごちそうを盗み食いしてるときなど、泥棒がなんとも呑気で楽しそうな雰囲気を最初から最後まで纏っているのがいい。

二席め、先日一蔵師と一緒に福岡に行った話を。福岡で水族館にも行ったそうで。「カミさんが行きたいっていったんだけど、一蔵は露骨にイヤな顔をしてたね。でもイルカショーでは一番はしゃいでた」とのこと。一朝師はペンギンがお気に入りだったようで、「一蔵に『かわいいな』と言ったら『かわいいですね、飼育員の子』だって。お前はどこ見てんだ」。
一朝師の若手時代に先代柳朝師といろいろ行ったというエピソードを。まだまだおおらかな時代で、一緒に露天風呂に入った際に柳朝師が女風呂を覗きに行った話を。「岩を伝って覗きに行って『見えた見えた』っていうんだけど、岩で胸が傷だらけ。そこまでしてやることじゃねえだろと……。そんで次の朝見たら、その岩場が断崖絶壁で……ゾッとした」。今じゃできないでしょうな。
甚兵衛さんがふわふわしていてかわいらしい『鮑のし』。熨斗の根本を教えてもらってるときに「後家でいけずやもめでいけず、仲のいい夫婦が熨斗の上で夫婦の営みを行って……」とそこまで表現されたのを聴くは初めてだ。

一蔵師の二席め、「福岡の水族館ね、行きましたよ。その日は披露目の会でトリなわけですよ。そりゃイヤな顔しますよ。その時は師匠とおかみさん、それと妹弟子の一花と文蔵師匠も一緒だったんですけど、師匠とおかみさんが老夫婦、そんで私と一花が若夫婦みたいに見えるんですよ。で、文蔵師匠が『職に就かない叔父さん』みたいな雰囲気に……」。
「イルカショーはね、私はどうしてもボート目線になってしまって。『お、アイツ差せるんじゃねえか』なんてね」と道楽の話から三道楽で身を持ち崩した噺に入る。
一蔵師のは番頭さんがすべて仕組んでお膳立てをしている型。
二ツ目時代はわかりやすくクサさがあったが、真打になってそれを抑えるような感じになっているようだ。
そろそろまた土日に勉強会とかやってくれないかなあ。
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能登応援落語会チャリ亭 赤坂倶楽部編 [落語]

能登応援落語会チャリ亭 赤坂倶楽部編
於:赤坂會館 6階稽古場

入船亭扇橋『高砂や』
古今亭駒治『B席』
江戸家猫八 ものまね
春風亭一朝『紙屑屋』

柳枝師が発起人となったチャリティ落語会。
らくごカフェでの会は瞬殺でチケット取れず。兼好師が出るばばん場は平日の昼間だし、となると狙うは赤坂の会。先週、先々週の会も行きたかったが、仕事が終わらず。
今日はなんとか19時に切り上げて会場に向かう。

会の前に柳枝師と小燕枝師がチャリティオークションのシステムの説明を行ってから扇橋師が高座に上がる。
「なんか柳枝アニさんと小燕枝アニさんの格好でオークションの説明をしてるのを見ると、これから怪しいセミナーが開かれるみたい。でも自分と同世代のアニさんが中心となってこういうことをやるというのは誇らしい。私なんか誰かがなんかやるんなら乗るよ、くらいしかできないですから。……あのアニさんはゆくゆくは人間国宝を狙ってるんでしょうね。……真面目な顔で聞いてる人がいるんですけど大丈夫ですか。あの募金箱もマジックで手書きですよ。打ち上げ代だろ! って。……だから真面目な顔で聞かないでくださいよ。本気にしないで。私、本心で言ってることなんて今日ひとつもないですから! ……あっ、柳枝アニさんが誇らしいってのだけはホントです!」。
居合のカップルの結婚式のマクラから『高砂や』に。噺の入り方が少し変わっており、マクラからシームレスにご隠居が高砂やのお手本を見せているシーンに。「何人かが噺に入ったことに気づいてない」。
おめでたい噺というのもチャリティにそぐわないような気もするけれど、暗い気分を払うために敢えて、ということなのかもしれない。

