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三遊亭天どん独演会 新作大全 [落語]

三遊亭天どん独演会 新作大全
於:両国 お江戸両国亭

三遊亭天どん『死神』
三遊亭ごはんつぶ『姫狙い』
三遊亭天どん『同じ仲間』
三遊亭ごはんつぶ『スクキャット』
三遊亭天どん『夢一夜』

今シーズン初の股引。さすがにバイクは寒くなってきた。

天どん師の一席め、「こないだ師匠の三回忌がありましてね。白鳥アニさんは仕事があるってこなかったんですけど。仕事だってのは確かめたんでいいんです。あとうちの一門じゃないんですけど究斗くんているんですけど、これも仕事だって。『劇団四季の稽古があるんスよお』って落語じゃねえのかよ。あとですね、彩大くんとれん生くんているんですけど……あとだれかひとりいたな……」……誰だっけ。名鑑を確認して丈助師だと気づく。……仕事してんのかな……。
「とにかくそいつらはこないんですよ。で、次の日に新作落語の審査員の仕事がありまして、そこにはきてるんですよ。ブッ◯してやろうかと思いますよね。審査員はなにがしかのコレ(指で丸を作る)になりますからね。……今のところまったく空気が動いていないですね。なんですかこのいつもの遠巻き感。皆さん僕の独演会で僕が出てきたんですからもうちょっと笑ってもらえますかね」。……いやあなんというか生々しすぎて笑えないというか……。
「今日のコレは師匠の羽織でしてね。……わかりますか、ザナドゥっていうゲームのロゴがたくさん入ってるんですよ。ゲーム好きの師匠がメーカーの人にもらったみたいで」。昨年のこの会にも着てたような。「このロゴね、ゴムなんですよ。で、どうやら師匠の正絹の羽織につけたみたいで、紋を剥いだあととかあるんですよね。もらったんじゃねえのかよって。で、これだけは生前から『ください!』っていってたんですけど、『お前にはやらない』って言われ続けていて。形見分けで誰も欲しがらなかったからもらってきたんですよ」だそう。なんだかんだいって一門の中で一番師匠のこと好きだったんじゃないですかね。
「それとこのメガネね。高座に掛けてたのが4つくらいあったんですけど、おかみさん捨てようとしてましたからね。『ちょっと待てえ!』ってもらってきまして。……まあ呪物ですよ。白鳥アニさんとか『呪われるんじゃないの?』って言ってましたから。2つは他の人に渡したんですけど、今日は2つ持ってきました。これは晩年にかけてたヤツですね……うわっ、度キツっ。……こっちの黄色いフレームの方が皆さんに馴染みがあるんですかね。……こっちも度がキツいけどこっちの方がいけるような気がする。これでこう歯を出して『バカヤロウ』って……まあこれ仲入り中もここに置いときますんで、掛けてみたい人はどうぞ。……呪われるかもしれませんけど」。
「今日は圓朝ものを一席と、僕のを一席、あと師匠のを一席やりますよ」と『死神』に。
大金を得た男がおかみさんを追い出さず、一緒に上方見物に出かけるという形は珍しい。
死神が見える男が天寿を全うできたら次の死神になり、現死神は他の神様になれるのでロウソクの継ぎ足しチャンスを積極的に与えるというのも珍しいが説得力がある。……まあ次になれる神様はアレなのだけれども。
ロウソクの消し方もあまりにもバカバカしいのが天どん師らしい。

ここで一回仲入り。
あんまり興味はないけど呪物として圓丈師のメガネの写真を撮っておく。
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RICOH GRII

ごはんつぶさん、中学時代はバレーボールに打ち込んできた女子が高校に入ったのを機に青春がしたいと思っているが、いかんせんルックスが中の中なのでロボット部に入って「オタサーの姫」を目指すというもの。
母親から「『好きなロボットアニメは?』と聞かれたらなんでもいいから『〇〇の初期』と答えなさい」とアドバイスされるのがおかしい。「オタクにはとにかく『初期』って言っときゃいいの」という暴論。そうなん?
新作だとどうしてもついて回る問題だと思うが、世相を反映したネタだとどうしても「ちょっと古い」感が出てしまうのが難しいところなんだろうと思う。「オタサーの姫」って1〜2年くらい前の話題っぽい気がする。いっそもっと後になれば「そんなのもあったね」というネタになるかもしれないけど。以前白鳥師もそんなようなことを言ってたような。

天どん師の二席めは不条理系? 不死身と言い張る男たちが現れて不死身クラブへ勧誘するという『同じ仲間』。
前にも一度聴いたことがある。
この噺は前半の友人ふたりが「俺は所持金を使い果たしたら死ぬんだ」「お前何言ってんの?」とグダグダやっているところが面白い。なんでそんな発想ができるんだろう。

ここでもう一回仲入り。
独演会で仲入り2回あるって珍しいというか私は多分初めて。

ごはんつぶさん、先週のTOIRO寄席でも同じ構成で二席やっていた。
天どん師が連れてくるのか、ごはんつぶさんが頼んでいるのかはわからないが、天どん師の独演会にはほぼごはんつぶさんもセット。客としてはお得だが、二ツ目になってここまでベッタリな師弟も珍しい。大体師匠から解放されることを喜ぶことが多いので。まあポーズなのかもしれないが。

