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某真打勉強会 [落語]
某真打勉強会
於:都内某所
某真打のシークレット勉強会。SNSなどにもポスト禁止ということなので、とりあえず年末の集計するときの行ったという記録として。
「ネタおろしをしたりしなかったり、蔵出しをしたりしなかったり、虫干しをしたりしなかったり、落語をしたりしなかったり、愚痴を言ったり言ったり」の会。
1時間ほどマクラ?を話すがもうホントに取り留めがないというかあっちに行ったりこっちに行ったり。「これまとめる気ありませんからね」とまあ自由に。今回もグチ多め、裏話的なことも盛り沢山。
於:都内某所
某真打のシークレット勉強会。SNSなどにもポスト禁止ということなので、とりあえず年末の集計するときの行ったという記録として。
「ネタおろしをしたりしなかったり、蔵出しをしたりしなかったり、虫干しをしたりしなかったり、落語をしたりしなかったり、愚痴を言ったり言ったり」の会。
1時間ほどマクラ?を話すがもうホントに取り留めがないというかあっちに行ったりこっちに行ったり。「これまとめる気ありませんからね」とまあ自由に。今回もグチ多め、裏話的なことも盛り沢山。
かめあり亭 第74弾! ピーチスワン 春はあけぼの! [落語]
かめあり亭 第74弾! ピーチスワン 春はあけぼの!
於:亀有 かめありリリオホール
三遊亭白鳥 桃月庵白酒 オープニングトーク
桃月庵白酒『桃太郎』
三遊亭白鳥『ラーメン千本桜』
桃月庵白酒『寝床』
とあるルートから格安でチケットが手に入る。ありがたや。
まずはオープニングトーク。
ネットニュースで笑点メンバー候補として白酒師の名前が上がったらしく、「決まったの?」と白鳥師。「決まってたってここでいうわけないでしょ。お客さんに話したってアニさんには絶対教えない」とにべもない。
「それにしても宮治もなあ……笑点メンバーになっていつも『疲れた』って言ってて同じネタばかり……」と気遣われる(?)。
「候補として名前が出ても、『知名度はないが寄席では人気者』とかいう枕詞が付くんですよ。これ失礼じゃない?」とか「木久扇師匠の後釜は木久蔵だったりして。三平は子どもが小さいから『子どもがいじめられる』って理由もあったみたいだけど、木久蔵のところは子どもももう大きいから大丈夫」「そういや孫も高座上がってるらしいじゃないですか」「もしかしたら後継は孫ってのもあるかも。木久扇師匠が後ろについていて……」とかいろいろと好き勝手なことを楽しそうに喋る。これで白酒師だったら面白いけど。
「いたたまれない話していい?」と唐突に白鳥師が話題を変え、寄席の終わりにラーメン屋に行った話を始める。「思ったよりここでウケたから寄席のマクラで使おう」とのことなので詳細は書かないが、ラーメンが気管に入ってむせたという話。
「今日は『ラーメン千本桜』をネタ出ししてるからそんな話したんですか?」「いや全然そんなつもりはなくて。途中で気づいたけど」「なんで正直に言っちゃうの。そういうことにしとけばいいのに」と両師の性格の違いもよく分かる。
白酒師の一席め、「白鳥アニさんは変わったお人で。地元にも行ったことあるんですよ。でも実家には行ったことがない。『ウチは両親も死んじゃってるから』って。地元の友だちに『嘘だよ生きてるよ』ってバラされたりして。で、会ってみたんですけどやっぱりなんていうか……変わってるというか……いやそんなこといっちゃいけないんですけど。ちょっと失礼な感じとか似てるんですよね」と白鳥親子についても。
親子の話から「最近の子は情報が入りすぎている」と『桃太郎』に。
昔の子どもも桃太郎を聴いただけでは眠らず、むしろ興奮して「もっと他の話もして!」とせがむというのは初めて聴いた。
最近の子どもはなんというか冷めていて、「あっ、はい、どうも」みたいな感じで落ち着いているのがなんかおかしい。
白鳥師、屋台のラーメン屋の親父が、折り合いの悪い実家の兄のラーメンコンテストを手伝う噺。
正直私にはピンとこなかったかな……。どうも人情噺っぽい新作には私は惹かれないようだ。爆笑ものとか不条理ものとかは好きなんだけど。
白酒師の二席め、「白鳥師匠の噺、すごくいい話なんですけど途中で変なギャグを入れるのがね……。弁財亭和泉さんが『白鳥師匠の噺はギャグさえなければすごくいい話なんですよ』といってたんですけどよくわかります。あとウチの師匠も白鳥アニさんの噺をやることになって。音源を見て『そのままやらなくていいんだろ?』と余計なギャグを抜いて整理したらすごくいい噺になってたんですよ。それを袖で聞いてたアニさんが『あれってそんないい噺だったんだ!』って言ってました」だそうで。
もうすぐ行われるわん丈さんつる子さんの披露興行に触れ、「抜擢されたからすごく芸がいいのかといったらそれほどでもない。抜擢って結構タイミングなんですよ。例えば過去に『この人を抜擢したらどうか』って席亭から提案があって、協会としてはじゃあそうしましょうかとなったんですが、その人の師匠がスケジュール上どうしても披露興行に出られないということがわかった。そしたら『じゃあいいや』って抜擢が流れたり、そういうことがよくあるんですよ」とかいろいろと裏話的なことを。はあああいろいろあるんですなあ。
「披露目の口上にもいろいろありまして、褒めるのは難しい。昔は文楽師匠は有望な若手には『彼はまだまだ未熟で』と突き放した。芸に難があっても人間的にいい人には『彼は親孝行で』と褒める。で、これが一番パターンとして多いんですが芸もまずくて人となりも悪い人の場合は『彼にはキラリと光るものがある』と。なにが光ってるのかは言わない」。へえ。
昔の習い事でお師匠さんが褒めるのに困った旦那がいたと『寝床』に入る。
旦那が声の調子を見るために唸っている最初の場面で「何だこの金盥は。いらないよ下げなさい」というセリフが何度も繰り返されるのがおかしい。
使いから戻って来た繁蔵が「提灯屋さんは注文が入ったそうで、くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」:」と後半いきなり何を言っているかわからなくなるというのも面白い。それも毎回なのでわかっていても笑ってしまう。
機嫌を直しかけた旦那が「さすがに店立てというのは大人気なかった。でももう義太夫を語る気分ではないので、店立てはなしで会もなし」といいながらも繁蔵に「そこをなんとか」といわせたい、というめんどくさい感じがまたたまらない。最後には「もう! 繁蔵! 語るよバカ!」とはっちゃけてしまうのがかわいい。
店子たちが料理を食べているシーンでラーメンを食べてむせる場面を入れているのがさすが。アドリブの能力高いなあ。
於:亀有 かめありリリオホール
三遊亭白鳥 桃月庵白酒 オープニングトーク
桃月庵白酒『桃太郎』
三遊亭白鳥『ラーメン千本桜』
桃月庵白酒『寝床』
とあるルートから格安でチケットが手に入る。ありがたや。
まずはオープニングトーク。
ネットニュースで笑点メンバー候補として白酒師の名前が上がったらしく、「決まったの?」と白鳥師。「決まってたってここでいうわけないでしょ。お客さんに話したってアニさんには絶対教えない」とにべもない。
「それにしても宮治もなあ……笑点メンバーになっていつも『疲れた』って言ってて同じネタばかり……」と気遣われる(?)。
「候補として名前が出ても、『知名度はないが寄席では人気者』とかいう枕詞が付くんですよ。これ失礼じゃない?」とか「木久扇師匠の後釜は木久蔵だったりして。三平は子どもが小さいから『子どもがいじめられる』って理由もあったみたいだけど、木久蔵のところは子どもももう大きいから大丈夫」「そういや孫も高座上がってるらしいじゃないですか」「もしかしたら後継は孫ってのもあるかも。木久扇師匠が後ろについていて……」とかいろいろと好き勝手なことを楽しそうに喋る。これで白酒師だったら面白いけど。
「いたたまれない話していい?」と唐突に白鳥師が話題を変え、寄席の終わりにラーメン屋に行った話を始める。「思ったよりここでウケたから寄席のマクラで使おう」とのことなので詳細は書かないが、ラーメンが気管に入ってむせたという話。
「今日は『ラーメン千本桜』をネタ出ししてるからそんな話したんですか?」「いや全然そんなつもりはなくて。途中で気づいたけど」「なんで正直に言っちゃうの。そういうことにしとけばいいのに」と両師の性格の違いもよく分かる。
白酒師の一席め、「白鳥アニさんは変わったお人で。地元にも行ったことあるんですよ。でも実家には行ったことがない。『ウチは両親も死んじゃってるから』って。地元の友だちに『嘘だよ生きてるよ』ってバラされたりして。で、会ってみたんですけどやっぱりなんていうか……変わってるというか……いやそんなこといっちゃいけないんですけど。ちょっと失礼な感じとか似てるんですよね」と白鳥親子についても。
親子の話から「最近の子は情報が入りすぎている」と『桃太郎』に。
昔の子どもも桃太郎を聴いただけでは眠らず、むしろ興奮して「もっと他の話もして!」とせがむというのは初めて聴いた。
最近の子どもはなんというか冷めていて、「あっ、はい、どうも」みたいな感じで落ち着いているのがなんかおかしい。
白鳥師、屋台のラーメン屋の親父が、折り合いの悪い実家の兄のラーメンコンテストを手伝う噺。
正直私にはピンとこなかったかな……。どうも人情噺っぽい新作には私は惹かれないようだ。爆笑ものとか不条理ものとかは好きなんだけど。
白酒師の二席め、「白鳥師匠の噺、すごくいい話なんですけど途中で変なギャグを入れるのがね……。弁財亭和泉さんが『白鳥師匠の噺はギャグさえなければすごくいい話なんですよ』といってたんですけどよくわかります。あとウチの師匠も白鳥アニさんの噺をやることになって。音源を見て『そのままやらなくていいんだろ?』と余計なギャグを抜いて整理したらすごくいい噺になってたんですよ。それを袖で聞いてたアニさんが『あれってそんないい噺だったんだ!』って言ってました」だそうで。
