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第二回せせらぎ寄席 よるの会「人気噺家の共演と新真打披露の巻」 [落語]

第二回せせらぎ寄席 よるの会「人気噺家の共演と新真打披露の巻」
於:等々力 玉川せせらぎホール

古今亭松ぼっくり『転失気』
柳家三三『お血脈』
昇進お祝いトーク
三遊亭兼好『片棒』
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『夢の酒』

桜木町から世田谷へ。
ここらへんは都内でも特にこないエリアなので土地鑑がまったくない。そういや数年前に等々力渓谷に写真撮りにきて以来じゃなかろうか。
ここらへんになじみがないのは三三師も同様らしく、「噺家は寄席4軒がある山手線の上半分で生きてる。自由が丘とか歩くだけでドレスコードがあるんですか? 浅草なんて半分以上裸ですよ。……みなさん今日はドレスダウンしてきていただいて……」と世田谷いじり。
「落語のプログラムを見て演目が書いていないことを不思議に思うみたいですね。でも落語ってそうなんですよ。『今日何やる?』なんて楽屋で話し合いとかしませんから。高座でお客様の反応を見ながら決めるんですよ。……今日は世田谷のハイソなお客様なんで……泥棒の噺をします」。
マクラでだいぶ時間を使っているためか、善光寺由来はカットしてお血脈の印のせいで地獄に亡者がこなくなった、というところから。地噺の常だが8割くらいは雑談というか漫談のように進む。今日は徹底して世田谷をいじって笑わせていた。

仲入り後に三三師、兼好師、小燕枝師の三人でトーク。前座から真打になるまでの時間などについて話す。協会が異なる兼好師だけちょっと期間が短い。約10年だそうで、てこたあ私は二ツ目時代から追いかけてるからキャリアの2/3くらいは聴いているのか。
「今日は兼好さんがトリを小燕枝さんに譲ってくれましたから。……このあとぺんぺん草も生えないくらい笑い取って帰るからね」と三三師が小燕枝師を脅す。

兼好師、「真打披露興行ってのはお祭りですからわーっとテンションが上がるんですよ。二ツ目のノリのまま突っ走ることができるんです。でもそうですね、披露興行が終わって1、2か月くらいですかね、そこらへんから落ち着いてきて、なんというか『真打の風格』みたいなものが出てきてまるで人が変わったかのようになるんです。ちょうど今頃ですね」とハードルを縛上げする。「……これだけいっときゃあ少しは上がりづらくなるでしょ」と黒い笑み。悪い人だ。
しかも演目は爆笑必至の『片棒』。マジでぺんぺん草も根絶やしにするつもりか。大人げないというか……。小燕枝師も強烈な洗礼を受けたのではないだろうか。

小燕枝師、やはり披露目の50日間はハードだったようで。「50日間休みなしなんですから。これ訴えたら勝てますよ」。
市馬師から着物を作ってもらった話や、五代目の小さん師と夢の中で対談をした話をマクラに。これ披露目だったら市馬師が乱入してくるヤツですな。
夢の話から『夢の酒』に
普通なら「若旦那の夢のところにいく」ために淡島様のおまじないを使うのだが、「お花、どうやって倅の見た夢のところに行けっていうんだい?」「なんとかしてください! どうしても行きたいと思えば行けます!」「根性論!?」とメチャクチャなのが楽しい。
それに対して「どうか倅の見た夢のところに行けますように! お花が包丁を持ち出している……命が危ないんです!」と大旦那もどうにかしようとしているのがおかしい。

駅からすぐ近くの会場の上ホームも低いので、帰ろうとしたときに会場から出てきた兼好師とホーム上で目が合い、お互い手を上げてご挨拶。こんな会場も珍しい。
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三遊亭兼好独演会 [落語]

三遊亭兼好独演会
於:桜木町 横浜にぎわい座芸能ホール

三遊亭兼好『新聞記事』
三遊亭けろよん『黄金の大黒』
三遊亭兼好『紋三郎稲荷』
三遊亭兼好『二番煎じ』

昨日は恵比寿で社長と少人数でのタイ料理食事会。
仕方がないのでここぞとばかりに自分が食いたいものを頼みまくる。美味い超美味い。どれも美味かったがトムヤムクンのシーフード版トムヤムタレーが最高に美味かった。そらトムヤムクンの「クン」は「海老」という意味だが、それが「タレー(海)」になり海老以外にもイカやら貝やら入るんだから美味いに決まってる。以前タイ人の元嫁にも「なんで日本人はトムヤムクンばかり食べるの? タイ人はトムヤムタレーを食べるのに」といわれたっけ。
そしてやはり社長はパワハラをしてる自覚はない様子。参加者全員で黙り込む。どんな唐辛子よりも辛いわ。

にぎわい座での夢空間主催の独演会。愛想もへったくれもない会の名前。なんかもうちょっとあったってよさそうなもんだが。

まずは兼好師で一席。相変わらずひとりで三席やってくれるので非常に嬉しい。
「もう年末、時が経つのが早い。特にスマホにしてから早くなった気がしますね。スマホに支配されているようで腹が立ちますが。聞いてみたらスマホを使ってると江戸時代の人の3ヶ月分の情報を1日で処理してるんですって」。確かにそうなんだろうなあ。私が子どもだった昭和後期に比べても3倍くらいの情報処理をしているような気がする。
昔は新聞くらいしかなかった、と『新聞記事』に。
兼好師のは担がれたとタネ明かしをしたあともしばらく気づかないパターン。気づいた後も「なんでそんな……」とべそべそと落ち込んでいるが、「入ったウチが天ぷら屋だから……? 面白ーい」と一瞬でころっと変わる様が楽しい。
「匕首」を思い出すために毎朝女房とイチャイチャしてるところを嬉しそうに話すというのはいかにも兼好師らしい。

二席め、服飾大手のワコールが大量にリストラされていることに触れ、「ワコールの下着っていいらしいですね。……私は付けたことがないんでわかりませんが。でも私の周りで女装が趣味の方がいて、その人もいいと言ってました。下着にもお国柄というものがあるそうで、ヨーロッパは機能性重視、日本は年齢にかかわらず『かわいい』じゃないとだめなんですってね。中国は派手。龍がバラ咥えてるとか。あれはなんですかね、江戸時代の贅沢禁止令が出たときに裏地に金をかけたみたいに抑圧されると見えないところが派手になるんですかね」とあながち間違ってなさそうな。
「寒くなってくるとヒートテックの下着がありますけど、あれは汗をかくと余計暑くなるからダメ。以前先輩が『夢金』で船を漕ぐシーンで『うう、さみぃ』なんていいながら汗だくなの」。防寒具の話から昔はキツネの毛皮だったというところからキツネや狸の話に移る。
イタズラ付きの侍というキャラも珍しいが、駕籠屋をまったく悪びれずにからかうのがおかしい。そのためだけに稲荷寿司を犬食いしたり食後に毛繕いの仕草をするとか芸が細かい。

三席め、「昔は火事が怖かった」と火消しの話に。年末だし『富久』かとも思ったが火事の番小屋を描く『二番煎じ』だった。
毎度ながらキャッキャしているおじいちゃんたちがホント楽しそう。「シシの肉はいくら熱くても火傷しないそうですよ」なんていいながら慌てて食べてしっかり火傷したり。見回りの役人から鍋を隠すときに「尻に敷いて! シシの肉は火傷しないから」といってやっぱり火傷するとか細々と面白さが散りばめられている。
番小屋の湯気さえ見えてきそうな一席。
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