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人形町噺し問屋 その98 [落語]

人形町噺し問屋 その98
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『桃太郎』
三遊亭兼好『近日息子』
日比健治郎 閑喜弦介 リコーダー&ギターデュオ
三遊亭兼好『徂徠豆腐』

あれ、今日19時15分開演じゃなかったの!?
普通に19時開演だったらしい。マジかよ。今年一発目だったのに……。

ご挨拶では以前にプライベートでマラソンの大八木監督と会って話したときのことを。同じ会津の出身で共通の知人を通じて会ったそうだが、その知人は席を外した上、兼好師は大八木監督のことを知らなかったらしい。噛み合わない会話の再現がおかしい。
最後に「そういえば、ネットのニュースで圓楽師匠が後継者ってことで私と萬橘くんを指名してたって出てましたね。その他の候補者には一之輔くんやら桃花ちゃんやらいるって。で、その記事の締めくくりが『番組は人気か義理かで悩んでいる』って……。我々は『義理』だって。失礼ですよねえ」。おいどこだその記事書いた糞ド素人新聞は。
「ですからね、私は頼まれたって出ません!」と力強く宣言し、ファンからは拍手が巻き起こる。……宮治師も似たようなこと言ってたけどね……。

兼好師の一席め、けろよんさんの噺を袖で聴いていたところ、東京ミッドタウンに小学校が入ることを思い出したという。
「東京駅を見下ろしながら授業を受けるんですよ。これちょっと勘違いしちゃうような気がするんですよねえ。こう(椅子にふんぞり返る仕草)なるでしょう。先生も勘違いしちゃいそう。『はい皆さん下を見て。サラリーマンが蟻みたい。あんなふうになっちゃダメよ』なんて」。確かに東京のど真ん中で育ったらそうなりそうな気もするが。
「しかし最近の先生って怒らない。子どもたちってまずは先生の顔を見ながら『あ、この顔をしたら怒ってるるんだな』とか『ということはこれはやっちゃいけないんだな』とかを学んでいくんじゃないんですか。それがないですから。だから今の20歳前後の前座さんなんかそうですよ。機嫌が悪そうな師匠の周りで平気でおしゃべりしてる。それで小言を喰らうと『あ、怒られちゃった』なんていってる。我々の少し上の先輩なんかすごいですよ。楽屋に入ろうとして『ん、中に〇〇師匠いる!? 機嫌悪い? じゃあそのへんひと回りしてくる』って楽屋に入らなくてもわかるんですから」。市馬会長とかすごいらしいと聞いたことがあるような……。
「反対に若い子たちは機転が利かないというか先繰り機転ができない」と『近日息子』に。
大家が亡くなったと長屋の連中が集まってわーわー話している場面があり、いい間違えをする男とそれにいちいち突っかかる男のやりとりがあるが、このいい間違えがすべて一新されていた。こういう小さな変化を探し出して聴くのも楽しい。


リコーダーの日比健治郎さんは何度か兼好師のゲストに呼ばれているらしい。私は二度め。
クラシックギターの 閑喜弦介とは初対面っぽいが、それでちゃんと合わせるんだからプロの音楽家ってのはすごい。
兼好師とは20年近く以前、好二郎時代にクルーズ船に一緒に仕事で乗った縁だという。メキシコのビーチで着物姿の兼好師がパラセーリングで飛んでいたそうな。シュール……。
『セレナーデ』『〇〇の翼に(聞き取れず)』『精霊の踊り』『夜泣きうぐいす』『春の海』。『春の海』の前にもう一曲あったように思うが思い出せない。
というかギターとリコーダーで『春の海』の琴と尺八がちゃんと再現されているのがすごい。

