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馬石・兼好・文菊三人会 [落語]

馬石・兼好・文菊三人会
於:日本橋社会教育会館ホール

オープニングトーク
隅田川わたし『垂乳根』
三遊亭兼好『淀五郎』
隅田川馬石『千両みかん』
古今亭文菊『木乃伊取り』

今日は午前中が空いているのでバイクに乗って隣の草加まで行ってスーパー銭湯で朝風呂。
開演の30分前に天やに入ってビールと天丼。……時間がかからないだろうと思って入ったのだが、全然出てこない。結局出てきたのは開演7分前。3分でビールで天丼を流し込んで出る。あーもったいな。そういうときに限ってレジでテイクアウトの注文で「キスとかぼちゃを追加で……あ、やっぱりキスだけで」とかやってる。ああもう。
ホント幕が開く直前に滑り込む。うわあ満席。

まずはオープニングトーク。
文菊師はこないだインフルエンザに罹ったそうで、馬石師が寄席の代演に上がったり、兼好師との二人会が独演会になったりと影響があったようだ。そのお礼からトークがスタートする。
恒例の客からのアンケートに回答していく形式で、文菊師がアンケート回収箱を持って司会の形になっている。
「小中学生の頃に好きだったアイドル」とか「お互いどんな休日を過ごしていて欲しいか」とか。兼好師は三原じゅん子で馬石師は中山美穂だったとか。文菊師は「アタシは女に興味なかったから」だそうで。基本的に文菊師は回答せずどんどんお題を変えていく。
最後に「注目の二ツ目」というお題では兼好師は「えー? 最近絡まないからなあ……というか最近は『すごいバカ』とか『すごくヘタ』っていう人がいない。みんなそこそこできる」とのこと。馬石師が青森さんを挙げ、兼好師と文菊師も納得の様子。「これからこの会は青森さんを推していきます」だそうです。

一番手は兼好師。この会は「普段あまりやらない噺」をリクエストされていたそうで、私も兼好師の『淀五郎』は一度しか聴いたことがない。
「芝居はチケットはそこそこしますけど、あんまり『損をした』と思うことは少ないですね。舞台の大道具だとか衣装だとか化粧だとか、いろいろ掛かっているのが目に見える。そこへいくと落語はチケット自体はそんなに高くないですけど、舞台は今日のように屏風が出ているだけで頑張っている方、衣装はほぼ自前で六割ポリエステル、素顔のおじさんがしゃべってるだけですから……」と自虐めいたマクラから噺に入る。
オープニングトークで「なんで『淀五郎』なのにトリじゃないの?」と馬石文菊両師からツッコまれつつ「軽い『淀五郎』だから」といなしていたが、確かに細かい部分を省いてサラリとした軽い感じに聴こえた。

今日の回は主催のオフィス10の8周年記念の会で、8年前の4月29日になかの芸能小劇場でやった馬石師の会が初だったそう。その時は『花見の仇討ち』だったそうで、今日は『千両みかん』。「時季の噺をやらない」とオープニングトークで兼好師に指摘を受けていた。
「アニさん『千両みかん』をしょっちゅうやってるように思うんだけど。さっきお弟子さんに聞いたら『のべつやってます』っていってたよ」と暴露される。雲助一門では『千両みかん』は取り合いなんだそうで、「師匠が一門会で『今日オレ“千両みかん”やりたいんだけど』っていうから『こないだ龍玉がやってましたよ』っていったら『(やってたって)いいよ』って。夏はやる機会がない」そうで。
磔の恐怖を抱えながら夏のみかんを探し回っている番頭さんの気の弱そうな姿が馬石師のキャラと合っていて、気の毒なんだけどその姿が楽しい。

文菊師、大旦那が若旦那のを勘当すると騒いでるときにお内儀さんが「お隣の若旦那なんて真夏にみかんが食べていっていって千両も使った」とか、番頭もミイラ取りになったときに「お隣の番頭さんは行方知れずになったんですよ」と『千両みかん』を拾うのがおかしい。そういやどっちも若旦那噺で完全にツいてるような……。
上手いからこそなんだろうけど、若旦那のキャラがなんか嫌。なんか可愛げがないというか。
あとインフルからの復活をアピールするためか若旦那も清蔵もやたらデカい声で叫ぶ。ちょっとうるさくて食傷気味かな……。
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三遊亭天どん独演会 新作大全 [落語]

三遊亭天どん独演会 新作大全
於:両国 お江戸両国亭

三遊亭天どん『牛の子』
三遊亭ごはんつぶ『ふんどしの街』
三遊亭天どん『ランゴランゴ』
三遊亭ごはんつぶ『全自動』
三遊亭天どん『忘れたじいさん』

レブル250で印旛沼までツーリング。今年のGWはあまり天気がよくないらしいので今日は晴れてよかった。だいぶギア操作にも慣れ、発進もかなりスムーズに。特に何も考えずに乗れるようになってきた。ただキツい坂道発進ではもうちょい慣れが必要かな。
帰りの途中、ちょうどルートが複雑なところで携帯の充電が切れて焦る。ていうかUSB電源も付いてるんだけど、ダイソーで買ったケーブルだと充電してくれない。最近厳しすぎない? 下手すると少し古い純正ですらはじかれることもあるし。とりあえず方向的に正しいと思われる方向に走っていたら、偶然以前何度か行ったことがある市川動物園の看板を見つけ、動物園までたどり着く。そこからなら道はわかるので、方向音痴の私としては割と最小限の被害で済んだ。しかしiPhoneにはイラつきしか覚えない。
家に戻ってバイクを乗り換えて両国亭まで。直前まで乗っていたバイクと比べると段違いに軽いということがよくわかる。あとハンドルポジションの違いとか。ハンドルが体に近いとすごい楽。

ところで毎年恒例ではあるのだが、GWは自分のやりたいことややらなきゃならないこと、行きたい落語や友人と飲みに行ったりなどなど時間が足りなすぎる。ということでいつものペースでブログ書いてると時間が足りないのでGW中は簡易バージョンで。というか本来自分のための備忘録用ブログなんだからあんまり省略しすぎるのも意味ないんだけどなあ。

