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人形町噺し問屋 その108 [落語]

人形町噺し問屋 その108
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭げんき『味噌豆』
三遊亭けろよん『浮世床(本)』
三遊亭兼好『芋俵』
林家喜之輔 紙切り プリン、大谷(通訳込み)、花見、登り龍
三遊亭兼好『花見の仇討』

歯が痛い。というか口の中というか歯茎というかアゴが痛い。なんだコレ。痛み止めを飲みながらなんとか過ごす。とはいえ少しずつ痛みは引いてる気はするのでなんとか治るのを祈るばかり。

ますはご挨拶。「年度末のお忙しいところありがとうございます」で笑いが起きるのはなぜだ。落語にくる客が忙しいわけねーだろ、という笑いなのか。
「新しい環境に変わる人もいるでしょう。そこでもうスタートダッシュを決めた人もいるんじゃないですか。相撲でいえば尊富士。すごいですねえ、記録ずくめですよ。彼のお母さんもテレビに出てたんですけど、ものすごく細くて『本当に親子?』って感じ。私が好きな貴景勝もお母さんがすごく小さくてキレイ。ああいう親子で違いすぎる人が出世するんですかねえ。だとすると私はムリ。母親そっくり。たまに地元に帰って仕事があると、先輩とかに紹介する前に『お母さんそっくりだね』っていわれるくらい。先日会津で文珍師匠の会があったらしくて、私は出てないのに母親が行ったらしいんですよ。『兼好の母です』って。後日文珍師匠から『お前のオカンお前よりオモロいな』って……」。
そのほか好楽師か台東区の「スターの手形」に選ばれた話も。「家元も選ばれてないんですよ。でもウチの師匠台東区長と飲み友達なんですよねえ」。
逆にスタートダッシュに失敗した人として大谷を挙げ、「彼も大変ですが、教科書の出版社も大変。英語の教科書に出てるんでしょ? 『大谷を支えた人たち』みたいな感じで。これ出版社も学校もどうするか頭を抱えてるそうですよ。でもいいんじゃないですか、英語が苦手な不良なんかは真面目なストーリーよりもこういう『大谷のこと支えられてねーじゃん』みたいなところがあった方がウケますよ」。
「それにしても通訳の人ってすごいですよね。先日仕事で初めて行く場所で、女房に所在地をメモしてもらったんです。私はスマホの地図を見ながら歩くということができないんで、駅前の地図を見て住所を頼りに探すんです。大体の見当はついたんですが、その場所に着いてもそれらしき建物が見つからない。あまりに私がウロウロしてるんで、その近くで電話をしていた女性が声を掛けてくれて」と電話の向こうの話し相手がその辺りの地理に詳しかったそうで、3人で目的地を探したとか。「電話をしてる彼女みたいなことですもんね、通訳って」。そうかなあ!?

