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第九十七回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 柳家喬太郎・三遊亭兼好・桂宮治三人会 〜初幕〜 [落語]

第九十七回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 柳家喬太郎・三遊亭兼好・桂宮治三人会 〜初幕〜
於:桜木町 神奈川県立音楽堂

桂宮治『たらちね』
三遊亭兼好『磯のあわび』
柳家喬太郎『擬宝珠』
柳家喬太郎『諜報員メアリー』
桂宮治『ちりとてちん』
三遊亭兼好『陸奥間違い』

いつもの会場やにぎわい座ではなく、神奈川県立音楽堂。私は初めて行く。
音楽堂だからかクラシックとかの音響はいいのだろうが、話芸には向いてない。声が反響して聞き取りにくいのなんの。うーん。

宮治師、「まずは前座で」とマクラも振らず前座になりきって噺に入る。
んー噺の出来も前座風にしているのか、間も何もなくずらずらずらーっと並べ立てているような感じ。んー、どうした?
名前を言うあたりからは普通のペースに戻っていたようだったが。

兼好師の一席め、この会場は2回めだという。
昨年に学校公演できたことがあるらしく、その生徒が「もう見ただけでチャラいの。我々いつもいうんですが、笑いの量と偏差値は比例するんです。まー落語はみんなダメでしたね。そういう子たちは大神楽とか手品だと『スッゲー』って食いつくんですけど、その日はそれもウケない。私トリだったんですけど、そんな空気の中『死神』やってやりました。そしたらグッとこっちの話しているとさことを聴いてくるような雰囲気になった。……どうです」とドヤ顔で腕を叩き、客席は拍手が起きる。「……ま、客席からアニメ声で『死神に見えない』って言われてそれがその日最大の笑いになってましたが……」。学校寄席で兼好師が聴けるなんてすごくお得なのに。
若者が自分の趣味を見つけていくときに昔は吉原へ行くことを考えるヤツが出てくると『磯のあわび』に入る。
「吉原行こうと思うんだけどどう思う? 長屋のおかみさんたちは『与太さんは騙されるから行かない方がいいよ』っていうんだけど」と冒頭から飛ばす与太郎がたまらない。これが全編続くんだから消費カロリーが凄そう。

喬太郎師の一席め、先日もそうだったが、今日も見台を出して。今日はかなり下手側の席だったので横から丸見え。
主催者もそんな状況を見て「タクシーでもいいですよ」といってくれたらしい。「でもどこから? さすがに自宅のある池袋からじゃないだろうし、かといって最寄りの桜木町からはタクシーに乗るほどの距離じゃないし……。横浜からならとも思ったんですが、メールをよく読むと桜木町からととれる文章があったんで桜木町から乗って参りました」だそうで。
そのタクシーの中で運転手に「今日は何かあるんですか」と聞かれ、「落語があるみたいですよ」と「あくまで落語にはあまり興味がないんだけど知り合いからチケットを貰ったんで仕方なくきた風」を装って答えたそうな。運転手は出演者の誰も知らなかったそうで、「でも最近『笑点』に出だした人もいますよ」と言ってみたら、「あー、きゅうじさんでしたっけ。あの人は三遊亭だっけ?」いわれ「いやー……桂じゃなかったですかねー……」「あの人たちって食えてるんですかね?」「いやそこそこ食えてるみたいですよ……」と噛み合わない会話が続いたらしい。でもこれわかるなー整体とか行って「休みの日はなにしてるんですか」とか聞かれたから「落語聴きに行ってる」と答えたのに、向こうは落語の知識がまったくないのですっごい半端で間違ったことをいわれても訂正するのもめんどくさいし……。
ここらへんで「持ち時間の半分が過ぎました」といいながら「最近よく『シンウルトラマン』どうでした? って聞かれるんですけどね。これは私の意見なんで……」とあれあんまり起きに召さなかった? という雰囲気を出しておきながら「チョーーーーよかった!」とご満悦。「今度はシン仮面ライダーも作られるようですから楽しみですなあ」と趣味の話に移り『擬宝珠』に。高座で聴くのは2回め。
やっぱり若旦那の苦悩を聞かされて戸惑う熊さんのリアクションがおかしい。
大旦那とお内儀さんに報告して、同じ趣味だった両親が「駒形橋の擬宝珠は泥鰌味、三条大橋の擬宝珠は八ツ橋味」と聞かされたときの驚きも楽しい。

仲入りを挟んで再び喬太郎師。見台をかたすのが面倒なのかとも思ったが、この後に寄席2件掛け持ちがあるそうで。
公式プロフィールには横浜出身としている喬太郎師だが、生まれは東京で、小学3年くらいまでは東京にいたそうなのであまり地元という感じでもないそうだ。昔の市長が「江戸っ子は三代続かないとなれないが浜っ子は三日でなれる」といったそうで、その軽薄さがらしくていいという。
今はそれほどでもないが、昔は黄金町は怖かったそうで、映画館に行くときには脇目もふらずに通ったとか。とはいえ今住んでいる池袋も以前は似たようなもので、街のそこここにいわゆる「立ちんぼ」と呼ばれる女性がいたという。「それにもルールがあってね。この通りにはコロンビア、この通りは中国、この通りは韓国……と国によって分かれてた。……というのをタクシーの運転手に教わりました。……私は私はタクシーの運転手にいろいろ教わってる」。あー、でも私も20~25年前に池袋北口にある会社に勤めていたのだが、会社の周囲がそういう人たちが立ってるエリアだったので残業して会社の外に出るとよく声を掛けられてたなあ。最初の頃はドギマギしていたものだが。「今じゃ全然いなくなりましたがね」と喬太郎師もいう通り、たまに池袋演芸場がハネた後に当時の会社の周辺にもいってみるのだが、そういう人がぜんぜんいない。なんか池袋の猥雑さが薄まってるようでそれもそれでちょっと寂しい気もするが。
二席めはちょっと短めの『諜報員メアリー』。演目だけは見たことがあるが、実際に聴くのは初めて。……いやー、金魚売りのようにエビ売りがおり、それが日本転覆を謀っているというとんでもないストーリー。そんでもってオチが超くだらない。そもそもそのオチをいうだけのためにストーリーが作られたそうだが、そのくだらなさが最高に面白い。あのスピード感は素晴らしい。

宮治師の二席め、「どうも、三遊亭きゅうじです」としっかり喬太郎師の振りを拾う。
「さっき兼好師匠も話してましたけど、偏差値と笑いの量って正比例するんです。でも笑いって数値化するのは難しい。会場や地域の文化、出演者などもある。でもこの間、5日間同じ場所を貸し切って、同じ出演者で10校の生徒を呼ぶっていう仕事があったんです。こんな貴重なサンプルが採取できることないでしょ!? で前座さんに楽屋にその学校の一覧を貼り出してもらって、偏差値も書いてもらった。初日の学校の偏差値を見たら、一緒に行った色物の先生が『平熱じゃん』って言ったんですよ……あ、通じた! 今笑った人はセンスがある。こういうのがホントに通じないんですよ」。でもたしかに一瞬考える間が必要ですね。
宮治師の『ちりとてちん』は2回め。なにげにこないだ聴いたのが初めてだったのか。やっぱりこの噺はわざとらしくこってりやる方が面白い。宮治師に合っている噺だと思う。

兼好師の二席め、「今や落語会の重鎮があんな(『諜報員メアリー』のサゲ)をやるなんてねえ。……いろいろ飽きたんでしょうね」と黒い笑みを見せる。
これは完全に私個人のあるあるなのだが、「車で兼好師の音源を聴くと近いうちにそのネタが掛かる」。このネタも先日車で聴いたばかり。まあ「最近この噺聴いてないな」と思って選んでるから巡り合う確率が高くなるのかもしれないが。
権助に振り回される穴山小左衛門の狼狽ぶりがおかしい。松平陸奥守からのお土産の重箱を見て「ヒェェェェ」と息を呑むところや「松平伊豆守さまが言うには、」「待てええええぇぇぇい!」とツッコミを入れるところは特に。

きっちり3時間、濃密な会でした。
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特撰落語会 三遊亭兼好 独演会 [落語]

