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第65回三田落語会 夜席 [落語]

第65回三田落語会 夜席
於:浜松町 文化放送メディアプラスホール

入船亭扇ぱい『一目上がり』
春風亭一蔵『熊の皮』
春風亭一之輔『不動坊』
春風亭一之輔『普段の袴』
春風亭一蔵『小言幸兵衛』

1時間ばかり時間を潰して夜席に。

扇ぱいさん、さすが元NHKアナウンサー、歯切れがよく聞きやすい。

一蔵師の一席め、「昼席の前座さんがいっ休さん、夜席の前座が扇ぱいさんて……。逆だろ! なんでお互いよその子の面倒見てるんだっていう……」。私も思った。
「私が一席めに出てきたということは私がトリを取るということです……わかってる! この中の八割が一之輔を見に来たのはわかってる!」と昼席の扇橋師と同じようなことを言う。「でもね、この会の悪しき前例があるんスよぉ。昼席がね、扇辰扇橋二人会で扇橋さんがトリを取った。そのネタ帳を見てアニキが『ラッキー』って言ったんスよ。いやアニさんラッキーとかないから。アナタがトリを取るのが普通でしょ。昼席は扇辰師匠がかわいい一番弟子にトリを譲ったんでしょ。我々の関係とは違うじゃないですかっていったら『いやあこれで俺がトリを取ったらなんだか器が小さいやつみたいじゃん』って。……皆さんアニキの二席めが終わっても帰らないようにね」とここでも扇橋師と同じようなことをいう。仲いいねぇ。
「アニキにはお弟子さんが4人いますけど、んー、それでもまだ一アニキと緒にいる時間は私のほうが多いんじゃないですかね」と一之輔師とのエピソードを山盛り話す。一緒に甲子園に行ったときに一之輔師が甲子園カレー5個も当たったのに一蔵師にひとつもくれなくて大喧嘩した話とか。そのときのセリフが「だって俺5人家族だし」だったとか。「……そういう人がこの後出てきます」。
「一席め漫談でいいかな」といいつつも一応は落語も。
とはいえ甚兵衛さんが家に帰ってきてこき使われるシーンもなく、いきなりおこわのお礼の稽古に。「こういうものは言葉で覚えるんじゃないの、感覚で覚えなさい!」と膝を叩きながらテンポを取ってお礼を教えるが、まったくテンポと言葉の文字数が合っていないのが楽しい。

一之輔師の一席め、開口一番「……5人家族なんで」。
「袖で聞いてたんですけどね、だいたい本当です。まあかわいい兄弟子だなと。so cuteだなと。抱きしめたいですね」と照れ笑い。
「さっき一蔵も言ってましたけど、うちの一門は10人いるんですよ。でね、普通弟子の多い一門ってみんな仲悪いんですよ。……教えましょうか? なんで仲悪くなるかっていうと、弟子同士で師匠の愛情の取り合っちゃう。『アイツ着物もらった』とか『アイツは師匠から仕事もらった』とか。でもうちの一門はそんなことない。うちの師匠は全員に均等に愛情を注いでる……んじゃなくて、ひとり女の弟子がいてそいつしか可愛がられてない」とぶっちゃける。
やきもちの話から『不動坊』に。
婚礼の話に有頂天になった吉公がお湯屋へ行き、全裸で荒ぶっているシーンがたまらない。子どもに「おちんちんを振り回したおじちゃんがいる」と目を丸くされているのがおかしい。
屋根の上でちんどん屋と漉き返し屋が小学生みたいなケンカを繰り広げるのも最高。

二席め、侍のやり取りを見ていた八公が「いいなあ、あれ俺もやりてえな、袴燃やしてえな。そうだ袴燃やそう!」と不穏なことを喚くのがおかしい。
袴を借りに大家のところに行くと「バカがきたバカが。婆さん塩用意しろ。戸を開けたら目を狙え」「あっ、痛い痛い!」というくすぐりも笑える。
祝儀と不祝儀がぶつかった話を聞いて「木戸銭代わりだ」と袴を貸してくれるのが優しい。

一蔵師の二席め、「これまでもよくあったんですよ、前座さん、私、アニキ、仲入り、アニキって会が。さっきも袖で聞いてて、『へえー、”普段の袴”でバラすんだ』ってフツーに思ってた。で、『あっ、トリ俺じゃん』って気づいた」そうで。
仲のいい間柄だが、2度ほど本気で小言を言われたことがあるとかで、そこから『小言幸兵衛』に入る。
子どもがいないという豆腐屋に別れろといってキレられたあと、婆さんに「子どもがいれば幸せといいますけどそうとも限りませんよ。うちはふたり子どもがいるけど私は今あなたと別れたくて仕方ない」というのが生々しい。

それにしても一之輔師はやっぱり面白いな。昨年はたった三席しか聴いていなくて愕然とした。披露目興行で入るだろうと思ってたら全然入ってなかったし。まあ考えてみりゃ披露目以外にも他の定席でもやってるわけで、披露目に対抗できるような人を出さなきゃならないだろうし。あと披露目以外の寄席でも俺が行った日は代演とか交互のもう一方ってことが多かった。今年はもうちょっとちゃんと聞きに行かないと。
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第65回三田落語会 昼席 [落語]

