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池袋演芸場 七月下席 七月二十九日 昼席 [落語]

池袋演芸場 七月下席 七月二十九日 昼席
於:池袋演芸場

春風亭一蔵『大師の杵』
古今亭菊太楼『祇園祭』
笑組 漫才
入船亭扇辰『千早振る』
古今亭菊之丞『湯屋番』
柳家さん助『夏の医者』
柳家小満ん『夢の酒』
林家楽一 夕涼み 花火 津軽三味線を弾いている私 金魚すくい
入船亭扇橋『佃祭』

黒門亭から大急ぎで池袋へ。これまでこのルートをきたことないな。上野池袋のハシゴはなかったか。

一蔵師までに間に合わないかと思ったが、なんとかおもよさんが身投げをするあたりから入れた。今日は隅田川の花火だから、テキヤ時代のマクラだったのかな。「一蔵ひとりの会」がまだ再開していないので最近一蔵師とご無沙汰。披露目のパーティーでも言っていたように、寄席が主戦場になっているようだ。

菊太楼師、京の男のイヤミな感じが大げさでおかしい。

扇辰師のハシゴも実は初めてか? マクラでも「今日はもう黒門亭で一席やってきた。……ですので今は抜け殻です。やる気が出ねえんだよ。それに一蔵も菊太楼もうるせえよ。よくあんな大声出せるな。けど楽屋じゃぐったりしてるんだよ」。
そんな扇辰師も千早が乞食に身を落としたときには浪曲仕立てで唸りまくる。

さん助師、噺に入って医者の先生が出てきた場面で「……あっ、ここで羽織を脱ぐんだった……」と大慌て。さっき黒門亭で天どん師がいってた話と偶然にもリンクする。「着なおさせてください」と改めて羽織を着、「これがライブ芸ですから。……代演なんで勘弁してください」。

楽一さん、切り絵はだいぶ上手くなったと思うんだけど、話すタイミングというか間がなんか妙。話すスピードも遅いし、妙に溜めるので、「このあとなにか言葉が続くのかな?」と待つと何もなく「……リクエスト……」となるので客もリクエストが出しにくいし、受け取るときもサッと貰って引き上げるというよりも高座の前で時間がかかる。あれは多分なにかをお客さんに話しかけてるんだろうけど、受け取った後に引き上げるタイミングを逃しているように見える。だからなんか妙にハラハラするというか……。

扇橋師、「今日が一番力が入ってる。……まあ明日も似たようなことをいうんでしょうが」。
久しぶりに制限のない夏で各地で祭も賑わうというところから『佃祭』。扇橋師では小辰時代含めても初めて聴く。そうだっけ? 何度か聴いたような気もするんだけど気のせいか。
長屋の連中が悔やみを言いに来る場面で、与太郎の悔やみがいちばん心に刺さるという演出もどっかで聴いたことあるんだけどなあ。扇辰師……でもないような気もするし……遊馬師だったかな?
あと次郎兵衛さんが戻ってきたときに「じゃあ次郎兵衛さんはいままで女と酒を飲んでたってことですかい?」と話をややこしくするのも誰ので聴いたんだっけなあ。
ありの実のところはなく、無事に帰ってこられてよかった、糊屋の婆さん早桶いるかいというところで「『佃祭』というお話でございます」でサゲ。扇橋師らしく綺麗にまとめられている感じ。

外に出てみるとまだまだ日差しが強い。池袋の路地裏はバンコク感が強くてちょっと楽しい。
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黒門亭 第一部 3760回 [落語]

黒門亭 第一部 3761回
於:落語協会2F

柳家しろ八『子ほめ』
三遊亭ごはんつぶ『スクキャット』
入船亭扇辰『蕎麦の隠居』
林家時蔵『新聞記事』
三遊亭天どん『鰻の幇間』

暑ーーー。
バイク乗ってると爽やかでいいんだけど、直射日光がキツい。それにバイクだと汗がすぐ乾くので脱水に気づきにくくて実は結構危険だと聞いたことがある。気をつけねば。
でも服が汗だくになるのは困るけど、やっぱり夏はいいですな。夏生まれでタイ好きというのもあり、夏が一番好き。道路の照り返しの熱を受けながらどこかから何かが饐えたような匂いが漂ってきたときに目をつぶればそこはもうバンコク。排気ガスの匂いが混ざれば尚良し。
開演15分前に着くとどうやら最後のひと席だったようで、開いている座布団が一枚しかない。危なかった。この顔付けなら混むだろうとは思っていたけれど。最終的にはお膝送りをしてあと2~3人追加。座布団席ならではですな。

