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第30回 小辰の寸法 [落語]

第30回 小辰の寸法
於:人形町 日本橋社会教育会館

入船亭小辰 ご挨拶
入船亭扇ぽう『寄合酒』
入船亭小辰『あくび指南』
入船亭小辰『ねずみ』
入船亭小辰『大工調べ』

微妙に時間があく。
雨の中あまりうろうろしたくないので、人形町まで移動して適当な居酒屋で一杯呑んで時間を潰す。新宿の方がいろいろあるんだけど移動になんかあると嫌だし。
考えてみれば会場の下は図書館なんだからそっち行きゃよかったなあ。余計な金使わなくてすんだのに。

久しぶりの「小辰の寸法」、最近土日が少ない。真打昇進まであと5回だとか。

まずはご挨拶。座布団に座らず立ってやる人が多い中、小辰さんはちゃんと座る。
以前にも言っていたが、小辰さんは傘が嫌いなのだという。忘れるから、という理由らしいのだが、まあ煩わしいってのはわかる。
今朝家を出る時は小雨だったのでいつものようにささずに出たらしいのだが、昼のにぎわい座の会で桜木町に着いたときは本降りだったらしい。濡れながら人形町へ着いたらもっと降っていた、という。この雨の中を傘もささずに会場へ? にぎわい座も会場から地下通路入り口まで歩くとなると2~3分はかかるし、ここの会場も人形町からも水天宮前からも5分くらいはかかる。タクシーを使うには短いけど、雨の中歩くにはびしょびしょになる絶妙な距離。
「今日の前座さんは一門の後輩です」と名前は出さない。「本来あまり一門の前座はお願いしない。師匠から『お前自分の後輩に仕事やらねえのか』といわれて弟弟子を使ったこともあるんですけど、その日はたまたま師匠も忙しかったようで、師匠の用が片付かないという本末転倒になりまして。それに入船亭ばかり、ってのもあれでしょ」。前者の理由はわかるけど、後者の理由はそうか?

前座は先日の白鳥兼好二人会でも聴いた扇ぽうさん。小柄でパッと見「中学生!?」と思うが声はしっかりと太い。
与太郎が味噌を持ってきた件は見ただけで「あ、味噌だ」とあっさり。

小辰さんの一席め、子どもの頃は坊主頭で、さらに頭の形も良かったことから近所の人達には「升民(実家の屋号)のそらまめくん」と呼ばれていたらしい。「扇ぽうを初めて見たときには『俺以上のそらまめくんだー!』って思いましたね」。確かに頭の形がいいもんね。
「彼は辰ぢろと同じ大学で、辰ぢろの方が先輩だったんです。でもこの世界に入ったのは扇ぽうの方が早いんで、今は彼の方が上。こういうことは多々ある」とのこと。天どん師と彩大師もそうだったはず。
「それを知って、私が『俺が許す、辰ぢろのこと思いっきり殴ってこい!』って言ってみたんです。『はい!』って言っといて結局殴ってない」。今のご時世さすがにムリでしょ……。「飲むと荒れるらしいから、どうなるかわからないですよ。……なんかそういうところも私と似てるんですよね」らしい。
噺は以前に聴いたときよりもだいぶこなれてきており、一之輔師っぽい感じがだいぶ引っ込んだ気がする。
お師匠さんだと思っていた女性が看板だと知ったときの絶望の表情かたまらない。

一度袖にはけてから再登場して二席めに。
柳枝師の襲名披露興行で福岡に行ったそうで、小痴楽師や一蔵さんたちと前乗りしたとか。「いやー楽しかった。柳枝アニさんはそんなに飲まないし『明日があるから』といいながら12時までいましたからね。最後は一蔵アニさんの部屋で部屋飲みですよ。真打昇進のために必要なこととかを熱く語り合い……覚えてないんですけど……寝たの3時ですから。翌朝アニさんが『尋常じゃないくらい空き缶があるんだけどアレ何?」って言ってました」とか。口上もあったそうで小辰さんが司会だったそうだがメロメロだったそうで。
旅は楽しい、というところから『ねずみ』に。
もちろん扇辰師に似てるんだけど、それ以上に小せん師に似てるような気がする。まあ広くは一門なので当然なのかもしれないが。
最後あたりの場面に出てくる二代目政五郎の江戸っ子っぷりが小辰さんではより強め。

三席め、一蔵さんの後輩の面倒見のよさを話し、昔の大工の棟梁も下の者の面倒を平時も見ていなければいざというときにハナも引っ掛けられなかったと『大工調べ』に。
大岡越前が「まさか町役に向かってそんなことは言うまい。のう与太郎、言っておらんよな?」と言ったにもかかわらず、「いやぁ言ってやったんスよォアタ棒だって」と与太郎が答えたときの面食らった顔がおかしい。

終演後、外に出てみるとほぼ雨がやんでいた。傘の忘れ物が多そう。
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雷門音助 vs 三遊亭兼太郎 「緊褌一番」 [落語]

雷門音助 vs 三遊亭兼太郎 「緊褌一番」
於:新宿三丁目 道楽亭 Ryu's Bar

三遊亭兼太郎『お菊の皿』
雷門音助『人形買い』
雷門音助『悋気の独楽』
三遊亭兼太郎『天災』

総武線で秋葉原から新宿へ。
新宿線で新宿三丁目まで行った方が早いんだけど、昼メシを食うところを探すために新宿に。
けど雨がすごく、結局地下道を通って新宿三丁目まで行ってしまう。何してるんだか。
以前に行ったことのある店もすでになかったり。

