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三遊亭兼矢の色々ひとり会 [落語]

三遊亭兼矢の色々ひとり会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭兼矢『牛ほめ』『粗忽の使者』『親子酒』

二日連続で兼矢さん。前回はマダムが結構入っていたけど、今回はそれほどでもなく。
1回め、2回めはゲストというか助演ありだったが、今回は完全にひとり。
開演前に兼矢さんへの質問と今後やって欲しい噺のリクエストが取られる。

「この会の主催者の『客が少ないいじり』がすごいんですよ。昨日も電話したらずっと『予約が少ない』って言われ続けて、『お客が少ないからアンケート取りましょうか』って」。そんな事情が。
「最近いろんなところでいってるんですけど」と昨日も話した楽太さんの話や弟弟子のげんきさんの話を。兼好師のおともで兼矢さんとげんきさんが地方に行ったときにDr.ペッパーを差し入れでもらったらしい。「Dr.ペッパーというのも珍しいですが……だって師匠は50代ですよ!? あんまり炭酸飲料飲まないでしょ……。で、1ケースいただいて、げんきが『冷たい、冷たい』って運んできた。『せっかくだから飲むか』って師匠が飲んで、『お前たちも飲みな』といただいたんですけど、げんきが缶の飲み口をふーふー吹いてるんですよ。聞いてみたら炭酸の細かい泡が立ち上っているのを湯気だと勘違いして吹いてたんですって。『あっ、ホットじゃなかった!』って。アイツが冷たい冷たいっていいながら運んでたんですよ、ありえます?」。ええー?
「こういうバカな人が出てくると一席出来上がるようで」と『牛ほめ』に。
以前はげんきさんと同じく教わったままだったが、最近の兼矢さんらしい改変を加えていた。普段は「左兵衛のカカアは引きずりだ」といわれている伯母さんだが、今日の兼矢さんには「大阪出身なのに暗い」といわれてしまう。与太郎が繰り出す言い間違えに伯母さんが大ウケして意気投合し、伯父さんに「バアさんのこんな笑った顔は初めて見た」と夫婦円満に一役買っていた。

二席めもバカの話として圓楽一門の兄弟子たちのエピソードをマクラにして『粗忽の使者』に。これは私が事前アンケートに書いた噺だったからちょっと驚いた。
兼矢さんは長身で様子もいいので、明るい侍の噺は似合うんじゃないかなーと思っていたので。『松曳き』なんかもいいんじゃないかなと思っている。
冒頭で弁当と別当を間違えているシーンがあるが、それにひっぱられて別当との会話が「お乗り換えを」「なぜ拙者がおむすびの海苔を貼り替えなければならぬのだ」みたいな弁当ギャグがふんだんに盛り込まれ、ループしている。
お屋敷に時間を使いすぎてしまったのか、杉平家に着いてからはちょっと駆け足気味か。
治部右衛門と三太夫のやりとりを覗いていた八公がその場で「あっしがやりましょうか?」と乗り込んでいく。うーん、この噺は「職人が場違いなところに身分を隠して潜り込む」というおかしさもあるので、そこが適当になってしまうのはあまり嬉しくない。やっぱり「お次に控えし中田留太夫殿」「……」「留太夫殿」「……」「留太夫」「……」「……留っこ!」「あーいっ!」はこの噺でも一二を争う爆笑ポイントだと思うので、そこがなくなってしまうのはもったいない。

三席め、息子が留守の隙に酒を飲もうとするのは同じなのだが、その酒をなんだかんだいいながらおかみさんに飲まれてしまうという『親子酒』。演目名とサゲのセリフだけは同じなのだが、中身はまったく違う。擬古典の新作かと思ったくらい。
最初は「古くなってるかもしれないから毒見をしてあげます」とか「枡に塩を盛ってあげるのを忘れてました」などといろいろな理由をつけて横取りしていたが、そのうちにこれまでの結婚生活での恨みを話しながら酒をぐいぐいあけていくのはなかなか不穏でサスペンス的な感じに。いつの間にか飲み手であるはずの大旦那が一杯も飲めずにおかみさんの機嫌を取りながらお酌をしているという逆転劇がおかしい。昨日も書いたがなんだかんだで円満な夫婦像にしようとするのは兼好師の影響か。

