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真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十五日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十五日
於:鈴本演芸場

三遊亭伊織『花色木綿』
翁家和助小花 太神楽
三遊亭圓歌 『方言あれこれ』
入船亭扇辰『寿限無』
すず風にゃん子金魚 漫才
鈴々舎馬風 漫談
春風亭一蔵『佐野山』
柳亭市馬『雑俳』
江戸家小猫 ものまね
柳家さん喬『ちりとてちん』
真打昇進襲名披露口上
柳家小菊 粋曲
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『高砂や』
柳家喬太郎『親子酒』
林家正楽 紙切り 若駒 馬風ドミノ
入船亭小辰 改メ 入船亭扇橋『藪入り』

久々の気持ちの良い晴れの日。親父の墓参りに行ってから上野へ。
昨日とまったく同じ席をゲットできた。毎日いい席に座れて嬉しい。

扇辰師は一門のお弟子さんたちが必ず初高座で掛ける噺を。市馬師もそうなのだが、弟子の披露目の席では前座噺を掛けるというお約束でもあるのだろうか。

一蔵師、高座に上がるのに馬風師の歩き方の真似をし、客席から「殺○れるぞ」の声が掛かる。「私はやりたくなかった。袖で扇橋さんがやれっていうから……」となすりつけにかかる。
「昨日私は『子は鎹』だったんで、今日の扇橋さんは上中下の通しでやるんじゃないですかね」と無駄にプレッシャーをかける。
大相撲の優勝が決まったところから相撲の噺に。『阿武松』は大初日に掛けたので今日は『佐野山』。

口上は喬太郎師が司会で、上座より市馬師、馬風師、扇辰師、扇橋師、さん喬師の順に並ぶ。喬太郎師が足を悪くしているため尺台が置かれており、なーんかアレに似てるなーと思ったら「柳家の大喜利ではありません」と注釈が入る。
扇橋師の襲名について喬太郎師が「大師匠の大名跡を孫弟子が継ぐという……。私でいえば『小さん』を襲名するようなもの」と発言し、隣のさん喬師に大いに睨まれる。挙げ句には師弟で頭を下げていた。
さん喬師の口上では「えー、弟子に不適切な発言がございまして深くお詫びを申し上げます」とまで。もちろんシャレだろうけど、そこまで大切な名前なんだろうなあ。とはいえ「扇橋」も柳家のトップの名前であり、それを小辰さんが継ぐと聞いたときは「『ふざけんなこの野郎!』と……」。今日のさん喬師はなんだかブラック。
扇辰師の口上に「同期に恵まれまして、二ツ目時代はのびのびとやっていたようです」とあったのだが、その後に喬太郎師が「私と扇辰さんは同期です。私も同期に恵まれました」と言っていたのが感動的だった。

小燕枝師、「(新真打交互の)この場所がいちばんやりづらい。今日は何をやろうかと考えたんですが、扇橋さんの十八番の『高砂や』をやります。アハハッ!」と高笑い。
豆腐屋の真似をするときには「ああ、ひで爺の豆腐屋でしょ!?」と小辰ファンにはおなじみの豆腐屋の名前が出てくる。

喬太郎師、おかみさんが「ダメですよ」と親父の酒を止めながらも自分は呑んでるというのがおかしい。
ようやくもらった酒を一気に飲み干し、「あれ、ないぞ!」とすっとぼける親父も楽しい。
山崎屋から「俺の酒が飲めないなら出入りを止める」と言われ、「デイリーヤマザキ……」とニヤニヤしながらつぶやくのも酔っ払いっぽい。

正楽師、リクエストに「馬風ドミノ」を受け、「そんな大変な……」と困惑気味。
「そんな名前になったの!?」と知らなかったようだ。大初日の新聞記事でそう書かれてたんだよなあ。
「どうしていいかわからない」「大変だ」とこんなに困ってる正楽師は初めてかも。その証拠に「揺れるのをやめますと……」の件さえなかった。

扇橋師、「一蔵アニさんは大罪を犯しました。それに小燕枝アニさんには『高砂や』やられちゃうし……。なにが仲間だ……」とブツブツ。
「昨日は一蔵アニさんが『子別れ』でね……。上中下なんてやりませんよ!」といいながら「かくばかり偽り多き世の中に子の可愛さは真なりけり」と子どもの噺に。
ネズミの懸賞の話をマクラで仕込まず、寝床での夫婦の会話の中に盛り込むのは上手い。すごく自然。
亀吉が湯屋に行くときに長屋に入ってきて親父に怒鳴られる豆腐屋がひで爺なのもおかしい。
正直『藪入り』は好きじゃない噺なので当たらないといいなーくらいに思っていたのだが、今日のはダレることもなく聴けてよかった。
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真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十四日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十四日
於:鈴本演芸場

春風亭一花『子ほめ』
翁家和助小花 太神楽
三遊亭圓歌『お父さんのハンディ』
春風亭一朝『目黒の秋刀魚』
すず風にゃん子金魚 漫才
鈴々舎馬風 漫談
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『金明竹』
林家正蔵『松山鏡』
江戸家小猫 ものまね
柳亭市馬『親子酒』
真打昇進襲名披露口上
立花家橘之助 浮世節
入船亭小辰 改メ 入船亭扇橋『鈴ヶ森』
古今亭菊之丞『鍋草履』
林家正楽 紙切り 若駒 ボートレース 一蔵
春風亭一蔵『子別れ(下)』

今日も雨。よく降るなあ。バイク使えねーじゃん、とはいいながら上野までは定期があるから駐輪場代払う方が高くつくんだけど。

披露目興行も4日めに入り、二周目に。
鈴本3日連続は初めてじゃないかなあ。まあ明日もくるけどな!

