SSブログ

第6回 小辰の寸法 [落語]

第6回 小辰の寸法
於:人形町 日本橋社会教育会館

入船亭小辰 ご挨拶
春風亭きいち『看板のピン』
入船亭小辰『子別れ(通し)』
入船亭小辰『船徳』

池袋から一度家に帰り洗濯したり野球見たりシャワー浴びたり。
いろいろと家事などをこなす。しかしこれだけ暑いと毎日洗濯物の量がすごい。

まずはご挨拶……なのだがめくりがきいちさん。けど出囃子は「いっさいいっさいろん」だし……と思っていたらやっぱり小辰さん登場。
木久蔵師王楽師と一緒に学校寄席に行ったのだが、偏差値の高い高校で『転失気』などは鼻で笑われてしまったそうだ。小辰さんでそうなんだから他の二人はどうなることやらと聞いていたら、王楽師は持ち時間40分のところ35分マクラで『味噌豆』5分、木久蔵師にいたっては持ち時間40分すべてマクラで演りきったという。「ああいうやり方があったのか」と驚いた様子だったが見習ってはほしくないなあ……。
そのふたりと新幹線を駅で待っていたらTOKIOの松岡氏と会ったらしく、ふたりは面識はあるので話し込んでいたという。小辰さんはそれを見ていたのだが、それをさらにどこかのおばさんが見ていたらしい。「あそこにいつのは松岡さんよね? 一緒に話しているのは? 落語家さん? へえー。で、あなたは?」と聞かれて「ジャニーズです」と騙してきたという。
引っ込もうとしてめくりをみて、きいちさんの名前が出ていると気づいた様子。「言ってよ!」と訴える。

きいちさん、こんな感じだったっけ。なんか見るたびに印象が変わるような……。
前座さんにしては話しぶりにずいぶんと余裕がある感じ。だいぶ慣れてきているようだが、なんかあれ? どうも若干余裕かましすぎなような印象が……気のせい?

小辰さんの一席め、『子別れ』をじっくりと通しで。
何度か聴いたことがあるが、やはり中の部分はちょっとダレるというかクドいな……。
聴いていてあまり気分のいいところでもないし、笑いもそんなないし、ひとりで通しを演るならあまりこの部分は長くなくてもいいかも。まあここでグズグズっぷりを見せつけることで下の部分での熊さんの改心ぶりが引き立つのかもしれないが。

ネタおろしだという『船徳』、若旦那と親方の会話の場面で「ん?」となり、若い衆たちの相談の場面で「おやおや?」と思い、お客と船宿の女将との会話で「これはこれは」と至り、船頭の徳の登場で「間違いない」と確信する。
これ兼好師のだ。こないだ聴いたばかりだし間違いない。
終演後にお見送りに出ていた小辰さんが私の顔を見るなり「わかったでしょ」と一言。
ええそりゃもう。
「兼好師匠ってやっぱりすごく早口でしょ。で、聞き取れるがギリギリのところでひょいっと面白いこと言う。難しい。私には合わない……」というが、たまにはそういうのもいいんじゃないですか。
「とりあえず兼好ファンに『兼好師匠のだ』とバレないように頑張ります」というが、独特のくすぐりとか設定多いしなあ。細かいくすぐりなどもコピーし、ほぼ小辰さんの空気なのだがやはりそこかしこに兼好師のテイストや匂いを感じる。
しかし自分の好きな噺家の噺を、これまた好きな噺家が受け継いでいくというのはなんか嬉しい。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

兼好庵 〜夏、庵の木陰で〜 [落語]

兼好庵 〜夏、庵の木陰で〜
於:池袋 東京芸術劇場 シアターウエスト

三遊亭じゃんけん『道具屋』
三遊亭兼好『青菜』
バロン ヴォードヴィル
三遊亭兼好『質屋蔵』

この会は早いうちにネットで予約していたのだが、コンビニで発券してお金を払うというシステムだった。チケットは当日までに発券すればいいんだろ、と思っていたら発行期限があり、それに気づいたのが期限当日。
危なかったー、会社の昼休みにローソンで発券しなきゃと思っていたら、昼休みのコンビニは長蛇の列。うへえ危険だけど夜に発券するか……と思っていたら、案の定発券し忘れる。
慌てて販売元に問い合わせてみたところ「完売」のつれない返事。oh...
だがチケット救済サイトをこまめにチェックしていたら出品している人を発見。しかも定価よりも結構値下げしてくれていた。席は後ろながらほぼ高座正面で私の好きな席。禍福は糾える縄の如し。結果良かった。

