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第7回 兼好集 [落語]

第7回 兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭けろよん『牛ほめ』
三遊亭兼好『堀の内』
三遊亭ふう丈『絹子ちゃん』
三遊亭兼好『蒟蒻問答』
三遊亭兼好『締め込み』

咳が止まらない。
熱もないし、抗原検査キットでも陰性だったのでコロナではなさそうだが、とにかく乾いた咳が出まくって辛い。寝てる最中にも出るし。
午後休を取って病院に行き、軽い風邪かアレルギーだろうとのこと。
とにかく咳が出る以外は食欲なども変わらないので、平日限定の焼肉ランチでも食うかーと食べ放題に入ってみるもあんまりいい肉じゃなかった。というかいい歳して食べ放題とかそろそろキツいな。
1時間ばかり昼寝して会場へ向かう。

けろよんさん、与太郎の酒の小咄で「酒の粕食った」というところを「酒呑んだ」とハナから言ってしまい、「……最初から間違えました」。珍しい。動揺したのか、今日はいつもよりキレがないような。

兼好師の一席め、昨日は広島へ仕事に行ったそうで。「広島って暖かいイメージだったんですけど、昨日はすごく寒くて。で、年金を受け取ってる人に向けた会だったんですけどお客がまったく笑わない。みんな岩みたいになってる。前座さんが『今日は全然です』とウケなくて、私のときも全然ウケない。なにしてもダメ。でも私の次がアサダ二世先生で、『今日はちゃんとやります』といいながらいつも通り全然やらないの。でもそうすると逆に『私が盛り上げてあげなくちゃ』と思うんですかね、だんだん会場が温まってくるんですよ。その温まった後に三三アニさんが出ていって大ウケ。……東京じゃ三三アニさんてちゃんとしたイメージでしょ。でも地方行くとぜんぜん違うの。15分林家の悪口言って落語はちょっとだけしかやらない。でも私も勉強しました。ああいう聴こうという意志のない人たちに圧を掛けたってダメ。アサダ先生のような引きの芸のほうがいいのかもしれません。前座がいきなり間違えるくらいのほうがちょうどいい」。……え、こんなに遠回りして弟子のフォロー!?
「しかしその会は学校寄席だって聞いてたんですよ。それなのにいきなり年金受給者たちになっててみんな驚いた。しかし学校寄席だとネタが『初天神』とか決まりきっていて、新しいネタを探さなきゃなと思ってこないだ『堀の内』を掛けたんですよ。これが途中まではすごいウケた。でも途中からまったくウケなくなった。なんでそんなことになったのか、今日ここでもう一度やって検証したい」と噺に入る。『堀の内』なんて後半の風呂屋の場面のほうが笑いどころが多いように思うけど。
三席のうちの一席めだからか、短く軽め。ちょっと早送り再生しているような感じがあったかな。

ふう丈さん、「一昨年師匠圓丈が亡くなって、ちょうど1年前に兄弟子の天どん師匠に預かってもらうことになったんですが、中には先程出てきたアサダ先生の弟子になると思っていた人が何人かいたようで……」といっていたが、落語協会の寄席ならなんとなく通じるかもしれないが、圓楽一門の兼好師の会ではふう丈さんがアサダ先生のマネをして『アサダ三世』をやってるってことをわかる人少ないんじゃないかなあ……。案の定ちょっと微妙な空気に。
「私はこう見えて熊本出身で、熊本弁を使った落語を作りました」と熊本弁を話す婆さんがコンビニのバイトとして入ってきたという新作を掛ける。
……うーん……。マクラでも若干キョトンという反応だったが、噺本編もそんな感じ。熊本のローカルCMの話を盛り込まれてもなんのことやら……。九州の中で出身を当てるというときに、「博多」はホメ言葉で「佐賀」は悪口、というのは九州ではあるあるネタなのかもしれないけど……。九州での営業ネタとしてはウケるかもしれないが、東京近郊ではどうだろうか。彦いち師とかわん丈さんとかでもローカルネタはあるけど、こちらの人にもわかるようにしているように思う。

兼好師の二席め、ふう丈さんのネタを受けて「最近は噺家も地方出身者が増えた。そういえば生き物や植物が外国から来るとすごく強い。最近ではアメリカザリガニやアカミミガメが放流禁止になりましたよね。ザリガニはこれまでいた日本の種を駆逐しますからね」と外来種の話に。「うちの後輩の萬橘くんが一家でザリガニを釣ってますけど、それでも駆除が追いつかないですからね」と唐突なワルグチがぶっこまれる。あれ? でも萬橘師が子どもと一緒にザリガニ釣りしてるってなんかで聞いたことあるし、別にワルグチだって決まったわけじゃないのか。
「面白いのは、外来種を本来の土地に戻すとそんなに強くない。日本の固有種も弱いのかと思うと外国へ行くと有害な外来種として繁殖していることがある。よその土地に行くと強くなるんです。もしくはその逆か。だっていくら権太楼さん喬がすごいからって、一般企業で通用するかっていうと……。白鳥師匠なんて3日で辞めそう」。確かに……。
「昔もそんな話はあって、江戸では親分といわれていた人が地方へ行って真面目に暮らしていることも……」と『蒟蒻問答』に。
権助と酒盛りをしているときに「なんか面白いものはねえのか」と『湯灌場踊り』と『げえこつ(骸骨)踊り』の名前が出てくることがあるが、実演まであったのは初めて見る。どっちも演し物としてはイマイチなのがおかしい。
こんにゃく屋が大和尚に化けたときの口上、「幅広の障子を左右に押し開く、寺は古いが曠々《こうこう》としたもので、高麗縁《こうらいべり》の薄畳は雨もりのために茶色と変じー」のところでピタッと言葉が止まり、”ちょっと待って”というような手振りが入る。兼好師では大変珍しい。「声が出ない」と困りながらも何度かやり直す。乾燥してるからなあ。