もうすぐ行われるわん丈さんつる子さんの披露興行に触れ、「抜擢されたからすごく芸がいいのかといったらそれほどでもない。抜擢って結構タイミングなんですよ。例えば過去に『この人を抜擢したらどうか』って席亭から提案があって、協会としてはじゃあそうしましょうかとなったんですが、その人の師匠がスケジュール上どうしても披露興行に出られないということがわかった。そしたら『じゃあいいや』って抜擢が流れたり、そういうことがよくあるんですよ」とかいろいろと裏話的なことを。はあああいろいろあるんですなあ。
「披露目の口上にもいろいろありまして、褒めるのは難しい。昔は文楽師匠は有望な若手には『彼はまだまだ未熟で』と突き放した。芸に難があっても人間的にいい人には『彼は親孝行で』と褒める。で、これが一番パターンとして多いんですが芸もまずくて人となりも悪い人の場合は『彼にはキラリと光るものがある』と。なにが光ってるのかは言わない」。へえ。
昔の習い事でお師匠さんが褒めるのに困った旦那がいたと『寝床』に入る。
旦那が声の調子を見るために唸っている最初の場面で「何だこの金盥は。いらないよ下げなさい」というセリフが何度も繰り返されるのがおかしい。
使いから戻って来た繁蔵が「提灯屋さんは注文が入ったそうで、くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」:」と後半いきなり何を言っているかわからなくなるというのも面白い。それも毎回なのでわかっていても笑ってしまう。
機嫌を直しかけた旦那が「さすがに店立てというのは大人気なかった。でももう義太夫を語る気分ではないので、店立てはなしで会もなし」といいながらも繁蔵に「そこをなんとか」といわせたい、というめんどくさい感じがまたたまらない。最後には「もう! 繁蔵! 語るよバカ!」とはっちゃけてしまうのがかわいい。
店子たちが料理を食べているシーンでラーメンを食べてむせる場面を入れているのがさすが。アドリブの能力高いなあ。
両国寄席令和6年3月14日 [落語]
両国寄席令和6年3月14日
於:お江戸両国亭
三遊亭楽生『一目上がり』
ステファニー 奇術
三遊亭兼好『愛宕山』
平日に2日連続で兼好師。
とりあえず仕事は平穏になってきた。ホントならこの隙に転職活動とか始めればいいんだけど、一息ついてしまうと何か行動を起こすのが億劫になってしまう。いかんなあ。
楽生師、なにか新しいことを始めたいと東京マラソンを走ったのだとか。
『黄金餅』のように走るルートを並び立てる。
走っている途中のエピソードをいろいろと。走っているルート上では「残り◯Km」のような減っていく形ではなく、現在の走ってきた距離が示されていたそうで、「我々のような縁起商売では減っていくカウントダウンではなく、値が増えていく形式がありがたい」と『一目上がり』に。
明るく勢いがある。
ステファニーはポロン先生。
いつものように積みマジをいくつか。初めて見るものも。
相変わらずテンションがつかみにくいというか……。
兼好師、「春になるとああいう人が……」といって笑わせる。
「昔の江戸であまりなかった遊びというのは山遊びだそうですね。なんといっても関東平野が広いので、山へ行くこと自体が大変だったようで。私も山は好きで、ちゃんとした山ではなくてちょっと小高くなってるところとか、仕事で訪れた土地でそういうところがあると登ったりします」と岐阜城がある山を着物で登ったときの苦労話をマクラに。
兼好師の『愛宕山』は2年半ぶりくらい。
一八は旦那からあれだけ念を押されながらもハナっから山に登るつもりがないという幇間らしからぬやる気のなさ。
繁蔵に煽られてようやく登り始めるも、「こんなものは鼻唄を歌いながら登れる」といいつつすぐにへばっていく様子がおかしい。このグラデーションの加減が本当に上手いと思う。
ようやく旦那に追いつき、かわらけ投げの説明をされても「あんな小さな輪に!? いやあアナタはできない!」と断言し、「お前幇間だろ!?」と旦那に呆れられるのも楽しい。
そんな「歌も歌えない、踊りもダメ、ヨイショもできない」と評された一八だが、旦那から贔屓にされているのは「谷底に落とされても死なない」とか「谷底に落ちてもなんとか這い上がろうと工夫する姿勢」というのだから旦那もなかなかエグい性格をしている。
谷底に落ちた後に、傘から手を離そうとしているのに手は傘を握りしめたまま指が開かないというのがなんともリアル。こういう妙なリアルさと、唐傘一本で空を飛ぶ荒唐無稽さが混在しているのも落語の面白さだなあと思う。
於:お江戸両国亭
三遊亭楽生『一目上がり』
ステファニー 奇術
三遊亭兼好『愛宕山』
平日に2日連続で兼好師。
とりあえず仕事は平穏になってきた。ホントならこの隙に転職活動とか始めればいいんだけど、一息ついてしまうと何か行動を起こすのが億劫になってしまう。いかんなあ。
楽生師、なにか新しいことを始めたいと東京マラソンを走ったのだとか。
『黄金餅』のように走るルートを並び立てる。
走っている途中のエピソードをいろいろと。走っているルート上では「残り◯Km」のような減っていく形ではなく、現在の走ってきた距離が示されていたそうで、「我々のような縁起商売では減っていくカウントダウンではなく、値が増えていく形式がありがたい」と『一目上がり』に。
明るく勢いがある。
ステファニーはポロン先生。
いつものように積みマジをいくつか。初めて見るものも。
相変わらずテンションがつかみにくいというか……。
兼好師、「春になるとああいう人が……」といって笑わせる。
「昔の江戸であまりなかった遊びというのは山遊びだそうですね。なんといっても関東平野が広いので、山へ行くこと自体が大変だったようで。私も山は好きで、ちゃんとした山ではなくてちょっと小高くなってるところとか、仕事で訪れた土地でそういうところがあると登ったりします」と岐阜城がある山を着物で登ったときの苦労話をマクラに。
兼好師の『愛宕山』は2年半ぶりくらい。
一八は旦那からあれだけ念を押されながらもハナっから山に登るつもりがないという幇間らしからぬやる気のなさ。
繁蔵に煽られてようやく登り始めるも、「こんなものは鼻唄を歌いながら登れる」といいつつすぐにへばっていく様子がおかしい。このグラデーションの加減が本当に上手いと思う。
ようやく旦那に追いつき、かわらけ投げの説明をされても「あんな小さな輪に!? いやあアナタはできない!」と断言し、「お前幇間だろ!?」と旦那に呆れられるのも楽しい。
そんな「歌も歌えない、踊りもダメ、ヨイショもできない」と評された一八だが、旦那から贔屓にされているのは「谷底に落とされても死なない」とか「谷底に落ちてもなんとか這い上がろうと工夫する姿勢」というのだから旦那もなかなかエグい性格をしている。
谷底に落ちた後に、傘から手を離そうとしているのに手は傘を握りしめたまま指が開かないというのがなんともリアル。こういう妙なリアルさと、唐傘一本で空を飛ぶ荒唐無稽さが混在しているのも落語の面白さだなあと思う。
なかの演芸長屋 兼好平日昼の独演会 [落語]
なかの演芸長屋 兼好平日昼の独演会
於:中野 なかの芸能小劇場
三遊亭けろよん『浮世床(将棋・夢)』
三遊亭兼好『権助魚』
三遊亭兼好『付き馬』
代休。
代休を取るときはせっかくなので兼好師の普段行けていない会があるときを狙っている。
朝、猫にご飯をあげたら二度寝を決め込む。するとご飯を食べ終えた猫たちもベッドの中へ潜り込んでくる。猫にもポジションが決まっているようで、いつも足の間にシュガー、左脇にミルク、右脇にはココア。猫たちのゴロゴロ音に囲まれて朝寝をかます。これをパラダイスといわずして何がパラダイスというのか。まあ寝返りは一切打てないけれど。
せっかくの平日休みなのだから普段行かない店とか平日しかランチやってない店とかに行こうかとも思ったのだが、バイクなのでビールも飲めないし結局いつもの高円寺のタイ料理屋でタイカレー。
けろよんさん、師匠とはだいぶ違う『浮世床』。もちろん話の筋は同じなのだが、将棋を指すシーンで対局の様子を長いこと演じていたり、半公の艶っぽい話を聞いて鼻血を出すヤツがいたり。
兼好師の一席め、昨日は大分で仕事だったそうで、その帰りで直接会場に来たという。「大分って市馬会長や文治師匠、歌奴アニさんとかたくさん噺家がいるんですよ。そのなかのひとりで三朝くんていうのがいて、彼の出身の豊後大野ってところで会をやるのでゲストに来てくださいと言われたんで行ってきたんですけど、会場が空港からタクシーで1時間40分くらいかかる。ホテルに着いたら普通のビジネスホテルで……。大分って香川の『うどん県』に対抗して『温泉県』てやってるんですよ。なのにビジネスホテルかと思ったら、豊後大野って温泉出ないの!」。
「三朝くんてすごいおしゃべりなんですよ。楽屋でもずーっと喋ってる。で、豊後大野ってすごい田舎なんですよ。私も会津若松で田舎出身なんですけど、田舎って人がいないから話す機会もなくて無口になる。こんな田舎なのにどうしてあんなおしゃべりになるのかと思って。本人は『えー俺おしゃべりですか?』なんて気づいてない。で、打ち上げで地元の人たちと呑んだら、三朝くんが全然おしゃべりじゃなかった。周りはもっと喋る。私に質問してるのに自分で答えたり。噺家の私が話す隙がなくて会話に入れないんですから……」。あーたまにいますねそういう自己完結しちゃう人。
「昔は田舎から出るには歩くしかなかった。だから山の人は海を知らず、海の人は山を知らないで一生を終えたなんて人も多かったんでしょう。江戸時代は江戸に田舎の次男三男たちが大勢やってきましたから、いろんなことが起こったんでしょう」と田舎者の権助が活躍する『権助魚』に。
一時期よく聴いていたが、兼好師では二年以上空いていた。そんなに久しぶりだっけ?
