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紀尾井らくご 三遊亭兼好独演会 [落語]

紀尾井らくご 三遊亭兼好独演会
於:四ツ谷 紀尾井ホール

三遊亭兼好『万病円』
三遊亭けろよん『出来心』
三遊亭兼好『七段目』
三遊亭兼好『三枚起請』

上野から四谷まで。

兼好師の一席め、「今日は暖かくていいですね。人間て寒いと笑わないんですよ。こないだの大寒波がきたときに寄席の出番があったんですけど、まあ笑わない。そもそもみんな寄席に来ようとして来ていない。あまりに寒くてビバークしにきている。しかも『寝たら死ぬぞ!』と思っているのか笑わないくせに寝ないの。寒いと暗くなりますよ、ロシアなんかも暗いでしょ。でも生きるために頭を使わなかならないから頭がいい。反対に東南アジアなんかは明るいけど特に頭を使わなくても作物ができるからおバカ。日本は厚くもなく寒くもなくちょうどいいと思っていたんですが、最近の温暖化で東南アジア化してますからね、バカで暗い、という最悪なパターンになるかもしれない」。頭の善し悪しはともかく、東南アジアは明るいというか楽天的なのはありますわね。
「回転寿司が話題になっていますけど、私あまり回転寿司って行ったことないんですよね……。私の出身の会津若松にはあまりなかったもので。でもあのシステムは面白いですね。ちょっと思いついたんですけど、あれで寄席をやったらどうだろうと。いろんな芸人が流れてきて、『お、笑点レギュラーになった一之輔か、ちょっと聴いてみるか』なんてその人の噺を聴きたい人だけが集まるという……。『落語ふたつ聴いたから次は色物で……あ、ナイツ!』みたいな。でもそうするとなかにはまるで人が集まらない師匠が出てくるでしょうね。それを前座さんが影で見ながら『あの師匠もだいぶ乾いてきたな……』なんていうんでしょうね」。そりゃ兼好師は客が途切れないでしょうけど……。
そろそろ確定申告の季節に、と二ツ目の頃にバイトでNHKのドラマにエキストラで出たときの再放送分のギャラがいまだに振り込まれるのだとか。「でもそんな仕事のギャラですから年に60何円とかなんです」とのことだが、ドラマの再放送でもギャラって発生するんだ。しかもエキストラにまで。「二本刺しが怖くて田楽が食えるけぇ!」と落語でよく聞く啖呵を切る役だったらしく、そのときの苦労話なども。
一席めからたっぷりとマクラを振って『万病円』に。なんと4年以上開いている。侍が町人をからかうつもりで結局へこまされているというこの噺、結構好きなんだけどあまり当たらない。
町人をからかうネタを見つけたときのニヤッと笑う表情と、カウンターを食らって怯む表情の差が面白い。

二席め、新しい着物かな? ピンクとオレンジの中間のような色で、初めて見る。
昔は娯楽が芝居しかなかった、それを真似する人たちもいたと『七段目』に。
若旦那がどれだけ芝居狂かを大旦那が番頭に説明するシーンがあるが、そこで若旦那の芝居を再現できる大旦那も相当だと思うのですが。
この噺でも芝居の真似事に夢中だった若旦那が、番頭や定吉に芝居の真似事で話しかけられたときに一瞬見せるハッとした表情がリアル。

三席め、受験シーズンになり湯島の天神様が人気だが、もし普段から信仰している神社などがあるのであれば、そちらにお願いしたほうがいいという。「それはそうですよね、普段は自分のところに来ているのに、受験になったら他の神様に行かれてしまっては神様だって面白くないはず。なのでいつもの神様のところにお願いに行けば、『おう、得意じゃないけど頑張るよ』くらいいってくれるはず」なんだとか。
「約束事を守らせるのにご利益があるのは熊野神社だそうですよ。お使い姫が八咫の烏で、サッカーの日本代表のエンブレムにデザインされていますよね。……カラスといえば、私の自宅がマンションの5階なのでちょうどベランダから外を見ると電線に止まっているカラスと目が合うんです。女房はカラス嫌いなんで、ベランダに罠を仕掛けていたんですが奴らは頭がいいんでぜんぜんかからない。その罠に最初にかかったのが私……」だそうで。
熊野神社の起請文と「三千世界の鴉を殺し 主と朝寝をしてみたい」の解説の後に『三枚起請』に。これも2年以上開いている。
この噺も起請文の書き手が自分の敵娼だと気づいたときの表情リアクションが絶品。
特に吉原に乗り込んで、喜瀬川によく扱われて思わず顔が緩んでしまう棟梁の表情が楽しい。
振り上げた手を「その手はなんだい!」と喜瀬川に凄まれ、苦し紛れに時事ネタでごまかすというくだりがあるのだが、今日は「中国からこんな気球が……」と特に苦しいのが面白い。

帰り道、国道をバイクで走っていると尻ポケットから財布が落ちた。危ねえ……。幸いすぐに気づき、後続車もなかったのでUターンして拾いに戻る。多分交通ルール的にはかなりグレーな動きをしたと思うが……。俺財布に免許やらカードやら全部入ってるので、落としたらかなりヤバかった。というか家の玄関のカードキーも入ってるから、家にさえ入れないんだ。ホント冷や汗モン。
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コメント 4

小夏

こんにちは。
本文とは関係ないのですが、チケットの手数料が高すぎる件は、どのようにお考えですか?
先日申し込んだ落語会では手数料が1100円かかりました。
仕方ないのでしょうか?
追伸:お体ご自愛くださいね。
by 小夏 (2023-02-20 11:08) 

MaQy

>小夏さん
お気遣いありがとうございます。

えっ、手数料1100円ですか?
それはさすがに高すぎるのでは……。
たまにシステム使用料に加えてチケット送料まで取るところがあって700〜800円になることはありますが……。
Amazonなんかでも商品の値段は安くても送料が異様に高い業者がいるので、そういう商法なんじゃないかと勘繰ってしまいますね。
最近は予約した方が当日券よりも高くなることが多くてちょっと釈然としませんね。
私は手数料込みで4000円を超えるチケットは基本的に見送ることにしています。
自分の中でルールを決めておかないと際限がなくなるので……。
by MaQy (2023-02-20 23:21) 

小夏

こんばんは。
私の贔屓は立川志の輔、談春、志らくなんですが、チケット代は他の落語会と比べて高いような気がします。というか高いです。
それでも毎回ソールドアウトなので何とも言えませんが。
チケットが取れなかった時は残念な気持ちの反面ホッとする気持ちも生まれます[わーい(嬉しい顔)][あせあせ(飛び散る汗)]

追伸:1100円の手数料には先行予約手数料が入っていた為にいつもより高かったみたいです。
by 小夏 (2023-02-21 21:47) 

MaQy

>小夏さん
あー……。その方たちだと仕方ないような気がします。
大きい箱での独演会スタイルがメインというビジネスモデルなので、木戸銭も落語会というよりも演劇寄りのお値段ですよね……。
立川流のガチファンか「名前だけは知ってるから落語ってどんなもんか聞いてみるか」という両極端なイメージです。
ホッとする気持ち、わかります。落語ではないですが、1万円のライブの先行予約抽選を念のため2日分入れますが、正直1日だけでいいのに両日当たっちゃったらどうしよう、とか思います。
by MaQy (2023-02-23 18:22) 

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