三席め、「いやあさっきは困りましたね。なんかピタッと声が出なくなっちゃって。権助がダメですね」と苦笑い。
「仲入りのときに『声を使わない噺はなんだろう』と探しまして。『うどんや』なんかはどうだと思ったんですが、声を出さないのは最後だけで、結構唄とか歌わなきゃいけない。甚五郎噺もあまり声を使わないので『ねずみ』はどうかと思ったけど思い出せない!」そもそも兼好師の生駒屋が騒々しいので結構喉にはキツそう。「『禁酒番屋』は酒を呑む仕草が意外に喉にくる。そしたらふう丈さんさすがですね、『笠碁』は声つかいませんよ、と教えてくれたんですよ。それだ! と思ったんですけど私持ってないの」。俺も兼好師の聴いたことないもんなあ。
結局声を潜めるというところで泥棒の噺に。
足立区の泥棒をさんざんいじってから『締め込み』に入る。
この噺はもちろん他の人もやるのだが、圧倒的に兼好師で聴くことが多い気がする。しかし3年以上空いていて、結構久しぶり。
相変わらずというか、おかみさんに間男がいると勘違いし、強がりながら啖呵を切るも、ところどころで詰まったり声がひっくり返ったりというのが本当にリアルで面白い。しかもまた絶妙なタイミングで入れてくるんだ。ここだけ聴くだけでも木戸銭を払う価値があると思う。

さすがに昼に詰め込みすぎたので夜はなにも摂らず、酒も飲まず。夜に酒飲まないのも久しぶりだなあ。
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某真打勉強会 [落語]

某真打勉強会
於:都内某所

某真打のシークレット勉強会。SNSなどにもポスト禁止ということなので、とりあえず年末の集計するときの行ったという記録として。
「ネタおろしをしたりしなかったり、蔵出しをしたりしなかったり、虫干しをしたりしなかったり、落語をしたりしなかったり、愚痴を言ったり言ったり」の会。つーかこないだまで二ツ目で今真打で、そんでもって私が追っかけててシークレットでこういうことやりそうな人っていったらひとりしかいないけどね。
今日もまたマクラとも漫談ともちょっと違う、本人曰く「雑談」がメイン。最初の1時間くらいずっと。
まあこれも普段とは違った感じで、裏話的なことを聞けたりするので面白いもんで。業界のしきたりとかも今さら「へーそうなんだー」と知ることも多いし。
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ふかえどカレッジ「喬太郎の江戸深川 "ちょいと、いい噺"」 [落語]

ふかえどカレッジ「喬太郎の江戸深川 "ちょいと、いい噺"」
於:清澄白河 深川江戸資料館

柳家喬太郎『らくだ』

深川江戸資料館でのイベント。
先日兼好師の北千住の中学校での会に一緒に行った人が行けなくなったということで席を譲ってもらった。
常設展示の入館料400円で喬太郎師が聴けるとはかなりお得。

前半は資料館で展示している資料の写真を見ながら江戸の暮らしを喬太郎師が解説するというコーナー。
「えーとね、『江戸深川"ちょいと、いい噺"』ってことですがね、これについてはワタシもわかりません。アタシ世田谷生まれなんだ。それで横浜育ちなんですよ」。で、今は池袋住まいと。
「江戸の暮らしってのは落語を通じてしか知らないんでね、今日はアタシも勉強させてもらいます」と控えめ。が、写真がスクリーンに投影されると「これは大店ですね、『味噌蔵』とか『寝床』に出てきますね。大きな店と書いて『おおだな』。これで『おおみせ』と読むと意味が変わってきます……」と表示された画像に写されたものにまつわる落語と絡めていろいろ説明してくれる。さらにその場面を少し演じてくれるので大変オトク。細切れではあるが、いろいろな噺のさわりを聴くことができた。中には「これ初めてやったけどできるもんですね」という持ってないネタまで。なんだっけな、結構「え、これ持ってないんだ」と意外だった噺なんだけど。
画像でへっついが表示され、「この『へっつい』と舟の『舫う』が伝わらなくなってきたのが落語が廃れていくんじゃねえかって危惧されてましてね……。かといって『へっついとは』って説明しちゃうと教育みたいになっちゃう。志ん朝師匠は『船徳』で若旦那が舟を出すシーンで『若え衆、舟がまだ舫ってるよ』『ああ、まだ繋いでありました』とひとつの言葉をふた通り表現してました。私の『居残り佐平次』のサゲ、『おこわにかけた』も同じような工夫をしています」と他じゃ聞けないような裏話も聞けて大変結構でございました。今では埋もれている噺のあらすじとかも語られたり。
出る画像出る画像にそんな蘊蓄が語られ、「いやー、出るねー俺!」と本人も楽しそう。中には猫の画像が出され、「……猫です。次!」というのもあったが。