久々の道楽亭。
……………………コレ何が変わったん?
正直少なくとも客席からは変わったところが見当たらない。おお怖。ま、俺はクラファン出してないから何も言うことはないけど。出資した人が納得してるならいいんだけど。

兼太郎さんの一席め、暑くなったり寒くなったりする最近の気候に触れ、暑くなってくると怪談噺が掛かる、と『お菊の皿』に。
皿屋敷へ行く若い衆が三人組だったり、ご隠居んちで酒を呑んで行ったりとこれまで聴いたことのない型。
これは兼太郎さんに限ったことではないけど、お菊さんがはっちゃけたあたりから完全に現代になっている。その方が地下アイドルっぽいくすぐりとかをいろいろ入れられるのはわかるんだけど、それまで頭の中に着物で周りは江戸の風景を描いていたのがバグるんよ。
処理が追いつかなくて混乱するんで、現代ネタはスパイス程度にしてほしいところ。

音助さんの一席め、「兼太郎さんとは協会も違うんで普段はあまり会わない。前座の頃は兼好師匠のお手伝いをしていて、その頃に兼太郎さんが入ってきたのでそのときくらい。ただ、去年あたりからなぜか会うことが増えてきて……。それで今日の会もできた。今日楽屋で会ったときに『出番どうします?』って聞いてくるんですよ。なので『仲入りとクイツキを考えてきた』と答えたんですが、大体ここで普通は揉めるんですよ。『いやいやアニさんがトリとってくださいよ』とか。彼はそういうの一切なく、『あ、そっすか』だけですからね。ほぼ同期のようなものですが……」。
兼太郎さんのマクラで「私はアニさんのことが大好きと言っているんですが、アニさんの方はそうでもなさそう」てのはあながち間違ってないのかも……?
季節の節気の話から『人形買い』へ。これこないだ小辰さんが「できたらカッコいいですよね」って言ってたヤツだ。
人形屋の小僧がペラペラ喋っている場面ばかりでなく、占い師や講釈のところもキッチリと。
こういう噺の中に講釈などが入れ子になっている噺って難しそう……。さらっとこなしているのを見ると、単純にすげえなあと感心する。

音助さんの二席めはさらっとスタンダードに。
この噺に出てくる「辻占の独楽」ってどれくらいの大きさなんだろ。
小さいプチトマトサイズの人もいるし、プラムサイズの人もいる。今日の音助さんのは普通のトマトサイズで結構大きい。

兼太郎さんの二席め、兼好師の型がベースにありながらも細かいところはいろいろと変えている様子。
紅羅坊名丸が手紙を読む場面では、手紙と八五郎の顔を見比べていちいち顔を顰める。それに八五郎がキレるのだが、後で八五郎が長屋の熊に天災を教える際にも再現してるのがおかしい。
紅羅坊が「アナタ柳のような心持ちになれませんか」といっていたところを「アナタ柳家になれませんか」と熊に言ったところで客席から笑いが漏れ、「なんでこんなに笑われてるんだ俺は」と不満そう。まあ芸風違うし。なにげにマクラで話していた「師匠には理不尽に怒られたり怒鳴られたことがない。でもあまりにも怒りすぎて呆れた声で『柳家だったら3日でクビになってるよ』って言われた」ってのが効いてる。
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神田連雀亭 ワンコイン寄席 令和4年4月29日 [落語]

神田連雀亭 ワンコイン寄席 令和4年4月29日
於:淡路町 神田連雀亭

立川だん子『寿限無女子』
三遊亭兼太郎『野ざらし』
瀧川鯉舟『厩火事』

10連休ーーー!
去年は初日に落語ひとつ行ったきりであとは全部キャンセルになってしまい、休み中やることがないのでずっと家の掃除をしていたが、今年は結構予定がびっしりめに入っている。
今日も落語会3つ行っちゃうからね。

連雀亭はすごい久しぶり。
前回来たのが現㐂三郎師と小辰さんの「コタ×コタ」会1回めだから約5年前。
先日久しぶりにきてみたら満席で入れなかったので、今日は早めに到着する。
開演前に兼太郎さんが出てきて諸注意。「開演中の写真撮影はご遠慮ください。いいですか、開演中はダメなんですよ。開演中は。……今はいいんですよ」ということなんで一応撮る。
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籬の中にいる花魁みたいな感じになっとる

さてだん子さん。
楽屋入りしてトイレへ行こうとしたら、兼太郎さんがズボンを下ろして便座に腰掛けていたとか。
嫁入り前なのに、と軽くジャブを入れてから「自分も結婚したら子どもが欲しい」と子どもが産まれた噺に。
通常の『寿限無』の女子バージョン。苗字が地味だからと目立つキラキラネームをつけて欲しいとご隠居に頼みにくる噺。うん。

兼太郎さん、「だん子さんに『キャー』って言ってましたけど、アレしっかり見てますからね」。
主人公の八つぁんはごくごく明るい乱暴者。
さいさい節もしっかりきっちり。そういや兼太郎さんの唄って初めて聴いたかも。

鯉舟さん、「だん子ねえさんを聴いていて思ったんですが、皆さん『漂流教室』ってご存知ですか? 学校ごとタイムリープするんですが、ここでそれが起きたらだん子ねえさんは大変だなと……」。君は何を言ってるんだ。