天どん師の一席め、「なんかよくわからない披露目につきあわされてる」といつものようにブツブツとグチりから。「そこでアナタがたが笑うのもおかしいでしょう」ってもうめんどくさいなあ。まあそれがいいんですけど。
「馬場でも新作の会をやってて何が違うんだと思われるでしょうけど、一応こっちは師匠や大師匠の噺をやるということで差別化をしてるんですよ。師匠の噺はなんとなく覚えたものとか、強制的に覚えさせられたものとかいくつかあるんですけど、もう一周しちゃったんですよね。二周め入ってもいいんですけど、主催の方に『いいですよ、師匠のネタ覚えますよ』って言っちゃったんでね。でも寄席でよくやってたネタでちょうどいいのを探したんですけどあんまりないんですよ」といろいろ舞台裏をぶっちゃける。ていうかやっぱりなんだかんだで天どん師が一番師匠のこと好きだよね。
「まあそのネタは次にやりますけど、最初の噺は圓生師匠がやってた噺をやります」と『牛の子』に。
昨日も高座の上で後ろにひっくり返って股引を見せつけていたが、まさか二日続けてとは。しかも噺に合わせて牛柄の股引。「こういうことやると前座さんにバカにされるんだよなあ」だそうで。まあしらんけど圓生師はやらなかっただろうなあ。

ごはんつぶさん、わん丈師の披露目の番頭で大変そうなのにこういう会にもきっちり出てくるのは偉い。
ネット上で炎上しがちなあの人のあのツイートについて裏話的な暴露も。
「ふんどし」「大谷翔平」「不適切」の三題噺。老舗のふんどし屋が「銀河ふんどし」という怪しげなものを開発し、それをマルチまがいに販売展開をしていくというもの。ホラーといっていたが、不条理ものといったほうが近いかも。

天どん師の二席め、「さっき『前座にバカにされる』といいましたけど、ホントなんですよ。まず私に挨拶しませんから。昨日も楽屋にさん喬師匠がいて、私もいたんです。さん喬師匠には手をついて『おはようございます』って言ってるのに、僕にはついでに『あ、どうも』みたいな感じの挨拶しかないんですよ。披露目の手伝いにきた二ツ目もね、わん丈には足を止めて『おはようございます』とか『おめでとうございます』とかいってるんですよ。でも僕にはやっぱり『あ、どうも』みたいなんで終わりなんですよ。お前わん丈を手伝いにきたんだろ。俺はその師匠だぞ」と憤懣やる方ない様子。
『ランゴランゴ』は仕事でイベントに出てくれる落語家を探していると友人から相談を受け、少ない予算で呼べる人としてアフガニスタン出身の噺かを紹介するというもの。
いろいろ世界観というか中東っぽい感じと東南アジアっぽい感じが混ざりあって、かなりカオスな状況になっていくのが面白い。

ごはんつぶさんの二席め、家電好きのおじいちゃんが、その孫に対して使い方を教えるというもの。「アレクサ」の代わりが「アサクサ」で、なにか頼むとそれを江戸っ子弁に直されて機械に説教されるのがおかしい。

天どん師の三席め、なにを聞いても「忘れた」しかいわないおじいちゃんと孫との噺。「思いっきりおじいちゃんと孫でツいてる」とボヤく。
孫娘が結婚をしたいという相手をおじいちゃんと会わせると、「忘れた、忘れた」といいながらも激しい仕草で反対される。どうやら彼の祖母となにかあるらしく……というストーリー。
ちょっとラブストーリー的な展開になるところもあり、「うわー、さぶ。誰この噺作ったの?」と大層照れていた。「恥ずかしさの限界に挑戦する噺」なんどそうで。
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真打昇進披露興行 令和六年四月二十七日 [落語]

真打昇進披露興行 令和六年四月二十七日
於:池袋演芸場

林家さく平『金明竹』
柳家花ごめ『元犬』
林家はな平『権兵衛狸』
花島世津子 奇術
柳家小せん『茄子娘』
柳家三三『つる』
ホンキートンク 漫才
三遊亭天どん『不良クラブ』
柳亭市馬『七段目』
真打昇進披露口上
三増紋之助 曲独楽
林家つる子『ストロベリーフィールズフォーエバー』
古今亭菊之丞『親子酒』
柳家さん喬『真田小僧』
立花家橘之助 浮世節
三遊亭わん丈『付き馬』

最近は夜に1時間くらいバイクの練習。ようやく慣れてきて発進もスムーズになってきた。けどまだ坂道がね……。もうちょい練習かな。
なので今日はちょっと日和ってレブルではなく前の125ccで。……楽ー。
しかし以前はバイクをこっそり置いておけるところがあったのだが、久しぶりに行ったらやめた方がよさそうな状態。うーむ。以前池袋の昼席で適当な細道に停めといたら駐禁切られたことがあるからおとなしく駐輪場に停めた方がいいな。しかしそうなると電車で来た方が安いんだよな……。

バイクを置く前に演芸場の近くを通ってチラリと覗くとだいぶ並んでいた様子。バイクを置いて演芸場へ行くと、開場時間前だが入場開始していたようで、行列がなくなっている。前売りを買っているので座れるのは確定してるがやや焦る。まあ結局はさほど悪くない席が取れた。っつーか池袋なら座れれば大体の席でよく見えるし。

前座の前にスーツ姿のわん丈師が高座に登場。池袋の芝居ではわん丈師が前説のようなことをし、つる子師が当日券待ちのお客の相手をしているのだとか。
紀尾井ホールの披露目のチケットが売り切れている日が多いらしく、、さらに転売もされているのだとか。「完売の次の目標は転売だ、と自分で言ってましたけど、実際にされているのを見るとなんだか申し訳なくて。なので、」とチケットを手に入れる方法を本人が話す。
それと契約上一般販売はできないものがあるのだが、法律に詳しい後輩がいうことには「アニさん、これはそのまま売ってはダメですけど、みかんの包装紙として使う分には問題がない。だからみかんを売りましょう」ということになったのだとか。実際に仲入りには「千円みかん」としてあるものが包装紙として使われたみかんが売られていた。「前座さんが駆け回ってくれて、池袋中のみかんがなくなったそうですよ。だから今日はバレンシアオレンジです」なんだそうで。
番頭のごはんつぶさんも高座に上がってふたりでトーク。撮影可ということなので撮らせてもらう。ごはんつぶさん二ツ目に上がったばかりなのに番頭は大変そうだなあ。
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前説のふたりに「いいところは元気なところ」と紹介されたさく平さん、たい平師の御子息かつ弟子だそうで。確かに元気でアドリブもバンバン入れる。

