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入船亭扇辰独演会 〜扇辰落語手帖〜 [落語]

入船亭扇辰独演会 〜扇辰落語手帖〜
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰むめ『垂乳女』
入船亭扇辰『田能久』
入船亭扇辰『徂徠豆腐』

道楽亭が終わって3時間ほど空く。
一度帰ってとなると1時間休めるかどうかだし、何より新宿にいて次が中野なのに北千住に戻るなんて効率が悪すぎる。
なのでファミレスにこもってブログの記事を書く。時間が余ったら銭湯でも行くかと思って着替えも持ってきたのだが、なんだかんだで風呂でのんびりするには時間が足りなくなって結局ファミレスでコーヒーをがぶ飲みして時間を潰す。腹がたぷんたぷん。

辰むめさん、2月の上席から正式に前座として楽屋に入るのだとか。嬉しさ半分、緊張半分といったところか。
扇辰師によると『垂乳女』はネタおろしらしい。それにしては多少危ないところもあったものの、堂々とした話しぶり。
が、恒例のというか師匠からのダメ出しを喰らう。「気づきました? サゲの『よって件の如し』のときにアイツこうやって左手で酒を飲む仕草をしたでしょ。アイツね、ギッチョなんだよ。こういうところで出ちゃうんですなあ。酒を飲むのはこう右手でやらねえと」。左手だったのは気づいたけど、そんな右利き左利きの違いがあるとは。
「今日はネタ出しなんだけど、なんで『垂乳女』にしなかったのか。アイツの100倍は面白いよ」。そんな見習いと張り合わなくても。まあいつも弟子の後では同じように言っているけど。
「世間では今日までは正月ってことですが、もうヘトヘトです。自宅から一番遠いのは浅草演芸ホールなんですが、持ち時間3分とかだよ。これに往復2時間以上かけて行くの。鈴本は10分もらえるからまだいいけど。3分の持ち時間だって下手すりゃ前座さんから『師匠、今日は短く……』なんて言われちゃう。与太郎の小咄ふたつで終わりだよ」。まあねえ。俺も初席は行かなくなったなあ。
「それとこの時期お客さんによく言われるのは『稼ぎどきでしょ!?』って。どこからそういうことになったのかわからないけど、みんなにそう言われるんですよ。あのね、『これはネットに書かないでください』ってことはよく喋るけど、今日はその逆、『ネットに拡散してください』ってことを声を大にして言いたい。『年末年始は稼ぎ時なんかじゃない! 出銭が多くてピーピーしてる』。年末はお歳暮を持っていったり。新しい手拭いも染めなきゃならねえし。最近手拭いも高いんだよ。それに正月は前座さんとお囃子さんにお年玉を渡さなきゃならない。これが大金なんだよ。だからね、皆さん噺家に会ったらこのね、こういう袋を……。真打にお年玉あげたって失礼でもなんでもないんだから」だそうで。まあ忙しそうだから稼ぎどきだと思われるんだろうけど。
「正月だからおめでたい話でもいたしますか」と『田能久』へ。化ける噺だから昇進祝いなんかのときにはよく掛かるけれども、正月的なめでたさもあるのだろうか。
ややクサめに大げさなところが昔話的な感じになって噺の雰囲気によく似合う。

二席めのまえに抽選会というかプレゼント企画。色紙2枚と手拭いを一本。
くじ引きするのではなく、扇辰師が任意に番号を選ぶというもの。俳句だから五七五の17と短歌の三十一文字の31、理由は忘れたが25だか27だか。
驚いたのは当たった方のひとりが「私、紫檀楼古木の末裔なんですよ」と話したこと。これには扇辰師も「へえー、こんなことあるんだねえ」と驚いていた。

二席めはネタ出しの『徂徠豆腐』。席亭の「鬼社長」のリクエストらしい。いつもは年末に聴く風物詩だったが、昨年は聴いていなかったっけ。
やっぱり新年よりは年末の方が似合うような。
とはいえ七兵衛さんと荻生徂徠の真っ直ぐさが爽やかな一席で、めでたい雰囲気に一役買っている。