来る時は小雨だったが出る頃には本降りに。
バイクだったらよかったんだけどなあ。
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20th ANNIVERSARY 遊雀遊かり親子会 [落語]

20th ANNIVERSARY 遊雀遊かり親子会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭遊雀『転失気』
三遊亭遊かり『ずけもじ』
三遊亭遊かり『お見立て』
三遊亭遊雀『井戸の茶碗』

前回は高田馬場のばばん場で行ったそうだが、直前になって中野が空いたので急遽中野になったらしい。

遊雀師の一席め、「20回記念だそうで。だからといって普段と特に何も変わらないんですが。それにしても20回とはよく続きましたなあ。アイツが二ツ目に上がってすぐにお話があって始めたんですが、最初はどうやって終わらせようかとばかり考えてましたから。それが今ではアイツの方がどうやって終わらせようか考えてるんじゃないですかね。そろそろアタシのことを煙たく思ってるんじゃないですかねえ」とのこと。
「まあ最後には裸になるという手がありますから。アタシも鯉昇師匠の会の打ち上げで裸になったことで呼ばれるようになった。裸になった後に呼ばれた会の打ち上げで、鯉昇師匠がはてな? はてな? という顔をしてるんですよ。目があったときに求められていることに気づいて、すぐに脱ぎましたから」だそうで。今じゃ考えられない話ではあるけれど、いかにも噺家たちのエピソードっぽい。
「今じゃ寄席の出番で深いところに出ることが多くなって、できない噺が多くなった。やっぱり『これくらいの出番ならこういうネタだな』ってのはあるんですよ。だから今日みたいな日に久しぶりにやりたい噺をやろうかなと……」と『転失気』に。
冒頭の医者とのやり取りはなく、いきなり珍念が和尚に呼び出されるところから。
遊雀師らしく悪い顔をしているときの表情がたまらない。
珍念に騙されているときに「てんしき……? 『てん』は『呑』か。呑酒器で『酒を過ごしていませんか』というナゾだったのか!」というのは説得力がある。
前座さんがいないのか、高座を降りる際に遊雀師が座布団を返してめくりもめくる。

遊かりさんの一席め、「師匠が返した座布団ってのは座りづらいですね……。私は自分場恵まれているという自覚はありますし、師匠に嫌いなところなんてひとつもありませんが、これだけはホントにやめてほしい。こんな座りづらいものはない」とのこと。
「師匠が掛けた『転失気』ですが、私はやらないんです。持ってるんですよ、前座の頃なんてそれこそやりまくってましたから。でも二ツ目に上がって披露目をやってもらってるときに『転失気』を掛けたら、偉い師匠おふたりに呼ばれまして、『女が高座でおならっていうな』と怒られまして……それっきりやってない。う○ち、おしっこ、おならなんて学校寄席で一番ウケるんですよ。それを取り上げられました」だそうで。それはまたイマドキと逆行してますな。
今日はネタおろし。「作家さんから台本貰ってからずっと覚えられなくて……。師匠の高座を聴く余裕もないくらい」状態だそうだ。
女性ふたりが登場し、一方はズケズケとものをいい、もうひとりはモジモジといいたいことがいえないキャラで『ずけもじ』らしい。正確の異なるふたりの掛け合いという『長短』的な噺。
「男なんてね! 馬鹿! 馬鹿! 馬鹿! 犬! 馬鹿! 馬鹿! 犬! みたいに思っていればいいのよ!」というセリフがおかしいが、多分文字だと伝わらないと思う。
とはいえ私の苦手な内容が進まないタイプの噺で意識が飛びかける。

二席め、「先ほどの噺を袖で師匠が聴いていらして、『……まあ裸で売れるっていう手段もあるからな』って……。師匠、まだ私の裸に価値があると思ってくれてるんですね……」となんともコメントしづらいひとこと。これもイマドキとはだいぶかけ離れてる世界ですな。落語界はあまりギチギチになってほしくないなあとも思いますが。
新作の後は古典で。わがままな花魁の立ち居振る舞いが女性ならではで、これは男の噺家には出せない感じ。
喜助に対して無理難題を頼むときも無駄に媚を売る感じになっていておかしい。

遊雀師の二席め、遊雀師の井戸茶は初めてか。
千代田卜斎は年配者らしい四角四面の堅苦しさがあるが、高木作左衛門は若者らしく砕けたというか口が悪いところがある。そのコントラストが楽しい。
清兵衛さんが五十両を卜斎宅に持っていったときに「屑屋さん!」「あれ? アタシなんかしくじりました?」「そなた何歳に相成る?」「ん? 年齢でしくじってます?」というやり取りが新鮮で面白い。

帰りに新宿文化センターに寄って落語会のチケットを購入する。
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/bunka-center/shusai/30103/
この顔付けで2800円はオトク。ネットでチケット買うと手数料やらでもう数百円かかるので、節約できるところは節約したい。
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グリーンホール寄席 ”こみちの「ご縁」寄席” 第57回 [落語]

グリーンホール寄席 ”こみちの「ご縁」寄席” 第57回
於:野方 グリーンホール環七野方

柳亭こみち『源平盛衰記』『任侠流れの豚次伝 掛け取り上野動物園』

初めて行く会。会場が環七沿いにあり、中野や高円寺に行く際にはいつも通りかかっていた。こみち師や一蔵さんが会をやっていることは以前から知っっていて一度行ってみたいと思っていたのだが、だいたい平日なので諦めていた。きょうはたまたま日曜にこみち師がやるということで行ってみる。

