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黒門亭 第一部 3815回 [落語]

黒門亭 第一部 3815回
於:落語協会2F

柳家小じか『金明竹』
春風亭与いち『胴斬り』
林家鉄平『竹の水仙』
三遊亭金朝『本膳』
春風亭一蔵『芝浜』

二日連続の黒門亭。
今日は二部に佑輔さんと桃花師が出るらしいので、一部から通しでチケットとって最前列をキープする人がいて混むかもなーと思っていたら案の定通し券は売り切れたらしい。そんでもって一部も札止め寸前の大入り。うわあ。佑輔さんはそういう売り方が嫌で師匠を変わったという噂なので、まあ桃花効果なんだろう。すげえな。

ナチュラル落武者ヘアの小じかさん、与いちさんによれば上の師匠方からも「スヌーピー」と呼ばれてかわいがられてるのだとか。
旦那もおかみさんも松公に小言はいうものの、怒っているのではなくちゃんと叱るという感じになっている。
道具七品の言い立てもキッチリしていて心地よく聞こえる。最後の「ヒョーゴのヒョーゴの」のところがグズグズになっている人も多いが、小じかさんは最後までちゃんとしている。
回を追うごとにスピードが変わり、最後の方はかなりの早口なのだが、それでもちゃんと言えていた。上手いなあ。

与いちさん、なんかいつもより暑苦しい圧が強い感じ。それがまた荒唐無稽な内容の『胴斬り』とよく合っている。
どうにも理屈に合わない話を勢いで押し切ってしまう力業がなんとも面白くて心地いい。
あり得ない状況をみんなとりあえずは受け入れ、なおかつ仕事までさせるという大らかさがいかにも落語で楽しい。
足の方が喋り始めたときはさすがに驚くが、「どこで喋ってんだ……まあそこだよな」で済ますのもおかしい。

鉄平師、見習いの頃に圓生師をしくじったときの話を。前にも聞いたかも。その他にも談志師の話も。「あの人は本当はすごく優しい。照れ屋だからマスコミにはキツく当たる」というようなことを話していたが、家元も人によって言うことがぜんぜん違うんだよなあ。
最近ようやく「落語が面白い」と思うようになったそうで、「晩年に行くほど面白いと思う仕事というのはありがたい」とか。
細川公も大槻玄蕃も甚五郎であることを明かさず、本人の口から語られる形。聴いたことがないわけではないがちょっと珍しい。

金朝師を聴くのは初か。がっしりとした体つきで、声もストレートによく響く。
『本膳』を聴くのも久しぶり。田舎の秋の風景が見えるような穏やかな話しぶりで、なんかいいなあ。

一蔵師、「今日は暖かくてね。なんで『芝浜』なんてネタ出ししちゃったんだろうなあ」と昨日の小燕枝師と同じような愚痴を。つってもさすがに今年は異常すぎる。
「男に生まれたからには三道楽煩悩にどれかにはハマるとのことですが、私の場合は打つ、ギャンブルです」と若い頃のエピソードを語ってから『芝浜』に。先日の一朝師との会でネタおろししたもので、私は聴くのは初めて。
魚勝ではなく魚熊、いい魚屋だった魚熊が身を持ち崩していくところから描く(女房に起こされるところから始まらない)、拾う金額は五十両、それになにより魚熊自身が芝浜に行く描写がないという古今亭の形。他の人では三木助の形のほうが多いように思うが、個人的にはこちらの古今亭のほうが好きだ。とはいえ早朝の海の情景を描くのも捨てがたいんだけど。一蔵師は女房に財布を拾った経緯を語るところで少しだけ海の情景を語っていた。
酒をやめての三年後、店を構えるところまではいっていないのもリアル。棒手振りのままだけれども借金はない。
革の財布を出すときに「さっき『仕事をしなきゃダメだ』というおまえさんの言葉を聞いてもう大丈夫と思って出した」といいながら出す。この形もよく聞くけども、そうするとその後の「この話をしたらおまえさんに飲んでもらおうと思って酒の支度をしておいた」というセリフと矛盾しない?
しんみりというよりも一蔵師らしく賑やかで明るい雰囲気。それはそれでいいんだけど、個人的には「……やっぱりよすよ」という最後の手前の一言には戸惑いというか逡巡が含まれていてほしいんだよなあ。このひとことの雰囲気如何で最後の一言の重みがぐっと変わると思っているのです。素人考えだけど。
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