一花さん、鈴本限定三人集Tシャツを売るよう「親分」から命じられており、「現在私の主人が売っております」と人妻感を醸す。
着物の色が見事に後ろ幕と同じ水色で溶け込んでいるのがなんか知らんがおかしい。

一朝師、そういやもうそんな季節かあ。
駄々っ子殿様となぜか伝法な喋り方をする家来たちのやり取りが楽しい。

小燕枝師、道具屋のおかみさんがなかなかエキセントリックで楽しい。
上方弁の使いが逃げると「オイ! ドロボー!」と叫んだり、旦那と話が噛み合わなくても開き直ったり。

市馬師、酔っ払いがおかしな屁理屈をこねるのが上手いのはそんな場面をよく見ているからなのか。

真打昇進披露口上、一蔵師ひとりの口上は今日が初めてのはず。
入門当時は「誰だこのチンピラは」と思われていたらしく、口々に似たようなことを言われる。しかし最後は兄貴分キャラで上からかわいがられ下から慕われるという一蔵師の人となりを温かく伝える口上となっていた。
馬風ドミノ、横にいた一朝師は大丈夫かと少しハラハラするが、無事(?)綺麗に吹っ飛んでいた。まあ一朝師はもう披露目も5回目だし慣れっこか。
馬風師のリクエストで横笛も披露。生で、しかも目の前で一朝師の笛を聴くの初めてだー。本人は「言い訳じゃないけど、ここ数年吹いてない」と仰っていたが、ちょっと感動。

橘之助師、寄席囃子メドレーの後、「昨日小燕枝さんが『かっぽれ』踊ったんだってぇ? 『見れたもんじゃない』って言われてたわよぉ」と腐しながら「じゃ、『かっぽれ』踊りましょうか」とキレッキレの踊りを魅せる。
正直小燕枝師のかっぽれもよかったが、橘之助師はすごいよ。身体にズドンと芯が通ってるのが素人目でもわかる。やー、噺によく出てくる芸者遊びとか、このレベルでやられたらハマるのもわかる。

扇橋師、口上などでなぜか「目付きが悪い」とずっと言われ続けており、「あ、目付きの悪い扇橋です」と開き直る。目つき悪いかな?
ネタは得意の『鈴ヶ森』を。
喜多八師から教わったというこの噺、何度聴いてもハズレがないというか。

菊之丞師、『鍋草履』は初めて聴く噺。寄席で新しいネタを聴くと嬉しい。

一蔵師、やはりひとりの口上が初めてなのでやや緊張していたのか。「師匠が笛を吹いてくれたんですけど、……横笛ってここ(一蔵師の耳の横)で音が出てるんですよ。……うるせえ……耳がおかしくなりそう! でも一之輔兄貴のときにも笛を吹いてたんですけど、三朝兄貴と一左兄貴のときはなかったんですよ」と嬉しそう。
一蔵師の『子別れ』は3年以上振り。一蔵師の場合、番頭さんがかなり仕込んでおり亀吉にまでアプローチしている。
亀吉をいじめた斉藤さんに対して、「『おとっつぁんに夜道に気をつけろ』っていっとけ」というのが一蔵師らしくて楽しい。
両親どちらからも「俺(私)のこと、なんか言ってた?」と聞かれ、「あん?」とチンピラっぽく聞き返すのもおかしい。
なんというか真打になったからって急になにかが変わったわけではないんだが、とはいえなんかが違うような。それがなんだかわからないけど。
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真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十三日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十三日
於:鈴本演芸場

三遊亭わん丈『寄合酒』
翁家和助小花 太神楽
三遊亭歌る多『替り目』
入船亭扇辰『権兵衛狸』
すず風にゃん子金魚 漫才
鈴々舎馬風 漫談
入船亭小辰 改メ 入船亭扇橋『真田小僧』
林家正蔵『一眼国』
江戸家小猫 ものまね
柳亭市馬『時そば』
真打昇進襲名披露口上
立花家橘之助 浮世節
春風亭一蔵『鷺とり』
五明楼玉の輔『紙入れ』
林家正楽 紙切り 若駒 松竹梅 真打昇進
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『猫の災難』

新宿三丁目から上野広小路まで。
地下鉄から地上に上がると小雨が降っていた。
今日は小燕枝師の初日。

扇橋師、今日は浅い出番だからかややリラックスしているようだが、「馬風師匠の後って……。もうみんな死んじゃったところに放り出されるようなもんですよ」と爆笑をさらわれた後のやりにくさを訴える。
とはいいながら今日もきっちりしっかりキレイな高座で堅実さを見せる。