会場は、……あー、グリーンホールってそっちのホールだったんだ。線香の香り漂うなか会場へ。うう。あんまし得意じゃない空気。……まあ得意な人はそうそういないだろうが。

こみち師が会場に入り、自身でCDラジカセを操作して出囃子を鳴らし、高座に登ってリモコンで止めるという究極のセルフ高座。ここまでセルフなのは初めて見た。
こみち師は175席ほど持ちネタがあるそうだが、すぐにできる噺、ちょっとさらえばできる噺、真面目にさらわないとできない噺がそれぞれ3割ずつで、残りの1割はもう二度とやらない噺だそうだ。
その中で、「自分が絶対にやらないだろう」と思っていたのが歴史上の人物がたくさん出てくる噺だという。「私、日本史の偏差値30でしたから。何度聞いても覚えられないんですよ。なんで日本の名前ってみんな4文字なんですかね!?」ということだが知らないよ。
確かにちょいちょい怪しいところがありつつ。

仲入りもなく二席めに続ける。まさか2日連続で白鳥師の噺に当たるとは。私の行く会としてはだいぶ珍しい。こみち師も掛けていたとは。てかリレーではあるが扇辰師もやってるんだよな。ホント圓朝継ぐんじゃないかこの人。
「この噺をするときはテンションを上げなきゃならない。皆さんついてきてくださいね!」とハイテンションに。これは演者も聴く人もかなりのカロリーを使いそうだなあ。
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白鳥・兼好 二人会 [落語]

白鳥・兼好 二人会
於:亀戸 亀戸文化センター

入船亭扇ぽう『たらちめ』
三遊亭白鳥 三遊亭兼好 オープニングトーク
三遊亭兼好『粗忽長屋』
三遊亭白鳥『青春残酷物語』
三遊亭白鳥『シンデレラ伝説』
三遊亭兼好『崇徳院』

初めて行く会場。駅のすぐ近くなのに、スポッと人気のない感じ。

前座はおふたりの弟子ではなく扇ぽうさん。なぜ。
いかにも入船亭というしっかりとした一席。入船亭は「たらちめの胎内よりいでし時は」っていっていて、演目も『たらちめ』なのね。

前座の後にふたり揃ってオープニングトーク。
珍しい組み合わせだと思っていたが、二人会というのは初めてなんだそうだ。へえ。
「他の有象無象たちと一緒のときはよくお会いするんですけどね」「おい『有象無象』ってお前! 三三白酒彦いちとかのことか!」。
「圓丈一門と圓楽一門のトップが集ってる。『圓朝を目指す!』とか銘打つか!」と白鳥師がブチ上げる。
実はふたりの芸歴が10年以上離れているというところから、白鳥師が兼好師の入門の経緯を根掘り葉掘り聞き出す。たいがいはこれまでに聞いたことのあるエピソードだったが、兼好師が教員免許を持っていて、講師のようなこともしたことがあるってのは初耳。
「兼好は落研じゃなかったの?」「大学時代は全然落語のこと知らなかったですよ。ラグビー部と漫画研究会に入ってました」「え、ラグビー部? 俺も高校の時ラグビー部だったよ。大学のときは空手部と童話研究会だったし」。白鳥ファンには当然なんだろうけど私は初めて知った。

兼好師の一席め、トークの内容を振り返りながら「驚きましたね。しかし何が悔しいって白鳥師匠と共通点が結構あるっていうのが……」。
「なんかこのふたりだと緊張感がないですね。これが志らく白酒二人会だったら『なんかいうんじゃないか』とか、市馬三三二人会だったら『平和って大事だね』とか、一之輔宮治二人会だったら『お前ら戦場にいけ』とかいろいろあるんじゃないですか。我々だとそれがないですから」。
「落語を聴いたり簡単な計算をするっていうのは、脳にしてみればジョギングしているようなものなんですって。頭の中で想像するのが難しい噺を聴くのは筋トレするくらい。実はスマホっていうのは拷問を受けてるくらい疲れるんですって。皆さん今までスマホ触ってたでしょ。で今ジョギングのような状態で、この後筋トレさせられる。……おそらく今日は、白鳥師匠の二席めで皆さんヘトヘトになってると思います」。そんなこといったら白鳥ファンはいつもすごいことになってそう……。
「そんなことがなくても落語の方には自分のことをよくわかっていない人物が出てくるようで……」と『粗忽長屋』に。
お調子者の兄貴分が周りから「これは熊じゃない」と説得されているにも関わらず「いやそういうヤツなんですよ」と言い張られるとなぜかいつも納得してしまいそうになる。
熊が行き倒れが自分だ、と納得する理由が煙草入れが同じというもので、役人のひとりも同じ煙草入れを持っていてそれに反応しているのがおかしい。

白鳥師の一席め、「さっき考えたんですけど、この会の2回めがあったら兼好師匠に私の作った噺をやらせるってどうですか」。なにそれすごく聴きたい。
「三三も『任侠流れの豚次伝』で売れましたから。アイツあれで全国5回くらい回ってる。こないだも『メルヘンもう半分』を聴く会なんてやってた」。へぇー。あんまり三三師のイメージではないけど、だからこそいいのかも。そしたら兼好師も合うかも。やっぱり白鳥師は圓朝を継ぐのか。
噺は25年ほど前に作ったというもの。「最近演る機会があったのでまたやろうかなと。ただ25年前に作ってそれっきりだからギャグも25年前のまま」だそうだ。
モテない学生ふたりとその友人の中国人との三人で「キャバクラに行きたい!」と奮闘する噺。最初はなんだかよくわからないような小ネタが続くが、それが後半に入ると伏線回収される。これを25年前に作ってるってやっぱりすごいんだろうな。

