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第5回 兼好集 [落語]

第5回 兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

柳亭市遼『金明竹』
三遊亭兼好『湯屋番』
柳家小ふね『熊の皮』
三遊亭兼好『ねずみ』
三遊亭兼好『お化け長屋』

18時45分開演とちょっと早い。
そうすっと定時前に上がるしかないんだけど、そういうときに限って帰ろうとしてるときにやるなんやかんやくる。ああもう呼び止めんな俺を! とも言えず大急ぎでメール返信したり。
またそういう時に限ってエレベーターに乗ると各階で止まったり、電車で非常停止ボタンが押されたり。もおおおおおお。結局着いたのは市遼さんの松公が店番を始めたあたり。

それにしても市遼て前座っぽくない立派な名前だなあ。ただ、「遼」の字がまあスマホじゃ出てこない。普段よく使う漢字じゃないから変換候補として出てこないし、「遼」が含まれる単語もあんまりないし。かろうじて「遼遠」くらい。それにしたって「良縁」とか「梁園」とかの後に出てくる。うん、まあ八つ当たりです。
なんか途中から入ると噺がまったく入ってこなくなってしまうんだよなあ。

兼好師の一席め、通信障害に触れ、「我々の世代、学生の頃に携帯がなかった世代はスマホがなくてもそんなに慌てない。ないならないで意外とすぐに昭和に戻れるんです。でも若い世代はダメなんでしょうねえ。兼矢に用があったので連絡を取りたかったんですが、アイツはauでつながらない。アプリでけろよんとは連絡ができていたので、けろよん経由で自宅に呼び話をしたんですが、(兼矢さんが天然なので)話が噛み合わない。面と向かったって話が通じない」と笑わせる。相変わらず兼矢さんはいいキャラをしている。二ツ目に昇進してから聴きに行けてないなあ。
「先日電車で座っていたら、男子高校生の団体が十数人乗り込んできたので『うるさくなるんだろうなあ、嫌だな』と思っていたら、全員、全員ですよ、スマホを取り出してひと言も発しない。明らかに運動部ですよ、じゃれあったり騒ぐかと思ったら、電車を降りていくときも何も言わずにひとりまたひとりと降りていく。……『お前らちょっとは騒げ』と思いましたね」と最近の若者の話から昔の若者、いわゆる若旦那への話になって『湯屋番』に。
妄想の中でイイ仲になる小唄の師匠との馴れ初めの場面で、「いい女は肩から脱ぐ」と服を脱ぐ仕草をしながら見つめ合うふたりの動作がおかしい。

ゲストの二ツ目は最近昇進したばかりの小ふねさん。5ちゃんとかでの評判はやたら高い。
「夢は公務員です。親からは噺家を反対されています。親戚からも反対されています」と身も蓋もない自己紹介。なんか独特の雰囲気を持っている。兼好師も「なんだかフラがある」と賛辞を送る。
噺の印象としてはなんとなくザラついているというか、なんかちょっと乱暴なところがあるなーという感じ。あくまで印象。「どこが?」と聞かれてもうまくいえないけれど。

兼好師の二席め、七夕の話題。街中に飾られていた短冊をひといじりし、東北の夏祭り、仙台の七夕へと移って『ねずみ』に。ちょうどひと月前にも聴いており、兼好師のローテーションとしてはほぼ最短。
近所の生駒屋が場をかき回すのはいつもどおりだが、今日は泣かせる場面が長めでドタバタ感は控えめ。こういう感じは珍しい。

三席め、夏は怪談話として「旭堂南湖さんは上手いですね。淡々としていて非常に怖い。我らが萬橘くんは真面目に話しているのに面白いという……」といつもの萬橘師いじり。マクラの流れで『お化け長屋』か『応挙』かはたまた『質屋庫』かと予想を巡らすが、『お化け長屋』に。
よく聴いていると思ったが、2年ぶり。高座で聴くのは3年ぶりだった。
長屋を借りに来るふたりめの男に怪談を遮られて「なんでそういう言い方するんだよぅ。もっと明るく言い直せ!」と強要されると、なぜか古狸の杢兵衛の言葉尻が文枝師の「いらっしゃ~い」みたいな言い方と仕草になるのがおかしい。
噺の後半、長屋中を巻き込んでの大騒動の楽しさは兼好師の本領発揮。お化け役の婆さんが入れ歯落っことして……という初めて聴く型になっていた。

