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東和寄席 “扇辰日和 in とうわ” [落語]

東和寄席 “扇辰日和 in とうわ”
於:北綾瀬 東和地域学習センター

入船亭辰ぢろ『出来心』
入船亭扇辰『蕎麦の隠居』
入船亭扇辰『片棒』

今日もハッキリしないグズグズの天気。降るなら降る、降らないなら晴れる! バイクに乗ってるときにポツポツと顔に雨粒が当たってくるのが腹立たしい。

一席め、「今年アメリカに行ってきたんですよ」とアメリカ巡業の話に。「呼んでくれた向こうの教授と事前に打ち合わせとかするんですが、『メールじゃ伝えられない話があるからZOOMで打ち合わせがしたい』と言われまして。時差が13時間あるんで、日本時間の7時半、向こうの18時半ですって。……そんな時間に起きたことねェのよ、こっちは。朝の6時くらいまで呑んでることはありますけどね。でも仕方ないから7時に起きてZOOMしましたよ。そしたら昼メシの相談だって。……なんでもいいよ。それでその昼メシがピザだったんだけど、ひとつは肉、ひとつは野菜、ひとつは貝で、確かにまあ美味いんですよ。でもみんな結局ピザなんだよ。カレーでいえばカツカレーとベジタブルカレーとシーフードカレー出されたようなもんだよ。……しかも1枚がマンホールの蓋かってほど大きいんだ。それをアメリカ人は大雑把ですなあ、ピザカッターで好き勝手に切る。だから同じ形をしたものが何ひとつない」。あーいかにもアメリカっぽい。「日本人ならこう……縦横斜めに切るじゃないですか。こういう形になるように」と扇子を少し広げてピザの形に。「まさか扇子をピザにするとは思わなかった」。
さらに夜にホテルで飲もうとした際にツマミがなかったため辰乃助さんになにか買ってきてもらったら……とオチがつく。この話は辰乃助さんか志の春師も言ってたな。
生きるためには道楽がなければならないが、その中でも食道楽は罪がないと『蕎麦の隠居』に。まあこの噺が最近のお気に入りだから、そうかもなーとは予想していたもののやっぱり最近遭遇率が高いね。
それにしても扇辰師の真正面に座ったオバちゃんは思ったことをそのまま口に出してしまうようで、マクラの時から相槌を入れたり問いかけをしたりして扇辰師に「……それをこれから言おうとしてるの。こっちにも段取りってもんがあるんだから」などと苦笑交じりにたしなめられていたが、噺の途中でも「(蕎麦を)ホントに食べてるみたい」とかいい出すのはまいった。それと噺の途中で普通のトーンで会話をしだすオバちゃんたちとか。あんたんちのリビングで演芸番組を見てるんじゃないんだから。郊外の地域寄席だとよくあるが、一応23区内なんだけどなあ。場所は関係ないんだな。
「最近は旅の仕事も戻ってきました。コロナ前なんか毎週のように全国を回ってました。それこそ北は北千住から南は南千住まで……」と最近は聞かなくなったベタなギャグを入れるが、北千住民からするとちょっと嬉しい。俺ァ落語の最北端に住んでるんだぜ、と。扇辰師も「これはここらへんでやるとウケるんだ、目黒区じゃ全然ウケないの」。でしょうね。スカした目黒区民になんざァ……とはいいながらも23区中23位だということは自覚しておりますよ。
蕎麦の食べっぷりと飄々としたご隠居の佇まいは相変わらずお見事でした。

仲入りのときに辰ぢろさんが「お配りしたチラシに『九代目入船亭扇橋十八番』がありましたが、すみませんそれ去年のでした」。うん気づいてた。なぜなら共演の弟子の写真が小辰さんだったから。最初は名前を間違えたのかと思ったがが、「令和四年」となっていた。たまたま近くにいた知り合いの手元には正しいチラシが入っていたようで、混ざっていたようだ。使ってる扇辰師の写真が去年と同じものなのも間違える原因だったのだろう。