仲入りを挟んで二席め、「第2回が決まりました!」とのこと。早っ。
一席めがたっぷりだった分、二席めは軽めに。本来はもっと長い噺らしいのだが、寄席では『実録・鶴の恩返し』として掛けられている結婚詐欺の部分のみ。

兼好師の二席め、「どうですか、皆さんもう限界じゃないですか」と一席めの発言を回収。
「ちょうど時季の噺なので」と『崇徳院』に。たしかに若旦那とお嬢さんの出会いの場面は花の時期だから、その少し後と考えるとちょうど今のあたりなのか。
大旦那に短冊を見せるタイミングがいつもと異なっており、いつもなら見せてから「で、そのお嬢さんは誰なんだ」となるのだが、今日は「その誰かわからないお嬢さんを探してこい」となってから短冊を見せて「これを手がかりにしろ!」となっていた。間違えたのか、それともこの順番のほうがよいと改変したのかはわからないが、不自然さはなかった。

終演後、ホントに2回めの予約がすでに始まっていた。平日!? ……うー、でもこれは聴きたい。渋谷で19時からだから、ちょっと早上がりすればいいか。と思い予約を入れる。こりゃ楽しみだ。
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実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会 [落語]

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭小辰『一目上がり』『棒鱈』『大工調べ』

2日連続で小辰さん。この会も小辰さんの「流行り病」によって前回が中止になってしまっていた。チケットは持っていたのでどうなるのかと聞いたら、もう小辰さんが二ツ目の間の空いている日がないそうで、他の二ツ目の会に振り替えるか返金か、真打昇進の会を開く予定なのでその会に差額を払って振り替えるかだという。じゃあ三番めので。

昨日も少し髪が伸びたと思ったが「最近はこれがトレンドなんでしょ?」と床屋に宮治カットにされたとか。
「普段はここにくるまでにブロードウェイを使わないんですが、今日はたまたま通ってみたんですよ。そしたら鯉のぼりが下がっていた。小学校の名前もあったから小学生も作ってるんでしょう。……でもやっぱり鯉のぼりってこう風になびくのがいいじゃないですか。でもアーケードの中は風ないんですよね。だからなんかぶらーんと垂れ下がってて……干魚みたいだなと……」。帰り際に見てみたけど確かに。
「でも今日はいい天気で気持ちいいですね。こういうときは『五月幟』とか『人形買い』とかやったらいいんでしょうね。ちょうど今の季節ですから。こういう噺ってやれる時季がすごく狭いですからね……まあ持ってないんですけど。持ってたらやりたいな、ってことですよ。『人形買い』なんて一門の噺のようなものですから。……でも持ってないんですよねえ。苦労の割には儲からない噺というか……。まあ覚えたくなったら覚えますよ。……そういって一生覚えないんだろうな。こういうこというと『扇橋になるヤツがなにいってるんだ』って言われそうですけど」だそうで。『五月幟』って噺知らないな。
小辰さんの『一目上がり』はだいぶ久しぶり。ご隠居の家を建て増ししているところを褒めるのは他の人では聴いたことがない。ご隠居が喜ぶようなツボを押さえて褒めていて、結構教養があるような。
「結構な三ですね」「何言ってるんだ、これは讃ではなく詩だ」と言われてキョトンとする顔が楽しい。

「芭蕉の句だ」とサゲを言ったあとに「……ていう面白え話があってな……」とそのままお座敷で寅さんが話していたていで『棒鱈』に入る。
小辰さんの『棒鱈』も久しぶりに聴いた。
酔っ払いの弟分と兄貴分の寅さん、田舎侍とそれぞれキャラが立っていてスッキリと聴きやすい。
小辰さんは唄があまり得意ではないようなことを以前に言っていたが、都々逸や田舎侍の唄を聴く限り下手じゃないと思うんだけど。

三席め、昨日の「リベンジの小辰」で話していたからか『大工調べ』に。
昨日の話では大学の落研時代に先輩に言われて覚えようとし、稽古で「後にも先にもこの一度だけ」絶句したそうだ。今日はもちろんそんなことはなく。
棟梁が与太郎に金を貸して大家のところへ行かせるときに、「いいか、さっきのは俺とお前の楽屋話だからな」と念を押すも与太郎はペラペラと全部話してしまう。
大家のところに棟梁も一緒に謝りに行くも、あまり謝っているようには聞こえず、そりゃ誰だってこんな口のきき方されたら怒るだろう、という感じ。ただ、一度キレだしてからの大家の態度はガラッと悪くなり、こちらの心象も変わって棟梁の方へと肩入れしたくなる。こういう感情の動かし方が上手い。
ところで「棟梁」を町人の大家は「とうりょう」、職人の与太郎は「とうりゅう」と言い分けているのが細かい。
お白洲の場面までキッチリとやり、時間ピッタリに幕。


いつもなら昼に中野へ行ったら高円寺までタイ料理ランチへ行くのだが、今日は2月に一度のお楽しみのひとり焼肉へ。まあ大概行った直後は食べすぎて苦しくなってげんなりするのだが、ひと月も経つとまた行きたくなるのです。さんざっぱら飲んで食って家に帰って一寝入りするのが最高。
タグ:入船亭小辰
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リベンジのコタツ [落語]