花ごめさん、声がよくて聞きやすい。「もとは居ぬか」というのはシロに呆れたのではなく「お茶を焙じるのはおもとにやってもらおう」という意味で呼ぶのはいいね。けど兄弟が「大八車に轢かれて死んじゃった」とか「長屋の人に川に投げ込まれてそれっきり」とかこのご時世もうやめない? 動物好きとしては噺でも動物が酷い目に遭うのはイヤなのよ。

はな平師は久しぶり。真打昇進してからは初めてか?
『権兵衛狸』の田舎弁を地元の九州弁に換えて。素朴な感じがよりリアルというか昔話っぽい感じになりつつなんだか心地よい。いやこれはいいですね。

小せん師、これは三K辰文舎仲間の扇辰師からか。小せん師の飄々としたキャラもありさらに軽快な感じに。

天どん師、不良を自称する3人のおじいちゃんが公民館の和室に集まって悪巧みをするという噺。まったくもってバカバカしくて楽しい噺。
途中後ろにひっくり返って股引を丸出しにするというのはもう驚かないが、「もう僕くらいになるとお尻で上下きれますから」と尻を右に左に揺らすのがおかしい。

市馬師、やっぱりきっちりきっちりしみじみ上手い。私は芝居の素養はないけれど、なんとなく舞台の感じがわかる(気がする)。

真打披露口上は三三師を司会に、下手から菊之丞師、さん喬師、わん丈師、天どん師、市馬師。
さん喬師がラコステのシャツを買って寄席に着ていったらわん丈師が反応したという。「一回しか着てないからクリーニングしてからあげるよ」とわん丈師にあげたものの、その後着ているのを見たことがない、とクレーム。
馬風師の馬風ドミノは市馬師に引き継がれていた。

つる子師、R-1の決勝に残ったどくさいスイッチ企画さんが作ったという新作。なぜかメイド喫茶でカップルが別れ話をするというシチュエーション。オムライスがおいしくなるというおまじないをつる子師がやるという、似合っているんだか似合ってるんだか。

わん丈師、「今はスーツで来ないといけないんで見せられてないですけど、ちゃんとラコステのシャツ着てます!」と楽屋に向かって叫ぶ。「なんでこんなに袖を気にしながらやってるんだろう」とぼやきが止まらない。いろいろラコステでいじられてたからなあ。
披露興行でやりたいと思っていた噺が『居残り佐平次』と『付き馬』だそうで、「ある師匠が『今日は違うな』とかいうんですよ。で、一昨日『今日は”居残り”だ』っていわれて『居残り』やってウケたんです。そしたら今日は『今日は”付き馬”だ』って。……言いなりですよ」だそうで。
以前浅草の出番があった際に、後学のためにと吉原を歩いたそうで、浅草からの道筋を解説していく。これが噺の中の客と妓夫太郎が歩いたルートになっている。その前フリが効いているので噺もなんだかリアルに距離感が想像できるのが楽しい。……けど「馬」の説明の仕込みがないけど大丈夫? ……と思っていたら、終演後に演芸場の看板の前でお見送りに出ていたわん丈師が「すみません、今日は仕込み忘れです。サゲの意味わからないですよね」と自ら解説をしていた。なんかいろいろ珍しいものを見たような気がする。
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人形町噺し問屋 その109 [落語]

人形町噺し問屋 その109
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭げんき『八九升』
三遊亭けろよん『ん廻し』
三遊亭兼好『身投げや』
一龍斎貞鏡『西行 鼓ヶ滝』
三遊亭兼好『抜け雀』

ちょっと早いが、自分の50歳の誕生祝いとしてバイク(2020年モデルのホンダreble250)を購入した。
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30歳を超えてからバイクの免許を取ったはいいものの、教習所に通ってるあたりで同棲を始め、それからは家を買ったりなんだりと自分の自由になるお金がなかったのだが、住宅ローンも終わり、子どももいないし落語以外に金のかかる趣味もない。あれコレそろそろ俺自分の好きに金使っていいんじゃね? と……。
まあそうはいってもあまり高すぎるのはちょっとアレなんで、中古にしておく。
本当は夏のボーナスで買おうと思っていたのだが、ドラレコにETCついてワンオーナー、それでいてフルノーマルとほとんど値段が変わらない。聞いてみたら中古車は完全ノーマルなのが人気で、オプションがいろいろついているとかえって人気がなくなるのだとか。確かにマフラーとかハンドルとかが変なのに変わってたらイヤだけど、ドラレコとETCなんてあった方が絶対いいじゃん。ドラレコなんて買うだけで4万くらいするし、取り付け費用もお高い。もともとバイクにつけている人も少ないから中古ではほとんど出ないし、えいやっと勢いで買ってしまった。
とはいえこれまではいわゆる原付2種しか乗っておらず、教習所以来のギア付きバイク。
バイク屋のある世田谷から北千住までなんとか帰ってきたものの、まあぎこちないったら。坂道でエンストするし。思ってたよりはちゃんと乗れたが、もうちょっと練習しないとなあ……。まだ頭の中でいろいろ考えながら操作してるので、無意識に運転できるようにならねば。