「妾がいるのは仕方がない」と言いながらも、旦那が出かけようとすると「どちらへ!?」と目を見開いて圧をかけるおかみさんの表情の動きが絶品。
表情でいうと魚屋でかまぼこを見つけたときの権助の驚きの顔もまたたまらない。
二席め、「今は年度末。春から新しい生活になるという人もいるでしょう。昔は新社会人とか新入生を狙ったサギがよくあったんですが今はどうなんですかね。『結構です』なんていうと勝手に商品が送られてくるなんてことがよくありましたが……」と「騙す」噺の『付き馬』に。
ついこないだ「兼好師の噺はネタおろし以外ほとんど聴いた」みたいなことを得意げに書いたけど、まだ初見の噺ありました。うーわ恥っずかし。そもそも兼好師は平日にやる噺と土日にやる噺を分けていて、土日は落語初心者もいることが多いのでわかりやすい噺が多いという。だから土日メインの私が聴いてない噺はまだたくさんあるかもしれない。できるだけ平日の会も行きたいところだが、昼と夜とでもまた違うのかなあ。
兼好師の騙す男はとにかく明るく軽薄。流れるようにまくし立て、若い衆をあっさりと手玉に取るところは嫌味がなくてただひたすらに面白い。
早桶屋のおじさんも男に「あの男は兄が亡くなったんで動転しておかしなことを口走るかもしれないが適当に話を合わせてくれ」と騙される。早桶を作っている間に若い衆と世間話をするのだが、それが噛み合っているような噛み合っていないようなお互い頭の上に「?」が出ているのが見えるような会話がなんともおかしい。
終盤サゲ近くで結構大きめのミスというか言い間違いも。これも珍しい。
やっぱり珍しい噺を聞くためには平日の独演会を狙わないとダメかな。
於:中野 なかの芸能小劇場
三遊亭けろよん『浮世床(将棋・夢)』
三遊亭兼好『権助魚』
三遊亭兼好『付き馬』
代休。
代休を取るときはせっかくなので兼好師の普段行けていない会があるときを狙っている。
朝、猫にご飯をあげたら二度寝を決め込む。するとご飯を食べ終えた猫たちもベッドの中へ潜り込んでくる。猫にもポジションが決まっているようで、いつも足の間にシュガー、左脇にミルク、右脇にはココア。猫たちのゴロゴロ音に囲まれて朝寝をかます。これをパラダイスといわずして何がパラダイスというのか。まあ寝返りは一切打てないけれど。
せっかくの平日休みなのだから普段行かない店とか平日しかランチやってない店とかに行こうかとも思ったのだが、バイクなのでビールも飲めないし結局いつもの高円寺のタイ料理屋でタイカレー。
けろよんさん、師匠とはだいぶ違う『浮世床』。もちろん話の筋は同じなのだが、将棋を指すシーンで対局の様子を長いこと演じていたり、半公の艶っぽい話を聞いて鼻血を出すヤツがいたり。
兼好師の一席め、昨日は大分で仕事だったそうで、その帰りで直接会場に来たという。「大分って市馬会長や文治師匠、歌奴アニさんとかたくさん噺家がいるんですよ。そのなかのひとりで三朝くんていうのがいて、彼の出身の豊後大野ってところで会をやるのでゲストに来てくださいと言われたんで行ってきたんですけど、会場が空港からタクシーで1時間40分くらいかかる。ホテルに着いたら普通のビジネスホテルで……。大分って香川の『うどん県』に対抗して『温泉県』てやってるんですよ。なのにビジネスホテルかと思ったら、豊後大野って温泉出ないの!」。
「三朝くんてすごいおしゃべりなんですよ。楽屋でもずーっと喋ってる。で、豊後大野ってすごい田舎なんですよ。私も会津若松で田舎出身なんですけど、田舎って人がいないから話す機会もなくて無口になる。こんな田舎なのにどうしてあんなおしゃべりになるのかと思って。本人は『えー俺おしゃべりですか?』なんて気づいてない。で、打ち上げで地元の人たちと呑んだら、三朝くんが全然おしゃべりじゃなかった。周りはもっと喋る。私に質問してるのに自分で答えたり。噺家の私が話す隙がなくて会話に入れないんですから……」。あーたまにいますねそういう自己完結しちゃう人。
「昔は田舎から出るには歩くしかなかった。だから山の人は海を知らず、海の人は山を知らないで一生を終えたなんて人も多かったんでしょう。江戸時代は江戸に田舎の次男三男たちが大勢やってきましたから、いろんなことが起こったんでしょう」と田舎者の権助が活躍する『権助魚』に。
一時期よく聴いていたが、兼好師では二年以上空いていた。そんなに久しぶりだっけ?
「妾がいるのは仕方がない」と言いながらも、旦那が出かけようとすると「どちらへ!?」と目を見開いて圧をかけるおかみさんの表情の動きが絶品。
表情でいうと魚屋でかまぼこを見つけたときの権助の驚きの顔もまたたまらない。
二席め、「今は年度末。春から新しい生活になるという人もいるでしょう。昔は新社会人とか新入生を狙ったサギがよくあったんですが今はどうなんですかね。『結構です』なんていうと勝手に商品が送られてくるなんてことがよくありましたが……」と「騙す」噺の『付き馬』に。
ついこないだ「兼好師の噺はネタおろし以外ほとんど聴いた」みたいなことを得意げに書いたけど、まだ初見の噺ありました。うーわ恥っずかし。そもそも兼好師は平日にやる噺と土日にやる噺を分けていて、土日は落語初心者もいることが多いのでわかりやすい噺が多いという。だから土日メインの私が聴いてない噺はまだたくさんあるかもしれない。できるだけ平日の会も行きたいところだが、昼と夜とでもまた違うのかなあ。
兼好師の騙す男はとにかく明るく軽薄。流れるようにまくし立て、若い衆をあっさりと手玉に取るところは嫌味がなくてただひたすらに面白い。
早桶屋のおじさんも男に「あの男は兄が亡くなったんで動転しておかしなことを口走るかもしれないが適当に話を合わせてくれ」と騙される。早桶を作っている間に若い衆と世間話をするのだが、それが噛み合っているような噛み合っていないようなお互い頭の上に「?」が出ているのが見えるような会話がなんともおかしい。
終盤サゲ近くで結構大きめのミスというか言い間違いも。これも珍しい。
やっぱり珍しい噺を聞くためには平日の独演会を狙わないとダメかな。
黒門亭 第二部 3860回 [落語]
黒門亭 第二部 3860回
於:落語協会2F
柳家小じか『黄金の大黒』
柳亭市次郎『そば清』
柳亭こみち『絵道楽女房』
柳家㐂三郎『あたま山』
春風亭一蔵『居残り佐平次』
14時10分くらいに協会へ行くとずらっと行列。顔付けいいもんなあ。これ入れるか? と不安になるもののなんとか入れた。お膝送りもしてたのでおそらく札止めになったんじゃないだろうか。
行列に並んでると一蔵師が何かを配り始めた。受け取ってみると主任興行のチラシ。鈴本4月中席昼の部トリ。おーついに。本人は「ようやく。扇橋に遅れること数カ月」と言っていたが、昇進1年ちょっとで鈴本のトリをとるなんてだいぶすごいことなのでは。
小じかさん、柔らかい口調でいいですね。なんとなく優しくなる。
市次郎さん、「今日のトリの一蔵アニさんの同期で我々の先輩、小燕枝アニさん、弟子を取りました」。えっ? 早っ!
「名前はすわろう(表記は分からず)。なんでかと思って。諏訪出身なのかとか……。と思ったら燕だからスワローだそうで。そもそも燕がスワローだってことを忘れてました」。天どん師とか駒治師にかわいがられそう。小燕枝師自身はDeNAファンなのにね。
「えー……。話すことはそれくらいですかね。んー、ホントは『黄金の大黒』やろうと思っていたんですよ。そしたら出ちゃったんで……。じゃあ『熊の皮』にしようかと思ったんですけど、挨拶に行くところとか同じだなと思って……。今何をやろうか考えていて……」。えー? 『黄金の大黒』と『居残り佐平次』につかない噺を探すのにそんなに掛かるの?
それで始めた『そば清』もまあなんというか思い出し思い出しやってるなーというのがまるわかりでかなりたどたどしい。……うーん……。
こみち師、「えー、今日は黒門亭で……。もう毎日『今日はどの寄席に行くか』ってわかんなくなって……」。おー売れてますなー。
「今日はちょっと変な噺をします。だってね、皆さんここが黒門亭ってわかってきてるんでしょ!? 今真打が200人くらいいて寄席に出番がない人もかなりいる。それを救済するための場所がここなんですよ」。え、じゃあこみち師は出なくても……。
「だからここはやりたいことをやっていいんですよ」。そうなの?
噺はナツノカモさんの作った擬古典のようで、なにかを見るとそこからいろいろ妄想が広がっていく女房とそのダンナの物語。妄想を聞かされるダンナがうんざりして「それを絵に描いてみたらどうだ」と勧めてみたところドはまりしてシュールな絵を大量に描いていくというもの。……こう書いてみてもよくわからん。けどウケている。
仲入り時にこみち師が目当てだったのかわからないが、最前列中央のふたりが帰ったようだ。
㐂三郎師、「満員だって聴いていたんですけど……なぜここが空いている……? え、見えないだけで……いる……?」いません。
「この出番が一番楽。前にこみちネエさんがわーっと盛り上げてくれて、後は一蔵さんが締めてくれる。この出番は時計をチラチラ見ながら好きなようにやって時間になったら逃げちゃえばいい」と楽しそう。
「春らしい噺でも」と始まったのだが、夫婦喧嘩のシーンから。『死神』? と思ったら女房から小言を食らってプイと表に出て、腹が減ったから落ちてたさくらんぼを拾い食いして頭に桜が生えるという流れだった。これは初めて聴くかな。大体はさくらんぼのタネを出すのももったいないくらいケチ、というものだし。
最初は花見をしに長屋に集まってくるのだが、「もうちょっと詰めろよ。もうあたま山登っちまえよ」というセリフで「……大丈夫ですか。理解できてますか。これがわからないとこの噺は今後一切わからないですよ」。そもそもさくらんぼ食って桜が頭に生える時点で……。
一蔵師も「なんでここが空いてんの」と苦笑い。私としては見やすくなって良かったんだけどね。
先月の独演会でネタおろしした『居残り佐平次』をネタ出し。二ツ目時代は「一蔵ひとりの会」でネタおろしをしてたのでいろいろ聴けたのだが、「蔵がたつまで」は平日だからなあ……。
佐平次には兄貴分、チンピラ、幇間といろいろな顔があるが、それぞれ一蔵師も似たような側面を素で持っているのでそのどれにも違和感がない。もしかしたら今後のハマりキャラになるのでは。
そのキャラが入れ替わる時にガラッと変わるのでまるで多重人格のよう。それが極端な方がいいのか、ひとりの人間として境界線を馴染ませた方がいいのかはわからないが、軽い違和感を覚えたのは確か。まあ人なんてどれが本性かわからないものなのだけれど。
若い衆に「いったん勘定を……」言われたときにとにかく大声の一本槍でどうにかしようとしてるのがいかにも一蔵師らしくて楽しい。
帰りにカルディに寄ってタイカレーペーストやらホワイトデー用のお菓子やらを買い込む。
パクチーポテトチップスを買ってみたらこれがいかにもパクチーで美味い。とはいえさすがに最近はポテチ一袋が辛い。多分油よりもシーズニングが濃すぎて食べられなくなる感じ。オッサンだなあ。
於:落語協会2F
柳家小じか『黄金の大黒』
柳亭市次郎『そば清』
柳亭こみち『絵道楽女房』
柳家㐂三郎『あたま山』
春風亭一蔵『居残り佐平次』
14時10分くらいに協会へ行くとずらっと行列。顔付けいいもんなあ。これ入れるか? と不安になるもののなんとか入れた。お膝送りもしてたのでおそらく札止めになったんじゃないだろうか。
行列に並んでると一蔵師が何かを配り始めた。受け取ってみると主任興行のチラシ。鈴本4月中席昼の部トリ。おーついに。本人は「ようやく。扇橋に遅れること数カ月」と言っていたが、昇進1年ちょっとで鈴本のトリをとるなんてだいぶすごいことなのでは。
小じかさん、柔らかい口調でいいですね。なんとなく優しくなる。
市次郎さん、「今日のトリの一蔵アニさんの同期で我々の先輩、小燕枝アニさん、弟子を取りました」。えっ? 早っ!