天どん師の三席めは圓丈師の新作。
圓丈師のあの特徴的な陣羽織を着て登場。胸の紋の位置には狛犬のワッペンが貼られている。
病院から抜け出してきた金持ちの末期ガン患者が、「死ぬまでにこういう遊びをしたい」とタクシー運転手に伝え、カネにあかせていろいろ無茶を言う噺。
ちょっと叙情的で感傷的な感じもある。
やっぱりなんだかんだいってこの人が一番圓丈師のことを好きだったんだろうなあ。個人的には圓生名跡争いをするより(しないだろうけど)、圓丈を継いでほしいかな。

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勝浦よろず萬べえ落語会 [落語]

勝浦よろず萬べえ落語会
於:代々木 勝浦よろず萬べえ

三遊亭遊馬『味噌蔵』『百川』

遊馬不足を補うため、初めて開かれる会に行ってみることにする。
代々木の飲み屋での会で、会食付きで5000円。遊馬師はこのスタイルが非常に多い。んー俺は会食いらないんだけどなあ……。基本的にひとりだし。というか遊馬師自身は飲めないのにこのスタイルは苦しくないのだろうか。
かわら版に掲載されておらず、遊馬師からのLINEで情報を得る。
うなぎの寝床の長細い店内に椅子を並べて会場にしている。
遊馬師が高座に上がると顔が逆光になっていて暗い。カレンダーをレフ板にして照明を当てるなど工夫するが、それでも日光には敵わないようだ。
それと飲食店なので、やはり排気の音が大きい。最初は声が聞こえなかったが、換気扇を止めてようやく聞こえるように。初回なのでいろいろ試行錯誤しながら。

一席めの『味噌蔵』はこないだの小遊三一門会でも聴いた噺。他の会でのネタ出しでもちょいちょい見かけるので最近のブームなのかもしれない。
酒場で酒を呑む噺を聴くのは楽しい。

仲入りなしでそのまま二席めに。
落語の中には宣伝落語というものがある、と料理屋の百川で本当にあった噺、として『百川』に。
寄席だったらそれでも大丈夫だけど、飲み屋での会でそれはどうなんだろう。四神剣の説明とかなくて大丈夫かな。
遊馬師の『百川』は6年振り。そんなに開いてたか。このサイズの噺は寄席じゃトリじゃなきゃ難しいだろうしなあ。
朴訥とした百兵衛の佇まいが遊馬師の雰囲気とよく合っている。

終演後に飲み放題付きの食事会。落語が初めてというご夫婦とそのご夫婦を連れてきた男性と同じテーブルにつかせてもらう。
案の定落語が初めてという人には『百川』は難しかったようだ。これで落語に興味を持ってくれるといいんだけど。
食べログでも評価が高い店だったが、確かに出てくる料理がすべて美味しい。白子の天ぷらとか最高。
ただ昼飯と時間が近かったこともあって完食できず。残念。
タグ:三遊亭遊馬
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三遊亭兼矢の色々ひとり会 [落語]

三遊亭兼矢の色々ひとり会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭兼矢『垂乳根』
三遊亭兼矢『小言幸兵衛』
柳家小ふね『鈴ヶ森』
三遊亭兼矢『品川心中』

休みの日だというのにいつもと同じ時間に起きて落語へ向かう。
乗り継ぎ駅でいつもと反対に行かなきゃならないのに、習性でいつものホームへ行ってしまい、ああ逆だったと新宿方面ホームへ行くと目の前を電車が出ていく。まあ山手線だから3分待ちゃあ次がくるんだけど、新宿でも目の前で電車が出ていく。あの電車に乗れていれば。

会場に入ると結構埋まっている。
二ツ目の会としてはなかなかの入りなのでは。
……マダム率高えー。印象では7〜8割がマダム。なんだ、息子枠なのか。あと若い人もそこそこ。

兼矢さんの一席め、「今日はあまり予約が入ってなかったので主催の和希さんの機嫌がよくなかったんですけど、ゲストの小ふねアニさんは人をノセるのが上手い。それに次第にこれだけお客さんが入っていただけたのでどんどんテンション上がっちゃって、さっき袖で『ガンバッテ!』って言われた。そんなキャラじゃないでしょ……」。
ミケランジェロの絵が500年振りくらいに新たに見つかり、その経緯などを。なんかいつもどことなくマクラが文化的。
夫婦の話題となって『垂乳根』へ入るが、大家との場面ではなく書生さんの部屋に。嫁さんが難しい言葉を使うと大家から聞いているので、普段自分が話す言葉での結婚の挨拶を難しい言葉遣いに直してほしい、という依頼をする。
その努力が実り、挨拶を読み上げると「微笑」
「微笑」とウケる。たまに「爆笑不可避」とか「激おこ」とかネットミームも混ざるのがおかしい。