休憩を挟んで落語を一席。
「大変なことがございます。……持ち時間5分という……。前半喋り過ぎましたなあ。といって小咄で終わらせるわけにもいかないので……。先ほどから長屋での暮らしを話していたので、いろんな長屋の描写が出てくるこの噺をダイジェストでお送りします」と『らくだ』。
月番やら大家やら表店とか出てくるもんなあ。
普通なら45分くらいかかる噺を本当に15分で。とはいえちゃんとストーリーが省かれたりせず、しっかりと『らくだ』のまま。押し問答とか屑屋がぐずってるところが長いんだな、この噺は。

せっかくなので常設展も見ていく。
落語ファンからすると、長屋での庶民の暮らしという点では両国の江戸東京博物館よりも満足度が高い。落語の世界の息遣いを感じる気がする。
タグ:柳家喬太郎
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第27回 あさか寄席〜林家彦いち・三遊亭兼好二人会〜 [落語]

第27回 あさか寄席〜林家彦いち・三遊亭兼好二人会〜
於:朝霞 朝霞市民会館

林家十八『つる』
三遊亭兼好『厩火事』
三増紋之助 曲独楽
林家彦いち『長島の満月』

連日公共施設での兼好師。
この顔付で2000円は安い……と思っていたが、一席ずつっぽい。そっかァ……甘くねえなぁ。
14時開演かと思い、どこかで飯を食おうと早めに会場へ行って駐車場に車を駐め、近くにあった蕎麦屋へ向かおうとする。ふと嫌な予感がして待てよ、ホントに14時開演だろうなと確認すると13時半開演だった。あっぶねえ。開演5分前に会場に戻る。ナイス俺を信じなかった俺。そうだコイツはいつも開演時間を間違えるんだから信じちゃダメだ。

兼好師、「私は朝霞が朝霞が大好きで。……具体的にどこが、と言われると困るんですが、急行が止まらない奥ゆかしいところとか……」と軽く地元をイジる。
「この会館もいかにも『市民会館です!』っていう感じでいいですよね。なんか最近だと『なんとかCube』とかなんとかおしゃれな感じにして……。でもああいうのって見た目がきれいだけど楽屋が使いづらいとかがあるんですよ。それに比べてどうですかここは。『余計なことはしません!』というどこか昭和っぽい感じがたまらない。楽屋も使いづらそうに見えてホントに使いづらいとか裏切らないですからね」。一応ここにも「ゆめぱれす」っていう立派な名前がついてますけどね……。
噺は鉄板ネタの『厩火事』。
兄貴分のイラついてく様子がおかしい。
今日は特に髪結いのおさきの乙女チックというかダメ亭主に見切りをつけられないいわゆる「だめんず好き」な面が出ていたような感じ。

紋之助先生は昨年の披露目で一度見たが、客席から協力者を上げ、自身も客席へ回るところまでフルセットで見たのは久しぶりじゃなかろうか。こういいう観客巻き込み型はコロナ禍の中では大変だっただろうなあ。

彦いち師、なんか昨年からやたら兼好師との二人会が多いような気がする。
自身の大学時代のエピソードを元ネタにしているから仕方ないんだけど、オイルショックとかあさま山荘とか、さすがに近頃ではかなり違和感のあるというかすでに歴史になっちゃってるワードだよなあ。そういうのも古典化していく過程なんだろうか? とはいえこれは彦いち師にしかできない噺だし。

帰りに会場近くのお風呂のお王様に立ち寄り、3時間ほど湯に浸かって帰宅。というかサウナ混みすぎて扉の前で順番待ちて。ブームはいいけど混みすぎるのもなあ。
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新春おもしろ落語 in 千寿青葉 [落語]

新春おもしろ落語 in 千寿青葉
於:北千住 千寿青葉中学校

三遊亭兼矢『親子酒』
三遊亭兼好『新聞記事』
三遊亭兼好『佐々木政談』

年に一度のお楽しみ。
というかコロナ禍で校外の人間が入っていいのは3年ぶりらしい。昨年は学校関係者のみだったとか。
これまでは私が住んでいる町内の掲示板にも案内があったのだが、今年はなし。たまたま隣町を散歩しているときにチラシを見かけた。「あれ、今年は開催するんじゃん!」とすっかり油断していた。しかも事前予約制。……あれ全然応募締め切り過ぎてんじゃん! マジかーと思いながらダメ元で電話してみたらあっさりOK。まあ体育館だし入れないってことはないか。

しかしそれにしても今日は兼好師は朝に文蔵組の会と夜は「よってたかって」があるんじゃなかったっけ!? 売れっ子だなー。朝渋谷行って昼に北千住に戻って夜は銀座って。若者の街から大人の街まで街の振り幅がすごい。
文蔵組は天どん師、談笑師、さん花師などで、「よってたかって」は三三師、一之輔師、宮治師というまあすごい顔付。行きたいのは山々だけど両方行ったら9000円て。さすがに行けません。
会場の中学校は昨年建て直したばかり。すごいキレイになってた。