特撰落語会 三遊亭兼好 独演会
於:王子 北とぴあつつじホール

三遊亭けろよん『転失気』
三遊亭兼太郎『佐野山』
三遊亭兼好『大山詣り』
三遊亭兼好『応挙の幽霊』

朝、先日も行ったパンビュッフェに再び行ってみる。今日は祝日だから混んでるかと思ったら普通にパンを買う人で並んでいた。やっぱ人気なんだな。いろいろなパンが小分けに切られているのでたくさんの種類が食べられるのが嬉しい。で調子に乗って食っていたらやっぱパンてあまり消化が良くないのか、夕方現在になっても全然ハラが減らない。コスパが良いといえばいいのだが。

けろよんさん、コロナから無事復帰したようで。

兼太郎さん、「そうそう簡単には師匠は出てきませんよ」とニヤリ。たいていこういう会のときは師匠前座師匠師匠という構成が多いのでお弟子さんがふたり出てくるというのは久しぶりな気がする。
『佐野山』はほぼ遊馬師か一蔵さんばかりで、他の人のをあまり聴いたことがない。兼太郎さんのは「佐野山が谷風が浮気をしているすきにおかみさんを寝取った」ということで佐野山との取り組みが組まれたのでは、という噂が流れる。もちろん「じゃねえかなと思って」という根も葉もない与太話なのだが、その際に右手の小指でおかみさん、左手の親指で佐野山がいちゃつくのがおかしい。

兼好師の一席め、「これだけ暑いと涼しいところで水ようかんを食べながら炎天下で球児たちが苦しんでいるところを見るのが最近の楽しみ」と悪いことをいう。そういうこというから萬橘師に「性格が曲がってる」とかいわれちゃうのでは。「しかしこれだけ暑いんだからなにも今やらなくてもいいんじゃないですかねえ」というのは同意だけど。まあ一部の強豪校を除けば生徒たちの受験やら夏休みやらで他の日程では難しいんだろうけど。元球児でもない私がいうのもアレだけど、甲子園である必要あるのかねえ。とはいえ、東京ドームとか京セラドームで、というのもなんかイメージわかないけど。
「我々噺家はあまり曜日やら祝日やらの意識がないので、今日が世間ではお休みだっていうのを知らなかった。なので、『今日は平日の昼間の王子だからお年寄りばかりだろうな』と思っていたんです。そしたら弟子たちがやっているのをモニターで見ていたら『あれ、思ったより客席が若い!?』と思ってそれで今日が祝日だと気づいた。……でも高座出てみたらそれほどでもないの。モニターってすごいね」。
今日は山の日ということで山つながりで『大山参り』。「大山は噺家にはいいんですよ。実際に登ってみて『大山詣り』の感じをつかんだり、あそこは猪鍋が出てきますから『二番煎じ』にもなるし、かわらけ投げがあるので『愛宕山』にもなる」。学生時代大山の麓に住んでたけどなにひとつやってないんだよなあ。
坊主にされた熊を発見した若い女中が「きゃあっ」と悲鳴を上げ、それを聞きとがめた女将が「まったくなにを騒いでるんだい」といいながら「ゔおぉっ」と野太い声で驚くのも毎回笑える。

二席めも夏らしく幽霊の噺を。円山応挙は自分が見たものしか描けない画家で、幽霊画を描くときに病床にあったおかみさんが「それなら私が死んだら幽霊になって出てきます」といって実際に出てきたというエピソードを話し、応挙がこれだけ有名なのに真筆といわれるものが少ないのは描かれた幽霊が掛け軸から出ていってしまうからだと仕込みを入れる。
道具屋がいい商いがあったと仕事を切り上げてひとりで酒を呑むシーンはいつも酒が美味そうに見える。
呑みながら「自分にかみさんがいたら」と妄想を繰り広げ、ふと「うわあすっごい寂しい」と我に返るのがおかしい。
掛け軸から抜け出た幽霊が、「こないだお岩さんとお菊さんと女子会をしてきた。お岩さんは恨み言ばかりをいう酒で、お菊さんは陽気な酒だけど酔って皿を割る酒乱」という小ネタもクスッとなる。
とはいえこの噺の眼目はやっぱり都々逸。たっぷりと唄っていい喉を聴かせてくれる。噺家で唄が上手いというのはマストではないけれどやっぱり大きな武器だよなあ。市馬師のようにそれを売りにしているわけではないけれど、いずれ兼好師の喉が聴きたいと名物のようになっていくかもしれない。
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SKIPシティ落語会&ウィークエンドシアター 柳家喬太郎 『浜の朝日の嘘つきどもと』 [落語]

SKIPシティ落語会&ウィークエンドシアター 柳家喬太郎 『浜の朝日の嘘つきどもと』
於:川口 SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ

柳家やなぎ『お菊の皿』
柳家喬太郎『野晒し』

喬太郎師が出演した映画『浜の朝日の嘘つきどもと』とセットの落語会。コロナが流行ってから初めて大きなスクリーンで映画見るかも。
主演の高畑充希は美人だし大久保佳代子はキャラ通りなのにすごくいい演技してるしもちろん我らがキョンキョンもさすが。
……けど流石にちょっとご都合主義が過ぎませんかね……。まあ実在の映画館をモデルにしたストーリーだからってのもあるし、南相馬の支援も兼ねているのかもしれないがそれにしたって。
閉館を決めた映画館朝日座支配人の喬太郎師のところに高畑充希が乗り込んでくるというオープニングなのだが、そもそも誰かもわからないような人がいきなり乗り込んで、周りの人の困惑もお構いなしに勝手に引っ掻き回して決まっている話をひっくり返そうとする。……ラノベとか厨二くさい漫画によくあるパターンを臆面もなく映画でやりますかね……。しかもなんで周りもそれに従ってんの?
そんでストーリーが進んでなぜ主人公が朝日座にきたのかがわかっても、全然「なるほどー!」とはならない。動機うっすいなあ……。いや、別に面白くないわけじゃないんだよ? 2時間近く飽きさせずに楽しませてもらいました。けどなんちゅうか、日常の延長線を描いているような映画で、「いやそうはならんだろ」という違和感があちこちに散見されてなんかそれが引っかかった。

映画が終わり15分程の休憩のあとにやなぎさんが登場。
「映画を見て、その後に映画に出ていた師匠が落語をやる、となると『あれこの人も映画に出てたのかな』と思われるかもしれませんが出てません」。
途中までは普通の『お菊の皿』だったが、途中から地下アイドルのような感じになったうえ、調子を崩して皿が数えられなくなったのだが、なぜか客と一緒に皿の枚数を数えるというものに。最近ちょっと聴き飽きていたから新鮮だった。

喬太郎師、最近膝を悪くしたそうで今日は釈台を前に。「決して笑点の視界を狙ってるわけじゃございません」。
マクラはもちろん映画の撮影秘話などを。
「この映画のなにが贅沢かって大和田伸也さんと六平直政さんですよ。商店街の会長や店主役でちょこっとしか出てこないの。最終シーンを撮ってるときに『こんな少しなの久しぶりだよなあ』なんて話していて、こちらは恐縮しきりですよ」。
「あの映画にね、同期の扇辰さんと後輩の左龍さんも出てるんですよ」。ええっ!? 扇辰師が出てたら気づくと思うんだけど。「私の祖父さんが映画館を建てたっていう設定なんですが、その映画館のロビーに祖父さんと親父の写真が飾ってある。その祖父さんが扇辰さんで、親父が左龍さんなの。遺影。で、公開後によーーーーーく探してみたんですが、その遺影が映ってるところ一個もないの」。じゃあ気づけるはずもない。「でも慣れない撮影中に、写真でも仲間がいるっていうのは心強かったですよ」だそうで。
映画の中で次回上映作品の紹介チラシがちらっと映るシーンがあったのだが、そのチラシのイラストを喬太郎師が描いたんだそうで。「監督が描いてみてっていうからいいっすよってさらさらっと描いたら『あらいいじゃない、これ使おう』って持ってっちゃった。それは下書きなのに! いかに金をかけないで作った映画かと……」。あ、やっぱり? それっぽいなと思ったんだ。
「本来落語は前の人がやったのと似たような噺は『つく』といってやらないというのが不文律なんですが。今日はその珍しいものをお見せします」といいながら幽霊ネタの『野晒し』に。なんでついてる『野晒し』を演るのかという事情も言っていたのだが、なんだったっけかなあ。
昔は今の田原町のあたりを新町といい、馬の革で太鼓を作っていたと丁寧に仕込みを入れてから噺に入る。
逃げた周りの釣り人からせしめた焼き豆腐と油揚げの弁当を食べているシーンでは丁寧につゆを舐めあげ、「こういうところはやっぱり俺も柳家だな」とポツリ。
改変などもまるでなく、最初から最後までびしっとした正統派の古典。聴き応えのある一席。
……ではあるんだけど、一席かあ……。映画に落語ついて、落語は一時間あるから前座含めても二席かな、そりゃお得だわーと思って行ったんだけど、一席かあ……。そっかあー……。いや、まあ、ねえ。そりゃ俺が勝手に思ってただけだけどさ。やっぱさすがにこの値段じゃキョンキョンは二席はないかあ。
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新宿文化センター落語会 一蔵と市弥と小辰 [落語]