そのまま二席めに。
「最近Yahoo!ニュースのコメントとか見てるんですけどすごいですね。言いたい放題。こないだは『名探偵コナン』に文句を言っていた」とコナンダジャレを2つほど出したが華麗にスベる。
「文句が出るということは共感を得られていないということ。だから小言になる」と『小言幸兵衛』に。
一席めに比べるとアレンジは抑えられているが、ちょいちょい工夫が加えられている。ちゃんとストーリーに沿った肉付けがされていて、割と理論派なのかもしれない。

仲入りに入ろうとしたときに高座にマイクが持ち込まれ、小ふねさんが登場。兼矢さんの誕生日が近かったこともあり、「兼矢さん生誕29年祝い」が行われ、小ふねさんから祝辞が読み上げられる。
小ふねさんはチラシにもわざわざ「ゲスト:柳家小ふね(親友)」と書かれているほどで、普段から仲がいいらしい。祝辞の内容は「こないだ一緒に映画に行ったら予告編で『こんなの誰が見にいくんですかねー!』とか『うわっ、つまんなそう!』とまあまあ大きい声でいっていて隣のおじさんに睨まれていた」とか「上映後も『面白かったですね』といいつついろいろダメ出しをしていた。映画のお金を出したのは僕です。お金返してほしい」とか。兼矢さんの正直すぎるところは変わっていないようだ。
主催の和希さんからお茶漬け、小ふねさんからはお茶のプレゼント。

親友の小ふねさんはあっさりと短めに。前に聴いた時も思ったが、親分が軽い。

兼矢さんの三席め、お染が金三を丸め込むときに「夢は叶えるためにある!」と心中に向けて前向きなんだか後ろ向きなんだかわからないパワーワードで押し切るのがおかしい。
仕返しには行かず、親分の家まででサゲ。

ところどころに工夫を加えられており、たまに「それいる?」と思わないものもあったものの、だいたい流れに沿った自然な感じで面白かった。
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三遊亭兼好@能舞台 [落語]

三遊亭兼好@能舞台
於:長谷 鎌倉能舞台

三遊亭兼好『大安売り』
三遊亭けろよん『手紙無筆』
三遊亭兼好『紋三郎稲荷』
三遊亭兼好『品川心中』

年に一度の鎌倉能舞台。
せっかくの鎌倉なのでちょっと早めに出ていろいろ写真でも撮りに行こうかと思っていたのだが、昨日休出したために買い物とかしてない。
買い物やら図書館やら行っていたらあっという間に出かける時間、というかむしろちょっと遅いくらいになってしまう。えー? と思って乗り換え案内のアプリを見てみたら、北千住と上野間をメトロで行くとだいぶ早く着くルートが出てきた。定期があるからJRいいんだけどなーと思いながら仕方なくメトロに乗り、車窓を見ると隣をJRが並走していた。おや? アレに乗ればよかったんじゃね? アレなら上野で面倒な乗り換えもいらないし……。マジでなんで定期券外の上に接続が悪いルートが第一候補として出てきたのか謎。あんまり行かないところに行こうとするとこういうことが起こる気がする。

さて今日はなんだかわからないけれども頭がすごくボーッとしている。
いま午前中にあったことを書いてるだけですごく時間が経っていることのように感じる。

いつもは兼好師のマクラを聴きながら、頭の中のメモ帳にキーワードだけを刻み込み、仲入りのときなどにスマホにメモをとったりしている。ブログを書くときはそのキーワードを見てその話題であんなことを言っていた、こんなことを言っていたと芋づる式に思い出しているのだが、今日はその頭の中のメモ帳がまるで機能していない。
無理矢理思い出してメモってみたものの、面白かったのはここじゃないよなあと今ひとつピンとくるキーワードが出てこない。

それどころかけろよんさんが何やったかも覚えてないし、演目が貼り出されていたのでああそうだったと思い出したものの内容が全然思い出せない。

というわけで今日は頭の中のメモリーが壊れているのでろくな感想が出てこないです。いつもの感想がろくなものなのかはともかく。

兼好師の一席め、自由が丘の落語会で昼夜興行だったので、夜席までの間に散歩しながら石原慎太郎氏の家を探した話を。兼好師の住む足立区との比較をしながら。
相撲中継で必ずいる女性の観察報告から『大安売り』に。
一時期よく聴いてたが2年近く当たってなかった。
「親方や」「ご贔屓衆の」のあの手が久しぶりで楽しい。タメが長くなっており、そのわざとらしさがたまらない。
話を聞いていた若い衆も最初は普通に笑いながら聞いているが、話のパターンがわかってくるとその笑いが「この野郎……」的な硬い笑みになってくる。どう違うのかは言葉にしづらいのだが、でもとにかく違う。それが伝わるのが兼好師の腕なんだろう。

けろよんさん、さっきも書いたけど今日はホント何も思い出せない。なんだコレ俺調子悪いのかな。仕事しすぎかな。

兼好師の二席め、今年は熊の被害が多いということから獣害のな話を。
兼好師の故郷の会津では鹿の被害がひどいらしい。山道には道路の凍結防止のために塩が用意されているのだが、それを狙ってくるのだとか。純粋な塩ではなく、凍結防止のために何かを混ぜているのだが、それが鹿にはたまらないそうだ。酔っ払ったようになり、車からきてもどかないのだそうだ。……なんかオチみたいなのあったはずなんだけど思い出せないんだよなあ……。悔しい。
動物繋がりで『紋三郎稲荷』に。
駕籠かきが「狐かどうか確かめてみろ」と揉め、「赤と緑どっちが好きですか」という問いかけが楽しい。
松戸の本陣でお狐様と祭り上げられた平馬が地元の人たちに適当に人生相談に乗っているのもおかしい。