リベンジのコタツ
於:日本橋 食堂ピッコロ

入船亭小辰『真田小僧』『鮑のし』『蒟蒻問答』

フローリングを掃除するためにスチームクリーナーを購入。そんなに高くないのを買ったのだがなかなかよい。家の中をひととおりかけてみたらパッドが真っ黒に。隔日でモップ掛けててるし、先週ウェットクイックルかけたばかりなのになあ。

さてこの会はもともとは2月に行われるはずだったのだが、小辰さんが「流行病」にかかったため延期になったもの。
そういや小辰さんがコロナに感染して以降は初めてか。約2か月ぶりで久しぶりに思える。昨年は兼好師に次いで多くの回数を聴きに行っていたので2か月開くってのは久しぶりじゃなかろうか。
というか真打昇進の準備で忙しいのか、最近明らかに仕事の量をセーブしてるよね。一蔵さんも。特に土日の会が少なくなって困ってます。

本人も「仕事が10日間強制的に休みになるってのは結構クる、精神的よりも(親指と人差指で輪を作りながら)こっちに。なくなった仕事のギャラを計算したら気持ち悪くなった」とか。
「最近も新しいのが出てきたでしょ……えー……オロナミンじゃなくて……オミクロンEX! 最初に『オロナミン』て出てくるともう正しいのが出てこない」だそうで。
「休み明けに久しぶりに大きい会場で落語やったら緊張しました。それに比べてここはいいですね。ちゃんと落語やらなくていい。……いやそういう意味じゃなくて、だってみんな私のこと知ってるじゃないですか。『小辰って面白いのか!?』ってナナメに見てるような人じゃない。気負わなくていいというか」。
今年息子さんが小学校に上がったそうで、小辰家は共働きのため学童保育に行かせているようだが人見知りでなかなか大変なのだとか。「特に男の人がダメ。男の人で初対面でも大丈夫だったのは一蔵兄さんくらい」。一蔵さんすげえな。子ども相手でもあの全力サービス精神を発揮するのかな。
お金のことは教えていてもお小遣いはあげていないそうで、まだ「お金欲しい」とは言わないそうだ。もう少ししたら言い出すのかもしれないと言って『真田小僧』の小遣いをせびるシーンから。『雛鍔』かとも思ったが。

おとっつぁんに気を持たせながら話す金坊のテクニックはやはりさすがというか。
『真田三代記』部分ではやや危なっかしくなって、おかみさんから「お前さん大丈夫かい?」といわれてしまう。確かに今日は小辰さんらしくない細かい間違いが多かった気がする。

二席めに入り「久しぶりだと出ないもんですね……と言い訳も済んだところで」と次の話題に。
会場のピッコロにくるときは電車でのトラブルが多いらしく、今日も電車を降りる際に男性と小競り合いになった女性が、発車間際に相手の男性に蹴りを入れているところに出くわしたとか。また以前には「ゴスペルやってそう」な外国人女性3人が社内の迷惑な酔っ払いを放り出したところも見たことがあるそうで、「女は強い」と嘆息。そんなところからしっかり者のおかみさんが出てくる『鮑のし』に。
甚兵衛さんは「大家さん怖えんだよなぁ」というが、大家さんは基本的に優しく接してくれる人。しかし鮑を出したあたりから急に厳しくなる。礼儀やしきたりに厳しい人、という感じか。
サゲは熨斗の問答ではなくもう少し違った形。

三席め、今度大須演芸場に出る際に大喜利があるそうだが、これまでやったことがないという。一応大学の落研時代に学祭で似たことはやったそうだが。「だって部員6人で6時間寄席をやるんですよ。ひとり1時間なんて持つわけない。だから噺以外にもいろんなことをやる」そうで。
そこから落研時代の思い出話に。先輩に「誰か『大工調べ』やりなよ」といわれて訳もわからず「僕やります!」と言ったものの最初に聴いた音源が志ん朝師で絶望したとか。そりゃあれは素人にはムリだ。
落語以外の演し物で好評だったのは「一枚でもせんべいとはいかに」「ひとつでもまんじゅうというが如し」というような問答だったそうで。そこから『蒟蒻問答』へと続く。
なんでも売り払ってしまうニセ坊主の八公と蒟蒻屋の親方とのやりとりがおかしい。この八公が徹頭徹尾軽薄で、その軽いところが楽しい。

チラシによると扇橋襲名の後援会ができたようだ。寄付というか祝儀で後ろ幕などを作るそうで。そらあ出さないわけにはいくまい。





タグ:入船亭小辰
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池袋演芸場 四月上席 四月三日 [落語]

池袋演芸場 四月上席 四月三日
於:池袋演芸場

昼席
三遊亭わん丈『孝行糖』
春風亭柳枝『引っ越しの夢』
のだゆき 音楽パフォーマンス
柳家小せん『鷺とり』
古今亭圓菊『権助魚』
ロケット団 漫才
三遊亭歌武蔵『猫の皿』
神田茜『小さな恋のメロンディー』
翁家社中 太神楽
柳家小ゑん『悲しみは埼玉に向けて』
三遊亭れん生『ゾンビちゃん』
蜃気楼龍玉『ぞろぞろ』
林家楽一 紙切り
三遊亭天どん『普通の一日』