駒治師、「北陸新幹線を楽しみにしてたんですが……」とさすがのコメント。
最近は度の仕事も増えてきたといい、「やはり電車の旅といえば新幹線ですよね。窓際のA、E席がいいという人もいれば、通路側のC、D席が好きという人もいます。しかし、誰もができれば座りたくないという席がそう! 三列シートの真ん中のB席です。これはそのB席にまつわる噺で……」と本題へ入っていく。
主人公は就職試験を受けるために盛岡まで東北新幹線で向かう就活生。彼の指定席がB席で、これが席を反転させてボックス席状態にしている5人組のおばちゃんたちのど真ん中というもの。
車掌までが「B席はお気の毒」といい、JRの職員もB席をなんとかして客に押し付けようと画策するという、まあなんとも駒治師らしい噺。

仲入り時にオークション商品のお披露目と説明を。
普通のオークション形式にするとキリがないので、欲しい商品に入札する形式。
扇橋師の昇進グッズセットだったり、けい木さんが監修している『あかね噺』のイラストに寄せ書きを入れたものだったり、けい木さんが「ヘタしたらしくじる」ものやら、猫八先生のオリジナルグッズ詰め合わせ福袋やら。
駒治師の出品は桐箱に納められた新品の「高級品」吊り輪。本物らしい。桐箱に書かれた「高級品」の文字は一朝師に書いてもらったのだとか。この様子をけい木さんが動画を撮っており、あとでネットに上げるそうな。
一朝師の出品したジャイアンツネクタイ(一朝師が一度装着済み)&手拭い&顔シール、それと猫八先生の福袋が欲しかったが、まあ最低落札価格が3千円で、それより大幅に上の値がつくのは目に見えているので入札は見送る。
扇橋師の真打昇進グッズも全部持ってるからなあ(ドヤ顔)。

猫八先生、今日はこの前に3本の営業があったらしく、幼稚園、高齢者向け、警察のイベントとこれまでの芸人人生の中でも最大の振れ幅だったという。
時間も押していたらしいが、漫談もものまねも普段の寄席よりもたっぷりと。
さすがにこの会に来るお客は寄席の常連ばかりらしく、お約束のものまねももすべて心得ているようで何をやってもウケる。

一朝師、「アタシはもうそろそろ寝る時間なんだけど」。……おじいちゃん……!
イッチョウケンメイも早々に決めて噺に入っていく。
一朝師の『紙屑屋』は初めてだが、都々逸やら唄やらがいろいろと詰め込まれており、玉手箱のような色とりどりの一席。いやあさすがです。

終演後に落札者の名前が発表されるが、落札金額は公表されず。
一朝師のネクタイ、いくらだったんだろ。

さらに出演者と発起人の柳枝師と小燕枝師、お手伝いにきていた二ツ目さんが出てきて撮影タイム。そういやそんなことがあるとインスタで見ていた気が。せめてGR IIだけでも持ってくればよかったなあ。
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オークションには参加しなかったが、一応追加で募金もしておく。自分から言うのも野暮だが、「コイツ偉そうなこと言っといて募金もしねーのか」と思われるのもアレなので、一応自己弁護のためというか。ちっちぇえなあという自覚はあります。
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三遊亭天どん落語会「勝負しますよー 誰とだあー」第41回 [落語]

三遊亭天どん落語会「勝負しますよー 誰とだあー」第41回
於:新宿三丁目 道楽亭Ryu's Bar

三遊亭天どん『応援してます』
三遊亭ごはんつぶ『陰謀論者』
三遊亭天どん『明烏』
三遊亭天どん『サギ烏』

いつも月曜でこられなかったのだが、今日は祝日。明日も仕事なのだが今日は一日家でゴロゴロしてただけなので、ちょっとくらい出かけることにする。一回行ってみたいと思ってたんだよね。道楽亭は当日でも料金が変わらないのがありがたい。