新宿文化センター落語会 一蔵と市弥と小辰
於:東新宿 新宿文化センター小ホール

春風亭一蔵 柳亭市弥 入船亭小辰 オープニングトーク
柳亭市弥『甲府い』
入船亭小辰『あくび指南』
春風亭一蔵『らくだ』

開演前に携帯の電源についてなどのいつもの影アナが入る。……ん、これ一蔵さんの声だな、と気づいたら噛むわ吹くわとボロボロに。その後もマスク着用の徹底に続いて「つまらなくても笑うということの徹底をお願いします」とやりたい放題。
小辰さん、市弥さんに続き、一蔵さんにもようやく後援会ができたようでチラシが入っていた。

オープニングトークでもその件について触れる。「私、定型文が読めないんですよ。本当は小辰さんの美声でやろうって言ってたんですけど。着替えるのが遅いんで仕方なく私が……」「アニさん『俺にやらせて』っていってたじゃん」とわちゃわちゃ絡む。
「今日はね、トーク長いです。というのもホントは辰ぢろさんに前座頼んでたんですけど、流行病ということでね……」。最近感染してももうそんなに話題にすらならないもんなあ。
「その分噺を長く演るっていう考えはないんですか!?」という小辰さんの言に大きな拍手が起きる。そらそうだ。なんなら誰かが二席やっても……。
トークの話題はやはり披露目準備が大変だということ。
三人衆としての御礼状などの宛名書きをいつも小辰さんと市弥さんで書いているらしいのだが、市弥さんが「もうボールペンでいいっすか」といい出したらしく。「お前噺家なのにボールペンはないだろう」とたしなめたそうだが、「アニさんは全然書かないじゃないですか!」と反撃を食らう。小辰さんが「今日なんかアニさんの個人名で出さなきゃならない御礼状の宛名書きを頼まれてさすがにそれは怒った。『いい加減にしなさい』って」。一蔵さんは「いや俺は筆に難があるというか……」といいながらも「俺の字は一部の人には『たまらない』といわせる字ですから」という。市弥さんと小辰さんは「えー……」と納得の行かない様子。「じゃあ今日の演目張り出しをそれぞれで書こう。それでお客さんに投票してもらおう」と急遽イベントが盛り上がる。「あっ、でもお前難しい字の噺を演るなよ。『藁人形』とか書けないからな」「『紫檀楼古木』とか」「なんだそれ噺自体知らねえ」などキャッキャキャッキャと盛り上がる。というかやっぱり小辰さん師匠のこと好きすぎじゃない?
「まあえーとかつらみやおさむさん、でしたっけ? よく知らないんですけど。あとパクザンでしたっけ? 最近は押されっぱなしですから我々の真打昇進から『打倒成金』で盛り上げていきたいと思います!」と決意表明。
幟や後幕もできてきたそうだが、小辰さんがまだできていないそうで。後幕の染め方にも注意が必要だそうで、「仕上がるまで気ぃ抜いちゃダメ……なんで俺一足先に昇進してるような言い草になってんだろ」と一蔵さん。
「それにしても我々は本当に仲がいい。これまでさんざん真打昇進の準備で上の人たちがつかみ合いの喧嘩にまで発展しているのを目の当たりにしてきましたが、我々はノー喧嘩ですから」だそうだ。ただ一蔵さんによれば「この三人の中で俺が一番上ってのがポイント。それで何をやっても許される。で、小辰が一番下ってのも外せない。この順番だからいい。だって小辰お前が一番上だったら俺のこと受け入れてないだろ!?」「そんなことないですよ。……でも『お前筆で字が書けるようになれよ』とは言うでしょうね」とやっぱり宛名書きに対する鬱憤は相当溜まっているようだ。

一番手は市弥さん。市馬師から着物をもらったそうで、しかも仕立て直しをしてくれた状態だったらしい。さすが市馬師優しい。着てみたところサイズもぴったりだったそうで、早速次の日にお礼の電話をしたそうだ。そこで「サイズピッタリ」といったところ市馬師に「お前噺家なら『サイズ』とか言うな」とかなり怒られたそうだ。ただその後にオチがあって……とここでは書かないけれども。
なんか最近『甲府い』をやたら聴いているような気がする。仲入りのときに後ろのオジさんも「最近よく聴くんだよなあ」といっていたので流行りがあるのかもしれない。
親方の江戸っ子っぷりが強めで市弥さんの口跡と合っているように思う。……けどちょっとやりすぎというかあざとさもちょこっと感じるかな。
善公に意向を聞くときに、おかみさんが口籠もる逡巡がリアル。

小辰さん、最近聞き間違えなどが多いというような話題から、うどんを出す居酒屋で飲んでいたときに、隣のチャラい集団が4人全員カシスウーロンを頼んだという。受けたのはバイト初めてという感じの外国人女性だったのだが、しばらくすると素うどんが4つ運ばれてきたという。なるほどありえない話じゃない。面白いなと思って小辰さんもカシスウーロンを頼んだところ……という話をマクラに。
女の師匠を思っていたのに出てきた師匠が男でキョトンとしているその佇まいがおかしい。
それで「看板かよ……」と嘆き、適当にあしらっていたのが一度実演を見た後の手のひら返しがまた面白い。心を入れ替えて稽古に励もうとするが、「すみませんさっきはまるで聞いてなかったもんで」と何も覚えていないのがまたおかしい。

一蔵さん、「さっき小辰さんが『一蔵アニさんが”甲府”ってどうやって書くんだっけっていってた』といってましたけど、そんなわけない。私元トラックドライバーですよ。中央道で『甲府』って3つ出口があるんだからどれだけ見てると思ってんだ。……でも『欠伸』はちょっと自信がない」。
小三治師の芝居の池袋演芸場で弟子入り志願をした話をマクラにひらがなの演目『らくだ』に入る。漢字で書けば「駱駝」だけど、さすがに漢字表記は見たことないなあ。
最近はいろいろな演目を抑えめに演じているように感じていたが、久しぶりにフルパワーの姿を見たような気がする。兄貴分の恫喝もそうだが、屑屋が酔っ払ってからの酒乱ぶりがものすごい。最近抑えめにしている反動か、ちょっとやりすぎなような気も……。初めて聴く人とか引いちゃうんじゃなかろうか。

終演後、演目が3枚貼り出されていた。
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②が一番上手いと思って投票したところ、市弥さんだったようだ。字上手いね。①と③もどっちも見覚えがあるのだが、どっちが一蔵さんか見分けがつかない。
一蔵さんのTwitterによれば①が一蔵さんで③が小辰さんらしい。あー。今思えば「小辰」の字はよく見ますわ。
メールを見たらもう後援会に振り込んだお礼が来ていた。時間的に市弥さんの高座のときじゃん。早っ。
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新宿末廣亭余一会 夜の部 兼好・王楽・萬橘三人咄 [落語]