二席め、「なんで去年のチラシなんか持ってくるんだろうねえ。この会は第1回めから前座はアイツでしたが、今日でもう最後です」。すかさず「かわいそう」と合いの手が返ってくる。おばちゃん……。
振り切るかのように「十人寄れば気は十色と申しまして……」とケチの小咄に。なんだっけなあ、なんかすごい面白いこといって、これはブログに書かなきゃと思ったことまでは覚えてるんだけど、どんな面白いことをいったのかは忘れそうだなーと思ったら案の定忘れた。俺の脳のメモリーの小ささが恨めしい。
扇辰師の『片棒』は三男がおらず、浪費家の長男と鯔背気取りの次男だけ。笑いどころの詰まったそのふたりだけに集中して練り上げ、密度の濃い噺になっている。どこを取っても面白いというのは演じるのもカロリーがいりそうだなあ。
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三遊亭萬橘独演会 笑いにおいでよ! [落語]

三遊亭萬橘独演会 笑いにおいでよ!
於:青砥 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール

三遊亭楽太『寄合酒』
三遊亭萬橘『二十四孝』
三遊亭萬橘『三枚起請』

前回兼好師の会でチケットを購入していた会。
そのときは同じ日に兼好師の予定が入っていないことを確認して買ったのだが、その後横浜で兼好師の会もあることが判明。oh…。とはいえさすがにチケット取ったのを無駄にするのもなあ。ここは先にチケットを取った方に素直に行きましょう。

一席め、いつものように日々の生活の中での愚痴やら独演会の途中で爺さんに帰られた話やら。話題を変えるたびに「この後ちゃんと落語やるから」と言い訳するのがおかしい。
『二十四孝』を聴くのは久しぶり。大家が説教をしていてもまるで響いておらず、まぜっかえされる。中でも「もろこしって四千年の歴史のある? それで親孝行なのが24人しかいねえの?」「お前はなんでたまに鋭いんだ」というやりとりが面白い。
全編に渡って小ネタが続々と仕込まれており、ずっと笑いが絶えない贅沢な噺になっている。
『孝行糖』にも出てくる老莱子だが、親に老けた姿を見せたくないとして七十を過ぎても子どものようにわがままを言って泣き叫んだりしたという。……そんなの現代にいたら孝行ものじゃなくて単なる高齢ニートの奇行でしかないような……。と思っていたらそれがサゲに使われ、高座の上で股引を曝け出しながら転げ回る。……天どん師みたいだな。というかこないだの天どん師との会と続いてそんなサゲの噺。

二席め、「カミさんが機嫌が悪そうなので『どうしたの?』と聞いてみたら『体の調子が悪いのよ!』って。こないだもまた機嫌が悪そうだったから『体調悪いの?』って聞いてみたら『別に!』。機嫌が悪い理由はいっぱいあるんだよ。女は強い……」と強い女が出てくる『三枚起請』に。
「三千世界の鴉を殺し 主と朝寝がしてみたい」という都々逸についての解説などは特になく、喜瀬川がお茶やに呼び出されたときに「どうも、お母さん。……目が赤い? 寝不足なのよ」と仕込むのが上手い。
男三人に追い詰められ、「なによ、起請渡した男があたしに文句を言いにきたのかい。あと18人はどこにいる!」というセリフがなんともおかしい。そりゃ考えてみりゃこの手の女が三枚だけで終わるはずがないよな。

終演後、事情により家には夜にならないと戻れないので時間を潰しにスーパー銭湯に。長風呂の俺にはこれが一番コスパがいい。サウナがあれば3~4時間くらい平気で過ごせる。今日の風呂はサウナが高温なので、混んでるが回転がいいのでストレスがないのがよかった。
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てんまんの会 その30 [落語]