まずはご挨拶。光沢のある鮮やかな青紫の着物で、「高座では着ない着物でやってみようと……」とのこと。
「新年度が始まったばかりの忙しい時期にありがとうございます。新年度になっていろいろな事件や地震なども起きてますが、いいことでいうと愛子さまがご卒業されましたね。小学生になる前ですかね、どこかの公園へ行ったときにカメラをじっと睨んでるんです。『お前はどこのカメラマンだ』みたいな。……いやあホントお美しくなってよかったですよね。……私まだ失礼なこと言ってないですよね? まあ雅子さまの血を引いてるんですから美しさの下地はあるんでしょうが、やっぱり品がありますよね。もしあの方がボロを着ていたとしても、おそらく気づくと思いますよ。品が溢れてる。逆に綺麗に着飾っててもどことなく品がない人っていますよね。北千住に多いんですが……」と足立区ディスを入れてくる。
「卒業とは反対に、『笑点』では晴の輔師匠が入りましたね。木久扇師匠というおバカキャラが卒業されて、じゃあやっぱりおバカキャラが新しく入るのかと思ったら、意外と落語界っておバカキャラがいないんですよ。……本当にバカなのはいっぱいいますけど。木久扇師匠は50年以上あのキャラを貫き通した。それは本当にすごいことだと思いますよ。前回はなぜか私のところに『残念でしたね』というメールがたくさんきたんですが、今回はそれがなかった。でも『いよいよ次は好楽師匠ですね』というメールが……」。
その他にもSTAP細胞の小保方氏の結婚について「旦那さんは絶対に夫婦喧嘩になったとしても『STAP細胞はなかったくせに』とか言ってはいけない」とか、パソコンのサポート詐欺に騙されそうになたがおかみさんが撃退した話とか。

けろよんさん、おそらく萬橘師に習ったんだろうなーとわかる『ん廻し』。

兼好師の一席め、コロナが明けて1年が経つといい、コロナワクチンが6600億分も余らせていたことに振れる。「政府は『無駄ではなかった』って言ってますし、足りなくなるよりはいいんですけど、それでも6600億ってねえ。せめて10億くらいだったらまだわかりますけど……。だって官僚とか頭のいい人が計算したんでしょ!? 余らせることは誰にだってできる。だったら前座さんとかにやってもらったほうがよかったんじゃないですかねえ。地方に行くときも前座さんに『チラシ持っていって』と頼むと、会場の広さや独演会なのが二人会なのか、二人会なら相手は誰かとか当日の天気とか考えて予想した数しか持っていかない。それでチラシを4枚しか余らせないとかありますから。そういう配分が上手い。しかし毎回言ってますが、『国のお金』とわかると途端にそれをどうにかして奪おうとする人たちがいますね。そういう人に『その知恵を普通の仕事に活かせ!』と思うんですが、どうも善行には頭が働かないのに、悪巧みとなるとものすごく頭の回転が早い人がいる」と『身投げ屋』に。
『身投げ屋』自体ほとんど聴かない噺で、もちろん兼好師でも初めて。ここ最近初めての噺が多く聴けて嬉しい。
身投げ屋は橋の欄干から「聞こえるか聞こえないか、でも確実に聞こえる声で」念仏を唱えなければならないのだが、身投げ屋の真似をしている男はあからさまに念仏を唱え、そのわざとらしさが楽しい。
身投げから助けてくれた人に借用書を書かせるまでの図々しい男が、なんで自分と同じ遣り口の首くくり屋に騙されるんだよ、という単純なおかしさもある。

貞鏡先生、「兼好師匠がご挨拶のときに『高座では着ない色』といっていた着物とまったく同じ色の着物を出てまいりました。こんなことあるんですね……」。
昨年第四子をお産みになり、いつもならこれくらいの時間は寝かしつけの時間なので眠くなるという。育児や昨年からの真打昇進披露などの話をマクラ(講談でマクラというのかわからないけど)に『鼓ヶ滝』へ。
落語でも同じ噺があるが、講談では「ワシは西行だ」と慢心しまくっているし、最初に詠んだ歌も「はるばると 鼓ヶ滝にきてみれば 沢辺に咲きし たんぽぽの花」とちょっと異なっていた。
滝の水辺に咲いていたのは白百合の花なのだが、鼓の音は「たたぽぽ」と表されるのでたんぽぽの花にした、という違いも。

兼好師の二席め、「貞鏡さんいいですね。でもあまり褒めすぎると静岡の知事のようにもなりますからね。人を褒めるために他の人を貶めるとか、人を傷つけることになりますから」とあの知事の話から当然のようにリニアの話へ。
「名古屋まで1時間で行けるってことですけど、……名古屋ってそんなに急いでいかなきゃならないところですか? 別に用事ないでしょ。今は交通網が発達しすぎてどこも日帰り。一之輔くんとかさん喬師匠とか、昼に地方公演やって、夜に上野でトリを取ったりしてる。これがリニアが開通したら、『早くて便利だね』じゃなくて朝に地方に行って、都内へ戻って一席やって、もう一度地方へ行って夜にまた寄席へ戻ってくる、ともっと忙しくなるだけなんですよ」。確かに一之輔師のワーカホリックぶりはすごいからなあ。
「今でも新幹線で富士山がきれいに見えるときはアナウンスが流れる。でもそれを聞いても『えっ』なんて言っている間にもう窓の後ろですからね」。そういや久しく東海道新幹線乗ってないなあ。
昔は特に東海道の旅が人気があり、小田原は賑わっていたと『抜け雀』に。
絵描きの若者は街道を歩いているときから酔っていて、だいぶ崩れている。一文無しだと告げられたときに宿の主人から「お前みたいに『自分は本当はできる、やってないだけだ』と思い込んでるヤツは大っ嫌いなんだ。銭なんかいいから出てけよ」とかなりキツめにピシャっと叱られる。
貞鏡先生の『鼓ヶ滝』での驕った西行を窘めているのと通じるものがある。これは兼好師では珍しい場面。でもこれだけ啖呵を切れるのにおかみさんには弱いのはやっぱり兼好師らしい。
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上野鈴本演芸場 令和六年四月中席 昼の部 4月20日 [落語]