「名前はすわろう(表記は分からず)。なんでかと思って。諏訪出身なのかとか……。と思ったら燕だからスワローだそうで。そもそも燕がスワローだってことを忘れてました」。天どん師とか駒治師にかわいがられそう。小燕枝師自身はDeNAファンなのにね。
「えー……。話すことはそれくらいですかね。んー、ホントは『黄金の大黒』やろうと思っていたんですよ。そしたら出ちゃったんで……。じゃあ『熊の皮』にしようかと思ったんですけど、挨拶に行くところとか同じだなと思って……。今何をやろうか考えていて……」。えー? 『黄金の大黒』と『居残り佐平次』につかない噺を探すのにそんなに掛かるの?
それで始めた『そば清』もまあなんというか思い出し思い出しやってるなーというのがまるわかりでかなりたどたどしい。……うーん……。
こみち師、「えー、今日は黒門亭で……。もう毎日『今日はどの寄席に行くか』ってわかんなくなって……」。おー売れてますなー。
「今日はちょっと変な噺をします。だってね、皆さんここが黒門亭ってわかってきてるんでしょ!? 今真打が200人くらいいて寄席に出番がない人もかなりいる。それを救済するための場所がここなんですよ」。え、じゃあこみち師は出なくても……。
「だからここはやりたいことをやっていいんですよ」。そうなの?
噺はナツノカモさんの作った擬古典のようで、なにかを見るとそこからいろいろ妄想が広がっていく女房とそのダンナの物語。妄想を聞かされるダンナがうんざりして「それを絵に描いてみたらどうだ」と勧めてみたところドはまりしてシュールな絵を大量に描いていくというもの。……こう書いてみてもよくわからん。けどウケている。
仲入り時にこみち師が目当てだったのかわからないが、最前列中央のふたりが帰ったようだ。
㐂三郎師、「満員だって聴いていたんですけど……なぜここが空いている……? え、見えないだけで……いる……?」いません。
「この出番が一番楽。前にこみちネエさんがわーっと盛り上げてくれて、後は一蔵さんが締めてくれる。この出番は時計をチラチラ見ながら好きなようにやって時間になったら逃げちゃえばいい」と楽しそう。
「春らしい噺でも」と始まったのだが、夫婦喧嘩のシーンから。『死神』? と思ったら女房から小言を食らってプイと表に出て、腹が減ったから落ちてたさくらんぼを拾い食いして頭に桜が生えるという流れだった。これは初めて聴くかな。大体はさくらんぼのタネを出すのももったいないくらいケチ、というものだし。
最初は花見をしに長屋に集まってくるのだが、「もうちょっと詰めろよ。もうあたま山登っちまえよ」というセリフで「……大丈夫ですか。理解できてますか。これがわからないとこの噺は今後一切わからないですよ」。そもそもさくらんぼ食って桜が頭に生える時点で……。
一蔵師も「なんでここが空いてんの」と苦笑い。私としては見やすくなって良かったんだけどね。
先月の独演会でネタおろしした『居残り佐平次』をネタ出し。二ツ目時代は「一蔵ひとりの会」でネタおろしをしてたのでいろいろ聴けたのだが、「蔵がたつまで」は平日だからなあ……。
佐平次には兄貴分、チンピラ、幇間といろいろな顔があるが、それぞれ一蔵師も似たような側面を素で持っているのでそのどれにも違和感がない。もしかしたら今後のハマりキャラになるのでは。
そのキャラが入れ替わる時にガラッと変わるのでまるで多重人格のよう。それが極端な方がいいのか、ひとりの人間として境界線を馴染ませた方がいいのかはわからないが、軽い違和感を覚えたのは確か。まあ人なんてどれが本性かわからないものなのだけれど。
若い衆に「いったん勘定を……」言われたときにとにかく大声の一本槍でどうにかしようとしてるのがいかにも一蔵師らしくて楽しい。
帰りにカルディに寄ってタイカレーペーストやらホワイトデー用のお菓子やらを買い込む。
パクチーポテトチップスを買ってみたらこれがいかにもパクチーで美味い。とはいえさすがに最近はポテチ一袋が辛い。多分油よりもシーズニングが濃すぎて食べられなくなる感じ。オッサンだなあ。
まんてんの空に唄う♪星の流れに ~天どん萬橘あこ三人会~ [落語]
まんてんの空に唄う♪星の流れに ~天どん萬橘あこ三人会~
於:赤坂會館 6階稽古場
柳亭市遼『饅頭こわい』
三遊亭天どん『花見酒』
三遊亭萬橘『豊竹屋』
遠峰あこ 漫謡
三遊亭萬橘『茶の湯』
三遊亭天どん『雪どけ』
……あー。いつもこのブログはGoogleドキュメントで下書きをしている。そうすればスマホでもパソコンでもどこでも書けるんで。
今日もこの会の感想をスマホで途中まで書いていたのだが、どうも保存をしていなかったらしく全部消えてる。マジかもう一回あの量を書く気力はないわ。
以前「てんまんの会」としてやっていた会だが、日本橋亭が改装になるのに伴って会自体もなくなったそうなのだが、オフィスM’sが引き取ったのだとか。天どん師曰く「会場が変わったらアコーディオンも付いてきた」。でもちゃぶ台トークはなし。
天どん師、「今日は今年イチ機嫌がいいです。なぜなら萬橘くんが体調悪いんだって」と悪い笑み。どうやら昼にたこ焼きを食べたのだが一部小麦粉が生でそれに当たったんじゃないかとのこと。
『花見酒』でちゃんとお金を出して酒屋から酒を仕入れているのは初めて聴く形。しかも二両も。酒一杯一貫もするので結構インフレ。
萬橘師、「気持ち悪いといったら『メンチカツ』『ドーナツ』とかいってきた。どんな育ちをしたらああなるんだ。一番キツいのは『天どん』です」。上手い。
ほんとに具合悪そうで声も弱まってるのに一席めは声を張る『豊竹屋』。義太夫もアドリブで今日の状況を歌い上げる。
二席め、茶を点てる仕草が大変らしく「なんでこの噺を始めちゃったんだろう」。さらに腹を下した定吉が呼ばれたときに「あっ……これは……!」と尻を押さえ、「芝居かどうかわからない……」と不穏なことを漏らす。
あこさんは久しぶり。『崎陽軒の歌』からヤマザキ春のパンまつりの歌、旅づくし、『ぼくかっぱ巻』など。
天どん師の二席め、「今日これから雪降るんでしょ、あこさん明日名古屋なんだって。行けないね。もうホント機嫌がいい」と悪いなあ。
噺は雪の降る鰍沢に若い女が訪ねてくるというもの。人情ものってことになるのかな。
メモも全部消えたし、もう気力が尽きたので今回はこれでおしまい。
於:赤坂會館 6階稽古場
柳亭市遼『饅頭こわい』
三遊亭天どん『花見酒』
三遊亭萬橘『豊竹屋』
遠峰あこ 漫謡
三遊亭萬橘『茶の湯』
三遊亭天どん『雪どけ』
……あー。いつもこのブログはGoogleドキュメントで下書きをしている。そうすればスマホでもパソコンでもどこでも書けるんで。
今日もこの会の感想をスマホで途中まで書いていたのだが、どうも保存をしていなかったらしく全部消えてる。マジかもう一回あの量を書く気力はないわ。
以前「てんまんの会」としてやっていた会だが、日本橋亭が改装になるのに伴って会自体もなくなったそうなのだが、オフィスM’sが引き取ったのだとか。天どん師曰く「会場が変わったらアコーディオンも付いてきた」。でもちゃぶ台トークはなし。
天どん師、「今日は今年イチ機嫌がいいです。なぜなら萬橘くんが体調悪いんだって」と悪い笑み。どうやら昼にたこ焼きを食べたのだが一部小麦粉が生でそれに当たったんじゃないかとのこと。
『花見酒』でちゃんとお金を出して酒屋から酒を仕入れているのは初めて聴く形。しかも二両も。酒一杯一貫もするので結構インフレ。
萬橘師、「気持ち悪いといったら『メンチカツ』『ドーナツ』とかいってきた。どんな育ちをしたらああなるんだ。一番キツいのは『天どん』です」。上手い。
ほんとに具合悪そうで声も弱まってるのに一席めは声を張る『豊竹屋』。義太夫もアドリブで今日の状況を歌い上げる。
二席め、茶を点てる仕草が大変らしく「なんでこの噺を始めちゃったんだろう」。さらに腹を下した定吉が呼ばれたときに「あっ……これは……!」と尻を押さえ、「芝居かどうかわからない……」と不穏なことを漏らす。
あこさんは久しぶり。『崎陽軒の歌』からヤマザキ春のパンまつりの歌、旅づくし、『ぼくかっぱ巻』など。
天どん師の二席め、「今日これから雪降るんでしょ、あこさん明日名古屋なんだって。行けないね。もうホント機嫌がいい」と悪いなあ。
噺は雪の降る鰍沢に若い女が訪ねてくるというもの。人情ものってことになるのかな。
メモも全部消えたし、もう気力が尽きたので今回はこれでおしまい。
大佛次郎没後50年特別企画 猫尽くし 再び 名作落語の夕べ [落語]
大佛次郎没後50年特別企画 猫尽くし 再び 名作落語の夕べ
於:桜木町 横浜にぎわい座
金原亭駒介『道具屋』
三遊亭萬橘『猫と金魚』
三遊亭兼好『猫餅』
桂小すみ 猫と音曲
古今亭志ん輔『猫忠』
横浜だし兼好師一席だし普段ならパスするかもしれない会だが、他の顔付けがいいこと、それに何より兼好師で聴いたことのない噺がネタ出しされてる。そして猫尽くし。そら行くでしょ。
萬橘師、今年は巡り合わせが悪くてなかなか行けない。ホントは明日の柏の会に行こうかと思っていたのだが、どうにも休日出勤しないと間に合わなそうなので。
「ここは野毛動物園が近くにあっていいですね。私は動物園が大好きで。上野動物園にも行くんですけど、ハダカデバネズミってのがいるんです。……ハダカもデバもネズミも全部悪口ですからね。娘に言ったら『風呂上がりのパパだね』って……。うるせえバカやろー」。まあしょうがないっつーか。萬橘師唯一のCDのジャケットのイラスト、坂本頼光先生が描いたらしいけど、ほぼ水木しげる御大のねずみ男だったからなあ……。
「娘は最近ホントに生意気でね。近所のおばさんに会ったら『パパそっくりね』と言われて悔しがってましたけど。ザマーミロ」。それもちょっと違うような気もするけど。
「まあなので猫は捕食される側で怖いところもある」と『猫と金魚』に。
とにかく旦那がハイテンションでツッコミも激しい。これはほぼひとり漫才のよう。
金魚が猫に食べられないようにするアイデアを番頭がいくつか出していくが、キテレツなものばかりで旦那が激怒しながら却下していくのがおかしい。
萬橘師らしく本来の「濡れ鼠」のサゲの後にも追加されており、店を挙げての大騒動になっていく。
兼好師、「大谷くんのことで本当にショックを受けている人もいるそうですが、……ここは大丈夫そうですね。そもそも土曜の夜に落語にこようという人は大谷くんにハマらないでしょう。それにまあ……見たところ、もう……」と軽やかに毒を吐く。
「しかしお相手の方もよく大谷くんに選ばれたなと思いますが……意外と早い者勝ちだったかもしれませんよ、彼は野球バカで野球にしか興味がないから『結婚して』っていったら『いいよ』って答えてくれたのかも……」。そんなまさか。
「しかし彼はすごいですね。メジャーリーグでピッチャーとバッター両方でトップなんですから。『古典と新作どっちもやります』なんて半端な二刀流じゃないですからね。天才なんでしょうねえ。落語だと『名人』とか言われますけど、今は名人ていう人はいないですねえ。よく『〇〇名人会』ってありますけど、そこには名人は出ない! 私も呼ばれたたりしますけど、楽屋で『誰が名人?』で笑い合ってる。だから名人会ってのは行かない方がいいです。まだ親子会とか兄弟会とかの方がいい。……でも本当の親子会とか本当の兄弟会とか行っちゃダメ」とどんどん爆弾を落としていく。
特に大佛次郎とか猫について話してないような気がするな。
『猫餅』は元は浪曲とか講談のようだ。圓窓師が『いただき猫』という演題で落語化したようだが、まあこれじゃないだろうな。あとは扇治師も掛けているそうだが、扇治師では聴いたことがないので兼好師が教わったのかはわからない。兼好師が他で掛けたような情報もないのでおそらくネタおろし?
