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第二十七回 東海道神奈川宿寄席 [落語]

第二十七回 東海道神奈川宿寄席
於:桜木町 横浜にぎわい座芸能ホール

三遊亭げんき『八九升』
三遊亭兼好『熊の皮』
春風亭一花『お菊の皿』
春風亭一花『四段目』
三遊亭兼好『不孝者』

あっつー。いや暑いのは好きだからいいんだけど、こらあタイと変わらん暑さですな。
ブログがたまって電車の中でも書きたいんだけど、NHKラジオで小痴楽師の番組のゲストに兼好師が出ており、その聞き逃し配信が今日までだったので行きの電車内で聴く。二ツ目昇進直後の音源が流されたのだが、『蛇含草』はその頃にはもうほとんど固まってたんだな。それにしても声が若い。

げんきさん、聴く度に少しずつ成長が見えるのが楽しい。

プログラムでは一花兼好一花兼好だったが、やはりというか兼好師が先に出てくる。まあ階級が違うからそういう番組なのかもしれないが、兼好師は二ツ目さんとでもABBA方式にするよ。というか単純に仲入りとトリだと大変だからかもしれないけど。
兼好師の一席め、「暑い中ここまできてくれて、もうそれだけで嬉しいですね。特に昨日一昨日は少し涼しかったのでこたえますね。こないだ鹿児島に行ってきて、確かに南国だから暑いんですが、まだ木陰に入ったり少し高いところに行くと涼しくて逃げ場がある。東京や横浜の都会には逃げ場がないですね。だから寝ましょう。今日は前座を含めて五席ですが、そのすべてを楽しもう、なんて考えちゃダメです。寝て体力を温存しないと。五席のうち二席でいい、とそんな気持ちでいましょう。なので私を聞いて、一花ちゃんで寝て、仲入り後にもう一度寝て、最後を聴くとかでいいんじゃないですか」。まあ私はそれでも構わないけれども。
「ご存知の通り一花ちゃんは旦那さんも噺家。私は両親が公務員の家で育ったので、夫婦が同じ職場にいるということが信じられない。特に噺家だと夫婦で同じように売れないとね……。だって亭主にポチ袋は渡せないでしょ」。まあ今でも結構格差を感じるけど……。馬久さんも面白いと思うけどね。
落語ではおかみさんが強くて亭主がぼんやりしている方が多い、と『熊の皮』に。亭主をこき使いながらもなぜか嫌な感じをさせないのがすごい。

一花さんの一席め、「兼好師匠の会ということで緊張しております。私の名前はそこのメ◯ラに書いてありますとおり……メ◯ラって言っちゃった。もうカミカミです」とのこと。
「先ほど兼好師匠にも言っていただきましたが、私はコロナ禍に結婚したんですよ。なので結婚式もできていない。そんな中、新婚旅行がてらおいでよと新婚寄席を開いてくれた方がおりまして……5日の日程の中、2日めに私が陽性になりました。高熱が出て……車に乗った状態でPCR検査を受けてそのまま待ってたら宇宙服を着た医者が車まで来てウィンドウを少し下げた状態で『陽性です』って……。もう隣りにいるんだからダンナも陽性ですよ」と夫婦で大変だった様子。夫婦で占いに見てもらった話などもして、『お菊の皿』に。
やはりお菊を演じるのは女性の方が自然で楽しい。

二席め、学生時代は演劇にのめり込んでたといい、そこでは演出から出演まですべてができるところだったそうだ。「ひとつだけ苦手だった分野が衣装。どういう組み合わせがいいのかとかまるでわからなくて……。今日も羽織と座布団が同じ色になってる」と苦笑する。
お芝居の話から『四段目』に。
やはり女性が演じると自然に見える小僧の噺。こういう演目選びは上手いなあ。
定吉の無邪気さとちょっとしか狂気がうまく合わさっているように見える。

兼好師の二席めは昨日扇橋師でも聴いた『不孝者』。実は昨日扇橋師を聴きながら、「いいんだけど、兼好師匠の素晴らしいの聴いてるからなあ……」という思いも頭の中に少しだけあった。ヤな客。自覚はあります。
とはいえやはりこれは大旦那と同じく、ある程度の歳を重ねないと出せない味わいがあるだろう。
恨み言を言うまいと抑えながらも言葉の端々から未練が滲む欣弥と、それに戸惑いながらも昔の女の変わらぬ心に安堵する大旦那の表情が素晴らしい。これはもう芝居ですな。

終演後も日が高く野毛で一杯と洒落込もうかと思ったが、暑いしなんだか人はいっぱいいるしであえなく退散。
酒は家にたくさん常備してるし、わざわざ外で飲むこともねーか。
ブログ書いてないの溜まってるから書かなきゃなーと思いつつ帰りはNHKラジオの『真打共演』で兼好師とこみち師の落語を聴きながら電車で過ごす。漫談のナオユキさんて初めて聴いたけど、こんなに面白いんだ。今度どこかに聴きに行こうかな。
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