前座はけろよんさんかと思ったら兼矢さん。二ツ目さんが前座とはお得。
「えー、師匠はまだ間に合わないようで……」やっぱりなあ。
兼矢さんは数年前のこの会が初高座だったといい、「そのとき『味噌豆』というネタをやったんですがネタを飛ばしまして。5分くらい絶句してました」。俺のブログでも「盛大に間違えてた」みたいなこと書いてあった。
そんなこともあって兼矢さんにしてみれば思い出? の会なのかも。
いろいろとマクラも手探りな感じが伝わってくる。
「こんなに広い体育館じゃなくてもあっちの図書館でもよかったんじゃ……」といっていたとおり、確かにちょっと広すぎたかな。客も広がってしまい笑いが分散されてしまうようでちょっともったいない。
兼矢さんの『親子酒』は初めて。婆さんを「お嬢さん」とおだてたり、最後には自分で酒の支度をするなど、あまり聴いたことのない型。

兼好師の一席め、「この話を頂いたときに『1月のにじゅうふん日にお願いします』と聞いてたんで28日だと思ってたんですよ。そしたら昨日『明日よろしくお願いします』とメールが来て。おや? 間違えてるんじゃないかな? と思ったら他にも何通か周りからメールが来ていたので、これは私が間違えているのだろうと。ただそうすると私は今日仕事がすでに2本入っていて、大丈夫かな? と思っていたんですが、朝と夜だった。昼だけは空いていた。どうです」と腕を叩くが、それは落語の腕とはあまり関係ないのでは……。
朝は渋谷の会で、出番順を変えてもらって高座着のまま飛び出してきたそうだが、「渋谷で歩いている人たちはちんたらちんたらしていてなかなか追い抜けない。スクランブル交差点でも外国人がはしゃいでるし……。でもなんとか間に合ってよかった。このままだと兼矢独演会になってしまうところだった」。兼矢さんは好きだし無料だから文句は言えないけどさすがに師匠の代演となると……。
「最近は相変わらず暗いニュースが多いですが、考えようによってはその方がまだいいのかもしれませんね。『若者がお年寄りに席を譲った』ということがニュースになってはいかんのです。まだ暗い話がニュースに、つまりは特別なこととなっているうちが華でしょうね」と『新聞記事』に。
ご隠居から天ぷら屋のネタを仕入れた男が、友人にやろうとしたときに笑いを堪えきれず、「天ぷら屋の……ぶふっ……竹さんがウフッ……」となるその間と顔と話し方がたまらなくおかしい。こればかりはどんなに文章の上手い人でも伝えられないだろうなあ。とにかく聴いて! としか言えない。
泥棒が竹さんに日本刀を突きつけて「静かにしろい」と凄むところを「のび太にしろ……スネ夫……ジャイアン?」となるのは最近『ドラえもん』にハマっている兼好師らしい。
おかみさんとの惚気を臆面もなく語るのも面白い。こういう演出って兼好師くらいしかやらない気がする。

二席め、お奉行のお供に吟味与力の三蔵が付いているのだが、これが与力とは思えないほどの粗忽な上に口が軽いというキャラ。
子どもたちのお奉行ごっこのシーンにしか出てこないのが惜しい。

終演後に花束贈呈や校長の言葉があるのがいかにも学校っぽい。そしてこの校長が「噺の最中に工事の音が入ってきまして。私、現場に行って『のび太にしろい』と言ってきました」パクった上にスベる。この校長は毎回こんな感じで、毎回兼好師に「いいから早く挨拶しなさい」と苦笑いで嗜められるまでがお約束というか。
全校集会で生徒がうるさい時とかにもやるんだろうか。ユーモアのある先生というのはいいものだが、中学生相手にスベったら大変なことになりそう。見てえなあ。
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和室カフェ 其の二十八 [落語]

和室カフェ 其の二十八
於:神保町 らくごカフェ

トーク
入船亭扇橋『長短』
立川笑二『反魂香』
立川笑二『つる』
入船亭扇橋『富久』

天気も悪いしずっと家でブログを書く。
うーむ自分でいうのもなんだけど、書きすぎなんだよな。もうちょっとコンパクトにしないと時間もかかるし読む気もしなくなるし。

まずはふたり揃ってトーク。
扇橋師の初めての初席や談笑一門のクリスマスパーティーの話などを。談笑一門は談笑一家と弟子5人、さらに弟子のおかみさんたちもくるので大所帯らしい。さらに談洲さんの父親もくることがあるそうな。
一門の吉笑さんがNHKを獲ったことにも触れ、「結果を聞いても放送前にアニさんは教えてくれなかったんですよ。師匠には報告したって言ってたから師匠やおかみさん、アニさんのお母さんのTwitterのアカウントも見てみたんだけど、誰も匂わせとかしてなくて……」と笑二さん。「なんでそんなに必死なの!?」と扇橋師も驚く。
吉笑さんがそろそろ真打だろうがトライアルってなにをやるの? など立川流の内情を伺う。やはり協会が違えば噺家同士でも知らないことが多そう。
次々回あたりから以前にやっていたふたりでこれまでに体験していなかった場所に行くという企画も復活するとのこと。