正蔵師は久しぶりに聴いたなー。
実に7年ぶり。今日はだいぶ聴きやすかった。

真打昇進襲名披露口上、玉の輔師が司会で上座より正蔵師、馬風師、市馬師、小燕枝師、歌る多師が並ぶ。
昨日に引き続き大御所の師匠たちの小燕枝師に対するエールが込められており温かな気持ちになる。
歌る多師は隣に並んで手をついている小燕枝師を眺めて「皆様の目がなければこの手に私の手を乗せたい」と「イケメン好きオバちゃん」キャラで笑いを誘う。
馬風師の「隅から」「隅まで」「あ、ずずずい~っと!」の恒例の馬風ドミノで突き飛ばされた小燕枝師が歌る多師に抱きつき、歌る多師が喜んで抱きつき返してピースサインを出す。玉の輔師が「突き飛ばされて喜んだ人は初めてです」。昨日は扇辰師が突き飛ばされて「いってえ……」と結構ダメージを食らってたようすなのでホントに痛いのかも……。

一蔵師、前座時代の小燕枝師との思い出話をマクラに。「仲の良い三人ですけど、私が本当に中がいいのは小燕枝さん。扇橋さんは……そんなでもない。よく知らない人なんで……」ととぼける。
小燕枝師は初めてできた後輩だそうで、後輩を誘って呑みに行ってみたいという願望を持っていた一蔵師はそれが嬉しかったらしい。上の先輩前座がいないのを見計らって「じゃあ呑みに行くか!」「はい!(キラキラ)」というやり取りが楽しかったそうだ。小燕枝はとにかくコミュ力が高く、隣の人とすぐに仲良くなるそうだ。たまたま隣にいた人と「一緒に呑みましょうよ!」と誘うそうで「払うのは俺だぞ……」と思っていたそうだ。
ネタは得意の『鷺とり』。鷺に捕まって飛ばされたのが世田谷の小燕枝師の実家というサゲ。

初トリの小燕枝師、「みんな私のことを呑兵衛だとか酒癖が悪いとか……。はい、大好きです! 今日はわん丈さんが『寄合酒』、歌る多師匠が『替り目』をやっていて、本当は寄席では酒の噺が出たらつかないように避けるんですが……。もういいです! 知ってる人もいるでしょうが、昨日アタシ間違えたんで! もういつもの市弥落語のようにやりたい噺をやります!」と『猫の災難』に。
酒に意地汚い熊ではあるが、やはり小燕枝師がやるとどことなく愛嬌があって憎めない。かわら版では「力の一蔵、技の小辰、愛嬌の市弥」と言われれることに抵抗があるようだったが、それはやはり得難い個性だと思うけどなあ。
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柳家小ふね・三遊亭兼矢二人会 負けてたまるか!? [落語]

柳家小ふね・三遊亭兼矢二人会 負けてたまるか!?
於:新宿三丁目 道楽亭 Ryu's Bar

柳家小ふね『鈴ヶ森』
三遊亭兼矢『あくび指南』
三遊亭兼矢『新作(オジSUN)』
柳家小ふね『不動坊』

披露目の最中に他の会にも行くという、正気の沙汰とは思えない行為。
とはいえ兼矢さんを土日で聴く機会がそうそうないからなあ。

まずはふたりでオープニングトーク。
どっちがアニさんかでモメる。
入門は小ふねさんの方が半年ほど先だが、二ツ目に昇進したのは兼矢さんの方が二月ほど早いので兼矢さんが上だと小ふねさんがいう。そうなの? そうすっと昇進の早い圓楽党が有利(?)な気もするが。
兼矢さんは「協会が違う一門と会うと、どっちが上かモメる。下になろうとする」そうで。ふーん。打ち上げのお金出すとかいろいろあるからなのか。
ふたりの手ぬぐいがメルカリに出されていたことに兼矢さんが憤り、兼矢さんの手ぬぐいを雛菊さんが落札したらしい。

じゃんけんで順番を決め、小ふねさんがトリ。
小ふねさんの一席め、なんというか親方がどっしりとしておらず、反対に子分が図々しいのであまり上下の差がない。親方がすぐにテンパる感じになるのがおかしい。

兼矢さんの一席め、前座の頃は売れっ子の師匠についていくだけで周りも気を遣ってくれていたので高座以外で辛さを感じなかったのだが、二ツ目になってからはその庇護を受けられないのでいろいろツラい仕事があるという。というか前座の頃は高座ツラかったんかい。……まあ兼好師が一席やって爆笑をさらった後に出るとかあったからね……。
兼好師とはちょっと違う型の『あくび指南』。師匠の方のあくびもさほど上手くないのはまあご愛嬌。

二席め、高度成長期のオジサンの行動からパワーを吸い取り、それをエネルギー源に応用している会社、という設定からして「おおん?」となるブッ飛んだ噺。
吸い取った「オジ・SUN」(表記は聞こえたイントネーションのイメージ)を使うと、行動がややオジサン臭くなるものの、それ以外のデメリットはないという。オジ・SUNを発生させるには高度成長期のオジサンの行動を見せるといい、ということで昔のオジサンが懐かしがるようなトピックを挙げていく。
正直噺の出来としては粗削りだと思うが、発想力がすごい。

小ふねさんの二席め、長屋のモテない三人組もそれぞれ吉公と同じくおたきさんが自分のカミさんで不動坊に貸しているだけとしているのが面白い。
熱演すぎて汗だく。その状態で「幽霊だ」って言われても、とおかしい。
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真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十二日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十二日
於:鈴本演芸場