上野鈴本演芸場 令和六年四月中席 昼の部 4月20日
於:鈴本演芸場

林家枝平『浮世根問』
春風亭一花『子ほめ』
翁家社中 太神楽
五明樓玉の輔『お菊の皿』
柳家㐂三郎『手水廻し』
のだゆき 音楽パフォーマンス
むかし家今松『壺算』
鈴々舎馬るこ『新作(県民性)』
ロケット団 漫才
春風亭一之輔『代書屋』
アサダ二世 奇術
柳家喬之助『宮戸川』
五街道雲助『新版三十石』
林家楽一 紙切り 横綱土俵入り 藤娘 日本の城
春風亭一蔵『ちりとてちん』

一蔵師トリの千穐楽。
上野で昼メシを食って鈴本へ向かう。しかしまあ外国人ばっかりで日本語が聞こえない。でもまあタイのカオサン通りとかパッポン通りのような外国の繁華街のような雰囲気が日本にいながらにして楽しめると思えばいいか。
先週高校の後輩と会ったときに「寄席に行ってみたい」といわれており、一之輔師は出るし国宝も出るし、一朝師も出るし(今日は出なかったけど)、一花さんも出るし、太神楽も紙切りもあって漫才はロケット団だしこれ寄席の魅力が全部詰まってない!? と思って今日おすすめしたんだが仕事だそうで。今日の顔付けはかなり寄席初心者にはよかったのになー。アサダ先生まで出てたし。

小燕枝扇橋交互の代演に㐂三郎師。「代演なんでなんにも責任がない。好きなようにやるだけ」と楽しそう。
しつこくなく、それでいてちゃんとしっかり満足感のある一席。

今松師、兼好師の『壺算』に慣れすぎたためか他の噺家の『壺算』が新鮮。ややあっさりめだけれどもさらりと店の番頭を丸め込むスムーズさが自然で楽しい。

馬るこ師は社内のトラブルや顧客からのクレームに県民性を利用して丸く収めようとする新作。埼玉県民の県民性は「都民と同じ扱いをされると喜ぶ」。まあ合ってるような気がする。

一朝師の代演が一之輔師。師匠の代演てすげえなあ。
そりゃ一之輔氏師があんなすっとぼけたキャラをやってたらつまらないはずがありませんわ。代書屋のシニカルな態度とのコントラストがたまらない。

雲助師、寄席に浪曲を聴きに行ったら浪曲師が入れ歯は外れるわ訛りはすごいわでとんでもない浪曲が出てくるという『新板三十石』。もごもごする入れ歯の具合がとにかくくだらなくておかしい。

一蔵師、鹿浜寄席のマクラからしったかぶりの『ちりとてちん』に。一時期よく聴いてたような気がするが、約3年ぶりという久しぶりな感じ。ヨイシャー一蔵面目躍如な過剰なヨイショが突き抜けていて楽しい。
今日は客席もかなり暖かいというか笑いもよく起きて、出演者も全体的にテンション高めだったような。こういうのも寄席らしくていいですね。
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上野鈴本演芸場 令和六年四月中席 昼の部 4月14日 [落語]

上野鈴本演芸場 令和六年四月中席 昼の部 4月14日
於:鈴本演芸場

柳家さん喬『真田小曽』
のだゆき 音楽パフォーマンス
柳亭小燕枝『高砂や』
鈴々舎馬るこ『大安売り』
ロケット団 漫才
春風亭一朝『蛙茶番』
カンジヤマ・マイム パントマイム
春風亭三朝『磯のあわび』
柳家小里ん『二人旅』
林家二楽 紙切り 桃太郎 パンダ 尊富士
入船亭扇橋『替り目』

2日連続で鈴本。昨晩は案の定飲みすぎる。二日酔いはさほどでもなかったが昼まで寝る。
家が出るのが遅くなってしまい、しゃーねえ二ツ目枠までは諦めるかと思っていたら常磐線が遅れて翁家社中と玉の輔師も間に合わなかった。もー。

さん喬師、出番順が変わったようだがこんな浅い出番は珍しいのでは。
小遣いの前借りを頼む場面で「おとっつぁんバカだからそのうちわかんなくなる」というセリフがあるが、それがなぜか親を小馬鹿にしているように聞こえないのが不思議だ。

小燕枝師、扇橋師の十八番の『高砂や』を封じてくれたのはちょっと、いや結構嬉しい。正直に言いますと、「もう扇橋師の『高砂や』飽きたー」。
「お前さん、ここらへんに売りに来る豆腐屋さん知らないかい」「ヒデ爺?」は三人集ファンならウケる。けど他のお客さんには伝わらなかったようだ。そりゃそうだ。

馬るこ師、負けた理由が「相手が元銀行員で引き落としでわしの負け」などどれもこれも初めて聴く負け方で楽しい。

一朝師、定吉が建具屋の半公を呼びに行く場面から。
とにかく「バカ半」のバカっぷりが際立っていて面白い。
軽薄なバカを鮮やかな江戸弁で語られるとこんなに軽快で楽しいんだと思わせてくれる。

三朝師、兼好師の『磯のあわび』に似てるなーと思いながらも、もともとは林家彦六師の噺だそうなので、だとするとそちらから受け継いでいるのか。演じ手が少ないのでオリジナルがわからない。まあ誰に習ったのかなんて別に誰でもいいんだけど。

小里ん師、淡々としているのだが、なんだかこの噺は淡々としている方がいろんな情景が思い浮かびやすいのかもしれないとも思う。

代バネの扇橋師、鈴本での代バネは初めてだそうで。まあそりゃそうか。
扇橋師は私服のときは中国人に間違えられやすいのだそうで。池袋演芸場の近くでは、在日中国人?に向けた中国語の新聞を配っていて、配っている人はどう見分けているのか日本人には渡さないのだが扇橋師には渡してくるのだとか。また、一蔵師とお姉ちゃんのいる店に遊びに行こうとなったときは一蔵師が呼び込みと話をつけたそうだが「お連れさんは日本語は大丈夫ですか?」と聞かれたとのこと。確かに私服姿だとそう見えるかも……。
『高砂や』は封じられたものの、やはり十八番のひとつ、『替り目』に。まあでもこっちの方がいろんなシーンがあって楽しい。
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上野鈴本演芸場 令和六年四月中席 昼の部 4月13日 [落語]