てんまんの会 その30
於:日本橋 お江戸日本橋亭

ちゃぶ台トーク
三遊亭萬橘『麻のれん』
三遊亭天どん『牡丹燈籠~お札はがし』
三遊亭天どん『同じ仲間』
三遊亭萬橘『おせつ徳三郎~刀屋』

亀戸から一度帰って一時間ほど休んでからまた日本橋に。直接行ったらすごく近いんだけど、時間が半端に空いてしまったんで。

いつもなら仲入り後にちゃぶ台トークがあるのだが、今日はオープニングで。天どん師いわく、「主催者が前座を頼み忘れた」そうで。「だからお前のせいだよ、前座連れてこいよ」といちゃもんをつけるが、楽太さんも両国の手伝いに行っているようだ。
「真打って誰だよ。満堂? 知らねー。入門何年? 12年? これだよ。やっぱりお前んとこは早いよな。お前も俺より後に入門したくせに俺より先に真打になったろ」と天どん師のいちゃもんは止まらない。
いつものとおりトークはあっちへ行ったりこっちへ戻ったりととりとめがない。
天どん師の「お前芸協入り狙ってんな?」の振りに「入れてくんないよ、今日末廣亭で思いっきりスベってきたから」と萬橘師が答えたところ、天どん師が思い切り食いつく。「え、なんのネタでスベったの? おしえろよー」などと延々と絡む。萬橘師は「うるせえなあ、いいだろ!」とその話を打ち切りたがるが天どん師は「年にどれくらいスベる?」とか「もはや客が噺を聞いていないってこともあるよな」と放さない。結局萬橘師は教えてくれなかったものの、割と最後の方まで引っ張っていた。
その他わん丈さんの抜擢の話やら圓丈師が天どん師にキレた話とか。いろいろ面白くてここに書きたいこともたくさんあるんだけど、とにかくいろんな方向に話が飛びすぎてまとめきれない……。あとテキストで見るとふたりがバチバチにやり合ってるようにも見えるが、実際にはいつものように和気あいあい(?)とじゃれてるような感じ。

萬橘師の一席め、夏らしく『麻のれん』。
旦那から「遅くなったから泊まっていきな」と勧められて一度は遠慮するものの、特にそれ以上はごねることもなく素直に泊まる。そのためか酒をごちそうになるシーンなどもなし。
寝間に案内しようとすると、「この家は何度か上がり込んでわかっている」と割と物騒な答えが返ってくる。これがマジなのか冗談なのかがわからないトーンなのが何故かおかしい。

天どん師の一席め、「トークは先にやらない方がいいとわかりました」とぼやく。確かに最初にあれだけ話した上にグダグダになってしまうとテンションが保てないのかも……。
『牡丹燈籠』はもともと複雑な話だし、さほど起伏があるわけではないので淡々と。いつものハイテンションな天どん師とのギャップが楽しめる。……けどまあやっぱりぶっちゃけ圓朝物って面白くはないよね!? 天どん師も「まあせっかく季節なんで」みたいなノリ。

二席めはいつもの雰囲気に戻る。なんというか不条理ものというか『世にも奇妙な物語』的というか。
「俺はこの小銭を使い切ったら死ぬと決めてるんだ」と言い張る男が自販機でジュースを買い、「……死なない。俺は死を超越したんだー」という論理がすごい。というかよくこんな理論を考えつくなあ。
で、さらに似たような人も登場してカオス状態。そのもうよくわからない空間が楽しい。

萬橘師の二席め、「前回のこの会で天どんアニさんが『刀屋』をやったんですけど……。アレは私が噺を教えて貰っていたんですね。つまり前回のは私への稽古だったんです。……なので今日は私がやります」。って俺前回は行けてなかったんだけど、前回来た人はネタかぶってるってことか。そりゃまたすごいというか異例というか。
最後のふたりでどかんぼこんの場面はアクロバティックな仕草が入り、いかにも天どん師直伝らしい。

さすがに平日に落語ハシゴするのはやりすぎたか。なんか書くことが薄いなあ。
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亀戸梅屋敷寄席 令和五年七月六日 [落語]

