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この人を聞きたい(第百九回) 生志・兼好二人会 [落語]

この人を聞きたい(第百九回) 生志・兼好二人会
於:清澄白河 中村学園フェニックスホール

三遊亭じゃんけん『真田小僧』
三遊亭兼好『まんじゅう怖い』
立川生志『幇間腹』
立川生志『ぞろぞろ』
三遊亭兼好『一分茶番』

今日3つめの会。今月ちょっと落語行き過ぎな気もしないでもない。金使いすぎだなあ。まあ先月先々月とあまり行ってなかったからその分かな。

じゃんけんさん、ややバタついた感じか。この噺は前座から真打まで広くやられるが、面白く感じる間やタイミングは結構シビアで難しそうだなあ。

兼好師の一席め、生志師とじゃんけんさんは大学が同じで落研なのも同じなので、前座に使ってもらうなどかわいがってもらってるとのこと。そう遠くないうちに二ツ目に昇進するので、その時の名前として「じゃんけん」の「じゃん」と「生志」の「志」で「じゃん志」はどうだ、といったら却下されたという。そもそも「兼」が入ってないじゃないかと言われたとのこと。正論。だったら「生兼」、カタカナで「ショーケン」の方がいいと言われたという。「生意気に。でも確かにあの顔を横に引っ張ったらそれっぽいかもしれない」。
噺に入り、蛇嫌いの松公が飛び込んできて蛇に声をかけられたという話をするのだが、その「おいコラまて松公」という呼びかけとその声に対する松公の表情がなぜかやたらとおかしい。なんだろあれ。
アリが怖いという男が、理由として「顔と顔を突き合わせてなんか話してるんだよ。あれはきっと『アニキの酒を盗んだのは俺です』って話してるんだ」とどさくさに紛れて告白しているのが面白い。

生志師の一席め、マクラをたっぷりと振る。
生志師の『まんじゅう怖い』は家元から直に教わったそうなのだが、「サゲの『熱いお茶が怖い』は普通にやったんじゃ面白くない。こうやるんだ」と教わったのが『おそ松くん』のイヤミの「シェー」のようなポーズと声で「オチャガコワイッ!」。「こんなのできませんよ、今は説明したからそこそこ笑いが出ましたけど、それまで普通にやっていたのにサゲだけそれって気が触れたと思われる。でも教わったんだからその形でやらなきゃならない。だから1回か2回しかやったことがない」そうだ。
今日は喬太郎師や三三師、扇辰師などと「小さん孫弟子の会」に出ていたのだが、他が全員落語協会でひとりだけ立川流だったとのこと。なんだか家族で集まっているときに自分だけ愛人の子として混ざっているような気になったそうな。なんとなくわかるような。
そこから家元やそれらにまつわるエピソードがどんどん出てくる。
家元の直弟子はマクラでモノマネしながらエピソードを語らなければならないという決まりでもあるのだろうか。まあ生志師は本まで出したくらいだから愛憎いろいろあるのだろうが。
マクラで時間を使い過ぎたからか、噺の方は割とあっさりめに。若旦那の非人道ぶりがややライトか。
普通のサゲ「いいえ、皮が破れて鳴りませんでした」で拍手が起き、じゃんけんさんも仲入りの太鼓を叩いて幕が閉まりかかったのだが、その続きがあった。
まあ確かにわかりやすくなっているし若旦那の非道ぶりがよりパワーアップされている。本編でライトになっていたのはその布石かと思うくらい。けどみんなが認識しているオチをスルーしてまで無理に付け足さなくてもいいような。

生志師の二席め、「一席めで余計なこと喋りすぎました。マクラの間中ずーっと『アイツいつ噺に入るんだ』と時計見てる人がいるんですよ。そういうのを見ると余計長く話したくなるんです。『十人寄れば気は十色と申しまして……』みたいなお決まりのマクラ嫌なんですよ。何かしら言いたいんです」とのこと。
と言いつつ出雲の国の神無月や三角関係のお決まりの導入から噺に入る。
わらじがぞろぞろ増えるのは茶店の老夫婦ではなく荒物屋の親娘。この形は馬るこ師で聴いたことがある。が、馬るこ師のは改作で、その後とんでもない下ネタになっていくのでまさかそのネタか? とも思ったがさすがにそれはなかった。