11時半過ぎに終わっていつもの高円寺のタイ料理屋で二日連続で昼食を摂り、一度家に帰って買い出しなど。それでも15時くらいなので、風呂でも行くかあと思ってそのまま車で近場のスーパー銭湯に行くもどこも車が大行列。みんな3連休の中日の昼間ってやることないんだなあと自分を棚に上げて毒づく。バイクだったらそのまま入ってっちゃうんだけど、駐車場が満車だとそうも言ってらんないからなあ。3軒めで運良くするりと入れたものの、中は芋を洗うような大混雑。すげえなコレ。ところでサウナの水風呂をプール代わりに入っているお子は出てってほしい。
タグ:三遊亭兼矢
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高円寺演芸まつり(第14回)高円寺★若手箱(第271回)小ふね・兼矢二人会(第6回) [落語]

高円寺演芸まつり(第14回)高円寺★若手箱(第271回)小ふね・兼矢二人会(第6回)
於:高円寺 koenji HACO

柳家小ふね 三遊亭兼矢 オープニングトーク
三遊亭兼矢『寄合酒』
柳家小ふね『出来心』
柳家小ふね『道灌』
三遊亭兼矢『小言幸兵衛』

HACOって移転したのね。久しぶりに行ったら前の場所が居酒屋? になっていてHACOがない。えっ、あと10分で開演なんですけど。大急ぎで検索するとすぐ近くだったので安心するが……えっ、ないよ。地図アプリによればここなんだけど………………あったー! すげえ入り口が奥にあるじゃん。看板も小さいし見逃すところだった。

オープニングトーク。小ふねさんが『笑点』に出たそうで。「見ました?」と聞かれるも見た人は1人のみ。BS笑点? オーディションではよかったものの、本番ではボロボロだったそうで、何を聞かれても答えない地蔵キャラにされてしまったとか。オンエアは怖くて見ていないそうで、4つ答えたうちの2つしか放送されていなかったそう。「何が放送されてました? ……うわ、それかよ……一番最悪なやつじゃないですか。一番自信があった答えはウケるというより感心されてしまって……」とだいぶ落ち込んだそう。
それを兼矢さんが無邪気に追い詰めたりダメ出しをしてさらに凹む小ふねさん。
トークが終わって袖に引っ込むも、カーテン一枚だけなので裏で交わしている会話が丸聞こえ。「お前マジいい加減にしろよ」「いいじゃないですかアニさん、ここまでがワンセットですって」みたいな本当の楽屋話が聞こえてくる。

兼矢さんの一席め、「落語協会は100周年だそうで、われわれはまだ30年くらい。歴史に差があって羨ましいとは思いますが、うちの協会もおめでたいことがあります。楽太という弟弟子がいまして、六代目圓楽の弟子で今は萬橘師匠の弟子なんですが、今度2つ目に昇進します。彼は圓生が大好きで圓生に憧れて噺家になったそうで、前座時代に『お前あの師匠にお茶ついでこい』というと『へへ、うかがいやしょ』なんてホントに言うんです。その彼が『圓生から脱却する』といい出したことがありまして、……いやそもそもお前は圓生でもなんでもないんですが……」とキャラ変に失敗した話を。その他にも楽八さんや好青年さんにまつわる話も。特に好青年さんは楽屋と高座でまるでキャラが異なるらしく、「アニさんはその性格が悪いのが面白いんですからもっと出していきましょうよ」とトークで水を向けたらいろいろ飛び出してその場は受けたものの、その配信を見た好青年さんのおかみさんに「二度と兼矢を使うな」とキレられたとか。二ツ目もそろそろ丸2年でだいぶマクラも慣れてきたようで、普通に面白い。
噺は『寄合酒』で、「角の乾物屋」がいろいろとひどい目に遭うのは変わらないのだが、その順番やものを掠めてくる方法などがガラリと変わっていて面白い。乾物屋が怒り狂ってどんどん過激になっていくのに、若い衆たちがそれを上回る悪知恵を働かせる。その攻防というか、まあ一方的な略奪なのだけどそのあくどさがおかしい。

小ふねさんの一席め、「お前は泥棒に向いてないから足を洗え」と親分からだけでなく、泥棒に入った先の大家にまで言われてしまうのがおかしい。

二席め、ご隠居が八っつぁんのいうことにとりあえず否定しないのがおかしい。「早く粗茶菓子を出せ」「何がいいんだい?」「ハラ減ってるんで天丼を」「バアさん天丼ひとつ大至急取ってやんな」とかここまで面倒見がいいのも珍しい。

兼矢さんの二席め、仕立て職の息子とお花との心中話は幸兵衛ひとりではなく、バアさんとふたりで一緒に作り上げていく。しかもこのふたりが口ではいろいろいいながらも今でもラブラブで、いつの間にか惚気話になっていき、むしろ仕立て屋からツッコミを入れられて心中話に戻るというのがおかしい。こういう夫婦像は兼好師の影響か。