新宿末廣亭余一会 夜の部 兼好・王楽・萬橘三人咄
於:新宿末廣亭

三遊亭げん馬『寿限無』
三遊亭王楽『お菊の皿』
三遊亭兼好『置き泥』
三遊亭萬橘『売り声』
三遊亭王楽『愛宕山』
三遊亭兼好 三遊亭萬橘 三遊亭王楽 鼎談
三遊亭兼好『不孝者』
カントリーズ 漫才
三遊亭萬橘『甲府い』

昼にデカ盛りで有名な店に行く。家からは歩いていくと約50分くらい。腹減らし・腹ごなし・ビールのため炎天下の中を歩いていく。あっついけど夏は好きだし、この夏のクソ暑い中を歩くのも割と好き。小学生の頃の夏休みのワクワク感や、タイへ行ったときの開放感あふれる旅情をフッと感じることがあって、それがとても楽しい。汗かいてベタベタになるのは嫌だけど。
ビールとカツ丼を頼むと、ビールのお通しとしてレバニラが出される。小鉢にとかじゃなくてフツーに一人前。レバーたっぷり。この時点でいろいろとおかしいが、しかもこのお通しタダなのだ。おおん? なおお通しなのでリクエストはできないが、多分店主の気まぐれというかその時点で入っているオーダーと一緒に作るのかもしれない。俺のオーダー後に隣りに座った人はとんかつ一人前がお通しとして出されていたので、俺のカツ丼のカツと一緒に揚げたんじゃなかろうか。その隣の人は鶏の唐揚げを食ってたっぽい。
カツ丼が到着。ラーメンどんぶりにロースカツが2枚乗っている。もうこの時点で他の店の2人前なのだが、そこにレバニラ1人前とビール大瓶。フードファイターかってくらい何も考えずにハラに詰め込む。なおその店はまあ量はすごいけど、正直味は中の中から下手すりゃ中の下くらい。不味くはないけどそんなに美味いってもんでもない。でもたまに行きたくなるんだよなあ。いつもいっぱいで今日も「YouTube見て来ました」っていうカップルがチャーハン特盛を頼んでた。それ五合くらいあるんだぜ。ふたりでも無理じゃね?

時間が経ってもまったく減らないハラを抱えて末広亭に。……せめて一蔵小辰真打披露興行まではもってくれー。
私が到着したときにはすでに寿限無がそこそこ成長していた。そういや余一会は普通の寄席の特別興業みたいな形だから、前座は開演時間前に出るんだっけか。

王楽師の一席め、王楽師も暑いのは嫌いじゃなく、暑い中を歩くのが好きなのだとか。おや趣味が合いますな。
これまで7月の余一会はいつも兼好師との二人会だったが、今年からは萬橘師を加えての三人会に。「助かりますよ、いつもはひとりで45分あって負担だったのを減らせるんですから」と萬橘師の噂に。
以前「やねせん亭」という会をやっていて、その会の打ち上げというか食事をふたりで根津の中華屋でしたそうだが、そこに「猫ですか?」というサイズのネズミが出たらしい。「うわっと驚いてパッと前を見たらまたネズミみたいな顔をしている人がいて……」と笑わせる。ところでドラえもんかってくらいネズミをものすごく怖がる人いるけど、アレ何? Gとかはわかるんよ、見た目キモいから。けどネズミって哺乳類じゃん。そんな見た目グロくないし、なんならかわいい部類に入ったっておかしくない顔じゃん。何がそんなに怖いのか
がよくわからん。
噺の本編はお菊初登場時にウスドロの太鼓は入ったが、それ以外はややあっさりめ。いやでも若手にありがちなゴテゴテの「お菊オンステージ」はあんまり好きじゃないので、これくらいがちょうどいい。夏の噺なんだからさらっとね。

兼好師も萬橘師いじりから。「萬橘くんくらい暑苦しい方が返って聴いた後に外に出ても『あっ思ったより涼しい』ってなる」と先日の三遊まつりでもいっていた話を。
昔は泥棒にも技術があった、とスリをマクラに。すごい人になると財布を掏って現金だけを抜き取り、さらにその後懐に財布を戻したという。「すられた人は財布に入れられた領収書を見るまで気づかなかった」。
『置き泥』はほぼぴったりひと月前に聴いたが、その時のトラウマというかショックが蘇る。うう。まだ引きずってます。
「『誰だおめえ』って夜中にぬっとへえってきて『金を出せ』っていってるんだから泥棒だろうよ」「だっておめえ入るのに大きな音出して穴に落ちて『キャッ』っていってたじゃねえか」というやり取りがおかしい。これに至るまでの経緯を全部書くと大変なので割愛しますが。
どんどんとエスカレートする要求に「え、それ俺? 俺が出すのか?」と納得の行かない様子の泥棒もおかしい。だったら見捨てりゃいいのに。

兄弟子二人からいじられ放題の萬橘師、みんなにいじられるからか客からも雑な扱いを受けることもあるようで、「私が話し出すと出てく客がいるんだよ。こないだはついに独演会で出ていった客がいた」。
『売り声』は初めて聴く噺。金魚や大根とごぼう、さつまいもの売り声などは古典のマクラでよく聴くが、そこに寄席の客引きとして前座が落語の説明をするというネタが追加されている。「前座ー! 落語が『面白い』とか『ためになる』とかいうな!」と指示が出るのがおかしい。

再度王楽師、「えー今のは『売り声』という萬橘さん渾身のやっつけでした」と身もふたもないことをいう。まあトリネタに向けて温存してるんでしょう。
昼の疲れが出たのか半分ウトウト。

仲入りを挟んで鼎談。
誰が進行役をするのかなどもまったく決めずに出てきたらしい。
まず兼好師が「われわれ昼にも浅草で圓楽一門会があったんですが、最近浅草でレースの着物を着ている人がいる。……今日レースの着物を着てる人いますか? ……いませんね? ……アレ馬鹿ですよねえ!?」と口火を切る。着物も帯も真っ白なレースなんだそうで。下着みたいだな。
そこから「なぜ萬橘師が普段から着物を着るようになったのか」をみんなで話す。なぜか洋服を着ていたときに「なんか汚えなあ」とよく言われ、それがきっかけで奥さんが着物を着るように考えたという。それでも着物を着ても「なんか汚えなあ」といわれてしまうそうで、もうお手上げ状態っぽい。実際よくそんなんでいじられてるしなあ。

兼好師の二席め、会津若松はそうでもないそうだが、東北の田舎は夏に成人式などいろんなイベントを行うのだという。同窓会なども開かれるそうで、そこから小学校時代から好きだった人と50代で結婚した人もいるのだとか。そんなところから昔の妾と焼けぼっくいに火がつく『不孝者』に。
冒頭の飯炊きの清蔵との攻防も面白いが、やはり芸者の欣弥との邂逅場面がいい。欣弥の色っぽい仕草と大旦那の情のある話しぶりが見事。その雰囲気をぶち破るサゲ手前の「お供さーん、若旦那お帰りですよー!」という破壊力が楽しい。

萬橘師の『甲府い』は7年ぶりくらいか。サゲの仕込みとなる「とーふーい、ゴマ入りがんもーどき」という売り声はかなり進まないと出てこない。どうすんのかなーと思ったが、最後の方のお花との縁談を計画する場面まで出てこない。そのゴマ入りがんもどきも善吉が考案したことになっている。
豆腐屋の若い者の金公は豆腐屋をやめておらず、最後の方にも出てくるがこれがまたちょっとしたアクセントで面白い。

来年は31日は月曜かー。来たいけどどうかなー。そして何より末廣亭が……。
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人形町噺し問屋 その93 [落語]

人形町噺し問屋 その93
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭兼矢『お見立て』
三遊亭兼好『馬のす』
ふくろこうじ パントマイム
三遊亭兼好『船徳』