舞台は小田原。小田原といえば『竹の水仙』が思い起こされる(他の土地のこともあるけど、兼好師は小田原)が、なんとなく雰囲気も似ている。と思っていたら果たして甚五郎の若き日の噺。もちろん他の甚五郎噺のように最後まで甚五郎であることは明かさないのだが、落語好きならすぐに「あ、これ甚五郎だな」とわかる。
金勘定ができる看板猫がいる餅屋なので「猫餅」。この猫を対面の店が……と『ねずみ』にも似た展開。
猫餅の婆さんのことを気にかけてくれる大工の八五郎がおり、彼が彫った猫が「頭が大きくて手足が短くて丸くて目と口がデカくて……これ猫か?」とどう聞いてもド〇えもん。「これは耳がない方がいい」と甚五郎が耳を落としてしまい、いよいよ国民的青ダヌキに。甚五郎が自分が彫った猫の代わりに「この猫を代わりに貰っていくな」と持っていってしまう。ストーリーには大きな影響はないのだが、この猫がちょいちょい出てきて笑いを誘う。
甚五郎が江戸から京都に戻るときの噺らしく、時系列的には『竹の水仙』『三井の大黒』『ねずみ』よりも前の話で、「名人」と呼ばれ始めた頃のようだ。若々しく明るく、江戸っ子のような雰囲気も持っている。兼好師の『三井の大黒』は聴いたことがないのでわからないが、『竹の水仙』や『ねずみ』でも明るく冗談を好む人物として描かれており、その若い時分だとすると不自然ではない。
小すみ先生は相変わらずの超絶テクニック。
猫テーマなのでもちろん『猫じゃ猫じゃ』からなのだが「猫が出てくる唄ってこれくらいしかないんですよ」と困っていた様子。エジプトでは猫がバステト神として敬われていたことから『月の沙漠』などを。
大佛次郎の猫好きエピソードを本持参でハイテンションで紹介しまくるのも楽しかった。
志ん輔師、自身の大佛次郎のエピソードを語ろうとするが、「中学生の頃に『天皇の世紀』を買って3行ほど読んだ」くらいしかないそうで苦笑い。
『猫忠』は8年以上前に笑二さんで聴いたきり。さすがにもう内容を覚えておらず、こんな噺だったっけかと再確認する。
『義経千本桜』のパロディだそうで、確かに元ネタを知っていたほうが楽しめるのだろうが、さすがに志ん輔師のテクニックでグイグイと飽きさせずに聴かせてくれる。
お師匠さんの家を覗くときに「そっちの節穴は見えないよ、こっちのほうがよく見える」と普段からちょくちょくお師匠さんを覗いてるのがわかるセリフがおかしい。
野毛で一杯やってから帰ろうかとも思ったが、我が家の猫が恋しいのですぐに帰る。
というか猫テーマの会なのに、猫好きの師匠が誰も出ていないってのもすごいというかなんでこのメンバーだったんだろ。
於:桜木町 横浜にぎわい座
金原亭駒介『道具屋』
三遊亭萬橘『猫と金魚』
三遊亭兼好『猫餅』
桂小すみ 猫と音曲
古今亭志ん輔『猫忠』
横浜だし兼好師一席だし普段ならパスするかもしれない会だが、他の顔付けがいいこと、それに何より兼好師で聴いたことのない噺がネタ出しされてる。そして猫尽くし。そら行くでしょ。
萬橘師、今年は巡り合わせが悪くてなかなか行けない。ホントは明日の柏の会に行こうかと思っていたのだが、どうにも休日出勤しないと間に合わなそうなので。
「ここは野毛動物園が近くにあっていいですね。私は動物園が大好きで。上野動物園にも行くんですけど、ハダカデバネズミってのがいるんです。……ハダカもデバもネズミも全部悪口ですからね。娘に言ったら『風呂上がりのパパだね』って……。うるせえバカやろー」。まあしょうがないっつーか。萬橘師唯一のCDのジャケットのイラスト、坂本頼光先生が描いたらしいけど、ほぼ水木しげる御大のねずみ男だったからなあ……。
「娘は最近ホントに生意気でね。近所のおばさんに会ったら『パパそっくりね』と言われて悔しがってましたけど。ザマーミロ」。それもちょっと違うような気もするけど。
「まあなので猫は捕食される側で怖いところもある」と『猫と金魚』に。
とにかく旦那がハイテンションでツッコミも激しい。これはほぼひとり漫才のよう。
金魚が猫に食べられないようにするアイデアを番頭がいくつか出していくが、キテレツなものばかりで旦那が激怒しながら却下していくのがおかしい。
萬橘師らしく本来の「濡れ鼠」のサゲの後にも追加されており、店を挙げての大騒動になっていく。
兼好師、「大谷くんのことで本当にショックを受けている人もいるそうですが、……ここは大丈夫そうですね。そもそも土曜の夜に落語にこようという人は大谷くんにハマらないでしょう。それにまあ……見たところ、もう……」と軽やかに毒を吐く。
「しかしお相手の方もよく大谷くんに選ばれたなと思いますが……意外と早い者勝ちだったかもしれませんよ、彼は野球バカで野球にしか興味がないから『結婚して』っていったら『いいよ』って答えてくれたのかも……」。そんなまさか。
「しかし彼はすごいですね。メジャーリーグでピッチャーとバッター両方でトップなんですから。『古典と新作どっちもやります』なんて半端な二刀流じゃないですからね。天才なんでしょうねえ。落語だと『名人』とか言われますけど、今は名人ていう人はいないですねえ。よく『〇〇名人会』ってありますけど、そこには名人は出ない! 私も呼ばれたたりしますけど、楽屋で『誰が名人?』で笑い合ってる。だから名人会ってのは行かない方がいいです。まだ親子会とか兄弟会とかの方がいい。……でも本当の親子会とか本当の兄弟会とか行っちゃダメ」とどんどん爆弾を落としていく。
特に大佛次郎とか猫について話してないような気がするな。
『猫餅』は元は浪曲とか講談のようだ。圓窓師が『いただき猫』という演題で落語化したようだが、まあこれじゃないだろうな。あとは扇治師も掛けているそうだが、扇治師では聴いたことがないので兼好師が教わったのかはわからない。兼好師が他で掛けたような情報もないのでおそらくネタおろし?