扇橋師の一席め、先ほど話題に出た吉笑さんには今会いたくないという。ドヤ顔されるからだそうだ。「『アニさん取れなかったんですよね』とか悪気なく言うんですよ。笑二さんもそうだけど」。言いそう。
「真打と二ツ目の会ってのはあまりよくないらしいんですけど、怒られるまではやろうかなと」ということでまだこの会は存続しそうで何より。「というか私が定期的に笑二さんを聴きたくなるんですよ。だから今日は私はみなさんと同じです」。
「気が合う合わないというのはありますが、一蔵アニさんはいまだに『前座の頃はお前のことが大嫌いだった』っていうんですよ。そういうこといわなきゃいいのに。でもホント噺家になってから出会ってよかったですよ。最近よく言うのは学校で出会っていたら絶対に友だちになっていなかった」と『長短』に。
扇橋師の『長短』は初めて。らしいというかキッチリとスタンダードに。

笑二さんの一席め、扇橋師から「正月っぽくない噺を」とリクエストされたのだとか。
Amazonで上の階の住人の荷物が誤配送され、それを届けに行ってみたらちょっと違法臭い商売をやっていそうだったとか。そういう商売は10年くらい前はいろんなところによくあったけどねえ。
で、隣がなにをしている人かわからないというところから『反魂香』に。
俺『反魂香』てちゃんと聴いたことないけど、こういう噺じゃないよねえ。「隣の坊さんが夜通し鉦(かね)を叩きながらお経を読むので眠れない」というところだけは共通で、その他は笑二さんのオリジナルっぽい。
死んだ人を呼び寄せられる反魂香だが、それは人の身体を干して作ったもので、三年前におかみさんを亡くした八五郎が……とかなりのグロい噺になっている。

二席め、「だから『そういう噺じゃない』ってアニさんには言ってたのに。二席めは普通にやります」と一応縁起物の『つる』に。
しかしこれもまただいぶ改変されており、煙草屋のみいちゃんに「話が面白くない」と振られた男が「なんか面白い話はないですか」とご隠居のところに訪ねてくるというもの。そしてこの男が「筋道をつけて話せない」という人に話を伝えるのに致命的な性格で、しかも行動もブッ飛んでいる。この噺でこんなに笑ったの初めてだ。
しかも中はこれでもかというほど変えたのに、サゲだけは同じって。そこで戻ってくるのかーって意外だった。

扇橋師の二席め、「……そんなつもりじゃなかったんですけどね、最初から『つる』をリクエストしておけばよかった。しかしまあ結構なサイコのパスですよ。カネ払って客席で聴いてみたい。……1回でいいかもしれないけど……」。たしかに笑二さんはどの噺も面白いけど、聴くのに疲れるというかパワーが要る。ちょっと調子の悪いときとかに三席聴くのは重いかも。
富くじは米俵1俵分の米の中から色のついた一粒の米を目隠しして掴み取るくらいの確率だったとか。米俵1俵は約60Kg≒400合で1合が約6500粒らしいから、260万分の1。……そら当たらんわ。しかしあの時代に260万枚も札を用意できたんだろうか? 少し話は外れるが、年末ジャンボは2000万分の1なんだとか。ということは米俵7.7俵から米一粒。普段買ってる5Kgの袋だと約92袋。米問屋か。もう宝くじは買わない。
『富久』はすでに時期が違うかなーと少し気になるが、まあ本人が気づいてないはずがないんでなんかしら思うところがあるんだろう。
芝のお店で酔っ払った久蔵が「つるって昔は首長鳥って呼ばれてたの知ってます?」と管を巻くのがおかしい。

次回は5月らしい。それまでに企画でふたりに行ってもらいたい場所を考えておかなければ。
そして相変わらず文章量が多い。
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第65回三田落語会 夜席 [落語]