上野鈴本演芸場 令和六年四月中席 昼の部 4月13日
於:鈴本演芸場

春風一刀『金明竹』
翁家社中 太神楽
五明樓玉の輔『マキシム・ド・呑兵衛』
入船亭扇橋『真田小僧』
のだゆき 音楽パフォーマンス
宝井琴調『徂徠豆腐』
鈴々舎馬るこ 漫談
ロケット団 漫才
春風亭一朝『片棒』
カンジヤマ・マイム パントマイム
春風亭三朝『やかんなめ』
五街道雲助『子ほめ』
林家楽一 横綱土俵入り 藤娘 らくだ
春風亭一蔵『佐野山』

歯が痛いっつーか顎、もはや顔が痛い。舌の根本が痛いんだか痺れてるんだかもう口の中がしっちゃかめっちゃか。

扇橋師、親孝行の真似事もなく小遣いをねだっているところから。
「なーんだ、按摩さんがおっかさんの肩揉んでたんだ。ご清聴ありがとうございました」で観客にも頭を下げてサゲ。時間合わせのためだろうが、寄席だとホール落語とか独演会にはない編集を聴けるのが楽しい。

琴調先生、なるほどこれをベースに扇辰師が落語に仕上げたんだなとわかる一席。講談特有のリズムで聴くのもいい。

馬るこ師は馬風師の生ビール事件のほか、「おじいちゃんて毎日同じ話を何度もするんだなあ」という漫談。先代扇橋師や先代志ん五師の話も。『楽屋外伝』のようにタイトルが付いてそうな感じがする。

ロケット団は四字熟語ネタメインだが、聞いたことのない新しいネタがたくさん入っており楽しい。

一朝師は次男のお祭り騒ぎが終わったところで「おなじみの『片棒』というお噺でございました」とサゲ。最近は三男パートを省略するパターンをよく聴くなあ。

雲助師、この位置の出番で国宝から『子ほめ』を聴けるとは。ダルい「相手が50だったら?」の部分はカットされるなど、軽快に聴かせてくれる。

一蔵師、鉄板の公民館にお茶をもらいにきたババアのマクラから。その後相撲の話題に移って『佐野山』に。
自称事情通が谷風と佐野山の一番が組まれた裏事情を語るときに「あーーーうっ!」と声を裏返して張りあげるところで「このあとも夜に二席話さなきゃなんないんだから喉を大事にしろ」というのがおかしい。一之輔師との亀有での二人会、発売当日の昼にはもう売り切れててチケット取れなかったんだよなあ。

夜は高校のときの部活の顧問が退職するということで同期前後の年代で食事会。顧問や久しぶりに会う友人たちと飲み、少し酒を過ごす。
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両国寄席令和6年4月8日 [落語]

両国寄席令和6年4月8日
於:お江戸両国亭

三遊亭良楽『がんばれ!!朝乃山』
ケンメリ 漫才
三遊亭兼好『天狗裁き』

抜歯後に後処置をしなければならないってことで午後休をとって歯医者に。
処置自体はすぐに終わったのでじゃあ落語。

兼好師、「新年度が始まって新入社員の人も1週間が経ちましたけど、まだ仕事らしい仕事はしていないでしょう。まだ遊びみたいなもの。私は噺家になる前にサラリーマンをやってたんで私も経験がありますが、最初のうちはね。特に私はバブルの終わりごろに就職したんですが、あの頃は新入社員のほうが『バブルなんて終わるぞ、危ないぞ』という危機感があった。その前の世代はまだイケイケが続くと思っていて何も気づいていないか、もしくは現実から目をそらしているか。あの頃は新入社員なのにタクシー券とかもらえましたから。半年くらいは新人研修なんて名目で遊んでいましたねえ。紙問屋に努めていたんで、印刷会社とかデザイン事務所とかに見学に行ったり。あの当時はパソコンもこんなに大きくて、『これをこうすると、写真の中の電線が消えるんです』って見せてくれたり。で我々は後ろで『おおー』とかいってるんですよ」。Photoshopの電線消し……! スタンプツール使ってやったなー。あれそうは言ってもちゃんと周囲となじませるのは大変だったんだよなー。今はAIがやってくれるみたいだけど。ちゃんと兼好師の仕草も左ではキーボードのキーを押しながらドラッグしてる……! そうそう左手でAltキーを押しながらサンプリングして、マウス操作で塗りつぶしていくんさ。「同僚がビールのポスターの水着のお姉ちゃんを見て、『水着は消せますかw』って聞いて周りは『おいおいw』なんて言ったりして。楽しかったですねえ」。今なら完全にアウトな感じが……。
「遅刻したりすると紙を丸めてそれで殴られたりしてましたね。今じゃ絶対ダメでしょうが。今はちょっと新人に怒ったりするとすぐ『ハラスメントだ』ってなりますから。遅刻しても『なんで遅刻したんだ馬鹿野郎!』なんて完全にアウト。今は『なんで遅刻したんだ! どうしたら遅刻しなくなるか一緒に考えよう』なんですって。それもどうかと思いますけどねえ……」。後輩にはヘタに口きけないし、仕事も頼みづらいんだよなあ……。
「会社の先輩で、いつも遅刻する人がいた。この人は朝に目覚ましを止めて出社する支度をしてコーヒーを飲んでさあ出かけようとするとそこで目が覚めて布団の中だって気づくんですって。つまり目覚ましを止めてから数分の間に、凄くリアルな夢を見てるんです」と夢の話から『天狗裁き』に。
「どんな夢を見た?」と尋ねられる人によってそのリアクションの表情が変わっていくのが芸が細かい。お奉行や天狗に尋ねられたときには絶望的な表情になるのが気の毒ながらもおかしい。
天狗が話すときに「ここは高尾の山中だー山中だー山中だー」と山彦が起きるのも楽しい。

抜歯したところは傷まないんだが、右下の歯がまた痛みだしてきた。それと唯一無事だった左上まで痛くなってきたような……。俺の口ん中どうなってんだ。
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入船亭扇辰独演会 〜扇辰落語手帖〜 [落語]