今日は前座ふたり。時間の関係か、けろよんさんの『浮世床』は本の部分のみ。そこって話がまるで進まないので単体で聴かされるとちょいと飽きるなあ。

兼好師の一席め、「昔は新社会人とか新大学生を狙った詐欺やねずみ講などがあって被害者になるケースがありましたが、最近では闇バイトで加害者側に回ることも多いそうですね。闇バイトで捕まった人の8〜9割は『知らなかった』と無罪を主張するらしいですが、モノを運んで10万とか、そんなうまい話があるわけないんです。それを見抜けない時点でもう有罪ですよ」と手厳しい。でもそれは確かに。そんな楽な仕事が合法だったらみんなやってるわ。
「また相撲の話になるんですけど、角界にもいじめがあるそうで北青鵬がクビになりましたけど、ああいうのをクビにして野に放つってどうなんですかね。危ないでしょ。あんなの他に行くところがないんですから、ヤクザの用心棒とかになったらどうするんですか」と舌鋒鋭く非難する。確かに弱いものイジメをする巨体ってのは恐怖でしかない。「そういう問題を起こした力士は春日野部屋とか立浪部屋とかと同じように『仕置部屋』ってのに入れて、更生してからクビした方がいい」。ごもっとも。「噺家でもすぐ破門にする師匠がいますけど、こんなユルい世界で役に立たない人間が世に放たれてもなんの役にも立たないと思うんですけどねえ……」と冷たいんだかなんだか。
最近では刑務所でも「人権が大事」と受刑者も看守もさん付けにするというおかしな風潮を嗤いつつ、昔は犯罪者たちは捕まりたくなかったと泥棒の噺に。
兼好師の『芋俵』は初めて。ここにきて初めて聴く噺が連発するのは嬉しい。
『芋俵』自体そんなに頻繁に聴く噺ではないのだが、何か理由があるんだろうか。
寄席では必須の泥棒の噺だし、やや下ネタ気味ではあるけどそんなに下品なわけでもないし、やらない理由はないと思うんだけど。
芋俵を質屋に置いていくきっかけとして泥棒ふたりの口喧嘩があるのだが、この口喧嘩でアドリブで出た「この南京虫! 南京虫! 南京虫!」という罵倒の文句に本気で傷つく弟分がおかしい。
泣きながら「『馬鹿』とか『間抜け』は打ち合わせ済みだからいいけどぉ……。『南京虫』はねえんじゃねえかってぇ……思います……」と押し込み先の質屋に訴えるのがたまらない。

貴之輔さん、「大谷」というお題に「打つ方ですか、投げる方ですか」と尋ねると、「通訳込みでお願いします」とリクエストされる。
「大谷は3日出番があればそのうち2日はお題として出るのでヤマが張りやすい。打つ方が投げる方かと聞くと、打つ方が6割、投げる方が3割。あと1割は『二刀流』ってめんどくさいお題なんですけど、今日はそれを超えてきた」とボヤく。とはいえ大谷が打席で打っているところにベンチでスマホをいじる一平氏を切り、感嘆の声が漏れる。

兼好師の二席め、「二階さんが引退するようで。噺家としてはああいう(舌禍キャラの)人がいなくなるのは惜しいんですがね。二階さんは和歌山が地元ですが、和歌山の自民党青年支部がセクシーダンサーを呼んで問題になってますね。不適切だ、ということで怒られてますけどいいじゃないですかそれくらい。プロのセクシーダンサーを呼んでセクシーなダンスを踊ったんですよね? そりゃ議員たちが脱いで踊ってたら何やってるんだってなりますけど。だって和歌山ですよ? なーんにもないんですよ人は減る、増えるのはパンダくらい。東京はいろいろと楽しいところがあって毎日楽しく過ごせますけど、和歌山はホント何もない。年に何度かパーティがあって、それくらいしか彼らには楽しみがないんです。残りの360日はマジメに頑張ってるんです。だから東京の価値観で裁くというのは間違いじゃないかと思うんです」と一見彼らを擁護しているようで、実質すごいバカにしてません?
「昔はさらに娯楽が少なくて、花見は一大イベントだったんでしょう。江戸に桜を植えたのは吉宗公。この人も紀州で和歌山になにもないことを知ってますから」とここにも和歌山イジリが炸裂する。
「幕府も町民に気を遣わせないよう、花見の期間は武士にあまり外出しないようにとお達しをしていたくらいだそうで」。へえ。
先日の『花見酒』に続いて花見の噺。あとは『長屋の花見』が聴けたら今年は花見の噺をコンプリートかな。今週末に広小路亭のしのばず寄席でトリを取るのでそこに期待。
巡礼兄弟役のふたりが侍にぶつかったときにも上役が「近藤、花見の時期に町民に絡むな」のようにマクラで話したこともちゃんと織り込まれている。
3人でチャンバラをしているときに、助太刀に来た侍を見た巡礼役のふたりの驚きと絶望が混じった表情が最高。こういう情けない顔をするときの破壊力がすごい。
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