兼好師の二席め、日比さんとは船の和室にかかっていた掛け軸の「一期一会」にちなんで「一期一会会」というものを結成し、たまに会っているのだという。
「『一期一会』とか言葉の意味を間違えていることがある。本来『檄を飛ばす』とか『浮き足立つ』とかは今使われている意味とはちょっと違う。『情けは人の為ならず』というもの『情けをかけてはその人のためにならない』と間違えている人もいますが……」と『徂徠豆腐』に。
年末に聴くことが多い噺だが、確かに結末は年明けだしおかしくはないのか。
豆腐屋がおからを持ち出そうとしているところをおかみさんに「ちょいとお待ち! どこか女を囲ってるんだろ! おからで」と悋気を爆発させるのがおかしい。
そのおかみさんと並んでいいキャラなのが、荻生徂徠の使いとしてやってくる大工の棟梁。ペラペラと口は回るのに重要なことをなにも伝えないという軽薄さがたまらない。「えー? 別の人の家建てちゃったかな?」という一言がとにかく笑える。

終演後に兼好師の新刊のサイン本を購入。名前も入れてもらう。


江戸の暮らしと落語ことはじめ

江戸の暮らしと落語ことはじめ

  • 出版社/メーカー: アノニマ・スタジオ
  • 発売日: 2022/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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かめあり亭 第67弾!新春寿寄席 - 笑客万来 - [落語]

かめあり亭 第67弾!新春寿寄席 - 笑客万来 -
於:亀有 かめありリリオホール

桂竹紋『熊の皮』
林家たけ平『宗論』
入船亭扇辰『夢の酒』
三遊亭兼好『桃太郎』
江戸家小猫 動物ものまね
柳家権太楼『火焔太鼓』

日本橋から亀有までバイクで移動。……思ったより早く着いてしまった。あれこれならさっき雀々師まで聴いてても間に合ったか? GoogleMapの所要時間に表示される時間は当てにならんなー……。まあバイクだから多少車とは目論見が変わるのだろうが。

竹紋さん、これだとおかみさんがすごい悪妻というか感じ悪い……。奥さんを徹底的に悪女にするという手法もあるだろうけど、兼好師の温かい関係に慣れた耳には辛いなあ。

たけ平師、相変わらずマクラをたっぷりと。面白いからいいんだけど、マクラに明らかに嘘というか盛りすぎなのが多いのがちょっと気になる。まあ噺家の話を真に受けちゃダメ、というのはわかるんだけど、ここまで露骨なのも珍しいというか。
珍しいついでに今日は地噺ではなく会話メインの噺。

扇辰師、コロナも癒えたようで変わらぬ様子に一安心。軽症だったようで不幸中の幸いというべきか。
師のインスタによれば新しくお弟子さんを取ったようで。次の扇辰日和では開口一番に出てくるかな。
噺はThe入船亭の『夢の酒』。大旦那の夢の中の「大丈夫です、待ちます。気が長くなりましたから」と「お酒はまだですかな」の間が最終的に一拍もなくなってしまうのがおかしい。

兼好師、2日で四席と今年は順調にスタートダッシュだが、今後は聴けるペースが落ちてくるかなー。今年は平日は控えないとなー……。
兼好師の『桃太郎』は短くても満足感の高い一席。独演会の最初の一席ということもあるが、なんか正月興行で聴くことが多い気がする。

小猫先生も相変わらずお見事。

権太楼師、体調を崩されて寄席をキャンセルしているようだが、この会には出演されていた。平癒したのかと安心したが、まだ快復はしていないそうで、「今日はこのあとまた入院しなきゃならない。今日は入院費を稼ぎにきた」と『反対車』のひとりめの車夫のようなことを言い出す。
確かに顔も少し痩せたかと思ったが、ほんとに病人なのかと思わせるパワフルな一席だった。

明日からもう仕事ですよ。会社行きたくねえなあ。
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お江戸日本橋亭新春特別興行 新春演芸会 一月三日 [落語]

