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大日本橋亭落語祭2019 夜席 [落語]

大日本橋亭落語祭2019 夜席
於:三越前 お江戸日本橋

三遊亭遊馬『道具屋』
三遊亭兼好『堀の内』
笑福亭たま『源平盛衰記』
旭堂南湖『赤穂義士伝・下』
柳家三三『夏の医者』
春風亭一之輔『夢八』
大喜利 噺家ラップバトル

昼席がハネてから一度外に出るも、雨が降ってるのもあってすぐに夜席の開場に。
順番決めのじゃんけんの場で大喜利のラップバトルの概要が説明される。曰く、客からお題を集め、それを3つランダムに選んでラップにする、というもの。しかもそれで誰かをディスらなければならないらしい。たまさん以外はルールが初耳だったようで、困惑の表情を隠そうともしない。……うわぁそんなのみんなできんの……? 正直遊馬師や兼好師ができる画が想像できない。多分三三師は器用だからそこそこのものはできると思う。その他の人はまったく想像できない。案外みんな結構できたりできるのかしら。
で、出番が後だとラップを考える時間がなくて不利だ、ということになり、いつもなら埋まりにくい早い出番が早々に埋まる。

一席めの遊馬師、「早い方がラップに有利と聞いたから最初に出てきたけど、お題は仲入り後にならないと決まらない。てことはこんなに早く出てくることはなかったんじゃねえかと……」と確かにその通り。うっかりさん。
与太郎の明るい馬鹿っぷりが楽しい。

兼好師、いやもう堪能させていただきました。
こんなに明るくってバカバカしくって底抜けに楽しい噺をテンションの高いまま最初っから最後までやり切るのはやっぱり兼好師の持ち味というか。

たまさん、『平家物語』のエピソードを抜き読みしながら、そこに小ネタを挟み、ブリッジとして「祇園精舎の鐘の声……」と挟んでいく噺。うん。……うーん? いやまあ面白いのは確かなんだけど、なんだろ、全体的によしもと芸人が「ショートコント、『平家物語』」ってやってる感じ。

南湖さん、『赤穂義士伝』の中でも外伝となる『大石の介錯人 小田小右衛門』。
南湖さんの語り口が柔らかく、人情物とよく合っているように思う。

仲入り明けにラップバトルのお題をくじ引き方式で引く。
私の書いたお題「Youの師匠」が最後の最後でたまさんに引かれたのだが、「これ他のお題とかぶってるから他のにします」と変えられてしまう。なんだー。なんか昼席からどうもちょっとだけ惜しい。

三三師の『夏の医者』は演題は知っていたが聴くのは初めて。
なんとも尾籠な噺だがそのナンセンスさが面白い。
うわばみに呑まれた医者が下剤をうわばみの腹の中に撒くのだが、排泄される際の蠕動運動が仕草で表現されているのがお見事。

一之輔師、八兵衛が長屋の中でお煮しめを「人参。人参あまーい。人参あまーい。……昆布。帯ほどいちゃう。よいではないかよいではないか……人参あまーい。ハス嫌い!」といいながら食べるシーンがあるのだが、どうも今日は「人参あまーい」が長い。すっとやってるうちに「そんなことしてないで早くラップ作れ!」と自分で自分を叱咤する。どうやら現実逃避だったらしい。

ということでラップバトル。
ひやああああ
あーこれあれだ、いや、うん、贔屓の噺家が全然できてないラップで人をディスるのを見るという、なんというかこっちがなんか変な汗かいて赤面するやつだ。
案の定遊馬師はおかしなことになってるし(後で「あー、ジョイマンだったの?」と周りから言われてもキョトンとした顔だったし)、三三師も上手いようでいてやっぱり変だったし、一之輔師もアレだったし。意外に兼好師は短いながらも上手くまとまってたように思う。うむ、さすがにいくら噺家といえど即興でライムするのは別の才能のようで。
なぜかディスる相手が本人も含めて全員が一之輔師だったという。

また来年も開催されるとのことなので(来年はe+でチケット売ると言っていたができんのかな?)楽しみにしていよう。
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大日本橋亭落語祭2019 昼席 [落語]

大日本橋亭落語祭2019 昼席
於:三越前 お江戸日本橋

三遊亭兼好『代脈』
三遊亭遊馬『手紙無筆』
春風亭一之輔『庭蟹』
笑福亭たま『憧れの人間国宝』
柳家三三『呼継ぎ』
旭堂南湖『赤穂義士伝・上』
大喜利 ジェスチャーゲーム

令和初落語。
毎年恒例の一番楽しみな会が初というのも縁起がいい。
そして順番が最高。特に最初の3人は私の好きな噺家トップ3の好きな順のまま。なんとも幸先のいい令和落語始まりと言える。