第65回三田落語会 夜席
於:浜松町 文化放送メディアプラスホール

入船亭扇ぱい『一目上がり』
春風亭一蔵『熊の皮』
春風亭一之輔『不動坊』
春風亭一之輔『普段の袴』
春風亭一蔵『小言幸兵衛』

1時間ばかり時間を潰して夜席に。

扇ぱいさん、さすが元NHKアナウンサー、歯切れがよく聞きやすい。

一蔵師の一席め、「昼席の前座さんがいっ休さん、夜席の前座が扇ぱいさんて……。逆だろ! なんでお互いよその子の面倒見てるんだっていう……」。私も思った。
「私が一席めに出てきたということは私がトリを取るということです……わかってる! この中の八割が一之輔を見に来たのはわかってる!」と昼席の扇橋師と同じようなことを言う。「でもね、この会の悪しき前例があるんスよぉ。昼席がね、扇辰扇橋二人会で扇橋さんがトリを取った。そのネタ帳を見てアニキが『ラッキー』って言ったんスよ。いやアニさんラッキーとかないから。アナタがトリを取るのが普通でしょ。昼席は扇辰師匠がかわいい一番弟子にトリを譲ったんでしょ。我々の関係とは違うじゃないですかっていったら『いやあこれで俺がトリを取ったらなんだか器が小さいやつみたいじゃん』って。……皆さんアニキの二席めが終わっても帰らないようにね」とここでも扇橋師と同じようなことをいう。仲いいねぇ。
「アニキにはお弟子さんが4人いますけど、んー、それでもまだ一アニキと緒にいる時間は私のほうが多いんじゃないですかね」と一之輔師とのエピソードを山盛り話す。一緒に甲子園に行ったときに一之輔師が甲子園カレー5個も当たったのに一蔵師にひとつもくれなくて大喧嘩した話とか。そのときのセリフが「だって俺5人家族だし」だったとか。「……そういう人がこの後出てきます」。
「一席め漫談でいいかな」といいつつも一応は落語も。
とはいえ甚兵衛さんが家に帰ってきてこき使われるシーンもなく、いきなりおこわのお礼の稽古に。「こういうものは言葉で覚えるんじゃないの、感覚で覚えなさい!」と膝を叩きながらテンポを取ってお礼を教えるが、まったくテンポと言葉の文字数が合っていないのが楽しい。

一之輔師の一席め、開口一番「……5人家族なんで」。
「袖で聞いてたんですけどね、だいたい本当です。まあかわいい兄弟子だなと。so cuteだなと。抱きしめたいですね」と照れ笑い。
「さっき一蔵も言ってましたけど、うちの一門は10人いるんですよ。でね、普通弟子の多い一門ってみんな仲悪いんですよ。……教えましょうか? なんで仲悪くなるかっていうと、弟子同士で師匠の愛情の取り合っちゃう。『アイツ着物もらった』とか『アイツは師匠から仕事もらった』とか。でもうちの一門はそんなことない。うちの師匠は全員に均等に愛情を注いでる……んじゃなくて、ひとり女の弟子がいてそいつしか可愛がられてない」とぶっちゃける。
やきもちの話から『不動坊』に。
婚礼の話に有頂天になった吉公がお湯屋へ行き、全裸で荒ぶっているシーンがたまらない。子どもに「おちんちんを振り回したおじちゃんがいる」と目を丸くされているのがおかしい。
屋根の上でちんどん屋と漉き返し屋が小学生みたいなケンカを繰り広げるのも最高。

二席め、侍のやり取りを見ていた八公が「いいなあ、あれ俺もやりてえな、袴燃やしてえな。そうだ袴燃やそう!」と不穏なことを喚くのがおかしい。
袴を借りに大家のところに行くと「バカがきたバカが。婆さん塩用意しろ。戸を開けたら目を狙え」「あっ、痛い痛い!」というくすぐりも笑える。
祝儀と不祝儀がぶつかった話を聞いて「木戸銭代わりだ」と袴を貸してくれるのが優しい。

一蔵師の二席め、「これまでもよくあったんですよ、前座さん、私、アニキ、仲入り、アニキって会が。さっきも袖で聞いてて、『へえー、”普段の袴”でバラすんだ』ってフツーに思ってた。で、『あっ、トリ俺じゃん』って気づいた」そうで。
仲のいい間柄だが、2度ほど本気で小言を言われたことがあるとかで、そこから『小言幸兵衛』に入る。
子どもがいないという豆腐屋に別れろといってキレられたあと、婆さんに「子どもがいれば幸せといいますけどそうとも限りませんよ。うちはふたり子どもがいるけど私は今あなたと別れたくて仕方ない」というのが生々しい。

それにしても一之輔師はやっぱり面白いな。昨年はたった三席しか聴いていなくて愕然とした。披露目興行で入るだろうと思ってたら全然入ってなかったし。まあ考えてみりゃ披露目以外にも他の定席でもやってるわけで、披露目に対抗できるような人を出さなきゃならないだろうし。あと披露目以外の寄席でも俺が行った日は代演とか交互のもう一方ってことが多かった。今年はもうちょっとちゃんと聞きに行かないと。
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第65回三田落語会 昼席 [落語]

第65回三田落語会 昼席
於:浜松町 文化放送メディアプラスホール

春風亭いっ休『無学者』
入船亭扇橋『高砂や』
入船亭扇辰『井戸の茶碗』
入船亭扇辰『田能久』
入船亭扇橋『藪入り』

ああもうやっちまった。
前回の三田落語会で知り合いにカネ借りてまでこの会のチケット買ったのに、スケジュールにメモってなかったもんだから今日の兼好師の横浜にぎわい座の会のチケットも買ってしまった。金ないのに。俺の馬鹿ー。
前回は夜席に行きたかったのに間違えて昼席のチケットを買ってしまったり、三田落語会とはあまり相性がよくないのかも……。いやまあどちらも俺が悪いのだが。
普段なら兼好ファーストなので横浜の方を選ぶのだが、今日は夜席も行くので三田落語会の方に。浜松町なら定期があるから交通費もかからないし。
前回はチケット救済サイトにあげたところあっさりと買い手が見つかったので、今回も出してみた。兼好師だしすぐに見つかるだろうと思ったのだが結局買い手がつかず。無駄にするよりはと知り合いに進呈する。