舞台は小田原。小田原といえば『竹の水仙』が思い起こされる(他の土地のこともあるけど、兼好師は小田原)が、なんとなく雰囲気も似ている。と思っていたら果たして甚五郎の若き日の噺。もちろん他の甚五郎噺のように最後まで甚五郎であることは明かさないのだが、落語好きならすぐに「あ、これ甚五郎だな」とわかる。
金勘定ができる看板猫がいる餅屋なので「猫餅」。この猫を対面の店が……と『ねずみ』にも似た展開。
猫餅の婆さんのことを気にかけてくれる大工の八五郎がおり、彼が彫った猫が「頭が大きくて手足が短くて丸くて目と口がデカくて……これ猫か?」とどう聞いてもド〇えもん。「これは耳がない方がいい」と甚五郎が耳を落としてしまい、いよいよ国民的青ダヌキに。甚五郎が自分が彫った猫の代わりに「この猫を代わりに貰っていくな」と持っていってしまう。ストーリーには大きな影響はないのだが、この猫がちょいちょい出てきて笑いを誘う。
甚五郎が江戸から京都に戻るときの噺らしく、時系列的には『竹の水仙』『三井の大黒』『ねずみ』よりも前の話で、「名人」と呼ばれ始めた頃のようだ。若々しく明るく、江戸っ子のような雰囲気も持っている。兼好師の『三井の大黒』は聴いたことがないのでわからないが、『竹の水仙』や『ねずみ』でも明るく冗談を好む人物として描かれており、その若い時分だとすると不自然ではない。
小すみ先生は相変わらずの超絶テクニック。
猫テーマなのでもちろん『猫じゃ猫じゃ』からなのだが「猫が出てくる唄ってこれくらいしかないんですよ」と困っていた様子。エジプトでは猫がバステト神として敬われていたことから『月の沙漠』などを。
大佛次郎の猫好きエピソードを本持参でハイテンションで紹介しまくるのも楽しかった。
志ん輔師、自身の大佛次郎のエピソードを語ろうとするが、「中学生の頃に『天皇の世紀』を買って3行ほど読んだ」くらいしかないそうで苦笑い。
『猫忠』は8年以上前に笑二さんで聴いたきり。さすがにもう内容を覚えておらず、こんな噺だったっけかと再確認する。
『義経千本桜』のパロディだそうで、確かに元ネタを知っていたほうが楽しめるのだろうが、さすがに志ん輔師のテクニックでグイグイと飽きさせずに聴かせてくれる。
お師匠さんの家を覗くときに「そっちの節穴は見えないよ、こっちのほうがよく見える」と普段からちょくちょくお師匠さんを覗いてるのがわかるセリフがおかしい。
野毛で一杯やってから帰ろうかとも思ったが、我が家の猫が恋しいのですぐに帰る。
というか猫テーマの会なのに、猫好きの師匠が誰も出ていないってのもすごいというかなんでこのメンバーだったんだろ。
人形町噺し問屋 その107 [落語]
人形町噺し問屋 その107
於:人形町 日本橋社会教育会館
三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『強情灸』
三遊亭兼好『風の神送り』
寒空はだか 唄うスタンダップコメディ
三遊亭兼好『明烏』
今年初の噺し問屋、しかし今日提出期限の書類がありそれをやっつけていたため少し遅れる。来年度の目標管理とか。辞めようと思ってるくらいなのに目標なんてねーよ。これ以上俺になんかやらせるつもりか。当たり障りのない目標をなんとか捻り出して会場へ向かう。
10分ほど遅れて到着。ご挨拶が始まっていた。
どうやら閏日の話題だったようで、昔のスコットランドでは4年に一度の閏日に女性から結婚を申し込むと男は断れないという法律があったということを話していたようだ。
「だからね、……大谷くんはこれを使われたんじゃないですかねえ。彼は真面目だから、そういう法律があったと聞いたら『あっそうなんだ』って結婚したんじゃないですか」。相変わらず世間話のスピード感がすごい。聞くところによるとこのご挨拶も一度稽古してるそうだが、数時間で変えてきたってことだもんなあ。
「でもどうですか、女性もこの制度があったら一度くらい使いたいでしょ。今なら羽生結弦くんとか藤井くんとかでも使えるんですよ。少子化対策にもいいと思うんですよね。男も変な女性と結婚したくないから、その前に急いで結婚するでしょ。独身貴族なんて言ってビルに住んでる場合じゃない」。なんか女性から怒られそうな理論のような……。
「でもまあその日は男性は逃げ回るんでしょうね。逃げ回るといえば政倫審。テレビを入れてやるそうですが、テレビは都合良く切り取りますから、政治家も信用できないんでしょ。テレビってのは『嘘じゃないけど正しくはない』ってことがありますからね」と以前に王楽師のドキュメンタリーで相談を受ける先輩として兼好師が出たときのエピソードを。ちゃんこ屋でバカ話をしているところの再現をし、後で見たら合間の一言二言しかしてないところを切り取られて真面目に話してるようになってたのだとか。なんかその番組見たな。
「政治家の生で話せばいいんですよ、あの5人と野党何人か連れて、ひとり15分ずつ順番言い訳をする。読売ホールを皮切りに4500円くらい取って、北海道から『ドッサリ回るぜ』って全国を回ればいい。『やっぱり西村がトリのときは客が入るなあ』なんて……。で、その売り上げをまた裏金にすればいい」とオチも鮮やか。
けろよんさん、師匠の型の『強情灸』を。そら師匠と比べたら物足りない部分もあるけれど、これだけできる前座ってすげえな。このまま進んでいけば抜擢だって……人の少ない圓楽党で抜擢っていってもアレか……。
峰の灸の店員の顔が揺れているのも兼好師のまま。このとき顔が笑っていたが、個人的にはここは真顔の方がかえって面白いと思う。
兼好師の一席め、「最近はインフルも流行っている。日本人は忘れっぽいんでもうコロナもなかったかのように振る舞ってますけどまだ流行ってますからね。それにアフリカ豚熱なんてものも流行っていて、致死率は100%なんですって。人間にはうつらないそうですが、ウィルスなんてどう変異するかわからないですからね。鳥インフルエンザなんてのも毎年流行ってる。アレは渡り鳥が持ってくるって聞いて、私は渡り鳥がニワトリなんかに『このあたりにいい沼があるって聞いたんだが、どこだい?』『あー、アタスらは飛べないんで……』『そうかい、あばよ!』……なんてやり取りの間に感染するんだと思ってた。そしたら感染した渡り鳥が死んで、それにたかったハエが媒介するんですってね」。へぇー。
感染症から風邪の話題になり、「風邪が弱みに付け込むのか、弱ってるから風邪をひくのか……」と『風の神送り』に。去年の雲助師一朝師と一緒の会で聴いたきりだ。
前半部は町内の若い衆がわちゃわちゃしてるしてる噺で、『饅頭こわい』とか『浮世床』のような群像劇的な趣き。一応取りまとめる兄貴分がいてツッコミだったり狂言回しを努めるが、若い衆たちの無邪気で不躾なやり取りがとにかく楽しい。またこのときの兼好師の楽しそうなことといったら。
仕込みが効いていたか、サゲも前回聴いた時よりもストンときれいに納得できる。いわゆる地口オチというやつなんだろうが、現代では一回聴いただけじゃわからないことも多いからなあ。
はだか先生、今日は新ネタもたっぷりと。
なにとは言えないけど来年大阪である(予定の)大イベントについて盛大に毒を吐いていて楽しい。たしかにミャクミャクのいいところはまったく思いつかないよなあ……。
そしてやっぱり東京タワーの唄で締めくくり。これこれ、これを聴かないと。
兼好師の二席め、もう明日から3月であることに触れ、「早いですねえ。人間、新しい、初めてのことに触れないと時間が経つのが早くなるし感動もなくなる。最近、写真が出回りすぎていて観光地に行ってもあんまり感動しないですよね。その場所について情報が多すぎる。昔のように情報が少なかった頃の方が実際にその場所に行ったときに感動したのかも」。確かにそうかも……。
「落語も同じです」。ん? 「落語も『この人がすごく面白いんだよ』って勧められたら、実際に聴いて『それほどでも……』って思うでしょ。逆に情報もなくて期待してなかった人が面白かったら『あ、面白い』ってなるでしょ」。まあ確かに俺が兼好師や遊馬師、一之輔師にハマったのは前情報がほとんどない二ツ目時代ですけども。
「だから常連しかいないこの会のやりにくいこと」で会場大爆笑。
それでも俺は落語初心者に兼好師を激推しするけどね! 前情報があろうがなかろうが、兼好一之輔を聴いて落語がつまんないって思うんなら、もうソイツは落語聴くのに向いてないんよ。
「初めての経験」繋がりで『明烏』に。
相変わらず源兵衛太助の札付きコンビのやり取りが楽しい。
一晩明けて「珍談珍談……」となるときに、「どういう流れでその話を持ってきたの? そもそもアンタ誰? 源兵衛でも太助でもなさそうなんだけど……」となりがちなのだが、さすがに兼好師はそういう破綻をきたさない。お調子者の源兵衛が爪楊枝を使い、口を濯ぎに行った帰りに珍談を仕込んでくるということが明確にわかる。なおこの爪楊枝を使っての歯磨きの仕草が絶品であることも記しておく。
若旦那の「源兵衛太助、おはよう」の「おはよう」などの決め台詞がなぜか低音ボイスでキメるのがまたおかしい。それを受けた太助のリアクションもわかりみが深くて楽しい。
……あー明日憂鬱だなあ。目標管理で社長の呼び出し喰らわなきゃいいけど。
於:人形町 日本橋社会教育会館
三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『強情灸』
三遊亭兼好『風の神送り』
寒空はだか 唄うスタンダップコメディ
三遊亭兼好『明烏』
今年初の噺し問屋、しかし今日提出期限の書類がありそれをやっつけていたため少し遅れる。来年度の目標管理とか。辞めようと思ってるくらいなのに目標なんてねーよ。これ以上俺になんかやらせるつもりか。当たり障りのない目標をなんとか捻り出して会場へ向かう。
10分ほど遅れて到着。ご挨拶が始まっていた。
どうやら閏日の話題だったようで、昔のスコットランドでは4年に一度の閏日に女性から結婚を申し込むと男は断れないという法律があったということを話していたようだ。
「だからね、……大谷くんはこれを使われたんじゃないですかねえ。彼は真面目だから、そういう法律があったと聞いたら『あっそうなんだ』って結婚したんじゃないですか」。相変わらず世間話のスピード感がすごい。聞くところによるとこのご挨拶も一度稽古してるそうだが、数時間で変えてきたってことだもんなあ。
「でもどうですか、女性もこの制度があったら一度くらい使いたいでしょ。今なら羽生結弦くんとか藤井くんとかでも使えるんですよ。少子化対策にもいいと思うんですよね。男も変な女性と結婚したくないから、その前に急いで結婚するでしょ。独身貴族なんて言ってビルに住んでる場合じゃない」。なんか女性から怒られそうな理論のような……。
「でもまあその日は男性は逃げ回るんでしょうね。逃げ回るといえば政倫審。テレビを入れてやるそうですが、テレビは都合良く切り取りますから、政治家も信用できないんでしょ。テレビってのは『嘘じゃないけど正しくはない』ってことがありますからね」と以前に王楽師のドキュメンタリーで相談を受ける先輩として兼好師が出たときのエピソードを。ちゃんこ屋でバカ話をしているところの再現をし、後で見たら合間の一言二言しかしてないところを切り取られて真面目に話してるようになってたのだとか。なんかその番組見たな。
