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三遊亭兼好 独演会 桜満開笑いの宴 その弐 [落語]

三遊亭兼好 独演会 桜満開笑いの宴 その弐
於:青砥 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール

三遊亭兼好『看板のピン』
三遊亭げんき『手紙無筆』
三遊亭兼好『花見酒』
三遊亭兼好『不動坊』

歯が痛い。
右上奥歯の歯の詰め物が取れてしまったので歯医者を予約したのはいいのだが、なぜか右下奥歯が急に痛み始めた。
さらに左下の奥歯に一本だけ乳歯が残っているのだが、それもグラついてきた。ということで今は左右の奥歯が使えない。
で、今日歯医者に行ったところ、詰め物をした歯は土台となっている歯が割れてしまっているらしく抜くしかないという。うえーマジかー。
そんでもって右下の歯は虫歯もあるが虫歯じゃないところが痛んでいるので知覚過敏ではないかとのこと。何も食べてなくても痛いんですけど、といってもそういうこともあるとか。早速シュミテクトを買う。

兼好師の一席め、「この会場は何度かきているんですが、すごくキレイでいいですね。こういう会場の場合はお客様もホールに合わせて少し着飾ったりするんですが、ここはそういうことがないのがいいですね。葛飾が勝つって感じで」といつものようにローカルジャブ。
「この年度末のお忙しいときに来ていただいてありがとうございます。いろいろ環境が変わるという方も多いんじゃないでしょうか。学校が変わる、仕事が変わる、通訳が変わる、とか」と相変わらず時事ネタの挟み方が上手い。
「大谷さんは完璧すぎる。投げて打って、それで奥さんもキレイ。あの大谷さんの隣に立って『お似合いですね』っていえる女性がどれだけいますか。ちょっと小柄な方だったら、並んで立ったら大谷くんが持ってる千歳飴ですよ」。たとえが秀逸すぎて。
「日本ではあまりにも完璧過ぎるとそこに魔が刺すという考えがあって、日光東照宮にもわざと一本だけ柱を反対にしているところがある。大谷さんは本人も奥さんも完璧過ぎた。だからああいう魔が刺したのかもしれませんね。……でも6億円がなくなっても気づかないってすごいですねえ。え、皆さん6千円減ってても気づいて騒ぐでしょ!? それに気づいた後で普通に野球やってるのもすごいですよね。私だったら弟子がサイフから6千円抜いてるの気づいた後で落語なんてできませんよ」。ごもっとも。
ギャンブルの怖さについても触れて『看板のピン』に。
親分が伏せた壺皿を見た若い衆の表情の動きが素晴らしい。これだけでひと笑いふた笑いあるんだからすごいことです。

二席め、「株価がバブル期を上回ったようで。……ここはそれを感じさせないのがいいですね。でもGDPが4位に落ちたと騒いでる。いいんじゃないですか、4位に落ちたところで。日本がいくら貧しくなったといったところで、もうこれ以上なにかいります? 日本ならいくら貧しくても、最悪万引でもすればなんとか生きていける。本当に貧しい国なら万引しようにもできないですから。私は川べりに住んでるんですが、夜に外に出ると河川敷のホームレスがスマホで調べ物してますからね。それに1位はアメリカ、2位は中国。……あんな国になりたいですか?」まあたしかにそうなんだけど。
「お金というのは人間だけの発明で、『品物やサービスと、この紙を等しいということにしようよ』という共通認識なわけです。だから、認識さえ揃っていれば通貨は必要ないんです。たとえば前座さんになにか働いてもらったらお小遣いをあげるのですが、最近では『あ、持ち合わせないや……PayPayでいい?』『あっはい』PayPay♪ なんて聞こえてくるんですよ。これをもっとつきつめると、PayPayだっていらないんです。例えば私が弟子に小遣いを『兼好PayPayで』といって握手するだけでいい。その弟子はまた弟弟子に……と順番に回っていき、どこかで誰かのお弟子さんが『兼好師匠、稽古をお願いします。兼好PayPayで』となればどうですか。なにもないのに経済が回るんです」とまさに落語のような理屈。というか『花見酒』の理屈と似通っているので、この噺のためのマクラなのだろう。
兼好師の『花見酒』は登場人物がとにかく楽しそうで、聴いているこちらもそれに乗せられてどんどん楽しくなっているのが素晴らしい。「酒一杯10銭か、ちょっと高えな。まあいいかいっぺえくれ。10銭……(たもとから取り出して高く掲げて)あるんだよー!」と毎回お互いにやり合うのがホント楽しい。繰り返しのいわゆる天丼の笑いなのだが、飽きるどころか繰り返されるたびに噺の中のふたりが酔っ払っていってどんどん面白くなっていく。

三席め、「嫉妬というものは男にもあって、『あいつの方が売れてる、あいつは笑点に出てる』なんて……。でも笑点に出て『落語がヘタ』なんていわれるよりはいい」と笑わせる。正直兼好師がこれ以上売れてしまうとチケット取れなくなるので困るんだよなあ……。
大家に呼び出された吉公が「誰か心に決めた人でもいるのかい」と訊かれると遠い目をするのがまずおかしい。多分おたきさんのことを考えるんだろうなーと伝わってくる。
兼好師の『不動坊』は後半の長屋の屋根の上でのやりとりもさることながら、前半の吉公の風呂屋での妄想爆発がたまらなく面白い。
たまたま湯船に居合わせた生薬屋の若旦那の手を取り、おたきさんとの会話のシミュレーションにムリヤリ付き合わせる。この若旦那のオロオロぶりが気の毒ながらも笑ってしまう。
「成仏するためならなんでもしてやる」と言われた幽霊役の前座が「あっ、じゃあ火鉢をこっちに……あー、生き返るー……」とうっとりする表情がまた。

うー歯が痛えー……。
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