仲入り中に最近発売された『三遊亭兼好 立ち噺 独演会オープニングトーク集』を物販で購入していたところ、終演後にサインを入れてもらった。「今日何日でしたっけ」と聞かれて間違えた日付を教えてしまった。私の後ろの人は全員日付間違ってるかも……。
と思っていたら、兼好師のインスタで「日付間違えてしまった方、すみませんでした!」とあった。スミマセン、それ俺のせいです……。


三遊亭兼好 立ち噺 独演会オープニングトーク集

三遊亭兼好 立ち噺 独演会オープニングトーク集

  • 作者: 三遊亭 兼好
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2022/06/30
  • メディア: 単行本



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両国寄席令和4年7月4日 [落語]

両国寄席令和4年7月4日
於:お江戸両国亭

三遊亭良楽『大安売り』
ダーク広春 奇術
三遊亭兼好『大山詣り』

定時を過ぎたあたりで仕事を上がって両国寄席へ。
こういう日が続けばいいのだが、そうすっと今度は給料減って小遣いに余裕なくなるしなあ。はー誰か金をくれないものか。

ダーク広春先生を見るのは2回めか。
なんで奇術の人は口調が似てくるんだろう。

兼好師、最近の暑さについて触れ、「選挙なんかやってる場合じゃないでしょ、こんな暑ければまともに判断なんかできないし、駅前で演説とかされても『ああん!?』ってなりますもん。時期を考えてほしい。ただ今回の選挙、中条きよしさんが出馬するんですって? いいですね、あの人ならなんかウソつかれても許せそう」とのこと。そうかなあ。
ただついていいウソと悪いウソがある、と『大山詣り』に入る。今シーズン初。『たがや』『青菜』と並ぶ夏の噺で、ここ数日でフルコース。まあ『お化け長屋』とか『鰻の幇間』とか夏の噺はたくさんあるんだけど。
町内に戻ってきた連中が「やっぱり町内はいいな。この匂いを嗅ぐと帰ってきたって思うよ。それから音もそうだよ。このギイっていう音や子どもたちの遊ぶ声、南無阿弥陀仏の声……南無阿弥陀仏!?」と五感を使って違和感を見つけ出す。
兼好落語の特徴というか笑いのテクニックの際立つところは、この違和感への気付きのリアクションとその間だと思う。聞き手の頭の中にも「多分次はこうくるだろう」という予測があり、そこにバチンとハマると笑いが起きる。兼好師の場合、その的中率と聞き手が欲しいと思っている絶妙なタイミングで確実に仕留めてくるからドカンと笑える。もしかしたらそれが「相性がいい」ということなのかもしれないが。
逆にまったく予想もつかないところからのリアクションがあっても笑えるのだが、それは新作落語の笑いなのかな。
この聞き手の期待を裏切らないという点においては兼好師の打率はかなり高い。それがわかっているので私も安心して物語の世界に身を委ねることができる。それがまた心地いいんだよなあ。
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第百十回 一蔵ひとりの会 [落語]

第百十回 一蔵ひとりの会
於:神保町 らくごカフェ

春風亭一蔵『代書屋』『笠碁』『青菜』

さいたまでの兼好師の会が終わり、大急ぎで神保町に。ナビで見る限り到着は開演20分後。間に合わないかなーと思っていたのだが、ああしたりこうしたりとしていたらなんとか開演2分前に滑り込むことができた。これはなかなか奇跡では。もちろん警察に怒られるようなことはしていない。