「政治家の生で話せばいいんですよ、あの5人と野党何人か連れて、ひとり15分ずつ順番言い訳をする。読売ホールを皮切りに4500円くらい取って、北海道から『ドッサリ回るぜ』って全国を回ればいい。『やっぱり西村がトリのときは客が入るなあ』なんて……。で、その売り上げをまた裏金にすればいい」とオチも鮮やか。
けろよんさん、師匠の型の『強情灸』を。そら師匠と比べたら物足りない部分もあるけれど、これだけできる前座ってすげえな。このまま進んでいけば抜擢だって……人の少ない圓楽党で抜擢っていってもアレか……。
峰の灸の店員の顔が揺れているのも兼好師のまま。このとき顔が笑っていたが、個人的にはここは真顔の方がかえって面白いと思う。
兼好師の一席め、「最近はインフルも流行っている。日本人は忘れっぽいんでもうコロナもなかったかのように振る舞ってますけどまだ流行ってますからね。それにアフリカ豚熱なんてものも流行っていて、致死率は100%なんですって。人間にはうつらないそうですが、ウィルスなんてどう変異するかわからないですからね。鳥インフルエンザなんてのも毎年流行ってる。アレは渡り鳥が持ってくるって聞いて、私は渡り鳥がニワトリなんかに『このあたりにいい沼があるって聞いたんだが、どこだい?』『あー、アタスらは飛べないんで……』『そうかい、あばよ!』……なんてやり取りの間に感染するんだと思ってた。そしたら感染した渡り鳥が死んで、それにたかったハエが媒介するんですってね」。へぇー。
感染症から風邪の話題になり、「風邪が弱みに付け込むのか、弱ってるから風邪をひくのか……」と『風の神送り』に。去年の雲助師一朝師と一緒の会で聴いたきりだ。
前半部は町内の若い衆がわちゃわちゃしてるしてる噺で、『饅頭こわい』とか『浮世床』のような群像劇的な趣き。一応取りまとめる兄貴分がいてツッコミだったり狂言回しを努めるが、若い衆たちの無邪気で不躾なやり取りがとにかく楽しい。またこのときの兼好師の楽しそうなことといったら。
仕込みが効いていたか、サゲも前回聴いた時よりもストンときれいに納得できる。いわゆる地口オチというやつなんだろうが、現代では一回聴いただけじゃわからないことも多いからなあ。
はだか先生、今日は新ネタもたっぷりと。
なにとは言えないけど来年大阪である(予定の)大イベントについて盛大に毒を吐いていて楽しい。たしかにミャクミャクのいいところはまったく思いつかないよなあ……。
そしてやっぱり東京タワーの唄で締めくくり。これこれ、これを聴かないと。
兼好師の二席め、もう明日から3月であることに触れ、「早いですねえ。人間、新しい、初めてのことに触れないと時間が経つのが早くなるし感動もなくなる。最近、写真が出回りすぎていて観光地に行ってもあんまり感動しないですよね。その場所について情報が多すぎる。昔のように情報が少なかった頃の方が実際にその場所に行ったときに感動したのかも」。確かにそうかも……。
「落語も同じです」。ん? 「落語も『この人がすごく面白いんだよ』って勧められたら、実際に聴いて『それほどでも……』って思うでしょ。逆に情報もなくて期待してなかった人が面白かったら『あ、面白い』ってなるでしょ」。まあ確かに俺が兼好師や遊馬師、一之輔師にハマったのは前情報がほとんどない二ツ目時代ですけども。
「だから常連しかいないこの会のやりにくいこと」で会場大爆笑。
それでも俺は落語初心者に兼好師を激推しするけどね! 前情報があろうがなかろうが、兼好一之輔を聴いて落語がつまんないって思うんなら、もうソイツは落語聴くのに向いてないんよ。
「初めての経験」繋がりで『明烏』に。
相変わらず源兵衛太助の札付きコンビのやり取りが楽しい。
一晩明けて「珍談珍談……」となるときに、「どういう流れでその話を持ってきたの? そもそもアンタ誰? 源兵衛でも太助でもなさそうなんだけど……」となりがちなのだが、さすがに兼好師はそういう破綻をきたさない。お調子者の源兵衛が爪楊枝を使い、口を濯ぎに行った帰りに珍談を仕込んでくるということが明確にわかる。なおこの爪楊枝を使っての歯磨きの仕草が絶品であることも記しておく。
若旦那の「源兵衛太助、おはよう」の「おはよう」などの決め台詞がなぜか低音ボイスでキメるのがまたおかしい。それを受けた太助のリアクションもわかりみが深くて楽しい。
……あー明日憂鬱だなあ。目標管理で社長の呼び出し喰らわなきゃいいけど。
3肥良乱ショー [落語]
3肥良乱ショー
於:中野 なかの芸能小劇場
林家十八『真田小僧』
オープニングトーク
柳家小ふね『牛ほめ』
林家きく麿『首領が行く!』
三遊亭歌武蔵『家見舞』
春風亭一蔵『笠碁』
オープニングトークは私服の3人と着物姿の小ふねさん。
勢いのある二ツ目になりたての人をゲストに呼ぼうと企画し、3人が小ふねさんを挙げたらしい。
前座の頃はよく知ってるが、二ツ目に上がると真打とは出番が離れるので聴く機会が極端に下がるのだとか。しかも新二ツ目も修行が明けて本性が現れるので、その人となりを知りたいとのこと。
歌武蔵師が二ツ目に上がった頃はバブルで二ツ目でも忙しく、きく麿師の時代は落語自体がどん底で月収が6千円だったとか。一蔵師の頃はそこそこ落語会が多かったのでそれなりに忙しかったそうだが、今は落語会自体はあるものの、呼ばれる人が結構限られているのだとか。
さらに今は同期の皆で呑みに行くということはまったくなく、むしろ皆終わったらすぐに帰りたがるのだとか。まあコロナもあったし、時代なんだろうなあ。
小ふねさんの得意ネタは与太郎ものなのだそうで、「これ一本でやっていきます」とのこと。
予告通り与太郎ものの『牛ほめ』に。
家の褒めようを父親に教えてもらいながら与太郎自身がメモをとるのだが、そのときにいろいろ毒づきながらなのがおかしい。
きく麿師、小さいあいびきを使っているようだ。まあ「3肥良乱ショー」だしなあ。
久しぶりに聞く『首領が行く!』。どんどんVシネマに毒されているクラスの様子がなんとも面白い。
歌武蔵師、座布団の横に小さな台が置いてあり、「? 喬太郎師のように釈台置いてやるのか? それにしちゃ小さいような……」と思っていたら特大のあいびきだったようだ。さすが。
江戸っ子たちのキレのいい会話が心地良い。
一蔵師、「今16時18分。で、この会場が17時に完徹。完徹ということは楽屋も客席もあの録画機材も全部撤去しないといけない。なんであまり長いことは話せません」。
「この時間は落語よりもボートのことが気になって……」といつものようにボートの話を捲し立て、「……この話題、興味がないですか」。最近はボートレース場に若い人たちも増えているそうで、舟券の買い方を教えたりして交流があるそうな。
共通の趣味があるのはいいと『笠碁』に。時間がないからか「金を貸したときに待てないと言ったか」というやり取りはなし。まあここは特にイヤラシイところなので、なくてもいいよなあ。
とにかく大人げないふたりのおじいちゃんたちがかわいらしい。
最近では珍しく打ち上げ付きの会で、久しぶりに行きたかったがこの後に高校の時の友人たちと飲む予定が入っていたのでパス。次回があれば参加しようかな。
於:中野 なかの芸能小劇場
林家十八『真田小僧』
オープニングトーク
柳家小ふね『牛ほめ』
林家きく麿『首領が行く!』
三遊亭歌武蔵『家見舞』
春風亭一蔵『笠碁』
オープニングトークは私服の3人と着物姿の小ふねさん。
勢いのある二ツ目になりたての人をゲストに呼ぼうと企画し、3人が小ふねさんを挙げたらしい。
前座の頃はよく知ってるが、二ツ目に上がると真打とは出番が離れるので聴く機会が極端に下がるのだとか。しかも新二ツ目も修行が明けて本性が現れるので、その人となりを知りたいとのこと。
歌武蔵師が二ツ目に上がった頃はバブルで二ツ目でも忙しく、きく麿師の時代は落語自体がどん底で月収が6千円だったとか。一蔵師の頃はそこそこ落語会が多かったのでそれなりに忙しかったそうだが、今は落語会自体はあるものの、呼ばれる人が結構限られているのだとか。
さらに今は同期の皆で呑みに行くということはまったくなく、むしろ皆終わったらすぐに帰りたがるのだとか。まあコロナもあったし、時代なんだろうなあ。
小ふねさんの得意ネタは与太郎ものなのだそうで、「これ一本でやっていきます」とのこと。
予告通り与太郎ものの『牛ほめ』に。
家の褒めようを父親に教えてもらいながら与太郎自身がメモをとるのだが、そのときにいろいろ毒づきながらなのがおかしい。
きく麿師、小さいあいびきを使っているようだ。まあ「3肥良乱ショー」だしなあ。
久しぶりに聞く『首領が行く!』。どんどんVシネマに毒されているクラスの様子がなんとも面白い。
歌武蔵師、座布団の横に小さな台が置いてあり、「? 喬太郎師のように釈台置いてやるのか? それにしちゃ小さいような……」と思っていたら特大のあいびきだったようだ。さすが。
江戸っ子たちのキレのいい会話が心地良い。
一蔵師、「今16時18分。で、この会場が17時に完徹。完徹ということは楽屋も客席もあの録画機材も全部撤去しないといけない。なんであまり長いことは話せません」。
「この時間は落語よりもボートのことが気になって……」といつものようにボートの話を捲し立て、「……この話題、興味がないですか」。最近はボートレース場に若い人たちも増えているそうで、舟券の買い方を教えたりして交流があるそうな。
共通の趣味があるのはいいと『笠碁』に。時間がないからか「金を貸したときに待てないと言ったか」というやり取りはなし。まあここは特にイヤラシイところなので、なくてもいいよなあ。
とにかく大人げないふたりのおじいちゃんたちがかわいらしい。
最近では珍しく打ち上げ付きの会で、久しぶりに行きたかったがこの後に高校の時の友人たちと飲む予定が入っていたのでパス。次回があれば参加しようかな。
兼好54歳×文菊45歳二人会 [落語]
兼好54歳×文菊45歳二人会
於:人形町 日本橋社会教育会館ホール
三遊亭けろよん『本膳』
古今亭文菊『猫と金魚』
三遊亭兼好『磯の鮑』
トークコーナー
三遊亭兼好『日和違い』
古今亭文菊『小言幸兵衛』
文菊師が誕生日ということで企画された会のようだが、なぜ1月11日生まれの兼好師が? まあなんでもいいんですが。
そば打ちの会が予定外に早く終わったのでちょっと時間が空く。晴れてたら歩いて次の会場に行くんだけど、さすがに寒い雨の中はなあ。というか晴れてたらそもそもバイクで行くか。
けろよんさん、若干独特のイントネーションは残っているものの、いやもう前座? ってくらい達者。
肘鉄のやり場に困るオチではなく、肘鉄が往復してさらにもうひと波乱がある。
文菊師の一席め、今日が誕生日などで出囃子も『Happy Birthday to you』。「……すごく出にくかった」。
45歳になるにあたり、キャラについて悩んでいるところがあるようで、「今の師匠からは『執着を取れ』と厳しく教えられていてね……」今の師匠? 「あ、初めて聞く人はなんのことだかわからないと思うけど、今の師匠ってのはカミさんのことで」。あーなんか寄席で聞いたことあるかも。これはこれで新しい恐妻家キャラというか。
「よくマクラで『ごめんなさいね、イヤらしいお坊さんみたいで』といっていたんだけど、これを数日前からやめました。今のご時世、こういうこともダメなんでしょ? そういう風潮になってるから、これで客席で引く人がいる」とのこと。なんか最近めんどくさい流れだなあとは私も思う。とはいえ正直私自身もあの定番のフレーズはあんまり好きじゃないんだ。なんつーかオネエっぽい喋り方と相まって生々しくて。