じゃんけんさんの『道具屋』は初めて。
口跡がだいぶ江戸っぽいというか落語っぽくなっている。

兼好師の一席め、出囃子が『さんげさんげ』ではなく『栄冠は君に輝く』。
お囃子の恩田えりさんに「夏っぽいものを」とリクエストした結果だそうで、今日高校野球が開幕したかららしい。関係ないけど高校野球の開会式見てたら役員たちの話の長いことといったら。給水タイムもいいけど、あんなオッサンたちのくだらない話なんかカットすりゃいいのに。
なんでかプロ野球の話に。「巨人はすごいですね。選手揃ってますね」というから最近の若手の台頭のことかと思ったら「裸になって謹慎でしょ。上はこないだ山口投手がノーヒットノーランやって、下はノーブラノーパンで写真撮ってるんですから」巨人ファンとしては笑い事じゃない。「しかも泥棒までいるんですから。セコムしてなかったのかって話ですよ」。ぐうの音も出ません。
話の途中で「あ」と何か思い出したらしく、「ウチに税務署がきたんです」と嬉しそうに話す。別に悪いことをしてるつもりはないので「どうぞどうぞ」とネタになりそうとばかりにきてもらったそうだが、至ってフレンドリーだったそうだ。
どうやら前座さんに渡すお金やゲストに払うギャラの名目が違っていたそうで、交際費や接待費ではなく、前座さんに荷物を運んでもらってお小遣いを渡したのなら赤帽と同じ扱いなのだそうだ。また、落語会で一席やった前座さんにお小遣いをあげたり、ゲストに謝礼を支払うのは外注費なのだという。この「ガイチュウ」という響きをおかみさんが気に入ったらしく、「ガイチュウきた? ガイチュウもう家の中に入った? ガイチュウ西瓜食べるかしら」などと連呼するのだとか。
これらが接待費などにならないのは支払う対象がクライアントではないから、らしい。クライアントから仕事をもらうためにもてなすなら接待費だが、前座やゲストにはそれが当てはまらないのだとか。それを聴いたおかみさんは「いずれ立場が逆転して、彼らから仕事を貰うようになるんです!」と主張したとか。
ということで支出の名目を修正するだけだったそうだが、「これは○蔵師匠みたいに脱税になるんですか?」と聞いたところそんなことはないらしく、正○師は犯罪だが兼好師はそうではないらしい。
そんな「持つ者と持たざる者」の格差は昔は今より激しく、という流れで『青菜』に入る。
他の人だと要所要所でしか酒を呑まないが、兼好師の植木屋は結構ちょくちょく酒を呑み続ける。こういうところが芸が細かいと思う。
また、他の人ではおかみさんは「仕方なく亭主に付き合ってあげてる」という感が強いが、兼好師のは「おめえ『もとはお姫様なんじゃねえか』っていわれるぞ」という亭主の甘言に乗ってむしろノリノリなのがかわいい。

ヴォードヴィリアンのバロンさん、歌ったりウクレレ弾いたりタップダンスしたりハットジャグリングしたり。歌にはスキャットでトロンボーンやトランペットも表現したり。「ヴォードヴィル」とは「街の声」という意味らしく、風刺を込めた歌などもある。まあつまり大道芸のややオサレ寄りって感じか。

二席め、雷に打たれたことのあるおじさんが髪が生えてきたという。それは聞き捨てならないと思いきや「髪成り」という洒落だった。
そんなところから『質屋蔵』に。この噺はいくつもの話が入れ子入れ子になっていて演じるのが大変そう。しかしそんなことを一切感じさせないのはやはり腕なんだろうなあ。
まあそんな面倒くさいこと抜きで単純に面白い。

帰り、いつも池袋にきたら寄っているランチハウスでいつものチキンカツ定食でも食って帰ろうかと思ったが、さすがのこの暑さでそんなギットリとしたものを食べる気も起こらず。
次があるのでおとなしく一度家に帰る。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能