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高円寺演芸まつり(第14回)高円寺★若手箱(第271回)小ふね・兼矢二人会(第6回) [落語]

高円寺演芸まつり(第14回)高円寺★若手箱(第271回)小ふね・兼矢二人会(第6回)
於:高円寺 koenji HACO

柳家小ふね 三遊亭兼矢 オープニングトーク
三遊亭兼矢『寄合酒』
柳家小ふね『出来心』
柳家小ふね『道灌』
三遊亭兼矢『小言幸兵衛』

HACOって移転したのね。久しぶりに行ったら前の場所が居酒屋? になっていてHACOがない。えっ、あと10分で開演なんですけど。大急ぎで検索するとすぐ近くだったので安心するが……えっ、ないよ。地図アプリによればここなんだけど………………あったー! すげえ入り口が奥にあるじゃん。看板も小さいし見逃すところだった。

オープニングトーク。小ふねさんが『笑点』に出たそうで。「見ました?」と聞かれるも見た人は1人のみ。BS笑点? オーディションではよかったものの、本番ではボロボロだったそうで、何を聞かれても答えない地蔵キャラにされてしまったとか。オンエアは怖くて見ていないそうで、4つ答えたうちの2つしか放送されていなかったそう。「何が放送されてました? ……うわ、それかよ……一番最悪なやつじゃないですか。一番自信があった答えはウケるというより感心されてしまって……」とだいぶ落ち込んだそう。
それを兼矢さんが無邪気に追い詰めたりダメ出しをしてさらに凹む小ふねさん。
トークが終わって袖に引っ込むも、カーテン一枚だけなので裏で交わしている会話が丸聞こえ。「お前マジいい加減にしろよ」「いいじゃないですかアニさん、ここまでがワンセットですって」みたいな本当の楽屋話が聞こえてくる。

兼矢さんの一席め、「落語協会は100周年だそうで、われわれはまだ30年くらい。歴史に差があって羨ましいとは思いますが、うちの協会もおめでたいことがあります。楽太という弟弟子がいまして、六代目圓楽の弟子で今は萬橘師匠の弟子なんですが、今度2つ目に昇進します。彼は圓生が大好きで圓生に憧れて噺家になったそうで、前座時代に『お前あの師匠にお茶ついでこい』というと『へへ、うかがいやしょ』なんてホントに言うんです。その彼が『圓生から脱却する』といい出したことがありまして、……いやそもそもお前は圓生でもなんでもないんですが……」とキャラ変に失敗した話を。その他にも楽八さんや好青年さんにまつわる話も。特に好青年さんは楽屋と高座でまるでキャラが異なるらしく、「アニさんはその性格が悪いのが面白いんですからもっと出していきましょうよ」とトークで水を向けたらいろいろ飛び出してその場は受けたものの、その配信を見た好青年さんのおかみさんに「二度と兼矢を使うな」とキレられたとか。二ツ目もそろそろ丸2年でだいぶマクラも慣れてきたようで、普通に面白い。
噺は『寄合酒』で、「角の乾物屋」がいろいろとひどい目に遭うのは変わらないのだが、その順番やものを掠めてくる方法などがガラリと変わっていて面白い。乾物屋が怒り狂ってどんどん過激になっていくのに、若い衆たちがそれを上回る悪知恵を働かせる。その攻防というか、まあ一方的な略奪なのだけどそのあくどさがおかしい。

小ふねさんの一席め、「お前は泥棒に向いてないから足を洗え」と親分からだけでなく、泥棒に入った先の大家にまで言われてしまうのがおかしい。

二席め、ご隠居が八っつぁんのいうことにとりあえず否定しないのがおかしい。「早く粗茶菓子を出せ」「何がいいんだい?」「ハラ減ってるんで天丼を」「バアさん天丼ひとつ大至急取ってやんな」とかここまで面倒見がいいのも珍しい。

兼矢さんの二席め、仕立て職の息子とお花との心中話は幸兵衛ひとりではなく、バアさんとふたりで一緒に作り上げていく。しかもこのふたりが口ではいろいろいいながらも今でもラブラブで、いつの間にか惚気話になっていき、むしろ仕立て屋からツッコミを入れられて心中話に戻るというのがおかしい。こういう夫婦像は兼好師の影響か。

小ふねさんもそうだが、ふたりとも随所にいろいろと工夫を凝らしていて楽しい。特に兼矢さんは噺の構成から変えていたりして、試行錯誤がうかがえる。これはもしかしたら萬橘師の影響かもしれないなあ。
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