一席め、6月は忙しかった、特に旅の仕事が多かったと小辰さんと同じことをいう。
㐂三郎師とふう丈さんとの仕事が1本、三人集が2本、小辰さんとの仕事が1本、ひとり旅が1本と、月に5本の旅仕事というのはかなり珍しいという。そのうち半分以上小辰さんと同じ仕事ならそら言うこと被るわ。「もう遠足よ」ってそんな気の合う人たちとだけならそうだろうなあ。
㐂三郎師との仕事は以前から話していたあラやしきの熊本ツアーのようで、ほぼ手弁当のようなものらしい。そのかわり世話人の方の実家だかに毎年泊めてもらっているそうで、「ご飯を食べさせてもらって酒も飲んで、ふたりで一緒に風呂入ってお孫さんのアヒルのおもちゃでキャアキャアいいながら遊んで。そんなの毎年よ」。楽しそうだとは思うも、「見てみたいなら一度呼んで」は遠慮しておこう。
その家のお母さんに痩せたことを心配されてしまい、大判トンカツと大盛りごはんを出されたものの、ダイエット中なのでほぼふう丈さんにパワハラまがいに押し付けたとか。
ただ、なぜかマクラになるような面白い話は誰かと一緒にいるときよりもひとりでいる時の方が起こるという。
三重の仕事で松坂の居酒屋に入ったところ、隣の男女がなにやら揉めており、その会話の内容を話す。確かにそのまんま落語になっており、「もう今後私の『親子酒』のマクラはこれでしょ」と言わしめるほどのネタに仕上がっていた。
そのまま『親子酒』かと思ったが、どういう話の流れか『代書屋』に。
元は上方の噺のはずだが、主人公がやたらと江戸弁が強くて江戸っ子気質なのはその裏返しなのか。一蔵さんも「履歴書」を巻き舌の「るぇるぇきしょ」とまくしたて、「笑いが起きるまでやめない」と繰り返す。
とはいえ確かに「話の通じない人に振り回されて話がまったく進まない」という噺の構造は上方っぽい。

二席め、やはり三重での仕事の途中で立ち寄った競艇場で見かけたおっちゃんをマクラに。「旅はいろんなことが起こる」といっていたが、いいなあ~俺も久しぶりに旅に出たいなあ。猫がいるから一泊も難しいのはわかっているけれども。
「雨が降っていたから」と『笠碁』に。
後で「今シーズン最後じゃないですかね……。雨の時期じゃないとできないし」とのこと。私個人的には梅雨よりも秋の長雨のほうがイメージに合うんだけど。
待て待たないの攻防で過去の借金の話を持ち出すが、今日のバージョンでは「あいつは『待った』をしたいときには毎回あの話を持ち出す」となっていた。そらいくら温厚な人でも意固地になるわ。

三席め、この時期落語会をはしごすると『青菜』がかぶるのはあるある。
お屋敷の奥方が「その名を九郎判官」といってから「義経にしておけ」というまでにまったく間がない。
「打ち合わせもなくアドリブで返す回転の速さ」を表現するためのようだけど、さすがに一拍の間もないのはちょっと不自然すぎかな。「ああ」とか「じゃあ」とかの短い間があったほうが「あの一拍で考えたのか」と思う。ノータイムだとさすがに打ち合わせなしではできないでしょ。

終演後、どれとはいえないけれどもチケットを販売していたので大量に買い込む。いよいよですなあ。
一蔵さんもそこにやってきて少し話していたら「昨日もありがとうございました」といわれてしまう。高座から見えてたの? そんな前の席でもなかったのに。と思ったら見えてたらしい。実際一蔵さんのブログにも「いつも来る常連の人ふたりが見えてた」と書かれてた。目いいんですな。
タグ:春風亭一蔵
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TOIRO寄席10周年記念 第60回TOIRO寄席 三遊亭兼好独演会 [落語]

TOIRO寄席10周年記念 第60回TOIRO寄席 三遊亭兼好独演会
於:さいたま新都心 さいたまスーパーアリーナTOIRO

三遊亭兼好『蛇含草』
三遊亭けろよん『転失気』
三遊亭兼好『たがや』
三遊亭兼好『青菜』

前回来たときと同じくスーパー銭湯に寄ってスーパーアリーナに。今日は風呂の時間を優先したので飯抜き。もっと早い時間に家を出ればいいだけなのだけれど。

最近の猛暑に触れ、クーラー嫌いの兼好はまだクーラーを使っていないらしい。大変なのはそれに付き合わされているおかみさんで、一晩中家の中の涼しいところを探して彷徨っているのだとか。
昔はクーラーがなくても涼しくなるように工夫していた、と主人公が手拭いを二枚縫い合わせただけのものを甚兵衛と言い張る『蛇含草』に。
餅をご隠居に焼いてもらっているときに「焼けた餅はここに置いてもらって……いや、猫舌じゃねえんですけど、手が猫なんですよねえ……」と「ゆるしてニャン」みたいなポーズをするのがおかしい。焼き上がった餅を両手でせわしなく叩いて手で持てる熱さまで冷ますという仕草があるのだが、そこでも時折「ニャッ」という声を入れるのが芸が細かい。
昨年聴いたときは「今年だけの技」としてスケボーのトリックみたいな餅の食べ方をしていたが、今年は本当になし。もったいない。