三席め、「羽生さんは残念でしたねぇ」ってアナタも結構好き勝手言ってたような……。
『品川心中』を通しで聴くのは久しぶり。
……いろいろ面白いんだけど、なんか今日はホントに言葉が出てこない。うーん。たまにこういうときあるんだけど、それでもなんだかんだ書くんだけど今日はダメだ。

一応鎌倉にきたんで海に行って写真も撮る。
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Nikon Df
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第69回TOIRO寄席 三遊亭天どん独演会 [落語]

第69回TOIRO寄席 三遊亭天どん独演会
於:さいたま新都心 さいたまスーパーアリーナTOIRO

三遊亭天どん『大掃除の夢』
三遊亭ごはんつぶ『DJ寿限無』
三遊亭天どん『タラチネ』
三遊亭ごはんつぶ『スクキャット』
三遊亭天どん『クリスマスの夜に』

またもや休出。
そもそも私が忙しいので後輩に仕事を振っていたのだが、後輩も他の仕事で身動きが取れないとギブアップしてきた。……まあそんな気はしてたんだけどさ。つーか再来週の月曜にクライアントに提出なのに1ピクセルもやってないってよ。
来週は祝日もある上に24日は社内システムの入れ替えで仕事ができないので実質3日間しかない。今日はこの会があるのだが、少しでも進めるために朝いつもよりも早めに出て4時間ほど仕事してさいたまスーパーアリーナへ。
今日はGLAYのライブらしいが、その客を横目に天どん師のポスターを目印に会場へ入る。

独演会といいながらごはんつぶさんもポスターに入っている。まあ前座とごはんつぶさんで天どん師二席かな? と思っていたらいきなり『松の木小唄』が聞こえる。

天どん師の一席め、「この会は69回めだそうで。まあ僕は今日が初めてなんですけど、満を持して登場ですよ。……会場に入るとこれまでのポスターがずらっと貼ってありましてね。ムカつくんで鬼丸さんのポスターには大きくバツをつけてやりますよ。目に画鋲を刺してやろうかとおもいますね」と埼玉御用達芸人を軽くイジる。
「今日は隣はGLAYだそうですよ。すぐこう(天を仰ぐポーズ)しますよ。アレはなんですかね。カネの雨でも降らせてるんですかね。……僕はなにを言ってるんですかね」と相変わらず目に映るものすべてに毒づく。
「僕のこと初めてって人どれくらいいます?」と聞いたところ1/5くらいの人が手を挙げる。「結構いるじゃないですか! どうせ次回の喬太郎アニさんの先行チケット買うためにきたんでしょ」とボヤキが止まらない。
「じゃあ自己紹介からしますよ。圓丈の弟子でしてね、師匠は3年前に亡くなったんですけど、年末にこういう明るいニュースがあるといいですね。この時期なると思い出すのは、弟子を呼ぶのが好きな人だったんで年末になると『大掃除だ』っていって毎日弟子を呼ぶんですよ、12月の1ヶ月間。普通1日2日で終わることを1ヶ月掛けるんですから、やることないんですよ」。それは……。
「そうするとですね、人間のクズの白鳥アニさんてのがいて」で爆笑が起こる。「……あのアニさんがクズだと世間に認定されました。で、あのアニさんはずっと家の外側のドアノブを磨いてるんですよ、2時間。……いや、だったら家の中の方をやればいいじゃないですか、寒いんだから。でも世の中うまくできていて、あの人は新潟の生まれだから平気なんですよ。でもさすがに『アニさん、そんなに磨いてたらドアノブ取れちゃうよ』って声を掛けたら『どんちゃん上手いね、噺家みたいだね』って……。うるせぇオメェもだろってなりましたねえ」。こういう一門ならではの裏話はたまらなく面白い。どこに上手い要素があったのかはわからないけれども。
「こういうパワハラみたいなことは昔は普通にありまして……どうですかこの流れるようマクラ」と自画自賛。いや素晴らしい。
ネタとしては『引越しの夢』なのだが、マクラと合わせてサゲと演題を『大掃除の夢』に変えていた。なるほど上手い具合に変わるもんだ。
というか『引越しの夢』ってこのブログ始めてからまだ3回め? もっと聴いてたような気がするんだけどな……。まあ夜這いの噺だからなあ。天どん師も「真昼間に何やってるんだ」と一瞬我に返っていたようだけど。

ごはんつぶさん、「お古いところで」と始まったので、あれ珍しく古典? と思ったが『寿限無』の導入部に入ったので、ああ、と納得。
「コブが引っ込んじゃった」で受囃子が流れかけるもそれを制して『DJ寿限無』へと入っていく。
寄席で聴いたときは袂にハンドマイクを隠し持っていたが、今日は高座のマイクを使ってボイスパーカッションを。器用で上手いと思うが、もしかしたらこの噺は寄席サイズで聴いた方がキレがいいかもしれない。

