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兼好54歳×文菊45歳二人会 [落語]

兼好54歳×文菊45歳二人会
於:人形町 日本橋社会教育会館ホール

三遊亭けろよん『本膳』
古今亭文菊『猫と金魚』
三遊亭兼好『磯のあわび』
トークコーナー
三遊亭兼好『日和違い』
古今亭文菊『小言幸兵衛』

文菊師が誕生日ということで企画された会のようだが、なぜ1月11日生まれの兼好師が? まあなんでもいいんですが。
そば打ちの会が予定外に早く終わったのでちょっと時間が空く。晴れてたら歩いて次の会場に行くんだけど、さすがに寒い雨の中はなあ。というか晴れてたらそもそもバイクで行くか。

けろよんさん、若干独特のイントネーションは残っているものの、いやもう前座? ってくらい達者。
肘鉄のやり場に困るオチではなく、肘鉄が往復してさらにもうひと波乱がある。

文菊師の一席め、今日が誕生日などで出囃子も『Happy Birthday to you』。「……すごく出にくかった」。
45歳になるにあたり、キャラについて悩んでいるところがあるようで、「今の師匠からは『執着を取れ』と厳しく教えられていてね……」今の師匠? 「あ、初めて聞く人はなんのことだかわからないと思うけど、今の師匠ってのはカミさんのことで」。あーなんか寄席で聞いたことあるかも。これはこれで新しい恐妻家キャラというか。
「よくマクラで『ごめんなさいね、イヤらしいお坊さんみたいで』といっていたんだけど、これを数日前からやめました。今のご時世、こういうこともダメなんでしょ? そういう風潮になってるから、これで客席で引く人がいる」とのこと。なんか最近めんどくさい流れだなあとは私も思う。とはいえ正直私自身もあの定番のフレーズはあんまり好きじゃないんだ。なんつーかオネエっぽい喋り方と相まって生々しくて。
噺に入るとネッチョリとしたオネエっぽいところはなくなる。話の通じない番頭にイライラし、徐々にヒートアップしていく旦那の様子がおかしい。

兼好師の一席め、「文菊さんの誕生日になんで私が呼ばれたのか。私は単なる被害者」と笑う。
「しかし文菊くんももう45歳なんですね。私は入門が遅かったので、年は離れてるんですが芸歴はさほど離れてない。なのでもっと若いと思ってたんですが……。まあ本人も言ってましたけど45にもなって『スケベなお坊さん』ってのもね」。「イヤらしい」と「スケベ」だとちょっとニュアンスが違う気が……。
「アレも若くてシュッとしてる人がいうからギャップがあってウケるんであって、今ならこうやって(腰を落として)出てくるだけでたいがいの人は引きますよ。正面に向いたらうわーってなって、お辞儀したらうひゃーってなって、仕上げに頭を上げるときに小声で『どーも』って言われたら……」とここで文菊師が抗議に出てくる。「止められなかったら40分間ワルグチを言ってた」と黒い笑みをこぼす。
「私は54歳で、普通の社会だったらもう分別をつけなきゃならない頃ですが、この世界は昇太師匠や喬太郎師匠のような60過ぎの師匠たちがこの前まで『若手のホープ』といわれてた世界ですから。こないだも権太楼師匠に『兼好さん、歳いくつ?』って聞かれて答えたら『もっと歳いってると思った。丁寧に話して損した』って言われましたから。『損した』ってことはないと思うんですがね……」。権太楼師のモノマネも似ていておかしい。
「最近は若い子の方がおとなしい。おそらくスマホやなんかでスケベなものがすぐに手に入るのが原因な気がしますね。おじさんの方が客席を覗いて『いい女いる!』とか騒いでますから。昔は若い人はスケベなことに熱心で、そうなると吉原ということになりますが……」と町内の若い衆が「女郎買いの師匠」に吉原でのコツを教わりに行く『磯のあわび』に。
女郎買いの師匠とでっちあげられ、「女郎っ買いの師匠! 女郎っ買いの師匠!」と押しかけられた隣町のご隠居の戸惑う姿がおかしい。
そのご隠居から無理やり教わったコツを実践する男の鬼気迫る表情がまた楽しい。

幕が下りかけ、仲入りかと思ったら「まだ仲入りではありません! お戻りください!」と席亭のアナウンスが。
仲入り前にふたりのトークコーナー。
……なんかふたりしてちいかわの被り物を被らされている。何だこれ。事前アンケートで両師匠に好きなキャラクターを聞き、兼好師がドラえもん、文菊師がジブリキャラだと回答され、それぞれ抱きまくらをプレゼントされたのだが、席亭の好きなキャラとしてちいかわを被らされたらしい。
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撮影コーナーの後でクロストーク。
客から取ったアンケートを元に「落語家になっていなかったら何になっていたか」「稽古事をしているか」「夫婦円満の秘訣」を話し合う。

兼好師の二席め、スマホの発達ですぐに天気予報が見られるようになって便利になったのはいいが、その分自分で空気や雲の流れを感じて予測する能力は落ちたと『日和違い』に。
そもそも聴くこと自体が少ない噺で、あれ兼好師で初めて聴く? と思ってたら6年半前に一度だけ聞いていた。さすがにネタおろしとかそれに近い状態じゃないと兼好師の持ちネタで聴いたことがないってのはもうほとんどないか。
雨に振られた男が米屋で俵とサンダラボッチを貰い、それを着て雨具代わりにするのだが、それを着込む仕草がおかしい。俵とサンダラボッチなんて実物を見たことがあるかも怪しいのに、兼好師の仕草だけでなんとなく情景が浮かぶんだからすごい。

文菊師の二席め、「さっきのトークの『稽古事をしているか』というテーマのときにカミさんから『執着を捨てろ』といわれて習い事をやめた噺をしたんですけど……ちゃんと伝わってます?」とおかみさんとの関係性を説明する。一応はネタのような扱いのようなのだが、本気にする人もいる、ということのようなのだが、ちょっと特殊すぎて正直どこまでがネタでどこまでがホントなのか分かりづらいのは確か。特に私のように年に1~2度寄席で聴くか聴かないかという頻度ならそんなもんじゃないかなあ。結構説明してたけど、理解できてるかは正直わからん。
おかみさんから小言を食らうという小言つながりで『小言幸兵衛』に。
豆腐屋のおかみさんが吉原上がりの元花魁という設定は初めて聞く。だがそのおかみさんとも「惚れて惚れられ」と盛大に惚気けるのは同じ。確かに元花魁とそういう間柄になれば自慢もするだろうなあ。
仕立て屋の話を聴いて心中までのくだりを話すときにどんどん理不尽になっていく様子がおかしいっつーかこれ先代圓菊師やおかみさんがモデルなんじゃねーのと思わせる。

この会のために兼好師が描いたイラストをプリントしたクリアファイルがお土産に。オフィス10では珍しい。
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