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真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十三日 [落語]

真打昇進襲名披露興行 令和四年九月二十三日
於:鈴本演芸場

三遊亭わん丈『寄合酒』
翁家和助小花 太神楽
三遊亭歌る多『替り目』
入船亭扇辰『権兵衛狸』
すず風にゃん子金魚 漫才
鈴々舎馬風 漫談
入船亭小辰 改メ 入船亭扇橋『真田小僧』
林家正蔵『一眼国』
江戸家小猫 ものまね
柳亭市馬『時そば』
真打昇進襲名披露口上
立花家橘之助 浮世節
春風亭一蔵『鷺とり』
五明楼玉の輔『紙入れ』
林家正楽 紙切り 若駒 松竹梅 真打昇進
柳亭市弥 改メ 柳亭小燕枝『猫の災難』

新宿三丁目から上野広小路まで。
地下鉄から地上に上がると小雨が降っていた。
今日は小燕枝師の初日。

扇橋師、今日は浅い出番だからかややリラックスしているようだが、「馬風師匠の後って……。もうみんな死んじゃったところに放り出されるようなもんですよ」と爆笑をさらわれた後のやりにくさを訴える。
とはいいながら今日もきっちりしっかりキレイな高座で堅実さを見せる。

正蔵師は久しぶりに聴いたなー。
実に7年ぶり。今日はだいぶ聴きやすかった。

真打昇進襲名披露口上、玉の輔師が司会で上座より正蔵師、馬風師、市馬師、小燕枝師、歌る多師が並ぶ。
昨日に引き続き大御所の師匠たちの小燕枝師に対するエールが込められており温かな気持ちになる。
歌る多師は隣に並んで手をついている小燕枝師を眺めて「皆様の目がなければこの手に私の手を乗せたい」と「イケメン好きオバちゃん」キャラで笑いを誘う。
馬風師の「隅から」「隅まで」「あ、ずずずい~っと!」の恒例の馬風ドミノで突き飛ばされた小燕枝師が歌る多師に抱きつき、歌る多師が喜んで抱きつき返してピースサインを出す。玉の輔師が「突き飛ばされて喜んだ人は初めてです」。昨日は扇辰師が突き飛ばされて「いってえ……」と結構ダメージを食らってたようすなのでホントに痛いのかも……。

一蔵師、前座時代の小燕枝師との思い出話をマクラに。「仲の良い三人ですけど、私が本当に中がいいのは小燕枝さん。扇橋さんは……そんなでもない。よく知らない人なんで……」ととぼける。
小燕枝師は初めてできた後輩だそうで、後輩を誘って呑みに行ってみたいという願望を持っていた一蔵師はそれが嬉しかったらしい。上の先輩前座がいないのを見計らって「じゃあ呑みに行くか!」「はい!(キラキラ)」というやり取りが楽しかったそうだ。小燕枝はとにかくコミュ力が高く、隣の人とすぐに仲良くなるそうだ。たまたま隣にいた人と「一緒に呑みましょうよ!」と誘うそうで「払うのは俺だぞ……」と思っていたそうだ。
ネタは得意の『鷺とり』。鷺に捕まって飛ばされたのが世田谷の小燕枝師の実家というサゲ。

初トリの小燕枝師、「みんな私のことを呑兵衛だとか酒癖が悪いとか……。はい、大好きです! 今日はわん丈さんが『寄合酒』、歌る多師匠が『替り目』をやっていて、本当は寄席では酒の噺が出たらつかないように避けるんですが……。もういいです! 知ってる人もいるでしょうが、昨日アタシ間違えたんで! もういつもの市弥落語のようにやりたい噺をやります!」と『猫の災難』に。
酒に意地汚い熊ではあるが、やはり小燕枝師がやるとどことなく愛嬌があって憎めない。かわら版では「力の一蔵、技の小辰、愛嬌の市弥」と言われれることに抵抗があるようだったが、それはやはり得難い個性だと思うけどなあ。
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柳家小ふね・三遊亭兼矢二人会 負けてたまるか!? [落語]

柳家小ふね・三遊亭兼矢二人会 負けてたまるか!?
於:新宿三丁目 道楽亭 Ryu's Bar

柳家小ふね『鈴ヶ森』
三遊亭兼矢『あくび指南』
三遊亭兼矢『新作(オジSUN)』
柳家小ふね『不動坊』

披露目の最中に他の会にも行くという、正気の沙汰とは思えない行為。
とはいえ兼矢さんを土日で聴く機会がそうそうないからなあ。

まずはふたりでオープニングトーク。
どっちがアニさんかでモメる。
入門は小ふねさんの方が半年ほど先だが、二ツ目に昇進したのは兼矢さんの方が二月ほど早いので兼矢さんが上だと小ふねさんがいう。そうなの? そうすっと昇進の早い圓楽党が有利(?)な気もするが。
兼矢さんは「協会が違う一門と会うと、どっちが上かモメる。下になろうとする」そうで。ふーん。打ち上げのお金出すとかいろいろあるからなのか。
ふたりの手ぬぐいがメルカリに出されていたことに兼矢さんが憤り、兼矢さんの手ぬぐいを雛菊さんが落札したらしい。

じゃんけんで順番を決め、小ふねさんがトリ。
小ふねさんの一席め、なんというか親方がどっしりとしておらず、反対に子分が図々しいのであまり上下の差がない。親方がすぐにテンパる感じになるのがおかしい。

兼矢さんの一席め、前座の頃は売れっ子の師匠についていくだけで周りも気を遣ってくれていたので高座以外で辛さを感じなかったのだが、二ツ目になってからはその庇護を受けられないのでいろいろツラい仕事があるという。というか前座の頃は高座ツラかったんかい。……まあ兼好師が一席やって爆笑をさらった後に出るとかあったからね……。
兼好師とはちょっと違う型の『あくび指南』。師匠の方のあくびもさほど上手くないのはまあご愛嬌。

二席め、高度成長期のオジサンの行動からパワーを吸い取り、それをエネルギー源に応用している会社、という設定からして「おおん?」となるブッ飛んだ噺。
吸い取った「オジ・SUN」(表記は聞こえたイントネーションのイメージ)を使うと、行動がややオジサン臭くなるものの、それ以外のデメリットはないという。オジ・SUNを発生させるには高度成長期のオジサンの行動を見せるといい、ということで昔のオジサンが懐かしがるようなトピックを挙げていく。
正直噺の出来としては粗削りだと思うが、発想力がすごい。

小ふねさんの二席め、長屋のモテない三人組もそれぞれ吉公と同じくおたきさんが自分のカミさんで不動坊に貸しているだけとしているのが面白い。
熱演すぎて汗だく。その状態で「幽霊だ」って言われても、とおかしい。
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