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しのばず寄席特別興行 第2回兼好・奈々福二人会 [落語]

しのばず寄席特別興行 第2回兼好・奈々福二人会
於:お江戸上野広小路亭

桂壱福『寿限無』
三遊亭兼好『蛇含草』
玉川奈々福『瞼の母』曲師 沢村まみ
玉川奈々福『狸と鵺と甚五郎』曲師 沢村まみ
三遊亭兼好『禁酒番屋』

今日は健康診断で有給。うちの会社は健康診断は有給取っていけという方針。別にいいんだけど、健康診断だって会社の義務なわけで、それで有給を消費させられるのもなあ。
で、実は本当はひと月ほど前に受診するはずだったのだが当日に熱が出てコロナ陽性になってしまっていた。尾籠な話だが検便とか検尿とか採取済みなわけで、「これどうすればいいんですか」と聞いたら「捨ててください」とのこと。そりゃそうなんだけど、普通に捨てていいもんなの? とか素人にはわからないじゃないですか。
幸い今日は熱を出すこともなく無事に受信終了。とはいえ朝8時10分開始のコマしかとれなかったため、10時過ぎにはすべて終了。……これ午前休だけで済んだなあ。昨日絶食していたこともあって空腹なんだけど、今回は経口で胃カメラもやっていて喉に麻酔がされているのでしばらくは食べられない。時間もあることだし山手線で3駅分ほど歩き、こし庵という海鮮丼が有名な店で海鮮丼とアジフライと瓶ビール。最高。そんで何をトチ狂ったか他の店に行って塩サバ定食とハイボール。絶食の反動かもしれないがかなり腹がパンパン。
一度家に帰り昼寝して腹を落ち着かせてから上野広小路亭へ。常磐線が10分ほど遅れたため、割とギリギリに到着。上野広小路の交差点にあるマツキヨでお茶を買っていた間にいきなり土砂降りの雨が降り出して結構濡れる。なんだよもー常磐線のせいだ。

兼好師と奈々福先生の二人会なんてとてもいいじゃないですか。まあこの会があったんで半休じゃなくて全休取ったんですけどね。

前座の壱福さん、明日から二ツ目に昇進なんだそうだ。おめでとうございます。
……はいいんだけど、『寿限無』が怪しい二ツ目って大丈夫か……? 彼は今年に二度ほど聴いたことがあるが、入門したてなんだろうなーくらいに思っていたんだけど……。

なので早速兼好師の毒舌の餌食となる。「いいですね、『明日から二ツ目になって大丈夫か』という高座で、最後の方は寿限無がちゃんと言えてなかった。お客さんの力で前座に戻すことも可能かと思いますが……、でも、ああいうのが前座にいるのはもったいないですよ。自由にさせると案外伸びる……ことなく辞めていきそう」と黒い笑み。文字にするとすごくキツそうに見えるが、兼好師を知る人ならわかるだろうけど実際には和やかな感じ。
「ここでの奈々福姉さんとの二人会は2回めで、前回は私がトリを取らせてもらったんで、今回は姉さんどうぞ、って言ったんですけど、キッと睨まれて『何言ってるの! チラシにそう書いてあるんだからその通りやりなさい!』ってすごい怒られた」。まあ台のセッティングとかそこらへんの都合なのかもしれないが。
「奈々福姉さんは変わらないですねえ。相変わらずお若いしお美しい。喬太郎師匠と仲がいいんですよね。喬太郎師匠は日大なので、そのルートで薬を貰ってるんでしょうね」と軽いジャブ。
「姉さんのホームグラウンドの木馬亭で今日学校寄席をやってきたんですけど、あそこはクーラーが効かないんです。しかも大正時代から使われてると言われている照明がすごく熱い。なので会場全体がものすごく暑い。そんなところで1時間ビッチリやって。私の前に太神楽が1時間やってますから、学生は2時間そんな熱い中に閉じ込められて大変。でも昔はクーラーもなかったですから、暑さを楽しむ工夫をしながらしのいでいたんでしょう」とおかしな甚兵衛をきた男が登場する『蛇含草』を。
「隠居のところはいいですよねぇ、風がこう通るでしょう」と顔の動きだけで風の流れを表す。「何度かやればお客さんも風が見えてくる」というが、1回めからちゃんと見える。
ヒビの入った風鈴が「コツコッツンコッツンコッツン」と鳴る、というところでその音に合わせて首を細かく動かす仕草も面白い。