いっ休さんは観音様へお参りに行った愚者と先生のやりとりと魚根問。これで『無学者』って演目なんだ。「無学者論に負けず」といって下がるのは定番の締めみたいなものかと思ってた。

扇橋師の一席め、「披露目の口上で師匠が『真打になったということは、ここに並んでいるお歴々と肩を並べて競い合うということだ』と言ってもらったんですけど……。同じ真打という立場で師匠と会に出る。しかも私が最初に出てきたということは、最後にも出るということです。どうか皆さん師匠の二席めが終わっても帰らないように。……皆さん見てわかるでしょ。『アイツ緊張してるな』って。正直言葉は悪いですがゲロ吐きそう」。天どん師みたいなこと言ってるな。
「しかもチラシに『扇辰扇橋』って! もうそこに矛盾が! 誰が出るんだって思いません!? 大丈夫、アタシがいちばん違和感を覚えてる!」。俺は先代の高座を生で聴いたことないしなあ。まだ名前には馴染んでいない様子。
アフターコロナで冠婚葬祭なども普通に戻ってきたというところから正月らしくめでたく『高砂や』。
扇橋師の『高砂や』では豆腐屋がヒデ爺というキャラで異彩を放ち笑いを誘う。

扇辰師の一席め、昨年の年末に罹ったコロナについて話す。「末廣亭昼席のトリだったのに二日出ただけ。代バネはだいたい文蔵さん。……よりによって。アタシじゃないですよ、協会が頼んだんだ。アタシが頼むわけない、そんなゆすりのタネになるようなこと」と苦い顔。
「かみさんも一緒に陽性になってね。どっちが先かわからないけども……。夏にもかみさんだけが陽性になったけど、そのときは大変だった。かみさん隔離しなきゃなんないからさ、食器洗うスポンジまで分けて。私は濃厚接触者だから仕事2本飛んだんだ。その一方でかみさんはリモートで仕事してんの。まあ今回は一緒でよかったですよ。言葉は悪いけど大威張りで寝てました」。とにかく軽症でまだよかった。
不自然な間が何度かあき、どうしたのかと思ったら「ネタ決まんねえんだよ。なんか聴きたい噺ありますか。あ、リクエストにはお応えしません。参考にするだけ」とのことだったが「まあお正月ですからめでたい噺をしましょうか」と『井戸茶』に。
頑固者の侍ふたりのカッチリした佇まいが扇辰師の雰囲気に良く似合う。
たまに扇辰師はケレン味たっぷりにクサくクサく演ることもあるが、やっぱりこういう端正な噺の方が好きだな。
屑屋の清兵衛さんが細川公のお窓下をこっそり通ろうとする際に売り声を出して見咎められ、咄嗟に「はいはいはい、ヒデ爺の豆腐屋ですよ」とやり驚く。扇辰師が弟子のネタを拾うとは。これが真打に昇進するということか。

二席めも「お正月なのでめでたい噺……さっきと同じこと言ってる」と『田能久』。めでたい噺? 「化ける」からかな?
噺の途中で山小屋で握り飯を食べるシーンがあるのだが、そこがなんだかやたら好き。全体的にファンタジックというか昔話っぽい噺ではあるのだが、そのシーンは特にマンガチックというか。なんか手塚治虫的なコマ割りが見えてくるような気がするのです。

扇橋師の二席め、「ヒデ爺はやったあとに他の演者の方が引き継いでくれることがあるんですが、まさか師匠がやってくれるとは」と扇橋師も驚いた様子。そりゃそうだろうなあ。
1月16日の藪入りに合わせて『藪入り』。
一度帰ってきた亀がお湯屋に出かけていく際にまたヒデ爺が登場し「豆腐屋! 出てくるな!」と怒鳴られるのがおかしい。
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第11回チャリティ公演 いきいき笑転会 [落語]

第11回チャリティ公演 いきいき笑転亭
於:日比谷 日比谷図書文化館

三遊亭けろよん『牛ほめ』
三遊亭兼好『元犬』
三遊亭兼好『うどんや』

約3年振りとなる会。前回は平日だったので、私が参加するのは1回空いている。
開演前にNPO法人の会長の挨拶。「この4年の間に兼好師匠がかなり売れてまして。なかなかスケジュールが取れないんですが今日は取れました!」とご満悦。チャリティの内容の報告を受け、そういやこういう会だったけなと思い出す。タイへのチャリティにお金使いたいところではあるが。

一席め、愛子さまが一般参賀のデビューしたことに触れ、「最近はお綺麗になられてねえ……。良かったですよね」とちょっと黒いことを言い出す。けどまあみんな思ってることだろうけれども。
「愛子さまって犬飼ってるんですよね。しかもお姫様なんだから血統書付きとかだと思ったら赤坂御所に迷い込んだ犬なんですってね。偉いですよねえ」。やっぱり動物好きなら保護しないと……!
そこらへんから得意ネタの『元犬』に。最近は兼好師の型の噺をする若手も多いが、やはりオリジナルは強い。なんだろうなあ、噺のメリハリとか強弱がすべてにおいて心地よくフィットするのですよ。この「わかっていても絶対に面白い」という加減がすごいんだよなあ。