兼好師の二席め、「十人寄れば気は十色と申しまして……」と始めて笑いを取る。
噺は久しぶりに聴いたが大好きなネタ。
やっぱり兼好師の田舎者は最高。ネイティブの東北弁が入っているからか、私は特に聴き心地がいい。
権助の自由っぷりがなんともおかしい一席。
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第1回あゆむ寄席 入船亭小辰の会 [落語]

第1回あゆむ寄席 入船亭小辰の会
於:東長崎 リハビリセンターあゆむ

入船亭小辰『真田小僧』『松山鏡』『金明竹』

高円寺まで足を伸ばしていつものようにタイカレーを食した後、バイクで東長崎まで移動。電車だと2回乗り換えないとならないが、直線距離だと近くて20分かからない。
以前住んでいたところにほど近く、久しぶりに前に住んでいたアパートの前などを通ってみる。懐かしいようなさほどでもないような。

駅近のリハビリセンターを会場にした落語会で、やはり客の大半はそこの利用者。なので平均年齢は結構高め。おそらくそこの職員の方がスタッフとして働いており、会場に入った後でなぜか腰の手を添えられて中へ導かれる。たぶんいつもの仕事の習慣なんだろうけど俺は大丈夫です。そういや3年くらい前に入院して一時期リハビリに行ってたときはこんな感じだったな。

一席め、まずは鉄板の『真田小僧』。
こまっしゃくれた金坊に振り回されるおとっつぁんの狼狽ぶりがおかしい。
なんかちょっとクドくなった?

二席めはサラリと。
ヤキモチを妬く女房のおみつがかわいらしい。

三席め、『骨皮』の部分からたっぷり。
二階に水を撒いた松公の後片付けを旦那がしているのが面白い。
上方弁の男が「丁稚どんか?」「ほならボンチか」と何を聞いても「松公!」「ま・つ・こ・う!」としか答えないのがおかしい。

やはり周りはあまり普段から落語を聴いている人たちではなさそうだったが、口々に「面白かったねえ」と言われていたので何より。
タグ:入船亭小辰
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なかのらくご長屋 兼好毎月連続独演会 元年5月 [落語]

なかのらくご長屋 兼好毎月連続独演会 元年5月
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭しゅりけん『寄合酒』
三遊亭兼太郎『紀州』
三遊亭兼好『しの字嫌い』
三遊亭兼好『大山詣り』

連休明けに早速落語。
この会は開演前に主催者の挨拶というか宣伝が入るのだが、いつまで経っても棒読みで素人っぽい。それはいいのだが、たまに途中でなぜか「ンフッ」とか笑い声が入る。大入り続きで笑いが止まらないのか。

しゅりけんさん、開口一番「おはようございます!」。落語じゃあまり聞かない挨拶。
若い衆たちが仲よさそう。

兼太郎さん、開演前の影ナレが笑ったのは兼太郎さんと目が合ったかららしい。「兼太さん、『兼太郎さんと目が合って』ってサイアクですよ。……というか今噛んだのがサイアクですよ」。惜しかった。
得意ネタをしゅりけんさんに封じられ、私は久しぶりに新しいネタが聴けた。
尾州公の高笑いがなぜかおかしい。

兼好師の一席め、久しぶりに聴くネタ。他の人でも聴かないな。
彦にゃんがリストラにあった話から「今は大変ですね、パワハラやらセクハラやら散々やられてきて、いざ自分がやろうとしたらリストラされますから。ちょっと前は終身雇用があってある程度守られていたんですが。もっと昔になると『奉公人』と呼ばれてて対等の立場になどなれなかった」と噺に入る。
最初は旦那に楯突く清蔵にちょっとイラつくのだが、だんだん旦那の器の小ささにどんどん面白くなっていく。
清蔵に言い負かされ慣れてきた旦那が「参りました」と言い慣れていくのがおかしい。
「し」を言わないと決めた後にお互い探り探りで話しあっている様子と表情が楽しい。

二席め、新しい天皇陛下は山登りが趣味だそうだが、さすがにもう登山は無理だろうという。「万一遭難したら」という妄想がまたおかしい。
そこからお山の噺へ。そろそろ『大山詣り』のシーズンですな。
坊主にされた熊がおかみさん連中を騙し、「熊さんアタシを坊さんにして」と言われたときのニヤッとした顔がホントに悪そう。兼好師は表情の使い方とタイミングが本当に上手いと思う。
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