亀戸梅屋敷寄席 令和五年七月六日
於:亀戸 亀戸梅屋敷 藤の間

三遊亭げんき『八九升』
三遊亭兼太郎『雛鍔』
三遊亭鯛好『もう半分』
三遊亭好好『やかんなめ』
三遊亭ぽん太『黄金の大黒』
三遊亭兼好『小間物屋政談』

有給。
申請した後に〆切のキツい仕事が2件(しかも期間が丸かぶり)入り、正直休んでる場合じゃないんだけど明日以降の俺が何とかするだろうと思いきって休む。
先日行ったときは売り切れだった海鮮丼にリベンジすべく今日は12時前に店に入り、追加で豚の角煮までつけて昼ビールと洒落込んでから梅屋敷へ。暑……。
少し早めに着いてしまい、ロビーで開場を待つ。結構な人数が待っていた。平日の昼間とは思えない客入り。

げんきさん、親子のツンボ、川越えのツンボの小咄からフルの『八九升』に。聴くたびに演る時間が長くなっていっている。

兼太郎さん、現在行われている真打昇進披露興行に少し触れる。まあ一門のタイムリーなイベントだから当然だとは思うが、個人的にはどうしても彼が「売れている」扱いされているが腑に落ちないというか。周りの知り合いもみな首を傾げてるのだが、世間的には一門内でも人気者のように扱われていて驚く。なんだか異世界にでも転送されたような感じ。
さてそれはさておき、世田谷の学校寄席へ行ってきた話をマクラに。「兼太郎先生」と呼ばれて面食らったようで、さらに年収までも聞かれたとのこと。「君のお父さんのクルマ1台分くらいかな」と答えて「うちの車ベンツです」……まあ世田谷だからなあ。
子どもの話から『雛鍔』に。春に掛けられることが多い話だけれど、確かに別にひな祭りが関わってるわけじゃないからいつだっていいのか。
兼好師と骨格は同じだが、細かいところが変えられている。これは兼太郎さんの工夫なのか。亭主がお屋敷のお坊ちゃんと金坊を比べたときに「なんでお前さんはそうやって比べるの。比べるから辛くなるんでしょう」というセリフはいいですね。「月とスッポン、天と地、兼好と〇〇!」もちろん〇〇には実名が入り、会場は大きく湧く。「お客さんの反応がすべてでしょ!」というとおり、やっぱりみんなしっくりきていないような……。
女房への小言のシーンもよどみなく、細かく笑いのジャブが続くのが楽しい。

鯛好さん、「げんきさんが18歳、兼太郎さんが34歳、私が54歳。兼好師匠と同世代です」。本来は鯛好さんが次の真打なのだが拒否して二ツ目に留まっているようだがこのあとどうすんだろ。
『もう半分』は結構合っているような気がする。

ぽん太さん、かなりスキンヘッドに近い短髪に。「普段はバリカンでやってるんですが、最近調子が悪いのでカミソリで……」だそうで。「噺家は坊主が多いんですが、いろんな人を演じるので……。あとはぶっちゃけハゲ隠しです」。ぶっちゃけた。鯛好さんからの三連続だからなあ……。
披露目の番頭補佐のようなことをやっているそうで、予約メールをひとりでさばいてるのだとか。
おめでたい噺として『黄金の大黒』を。
「青竹踏んでる」というワードに兼好エキスを感じるが、兼好師の型かは不明。

