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辰と橋 〜扇辰、扇橋 親子会〜 [落語]

辰と橋 〜扇辰、扇橋 親子会〜
於:日本橋 食堂ピッコロ

入船亭扇橋『初天神』
入船亭扇辰『雪とん』
入船亭扇辰『紋三郎稲荷』
入船亭扇橋『鰍沢』

ピッコロでの初の親子会。
なんだかピッコロでの会はあまり天気に恵まれない印象が強い。半分くらいは電車で行っているような。今日も冷たい雨がポツポツと降っていたので電車で。
ちょっと時間があったので、アメ横の脇にある小さなトンカツ屋で厚さ6〜7センチはあろうかというロースカツを食す。カウンターで数席しかないし、それだけ厚いので結構待つが、それだけのことはある。うんま。豚の脂ってやっぱ美味いなあ。

さて上野広小路からピッコロ最寄りの日本橋まで。
東京の広い地下鉄駅あるあるだと思うんだけど、D2出口を目指して案内板を頼りに歩いていたのにいつの間にか案内板から目当ての出口が消えている。BCD出口という案内を信じて歩いてたら次の案内板にはBC出口の案内しかない、みたいな。なんでそんな初見殺しみたいなことすんの。
仕方ないから少し離れた出口から出て少し濡れながら歩く。いや傘はあるんだけどなんか出すの面倒くさくて。

そういやこれが今年初扇橋師。まあ毎年1月は兼好師がメインになることが多いので珍しいこっちゃないけれど。

「えーと、『辰と橋』……ですね、扇辰扇橋二人会ということで。いまだに『扇橋扇辰』と言いそうになってしまうんですよ。師匠との親子会ということで、いつもよりも三割増しで背筋が伸びますね。いつもピッコロさんでやるときは何も考えずにダラダラ喋ってますから。前半二席で1時間半とか今日はちゃんとやらなきゃって思いますね」だそう。
「皆さんご存知かと思いますけど、ウチの師匠は雨男で。ヨーロッパ公演に一緒に行かせていただいたときに、雨があまり降らないスウェーデンで、滞在した2日間はずっと雨が降ってた。スウェーデンの方も『こんなこと100年に1回です』って。この会の数日前に週間天気予報を見てみたら雨マークで流石だなと思いましたよ。……ただ、私は入門前は晴れ男だったんですよ。だけどどうも真打昇進の披露目の頃から雨に振られることが多くて……。そういうところも師匠から引き継いだんですかね」。
芸の親子の話から実の親子の話になり、「うちにも倅がいるんですが、ふと『そういや君は、』あ、なんか改まって話を聞こうとすると倅に『君』とか『あなた』とか言っちゃうんですが、『そういや君は”妹や弟がほしい”って言ったことがないね?』と聞いてみたんですよ」と息子さんとの会話の話題に。その息子さんの回答に驚く。
親子の話から『初天神』に。
口の減らない金坊だが、最初は一応約束を守って屋台を見ても何も言わない。ただ屋台を見るたびに驚いたような顔をし、親父の顔を盗み見、それからガックリとうなだれるということを繰り返すのがおかしい。「黙っててうるせえってのはどういうことだ!」という親父のツッコミも納得。

扇辰師の一席め、「あけましておめでとうございます。皆さんご存知だと思いますけど……今年に入って全然休んでない。ヘトヘトです。寄席へ行くと楽屋でよく会うのが白酒さん、はん治師匠、三三さんあたりかな、もうみんな黙っちゃってため息なんかついてる」。お疲れ様です。
「暖かくていいお正月……といいたいところでしたが、元日から大変なことが起こりまして。なにも元日に起こることはねえじゃねぇかと思いましたがね……。まあ今回は若手が中心になってなにかやろうということになりましてね。……これは声を大にして言いたい。我々はノーギャラです! 木戸銭やチャリティオークションの売上は寄付されますんでぜひお越しくださいな」。とはいえ土曜の夜に開かれるらくごカフェのは即完売だったし、扇辰師や兼好師が出るばばん場は平日昼間だし……。新版三人集のメンバーが出る赤坂のは平日夜だから、行けるとしたらここかなあ。
「以前の中越地震のときにもやりましてね。私と……しょうがねえから白鳥さんとね。ヤだったけど。新潟出身だからさ。結構お金が集まりまして。それをジャラジャラ持って笑顔で『儲かるなあ!』って……。鬼かアンタは!」。……言いそう……。
「昨日は暖かったのに今日は寒くてね。風邪ひきそう。風邪は万病のもとですから。昔は病は四百四病と決まっていたんですが、その他の病が恋の病」と『雪とん』に。
田舎の若旦那の純朴さとカネに汚い糸屋の女中のキャラクターが楽しい。

二席め、「最近は初詣に行かなくなったんですが、今年は箱根の九頭龍神社というところに行ってきまして。箱根のホテルの社長からお誘いを受けて泊まりに行ったんですよ。10日は寄席の出番がなかったし、11日は早起きすれば間に合うんで。……まあ早起きなんざ剃るワケねえよね。なんで11日も休みにしてね」。……さっき今年に入って休みがないって言ってませんでしたっけ。
「1月11日で1並びで、辰年で歳男が九頭『龍』神社ですから。なにかいいことあるんじゃないかと」と神社信仰のから『紋三郎稲荷』に。
さんざん調子に乗っていた山崎平馬が、寝床に入った途端に「これはマズいことになったぞ……」と愕然とする落差がおかしい。

扇橋師の二席め、大師匠との思い出を話す。「動じない師匠でしたね。もしかしたら隣に爆弾が落ちても気づかないんじゃないですかね。荷物持ちでお供したときも、落語会の主催者が色紙を書いてくれっていうんです。普通そういうときって抽選会の景品用に2~3枚くらいなんですけど、30枚書いてくれと……。さすがにそれはちょっと、と思ったんですけど大師匠は『いいよ、書くよ』と。しかもすべての色紙で違う句を書いてるんですよ。しかも書いている途中でピタッと筆を止めて『なあここは”が”と”は”とどっちがいいと思う?』と聞いてきたり。すごい師匠だなあと思いましたね」。
「花が『散る』というのは桜だけなんですってね。梅だと『こぼれる』、菊だと『舞う』と表現するんですって。俳句といえばこういう雪月花ですね」と雪の噺へと入っていく。
おそらく扇辰師仕込みであろう端正で静謐な世界が広がる。暗くシンとした雰囲気が表現されているのはさすが。

日本橋ピッコロではとつかりょうこさんの作品展が開かれるらしく、作品が展示されている。扇辰師、扇橋師、つる子さん、一花さん、小春志師のイラストが飾られている。あー、わかるわかる。扇橋師は「師匠、つる子さん、一花さん、小春志ネエさんはすぐわかったんですけど、残りひとり誰だろうと……。で、脇に橋が書いてあったんで『あ、これ俺か!』とわかった。……私、今こう見えてるんですね……」と言っていたけど、すぐわかったよ。ああいう表情するする。やっぱりプロはさすがですね。
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