小ふねさんもそうだが、ふたりとも随所にいろいろと工夫を凝らしていて楽しい。特に兼矢さんは噺の構成から変えていたりして、試行錯誤がうかがえる。これはもしかしたら萬橘師の影響かもしれないなあ。
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扇橋・朝枝のガリ勉5 [落語]

扇橋・朝枝のガリ勉5
於:高田馬場 ばばん場

オープニングトーク
入船亭扇橋『紋三郎稲荷』
春風亭朝枝『茶の湯』
春風亭朝枝『垂乳根』
入船亭扇橋『木乃伊取り』

昨日のサッカーの試合はつまんなかったなあ。素人目にも動きが悪いしどんどん後ろに下げちゃうし。新潮はこれで満足ですか。

オープニングトーク、朝枝さんが天然なのかわざとなのか、とにかく扇橋師の投げかけに対してちゃんと答えない。聞き返したりはぐらかしたりで話がまともに進まない。結局40分トークしてて話した内容は「昨日は節分だったけど、年中行事で何が一番好きか」というくらい。扇橋師は酉の市で朝枝さんは年末年始らしい。
扇橋師が「前座時代、浅草の初席に朝から詰めてるとさ、忙しいからメシも食えない。そうすると圓蔵師匠がさ、『デリカぱくぱくで弁当買ってこい!』って前座とお囃子さんの弁当買ってくれるんだ。……当時弁当1個200円だから7人いても1400円だけど。で、何の肉かわからない唐揚げとか入ってる弁当で、美味いんだけど食うと必ず胸焼けがすんの。お囃子のお師匠さんたちはそれがわかってるから『アタシはいいわ』なんて……。そうすると前座がそれを食う。それでもやっぱり圓蔵師匠に『ごちそうさまでした!』ってお礼に行くんだけど、『美味かったか?』『ハイ、美味しかったです!』『ウソつけ!』って……。そういうイタズラをする師匠だった」。いろいろ貴重なエピソードでは。

扇橋師の一席め、トークが長引いたからかマクラもほぼなく「狐は七化け狸は八化け」から『紋三郎稲荷』に。先日扇辰師で聴いたが、やっぱり似てる。まあ当たり前っちゃ当たり前だけど。
風の吹く「ぴゅう〜うぅ〜うぅ〜」と途中で一回転するところはまさに扇辰師譲りですな。
松戸の本陣に着いて宿の主人から狐向けの挨拶をされ、一瞬キョトンとする表情が楽しい。
最後に宿を立ち去る際に宿のお稲荷さんの社にせしめた賽銭を置いていく。日によってあったりなかったりするのだが、この一言があるかないかで平馬の性格がだいぶ違うような気がする。

朝枝さん、「いや、憧れの先輩が横にいて話を聞いているとああなっちゃうんですよ。ずっと話を聞いていたいというか……。この会も前の会場ときから数えるともう5年……いや6年? ……4年てことはないから5年、あ4年? 6年……?」とずっと言っている。袖から「どっちでもいいよ!」とツッコミが入るものの、「なのでこの会が始まったのが2018年? ん19年? 18年? 17年」と一向に話が進まない。再び扇橋師から「うるせえなあ! さっさと進めろよ!」と合いの手が入る。……わざとじゃないんであれば、まあそういう人なんだろう。
で『茶の湯』なのだが、

イヤくっっっっっっどっっっっ!

これは「丁寧」とかいうレベルじゃないよ……。たとえばご隠居が初めてお茶を立てるときにお茶の道具を適当に名付ける場面があるが、「名前を忘れた」テイにするためか、いちいち長い間絶句する。青黄粉を茶碗に入れるときも茶尺から一杯入れて「これでいいのかな?」というように長い時間悩んでもう一杯足す。これを3回繰り返す。
もはや『長短』の長さんパートを延々と見せられているような気分になる。一番後ろに座ってたので会場全体を見たのだが、結構な割合で撃沈していた。
ご隠居と定吉とのお茶会だけでものすごい時間を要し、コレ三軒長屋まであったらどうなるんだろうと思っていたら、さすがにそこはカットされていきなり羊羹泥棒までいったのでホッとする。
そういう笑いの取り方もあるんだろうが、正直ウンザリ。
比較するのはあまり良くないけど、兼好師だったら絶対こんなことしないよなあ……とあのテンポの良さを改めて認識する。

二席めはさすがにそこまでくどくなく、普通に。とはいえあくまで一席めと比べれば、という話だけれど。
最近夫婦差し向かいで飯を食う稽古の場面がカットされることが多い気がする。流行りなのだろうか。