天どん師の一席め、「えーとですね、いつものように舞台袖の屏風の中に人を入れてますよ」。? そんなシステムなの? 「こっちの上手側にはですね、鬼丸がいます。ツイートでね、余計なことをつぶやいて」。あーあのパワハラ関連の。「言いたいことはわかるんですがね、……イヤわかっちゃいかんのか。言いたいことがあるのはわかるんですけどね、そういうのは自分の心にしまっとけってハナシですよね。でも思ったより炎上しませんでしたね。もっと炎上しろって煽ってやろうと思ったんですけど」。まあ……埼玉以外では特に有名でもないですし……。
「でこっちの下手側にはこの道楽亭席亭の橋本さんがいます。あのですね、この会は毎回月曜日なんですよ。で、こないだ『2月の会はいつにします?』って聞かれたから答えたら『その日はもう埋まってる』っていわれて、結局今日しか空いてなかったんですよ。だったら最初からそういえばいいじゃないですか。それにこの会はいつも19時開演なんですよ。なのに『休みの日は18時半開演だから』って。そんなの知らねーよ。それにチラシにすでに『19時開演』って書いてある。そういったら渋々19時開演になったんですけど。そしたら今日メールで『今日は18時半開演だからよろしく』って……。だからこないだ19時って決まったろ! って。そしたらですね、いよいよ来月は火曜に移動ですよ。月曜開催ってことさえ変えてきた」とグチなんだか糾弾なんだか。
そのほかにも地元の友人である工場長についてのグチなども。
一席めの『応援してます』は会場内でのアンケートによって。もう一席の『氷の上』は多分聴いたことのある噺なので私はこちらをチョイス。会場的には接戦だったようで。
噺としては地下アイドルのファンが「私生活も知りたい」とそのアイドルのストーカーに話を聞きに行くというもの。おかしな人とさらにおかしな人がまともな人を巻き込むという天どん師らしい噺。
おかしな人達のイカレ具合がなんとも楽しい。

ごはんつぶさん、『やかん』かと思いきや、「なんでやかんはやかんていうんですか」「電波で思考を政府に読み取られているだろう。それを頭にアルミホイルを巻くことで防いでいるな」というあたりからおかしな方向へ噺が進んでいく。
「噺家の中にもフリーメイソンがたくさんいる。その証拠に……」とたもとからいろんな小道具が次々と出てくる。ドラえもんのポケットか。『DJ寿限無』と同様に小道具ありの古典改変もの。
ところどころにものすごく強引な解釈があって、その強引さが面白い。

天どん師の二席め、「今日は初午なんで、本来は昨日とかに掛けたらよかったんですけど」と冒頭の時次郎が近所のお祭りでおこわを食べていたのは今日の初午の節句のことなのだと解説が入る。えーそうなんだ。『明烏』は年中掛かってるから季節は関係ないのかと思っていたが、この時期の噺なんだ。勉強になるなあ。
四角四面な若旦那なのだが、天どん師がやるとなんとなくそれだけでおかしい。
甘納豆のシーンでは「ホントは甘納豆なんてやらなくていいんだ。これは甘納豆を食べる仕草ができる噺家がひと笑いが欲しいだけなんた」と身も蓋もないぶっちゃけを。といいながらも甘納豆を食べる仕草をするが、手の位置が低いので、投げた甘納豆を吸い込んでいるように見える。……と思っていたら、太助が投げた甘納豆を若旦那がすべて受け止めて食べてるというくすぐりで回収されていた。
大人の階段を登った若旦那が「やあ、源兵衛、太助」と二枚目キャラになっているのもおかしい。

三席め、昔は出島のオランダ人が何年かに一度、将軍に謁見するために江戸に下ってきていたという史実から、このオランダ人が「吉原に行きたい」とワガママを言い出すという噺。それを聴いた源兵衛と太助が、「ここが吉原だ」と騙して自分の貧乏長屋に連れ込むというもの。「こないだは本物を偽物だと騙して、今日は偽物を本物だと騙さなきゃならねえ」と世界観がつながっている。というかこれをやるために仕込みとして二席めに『明烏』を持ってきたのか。
花魁は長屋のおかみさん連中で、源兵衛も人数合わせのために女装させられてその中に混ぜられるのだが、オランダ人にお見立てされてしまい……というストーリー。いかにもスラップスティックでバカバカしいハチャメチャ感が楽しい。

終演後、天どん師がお見送り。「今日は休みだから来れた?」とちゃんと客のことを把握してるんだなあ。天どん師って結構マメだし圓丈一門の中では実はかなりの常識人だよね。まあだからふう丈さんとわん丈さんも移籍してきたんだろうけど。
打ち上げも行きたいけれども明日は仕事なのでパスして帰宅。
マクラで「今日は初午だからお稲荷さんを食べるといいんですよ」と聞いたので、帰る途中にコンビニ、スーパーに3軒寄ったけど全部お稲荷さんは売り切れ。そんなことある!?
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