昼は暖かかったが、夜になると冷え込みが厳しいなあ。
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道楽亭初席 “俺たちの 時代2024” 2024年1月7日(日)【昼席】 [落語]

道楽亭初席 “俺たちの 時代2024” 2024年1月7日(日)【昼席】
於:新宿三丁目 道楽亭

柳家㐂三郎『初天神』
三遊亭天どん『新作(達成感)』
一龍斎貞寿『箱根駅伝100回目の奇跡』
蜃気楼龍玉『夢金』

朝猫にご飯をあげ、んーもうひと寝入りすっかと二度寝を決め込む。……起きたら12時45分。……やっちまった、開演15分前じゃねえか。一瞬行くのをやめるかとも思ったが、天どん師聴きたいなあと思って大急ぎで道楽亭まで。幸い……でもないが、ちょうどひとりめのごはんつぶさんが終わり、ふたりめの㐂三郎師が上がろうとしているところに間に合った。ごはんつぶさんも聴きたかったなあ。

㐂三郎師、恒例のダブルピースから。
「いいですね、ごはんつぶさん。狂乱の落語ですね」。何やったんだ、気になるー。
「この後は天どんアニさんで、天どん一門に挟まれてる。オセロだったら私も天どん一門ですよ。そしたら名前も『天むす』とかに変えて……そんな大きな名前はもらえないか、『タレ』とかですかね」。天どん一門の名前の大きさの基準がわかりません。
「私は新作はできないので……。といって龍玉アニさんほど本格派でもないという……。そんな落語でお付き合いいただきたい」と『初天神』に。飴玉から団子、凧揚げとフルコース。最後までは久しぶりに聴いた気がする。
「川には河童っていう怖え化け物がいて、お前のことをアタマからガジガジ齧るんだからな」という脅しが「河童というものは、柳田國男先生によれば水の神様が堕落した姿で……、尻子玉というものは……」とすごい勢いで語りだし、「妖怪博士か!」とツッコまれるのが㐂三郎師らしくて楽しい。

天どん師、「噺家は『正月は忙しいでしょう』と言われますが、完全に人によります。喬太郎師匠やたい平師匠の忙しさを見ていたら、僕が『忙しい』なんていえないですよ。一之輔くんなんかは普通にこなしてるみたいですけどね。◯ねばいいのに」と新年も相変わらず。
そうはいっても天どん師もいろいろ忙しそうで。「なのに預かり弟子のふう丈くんがいきなりやらかしましてね。詳しくはいえないんですけど」。なんか昨年に坊主にするほどしくじったらしいが、またなんかやったのか。「本来噺家なんて師匠が『破門だ!』と言えばクビになる特殊な業態なんですよ。それを分かったうえでやらかすんですから……」と嘆き節が止まらない。マジで何したんだ。
ひととおりグチをこぼした後に噺に入っていく。
友人と居酒屋で待ち合わせた男が、「いやあ大変だった、脚パンパン」と一駅分をママチャリ漕いでやってきたことを大げさにアピールしようとするのだが、友人や周りの常連客、居酒屋の大将の方が似たようなシチュエーションでもっとすごいエピソードを持っているというもの。
ちっちゃいことを大げさに話そうとするセコさや、それをあっさりと上回られて不貞腐れるところなど、いかにも天どん師の噺の登場人物らしくて楽しい。

貞寿先生は箱根駅伝がお好きらしく、今年の箱根駅伝の話や過去の山の神などのエピソードを。
箱根駅伝に1mmも興味がない身としてはなかなかツラい。毎年正月に「あーなんか走ってんなー」くらいの認識しかないので。

龍玉師、凍える寒さが伝わってくる『夢金』。
欲の熊蔵の図太さと侍の酷薄さがお見事。
やっぱりこういうピカレスク譚がよく似合う、といったら失礼なのかもしれないが、聴く方をグッと引き込んで離さない力がある。

返す返すもごはんつぶさんを逃したことが悔やまれる。まあ猫に囲まれて二度寝、というのはこの世のパラダイスなのは間違いないんだけど。
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