扇橋師の二席め、なんか私の場合たまにあるんだけど、こないだ兼好師で聴いた噺を間を開けずに扇橋師が掛ける。まったくの偶然なのだが、『不孝者』とか『木乃伊取り』とかそんなにメジャーというか頻繁に掛かるような噺で起こる。そうするとどうしたって頭の中で比較してしまうんだよなあ。扇橋師には悪いんだけれども。
とはいえ今日の噺については比較してこっちのほうがいい悪い、というわけではなく。
兼好師は兼好師、扇橋師は扇橋師の若旦那像や清蔵像があり、その違いも楽しい。

うーん、次回はどうしようかなあ……。
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新春おもしろ落語 in 千寿青葉 [落語]

新春おもしろ落語 in 千寿青葉
於:北千住 千寿青葉中学校

三遊亭げんき『牛ほめ』
三遊亭兼好『饅頭こわい』
三遊亭兼好『干物箱』

年に一度、北千住民であることを感謝する会。
兼好師二席で無料なんてそうそうないからなあ。

開演前に校長やPTAの挨拶があるのはいつもの通り。
いつものことだが、これ、いる? まあ学校らしいっちゃらしいが。

げんきさん、最近は『牛ほめ』が多いね。
「左右の壁は砂ずりで」を教わってるときに「佐兵衛のかかあは引きずりだ」と間違え、親父から「伯父さん気にしてんだ」と否定されないのがおかしい。
兼矢さんもそうだったんだけど、「ウチの牛はほんの駄牛だ」と伯父さんが謙遜したときの「だうしてだうして」が「Why?」の「どうして」なんだけど、「なかなかどうして」の「どうしてどうして」なんじゃないかなあ。

兼好師の一席め、「この学校は20周年だそうですけど、そのうち18年も呼んでいただいている。ほかにもこんなイベントがないこともないんですけど、18年も続くことはほとんどない。校長が変わったり担当者が変わったりしたらそれをきっかけにやめることが多い。でもこの会は校長が変わろうが担当の先生が変わったりPTA会長がタヒんでも終わらない。建て替えで仮設校舎が川っぺりに建てられたら普通やめますよ。ありがたいですねえ。……でもこの会は中学校でやってるのに中学生がまったくこないってのがいいですよね」と地域寄席でもいつもと変わらない軽快で毒を含んだマクラ。さすがです。
「ただ、若い人はしょうがないんでしょう。私もそうでしたし。でも年をとるとわかってくることもある。昔は親の世代が『アイドルなんて見分けがつかない』といっていたのを『なにいってるんだ、ぜんぜん違うじゃないか』と思っていましたが、私も今のアイドルとか全部同じに見えますもんね」と昨年の紅白を例に出して最近の芸能界についていけないというところを。ただ、昔の歌謡曲のよさもわかるようになってきたといい、八代亜紀の『舟唄』の冒頭で「この登場人物は安い酒を呑んでいて、女房が怖い」というところまで考察する。
「だから今の中学生も30年くらい経てば落語にくるようになるでしょう。それまで続けてもらいたい」。毎年行きます。
「スマホなどは体の動かなくなった老人が使って、若者は体を使って遊べばいいと思うんですがね……。昔は若い連中がお金を使わずに遊びを考えていた」と町内の若い衆が集まってワチャワチャやっている『饅頭こわい』に。
落語にあまり慣れていない人たちに向けてスタンダードを当ててきた感じだろうか。
蛇を怖がる松公が、蛇に襲われたと言い張る「おいコラ待て松公」の言い方が楽しい。

二席め、チョコレート色の着物とオレンジの袴。この着物は初めて見たかも。
先日の「けんこう一番!」でもいっていた国会議員の身代わりの話を。「……という話をこないだしていたら客席に自民党の先生がおりまして、直々にメールがきた。うわーと思って謝ったんですけど、『いえ、ああいうことは国民の声としてもっといってください』と返信をいただいた。だから私は自民党からお墨付きをいただいてワルグチを言えるんです!」と胸を張る。
身代わりの話から『干物箱』に。
前回聴いたときは若旦那と善公の打ち合わせがなく、大旦那から「アレはどうなった?」と聞かれる場面がなかった。多分兼好師ではこれが通常だと思うのだが、今回は巻頭巻軸や小僧の定吉が風邪をひいた話が入る。ちょっと珍しい?
大旦那から「貸本屋の善公てのがいるだろう。アイツはどんなヤツだ?」と聞かれるシーンが楽しい。

最後にPTA会長の挨拶。「私はこの3月で任期を終えますが、私がタヒんでもこの会は続けていただきたい」。洒落の分かる人でよかった。
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