お江戸日本橋亭新春特別興行 新春演芸会 一月三日
於:お江戸日本橋亭

桂壱福『雑俳』
桂優々『ん廻し』
春風亭昇也『時そば』
三遊亭兼好『初天神』
坂本頼光 活動写真『血煙高田の馬場』
三遊亭好楽『つる』
宝井琴鶴『曲垣平九郎 出世の石段』
三遊亭遊雀『悋気の独楽』

9時15分開演て。
昇也師も言ってたけどさすがにこちらも落語を聴くコンディションになってないよ……。

優々さんは雀々師のお弟子さんだそうで。
かしめさんの昼夜公演の落語会で、昼席の客数がゼロだったそうで。その配信を見ながらコメントしたら急遽群馬にゲストとして呼ばれた話が面白い。
もちろん上方なので言葉は違うのだが、ん廻しの内容は東京とほとんど変わらないんだね。

昇也師、「今日はすごい顔付じゃないですか!? これ朝に聴くメンツじゃないですよ。18時開演の番組ですよ」。ホントに。
たっぷりとマクラを振りつつ、「あっ、もうこんな時間……やろうと思っていたネタ変えます……いや、やっぱりやります!」と『時そば』に。確かにちゃんとやろうとすると仕込みの場面で結構時間を食うからなあ。かなり早送りの巻き巻きで詰め込む。

兼好師、「小児は白き糸のごとし」という定番の娘さんのマクラから『初天神』に。
兼好師も時間が足りなかったからか、赤い飴が嫌だとゴネるやり取りがない。ここをカットするのは珍しい。

坂本頼光先生、手持ちのフィルム映画を自分でデジタル化し、音楽まで同期させているのだとか。
「少し後輩の友人に萬橘という男がいるのですが、この男に『アニさんは令和に合わないね!』と言われている」そうで。たまに見ると新鮮で面白いけどね。

好楽師、どことなく気だるげな雰囲気。しのばず亭などでお疲れなのか正月の飲み疲れなのか。
変にドラマチックというか盛り上げるような感じにはせず、どちらかというと「淡々と」という感じで進んでいく。
そういや年末の兼好一門会の打ち上げでけろよんさんが「大師匠が『つる』を教えてくれると言ってくれた」と話していたので、いずれこれを受け継ぐのだろう。

遊雀師もやはり時間が足りないのか、枝葉末節をちょいちょいカットして噺としては淡白というかシンプルな感じに。改めて思ったけど落語ってやっぱりそういう枝葉末節の部分が面白いんだなあ。やっぱり単にストーリーだけ追っててもアレですな。
お妾さんが辻占の独楽を教えるときに、「この色の剥げたのが奥様の独楽」と本妻への悪意がじわっとにじみ出ているところが楽しい。あんまりここで出す人いないように思う。

この後に瞳ナナ先生と雀々師もいたのだが、終演まで聴いていると次の会に間に合わなさそうなので後ろ髪引かれる思いで退出。
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両国寄席 令和五年初席 一月二日 [落語]

両国寄席 令和五年初席 一月二日
於:お江戸両国亭

有紀天香 奇術
三遊亭楽之介『小間物屋政談』
三遊亭兼矢『浮世根問』
三遊亭ぽん太『洒落番頭』
三遊亭楽市『初夢』
三遊亭竜楽『MISOMAME』
三遊亭楽松『孝行糖』
三遊亭栄楽『町内の若い衆』
宮田陽・昇 漫才
三遊亭兼好『お見立て』

お目当ては兼矢さんからの第三部。梅屋敷から微妙に間があく。亀戸から両国なんて近いんでそのまま行ってもいいんだけど、まあいっぺんコーヒーでも飲みながらブログ更新してそれからお江戸両国亭に。
木戸銭を払ったところで円楽一門会福袋が千円で発売されてるのでひとつ購入。
なんと萬橘師の風呂敷が当たる。これは大当たりじゃない!?
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そもそも1500円の両国寄席のチケットが必ず入っていて千円なんだから買うだけでお得なのに、さらに手ぬぐいやら六代目圓楽師グッズやらが入ってるんだからかなりお得。