夜席
柳家り助『牛ほめ』
林家扇『こうもり』
ストレート松浦 ジャグリング
古今亭志ん五『水族館』
柳家小平太『二階ぞめき』
春風亭百栄『鮫講釈』
風藤松原 漫才
隅田川馬石『初天神』
林家正雀『鴻池の犬』
橘家文蔵『寄合酒』
林家彦いち『二月下旬』
林家きく麿『記憶喪失』

雨。寒いしバイクで行けないし。
最近天どん師がトリのときはチラシ割引がないらしい。もうそんなことをしなくても客を呼べると判断されたんだろう。ファンとしては嬉しいが、それでも出費は抑えられるに越したことはない。夜トリのきく麿師は池袋初トリだということで探してみたらきく麿師のTwitterでチラシ割引を発見。ありがたや。
開演時間を少し過ぎた頃に着いたらわん丈さんがマクラを話していた。あれ池袋って前座は時間前だっけ。
天どん師の芝居だからごはんつぶさんだったのだろうか。だとしたらもったいなかったな。

わん丈さん、与太郎は口上を言わず、「孝行糖、孝行糖!」と叫ぶのみ。頭の弱さは強調されているが。

柳枝師、番頭さんがいろいろと新しい女中さんに向かって「帳面をどがちゃかしてあげる」と口説いた後に見せる鼻の下を伸ばした顔がおかしい。

のだゆきさん、最近は座ったままやるのね。トレードマークのおかっぱをバッサリと。

小せん師、「昼トリが天どんさんで、夜のトリがきく麿さん。……池袋無法地帯へようこそ」。
「バカバカしい噺の中でも特にバカバカしい噺をします」というひとことで『鷺とり』だとわかる。

歌武蔵師、今日は『支度部屋外伝』ではなく古典で。口跡もさくさくっとしていて歯切れがよく軽快。とんとんとんとサゲまで無駄なく進むのが気持ちいい。

小ゑん師、亡き圓丈師の代表作を。俺圓丈師のオリジナル聴いたことないんだよなあ……。北千住が舞台ということは知っていたので一度聴いてみたかったのだが巡り合わなかった。おそらくだいぶ小ゑん師のアレンジが加わっているのだろうと思うが、なるほどだいぶ北千住がディスられている。しかも北千住の風景の描写がちゃんと現在(ちょっと前だけど)にアップデートされているのがすごい。あとついでに実家のある越谷と出身高校がある春日部ももののついでとばかりにディスられていた。

れん生師、先日も聴いたがこの噺は面白い。なんか聴いててほのぼのとするのがいい。

龍玉師、寄席だと『そろそろ』遭遇率が高いイメージ。……と思ってちょっと見てみたら龍玉師のは記録にある限り2回しか聴いてない。はー記憶力って当てにならねえー。薄荷の駄菓子を食べて「……うまくもなんともねえな」というひとことがなんだかしみじみとおかしい。

天どん師、神様になくなった両親に会いたいと願い、それが叶う噺。
神様に「願いを叶えてやろう」といわれるも、金や女や権力も「願いを叶えてやることはできるけどその後こうなる」ということを理詰めで説明されるのがおかしい。「金? いいよ叶えられるよ。だけど金が湧いてくるわけじゃない。そうするとどこかの銀行から持ってくることになる。そんな大金をなくしてしまったら責任者は責任を取らされるだろうな。その人の人生を背負う覚悟があるなら叶えてやろう」みたいな。
こういう細かい笑い好き。

夜席にも残る。割引使わせてもらったし。

前座は5chとかでも評判の高いり助さん。
なるほど「すげえ上手い」ってわけではないが、なんとなく滲み出るようなおかしみがある。

扇さん、髪をピンクにして片側を刈り上げており、メイクもバッチリ。女子プロレスラーっぽい……。本厄を迎え何かこれまでやったことないことをしようとプチ整形してきたと話す。周囲からもほとんど気づかれないが、鼻をいじったらしい。そういわれてもビフォーも顔をまじまじと見たことないしな……。

小平太師、なにげに『二階ぞめき』を高座で聴いたのは初めてか。
ひとりで何役もやらなきゃならない、とぼやきながらも楽しそうな若旦那の様子が楽しい。

百栄師が古典をやってるのを聴いたのは初めてかも。
いつものふにゃふにゃっとした入りから出身の静岡の黒はんぺんの話題を振って噺に入る。講釈部分もビシッと決まる。

馬石師の『初天神』はだいぶテイストが異なる。金坊vsおとっつぁんの買え買わないの攻防がメインに描かれることが多いが、馬石師は割とあっさりと買い与え、その周囲の部分をしっかり肉付けしている感じ。金坊が飴をなめながらふざけてスライディングの真似事を繰り返すのでどやしつけたら飴を飲み込んでしまい、その代わりにと買い与えた団子の蜜に砂が混ざってるのでクレームをつけたら「どっかの子が滑って砂を巻き上げていたんで……」と因果が巡っているのが面白い。

夜席はどこかキリのいいところで帰ろうかと思っていたのだが、仲入り後の顔付けもなかなか魅力的で結局最後まで残ってしまう。

文蔵師、酒についてどうしても飲みたくなると話し、客席にいた子どもに向かって「それが大人なんだよー」と語りかける。「二日酔いになると『2、3日は飲まないでおこう』と思いながらも夕方になると普通の顔して飲んでいる。……それが大人なんだよー。こういう大人にならないようにね」。俺も自分がそんな大人になるとは思わなかったなあ。

