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巣鴨の小辰 24 [落語]

巣鴨の小辰 24
於:巣鴨 スタジオフォー

入船亭小辰『鋳掛や』『木乃伊取り』『心眼』

川口から巣鴨に。どちらの会場も微妙な位置にあるので、電車などで移動したら結構な時間がかかるだろうがバイクなら30分くらい。
普段は平日の昼間にやっている会だが、今回は土曜の夜。初めてきた。

さっき扇辰師も8日の休みをとって今日が久しぶりの高座だと言っていたが、小辰さんも今日は10日ぶりの仕事だという。
師弟で一緒に休みとって高原に行ってたのかと一瞬思ったのだが、そういうわけでもないらしい。
本来この期間は「あなた方が乗れないような」クルーズ船に乗って「セレブども」の相手をしているはずだったそうだ。昨年に引き続きのようで、早いうちから予定を入れていたのだが、ひと月前にキャンセルになったという。理由を聞いたらそういう「セレブども」の中には毎年毎年乗るようなのがいるらしく(「この中にそういう人います? ……いやそんな人はここにはこない!」)、その人が「去年と一緒なのね」と漏らしたそうで、それでダメになったのだという。
「そこで『キャンセル料は』と言えればいいんですけど。それのために断った仕事だってないわけじゃないんで。……でもやっぱり俺『いい人』なんだろうなあー! 言えなかった……」と頭を抱える。
そんな愚痴を先輩芸人に言ってみたら「それお前だから断られたんじゃねえの?」と言われてしまったそうで、「つまりそのセレブの中に『小辰が嫌い』ってのがいて、だから断られたんだよ」と指摘され深く傷ついたそうな。
奥さんからは「何もしてないなら旅でも行けば?」と言われ、「芸人は金を貰って旅をするんだ! なんで金を払って旅をしなきゃならないんだ! 絶対行かねえ!」となったとか。羨ましい。けど海外とか行けばいいのに。ひとり海外楽しいよ。超絶心細くなるときもあるけど。

一席めの『鋳掛や』は結構聴いていると思っていたら1年以上開いていた。「思いつくと無性に演りたくなる噺」とのこと。
複数の悪ガキたちにうんざりしながら忙しなく相手をしている鰻屋の悲哀がおかしい。

二席めの『木乃伊取り』は小辰さんでは初めて。
オーソドックスな感じでいかにも小辰さんらしいと感じた。
酒の入った清蔵がぐずぐずになっていく様子が面白い。

三席め、この会ではネタがかぶらないようにしていたが、さすがに演目が尽きてきたそうだ。他でやっている自分の会もあり、そこに来ていただいているお客さんには悪いのだが、それでも同じ噺を何度やっても「腹に入れたいんだな」とか「稽古したいんだな」と思っていただけるのがいいところだという。
こないだ聴いたときも思ったのだが、やっぱりこの噺は途中から目が不自由になったようにしないと内容に矛盾が出てしまう。そこらへんが明確になっているところがないので途中でなんだかわからなくなってしまうのかなあと思う。小辰さん自身も以前と同じく「よくわからない噺」と言っていた。

硬い椅子なので尻が痛くなるのは難点だが、適度な広さで木戸銭もお手頃ないい会だなあ。いつも週末にやってくれるといいんだけど。
タグ:入船亭小辰
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SKIPシティ落語会 扇辰・兼好二人会 [落語]

SKIPシティ落語会 扇辰・兼好二人会
於:川口 SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ

三遊亭じゃんけん『道灌』
入船亭扇辰『田能久』
三遊亭兼好『天災』
三遊亭兼好『饅頭こわい』
入船亭扇辰『匙加減』

この会場の隣の科学館にはプラネタリウムがあることを思い出し、調べてみるとなかなかちょうどいい時間に上映されていたので落語の前に天体鑑賞と洒落込む。
プラネタリウム自体かなり久しぶり。今の彼女と付き合い始めの頃、10年以上も前に池袋行った以来か。
今日の夜の星空の解説と、ハヤブサ2のドキュメントの2本立て。ハヤブサ2頑張れ超頑張れ。
それにしても最近の映像技術はすごいな。プラネタリウムは視界すべてがスクリーンなので、臨場感がすごい。VRみたいだ。これで410円はお値打ち。さすが公営。またこよう。