兼好師、マイナンバーカードについて「なんでこれだけ反対されてるのに強硬にやろうとするんですかね。なんかあるんでしょうねえ」と考察。
「まあでもせめて……団塊の世代がいなくなってからやればいいのに。あともうちょっとでみんないなくなりますから。……団塊の世代を前にしていうのもなんですけど。だって皆さんもう覚えられないでしょ?」。まあ50前の俺もよくわかってないけど。ただいろいろ新生はしてるしマイナポイントも全部申請してもらっているけれども。……もらったまんまで使ってないな。それこそNintendo Switchでも買うか。そういやWiiも麻生さんがバラまいた金で買った記憶が……。
「これがもっと進むとカードだけでカルテ代わりとかになるんでしょ? そしたら患者の取り違えとか出てきそうな気がするんですけどねえ。最近は目の前で起こっていることよりも、スマホに出ている情報の方が現実と捉えるそうですよ。だから雨が降っていようと、スマホの天気予報に晴れと出ていれば晴れなんだそうです」。さすがにそこまでではないとは思うけど……。
「鯛好、好好、ぽん太と3人続けて出てきてお寺みたい。昔はお寺に人別帳があって町人を管理していた」と『小間物屋政談』に。兼好師では4年ぶり? そんなに聴いてなかったっけ。
大家さんが『宮戸川』の叔父さんばりに早呑み込みの上、小四郎の一言からペラペラと喋りまくった上にどんどん脱線していくのがたまらない。
小四郎が戻ってきたときにおたきに「お茶くれる?」とお茶をもらい、一杯飲み干したところで「もう半分」と要求してパニックに陥れるのがおかしい。こういうアドリブはさすがだなあ。
お白洲の場面で、若狭屋の若女将の方がおたきよりも若くて美人、という表現などは一切なし。なんか最近のエイハラとかルッキズムとかに配慮したんだろうか。まあでもこの噺の一番の被害者はおたきのような気もするが。

帰りの電車で兼太郎さん、ぽん太さん、校好さんと会う。ぽん太さん好好さんは両国亭での手伝いがあるそうで両国で降りるが、兼太郎さんはしのばず寄席での出番があるということで御徒町まで一緒に。ごめん俺このあとに天どん萬橘師の会があるんだ。なぜか兼太郎さんが「女流二ツ目の中で一番かわいいのは立川だん子である」熱弁を振るわれるがひとつも理解できないうちに御徒町まで着いてしまった。俺は普通につる子さんとか祐輔さんの方が……。
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扇橋・朝枝のガリ勉3 [落語]

扇橋・朝枝のガリ勉3
於:高田馬場 ばばん場

オープニングトーク
入船亭扇橋『悋気の独楽』
春風亭朝枝『六郷のたばこ』
春風亭朝枝『加賀千代』
入船亭扇橋『薮入り』

朝起きて猫にご飯あげて二度寝して猫のトイレ掃除とついでに人間のトイレ掃除して昼飯食いついでに靴やTシャツを買って落語に。……うんやっぱりゲームする時間なんてねえな。

まずはトークから。
前回朝枝さんが出囃子が鳴ってからもなかなか高座に上がらなかったので袖の扇橋師から「小三治か!」とツッコまれていたが、その話など。ばばん場の楽屋は高座の裏にあるのだが、そうすると楽屋を出発して袖に行くまででようやく半分で、そうなるともしそこにカフェがあるなら入りたいくらいなのだという。??? 扇橋師も「それはもうカフェだろう!」とよくわからないツッコミ。
さらにトークがあると朝枝さんは「フォームが崩れる」らしい。高座の前に長い時間トークをしているとそっちにひっぱられてどういうトーンで落語を話せばいいのかわからなくなるらしい。「あとアニさんは近所の仲のいい先輩みたいな感じで、先輩の家に遊びに行っているような感覚になる。それを切り上げて『帰ります』『なんだよ、夕飯食べてけよ』『いや、家でカレーらしいんで』『そうか、じゃーなー』『……カレーか……』みたいな感じで家路についているテンションなんですよ、高座に上がるときは」とさらに分かりづらい例えをぶっ込んでくる。
その後、朝枝さんは夏物の着物を一着も持っていないそうで、今日も単衣らしい。なお扇橋師は麻の着物。「えー、後ろの人は違いわからないでしょ?」と朝枝さんは言っていたが、麻物くらいは遠目でも見てわかるよ……。
「なんで作らないの?」「今年は作ろうと思って……」「今年の夏物は今から作ったら間に合わないだろ!」「まあそうですね、でも作ってもらいますよ」「その『作ってもらう』っていうのは誰かお旦におねだりするってこと? それとも職人さんにってこと?」というような話になるが、どうにもお互いの会話がなんだか噛み合わない。
それから朝枝さんは仕事には頑なに着物を一枚しか持ってこないそうで、どうも着物にはまったく頓着していない様子。