入船亭扇辰独演会 〜扇辰落語手帖〜
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰むめ『千早振る』
入船亭扇辰『権兵衛狸』
入船亭扇辰『江戸の夢』

扇橋師の会から居続け。失礼ながら前回はかなり空いていたので油断していたのだが、今日はかなりの入り。少なくとも前半分はびっしりだし、真ん中のブロックの席はほぼ埋まっていた。あっぶな。

辰むめさん、無事楽屋入りしたそうで、「胃が痛くなるような毎日」なのだとか。
本人の名乗りのイントネーションだと「たつうめ」に近いか。扇橋師は「たつんめ」と発音していたようだが、さて。個人的には「辰ンめ」とカタカナの「ン」それもパソコンじゃ出ないけど小文字のイメージ。なんとなく江戸っ子っぽいじゃないですか。しらんけど。
ところどころ扇辰師っぽいところもあるけれど、なんか落研っぽいような印象も受けた。

扇辰師の一席め、「今日はありがたいというか酔狂というか、この前の扇橋の会から通しでいらっしゃる方がかなりいるらしいですな。じゃあ今日は『たらちめ』と『ねずみ』を……」。出ました弟子殺し。まあホントにやったことはないけど。それにしても個人的な印象としては扇辰扇橋師弟をセットで追いかけている人って結構いるように思う。まあ俺もそうなんだけど。多分もともとは扇辰師の贔屓で、その弟子もいいのでいつの間にやらというパターンな気がする。
「2月の終わりから3月上旬まで休みを取ってバリへ行ってきたんですが……。残念ながらカミさんと。噺家仲間と行けば何かしらマクラになるような珍道中にもなるでしょうけど、カミさんと一緒だからねえ。ご家庭をお持ちの方はおわかりでしょうが、面白いことなんて一切ない。毎日ダラダラしてビール飲んでました」。とはいえさっきの扇橋師の話を聞いてたから、内心ニヤニヤしてた人も多いんじゃなかろうか。
「事件といえばひとつだけ。朝方電話が掛かってきたんだけど出なかったんだよ。どうせ大した用事じゃねえだろうって。そしたら留守電が2件入ってる。聞いてみたら『隣のH谷川ですけど! カゴが出てませんよ!』ってすごい怒っている女の人の声が入ってた。……町内のゴミ収集所のカゴを出す当番だったんだ。家のことは弟子に任せていたんで辰ぢろに電話してみたらアイツその日に遅れたらしいんだ。しょうがないから電話して謝って。……それくらいですなあ」今は海外でも普通につながるようになったけど、それでもそんな用件で国際電話って。
「で、帰国して一之輔んとこの喜いちに稽古をつけてたらピンポーンて。稽古を中断して出てみたらH谷川さん。殺虫剤スプレーとハエたたきを持って『ハクビシンが出たの』って……。『裏のM上さんちの犬小屋まで追い込んだから手伝って』って。なんで俺に言うんだよって思ったけどさあ、ゴミ出しの件があるから強く言えねえんだよ!」とご近所警察を巻き込んでの捕獲騒動に。
「ハクビシンが出てきたんだけど、警察が『あれ狸だ』と……。アタシゃあ噺家としては見逃してやるべきなんじゃないかと。そうすれば夜中に『んばんは、はぬひへふ』ってくるんじゃねえかって……」。と狸騒動でかなりの時間をかけていた。
そこから『権兵衛狸』に入ったので導入部を聴いた途端会場は爆笑。そりゃあ狸を捕まえる噺だもんなあ。

仲入り前の抽選会で「噺よりもマクラの方が長かった。喬太郎かって」と反省?しきり。
「そういやこないだのこの会で色紙が当たった方が紫檀楼古木の末裔だってことがあったね。こないだは『徂徠豆腐』を掛けたら、荻生徂徠の末裔だって人が楽屋を訪ねてきた。そういうことがあるんだねえ。……今日はそういう人はいませんか」。父方の先祖は長野の高遠藩の藩士だったそうだが、なんかあるかなあ。ないだろうな。

二席めは一切のマクラも導入部もなくダイレクトに噺へ入る。
『江戸の夢』は昨年の鈴本でのトリの芝居で聴いたっけ。主人公である庄屋夫婦が江戸見物に来るのが新緑の頃だからだろう。
身元のはっきりしない男を婿養子に迎えたが、この婿養子が茶の木を育て茶を作ったので江戸の名店で鑑定をしてもらって欲しいと頼む噺。
途中で煎茶を立てるシーンがあるのだが、そこを丁寧に描く。お湯を急須に入れたり、その入れたお湯を他の容器にあけて入れ替えたり、茶碗に三度に分けて茶を入れたりと、昔に確かそんな入れ方を教わったような気がするのだが、それをちゃんとやっているようだ。多分鼠尾馬尾鼠尾もちゃんとやってる。多分。
サゲのセリフを言った後にたっぷりと余韻を残して頭を下げ、それがまた爽やかな印象を残す。

『笑点』の新メンバーは晴の輔師ですか。宮治一之輔と二ツ目時代に追いかけてた人が連続してレギュラーになったので結構な衝撃だったのだが、晴の輔師は全然聴いてないのでなんというか特に感想が……。まあぶっちゃけ兼好師じゃなくてよかった。
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十代目入船亭扇橋の"一語一会" 独演会 [落語]

十代目入船亭扇橋の"一語一会" 独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭扇橋『たらちめ』『替り目』『ねずみ』

昨日抜いた歯が痛むかと思ったら全然そんなこともなく。まあもともと神経まで抜いてた歯だからそれほどダメージがないのか。しかし永久歯が生えてから今まで30年以上あった歯がそこにないというのはなんだか妙な感じ。ダイレクトに歯茎に舌が触れるというのもなんだか気持ち悪いというか。

歯が痛むかと思って念のため予約は入れていなかったのだが、特にそんなこともないので落語へ。
当日券なので入場が落ち着くまでロビーで待っていたら後ろに並ぶ気配が。誰かと思えば汗だくで息を荒げた扇橋師だった。そんなにギリギリの楽屋入り?