兼好師、弟子はちょっとバカな方がかわいい、という『代脈』のお決まりのセリフを言い、「だから三三兄貴とか一之輔くんなんかはかわいがられてないと思いますよ。かといって遊馬兄貴とかたまさんは媚びないからあれもかわいがられない。『私京大卒です』とか嫌でしょ!?」と令和でも相変わらずの毒を吐く。
兼好師の『代脈』は初めてかも。
先生がとにかく優しくて銀南を甘やかしているのがおかしい。あれは弟子というよりペットの甘やかし方だな。
銀南が羊羹を前に「食べつけている」という演技をしようとして結局できない、という仕草が細かくて面白い。

遊馬師は久しぶりの『手紙無筆』。
手紙を読む前の「えーーーーー」がとにかく長い。あれ一息なのだろうか。「えーが長いね」「えーが長いとお客さんから拍手がもらえる」というのは前に聞いたとおり。
あー昨日までの浅草夜席のトリだったのを忘れていたのが改めて悔やまれる。聴きたかったなあ。
遊馬師が他の人と一緒にやるのを見るのがあまりないので、いつも改めて遊馬師の声の良さを認識させられる。

一之輔師、「今日は三割五分くらいの力でやろうと思います。……なんですか、三割五分っていったら野球でいったら大打者ですよ! ……なんていうと本気にする人いるんですよ。ウソですから。そんな本気にしないでくださいよ。落語だってあんなに字の読めない人なんているわけないでしょ、登場人物も遊んでるんですよ。お伽話だってそうですよ」といってかぐや姫や鶴の恩返し、浦島太郎の矛盾点などを語り出す。
「特に『猿蟹合戦』なんて助っ人が臼と栗と蜂と牛の糞ですよ。おかしいでしょ。臼に知り合いいます!?」と滔々と語り出す。「あれは本当は牛に助っ人頼んだんですよ。栗と蜂が蟹に『オメェおらたつの他ぬも誰か頼んでんのけ?』『ああウスにも頼んでるだよ』『臼け?』『んあぁウスウス。あすた決行だってウスに伝えてくんろ』……」みたいな『日本むかしこうだったんじゃないか話』が繰り広げられる。
抱腹絶倒だけれども、えーと『庭蟹』ってこんな噺だったっけ? と思い始めた頃に「これで終わりでもいいんですけど……えー落語の方では……」と唐突に噺に入る。おおっとびっくり。
や、噺はもちろん面白いんだけど、マクラで全部持ってかれた感じ。
二席分聴いたくらいの価値がある。お得お得。

たまさん、人形浄瑠璃の大御所が人間国宝に認定される当日に亡くなって右往左往する弟子の噺。
……なんだろ、すごい笑った記憶はあるんだけど、ここに書くトピックが見つからない。
うん、この刹那的な笑いこそが大衆芸能の醍醐味なのかもしれない(強引)。

三三師、八っつぁんとご隠居との会話という古典の雰囲気を持ちながらも舞台は現代の不思議な雰囲気の噺。ちょっと調べてみたところ、どうやら小満ん師の持ちネタらしい。
「呼継ぎ」とは焼物が欠けたときに他の焼物からパーツを持ってきて継ぐことをいうらしい。
八っつぁんがご隠居にお土産として買ってきた徳利が欠けてしまい、それについてぐずぐず言ってる八っつぁんとご隠居がディスり合うという噺。で、結局損するのは八っつぁんの新婚の嫁という。なんかいろいろ珍しい噺。

南湖さん、この時期に何故かの忠臣蔵ネタ。
『赤垣源蔵 徳利の別れ』の部分を抜き読みにする。
うん、講談の良し悪しはよくわからないけれども引き込まれるものがある。
「なんかよかった」としか表現できない我の経験値の低さよ。

恒例の大喜利は客からのお題を南湖さんがジェスチャーを行い、それを江戸の噺家たちが回答者になるというもの。
客は誰が優勝するかを予想して投票する。正解者の中から全員のサインが入った色紙がプレゼントされるという。
……兼好遊馬一之輔ファンとしてはその3人の誰かに入れるわけだが、……んー兼好ファン仲間は何人か顔見知りがいるし、多分一之輔師ファンもたくさんいることだろう。遊馬ファンの顔が見えない……てことは俺が遊馬師に投票しなくてどうする! と遊馬師に一票入れる。
果たして兼好師と遊馬師が同点決勝となる。
その前にどれだけの人が両師に投票されたのかが発表され、誰が入れたのか挙手する。兼好師は投票用紙が束になるほど集めたが、遊馬師は……あれ俺ひとり!? ちょっとおい! お前ら遊馬師の良さをわからんのか? おいコラァ! まあそしたら遊馬師が優勝したら俺のひとり勝ちってことだ。
兼好師とも目が合った気もするけど、スミマセンここは遊馬師で。
……うん、優勝は兼好師でした。
いや、まあ兼好ファンだからいいんだけどさ。
ちなみに決勝のお題は「せっかくだから遊馬さんと兼好さんに投票してくれた人のお題にしましょうか」となったのだが、「遊馬さんのはアカンわ」と私の書いたお題「落語を演じるイチロー」は却下された。ぶーぶー。
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