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眞福寺落語会 [落語]

眞福寺落語会
於:用賀 真福寺

入船亭辰ぢろ『寿限無』
入船亭扇橋『初天神』
柳家権之助『抜け雀』
柳家権之助『猫の皿』
入船亭扇橋『転宅』

兼好師がらみ以外の落語は今年初かな。
昼間は暖かいのでバイクで行くつもりだったが、出がけに車が目に入り「あれ、車で行った方がもっと楽じゃね?」と気づく。なんで直前まで車の頭がなかったんだろう……。

任意のご浄財で入れる無料の会。賽銭箱に札を入れるのは初めてな気がする……。
最近は無料の会というのも少なくなった。私が聴き始めた頃はそこそこあったような気がするのだが、これも不景気のせいなのか。

廊下の障子を背にして高座があるため、高座の真後ろの障子を開けて登場するというちょっと変わった形。廊下に陽が差しているので後ろに控えている出演者のシルエットが浮き上がる。

辰ぢろさんは正月らしくおめでたく『寿限無』。
でも実際に聴いたことはないけれど、本来のサゲって確か寿限無が井戸に落ちて名前が長すぎるせいで助からないってのじゃないっけ。今なら苦情必至だけど、昔はそういうブラックなのも笑いにしてたんだな。時代とともに噺の受け入れ方が変わるのも面白いが、今後はさらにマイルドになっていくのかなあ。

今年初の扇橋師。
共演の権之助師をいじるとすぐに後ろの障子から権之助師が顔を出す。スタンバってるのがシルエットで見えていて楽しい。
初めて初席にも顔付されたときの様子と、噺家のお年玉の文化について話す。「落語協会の前座はわかる。芸術協会もまだわかる。だけど立川流とか三遊とか、普段付き合いのないところの前座は知らないですよ。でも街で会ったらお年玉をあげなきゃいけない。こないだも街中で『師匠!』と知らない人に呼び止められて。お客さんかな? と思って話を合わせていたら立川流の新しい前座だった。ともすれば絶対に一緒には仕事しない人にもあげなきゃいけない」とこぼす。
「……それとよく聞かれるのが『マクラはどこまでホントですか』ってこと。あのですね、噺家の言うことなんて嘘だらけですよ。もちろん種となる事実はありますよ。それを面白おかしく肉付けして話してるんですよ」と突然のぶっちゃけ。いきなりどうした。
噺はこれも正月らしく『初天神』。まあ今月と本来の初天神の時期である来月まではどこいってもまずはこのネタが出ますよね。
飴玉を買うシーンで「赤ぇのは女の子みたいで嫌だ? 飴に男も女もあるかよ。……第一おめえ(男と男の約束を破るために)さっき女になちまったじゃねえか」という一言がおかしい。

権之助師、「扇橋さん……扇橋……さん、こたっちゃん」と呼びづらそう。後輩が大名跡を継ぐと先代のイメージが強いのか。「彼は私が二ツ目になってから入門してきたと思うんですが、あるとき私が『真田小僧』をネタおろししたときに『どうだった?』と聞いたら『まあ良かったと思いますよ』とかいうんですよ。アイツはそういうヤツなんです」。と「アニさんやめて!」と扇橋師が顔を出す。「だから今日『真田小僧』をやろうと思ったら『初天神』やられちゃった」と苦笑い。
師匠の権太楼師の話に。年末に患った肺炎はもうよくなっているのだが、免疫力が落ちているので大事を取ってまだ入院しているのだとか。身体は元気なので退屈らしく、病院に弟子たちが来て欲しがっているそうだ。「普段師匠に用事があるときは自宅に電話して取り次いでもらうので、師匠の携帯に電話したのは初めて」らしく、そんな師弟の関係性が見えるのが興味深い。あんぱんを差し入れようとして看護師にバレ、おかみさんが呼び出しを食らったという、これこそ「嘘だあ」って話なのだが、「これホントの話ですからね!」と念を押される。さっきの扇橋師の話を受けているのだろう。
噺は旅の話から『抜け雀』に。
人の良さそうな宿屋の亭主がよく似合っている。

二席め、「前半だけで1時間40分もやってた」と軽めに『猫の皿』を。「カミさんが猫が好き」と猫を忌避取ろうとしてたのに茶碗が手に入らないとわかると「俺よりカミさんのほうが猫が嫌い」と手のひらを返す。

扇橋師の二席め、縁起担ぎで泥棒の噺として『転宅』。
お菊の色気がすごいことになってる。さすが扇辰門下というか。
そのせいで「高橋はんぺん」と名乗られても気づかないなど、泥棒のウブさが際立っているのが楽しい。

終演後はすっかり夕まぐれとなりかなり気温が下がっていた。車で行ってよかった……。バイクだったら凍えてた。
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