クライアントが先週夏休みで、休み明けの動きが鈍いうちにさっさと仕事を上がって人形町に。

まずはご挨拶。
「あんまり触れるのもアレなんですが、やっぱり安倍さんのことは避けられないでしょう。あの日、私は関西の仕事だったんですが、新幹線の中でアレとソレとコレのネタかなあ、マクラはあの話とこの話をして……と考えがまとまっていて余裕があったんです。そしたらあの事件があって……。で、その日考えていたネタが『近日息子』『たがや』『死神』だったんです。もう全部ダメ。代わりのネタを慌てて探して、『井戸茶』なら大丈夫か? 『五十両であの騒ぎですよ、百五十両なんて持っていったら大砲で……』ダメだ! なんて考えて、結局出てきたのが『藁人形』。全然ウケなかった」。あの日にできるネタなんてそうそうないでしょうねえ。
話題が「『ナウシカの呪い』っていうのがありますね。最近ナウシカをネタにした落語を作らなきゃならなくなって」といったときにちょっと会場がザワつく。こないだの新宿の会のヤツですな。まあ驚くよねえ。
「なのでレンタル屋でナウシカを借りて女房と娘と一緒に観たんです。あれはよくできた話ですね。で観終わって『虫も大切にしなきゃね』なんていってたら次の日ですよ。リビングで本を読んでいたら小さい虫がやけに飛んでるんです。『今日はやけに多いな』と思っていたら、風呂から上がってきた娘が『うわあっ』って。なにかと思ったら後ろの壁一面にびっしりと小さい虫がいるんです」。うへえ。普段は虫がほとんど入ってこないのに、ナウシカを観たらそんなことが起こり、さらに二日連続でGも出たとか。俺もこないだの噺を聴いてアマプラかなんかでナウシカ見返そうかと思ったけどやめた。
けろよんさんがコロナ感染のため、今日は兼矢さんが開口一番。「仕事がないっていうんで呼びました。今日の出来次第によっては前座に戻すかもしれません」と怖いことをいう。

「仕事がないんでこちらに来たんですが、そんなに私の二ツ目生活がかかっていたとは……」という兼矢さん、聴きに行きたいんだけど土日にあんまりやってないんだよなあ。こないだは二ツ目の弟子3人揃ってお祝いの会をやってたけど、その時間に師匠は他の会に出てるという。なんでそんなときにやるかなあ。そら師匠の方に行っちゃうよ。
『お見立て』は先日も聴いた噺。間もそんなに取らずにどんどん進んで行ってしまうので少々慌ただしい感じ。いくつか面白いフレーズもあったので、もう少し落ち着いたテンポで聴いてみたい。

兼好師の一席め、最近は旅の仕事も戻ってきたが、あまり交通機関でツいていないという。先日福岡空港であった交通整理係との交流をマクラに。
また、落語協会のお囃子さんときく麿師のお弟子さんの十八さんと三人で旅の仕事から帰る際にいろいろと話をしたという。お囃子さんも十八さんもふたりとも学習院卒らしい。しかも十八さんは元教師だったそうで、「喜多八師匠とか文菊くんとかいますから、学習院からの噺家というルートもないわけでもないですが……。『えーもったいない。バッカだなーお前。なんで落語家になんてなろうと思ったの?』『いや、どうしてもなりたくなっちゃって。それにインタビュー記事で”いつでもなれる”っていうのを読んで……』『うわーそんなの本気にしちゃったの!? 誰の話ソレ?』『兼好師匠です』。……最後まで聞かなきゃよかった」。
「最後まで聞かなきゃよかった」繋がりで『馬のす』に。
兼好師の『馬のす』は初めて聴く。というか『馬のす』自体ほとんど聞かない。まあ小道具として枝豆が出てくるので、どうしても夏の噺ということになるのだろうか。本当にただただくだらない話をだべりながら枝豆を食べるというのがいかにも落語的。
噺の冒頭の釣り道具の点検をしている場面でテグスを口で舐める仕草があるのだが、実際に糸があるんじゃないかと思えるくらい自然でなめらかな動きがすごい。

ふくろこうじ先生、基本はパントマイムなのだろうが、シガーボックスなどの大道芸も。こういうのずっと見ていられる。

兼好師の二席め、「羽生結弦さんがプロになるそうですね。フィギュアは競技を引退してからプロになるってんですからすごいですね。落語なんてどこからがプロかわかりませんからね。それにしても羽生さんはナルシストなんでしょう。自分が大好きで、さらに自分を客観的に見て『理想の自分にはコレが足りないからこういう練習をしよう』というのがわかる。それでより理想の自分になっていって自分をより好きになる」だそうだ。彼に憧れてフィギュアを始める人も多いでしょう、憧れるといえば昔は船頭で……のような流れで『船徳』に。
船頭たちが勝手に罪を自白するシーンでは、場を仕切っている船頭が「他には誰かいねえのかい。今なら俺が一緒に謝ってやる」などといいながら、最後に「女将さんの行水を覗いたのはアタシです」と白状するのがおかしい。
若旦那の船頭ぶりもナルシストが入っており、竿をさすシーンでは「アタシは踊りが踊れるんで」と踊るような仕草で竿を操るが、そのうち踊るのに夢中になって竿を流してしまうというのがたまらない。
船に乗る客が、事前に女将から「もし船が止まるようなことがあったら『女の子がいるぞ』と声を掛けてください。そうすれば進みますから」とアドバイスされているのもおかしい。実際に若旦那がへばったときに言ってみるのだが、一瞬だけキリッとなってすぐに「女の子なんていない。騙された」と駄々をこねるのも笑える。
全編バカバカしさがまぶされており、どこを切り取っても楽しい一席。
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新しき哉!!特別編 三遊亭兼好独演会 [落語]

新しき哉!!特別編 三遊亭兼好独演会
於:新宿シアタートップス

三遊亭兼好『かぐや姫』
みま オペラ座の道化師
三遊亭兼好『ナウシカ七段目』
三遊亭兼好『PTAブルース』

値段高いし、平日だしどうしようと悩んでいるうちに満席になってしまった会。
たまたま有給を取ったし、とチケット救済サイトを見ていたら少し安く出品されていた。しかも振込先は同じ銀行で振込手数料もない。これはいいと思って購入。……いかんなー金がない金がないといいながら全然歯止めが効かなくなってる。今月これ含めて13回、先月なんか15回も落語行ってる。15回て。2日に1回行ってるって趣味の域超えてるよなあ。
木母寺から一度家に戻り、荷物を置いてすぐに家を出る。これが大きな間違いだったとも知らずに。
朝に腹いっぱい食べたため昼は食べなかったのだが、そのせいか夕方になって腹が減ってきた。ささっと蕎麦でも手繰るかと小諸そばに入ると蕎麦を茹でるといって結構待たされる。小諸そばいいんだけどこれがあるんだよなあ。慌てて食うも時間がヤバい。
新宿に着いた時点で開演3分前。バイクを置いた場所から会場までが遠い。やべえ前座あるのかな? と焦りつつ3分ほど過ぎて会場に着く。まだ開演してなかった。助かったー。席に着いた途端に出囃子が鳴る。