噺に入るとネッチョリとしたオネエっぽいところはなくなる。話の通じない番頭にイライラし、徐々にヒートアップしていく旦那の様子がおかしい。
兼好師の一席め、「文菊さんの誕生日になんで私が呼ばれたのか。私は単なる被害者」と笑う。
「しかし文菊くんももう45歳なんですね。私は入門が遅かったので、年は離れてるんですが芸歴はさほど離れてない。なのでもっと若いと思ってたんですが……。まあ本人も言ってましたけど45にもなって『スケベなお坊さん』ってのもね」。「イヤらしい」と「スケベ」だとちょっとニュアンスが違う気が……。
「アレも若くてシュッとしてる人がいうからギャップがあってウケるんであって、今ならこうやって(腰を落として)出てくるだけでたいがいの人は引きますよ。正面に向いたらうわーってなって、お辞儀したらうひゃーってなって、仕上げに頭を上げるときに小声で『どーも』って言われたら……」とここで文菊師が抗議に出てくる。「止められなかったら40分間ワルグチを言ってた」と黒い笑みをこぼす。
「私は54歳で、普通の社会だったらもう分別をつけなきゃならない頃ですが、この世界は昇太師匠や喬太郎師匠のような60過ぎの師匠たちがこの前まで『若手のホープ』といわれてた世界ですから。こないだも権太楼師匠に『兼好さん、歳いくつ?』って聞かれて答えたら『もっと歳いってると思った。丁寧に話して損した』って言われましたから。『損した』ってことはないと思うんですがね……」。権太楼師のモノマネも似ていておかしい。
「最近は若い子の方がおとなしい。おそらくスマホやなんかでスケベなものがすぐに手に入るのが原因な気がしますね。おじさんの方が客席を覗いて『いい女いる!』とか騒いでますから。昔は若い人はスケベなことに熱心で、そうなると吉原ということになりますが……」と町内の若い衆が「女郎買いの師匠」に吉原でのコツを教わりに行く『磯の鮑』に。
女郎買いの師匠とでっちあげられ、「女郎っ買いの師匠! 女郎っ買いの師匠!」と押しかけられた隣町のご隠居の戸惑う姿がおかしい。
そのご隠居から無理やり教わったコツを実践する男の鬼気迫る表情がまた楽しい。
幕が下りかけ、仲入りかと思ったら「まだ仲入りではありません! お戻りください!」と席亭のアナウンスが。
仲入り前にふたりのトークコーナー。
……なんかふたりしてちいかわの被り物を被らされている。何だこれ。事前アンケートで両師匠に好きなキャラクターを聞き、兼好師がドラえもん、文菊師がジブリキャラだと回答され、それぞれ抱きまくらをプレゼントされたのだが、席亭の好きなキャラとしてちいかわを被らされたらしい。
撮影コーナーの後でクロストーク。
客から取ったアンケートを元に「落語家になっていなかったら何になっていたか」「稽古事をしているか」「夫婦円満の秘訣」を話し合う。
兼好師の二席め、スマホの発達ですぐに天気予報が見られるようになって便利になったのはいいが、その分自分で空気や雲の流れを感じて予測する能力は落ちたと『日和違い』に。
そもそも聴くこと自体が少ない噺で、あれ兼好師で初めて聴く? と思ってたら6年半前に一度だけ聞いていた。さすがにネタおろしとかそれに近い状態じゃないと兼好師の持ちネタで聴いたことがないってのはもうほとんどないか。
雨に振られた男が米屋で俵とサンダラボッチを貰い、それを着て雨具代わりにするのだが、それを着込む仕草がおかしい。俵とサンダラボッチなんて実物を見たことがあるかも怪しいのに、兼好師の仕草だけでなんとなく情景が浮かぶんだからすごい。
文菊師の二席め、「さっきのトークの『稽古事をしているか』というテーマのときにカミさんから『執着を捨てろ』といわれて習い事をやめた噺をしたんですけど……ちゃんと伝わってます?」とおかみさんとの関係性を説明する。一応はネタのような扱いのようなのだが、本気にする人もいる、ということのようなのだが、ちょっと特殊すぎて正直どこまでがネタでどこまでがホントなのか分かりづらいのは確か。特に私のように年に1~2度寄席で聴くか聴かないかという頻度ならそんなもんじゃないかなあ。結構説明してたけど、理解できてるかは正直わからん。
おかみさんから小言を食らうという小言つながりで『小言幸兵衛』に。
豆腐屋のおかみさんが吉原上がりの元花魁という設定は初めて聞く。だがそのおかみさんとも「惚れて惚れられ」と盛大に惚気けるのは同じ。確かに元花魁とそういう間柄になれば自慢もするだろうなあ。
仕立て屋の話を聴いて心中までのくだりを話すときにどんどん理不尽になっていく様子がおかしいっつーかこれ先代圓菊師やおかみさんがモデルなんじゃねーのと思わせる。
この会のために兼好師が描いたイラストをプリントしたクリアファイルがお土産に。オフィス10では珍しい。
於:人形町 日本橋社会教育会館ホール
三遊亭けろよん『本膳』
古今亭文菊『猫と金魚』
三遊亭兼好『磯の鮑』
トークコーナー
三遊亭兼好『日和違い』
古今亭文菊『小言幸兵衛』
文菊師が誕生日ということで企画された会のようだが、なぜ1月11日生まれの兼好師が? まあなんでもいいんですが。
そば打ちの会が予定外に早く終わったのでちょっと時間が空く。晴れてたら歩いて次の会場に行くんだけど、さすがに寒い雨の中はなあ。というか晴れてたらそもそもバイクで行くか。
けろよんさん、若干独特のイントネーションは残っているものの、いやもう前座? ってくらい達者。
肘鉄のやり場に困るオチではなく、肘鉄が往復してさらにもうひと波乱がある。
文菊師の一席め、今日が誕生日などで出囃子も『Happy Birthday to you』。「……すごく出にくかった」。
45歳になるにあたり、キャラについて悩んでいるところがあるようで、「今の師匠からは『執着を取れ』と厳しく教えられていてね……」今の師匠? 「あ、初めて聞く人はなんのことだかわからないと思うけど、今の師匠ってのはカミさんのことで」。あーなんか寄席で聞いたことあるかも。これはこれで新しい恐妻家キャラというか。
「よくマクラで『ごめんなさいね、イヤらしいお坊さんみたいで』といっていたんだけど、これを数日前からやめました。今のご時世、こういうこともダメなんでしょ? そういう風潮になってるから、これで客席で引く人がいる」とのこと。なんか最近めんどくさい流れだなあとは私も思う。とはいえ正直私自身もあの定番のフレーズはあんまり好きじゃないんだ。なんつーかオネエっぽい喋り方と相まって生々しくて。
噺に入るとネッチョリとしたオネエっぽいところはなくなる。話の通じない番頭にイライラし、徐々にヒートアップしていく旦那の様子がおかしい。
兼好師の一席め、「文菊さんの誕生日になんで私が呼ばれたのか。私は単なる被害者」と笑う。
「しかし文菊くんももう45歳なんですね。私は入門が遅かったので、年は離れてるんですが芸歴はさほど離れてない。なのでもっと若いと思ってたんですが……。まあ本人も言ってましたけど45にもなって『スケベなお坊さん』ってのもね」。「イヤらしい」と「スケベ」だとちょっとニュアンスが違う気が……。
「アレも若くてシュッとしてる人がいうからギャップがあってウケるんであって、今ならこうやって(腰を落として)出てくるだけでたいがいの人は引きますよ。正面に向いたらうわーってなって、お辞儀したらうひゃーってなって、仕上げに頭を上げるときに小声で『どーも』って言われたら……」とここで文菊師が抗議に出てくる。「止められなかったら40分間ワルグチを言ってた」と黒い笑みをこぼす。
「私は54歳で、普通の社会だったらもう分別をつけなきゃならない頃ですが、この世界は昇太師匠や喬太郎師匠のような60過ぎの師匠たちがこの前まで『若手のホープ』といわれてた世界ですから。こないだも権太楼師匠に『兼好さん、歳いくつ?』って聞かれて答えたら『もっと歳いってると思った。丁寧に話して損した』って言われましたから。『損した』ってことはないと思うんですがね……」。権太楼師のモノマネも似ていておかしい。
「最近は若い子の方がおとなしい。おそらくスマホやなんかでスケベなものがすぐに手に入るのが原因な気がしますね。おじさんの方が客席を覗いて『いい女いる!』とか騒いでますから。昔は若い人はスケベなことに熱心で、そうなると吉原ということになりますが……」と町内の若い衆が「女郎買いの師匠」に吉原でのコツを教わりに行く『磯の鮑』に。
女郎買いの師匠とでっちあげられ、「女郎っ買いの師匠! 女郎っ買いの師匠!」と押しかけられた隣町のご隠居の戸惑う姿がおかしい。
そのご隠居から無理やり教わったコツを実践する男の鬼気迫る表情がまた楽しい。
幕が下りかけ、仲入りかと思ったら「まだ仲入りではありません! お戻りください!」と席亭のアナウンスが。
仲入り前にふたりのトークコーナー。
……なんかふたりしてちいかわの被り物を被らされている。何だこれ。事前アンケートで両師匠に好きなキャラクターを聞き、兼好師がドラえもん、文菊師がジブリキャラだと回答され、それぞれ抱きまくらをプレゼントされたのだが、席亭の好きなキャラとしてちいかわを被らされたらしい。
撮影コーナーの後でクロストーク。
客から取ったアンケートを元に「落語家になっていなかったら何になっていたか」「稽古事をしているか」「夫婦円満の秘訣」を話し合う。
兼好師の二席め、スマホの発達ですぐに天気予報が見られるようになって便利になったのはいいが、その分自分で空気や雲の流れを感じて予測する能力は落ちたと『日和違い』に。
そもそも聴くこと自体が少ない噺で、あれ兼好師で初めて聴く? と思ってたら6年半前に一度だけ聞いていた。さすがにネタおろしとかそれに近い状態じゃないと兼好師の持ちネタで聴いたことがないってのはもうほとんどないか。
雨に振られた男が米屋で俵とサンダラボッチを貰い、それを着て雨具代わりにするのだが、それを着込む仕草がおかしい。俵とサンダラボッチなんて実物を見たことがあるかも怪しいのに、兼好師の仕草だけでなんとなく情景が浮かぶんだからすごい。
文菊師の二席め、「さっきのトークの『稽古事をしているか』というテーマのときにカミさんから『執着を捨てろ』といわれて習い事をやめた噺をしたんですけど……ちゃんと伝わってます?」とおかみさんとの関係性を説明する。一応はネタのような扱いのようなのだが、本気にする人もいる、ということのようなのだが、ちょっと特殊すぎて正直どこまでがネタでどこまでがホントなのか分かりづらいのは確か。特に私のように年に1~2度寄席で聴くか聴かないかという頻度ならそんなもんじゃないかなあ。結構説明してたけど、理解できてるかは正直わからん。
おかみさんから小言を食らうという小言つながりで『小言幸兵衛』に。
豆腐屋のおかみさんが吉原上がりの元花魁という設定は初めて聞く。だがそのおかみさんとも「惚れて惚れられ」と盛大に惚気けるのは同じ。確かに元花魁とそういう間柄になれば自慢もするだろうなあ。
仕立て屋の話を聴いて心中までのくだりを話すときにどんどん理不尽になっていく様子がおかしいっつーかこれ先代圓菊師やおかみさんがモデルなんじゃねーのと思わせる。
この会のために兼好師が描いたイラストをプリントしたクリアファイルがお土産に。オフィス10では珍しい。
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