柳家花ごめ『熊の皮』
鏡味仙志郎千成 太神楽
三遊亭圓歌『爆笑龍馬伝』
入船亭扇辰『たらちめ』
すず風にゃん子金魚 漫才
鈴々舎馬風 漫談
春風亭一蔵『置き泥』
柳亭市馬『狸賽』
ダーク広和 奇術
柳家さん喬『そば清』
真打昇進襲名披露口上
立花家橘之助 浮世節
柳亭市弥 改メ 八代目柳亭小燕枝『牛ほめ』
五明楼玉の輔『都々逸親子』
江戸家小猫 ものまね
入船亭小辰 改メ 十代目入船亭扇橋『御神酒徳利』

さあいよいよ真打昇進襲名披露興行が始まった。
本来は有給を取っていたのだが、プレゼンが入ったため出社。コアタイムである15時半まで勤務して飛び出す。鈴本に到着するとすでに入場が始まっていたが、まあまあいい席が取れた。
本当は昨日の大初日にもきたかったのだが、トリの回数から扇橋師の初日にした。さすがにリーマンは2日連続で有給とか早上がりとかはできんのよ……。
今日から4日連続+他の人の会にも行くんだから我ながら頭おかしい。
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幕が開くとピンク色の扇橋師の後ろ幕。「祝扇会」からのもので、私も一口乗ったもの。
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Nikon Df 真打昇進襲名披露パーティーにて

扇辰師が高座に上がる際にまじまじと眺めてから座布団に座り、「いい後ろ幕だね」と言ってくれる。

一蔵師は昨日張り切り過ぎたのか声がガラガラ。
「昨日大初日で自分の口上をやってもらって、気分的には『昨日ペナントレースの優勝を決めて、祝勝会をやった次の日の消化試合』なんすよ」。なんかわかる。とりあえず最初の一番の壁を乗り越えてようやくホッと一息ついているんだろう。でもここからクライマックスシリーズと日本シリーズもあるからねえ。

市馬師が前座噺とは珍しいと思ったが、口上によれば先代の扇橋師から教わった噺なんだそうだ。
目線だけで狸賽がコロコロ自由に転がっているのが思い浮かぶ。

口上は玉の輔師が司会で上手から市馬馬風扇辰扇橋さん喬の順に並ぶ。
後幕は新板三人集合同のものに。
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Nikon Df 真打昇進襲名披露パーティーにて
協会の重鎮たちがそれぞれ先代扇橋師との思い出を語りながら当代への期待をにじませるいい口上だった。ちょっと泣きそうになった。
しかもあの弟子に厳しい扇辰師が「アタシと一緒に上がることはあまりないんですが、たまさか一緒の会に出て袖で聴いてますとね、噺によっちゃあアタシよりうめぇな、と思うことがあるんですよ」と褒めた! すごい! 「……いま何人かうんうんとうなずきましたね。……覚えてろ!」とサゲるのもさすが。

橘之助師、ショートカットになってますますおきれいに。「昨日は口上に9人並んで時間がなくなって、今日は扇辰師匠がよく喋ったわねー。アタシの持ち時間一曲だけ」といいながら寄席でおなじみの曲をメドレーで。
さらにかっぽれも披露。さすがの美しさ。

市弥さん改メ小燕枝師、「昨日は初日で口上の前に上がったんで『小燕枝?』って感じだったんですが、今日からは堂々と小燕枝と名乗れます。まあ落語は特に変わらないんですけどね。これまでの市弥落語を……市弥じゃねえや……まあね、エヘヘ」とまだ慣れていない様子。
家の褒めようをおとっつぁんから口写しで教わるときに、おとっつぁんが「家は総体見掛け倒し」とやってしまい、与太郎に「おとっつぁんが間違ってるんじゃねえか」と突っ込まれながら苦笑い。愛嬌のあふれる一席に。

小辰さん改メ十代目扇橋師の初トリは『御神酒徳利』。
入船亭らしく端正に丁寧に語られていく。初日だからかやや固いような感じも受けたが、それが噺の雰囲気によく合っていた。
これまで真打披露興行は何回か行ったが、どれも二ツ目になってしばらく経ち、評価が定まってきたあたりから追いかけ始めた人ばかり。二ツ目時代をまるまる見てきた人が真打に昇進するのは初めてなので、なんか感慨深い。

さて全部で50日間ある披露目興行、今日から全部で15回行く予定。土日の一蔵扇橋主任はすべて行くし、国立以外はチケット取った。小燕枝師のも極力行くようにする。今年は落語聴く総数がとんでもないことになるんじゃないだろうか……。
いつもは兼好ファーストの私ではあるが、この期間中だけは新真打ファースト。特に扇橋師はよく聴いているので、今年は兼好師の席数を抜くんじゃないかとちょっと数えてみたら、まだまだダブルスコアくらいで兼好師聴いてた。うむ。

あ、あと扇橋師がこないだいってたアクスタも買ってしまった……。
一蔵扇橋の個人のを買うとすると、小燕枝師のだけ買わないってのはなんかヤな感じだし、かといって全種類買うのもなあ……と結局3人合同のものをひとつ。
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福袋演芸場 卒業公演 八五郎一代記 [落語]