けろよんさん、なんつーか入門1年足らずでこの安定感はすごい。すごいけれども。なんつーかホント「マシンか」というくらいいつも同じなので正直面白みはない。逆に兼矢さんの入門一年めはまあハラハラドキドキで、正直楽しめたかと問われれば不安しかなかったけど、それはそれで楽しかったんだよなあ。難しいね。

兼好師の二席め、『たがや』は今年二回め。
侍に野次を飛ばす江戸っ子たちの無責任なやりとりが軽妙で、その無責任な感じがなんとも楽しい。

三席め、林真理子氏が日大の理事長になったことに触れ、「いいですね、OGで、有名人で。でも私は、前の理事長も好きなんです。あそこは夫婦仲がいいのがいいじゃないですか」と『青菜』に。
これで夫婦仲がいいかというと結構演者によって異なるのだが、兼好師のは完全に仲良し夫婦。植木屋が家に帰ると浴衣に男物のふんどしを締めたおかみさんが待ち受けてるというだけでもう楽しい。近所の子どもたちに「お相撲のおばちゃん」と呼ばれているというのも笑えるが、「お前三指なんかついたことないだろ」と亭主に言われ「いつもやってるじゃない!」と応えるも「あれは仕切りだ」と論破されるのが最高。
こないだ柳雀師の『青菜』を聴いたときに「おかみさんの株が上がるからと理由づけしている人は少ない」とか書いておきながら、兼好師のはまんまそれだった。一番聴いているだろうに、何をやってるんだか。
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第8回 ワンコイン寄席 春風亭一蔵落語会 [落語]

第8回 ワンコイン寄席 春風亭一蔵落語会
於:三郷 鷹野文化センター

春風亭一蔵『紀州』『短命』『試し酒』

お祭りでもあるのか、会場近くで浴衣姿のひとをチラホラ見かける。
今日は前回のわん丈さんの時よりも客入りがいいようで、特に子どもが多く入っている。

それを見てまずは「パンツ破けたよ」「またかい」の小咄から。ホントに子どもって「パンツ破けたよ」で笑うんだ。その後昔話の小咄を振る。なるほど学校寄席ってこんな感じなのか。
子どもにもわかりやすく、ということなのか、解説が入れやすい地噺でまず『紀州』。会場をいじりつつ話を進めていく。なんか地域寄席と落語ファン向けの落語会との違いなのか、いつものようなグイグイと来る感じがしない。というか最近ちょっと抑えようとしている感じなので、それからするといつも通りなのかもしれないけど、なんかガチファンからするとちょいと違和感が拭えない。あとなんか巻き舌がわざとらしすぎ。

『短命』、途中で「なんで子どもがいるときにこのネタをやるかなあ」と自らツッコむ。
悔みを教わる場面で「いろはでいいんだ」の次に『寿限無』でやってみるという流れがあるが、いつもよりもウケず。やっぱり落語ファンが前提のときとは勝手が違うのか。

一蔵さんの『試し酒』は初めてか。まさか地域寄席で初物が聴けるとは。
ただ、一杯めを飲み干すのに時間をかけすぎたのはまずかった。一席めのマクラのときに蕎麦を食べる仕草を見せ、「拍手もらえるまでやめねえぞ」とやったのもあったため、酒を呑む仕草で中手が起きる。まあ一杯めだけならまだしも、単なる途中経過である二杯め三杯めでも中手が出てしまう。なんか義務感みたいな感じになってしまい、ちょっと白けた感じに。そういうのもあったのかもしれないが、4杯め、呑んだ?

なんかいつもとの違いに戸惑ったなあ。地域寄席ったって、都内から一時間もかからないところなんだけど。
タグ:春風亭一蔵
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