さて会場に入ると高座の後ろのスクリーンにプログラムが映されていて、それによるとじゃんけん→兼好→扇辰→兼好→扇辰の順となっている。おやおやこの順番はちょっとどうなの。扇辰師がトリなのはもちろん異論はないけれど、兼好師だって二ツ目じゃないんだからこの順番はないんじゃないの主催者。

と思っていたらじゃんけんさんから「前半の順番が変わりました」と通知が。
そうだよねこの会だってもう何回もやってるんだし二人会のABBA形式知らないわけないよねなんかの間違いだよね。
が、扇辰師が語るところによると「前に『この順番でいいですか』っていう確認がきてたんだけどさ。自分がトリで二席ずつってところしか見ないでOKしちゃったんだよね」だそうだ。「これじゃトリと仲入りが俺で、兼好が楽すぎ……いやいや兼好さんに悪いから『代わろうか?』って聞いたんですよ。そしたらなんだか拗ねててね、『いやいいですよ兄さんの方が上なんですから』とか。しょうがないから『そうは言ってもさ』とかいったら『そうですかぁ?』みたいな感じでようやく代わらせた」そう。
……兼好師はそんなこと言わなそうだけどなぁ……。
扇辰師は8日間ほど夏休みを取って高原に行っていたらしく、ほんのりと焼けていた。それまでは42日間働いていたそうで、しかも旅の仕事も多くて大変だったとのこと。「しかも……えー客席にいらっしゃいませんね……最近のガキってのぁさぁ、カート引きたがるんだよね。あれが邪魔でしょうがないんだ」まあ確かに。
そんなこんなで旅の噺に。
ウワバミの仕草や語り口はかなりクサめに。それが昔話的な雰囲気のこの噺にピッタリ合っていて心地よい。

兼好師の一席め、「先ほどの順番の説明について訂正がございます」とクレームをつける。
「私がゴネているように言ってましたけど、私は『いいですよ扇辰師匠たっぷりやってください』って言ったのに『やれ!』って扇辰師匠に言われたんですよ。狭い楽屋であの目で睨まれたら……立派なカマキリみたいな目で……」とのこと。たぶんこっちのほうが真実に近いような気も。
「駅でタクシーに乗ろうとしたんですけど、タクシーのドア目掛けて歩いていたら、その間にお子さんが横切ってきて……。ああいうときってもう意識がタクシーに向かってますから、避けようと思えば避けられるんですけど、ドーンとぶつかっちゃったんですよね。本当は避けられるんですけど。意識がもう向こうに向いてますから。……ということでね、今日私は一席めと三席めだと思ってましたから軽めの噺しか用意してないの。これは急には変えられないのでご了承いただければと思います」えーーー。兼好師ならイケるでしょ。
……でも『天災』は急に差し替えたんだろうか。いつもよりキレが悪いような……。
昨日は会津若松の実家に帰っていたらしく、昨日今日は東京も涼しかったが会津はもう寒いくらいだったそうな。兼好師としては暖かくして寝たかったのに、「母親ってのはありがたいですねえ、私が窓を閉めて寝ていたのを『暑いだろう』と気を利かせて私が寝たあとで窓を全開にしたみたいで、朝の4時くらいに寒くて目が覚めた。布団がどこに入っているかもわからないし母親を起こすのも忍びないし。仕方ないので座布団とかかき集めてビバークみたいになってた。家の中で遭難するかと思った」。
「大学の先生が言っていたのですが、『天災というのはない』んだそうです。人がいないところで大雨や地震があっても単なる自然現象でしかなく、人がいるところで起こるから『天災』になる」なるほど。

扇辰師の二席め、久しぶりに聴く『匙加減』。約4年ぶり。
叶屋の小悪人ぶりが際立ち、その分大岡裁きの結果が出てからが小気味いい。
こういう加減は本当に上手いと思う。
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