福袋演芸場 卒業公演 八五郎一代記
於:池袋演芸場

春風亭一蔵『新聞記事』
入船亭小辰『蒟蒻問答』
柳亭市弥『妾馬』

秋の新真打それぞれ二ツ目での最後の高座となる会。今回の新真打は誰ひとりとしてハズレがなく、皆それぞれに贔屓がついているのでこらあ絶対に混むし早めに行かないと札止めになるなと思い9時過ぎに着くようにバイクで向かう。
予想通りすでに行列ができており、すでに30人ほど並んでいた。結局は立ち見が出るほどの盛況ぶり。
開演前に番頭のふう丈さんが出てきて「携帯の電源をお切りください」といいながら「この後オープニングトークがあるのでそこは写真撮ってもいいです。……じゃあなんで電源切れって言ったんですかね」と爆笑を誘う。……そういや福袋は写真撮れるんだよなあ。しまった……一眼のみならずGR IIさえも持ってきてなかった……。今年はそういうの多いような気がするなあ。いかんなー常に持ってないと。

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三人揃って黒紋付で登場。一蔵さんだけは今日の夜の夕方に競艇絡みの仕事があるそうだが、市弥さん小辰さんはこれが二ツ目最後の仕事。
「みなさん今日はどういう会かご存知ですか? 『八五郎一代記』って銘打って『新聞記事』『野晒し』『妾馬』をそれぞれ誰かが演じるっていう……」。うん、だってかわら版にそう書いてあったし。高座の上で「え、お前『新聞記事』持ってる?」「持ってます」「持ってます」「誰が『妾馬』やるの? お前持ってんの?」「(市弥)持ってます」「(小辰)アタシ持ってないんですよ」「じゃあ今日が小辰の『妾馬』初演てどうよ」「習ってもいないのに!?」などと相変わらず仲良したちがわちゃわちゃやっている。

一席めは一蔵さん、珍しくマクラも振らず「こんちはァ、ご隠居さんいますかァ」と噺に入る。が、「アッシのところにお子さんがお生まれになって」と『寿限無』の導入に。おやあ? と思っていたら「生まれたのは女の子なんです。だから名前つけてもらおうと思って」「じゃあ寿限りなしと書いて『寿限無』なんてどうだい」「聞いてました? 女の子ですよ」「ならつるはどうだい。兄貴がいたな。そう八五郎」と『妾馬』のフリをしてから『新聞記事』に。
ご隠居の話を聞き終わっても落とし噺だと気づかずに八五郎は泣き崩れ、「ちょっ、聞いて! 揚げられたんだよ、入ったウチが天ぷらやだから!」とご隠居は大慌て。八五郎に土下座して謝るのがおかしい。それを殴ってプリプリしながら「人の生き死にを冗談にするなんて! 俺もやりてえ!」という手のひら返しっぷりも笑える。
とここまできたところで「2年ぶりくらいに掛けたから思い出しながらやってるけど大丈夫か?」と自問自答。確かに八五郎が建具屋の半ちゃんに披露するのは怪しげ?

小辰さんもマクラなし。ひと言「果たしてあれが『新聞記事』なんですかね!?」。
「上州安中に~」と始め、え、『蒟蒻問答』!? と思っていたら六兵衛親分が「おめえ江戸に戻らねえのか」「いや、江戸をしくじったんで。『入ったウチが天ぷらや』ってやっちゃって」と一席めの八五郎と同一人物であることを示す。
一蔵さんと同じく冒頭だけかと思ったら本当にそのまま。「いいでしょ!?」と『野晒し』を放棄。久しぶりに小辰さんのを聴きたかったが。
問答が終わり、最後に親分の問答の内容を聞こうとしたところで立ち見のお客が気分が悪くなったのか「ちょっと止めます、大丈夫ですか!?」と一旦止める。幸いたいしたことはなかったようで、すぐに再開する。「よかった、これでなんかあったらもう『蒟蒻問答』できなくなるとこだった……」。まだ笑いにできる程度のことが二ツ目最後に起こったってことで。

市弥さん、大家から呼び出され、「おめえ向島に行くんじゃなかったのか」「いや安中に行っちゃって……」とやっぱり一応つなげる……がだいぶ遠回りというか。タイムラインどうなってんだこれ。まあそんな細かいことを気にしないのが落語のいいところなのだが。
市弥さんの伝法な口調がガラッパチと合っていて楽しい。乱暴なだけでなく、そこはかとなく愛嬌もあるのがいい。

最後に三人の昇進披露目がうまくいくように三本締め。
一蔵さん、小辰さんの土日披露目の日はすべてチケットを取ったのだが、市弥さんのは買ってなかったので追加で購入。
一蔵さん、市弥さん、小辰さんと書くのもこれで最後ですなあ。

終演後に外に出てみると雨が上がっている。今のうち! とバイクで走り出すも5分もしないうちに土砂降りに。100均の合羽を着てみるものもあまり意味がないほど全身ビッショビショ。うーむ降雨率50%ということだったので掛けてみたのだが負けたか。とはいえこれだったら電車で行ったところで傘なんか意味なさないからおんなじか。
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襲名前前前夜のコタツ~コタツ仕舞い [落語]