扇橋師の一席め、日曜の夜にこれだけ集まってもらってありがたいという。「我々は曜日の感覚というものがないのですが、最近は日曜に家に子どもがいる。それに足を剥離骨折しているので外にも行かない。今日も私が仕事をしているリビングのテーブルのところに来て『父ちゃんここにロープウェイを作るからどいて』といわれた。自分の机からロープを張って遊ぶんですって。ロープを張ってどうするのかなと思ったら、レゴの人形の足にロープを通してた。逆さ吊りになった人形が落ちていくんですよ。あれウチの子サイコパスかな? ……将来朝枝さんみたいになっちゃうんですかねえ」と苦笑い。でもまあ子どもなんてそんなもんじゃないですかね。いないからしらんけど。俺も子どものころ余ったキン消しの手足を切って他の超人にくっつけてたら母親に心配されたことがあったっけ。でもキン肉マンは他人の手足を結構簡単に奪ったりするから原作通りといえば原作通りなんだけど。
閑話休題、昔は妾を持つことも常識のひとつだったと噺に入る。なんでそんな話の流れになったんだっけな……。
旦那が出かける場面でお内儀さんが「お着物は単衣のままですけどよろしいんですか!?」とさっきの話題を入れこんでくるのがおかしい。
小僧の定吉の生意気ぶりには拍車がかかり、お妾さんの家を見て「いいお宅でゲスね」と幇間のように呟くのがクスリとさせる。

朝枝さんの一席め、やっぱりなかなか出てこず、扇橋師から「小三治か!」と声が掛かる。
「トークなんですけどね、ああいうことをいうとアニさんがすごく困った顔をするんですよ。……それを見たくて……」とどうやらわざと噛み合わない受け答えをしている模様。ドSなの?
『六郷のたばこ』は初めて聴く噺。『たばこ好き』という演目名もあるようだ。とにかく煙草の産地と味の違いをどんどん並べていく。笑いどころはあまりなく、言い立てのように「こんな長くてややこしい噺を覚えたのすごいでしょ」ってネタなのかな。私も以前は煙草を喫っていたが、あんな味の違いなんてわからん。ある程度重いのならなんでもよかったしな……。煙草やめて13年くらい経つけど、いまだにふと喫みたくなる。けどこの噺は聴いただけでクラクラしそう。

二席めの『加賀千代』は一之輔師に似ている感じ。まあ一門なんだから当然なのかもしれないが。
しかし人物の描き分けもキッチリとされている。ホントに二ツ目? そこらの若手真打よりも間の取り方も上手くて、おじさんの噺家を聴いているような気になってしまう。

扇橋師の二席め、「彼はネタが偏ってる。一体どんな子どもだったんでしょうね」と子どもを奉公に出す『薮入り』に。そういや夏の薮入りが近いのか。
以前はあまり好きではない噺というかどちらかといえば苦手な噺だったのだが、最近はそこまででもなくなった。
夜中に夫婦ふたりでもてなしプランを練っているときに「煙草吸わせるか」と朝枝さんのネタも拾う。
母親が亀吉のガマ口を覗き、「初めてのやどりに十五円は多くないかい」と亭主に「お前も嫌な想像を察しろ」といわんばかりにしつこく食い下がる場面が特に苦手なのだが、扇橋師はそこをあっさりとやり、「女房の言葉にすぐ考えを変える軽薄な亭主」として笑いに持っていっているようにも見える。全体的に重ったるい感じにならないように気を配っている印象。

会場内がエアコンの効き過ぎで半袖で行ったら寒いのなんの。凍えた状態でバイク乗ったらこれまた寒い。まさか7月に寒さで歯を鳴らすとは思わなかった。
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第五回 優々白書 [落語]