彦いち師、昔「アウトドア大好き」と言ったことから、長良川の河口堰反対運動の集会にゲストとして呼ばれたという話をマクラに。そこで先日亡くなったカヌーイストの野田知佑氏とも交流ができたらしい。高校生の頃カヌー犬ガクのエッセイをよく読んでたな。硬質で透明感のある文章が好きだった。カヌーやってみたいと思いつつ、結局実現はできていないけれども。
反対運動集会に参加している人たちは怒りを抱えて参加しているわけで、「この人たちは笑いを求めてるんじゃない」ということに気づいて困ったという。
たっぷりとマクラを話した後で「立前座さんが『今から噺やるのかよ!』って顔をしてますが、あれで下りるわけにはいかない」と噺に入る。
初めて聞く噺だが、本来はもっと続くようで序で終わり。

小猫先生、来年に猫八襲名だそうでおめでとうございます。
高座ではそんなことはひとこともいわず、いつも通り。

きく麿師、2年前から記憶がないという男が1年前から付き合い始めた彼女と「自分は誰なのか」ということを探り出すという新作。
言葉の端々に「そこをまっつぐ」のような江戸言葉が出るとか蕎麦をたぐる仕草ができるとかで正体を絞っていく。自身の噺『パンチラ倶楽部』のネタが挟まるなど、きく麿ファンできく麿師に詳しい人ならもっと面白いんだろうな。

高座が終わったあとで「今日はお子さんがいらっしゃるので」と着物を脱ぐ。長襦袢で踊るのかと思ったら下に着ていたのは長襦袢ではなく黄色い全身タイツ。さらに赤い半袖シャツを着て黄色い耳カチューシャを装着する。「特別に」とか言ってたけど絶対ウソだ。某夢の国のハチミツ泥棒の格好で小林旭を歌って大ウケ。
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両国寄席令和4年 4月2日 [落語]

両国寄席令和4年 4月2日
於:お江戸両国亭

三遊亭愛二郎『子ほめ』
三遊亭兼矢『五目講釈』
三遊亭鳳月『鈴ヶ森』
古今亭ぎん志『新作(クイズ王)』
三遊亭萬橘『日和違い』

大手町から両国へ。時間も空いているので一度家に帰ってもよかったのだが、図書館で借りている奥山景布子氏の『圓朝』の返却期限が近づいているので両国のマックでスマホで野球を見つつ本を読む。もちろん代数は異なるが、圓遊、圓橘、萬橘、ぽん太など、現在でもいる噺家の名前が出てくるのが面白い。

今日は兼矢さんと萬橘師が揃って出るのだから行かねば。

兼矢さん、マクラにはまだ慣れずか。まあ二ツ目になりたての頃ってみんなこんな感じだよね。
兼矢さんの『五目講釈』は初めて。確か前座時分にも掛けていたはずだがその時は俺が遅れて聴けなかった気がする。
居候先のおかみさんと若旦那との攻防の場面が面白い。
講釈の場面もスラスラと立て板に水で聴いてて気持ちいい。
講釈の場面が終わり、若旦那が頭を下げると本当に太鼓が袖でドンと鳴る。「まだ終わってないよー!」と慌てて袖に声をかけるが、これ兼矢さんも入門直後に当時のじゃんけんさんにおんなじことやってるんだよなあ。というか結構こういう場面見てる気がする。
後の鳳月さんによれば、兼矢さんの持ち時間が4分押していたそうで、「早く終われ、と鳴らされた」。

萬橘師の『日和違い』は初めて。というか『日和違い』自体以前兼好師で一度聴いたきり。
突然の雨に蓑代わりに米俵を着た男の仕草がおかしい。

ここで帰っておけばよかったのだが、まあキリよく仲入りまでいるか、と思ったのが間違い。
高座に出てくるときに手に本とスマホを持っているのを見て嫌な予感がしたのだが、案の定自著の宣伝を始め、「今日は落語をしません」とか抜かす。は?
しかも新著ならまだしも、2年以上前に出した本。バカなのか? そんなの今さら誰が買うんだよ。
「私はYouTubeにもいろいろアップしていて、再生1万いっている。それを皆さんにお見せします。スマホ持っている人は出して。このキーワードで検索して」とかホントにやりだす。なにコレ。なんで俺がカネ払ってセコなてめえのYouTubeの再生回数上げる手伝いしなきゃなんねえんだよ。
そんでもって周りの客もみんなスマホ出して検索してんの。素直か。おかげで客席のあちこちからYouTubeの音が流れ出すという事態に。なんだこれ。
さらに「おい! あと持ち時間何分だ!」と前座に怒鳴るのも見苦しい。「あと10分ないくらいです」と袖から返事され、「なんとかあと15分にしてくれ!」と抜かした時点で限界。こんなのに15分も付き合ってられるかよ。
落語を聴くようになって20年近く経ち、いろいろひどい高座も聴いたことがある。それでもさすがに途中で席を立つようなマネはしたことがないが、初めて途中退席。まあ本人も落語じゃないって言ってたし、つまりは高座じゃないからセーフか。しかしまあホント圓楽党って四天王と兼好師の間はロクなのいねえな。

帰ろうとすると受付には兼矢さんがいて少し話す。
勉強会も始めるようで、チラシを貰ったがあれこれデザイナーに作ってもらったの? ってくらいデキがいい。
兼矢さんのTwitterから
さすがに平日の昼間だからいけないけど、土日の会があれば行きたい。二ツ目昇進披露目の会もあるそうだがまだ先になりそうとのこと。
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