奈々福先生の一席め、と書いたはいいけど、浪曲の数え方って「一席二席」なんだろうか。公益社団法人浪曲親友協会のページには「一題は30分くらい」と書かれたりしてるんだけど、「一題二題」と数えるのかわからない。まあ一般社団法人日本浪曲協会のX(Twitter)では「浪曲たっぷり二席に加え、」と書かれてるから「一席二席」でいいんだろう。今後記載に迷うかもしれない自分のためのメモ。
閑話休題。奈々福先生、「私あんな強い言い方してませんからね」と兼好師からの風評被害を訂正する。
「兼好師症の地元の会津若松はプライベートでも行くんです。あそこはそばが美味しくてお酒も美味しい。蕎麦処酒処なんですよ」。最近そば打ちの会には落語しか参加していないが、確かに蕎麦が美味いんだよなあ。
「それに会津藩の気質もいいじゃないですか。……それでああいうのができるって……」と扇子で袖を指す。
「浪曲は最近では落語に寄って笑えるものもありますが、本来は涙の演芸。今日はその本来の涙の演目を聴いていただきます」と『瞼の母』に。
私は浪曲の良さを表現するための言葉を持っていないので毎回毎回バカみたいな感想しか書けないのが悔しいが、とにかくいいのです。唸る部分を「節」、落語のように語る部分を「啖呵」というそうだが、節はもとより啖呵の部分のメリハリが際立っている。

仲入りを挟んで二席め、一席めは高座に見台を置いただけだったが、ちゃんと高めの台とそこにかかるいわゆる「テーブル掛け」もセッティングされており、立って語るスタイルに。
「前が涙ものだったので、今度は楽しいものを」と昔ばなしと甚五郎噺が融合したような演目を。
甚五郎に弟子入り志願の留五郎が狸を助けて恩返しをします、というところは『狸札』っぽい。
立っているからか、一席めよりもさらに声が張って厚みがあり、唸りもビンビンに感じる。これを浴びるのは本当に気持ちがいい。明るい平和な話で楽しいが、狸の変身ポーズが仮面ライダーなのは世代か。
奈々福先生を聴くたびに毎回思うのが「木馬亭に行かなきゃなあ」と。今日もしっかり思いました。

兼好師の二席め、「菜々福姉さんが会津若松に行ったってことなんですが、会津の人たちはコミュニケーションが取れない。方言がもにゃもにゃしている上に、表情を出さないから他の地方の人からすると全然何を言ってるかわからない。ところが、酒が入ると『こんなに変わるのか』というほどよく喋るし明るくなる」。それは昨日の噺し問屋でも似たようなことを言ってたなあ。「そんなところで『もう帰って』と言われたんだからすごい姉さんで」とまた怒られそうなことを……。
打ち上げなどで酒に詳しい人と一緒にいると、うんちくを聞かされながらいろいろ飲まされるということを実演付きで話し、「……こういうのホント迷惑」とぶった斬る。
「酒の癖で酒乱というのがありますが、肘が乳首より上にくる人は酒乱なんだそうです。こうやって肘を椅子の背もたれのところに置いて話す人や、人を呼ぶときにバンザイのように手を上げるような人は危ない。まれに『うちの上司は手を上げてなくても酒乱だ』という人がいますが、そういう人は乳首が下がっているのです」。
酒乱の話から『禁酒番屋』に。
禁酒のお触れを出すに当たって、斬り合いをして死人が出たというのではなく、「そういうことにつながるといけない」と未然に人死を防ぐためというのが兼好師らしい。
「徳利を隠すからバレるのであって、徳利をそのまま持っていけば逆に怪しまれない」と油屋に化けていき、うまくいったかに見せかけて「油屋、今年の出来はどうだ」「ええ、喉越しスッキリ」「待てぇいっ!」と引っ掛けられるのがおかしい。「徳利をそのまま持っていけば逆に怪しまれないなどと思いおって」と酔っ払っているくせに完全に読んでいるのがたまらない。こういう小ネタで隅々まで楽しいのが兼好落語だなーと再認識する。

……なんか胃カメラ飲んだからか、喉が痛い。風邪とかで炎症起こして痛いんじゃなくて内出血しているような感じの痛み。もうしばらく胃カメラはやらない。
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小夏

おはようございます。
Yahooニュースで兼好さんが取り上げられていました。
銀座でゲストが志らくさんの会が開かれるようですね。
私的にはあんまり接点が無さそうな二人なので興味があります。
と同時に志らくさんの落語は少し癖があるので受け入れられるか心配です。。。
落語会って演者同士のトークコーナーがある場合と無い場合がありますが、せっかくなので少し話してほしいものです。
この会、行かれますか?
by 小夏 (2023-09-29 07:35) 

MaQy

>小夏さん
こんにちは。「まるっと兼好」の銀座での会でしょうか。
さすがに月曜の昼間なので、サラリーマンの私としては行けないです……。
20周年のときは土日が多かったので何度か行けたんですが。
たしかに大きな会場での落語会で複数演者がいるときの兼好師と志らく師というのは何度か聴いたことがあるのですが、ゲストで、というのは見たことがないですね。あまり絡むイメージがありません。
志らく師についてはあまり詳しくはないのですが、兼好ファンは古典原理主義というわけでもないので癖が強くても大丈夫な気がします。
by MaQy (2023-10-01 12:06) 

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