第65回三田落語会 昼席
於:浜松町 文化放送メディアプラスホール

春風亭いっ休『無学者』
入船亭扇橋『高砂や』
入船亭扇辰『井戸の茶碗』
入船亭扇辰『田能久』
入船亭扇橋『藪入り』

ああもうやっちまった。
前回の三田落語会で知り合いにカネ借りてまでこの会のチケット買ったのに、スケジュールにメモってなかったもんだから今日の兼好師の横浜にぎわい座の会のチケットも買ってしまった。金ないのに。俺の馬鹿ー。
前回は夜席に行きたかったのに間違えて昼席のチケットを買ってしまったり、三田落語会とはあまり相性がよくないのかも……。いやまあどちらも俺が悪いのだが。
普段なら兼好ファーストなので横浜の方を選ぶのだが、今日は夜席も行くので三田落語会の方に。浜松町なら定期があるから交通費もかからないし。
前回はチケット救済サイトにあげたところあっさりと買い手が見つかったので、今回も出してみた。兼好師だしすぐに見つかるだろうと思ったのだが結局買い手がつかず。無駄にするよりはと知り合いに進呈する。

いっ休さんは観音様へお参りに行った愚者と先生のやりとりと魚根問。これで『無学者』って演目なんだ。「無学者論に負けず」といって下がるのは定番の締めみたいなものかと思ってた。

扇橋師の一席め、「披露目の口上で師匠が『真打になったということは、ここに並んでいるお歴々と肩を並べて競い合うということだ』と言ってもらったんですけど……。同じ真打という立場で師匠と会に出る。しかも私が最初に出てきたということは、最後にも出るということです。どうか皆さん師匠の二席めが終わっても帰らないように。……皆さん見てわかるでしょ。『アイツ緊張してるな』って。正直言葉は悪いですがゲロ吐きそう」。天どん師みたいなこと言ってるな。
「しかもチラシに『扇辰扇橋』って! もうそこに矛盾が! 誰が出るんだって思いません!? 大丈夫、アタシがいちばん違和感を覚えてる!」。俺は先代の高座を生で聴いたことないしなあ。まだ名前には馴染んでいない様子。
アフターコロナで冠婚葬祭なども普通に戻ってきたというところから正月らしくめでたく『高砂や』。
扇橋師の『高砂や』では豆腐屋がヒデ爺というキャラで異彩を放ち笑いを誘う。

扇辰師の一席め、昨年の年末に罹ったコロナについて話す。「末廣亭昼席のトリだったのに二日出ただけ。代バネはだいたい文蔵さん。……よりによって。アタシじゃないですよ、協会が頼んだんだ。アタシが頼むわけない、そんなゆすりのタネになるようなこと」と苦い顔。
「かみさんも一緒に陽性になってね。どっちが先かわからないけども……。夏にもかみさんだけが陽性になったけど、そのときは大変だった。かみさん隔離しなきゃなんないからさ、食器洗うスポンジまで分けて。私は濃厚接触者だから仕事2本飛んだんだ。その一方でかみさんはリモートで仕事してんの。まあ今回は一緒でよかったですよ。言葉は悪いけど大威張りで寝てました」。とにかく軽症でまだよかった。
不自然な間が何度かあき、どうしたのかと思ったら「ネタ決まんねえんだよ。なんか聴きたい噺ありますか。あ、リクエストにはお応えしません。参考にするだけ」とのことだったが「まあお正月ですからめでたい噺をしましょうか」と『井戸茶』に。
頑固者の侍ふたりのカッチリした佇まいが扇辰師の雰囲気に良く似合う。
たまに扇辰師はケレン味たっぷりにクサくクサく演ることもあるが、やっぱりこういう端正な噺の方が好きだな。
屑屋の清兵衛さんが細川公のお窓下をこっそり通ろうとする際に売り声を出して見咎められ、咄嗟に「はいはいはい、ヒデ爺の豆腐屋ですよ」とやり驚く。扇辰師が弟子のネタを拾うとは。これが真打に昇進するということか。

二席めも「お正月なのでめでたい噺……さっきと同じこと言ってる」と『田能久』。めでたい噺? 「化ける」からかな?
噺の途中で山小屋で握り飯を食べるシーンがあるのだが、そこがなんだかやたら好き。全体的にファンタジックというか昔話っぽい噺ではあるのだが、そのシーンは特にマンガチックというか。なんか手塚治虫的なコマ割りが見えてくるような気がするのです。

扇橋師の二席め、「ヒデ爺はやったあとに他の演者の方が引き継いでくれることがあるんですが、まさか師匠がやってくれるとは」と扇橋師も驚いた様子。そりゃそうだろうなあ。
1月16日の藪入りに合わせて『藪入り』。
一度帰ってきた亀がお湯屋に出かけていく際にまたヒデ爺が登場し「豆腐屋! 出てくるな!」と怒鳴られるのがおかしい。
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