しろ八さん、落ち着いた語り口で声もいい。じっくりと聴けてこれはなかなかの期待株なのでは? と思っていたら、番頭さんと「顔が黒くなった」と話している場面で「……このあと何いうんだったかな」と八公が仕込んできたことを忘れたという演出なのかと思ったら本当に忘れたらしい。えええ。『子ほめ』なんて前座の必修みたいなもんじゃないの。慌てつつも八公と番頭さんが協力して次の場面へ。
ところがここでも「赤ん坊はどこだ」「そこにいるだろ」「……小せえな」といきなりやってしまい、「お祖父さんと間違える」というボケを潰してしまう。大慌てで「もう一回やらせてくれ」と長屋に入るところから。
ただこれがまあウケる。堂々と「間違えた」と言い放ち、あまつさえ言い訳までするという図太さが楽しい。
さらに降りる際にめくりをめくるのだが、おかしなめくり方をしてごはんつぶさんの「三」の字が隠れ、しろ八さんの「八」が見えたままになっており「遊亭ごはんつぶ八」になってしまっている。

ごはんつぶさん、髪を伸ばして後ろにまとめており、その端正な顔立ちもあって今どきの女子っぽい。こういうこと書いてもルッキズムだのジェンダーハラスメントとかになるのだろうか。
さておき、客席のざわめきが気になったようで、「どうかしましたか?」と高座を降りてめくりを見て「なんだコレどうなってるんだ? ……(めくりのすぐ上の隙間にめくりを差し込んでさらにそれを一番上に回してる)学校で裁縫を習ってるような気になりますが……」。高座に戻って「でも私もこないだまで前座でしたからわかるんですが、黒門亭の前座になるって大変なんですよ。9時半くらいにここへきて準備して、しかも前座はひとりしかいないので楽屋での師匠のお世話とか太鼓とか全部ひとりでやらなきゃいけない。それを一部と二部どちらもやって、さらに夜は鈴本へ行って仕事をする。……ということはですよ、彼は今日の中で今が一番コンディションがいいんです。それでアレ。……2部も聴いてみたくなりませんか」。気になるなあ。今日はそのまま池袋行くから聴けないけど。
噺はスクワットをする猫、スクキャットを飼っていると自称するふたりの会話がメイン。猫は外飼いなので自由に出かけられ、どうやら二重生活をしていたんですねえという会話の中で、この分だともうひとりいるんじゃ……となる。猫飼いとしては外飼いすんなと思うが、これが重要なポイントとなる。

扇辰師、そうかなーと思っていたらやっぱりそうだった。まあこの噺をやるのは現在扇辰師しかいないので、扇辰ファン以外の人には珍品を聴いてもらえるしこういう会のこういう出番ならまあそうなりますわね。「今やってて一番楽しい噺」らしいし。

時蔵師、「最近の黒門亭も変わりました。まさか前座が一番ウケるとは……。昨日は私も独演会で『鰻の幇間』やったんですがね、……やったら怒るだろうなー」。それはそれで面白い気はするけれど。

天どん師はネタ出しの『鰻の幇間』。もうコレ絶対面白いやつじゃん。ボヤき芸の天どん師が、騙されたと知ったときの一八の嘆くところをやっているのを想像しただけでもう面白い。
「今日は僕はね、マクラで羽織を脱がないことだけを気をつけてやりますよ。幇間とか侍の噺は羽織を脱がないほうがいいんですけど、ついマクラで脱いじゃったりするんですよ。そうすると後で大変になりますからね、気をつけないと」。そんなところだけを気をつけるって。
二階のお座敷に通されると、隣のいい座敷にお祖父さんが寝ているというのは初めて聞く形。
天どん師の嘆き節は予想を裏切らずに面白かった。仲居さんの口調が独特で、必ず尻上がりになりそれによってイラついているのがおかしい。
「なんだこのお猪口。兵隊さんが出征のときに配ったやつだろ。こんなもの出すなよ、もはやこの兵隊さんがどうなったのか気になるだろ」「隣で寝ておりますぅー↑」「隣の爺さんかよ!(敬礼)」というやり取りが天どん師らしくて好き。

さて急いで池袋に向かわねば。
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