襲名前前前夜のコタツ~コタツ仕舞い
於:日本橋 食堂ピッコロ

入船亭小辰『つる』『佐々木政談』『大工調べ』

昨日はなぜか母とドームへ。「チケットあるから行く?」と聞かれ、せっかくだからと行ったがなんでチケットを持っていたのか。聞いてみたら毎年誕生日と母の日に花を贈っていることのお返しの誕生日プレゼントのつもりだったらしい。……誕生日はもう2ヶ月以上前に過ぎてますけどね。
しかし中田とポランコのホームランも出てようやく「俺が行くと負ける」ジンクスが終わった……。最後に勝ったのっていつだっけかなあ。もう覚えてないくらい昔。10年以上は経ってるはず。それに指定内野A席なんて久しぶりに座ったなあ。いつも2階席とか3階席だからね。
試合後、神保町まで行けば実家まで電車一本で帰れるので移動し、その途中にあったタイ料理屋に入る。以前二度ほどタイに連れて行ったことがあるので、80近い今でもタイ料理が好きでなんでもパクパク食べてくれるのがありがたい。

さて午前中はぐずついてるなーくらいの空模様だったのが、昼前あたりから大荒れの土砂降りに。テレビの音が聞こえないくらいで、あまりの雨音に猫がビビるくらい。……こんな中出かけるのかー……。もしかしたら普段の日ならキャンセルする人も出てくるのかもしれないが、今日の会は今日だからこそ意味がある(ような気がする)。濡れてもいいように半袖短パンサンダル履きで日本橋に。
明日は新版三人集で福袋演芸場があるが、「小辰」の名前での独演会はこれで最後になる。
RADWIMPSの『前前前世』をもじったような会の名前。「えーと21日からだから前前前夜で今日は18日? 合ってる? ん? ……まあいっか」とだいぶ混乱気味。
大初日の計画や思い出話、辰ぢろさんがしくじってる話、先代扇橋師の話などマクラは取り止めもなく広がっていく。「小辰史上最大の迷走をしています」と言うとおり話は際限なく転がっていき、噺に入る定番のマクラになったかな? と思ってもそこからさらに脱線していく。先代の思い出話が多かったかな。
「我々は帝国ホテルでパーティーなんかやっちゃったからお金ないんです。なのでグッズも作りました。それぞれの手拭いの他にTシャツ。それも寄席ごとに」。手拭いくらいは買ってもいいけど、Tシャツはどうかなー……。俺グッズはあんまり買わないんだよなあ。神長渕のライブでもパンフくらいで、Tシャツも何公演かに1枚とかだし。
「あとね、アクスタ作ります」と言われて会場内は「?」となる。何人かは反応してたみたいだが。「わかんないでしょ。私もわかりませんでした。えーとね、アクリルスタンド? っていって、アニメとかアイドルとかのキャラをアクリルのキーホルダーみたいにするやつです。これね、言い出したのは一蔵アニさんのお嬢。『パパ、アクスタ作らねーとヤバイよ』って言い出してアニさんも『おおそうか』って。披露目のパーティーに等身大パネルあったでしょ。あれがアクスタになります。3人のとそれぞれのと」。これか。
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「……披露目やってる間はいいですよ、お祭りですから。でも披露目が終わったあとにそれをつけてる人を見つけたらブチィッて引きちぎるでしょうね。『やめなさいはしたない!』って」。わあどうしよう。買うかどうかは値段によるなー。
30分以上経ってからようやくといった感じで「じゃあ噺やりますよ」と八公がご隠居のところにやってくるが、「学校寄席なんかだと『ご隠居』っていうと『ご隠居ってなにー!?』って聞かれるんですよ。『隠居してるお爺さんだよ』っていうと『働いてないジジイ?』とか……」とまた脱線。
つるの謂れを仕込んだ八公が友だちのところに行って披露しようとするも、ひと言ごとに「仕事が忙しいんだ、帰ってくれ」と言われてしまう。それを完全に無視して「いやそうじゃねえんだよ」と強引に話を進めてしまう図々しさがおかしい。

そのまま二席めに入るが、ここでも同様に話がいろんなところに行く。もはやどれを一席めに話してなにを二席めのマクラで話したかわからなくなる。
披露目のパーティーに息子さんも来ていたらしく、楽しそうだったとのこと。「子どもの噺に入ろうと思ったんですけど安易すぎますよねえ……?」といいつつ『佐々木政談』に。
久しぶりなのか、微妙にあやしいところもあったりなかったり。

三席め、「さらわずに できる噺じゃ なかったよ」と二席めの反省から入る。とはいえ稽古をする余裕もないようで、「一蔵アニさんも噺を思い出しながら高座で喋ってるから今は一番高座で集中してるっていってました」と暴露。というか思い出しながら話してそこに仕草まで入れるってんだから噺家ってすごいな。
「後なにやりましょうかねえ……。『大工調べ』もやりたいんですけど、……できねえな。それにさっきお奉行様の噺やったから。……まあお白洲まで行かなきゃいいんだけど」とブツブツいっていたが、意を決したのか『大工調べ』に。言い立ても無事にこなし中手が起きる。

すでに次回が決まっており、「暮れのセンキョー(仮)」とお知らせが出た。12月30日か……。だいたいいつも兼好師の会が29日にあって、30日は高校の飲み会とかなんだよな……。行けるかな……。
さて明日は二ツ目最後の新板三人集。並ぶかなー。早めに行ったほうがいいよなー。雨だったらやだなー。
タグ:入船亭小辰
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某二ツ目勉強会 [落語]