天どん師の二席め、弟子の改作ものを聴いたからか、「弟子がやるんですから僕もやりますよ」とごはんつぶさんに対抗(?)して『タラチネ』を。
まずは通常の『垂乳根』の口上を披露して中手をもらい「ああよかった」と安堵する。
タラチネの口上の最初っから「Hey you!」とケンカ腰なのがおかしい。

仲入りを挟んでごはんつぶさんの二席め。二席めがあると思わなかったのでお得だ。
『スクキャット』は以前にも聴いたことのあるスクワットをする猫の噺。なぜ猫がスクワットをするのか、筒井康隆的なヒネリがある。

天どん師の三席めは少し季節を先取りした『クリスマスの夜に』。多分私が初めて天どん師を聴いたのが一之輔師との会で、ネタ交換的に一之輔師がやっていたように記憶している。
天どん師がたまにやるハートフル分多めの噺。そんなにいつも聴ける噺ではないのでレア感を楽しむ。
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紀尾井らくご 三遊亭兼好独演会 [落語]

紀尾井らくご 三遊亭兼好独演会
於:四ツ谷 紀尾井ホール

三遊亭兼好『新聞記事』
三遊亭けろよん『狸賽』
三遊亭兼好『四段目』
三遊亭兼好『宿屋の仇討』

コタツを出す。
2週間前まで半袖で「アチー」とかいってたのにおかしすぎる。
時間に余裕を持って出たはずが、信号にことごとく引っかかる。あーーーもう。しかも会場や会場の近くには駐輪場がないので少し離れたところに停めなければならない。駐輪場から10分くらいかかる上、結構な坂を登らなければならない。
息を切らしながら必死で登るも、ちょうど兼好師が登場して話し始めたところで会場に到着。少し遅れて席に着く。せめて道が平らだったら間に合ったのに。

一席め、さすがにこの気温のアップダウンに触れ、そのせいで紅葉が汚いという。「一斉に赤や黄色というのはなくて、まだらになってる。『今年は暑いからまだ赤くならなくていいですよね、モミジさん?』『ええ、私もまだこのまま行くつもりで』なんて言ってたら『……うわ、寒っ! こんないきなり……モミジさん!? モミジさん!? ……死んでる!』なーんて感じで枯れてるらしいですよ」。いつもながら突然始まる落語仕立ての小ネタが楽しい。
「そんなおかしなことが起きている年だから、阪神が阪神優勝するのもうなづける。38年前もいろいろ事件があったんですよ。豊田商事とか……。今年もまだあと2か月ありますから何かあるんじゃないですか。文枝師匠やざこば師匠も高齢ですし……」と黒い笑みを漏らす。
「最近は何か事件が起きるとすぐネットニュースになる。朝の事件を夕方に話すともう遅い。情報は新聞くらいのスピードがちょうどいいと思うんですけどねえ」と『新聞記事』に。
「お前、天ぷら屋の竹さんは知ってるかい」「あいつとは竹輪の友で」と子ども時代におやつ代わりに竹輪を両端からポッキーゲームのように食べていたという小さいくすぐりが散りばめられていて楽しい。
中でも「泥棒が懐に呑んでたんだよ……」と「匕首」という言葉を出すためにおかみさんとの惚気を嬉しそうに話すのが最高。

けろよんさん、狸が朝に訪ねてくるのは珍しい。その分「狸のキンは八畳敷」とか小僧に化けて買い物をしてくる場面が刈り込まれていきなり「サイコロに化けられるか」となってスピーディー。

兼好師の二席め、昔は娯楽が少なかったと芝居の話に。「皆さんストーリーとかわかってます? でもそれでいいんです。幕が上がって『わーキレー』とか『かっこいー』とか言ってるくらいがちょうどいい」。歌舞伎を観に行ったことがないのでわからないけど、ストーリーを追える気がしない。
『四段目』に出てくる定吉は、小僧なのにだいぶ芝居に詳しい。そういう小僧は本当にいたのかはわからないが。
しかし芝居が見られるほど小遣いがもらえて、ほぼ一日中いなくてもそんなに叱られず、(嘘だけど)芝居小屋を借り切って店総出で芝居見物に行くなんてすごくいいお店だなあ。
定吉が蔵に閉じ込められるときに、格子戸に取り付きながらも芝居仕立てなのが懲りてなくておかしい。
旦那も蔵にお櫃を持って行くときも芝居の足取りを再現しながらというのも芸が細かい。焦ってるんじゃないんかい。

三席め、珍しく袴姿に。
最近腰痛がだいぶ楽になったといい、その原因がホテルの枕だったそうだ。「あるからせっかくなんでホテルの枕を使ってたんですが、そうするとすごく腰が痛かった。試しにタオルを何度か折ったものを使ってみたらすごくよかった」そうで。俺もやってみようかな。
昔と今ではずいぶん様子が違うと神奈川宿の話を振って『宿屋の仇討』に入る。
江戸っ子たち「はにほへと三人組」の軽快なマシンガントークが相変わらずお見事。あれはもはや言い立ての域になってるのでは……。扇橋師も兼好師から教わった噺をそのままやろうとするとすごく大変だと言ってたしなあ。
いかめしい雰囲気を出す万事世話九郎だが、「なんだあのどんちゃん騒ぎは。これでは勝手に身体が動いて寝られんではないか」とか茶目っ気のある性格であると伏線が張られている。これも他の人では聴いたことがないなあ。
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渋谷らくご 青森 meets 福笑! [落語]