登場した兼好師、いつもよりやや困り笑いをしているような……。
「この会があることはわかっていたんです。でも先日あるお客さんから『兼好さん、新作の会やるんですって? 楽しみにしてるわ』といわれて。おや? と思って。そしたら他のお客さんからも『新作″だけ″の会やるんですって?』といわれて。おやおや? と思ってチラシを見たら『新作限定』と銘打たれている。ええーって。それに気づいたの7月頭ですよ。私としては『PTAブルース』だけ新作で、権助魚、PTA、ゲスト、ちりとてちんのつもりだったんです。慌てて原作の黒川さんに『台本送ってください』って頼んだら、4行くらいの台本が送られてきた。『いやいやこれじゃなくて、あるでしょちゃんとしたの』と返信して、とりあえず他のネタを考えなきゃってちょっと放っておいたんです。で、そっちも煮詰まっちゃって、じゃあせめてPTAを覚え直そう、と思って送り直してもらった台本見てみたら……やっぱり4行しかないの。そうだ、確か冒頭にある人がPTA会長をたずねて学校にやってきたところだけ原稿あって、その後は口頭で打ち合わせしながら作っていったんだったって思い出した。で、前に小劇場でやったんですが、ビデオに撮ってないから音源が残ってないんです。何が言いたいかというと……今日は不安です」。
最近は新作を作るのもいろいろ大変だそうで、「昔は寄席で噺家がなんか言っても『噺家がいってることだからしょうがねーな』で笑って許してくれていた。だけど最近は真面目な人が多いんでしょうね、すぐセクハラだパワハラだとクレームがつく。男女の差もダメ。……あのー、レースのパンツ、パンティあるじゃないですか。アレ、男物もあるんですってね。それをはいている人を見たら何て言うのが正解なんでしょう。……聞いてもどうしようもないんですが。たとえば喬太郎師匠はいつも楽屋をパンツ一丁で『今日は何演ろうかなあ』なんていいながらウロウロしてるんですよ。その喬太郎師匠がですよ。レースのパンツはいてウロウロしてたらなんていえばいいんですか」。知りません。
「こういう許容しない世の中だからか、結婚も難しいですわね。離婚も多い。結婚する数は年々減ってるのに、離婚する数はずっと変わらないんですって。つまり離婚する割合が増えている。……でも離婚して再婚する人ってなぜか結局同じタイプの人を選びますよね。アレなんででしょうかね」。まあ人の好みはそうそう変わらないでしょうからねえ。
そこから月の世界に戻ったかぐや姫の噺に。月に帰った後に天帝と結婚したかぐや姫が、天帝がいろいろと細かい人ですっかり嫌になって別れ、部下に延々と愚痴をいう噺。かぐや姫は月の世界だと上の中の下くらいのレベルだが、地球では「絶世の美女」と呼ばれていて良かったと回想している。「じゃあまた地球に行けばいいじゃないですか」といわれてその気になるも、結局は天帝と同じく細かい人と結婚してしまい……というもの。
かぐや姫の性格の悪さが楽しい。

ゲストのみまさん、「オペラ座の道化師」という肩書だがバンドネオンを持ち何とも言えない衣装で登場。バンドネオン漫談みたいなものかとも思ったが、オペラ歌唱ありマジックあり。

二席め、ナウシカ歌舞伎についていろいろ熱く語る。「いいですよ、菊之助さんがあのナウシカの青い衣装を着てるんです。歌舞伎の化粧で。最初見たときはモンゴル料理屋の女将にしか見えない。『ヒツジヤケタヨ』っていってる感じ。でも6時間あるんで、徐々にナウシカに見えてくるんですよ。王蟲の完成度もすごいん。6時間あるうち、10回は感動できます。そんで20回爆笑できる」だそうで。
そこからいつもの『七段目』の場面に。あれ、新作諦めた? と思っていたら若旦那が真似事をする芝居がナウシカ歌舞伎。ナウシカの名台詞や名場面が『七段目』のストーリーに載っていく。
……うん私『風の谷のナウシカ』は30年前に一度観たきりで、セリフやらストーリーやらほとんど覚えてないんだよなあ。覚えてたら面白いんだろうけども。
若旦那と定吉が遊んでるのに激怒した大旦那が踏み込んできたときにふたりで「バルス!」を唱えるのがおかしい。

三席めにネタ出しの『PTAブルース』。これ確か8年前にスタジオフォーの会で聴いていて、多分ネタおろしだったはず。原作者の黒川さんも来ていたと記憶している。
けどその時のブログを読んでも感想があんまり書いてない。うーんなんかそれほど面白くはなかったみたいな印象だった。
今回久しぶりに聴いたがかなり面白かった。次期PTA会長を決めるための話し合いの場にある人物がやってくる。「台本はここまでです」。
現PTA会長に拉致同然に連れてこられた参加者たちが、「こんな騙し討ちみたいに集められた会は無効だ」と詰め寄るも、「あなた方も嘘をついてこの会合を欠席しようとしていたでしょう」と関係者に聞き込みを行い、その証言を動画に撮ってくる。その再現VTRを演じるのがたまらない。これは『花筏』で「花筏(提灯屋)は病気じゃない」と暴く手法に通じる。
次期会長を押し付け合い、自分は前科者だからとか自分の店が潰れそうだとかいろいろ白状するのにそれをいちいち現会長に潰されるのがおかしい。
現会長に戦いを挑むも、あしらわれてロッカーにしまわれてしまう「ロッカーのミタさん」のキャラも楽しい。

終演後、珍しく高座から降りて舞台の上に立ちアフタートーク。
「もうこんな会は今後ないと思うんで、せっかくだから撮影タイムでも」。
えええええええ! さっきカメラ家に置いてきちゃったよ! 家に戻らず直接くれば遅れそうになることもなく、一眼レフを持ってきていたのに……!
GRIIはあったけど、28mm相当の広角だから遠い……! トリミングしてようやく見えるかな。なにげにiPhoneの方がよく撮れてるような……。やっぱりこういう突発的な撮影だとGRIIはいろいろ設定とか必要だから辛いね。

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RICOH GR II

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iPhone 11 Pro

でもこうやって並べるとやっぱりGR IIの画像いいな……。
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三遊まつり記念寄席 [落語]

三遊まつり記念寄席
於:鐘ヶ淵 梅柳山木母寺

三遊亭兼好『宮戸川』
三遊亭楽天『壺算』
三遊亭萬橘『風呂敷』

有給。
朝はこないだテレビで見たパンビュッフェというところに行ってみる。思ったより遠い。
「接客が悪い」なんて評価があったけど、別にそんなこともなく。パンも美味い。
さて帰ろうとしたら結構な雨。まあTシャツだしもう濡れて帰るんでいいよ。寒くもないし。

家に帰り二度寝。うーんせっかくの有給なのに有効に使えてるのかどうか。

三時から法要があり、四時から記念寄席。うーむ。法要か……。
空はすっかり晴れ、暑そうなので少し遅れて向かう。寺の三遊塚に向かって読経をしているところ。それに参列者がお焼香をしていた。
どうしたもんかと見ていたら、兼矢さんが私を見つけて説明してくれた。任意で護摩札を購入し、さらに一般の人も参列していいのだとか。せっかくなので護摩札も奉納し、焼香もする。

兼好師匠も会場でその様子を眺めていたので少し雑談を。このあと新宿で新作の会があるんですよねーと聞いたところ、「だからここの順番を早めにしてもらってそのまま向かうの。どうしよう」。どうしよう? 今日は全部新作なんですか? と聞いたら「知らなーい。なんにも聞いてない」。マ? 笑ってたけど困ってる雰囲気は感じた。

そのうち読経も終わり、福袋の販売に。千円で手拭い2本と両国寄席のチケットが入り、運が良ければ扇子の引換券が入っているらしい。扇子は3人しか当たらないとか。
私が購入した福袋には圓橘師と上楽師の手拭いが。……一勝一敗、か……。どっちがどうとは人として言わないけれど。扇子はハズレ。兼好追っかけ仲間が当たっていた。おおすごい。

宣言通り兼好師がサラ口で登場。
「こんな暑い中ありがとうございます。こういうときは涼しい噺を演る人が出ればいいとお思いになるかもしれませんが、それでは終演後に外に出ると暑さが倍増する。こういうときは萬橘くんのような暑苦しい噺を聴くのがいいんです。『うわっ、もうやめて』と暑苦しさを浴びた後に外に出すと涼しく感じる」とめちゃくちゃを言う。
どうやらけろよんさんもコロナに感染したらしく。兼好一門の割合高いな。
「私も2月に感染しましたけど、面倒なんですよ。ずっと家にいなきゃならないんですが、そうするとずっと女房と一緒にいなきゃならない。これは辛いですよ。最初は『女はお前しかいない!』と思って結婚するんですが、三月もすれば『女はお前しかいないのか?』と疑問形になりますから」と男女の仲の噺に。
冒頭の「締め出し食べちゃった」で「食べちゃった」というお花の顔がなにかあざとさを感じさせる言い方になっているのは気のせいか。
最後の場面でお花が半七に迫る場面では、半七が「なんでそんなに笑いながらこっちにくるんですか!」と抵抗する場面は『紙入れ』と通じるものがあって余計におかしい。

楽天さん、噺家の世界は年功序列で、先輩の言うことには逆らえないのが不文律だという。多分兼好師が先に上がってることのいいわけかな。上の先輩のいうことだから逆らえない、と。
楽天さんの『壺算』は兼好師とはまた違った感じ。値下げ交渉もあっさり決まるし。全体的に刈り込んだからか、ややあっさりめというか。このフレーズを入れるのであればこのセリフは入れとかなきゃダメだろう、というところまで刈ってしまっていたため、なんとなく全体につながりが悪いように感じた。