某二ツ目勉強会
於:都内某所

某二ツ目さんのシークレット勉強会。SNSなどにもポスト禁止ということなので、とりあえず年末の集計するときの行ったという記録として。
「ネタおろしをしたりしなかったり、蔵出しをしたりしなかったり、虫干しをしたりしなかったり、落語をしたりしなかったり、愚痴を言ったり言ったり」の会。木戸銭は千円。「正直毎回赤字です! てめえで金払って愚痴言ってるようなもんです」。
今回で一応最終回。年明けからはまた会場を押さえてるそうで、名前を変えてやる(かもしれない)とのこと。会が終わる理由や誰の会なのかもまあ予想はつくだろうが。
今日は入門してからの思い出話が盛りだくさん。いろんな師匠の裏話的なことも聞けて楽しい。稽古の付け方も人によってだいぶ違うと教えてくれた。
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特撰落語会 白酒・兼好 二人会 [落語]

特撰落語会 白酒・兼好 二人会
於:王子 北とぴあつつじホール

柳家ひろ馬『平林』
桃月庵白酒『短命』
三遊亭兼好『岸柳島』
三遊亭兼好『一眼国』
桃月庵白酒『今戸の狐』

先日は秋の新真打昇進襲名披露パーティーに出席。帝国ホテルに初めて入った……。
大変華やかで楽しいパーティーでした。
写真は大量に撮ってきたものの、あんまり派手にアップするのもアレなので何枚か。
やっぱり扇辰師匠カッコいいね。
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Nikon Df

その日は兼好師は横浜で会があったため来れないのかと思っていたが、途中で抜けようとしていたところで運良くバッタリ出会う。「あれなんでいるの?」と聞かれるも、そらあなたの次に追っかけてる人たちですもの。
「あ、じゃあ俺がこの会場にいたっていう証拠に写真撮ってよ」と写真を撮らせてくれた。さすがにオフショットだからここには出せないか?

さてその兼好師の会。ホントは来るつもりはなかったんだが、8月にあったこの主催者の会を間違えて二重予約してしまい、ダメ元で他の公演に振替を頼んでみたらOKしてくれた。……のはいいが、土日は一蔵扇橋主任の日と被ってたりして今日くらいしかなかった、というのが正直なところ。周りが忙しそうにしている中、申し訳ないけど早めに上がる。明日以降頑張る。多分。

白酒師の一席め、「王子はいいところですね。JR、地下鉄、都電もあってアクセスがいい。飛鳥山のような公園もある。でもってワクチンを打たない医師もいる」と時事ネタを入れる。
「エリザベス女王が亡くなって、国葬ですって。……タイミング悪い……」。まあ向こうは反対する人なんていないでしょうけど。そもそも国家元首だから格が違いますわね。
「日本だといくら悪人でも亡くなった人のことを悪くいうのはよくないこと。でも噺家の弔いだとすごいですよ。故人の悪口言ったり誰それを殴ったりだとか。右朝師匠が亡くなったときに仲が良かった川柳師匠が……」と暴露話も。
「早く亡くなった方だと『誰それが寿命を持ってったんだね』とか言いますからね。亡くなったときにいろいろ言われる」と弔いの話から『短命』に。今年はなんだか『短命』によく当たるな。
察しの悪い八っつぁんに「もういい、解散!」と言い放つご隠居のイライラぶりがおかしい。

兼好師の一席め、夏は水難事故が多いといい、「川なんかは怖いですよ。プールと違っていきなり水が冷たいところがある。すると焦って体が動かなくなったり足がつったりして途端に泳げなくなる。……これは落語も同じ。用意したギャグがウケないと焦るんです。そうするとさらに間違える。噛む。もうどうにもならなくなって溺れます。それと今年は『ノーパニック症候群』というのが話題になりました。泳ぐ前に息を吸って止めるのを繰り返すと、脳が『十分に酸素がある』と勘違いする。体は酸素が足りないのに脳が呼吸を不要だと考えるから、パニックを起こさずに静かに溺れるから周りが気づかない。……これは落語も同じ。もう30年くらいずっとウケない人はそれが普通になって、ずっとウケずに静かなまま淡々と進めるから、袖で見ている我々も溺れていることに気づかない」。……誰のことを言っているのだろうか。
水の話から水の都だった江戸の水路の話へ移り、『岸柳島』に。
約3年半振りと結構間が開いている。
傲慢な若侍が煙管の雁首を落としたときの、周りの町人たちが笑いをこらえている様が楽しい。

二席め、ダフ屋をシノギにしていた浅草の暴力団が解散したことに触れ、「少し寂しい気もしますね。昔はアイドルのコンサート会場で女の子が『チケット譲ってください』という紙を掲げている横で。場違いなおじさんたちが『チケットないかチケットないか』って声掛けてましたからね」。あーーーいたなあ。最近ぱったり見ないけど。昔野球の余ったチケットを500円くらいで持っていかれ、あまりの安さに文句言ったら「試合始まったら価値ねえんだぞ!」って凄まれたっけ。
「あとは少し違いますがテキヤとか。最近は私の住んでいる町内の祭りでもテキヤを入れないという動きになってますからね。町内のオバちゃんが屋台やってる。そっちのほうがこわいですよねえ。『健全な祭りを』とかいってるけど足立区ですよ!? 今さら何をいってるんだって感じですが。不思議なのはテキヤから買って食べると美味いんですよね。だからって家に持って返って温めて食べるとマズい。私が子どもの頃はたこ焼きのオジさんの小指がないんです。怖いなーと思っていたんですけど、もっと小さい子なんかは『オジさんなんで指が8本しかないの!?』とか無邪気に聞くんですよ。ハラハラしてたら『……タコに合わせたんだよ』なんて答えてる」。とテキヤの話題から見世物小屋へ移り『一眼国』に。
六十六部が「絶対に捕まえようなどとしてはいけません」と止めているにも関わらず、「お前さんには迷惑かけないから」とまったくやめる気を見せないし隠そうともしないのがいかにも欲深そうでリアル。