渋谷らくご 青森 meets 福笑!
於:渋谷 ユーロライブ

三遊亭兼太郎『真田小僧(上)』
三遊亭遊雀『真田小僧(下)』
笑福亭福笑『葬儀屋』
三遊亭青森『猫定』

休出。
あと数時間頑張ればなんとか休出しなくてもいいくらいまでは昨日の時点で行ったんだけど、頑張る前に気力体力時間が尽きた。
まあ3〜4時間やりゃ終わるだろ、そしたらシブラクに遊雀師を聴きに行くか、と思っていたら結構ギリギリになってしまった。というか少しこぼれた。まあいいや、あとは月曜だと切り上げる。さすがに気力が持たないし、体力も限界。なら落語聴かないで帰れよとも思うが。
相変わらず渋谷は人が多いなあ。スクランブル交差点を撮影しながらチンタラ歩く人をかき分けてユーロライブまで。

兼太郎さん、「渋谷といえばハロウィン」というイメージのようで、「普段は真面目なんでしょうけど、なんでそうなったゃうんですかね。ありましたでしょ、何年か前にトラクターをひっくり返すってのが……」。本人は気づいてなかったようだけど、渋谷の真ん中にトラクターはないと思うよ……。
ハロウィン当日は浅草で余一会だったそうで、出番前に楽屋から外に出てみると浅草にもコスプレカップルがいたそうで、「なんでああいう奴らは磁石でもはいってんのかってくらいくっつくんだ」と毒づく。
浅草の子どもたちは無邪気に青空を屋根にする人たちにも「トリックオアトリート」をかまし、鬼ころしをもらいそうになっていた話などから子どもの噺に。
親子して顔芸してる。
間男の顔を見たのか、というところでも金を取るのは初めて聴いた。いつもここが一番のタカリポイントだよなあと思っていたのだが、意外にもここでは取らない。まあさすがに悪どすぎるというのもあるし、ネタバラシはあっさりとさせた方がいいのか。

遊雀師、「続きやろうか」と講釈部分からを引き継ぐ。
さらう時間なんてなかっただろうに、いきなりでもあんな固有名詞がたくさん出てくる講釈をサラサラとできるんだからやっぱり噺家の記憶力はすごい。
「薩摩に落ちた」の後に袖に向かって「兼太郎、ここまでやるんだよ! 『真田小僧』なんだから」と一喝。
「ヤなジジイだね、いま兼太郎ちゃんは楽屋で怒ってると思うよ。『師匠にいいつけてやる』って思ってるかも……。でも兼好になに言われてもね。あー兼好より先輩でよかったー! 先輩の弟子だったらこんなことやらないよ」とポロリ。まあ兼好師が聞いても笑っておしまいだろうけど。
噺の後にマクラという珍しい形態に。
福笑師と初めて会ったときのエピソードを。大阪だったそうで、「師匠が『大阪には安くて美味い店があるんや……さくら水産』と言われて。こっちはどう反応すればいいのかわからない。でも意を決して『師匠、さくら水産、知ってます』『お、行ったことあるの?』『師匠、……さくら水産、東京にもあります』『えっ、どこに!? 』『いたるところに……駅前にはだいたいあります』『えええええっ!』って……。あのね、噺家ってこんな小さいことをこんなに大きく膨らませていうけど、これに間使いなく事実ですから。ドキュメントです」だそうで。
「今日は青森ちゃんがトリ。シブラクが売り出してる。伯山以来じゃない? シブラクが推していたのはあと喜多八師匠と左團次師匠なんだけど、残念ながら亡くなってしまった。……だから青森は売れるか死ぬかどっちか」。
そこからは青森さんの師匠である白鳥師の二ツ目時代の伝説を。遊雀師は白鳥師の2年後輩だそうで、一緒に二ツ目時代を過ごしたそうだ。池袋演芸場の楽屋で志ん朝師からホワイトボードを使って上下の説明を受けた話や『時そば』で屋台を担ぐんじゃなくて大八車のように引いて喬太郎師から「アニさんあれはないよ」と怒られて「あっ、そうか」といって押した話とか。
「そんな話してたら時間なくなっちゃった」。もう一席聴けるかと思ったけど甘かったようだ。
引っ込んだ後に「師匠すみません」「いやいや、お客さんに笑うてもらうのがいちばんやから」という遊雀師と福笑師のやりとりが丸聞こえ。

福笑師、たまさんの師匠だが聴くのは初めて。
いろんな世間の出来事を並べて毒づきながら「……そんな中おいで頂いてありがとうございます」ということを何度か繰り返す。
『葬儀屋』は舞台が現代なので新作だろう。けったいな客に従業員が困るという『代書屋』のスタイル。遺族の家族がボケで葬儀屋がツッコむというフォーマット。こまごまとギャグは繰り出され、なんというかひとり漫才っぽい。それはたまさんも同じだけど。師匠譲りだったんだな。

