SSブログ

人形町噺し問屋 その107 [落語]

人形町噺し問屋 その107
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『強情灸』
三遊亭兼好『風の神送り』
寒空はだか 唄うスタンダップコメディ
三遊亭兼好『明烏』

今年初の噺し問屋、しかし今日提出期限の書類がありそれをやっつけていたため少し遅れる。来年度の目標管理とか。辞めようと思ってるくらいなのに目標なんてねーよ。これ以上俺になんかやらせるつもりか。当たり障りのない目標をなんとか捻り出して会場へ向かう。

10分ほど遅れて到着。ご挨拶が始まっていた。
どうやら閏日の話題だったようで、昔のスコットランドでは4年に一度の閏日に女性から結婚を申し込むと男は断れないという法律があったということを話していたようだ。
「だからね、……大谷くんはこれを使われたんじゃないですかねえ。彼は真面目だから、そういう法律があったと聞いたら『あっそうなんだ』って結婚したんじゃないですか」。相変わらず世間話のスピード感がすごい。聞くところによるとこのご挨拶も一度稽古してるそうだが、数時間で変えてきたってことだもんなあ。
「でもどうですか、女性もこの制度があったら一度くらい使いたいでしょ。今なら羽生結弦くんとか藤井くんとかでも使えるんですよ。少子化対策にもいいと思うんですよね。男も変な女性と結婚したくないから、その前に急いで結婚するでしょ。独身貴族なんて言ってビルに住んでる場合じゃない」。なんか女性から怒られそうな理論のような……。
「でもまあその日は男性は逃げ回るんでしょうね。逃げ回るといえば政倫審。テレビを入れてやるそうですが、テレビは都合良く切り取りますから、政治家も信用できないんでしょ。テレビってのは『嘘じゃないけど正しくはない』ってことがありますからね」と以前に王楽師のドキュメンタリーで相談を受ける先輩として兼好師が出たときのエピソードを。ちゃんこ屋でバカ話をしているところの再現をし、後で見たら合間の一言二言しかしてないところを切り取られて真面目に話してるようになってたのだとか。なんかその番組見たな。
「政治家の生で話せばいいんですよ、あの5人と野党何人か連れて、ひとり15分ずつ順番言い訳をする。読売ホールを皮切りに4500円くらい取って、北海道から『ドッサリ回るぜ』って全国を回ればいい。『やっぱり西村がトリのときは客が入るなあ』なんて……。で、その売り上げをまた裏金にすればいい」とオチも鮮やか。

けろよんさん、師匠の型の『強情灸』を。そら師匠と比べたら物足りない部分もあるけれど、これだけできる前座ってすげえな。このまま進んでいけば抜擢だって……人の少ない圓楽党で抜擢っていってもアレか……。
峰の灸の店員の顔が揺れているのも兼好師のまま。このとき顔が笑っていたが、個人的にはここは真顔の方がかえって面白いと思う。

兼好師の一席め、「最近はインフルも流行っている。日本人は忘れっぽいんでもうコロナもなかったかのように振る舞ってますけどまだ流行ってますからね。それにアフリカ豚熱なんてものも流行っていて、致死率は100%なんですって。人間にはうつらないそうですが、ウィルスなんてどう変異するかわからないですからね。鳥インフルエンザなんてのも毎年流行ってる。アレは渡り鳥が持ってくるって聞いて、私は渡り鳥がニワトリなんかに『このあたりにいい沼があるって聞いたんだが、どこだい?』『あー、アタスらは飛べないんで……』『そうかい、あばよ!』……なんてやり取りの間に感染するんだと思ってた。そしたら感染した渡り鳥が死んで、それにたかったハエが媒介するんですってね」。へぇー。
感染症から風邪の話題になり、「風邪が弱みに付け込むのか、弱ってるから風邪をひくのか……」と『風の神送り』に。去年の雲助師一朝師と一緒の会で聴いたきりだ。
前半部は町内の若い衆がわちゃわちゃしてるしてる噺で、『饅頭こわい』とか『浮世床』のような群像劇的な趣き。一応取りまとめる兄貴分がいてツッコミだったり狂言回しを努めるが、若い衆たちの無邪気で不躾なやり取りがとにかく楽しい。またこのときの兼好師の楽しそうなことといったら。
仕込みが効いていたか、サゲも前回聴いた時よりもストンときれいに納得できる。いわゆる地口オチというやつなんだろうが、現代では一回聴いただけじゃわからないことも多いからなあ。

はだか先生、今日は新ネタもたっぷりと。
なにとは言えないけど来年大阪である(予定の)大イベントについて盛大に毒を吐いていて楽しい。たしかにミャクミャクのいいところはまったく思いつかないよなあ……。
そしてやっぱり東京タワーの唄で締めくくり。これこれ、これを聴かないと。

兼好師の二席め、もう明日から3月であることに触れ、「早いですねえ。人間、新しい、初めてのことに触れないと時間が経つのが早くなるし感動もなくなる。最近、写真が出回りすぎていて観光地に行ってもあんまり感動しないですよね。その場所について情報が多すぎる。昔のように情報が少なかった頃の方が実際にその場所に行ったときに感動したのかも」。確かにそうかも……。
「落語も同じです」。ん? 「落語も『この人がすごく面白いんだよ』って勧められたら、実際に聴いて『それほどでも……』って思うでしょ。逆に情報もなくて期待してなかった人が面白かったら『あ、面白い』ってなるでしょ」。まあ確かに俺が兼好師や遊馬師、一之輔師にハマったのは前情報がほとんどない二ツ目時代ですけども。
「だから常連しかいないこの会のやりにくいこと」で会場大爆笑。
それでも俺は落語初心者に兼好師を激推しするけどね! 前情報があろうがなかろうが、兼好一之輔を聴いて落語がつまんないって思うんなら、もうソイツは落語聴くのに向いてないんよ。
「初めての経験」繋がりで『明烏』に。
相変わらず源兵衛太助の札付きコンビのやり取りが楽しい。
一晩明けて「珍談珍談……」となるときに、「どういう流れでその話を持ってきたの? そもそもアンタ誰? 源兵衛でも太助でもなさそうなんだけど……」となりがちなのだが、さすがに兼好師はそういう破綻をきたさない。お調子者の源兵衛が爪楊枝を使い、口を濯ぎに行った帰りに珍談を仕込んでくるということが明確にわかる。なおこの爪楊枝を使っての歯磨きの仕草が絶品であることも記しておく。
若旦那の「源兵衛太助、おはよう」の「おはよう」などの決め台詞がなぜか低音ボイスでキメるのがまたおかしい。それを受けた太助のリアクションもわかりみが深くて楽しい。

……あー明日憂鬱だなあ。目標管理で社長の呼び出し喰らわなきゃいいけど。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。