第五回 優々白書
於:神保町 らくごカフェ

オープニングトーク
桂優々『手水廻し』
三遊亭兼好『粗忽の釘』
桂優々『船弁慶』

最近兼好分が足りない気がする。
こないだも書いたけど、独演会や二人会よりも大物とのホール寄席への出演が多い。
今日も大手町ホールでの江戸東京落語まつり。吉笑兼好雀々わん丈文珍で5800円。……いや悪くないよ。悪くないけどさあ、さすがにこれに5800円はなあ……。
ということで普段なら行かないけど、ゲスト出演の会に。
私が上方落語が苦手だから優々さんにはほぼ馴染みがないが、正月に一度聴いたときはそんなに嫌じゃなかった。さらにゲストとのトークもありということだから、兼好師一席分よりもオトクなのは間違いない。
雨模様のため電車でらくごカフェに。
……おおん? 7人しかおらんぞ。……え、兼好師ゲストなのに? いやまあ贅沢っちゃあ贅沢だけど。
兼好師は江戸東京落語まつりから駆けつけたのだろう、結構ギリギリに会場入り。入り口近い席だったからよく見える。久しぶりのらくごカフェだからか、どこから入るか戸惑っていたのはご愛嬌。

まずは優々さんがひとりで出てきて兼好師を呼び込む。「こんなに狭いんだ……」と戸惑っている様子。見台もあるしね。
優々さんと兼好師はもちろん面識はあるのだろうが、そんなにお互いのことを知っている感じではなさそう。
兼好師から「出身はどこなの?」と聞かれ、優々さんは滋賀出身だと答える。「あー、わん丈くんと一緒なんだ。さっきまで一緒だったけど」「そうなんですよ、アイツ滋賀の仕事全部持っていくんですよ! ……いややめましょ、アイツの悪口や愚痴になりそう」。上方には滋賀出身者はたくさんいるが、東京にはわん丈さんともうひとりくらいしかいないらしい。
滋賀は関西弁でも落語用の大阪弁とは違うらしく、かなり直されるそうだ。全然わかんないけど。兼好師が福島出身ということで「訛り直すの大変じゃなかったですか?」ときかれるも、「東北弁は『訛ってる』と自覚があるから直しやすい。訛りがいつまでも直らないのは茨城とか千葉、山梨あたりの人」「あー、微妙に訛ってる方が……」「いまだに訛ってる人もいる。でも東京はいろんなところの寄せ集めだから、あまりみんな厳しくいわないんだよね」「大阪はオバちゃんが厳しいんですよ。気持ち悪いらしくて絶対に許してくれない」そうで。
「そういやさっきおたくの師匠と一緒に仕事だったんだけど、『なんや、これから満堂のとこ行くんかい』っていわれたから『いやいや、あなたのお弟子さんと仕事ですよ』って答えたら急に小さくなって『すまんなあ』って……。かわいがられてるねえ」「師匠は仕事で一緒になった人に連絡するんですよ……。こないだもたい平師匠と仕事だったんですけど、僕の携帯じゃなくてたい平師匠の携帯にメールしてて……」。ちょっと意外。
「そういえば昨日ニュースに出てましたよ。好楽師匠が『圓生はもう決めている』って……」。お、それは俺も聞きたかった。明確な名前は書いてなかったけど、あれは完璧に兼好師のことを言ってたはず! と思っていたら「え、そんなことあったの。でも師匠は飲むとずっと言ってるよそれ。もう5~6年くらい前から。『うちの一門ヤバいな』って……。だからその記事も師匠を飲ませて聞いたんじゃないの」とサラリとかわす。えー。まあでもてことは兼好師ももう飲み込んでるってことかな! さーて襲名披露の祝儀貯金を始めるか!
今日から真打昇進披露が始まるが、兼好師は「満堂ってねえ。声に出すとねえ……」とニヤリ。「そんなこといったら南光師匠はホントは『萬光』になるはずだったんですよ。これ結構大きい名前なんですよ。でもテレビじゃ無理だって言われて」「へー。まあ確かにダメだろうね。あとは『百生』もテレビはダメ。ちゃんとした名前なんだけどね……」と名前の話で終わり。まあ俺も彼には何の興味はないけれど。