青森さん、開口一番に「……猫はいいね」。うん? あ、うん、猫はいいね。
合コンで女の子を口説くテクニックとして「自分に似ている動物」の話をする、という「合コン孔明」の友人の話から両国回向院にあるという猫塚の話にいって『猫定』に。
『猫定』は何度か演目自体はネットなどで見たことはあるが、聴くのは初めて。圓生師以降は掛ける演者もあまりおらず、今は雲助師がやるくらいらしい。
しかし私が前回青森さんを聴いたときは『もう半分』、今回も化け猫の噺で、怪談というか怪奇もの。たまたまなのか、そういう噺を積極的に掛けている時期なのか。
落ち着いた重厚な語り口で噺の雰囲気にはよく合っている。爆笑ものの新作も聴いてみたいところだが。

久しぶりに渋谷に来たので、ドンキのPBを集めたというドミセに行ってみようとしたら間違えて普通のドンキに行ってしまった。11月11日はポッキーの日ということで、店頭でポッキー柄のバルーンを配っており、女子や外国人が大喜びで振り回していた。……邪魔くせえ~。ドミセに行ってみたら改装で臨時休業。なんだよー(天どん師っぽい終わり方)。
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黒門亭 第一部 3815回 [落語]

黒門亭 第一部 3815回
於:落語協会2F

柳家小じか『金明竹』
春風亭与いち『胴斬り』
林家鉄平『竹の水仙』
三遊亭金朝『本膳』
春風亭一蔵『芝浜』

二日連続の黒門亭。
今日は二部に佑輔さんと桃花師が出るらしいので、一部から通しでチケットとって最前列をキープする人がいて混むかもなーと思っていたら案の定通し券は売り切れたらしい。そんでもって一部も札止め寸前の大入り。うわあ。佑輔さんはそういう売り方が嫌で師匠を変わったという噂なので、まあ桃花効果なんだろう。すげえな。

ナチュラル落武者ヘアの小じかさん、与いちさんによれば上の師匠方からも「スヌーピー」と呼ばれてかわいがられてるのだとか。
旦那もおかみさんも松公に小言はいうものの、怒っているのではなくちゃんと叱るという感じになっている。
道具七品の言い立てもキッチリしていて心地よく聞こえる。最後の「ヒョーゴのヒョーゴの」のところがグズグズになっている人も多いが、小じかさんは最後までちゃんとしている。
回を追うごとにスピードが変わり、最後の方はかなりの早口なのだが、それでもちゃんと言えていた。上手いなあ。

与いちさん、なんかいつもより暑苦しい圧が強い感じ。それがまた荒唐無稽な内容の『胴斬り』とよく合っている。
どうにも理屈に合わない話を勢いで押し切ってしまう力業がなんとも面白くて心地いい。
あり得ない状況をみんなとりあえずは受け入れ、なおかつ仕事までさせるという大らかさがいかにも落語で楽しい。
足の方が喋り始めたときはさすがに驚くが、「どこで喋ってんだ……まあそこだよな」で済ますのもおかしい。

鉄平師、見習いの頃に圓生師をしくじったときの話を。前にも聞いたかも。その他にも談志師の話も。「あの人は本当はすごく優しい。照れ屋だからマスコミにはキツく当たる」というようなことを話していたが、家元も人によって言うことがぜんぜん違うんだよなあ。
最近ようやく「落語が面白い」と思うようになったそうで、「晩年に行くほど面白いと思う仕事というのはありがたい」とか。
細川公も大槻玄蕃も甚五郎であることを明かさず、本人の口から語られる形。聴いたことがないわけではないがちょっと珍しい。

金朝師を聴くのは初か。がっしりとした体つきで、声もストレートによく響く。
『本膳』を聴くのも久しぶり。田舎の秋の風景が見えるような穏やかな話しぶりで、なんかいいなあ。

一蔵師、「今日は暖かくてね。なんで『芝浜』なんてネタ出ししちゃったんだろうなあ」と昨日の小燕枝師と同じような愚痴を。つってもさすがに今年は異常すぎる。
「男に生まれたからには三道楽煩悩にどれかにはハマるとのことですが、私の場合は打つ、ギャンブルです」と若い頃のエピソードを語ってから『芝浜』に。先日の一朝師との会でネタおろししたもので、私は聴くのは初めて。
魚勝ではなく魚熊、いい魚屋だった魚熊が身を持ち崩していくところから描く(女房に起こされるところから始まらない)、拾う金額は五十両、それになにより魚熊自身が芝浜に行く描写がないという古今亭の形。他の人では三木助の形のほうが多いように思うが、個人的にはこちらの古今亭のほうが好きだ。とはいえ早朝の海の情景を描くのも捨てがたいんだけど。一蔵師は女房に財布を拾った経緯を語るところで少しだけ海の情景を語っていた。
酒をやめての三年後、店を構えるところまではいっていないのもリアル。棒手振りのままだけれども借金はない。
革の財布を出すときに「さっき『仕事をしなきゃダメだ』というおまえさんの言葉を聞いてもう大丈夫と思って出した」といいながら出す。この形もよく聞くけども、そうするとその後の「この話をしたらおまえさんに飲んでもらおうと思って酒の支度をしておいた」というセリフと矛盾しない?
しんみりというよりも一蔵師らしく賑やかで明るい雰囲気。それはそれでいいんだけど、個人的には「……やっぱりよすよ」という最後の手前の一言には戸惑いというか逡巡が含まれていてほしいんだよなあ。このひとことの雰囲気如何で最後の一言の重みがぐっと変わると思っているのです。素人考えだけど。
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黒門亭 第二部 3814回 [落語]