萬橘師、開口一番「兼好は帰りました。あれだけ人の悪口を言っておいて、自分が終わったらすぐ帰る。『俺、後があるから』って。仕事があるっていうのも腹立たしい」とぶつぶつ。
「奉納落語って誰に向かってやるんですかね。三遊亭の先輩方に『頑張ってやってますよ』って見せるためのものなんですよね。昨年もここでやっていたら師匠に『そんなに汗だくになって一所懸命にやんなくたっていいんだ』って言われたんですけど、ここ暑いんだよ!」とすでにうっすらと汗をかいている。ここなんだろ、お寺の控室かなんか? クーラーも旧型ですんごい寒いか全然効かないかのどっちか。
「『トップガン』観ました?」と唐突に話題は変わる。萬橘師は映画館で観たそうだが、ポップコーンの食べ過ぎで気持ち悪くなってしまったそうで、家に帰って奥さんに訴えたら冷たい声を掛けられたという。夫婦の力関係に触れて『風呂敷』に。
萬橘師の『風呂敷』は初めて。兄いのところに飛び込んでくるおかみさんも兄いのところのおかみさんも強い。
大体の人は弟分のおかみさんは「後ろめたいところはないけど亭主がヤキモチ焼きなので押し入れに隠した」という演出だが、萬橘師は確信犯。兄いに「お前、後ろめたいことはないのか?」と聞かれ、目を泳がせたり「だって私が呼んだんだもの」と完全に浮気をしている。で、サゲを聞くと弟分も実はそれに気づいているという構図。ちょっとわかりづらいけど、夫婦の関係がうかがえるし、亭主が単なるバカではないというのがいい。

終演後にオークション。
談志師の反物を六代目圓楽師用に仕立てた浴衣のような超貴重品から団扇まで。先代文楽師の手ぬぐいも出され、これは最低価格2万円からで誰も手を上げず。
談志浴衣は最低価格3万だったが購入者が出た。すげー。
兼好師の切り絵も何点か出品されており、ちょっと欲しかったが兼好追っかけ仲間たちがあらかた落札していた。機会があれば見せてもらおう。

扇子が当たった兼好追っかけ仲間に誰の扇子でした? って聞いたらややしょっぱい顔をされた。あっ(察し)。
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和室カフェ 其の二十七 [落語]

和室カフェ 其の二十七
於:神保町 らくごカフェ

トーク
立川笑二『長短』
入船亭小辰『百川』
入船亭小辰『麻のれん』
立川笑二『妾馬』

水天宮から一度家に帰り、少し休憩してからまた出かける。
まずは恒例のふたりのオープニングトーク。
やはり小辰さんの真打昇進の話に話題が集中する。
真打披露興行のチケットの売り方が芸協とは異なるそうで、芸協は3つの寄席で共通の上、どの日に行ってもいいという。このため寄席のキャパ以上にチケットを売ることが可能なうえ、手売りしたチケットの代金は一度芸人の懐に入るという。その後、使われたチケットの半券の数に応じて半額を各寄席に払うのだそうだ。
「だから芸協の人たちは『来なくてもいいからチケット買って!』っていう。特に地方でも『祝儀代わりに買って』っていえるんだよなあ」「てことは宮治アニさんなんか家建てられるんじゃ……」「夢があるよなあ」「ありますねえ」。
一方落語協会は末廣亭以外は日付指定なので、各寄席のキャパ以上はチケットが売れないという。でもその分芸協はチケット持ってても入れないってことがあり得るけど、落協はチケット持ってりゃとりあえず入ることはできるから、私のように行ける日が限られてる人に取っちゃそっちのほうがありがたい。昨年の宮治師の披露目は行ける日が限られてたから、朝早く整理券取りに行ったもんなあ。逆に行けるかどうか当日にならないとわからないという場合は買いづらいよねえ。
「扇橋」になる実感はあるか、という問いには「まだ全然ない。ポスターに『扇橋』って書かれてるのを見ても完全に他人事。おそらく大初日に高座に上がったときに『扇橋です』って名乗ると思うんで、そのときに実感するんじゃないかなあ」とのこと。その日は午後休取って行くわ。
出囃子はどうするのかと聞かれると「大師匠の『俄獅子』は扇里師匠が使ってるから。それにうちの師匠や扇遊師匠も、二席やるときは一席は自分の出囃子で、もう一席は『俄獅子』で、って結構やってるんだよねえ。披露目の間だけ『俄獅子』を使わせてもらうかもしれないけど、『いっさいいっさいろん』のままじゃないかな。でも上方の二葉さんから『アニさんの出囃子使わせてください』っていわれて承諾したら、彼女あんなに売れちゃって。正月にテレビから『いっさいいっさいろん』が流れてきたのが聞こえてきて『なんで俺の出囃子が!』って焦った。……もうこうなると俺のほうが二葉さんの出囃子使わせてもらってるみたい」。いろいろ大変ですなあ。
また真打に昇進したらこの会を続けるのかということも話題に。そもそも「小辰(炬燵)」と「笑二(障子)」がらくごカフェでやる会だから「和室カフェ」なわけで、扇橋になったらそうは銘打てないという問題と、二ツ目同士でやっていた会が片方が昇進すると消滅する問題があるとか。特に後者は立場が違ってしまうことでトリが固定してしまうなどいろいろ問題が出てくるという。この会も最初のうちは笑二さんが前座だったので、毎回小辰さんが仲入りとトリを取っていたらしい。小辰さん個人としては続けたいらしいが。
「披露目のときに楽屋まで遊びに来てくれたら続けよう」「鈴本に行って大丈夫ですかね?」「……昇也アニさんでさえつまみ出されたらしいぞ」。鈴本ってなんでそんなに頑ななんだろ。
トークだけで40分。座布団を敷かずに話していたので笑二さんの足が限界だったようだ。

笑二さんの一席め、以前にも一度聴いたことのある『長短』。
この長さんは話し方や動作がのんびりしているのではなく、まんじゅうを手にしながらとにかくグダグダと話し続けてまんじゅうを食わなかったり、タバコに火をつけてから話し出してタバコを吸わなかったりととにかく他人をイライラさせる。小辰さんも「サイコパスだ」と評しており、ちょっと異常者だよなあ。
しかも人がイラついているのを楽しんでいる素振りさえ見せる。面白くないわけじゃないんだけど、これをずっと続けられるのはちょっとキツい。

小辰さんの一席め、祭の季節であることから『百川』に。
百兵衛を四神剣の掛合人だと兄貴分が言い張り、周りがそれに流されている中、最後まで「そうかなあ」とひとりだけ信じない弟分がいる。兄貴分に「(きんとんを飲み込めと)お前らからも頼め!」と促されてもひとりだけ気のない様子で「お願いしまーす」と流しているのがおかしい。このひとりがアクセントになっている。

仲入り時にホントは21日まで売っちゃダメらしいけど手売りは目をつぶられているというなんかのチケットを販売する。俺はこないだ買ったし。
「えーあと10枚売れたら笑二さんが後半で『乳房榎』を演りまーす」。

小辰さんの二席め、あれから10枚は売れなかったようで。
「思い出したことがひとつあって、『乳房榎』には悪い男が人妻に子どもを人質にとって関係を迫る場面がある。『枕を交わす』という表現が出てくるんですが、喜多八師匠がこの場面で『枕を交わすといっても″まくらなげしよー″ってんじゃないですよ』って言っていて……。満員の博品館で。袖で聞いててひっくり返った」とか。
『麻のれん』は扇辰師では何度か聴いているが、小辰さんでは初めて聴く。
もちろん扇辰師とも似ているのだが、いくぶん師匠よりもあっさりと軽くやっている感じ。クイツキにはちょうどいい。

