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第7回 兼好集 [落語]

第7回 兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭けろよん『牛ほめ』
三遊亭兼好『堀の内』
三遊亭ふう丈『絹子ちゃん』
三遊亭兼好『蒟蒻問答』
三遊亭兼好『締め込み』

咳が止まらない。
熱もないし、抗原検査キットでも陰性だったのでコロナではなさそうだが、とにかく乾いた咳が出まくって辛い。寝てる最中にも出るし。
午後休を取って病院に行き、軽い風邪かアレルギーだろうとのこと。
とにかく咳が出る以外は食欲なども変わらないので、平日限定の焼肉ランチでも食うかーと食べ放題に入ってみるもあんまりいい肉じゃなかった。というかいい歳して食べ放題とかそろそろキツいな。
1時間ばかり昼寝して会場へ向かう。

けろよんさん、与太郎の酒の小咄で「酒の粕食った」というところを「酒呑んだ」とハナから言ってしまい、「……最初から間違えました」。珍しい。動揺したのか、今日はいつもよりキレがないような。

兼好師の一席め、昨日は広島へ仕事に行ったそうで。「広島って暖かいイメージだったんですけど、昨日はすごく寒くて。で、年金を受け取ってる人に向けた会だったんですけどお客がまったく笑わない。みんな岩みたいになってる。前座さんが『今日は全然です』とウケなくて、私のときも全然ウケない。なにしてもダメ。でも私の次がアサダ二世先生で、『今日はちゃんとやります』といいながらいつも通り全然やらないの。でもそうすると逆に『私が盛り上げてあげなくちゃ』と思うんですかね、だんだん会場が温まってくるんですよ。その温まった後に三三アニさんが出ていって大ウケ。……東京じゃ三三アニさんてちゃんとしたイメージでしょ。でも地方行くとぜんぜん違うの。15分林家の悪口言って落語はちょっとだけしかやらない。でも私も勉強しました。ああいう聴こうという意志のない人たちに圧を掛けたってダメ。アサダ先生のような引きの芸のほうがいいのかもしれません。前座がいきなり間違えるくらいのほうがちょうどいい」。……え、こんなに遠回りして弟子のフォロー!?
「しかしその会は学校寄席だって聞いてたんですよ。それなのにいきなり年金受給者たちになっててみんな驚いた。しかし学校寄席だとネタが『初天神』とか決まりきっていて、新しいネタを探さなきゃなと思ってこないだ『堀の内』を掛けたんですよ。これが途中まではすごいウケた。でも途中からまったくウケなくなった。なんでそんなことになったのか、今日ここでもう一度やって検証したい」と噺に入る。『堀の内』なんて後半の風呂屋の場面のほうが笑いどころが多いように思うけど。
三席のうちの一席めだからか、短く軽め。ちょっと早送り再生しているような感じがあったかな。

ふう丈さん、「一昨年師匠圓丈が亡くなって、ちょうど1年前に兄弟子の天どん師匠に預かってもらうことになったんですが、中には先程出てきたアサダ先生の弟子になると思っていた人が何人かいたようで……」といっていたが、落語協会の寄席ならなんとなく通じるかもしれないが、圓楽一門の兼好師の会ではふう丈さんがアサダ先生のマネをして『アサダ三世』をやってるってことをわかる人少ないんじゃないかなあ……。案の定ちょっと微妙な空気に。
「私はこう見えて熊本出身で、熊本弁を使った落語を作りました」と熊本弁を話す婆さんがコンビニのバイトとして入ってきたという新作を掛ける。
……うーん……。マクラでも若干キョトンという反応だったが、噺本編もそんな感じ。熊本のローカルCMの話を盛り込まれてもなんのことやら……。九州の中で出身を当てるというときに、「博多」はホメ言葉で「佐賀」は悪口、というのは九州ではあるあるネタなのかもしれないけど……。九州での営業ネタとしてはウケるかもしれないが、東京近郊ではどうだろうか。彦いち師とかわん丈さんとかでもローカルネタはあるけど、こちらの人にもわかるようにしているように思う。

兼好師の二席め、ふう丈さんのネタを受けて「最近は噺家も地方出身者が増えた。そういえば生き物や植物が外国から来るとすごく強い。最近ではアメリカザリガニやアカミミガメが放流禁止になりましたよね。ザリガニはこれまでいた日本の種を駆逐しますからね」と外来種の話に。「うちの後輩の萬橘くんが一家でザリガニを釣ってますけど、それでも駆除が追いつかないですからね」と唐突なワルグチがぶっこまれる。あれ? でも萬橘師が子どもと一緒にザリガニ釣りしてるってなんかで聞いたことあるし、別にワルグチだって決まったわけじゃないのか。
「面白いのは、外来種を本来の土地に戻すとそんなに強くない。日本の固有種も弱いのかと思うと外国へ行くと有害な外来種として繁殖していることがある。よその土地に行くと強くなるんです。もしくはその逆か。だっていくら権太楼さん喬がすごいからって、一般企業で通用するかっていうと……。白鳥師匠なんて3日で辞めそう」。確かに……。
「昔もそんな話はあって、江戸では親分といわれていた人が地方へ行って真面目に暮らしていることも……」と『蒟蒻問答』に。
権助と酒盛りをしているときに「なんか面白いものはねえのか」と『湯灌場踊り』と『げえこつ(骸骨)踊り』の名前が出てくることがあるが、実演まであったのは初めて見る。どっちも演し物としてはイマイチなのがおかしい。
こんにゃく屋が大和尚に化けたときの口上、「幅広の障子を左右に押し開く、寺は古いが曠々《こうこう》としたもので、高麗縁《こうらいべり》の薄畳は雨もりのために茶色と変じー」のところでピタッと言葉が止まり、”ちょっと待って”というような手振りが入る。兼好師では大変珍しい。「声が出ない」と困りながらも何度かやり直す。乾燥してるからなあ。

三席め、「いやあさっきは困りましたね。なんかピタッと声が出なくなっちゃって。権助がダメですね」と苦笑い。
「仲入りのときに『声を使わない噺はなんだろう』と探しまして。『うどんや』なんかはどうだと思ったんですが、声を出さないのは最後だけで、結構唄とか歌わなきゃいけない。甚五郎噺もあまり声を使わないので『ねずみ』はどうかと思ったけど思い出せない!」そもそも兼好師の生駒屋が騒々しいので結構喉にはキツそう。「『禁酒番屋』は酒を呑む仕草が意外に喉にくる。そしたらふう丈さんさすがですね、『笠碁』は声つかいませんよ、と教えてくれたんですよ。それだ! と思ったんですけど私持ってないの」。俺も兼好師の聴いたことないもんなあ。
結局声を潜めるというところで泥棒の噺に。
足立区の泥棒をさんざんいじってから『締め込み』に入る。
この噺はもちろん他の人もやるのだが、圧倒的に兼好師で聴くことが多い気がする。しかし3年以上空いていて、結構久しぶり。
相変わらずというか、おかみさんに間男がいると勘違いし、強がりながら啖呵を切るも、ところどころで詰まったり声がひっくり返ったりというのが本当にリアルで面白い。しかもまた絶妙なタイミングで入れてくるんだ。ここだけ聴くだけでも木戸銭を払う価値があると思う。

さすがに昼に詰め込みすぎたので夜はなにも摂らず、酒も飲まず。夜に酒飲まないのも久しぶりだなあ。
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