兼矢さん、道楽師のことを話したり、だいぶマクラにも慣れてきた様子。
いろいろと楽しそうに話し、ネタもだいぶこなれてきた様子で、途中で止まるような気遣いもなく聴いていられる。俺は親戚の叔父さんか。でも年回りとしては正直そんな感じだよねー。

ぽん太さんも変わらず芸達者なところを見せる。この人はどこか老成したような感じがあって、若手真打より落ち着いて見える時がある。

竜楽師、『味噌豆』を7ヶ国語オムニバスで。
イタリア語は身振りを大きく、ドイツ語は固そうな感じで。国民性ジョーク的なものも盛り込みつつスペイン語、英語、イタリア語、ドイツ語、中国語、フランス語、ポルトガル語で表現する。合ってるかは分からないが、表現がそれぞれの言語っぽくて楽しい。

陽昇先生もいつもの通り。もちろんいつものとおりに笑いをかっさらう。

本日兼好師二席め。
相変わらず兼好師の演じる田舎者はとにかく愛嬌があっておかしい。
上辺の嘘が通じない田舎者とムチャ振りをする花魁に振り回されている喜助の、相手に想像を超えることをいわれたときの一瞬フリーズする表情がたまらない。

帰りがけ、調子に乗ってもうひとつ福袋を購入。……マスク数枚だった。
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亀戸梅屋敷寄席 令和五年一月二日 [落語]

亀戸梅屋敷寄席 令和五年一月二日
於:亀戸 亀戸梅屋敷 藤の間

三遊亭けろよん『出来心』
三遊亭鳳月『初天神』
三遊亭鳳楽『替り目』
三遊亭兼好『粗忽の釘』
三遊亭全楽『ねずみ』

あけましておめでとうございます
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昨年に引き続き、今年も梅屋敷寄席で落語初め。

けろよんさん、三ぼうの話から泥棒の噺に入る。
『間抜け泥』部分はカットし、『花色木綿』を経てちゃんと『出来心』まで。
最近は『出来心』まで行かないことが多いので珍しい。

鳳月さん、田舎出身で鍵をかけるという習慣がなく、正月に泥棒に入られて前座さんへのお年玉などが盗られたという。警察とのやりとりをマクラに話し、「けろよんにも『この中に入ってる倍額分の思いが詰まってんだぞ』って渡したんですよ。そしたらアイツ泥棒の噺やりやがって」と苦笑い。
「しかも師匠まで大笑いしてる。師匠ですけど、ビンタしてやろうかと思いました。悔しいから元を取るまでこのネタをマクラで話します」。なので詳細は高座でお聴きください。
噺は兼好師の型に近いか。なんだかんだで仲良し親子。

鳳楽師、噂ではいろいろと調子がよろしくないようなことも囁かれているようだが、今日聴いた限りではお元気な様子。頑張っていただきたいが、一門全体が高齢化してきているからなあ……。
おでんのタネのやりとりでサゲ。

兼好師、今年もよろしくお願いします。さすがに今年は昨年ほどは行けないとは思うけど……。
いつも正月はホテルでの仕事があるらしく、そこでは宿泊者向けの会のため、ほとんどが「他に行くところがないから行く」というような人ばかりで、なんの反応もないという。「今日みたいに平均年齢が若めで生体反応があるだけで嬉しい」。生体反応て。
さっきまでおかみさんに睨まれて「お前その目やめな。俺は褒められて伸びるんだから……」と萎縮しているのに、隣の家では「私たちは『赤い糸』じゃなくて『赤い腰巻きの紐』で繋がってるんだねって女房と話してるんですよ」と惚気る仲良しぶりにいつものように笑わされ癒される。

帰りにバッタリ兼好師に出会い、お年賀の手ぬぐいをいただく。やったぜ。
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