優々さんの一席め、奥さんがお酒が好きで、目を離すとウーバーイーツで酒を頼むらしい。すげえなセレブだな。「私は大阪に行くときに飲んだりしますが、もう小旅行気分ですね」と旅の噺を。
あ、奥様は優々さんの名前でエゴサをするのが趣味だそうですが、万一このブログを見ることがあれば、大丈夫です、ご主人は頑張っていらっしゃいます。
本来上方の噺だと思うが、上方落語で聴くのは初めて。
「手水」が「テョーデュー」になるパターン。

兼好師、「昨日まで岡山の学校を回ってまして。昔はそれこそわん丈くんが前座で、喬太郎師匠がいて、和助師匠がいて、小三治師匠で一公演200万とか普通にあった。しかも学校ってお金の感覚ないんで払っちゃう。で、お金のないところは助成金もらってひとりだけ呼ぶ。……そういうところを回ってきました。9校くらい回ったんですが、どこも6年生が一番多くて10人くらい。で、徐々に少なくなっていくんじゃなくて、5年生はもうその半分くらい。その下の学年はそれぞれひとりずつ、なんてことが多かったですね。……だから今日の状況には慣れてます」。
「持ち時間が90分あるんですが、子どもは飽きてしまうんで前後2回に分けた。で、演るネタといったらもう『転失気』です。だから今できるネタは『転失気』しかないんですが、『手水廻し』と同じ噺ですから……。で、ずっと『転失気』をやっていると、頭では他のことを考えながら口だけは動いている。子どもはそういうところを見抜きますから、それじゃいかんということで他のネタを掛けた。そしたらまったく理解できなかったのか『なにをいってるんだこのおじさん』という顔をするんですねえ。……その噺をしたいと……」と『粗忽の釘』に入る。小学生にはこの噺の面白さがわからんのか。もったいない。
相変わらず亭主と女房のパワーバランスが絶妙。
女房に威張ろうとああだこうだ小言を言いつつ、結局は女房がいないとなにもできないのが透けて見えて微笑ましい。
……腰巻きのくだりは小学生相手にやったのだろうか。

優々さんの二席めは仲間内で川遊びへ行こうとする噺。
こちらでも女房の尻に敷かれた亭主が主人公として登場する。
主人公は川遊びの芸者が主人公のことを「誰かのお供としてしかきたことがない」として「弁慶さん、またはひっくり返してけべんさん」と呼ぶのが気に入らないといい、友人が「もし芸者がお前のことを弁慶、けべんと呼んだら割り前を取らない」という。
先日落語好き仲間と話していて、「弁慶」という言葉には「タダ酒を飲む人」みたいな意味もあり、『青菜』の「弁慶にしておけ」というひとことはそういう意味も掛かってるんじゃないか、ということをいわれたのだが、これはまさにそんな感じ。
でまあ船の中で割り勘負けをしないように主人公が意地汚く飲み食いをするのだが、なんかこういうセコいところがやっぱり苦手。多分それが笑いどころなんだろうけど、やっぱり見栄っ張りの江戸文化とはちょっと違うなあ。

雨も上がっていたので秋葉原の方まで歩く。
最近なぜだかやたらNintendo Switchが欲しくなっている。ゼルダの新作とかやりたい。
……いやわかってるんだ、買ったはいいけちょっとやっただけで飽きる上にやる時間もほとんどないのですぐにやらなくなるんだ。スーパーファミコンミニとかPCエンジンミニとか買ったけど、特にPCエンジンなんか1~2回しか触ってない。
さらに以前Wiiを買ったときはそのひと月後にWii Uが発表されて、ソフトも数本買ったのに結局ゲームした総時間数としては多分20時間もやってないんじゃないかなあ。その同じ轍を踏みたくはない……。せめて買うなら中古にしてダメージを最小限に……と思いしばらく逡巡した後、買わずに帰る。こんなブログでも書くのに数時間かかるからね、ゲームする時間なんてないよね。
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