二席め、時期にピッタリの『うどんや』。
うどんやに絡んでくる酔っ払いが「さてこのたびは」と三指をつく仕草をするときに七輪に指を近づけすぎて「あっつ!」とやるくすぐりがあるのだが、噺がループして2回めのときにはうどんやがそっと七輪を移動しているのがおかしい。こういう細かい変更が楽しい。

終演後はぶらぶらと霞が関から虎ノ門を回って新橋まで。ついでに一杯飲んでいくかと思ったけど落語に予算を回すために自粛。
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眞福寺落語会 [落語]

眞福寺落語会
於:用賀 真福寺

入船亭辰ぢろ『寿限無』
入船亭扇橋『初天神』
柳家権之助『抜け雀』
柳家権之助『猫の皿』
入船亭扇橋『転宅』

兼好師がらみ以外の落語は今年初かな。
昼間は暖かいのでバイクで行くつもりだったが、出がけに車が目に入り「あれ、車で行った方がもっと楽じゃね?」と気づく。なんで直前まで車の頭がなかったんだろう……。

任意のご浄財で入れる無料の会。賽銭箱に札を入れるのは初めてな気がする……。
最近は無料の会というのも少なくなった。私が聴き始めた頃はそこそこあったような気がするのだが、これも不景気のせいなのか。

廊下の障子を背にして高座があるため、高座の真後ろの障子を開けて登場するというちょっと変わった形。廊下に陽が差しているので後ろに控えている出演者のシルエットが浮き上がる。

辰ぢろさんは正月らしくおめでたく『寿限無』。
でも実際に聴いたことはないけれど、本来のサゲって確か寿限無が井戸に落ちて名前が長すぎるせいで助からないってのじゃないっけ。今なら苦情必至だけど、昔はそういうブラックなのも笑いにしてたんだな。時代とともに噺の受け入れ方が変わるのも面白いが、今後はさらにマイルドになっていくのかなあ。

今年初の扇橋師。
共演の権之助師をいじるとすぐに後ろの障子から権之助師が顔を出す。スタンバってるのがシルエットで見えていて楽しい。
初めて初席にも顔付されたときの様子と、噺家のお年玉の文化について話す。「落語協会の前座はわかる。芸術協会もまだわかる。だけど立川流とか三遊とか、普段付き合いのないところの前座は知らないですよ。でも街で会ったらお年玉をあげなきゃいけない。こないだも街中で『師匠!』と知らない人に呼び止められて。お客さんかな? と思って話を合わせていたら立川流の新しい前座だった。ともすれば絶対に一緒には仕事しない人にもあげなきゃいけない」とこぼす。
「……それとよく聞かれるのが『マクラはどこまでホントですか』ってこと。あのですね、噺家の言うことなんて嘘だらけですよ。もちろん種となる事実はありますよ。それを面白おかしく肉付けして話してるんですよ」と突然のぶっちゃけ。いきなりどうした。
噺はこれも正月らしく『初天神』。まあ今月と本来の初天神の時期である来月まではどこいってもまずはこのネタが出ますよね。
飴玉を買うシーンで「赤ぇのは女の子みたいで嫌だ? 飴に男も女もあるかよ。……第一おめえ(男と男の約束を破るために)さっき女になちまったじゃねえか」という一言がおかしい。

権之助師、「扇橋さん……扇橋……さん、こたっちゃん」と呼びづらそう。後輩が大名跡を継ぐと先代のイメージが強いのか。「彼は私が二ツ目になってから入門してきたと思うんですが、あるとき私が『真田小僧』をネタおろししたときに『どうだった?』と聞いたら『まあ良かったと思いますよ』とかいうんですよ。アイツはそういうヤツなんです」。と「アニさんやめて!」と扇橋師が顔を出す。「だから今日『真田小僧』をやろうと思ったら『初天神』やられちゃった」と苦笑い。
師匠の権太楼師の話に。年末に患った肺炎はもうよくなっているのだが、免疫力が落ちているので大事を取ってまだ入院しているのだとか。身体は元気なので退屈らしく、病院に弟子たちが来て欲しがっているそうだ。「普段師匠に用事があるときは自宅に電話して取り次いでもらうので、師匠の携帯に電話したのは初めて」らしく、そんな師弟の関係性が見えるのが興味深い。あんぱんを差し入れようとして看護師にバレ、おかみさんが呼び出しを食らったという、これこそ「嘘だあ」って話なのだが、「これホントの話ですからね!」と念を押される。さっきの扇橋師の話を受けているのだろう。
噺は旅の話から『抜け雀』に。
人の良さそうな宿屋の亭主がよく似合っている。

二席め、「前半だけで1時間40分もやってた」と軽めに『猫の皿』を。「カミさんが猫が好き」と猫を忌避取ろうとしてたのに茶碗が手に入らないとわかると「俺よりカミさんのほうが猫が嫌い」と手のひらを返す。

扇橋師の二席め、縁起担ぎで泥棒の噺として『転宅』。
お菊の色気がすごいことになってる。さすが扇辰門下というか。
そのせいで「高橋はんぺん」と名乗られても気づかないなど、泥棒のウブさが際立っているのが楽しい。

終演後はすっかり夕まぐれとなりかなり気温が下がっていた。車で行ってよかった……。バイクだったら凍えてた。
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