一席め、「この会は『師匠・大師匠のネタを一席ずつ』という縛りがある。前回も言ったんですが、私は大師匠から噺を教わったことがないですから、大師匠のネタってのは師匠から教わってるわけです。だから下手するとどちらも師匠のネタになってしまう。なので今は師匠がやってない噺をやらなきゃならない。12月にこの会の3回めがあるようですけど、それくらいまではできるけどあとはどうなるか……。なにを言いたいかというと、この会はいつものように好き勝手にできないということです」とどうにもネタ選びが難しいそう。
「しかも花が満開のときに。桜が咲いてるのを見て『そうだ落語聴きに行こう』ってならないじゃないですか。なのにきていただける。今は春休みなんで、寄席もお子さんが結構入ってるんですよ。寄席なんて悪所ですから、ネタ選びなんかも困るんですよ。ヒザの太神楽の人たちが『師匠、大変です。この列全部お子さんです』って報告を聞いたトリの師匠が一回楽屋に戻ってきましたからね。『どうしよう』って。で、結局『明烏』やってましたからね。トルコ風呂からソープランドに名称が変わったときの話をマクラにして。……いいですね、昼だとこれだけで引く感じ。……で、最前列でお孫さんを連れてきたお婆ちゃん、ずっとこうして上を向いて顔に手を当ててましたからね。お孫さんからの質問を全部無視。……すごいな小袁治師匠……」。まあ寄席に連れてくるほうが悪い。
夫婦の話にもなり、扇橋師のご両親は家で商売をしていたこともあって常に一緒で、さらに口調もかなり喧嘩腰だったという。両親の次に「夫婦」と接するのは師匠夫婦だったそうだが、自分の両親との違いに驚いたそう。「仲はいいんですが、必要以上に触れ合わないというか、干渉しない。喧嘩もほとんどしない。私が見た中では3回ですかね、『あ、これは喧嘩してるな』と認識したのは。でも大体は師匠がおかみさんから怒られてるんですよ、お酒のこととかで。理路整然と。これが芸人として一番ツラい怒られ方。で、こんこんと詰められて『以上!』っていっておかみさんは自分の寝室へ行ってしまう。その日は酒は飲まないと決めてたんですが、師匠が『おいビール出せ』って。弟子ですから拒否権はありませんよ。『はい』っていってビール出して。『お前も飲め』って。缶ビールあけて飲もうとしたら『バカ、湯呑みにあけて飲め』って。もう『親子酒』なんですよ。でふたりで飲んでたらおかみさんの部屋の扉がバーンって開く音がして。初めてですね、師匠とアイコンタクトして湯呑みをテーブルの下に隠したのは。『言い足りないことがあった』というおかみさんの小言をふたりでビールを隠しながら聞いてました。……このあと師匠の会が続けてあるんですけど、残られる方、絶対師匠には言わないでくださいね!」。言わないけど書いちゃった。まあ扇辰師がこんなところ見るはずもないし。
夫婦の話から『たらちめ』に。そういやふと思ったのだが最近「へえ、カミさんなんてもらうと儲かるのかねえ。それなら4~5人まとめてもらおうか」というくすぐりを聞かなくなったなあ。これも最近の風潮から言いにくくなったのか。
さておき、扇橋師の『たらちめ』はいかにも入船亭らしいというか端正というか正統派。隣の婆さんと仲が良い描写が多いのは微笑ましい。

「よってくだんのごとし」で拍手が起きるも、そのまま「……ってあの当時はいってたのになんで今はそんな言い方をするの!」と『替り目』の酔っぱらい亭主がおかみさんに不平を述べるシーンに。どうやら『たらちめ』の若夫婦が時を経て『替り目』の夫婦となったらしい。
おかみさんの小言に対して「あの頃はそんな言い方をしなかったのに」とつらつらと女々しく恨み節を並べる姿がおかしい。
「あの頃は『おめえのカミさん何いってるかわからねえな』『俺もわからねえんだ』って友だちとも言ってたのに」のようなサイドストーリー的な描写が出てくるのも面白い。
「思いつきでやるんじゃなかった」と言っていたが、珍しいものを聴けて楽しかった。

三席め、「仲入りのときに席亭から『師匠の落語協会のページに"師匠、大師匠のネタを自分らしくやったりやらなかったりします。"って書いてあったから企画したんですけど。それとこの会8月にもありますから』って理路整然と叱られました」。
「こないだ『入船四景』という会がありまして、扇遊師匠とウチの師匠、扇蔵アニさんを私というメンバー。いやあ入船亭は余計なことを言わないなと思いました」だそうで。まあ確かに扇橋師はマクラ長いけど、他の師匠方はスッと噺に入るイメージ。
「そのあと扇遊師匠が『打ち上げいくか、軽くだよ』といってくれたので人形町で飲んだ。珍しく終電前に『じゃあ帰るか』となったんですが、駅前にカラオケがあるのを扇遊師匠が見つけちゃった。『……おや?』って本当に言いましたからね。扇遊師匠はカラオケ大好きで、師匠も『じゃあ行きますか』って。『一時間だけな』っていいながら結局帰ったのは朝5時でした」。オールで飲むとか噺家の体力すげえな。
「前座の頃にも連れてってもらったことがあって、『お前も歌え』って一曲だけ歌ったことがあった。次の日お礼を言いにいったら、『お前な』と小言ですよ。何言われるのかなとビクビクしてたら、『あそこは”が”じゃなくて”んが”だ』。私が扇遊師匠に最初に稽古つけてもらったのは鼻濁音です」。
『ねずみ』は扇辰師もよく掛けるのでこれが「師匠の噺」なのかな。あの形の『替り目』はオリジナルだろうから『たらちめ』が「大師匠の噺」ということだろうか。
話し方や間のとり方などもやはり扇辰師に似てるなーと思う。とはいえ『ねずみ』は柳家の人たちで聴くと皆似ているので、先代の影響が大きいのだろうか。そこら辺の事情はわからないので勝手なことはいえないが。
タグ:入船亭扇橋
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