笑二さんの二席め、『乳房榎』のあらすじを語り、「悪役の磯貝浪江は好きになった人が人妻だっただけ。ちょっと行動力がありすぎただけで、『紺屋高尾』の久蔵と心情は変わらない。浪江はなんてかわいそうなんだ……と力説したら、あんなに優しい柳枝アニさんに『気持ち悪いよ』っていわれた」。しょうがないんじゃないかなあ。やっぱり視点がちょっと違うんだろうな。
八五郎お鶴兄妹は母親ももう亡く、長屋の子どもとして育てられたという設定。大家を親と慕っており、お鶴が屋敷に奉公に上がる前日から描いている。
実の親がいないからなのか、八五郎は荒唐無稽な乱暴者というよりももう少し抑えられ、そこそこ敬語も使えたりする。殿様に都々逸を披露して馴れ馴れしくしたりもしない。
通常は「これから八五郎が出世をしたという『妾馬(八五郎出世)』というお話でした」と終わるが、ちゃんとサゲとなるセリフも用意されていた。
笑二さんということで「このままホントに終わるのか?」と身構えたものの、そのまま「いい話」として終わった。……うん。いい話なんだけど。なんかこれはこれで優等生すぎるというかあざとくない? 『長短』との振り幅が広すぎてちょっと戸惑うわ。
笑二さんはホント油断できないというか油断させてくれない。曲者というか、見えないところからフックが飛んでくるというか。もちろん褒め言葉です。
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桃月庵白酒 三遊亭兼好 ふたり会 No.4〜ケセラセラでいきましょう〜 [落語]

桃月庵白酒 三遊亭兼好 ふたり会 No.4~ケセラセラでいきましょう~
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭ごはんつぶ『狸札』
三遊亭兼好『孝行糖』
桃月庵白酒『船徳』
桃月庵白酒『短命』
三遊亭兼好『ちりとてちん』

高いんであまり行くつもりがなかったんだが、まあ二階席なら3500円で普通だし、当日ならバカバカしい手数料も取られないしと行くことに。やっぱり行けるのに行かないってのはもやもやするし。……あーしかしカネないなー。いやないわけじゃないんだけど、予算というかここから先は使っちゃいけない境界線というか割とそこら辺を超えてきた。一蔵さん小辰さんの祝儀もあるしさあ。
二階席は初めて入ったが、なるほどまあそこそこ見づらいね。うーん。それにそもそも落語はあまり上から見られることを想定してないよなあ。

さて前座はなぜか兼好門下でも白酒門下でもなくごはんつぶさん。
狸に股ぐらを覗かれて「きゃーエッチ」と言ってみたり小僧に化けた狸が作ったおまんまを主人公が食べてないことにやけにこだわったり。今日はふたりともガチガチの古典派だからなかなかいつものようにはいかないだろうが、どうしてもアレンジを加えたい「新作派のジレンマ」があるらしい。

兼好師の一席め、「ごはんつぶさんいいですねえ。落語もしっかりできるし口跡もいい。見た目もいいし気働きもできる。……でも結局天どんアニさんみたいになっちゃうんですかね」と黒いエールを。
昨日は博多での日帰りの仕事があったそうで、それがことごとくツイてなかったという。起きる時間を間違えたりバスを間違えたりしながらも無事仕事は終わり、帰ろうと博多空港へ行ったらフライトまで1時間くらいあったという。本を読みながら待っていたところ、ふと気づくとフライト時間だったとか。えっと思っていたらアナウンスがかかり、空港特有のふわふわとした聞き取りづらいアナウンスの中に「……サトウ……」と聞こえたので「私本名が佐藤ですから、自分のことを呼んでるんだと思って『ハイ!』って行ったら『あなたじゃありません』って……。見たら私の乗る飛行機が1時間遅れるって。じゃあ何かちょっと食べようと思ったらまた時間が変わってもう出るみたいな……。で、また『……サトウ……』って聞こえるんでもう一度『ハイ!』って行ったらまた『あなたじゃありません』って……。見たらまたフライト時刻が変わってる。あのですね、普通のときはいいですよ、あのふわふわとした上品なアナウンスで。でもフライト時間が変わったとか、人を探してるとかのときは『ハイ聞いて! 時間が変わります!』とか、『人を探してます! 〇〇さん!』とか言わないと! ……ひとりで言っても説得力がないんで、これをぜひ皆さんにも空港に言ってほしくて……」とのこと。
ハッキリと聞かせなきゃいけないものとして売り声を挙げ、売り口上の噺へと入っていく。
こういう二人会のサラ口としての『孝行糖』はサイズとしても内容としてもぴったりな気がする。
水戸様のご門前で「何奴であるか」と誰何されて「お向かいの金ちゃんと同い年」と答える与太郎がたまらない。

白酒師の一席め、白酒師は昨日は熊本だったらしく。
やはり熊本でもフライト予定が大きくずれたようで、空港はイライラした雰囲気だったとか。そこにパイロットが談笑しながら飛行機に向かっていたら、どこかのオジさんが「何やってんだ、走れ!」と怒鳴ったとか。パイロットが急ごうがゆっくり行こうがフライトには影響ないということは頭ではわかっていても、思わずオジさんに同意してしまったそうだ。
CAやパイロットはあこがれの職業で、それは昔は船頭だったと『船徳』に。
親方に呼ばれた船頭たちが己の罪を自白してしまうシーンはカットし、若旦那の船のシーンを多めに。
竿を流してしまうのはもちろんだが、艪まで外してしまい、それをお客につけさせるというとことんまでに甘ちゃんな若旦那がおかしい。
そんな甘ちゃんな若旦那なので、諦めるのも早い。「もうダメ」と川の真ん中で諦め、客から励まされてもふてくされてるのに、川岸から女の子に「若旦那ー、頑張ってー」と声を掛けられると途端に張り切るのも楽しい。

仲入りを挟んで二席め、「この会の次回のチケットを今日から発売したそうですが……。その日の同じ時間帯に私は他の会に出ている予定がありまして」と告白。
「先日亡くなった川柳師匠にちなんだ会で、前座自分にはよくお世話して『あげた』師匠でして。……断じてお世話にはなってません。けど川柳師匠をネタにした新作を作ったという縁もあるんで、どうしても断れなかった。おそらくそちらの会はネタはやる余裕がないので挨拶くらいで急いでこっちに向かいますから」だそうな。
落語をよく知らない人には「桃月庵ってどういう名字なんですか?」と聞かれることがあるという。「名字というか亭号なんですけどね……。志ん生直系の古今亭なんですよ。でも真打に昇進したら亭号を変えるのは独立して一家を構えるため、というと『え、ヤクザ?』と聞かれる。もうそうなったら面倒なので『ヤクザです』って答えます」だそうな。「白鳥師匠ともよく会をやって名前に『白』が入ってるから親戚筋と間違えられたり。体型は似てますけど……」など、いろいろ話が通じない人がいるというところから『短命』に。
とにかくこの八っつぁんが話が通じない。「指から毒が」とか「そばアレルギー?」とかは普段どおりだが、イライラしたご隠居が「だからこの話にはホントはおまんまは関係ないんだ。手が触れる、奥に布団、いい女! お前どうする!?」と詰め寄るも「おまんまは?」と返され、「うるせえ!」とキレるのが最高におかしい。

兼好師の二席め、「最近はいろいろ物騒ですよね。こういう落語会が世の中で一番平和なんじゃないですか? 落語好きで悪い人はいないでしょう。……もっとも落語好きで本当に悪いヤツはも入門してますから」とブラックジョーク。
落語の登場人物の中で悪いヤツ、イヤなヤツとしてちりとてちんを食べさせられる六さんが挙げているのかもしれないが、実はご隠居が一番悪いヤツなんじゃ……。腐った豆腐って食中毒起こすみたいだし、ヘタしたら死んじゃうよなあ。さすがに健康被害を及ぼすのはシャレにならない。
まあそれはさておき愛想の上手い金さんのごちそうに対する鶏のようなリアクションが相変わらず面白い。
それに対して六さんの嫌味っぽいのもまたすごい。いざちりとてちんを食わされる際に鼻を摘み目をつむりながらも言葉にならない声で悲鳴を上げているときの落差がたまらない。

『船徳』も『ちりとてちん』もいかにも夏の蒸し暑い日に合ったネタでした。
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