白酒師の二席め、「オリンピックの話題が今頃……。KADOKAWAもメモに『T理事』とか書いてて、そんなもの見たらわかる人はわかじゃないですか。そういうのはちゃんと見ただけじゃわからない符牒にしておかないと。我々の世界だと、人を表すのに地名を使った。小三治師匠なら『高田馬場』とか。お客さんの前ならそれでもいいんですが、前座さんが楽屋で使うのは周りの師匠にバレるからダメ。そういうときは前座だけで通じる符牒を使うんです。たとえば小三治師匠の場合、前座は『ネクター』っていってました。高座の湯呑にネクターが入っていたことからです。『ネクターまだ来ねえの?』なんて言ってましたね。これなら他の師匠に聞かれても大丈夫」。……大丈夫かなあそれ。
符牒のマクラだったので、いくら暑いとはいえ9月に『青菜』!? と思っていたら『今戸の狐』に。高座で聴くのは初めてだ。志ん朝師のCDで聴いたことがあるくらい。ああそうか、古今亭か。
話が通じているようで通じていない、アンジャッシュのすれ違いコントのようなネタを落語ではとっくの昔からやってたんだなあ。とはいえ符牒やら前提が現代では伝わらないので、全体的にやや説明っぽい感じになってしまうのは避けられないか。それでも珍し噺を聴けて満足です。
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両国寄席令和4年9月6日 [落語]

両国寄席令和4年9月6日
於:お江戸両国亭

三遊亭好の助『持参金』
柳家小春 粋曲
三遊亭兼好『猫の災難』

あーーーなんかモヤモヤする。イライラする。原因は社長です。
こういうときは落語です。こういうときじゃなくても行ってるけどな。
やっぱりこういうときってツイてないのか、会社の最寄り駅でも乗換駅でも目の前で電車が行ってしまう。

お江戸両国亭に着いたときは好の助師のマクラが始まっていた。
どうやら大阪に行ったときに入った飲み屋があまり良くなかったようで、その接客について愚痴が止まらない。お安い店だったようで、「金がすべての世の中」と噺につなげていく。
『持参金』はまあ今のご時世あまり聴かない噺。ただ、好の助師のややぶっきらぼうというか、斜に構えたというか、まあとにかくそんな感じのドライな印象のしゃべり方と妙にマッチして、今の世の中に皮肉を効かせているように聞こえる。おそらく九分九厘私の思い込みだけど。

小春師匠は都々逸や小唄、『梅は咲いたか』の替え歌などを。
最後に『からかさ』を弾いてお後と交代、という流れだったが、扇辰師が出てきそう。

兼好師、「今日は稽古があったので5時くらいから楽屋に入って高座を聞いていたのですが、やっぱり寄席はいいですね。これだけいて誰一人ためになる話なんてしていない。好の助くんなんていかに噺家が安い店にしか行っていないのかってことを延々と話してるんですから。でも我々はそういう店に行くと『ネタができた』って逆に喜んでるくらいですから」とのこと。
「最近の話でいうと、香川照之さんはかわいそうですね。だってああいう演技をされる方ですよ。やっぱりどこかちょっと普通の人とは違うんですよ。確かにやったことは良くないんですけど、あれは連れて行ったほうが悪いんじゃないですか。CMなんかも全部なくなったそうで。ま、トヨタはまずいですわね。酒飲んでのトラブルはダメでしょう。もちろんサントリーもダメ。でも保険はいいんじゃないですか。『この保険のお陰で収入がなくなっても大丈夫でした』なーんて」。彼のは自動車保険だからなあ……。
マクラが禁酒の方に傾いてきたので『親子酒』か『禁酒番屋』か……と思っていたが「呑みたいと思っているときに呑めないのは辛い」と『猫の災難』に。
兼好師のは4年近く間が開いている。
いやあいろいろくすぐりが最新版にアップデートされていて実に楽しい。
鯛を兄いに見つけられ、「これを食わしてくれるならごく上等な酒を買ってくるぜ、どうだい」と目の前にエサをぶら下げられ、身がないことを言い出せなくなっているのは理にかなっている。
兄いの酒を取っておこうと徳利に移し替えているときに考え事をしてしまい、我に返って酒をこぼしたことに気づいたときの「うっわすっごいこぼれてる」のひと言の破壊力の凄まじさたるや。徳利が倒れないように壁に立てかけているのだが、あふれそうな徳利の口を吸おうとするときには壁が邪魔でうまく吸えない、という仕草がおかしい。さらにそれを解決するために、蓑を着て茅を使って酒を吸うのも頭がいいのかバカなのか。
猫がやったことにするために猫の足跡をつけとこうと小細工するのも新鮮。
酔っ払って『からかさ』を唄って浮かれているのもちゃんと小春師匠を拾っていて楽しい。

だいぶ笑ったので少しは気が晴れるかと思ったが、あーーーやっぱ明日会社行きたくねえなあ。仕事っつーか会社イヤ、ってのは変わらないようで。
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