黒門亭 第二部 3814回
於:落語協会2F

三遊亭歌きち『牛褒め』
柳家吉緑『置き泥』
柳家福治『鹿政談』
三遊亭天どん『老後が心配』
柳亭小燕枝『二番煎じ』

会の前にかつやで昼食。レジの横の席で、会計する人が途切れずにやってくる。今って現金での会計がほとんどいないのね。そこそこ高齢の人でも電子マネーで支払っていて、現金はホント10人にひとりふたりくらい。みんなPayPayやらd払いで払っている。私はどっちもやっていないのだが、会計はやはりスマホのクレジットカード支払い。最近現金で払うのが落語の木戸銭くらいしかない。一部の主催者は電子マネーの対応しているようだが、まだまだ現金が多い。しかしそうすると財布の中にぜんぜん現金が入っておらず、こないだはまったく札が入っていない状況で1週間くらい経っていた。そうするといざというときに現金が足りないってことがあるから怖いんだよなあ。

歌きちさん、まあ上手いというかそつのない感じではあるのだけれど、なんというか本人が楽しそうじゃないというか。余裕がないだけなのかもしれないけど、いっぱいいっぱいなのかというとそういう感じでもないんだよなあ。

吉緑さん、「さっき連雀亭に出番があったんですが、ちょっとだけ後輩のつる子ちゃんと一緒だったんです。……すごいですね、定員40名なんですけど開場前からずらーっとオジさんが行列作ってるんですよ。で、『つる子ちゃんのYouTubeのチャンネルを登録してる人ー?』って聞いてみたらみんなハイハイって手を挙げた」。……。「まあ僕も登録してるんですけど」。関係ないけどわん丈さんとつる子さんの披露興行のポスターができたけど、和服の正装の男女が並んでるからどう見ても結婚式の写真にしか見えない。
「その連雀亭、二ツ目だけの定席で365日毎日二公演やってるんですけど、お客がゼロってことがほとんどないんです。……ほとんどってことはたまにはあるんです。そうすると中止ではなくて、オーナーが『稽古していけ』っていうんですよ。で、ひとりが高座でしゃべって、他の3人が客席で聴くんです。これは地獄ですよ。『これは客こねえわ』って言われたり。お前もだよ!」。たまにそういう話聞くけど、さすがに客が2~3人てのは経験したことはないんだよなあ。

福治師は10年以上ぶり。そのときも黒門亭だった。
江戸の名物の話が出てきたので『鹿政談』だなということはわかったのだが、なかなか噺までたどりつかない。
なんか思い出し思い出しって感じ。

天どん師、「昨日、今日の仕事の時間とかを確認してたんですよ。そしたら小燕枝の名前があったんで、『あー、あの大ベテランの師匠の芸が聴けるんだ。勉強しなきゃ』って思ってたら白くてぽちゃっとしたのがきた。襲名以来会ってなかったから忘れてた。……皆さんも間違えてませんか。市弥くんがきますよ」。ひどい。というか天どん師もベテランの師匠を聴いて勉強するんだ。
「最近物忘れが激しくなりまして。僕駅から自転車で15分くらいのところに住んでるんですけど、家を出て10分くらいしてリュックに着物を入れるのを忘れるっていうね。もうサザエさんの世界ですよ。『♪落語しようと街まで~出掛けたが~ 着物を~忘れて~』って……あのもう少し笑ってもらえないですかね」。
噺は一年ぶりの『老後が心配』。今日も高座の上をゴロゴロと転げ回る。勢い余って落ちそうに。「落ちる!」と客席から声が出る。
前回りもしようとするが、「……いや、やめよう! 前に首やったことがあるんで……」前に「50になったらやめる」って言ってませんでしたっけ。

小燕枝師、「すいません、僕で。今でも上の師匠方からは『ニセ小燕枝』って呼ばれたり……。本物の小燕枝はどこにいるんですかね……」。
「今日は……あまり寒くない。なんでこの噺をネタ出ししちゃったんだろう。でも11月っていったら普通もっと肌寒いですよね?」と『二番煎じ』に。
今までに聴いたことのあるものとストーリーは同じなのだが、細かいところが結構違っていて新鮮味がある。
酒を飲んでいるときに気持ちよく唄い出すのは師匠譲りか。

終演後に小燕枝師が主任の池袋演芸場の芝居のハガキをくれた。一蔵師や扇橋師も出るから行きたいんだよなー。
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