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新宿末廣亭余一会 夜の部 兼好・王楽・萬橘三人咄 [落語]

新宿末廣亭余一会 夜の部 兼好・王楽・萬橘三人咄
於:新宿末廣亭

三遊亭げん馬『寿限無』
三遊亭王楽『お菊の皿』
三遊亭兼好『置き泥』
三遊亭萬橘『売り声』
三遊亭王楽『愛宕山』
三遊亭兼好 三遊亭萬橘 三遊亭王楽 鼎談
三遊亭兼好『不孝者』
カントリーズ 漫才
三遊亭萬橘『甲府い』

昼にデカ盛りで有名な店に行く。家からは歩いていくと約50分くらい。腹減らし・腹ごなし・ビールのため炎天下の中を歩いていく。あっついけど夏は好きだし、この夏のクソ暑い中を歩くのも割と好き。小学生の頃の夏休みのワクワク感や、タイへ行ったときの開放感あふれる旅情をフッと感じることがあって、それがとても楽しい。汗かいてベタベタになるのは嫌だけど。
ビールとカツ丼を頼むと、ビールのお通しとしてレバニラが出される。小鉢にとかじゃなくてフツーに一人前。レバーたっぷり。この時点でいろいろとおかしいが、しかもこのお通しタダなのだ。おおん? なおお通しなのでリクエストはできないが、多分店主の気まぐれというかその時点で入っているオーダーと一緒に作るのかもしれない。俺のオーダー後に隣りに座った人はとんかつ一人前がお通しとして出されていたので、俺のカツ丼のカツと一緒に揚げたんじゃなかろうか。その隣の人は鶏の唐揚げを食ってたっぽい。
カツ丼が到着。ラーメンどんぶりにロースカツが2枚乗っている。もうこの時点で他の店の2人前なのだが、そこにレバニラ1人前とビール大瓶。フードファイターかってくらい何も考えずにハラに詰め込む。なおその店はまあ量はすごいけど、正直味は中の中から下手すりゃ中の下くらい。不味くはないけどそんなに美味いってもんでもない。でもたまに行きたくなるんだよなあ。いつもいっぱいで今日も「YouTube見て来ました」っていうカップルがチャーハン特盛を頼んでた。それ五合くらいあるんだぜ。ふたりでも無理じゃね?

時間が経ってもまったく減らないハラを抱えて末広亭に。……せめて一蔵小辰真打披露興行まではもってくれー。
私が到着したときにはすでに寿限無がそこそこ成長していた。そういや余一会は普通の寄席の特別興業みたいな形だから、前座は開演時間前に出るんだっけか。

王楽師の一席め、王楽師も暑いのは嫌いじゃなく、暑い中を歩くのが好きなのだとか。おや趣味が合いますな。
これまで7月の余一会はいつも兼好師との二人会だったが、今年からは萬橘師を加えての三人会に。「助かりますよ、いつもはひとりで45分あって負担だったのを減らせるんですから」と萬橘師の噂に。
以前「やねせん亭」という会をやっていて、その会の打ち上げというか食事をふたりで根津の中華屋でしたそうだが、そこに「猫ですか?」というサイズのネズミが出たらしい。「うわっと驚いてパッと前を見たらまたネズミみたいな顔をしている人がいて……」と笑わせる。ところでドラえもんかってくらいネズミをものすごく怖がる人いるけど、アレ何? Gとかはわかるんよ、見た目キモいから。けどネズミって哺乳類じゃん。そんな見た目グロくないし、なんならかわいい部類に入ったっておかしくない顔じゃん。何がそんなに怖いのか
がよくわからん。
噺の本編はお菊初登場時にウスドロの太鼓は入ったが、それ以外はややあっさりめ。いやでも若手にありがちなゴテゴテの「お菊オンステージ」はあんまり好きじゃないので、これくらいがちょうどいい。夏の噺なんだからさらっとね。

兼好師も萬橘師いじりから。「萬橘くんくらい暑苦しい方が返って聴いた後に外に出ても『あっ思ったより涼しい』ってなる」と先日の三遊まつりでもいっていた話を。
昔は泥棒にも技術があった、とスリをマクラに。すごい人になると財布を掏って現金だけを抜き取り、さらにその後懐に財布を戻したという。「すられた人は財布に入れられた領収書を見るまで気づかなかった」。
『置き泥』はほぼぴったりひと月前に聴いたが、その時のトラウマというかショックが蘇る。うう。まだ引きずってます。
「『誰だおめえ』って夜中にぬっとへえってきて『金を出せ』っていってるんだから泥棒だろうよ」「だっておめえ入るのに大きな音出して穴に落ちて『キャッ』っていってたじゃねえか」というやり取りがおかしい。これに至るまでの経緯を全部書くと大変なので割愛しますが。
どんどんとエスカレートする要求に「え、それ俺? 俺が出すのか?」と納得の行かない様子の泥棒もおかしい。だったら見捨てりゃいいのに。

兄弟子二人からいじられ放題の萬橘師、みんなにいじられるからか客からも雑な扱いを受けることもあるようで、「私が話し出すと出てく客がいるんだよ。こないだはついに独演会で出ていった客がいた」。
『売り声』は初めて聴く噺。金魚や大根とごぼう、さつまいもの売り声などは古典のマクラでよく聴くが、そこに寄席の客引きとして前座が落語の説明をするというネタが追加されている。「前座ー! 落語が『面白い』とか『ためになる』とかいうな!」と指示が出るのがおかしい。

再度王楽師、「えー今のは『売り声』という萬橘さん渾身のやっつけでした」と身もふたもないことをいう。まあトリネタに向けて温存してるんでしょう。
昼の疲れが出たのか半分ウトウト。

仲入りを挟んで鼎談。
誰が進行役をするのかなどもまったく決めずに出てきたらしい。
まず兼好師が「われわれ昼にも浅草で圓楽一門会があったんですが、最近浅草でレースの着物を着ている人がいる。……今日レースの着物を着てる人いますか? ……いませんね? ……アレ馬鹿ですよねえ!?」と口火を切る。着物も帯も真っ白なレースなんだそうで。下着みたいだな。
そこから「なぜ萬橘師が普段から着物を着るようになったのか」をみんなで話す。なぜか洋服を着ていたときに「なんか汚えなあ」とよく言われ、それがきっかけで奥さんが着物を着るように考えたという。それでも着物を着ても「なんか汚えなあ」といわれてしまうそうで、もうお手上げ状態っぽい。実際よくそんなんでいじられてるしなあ。

兼好師の二席め、会津若松はそうでもないそうだが、東北の田舎は夏に成人式などいろんなイベントを行うのだという。同窓会なども開かれるそうで、そこから小学校時代から好きだった人と50代で結婚した人もいるのだとか。そんなところから昔の妾と焼けぼっくいに火がつく『不孝者』に。
冒頭の飯炊きの清蔵との攻防も面白いが、やはり芸者の欣弥との邂逅場面がいい。欣弥の色っぽい仕草と大旦那の情のある話しぶりが見事。その雰囲気をぶち破るサゲ手前の「お供さーん、若旦那お帰りですよー!」という破壊力が楽しい。

萬橘師の『甲府い』は7年ぶりくらいか。サゲの仕込みとなる「とーふーい、ゴマ入りがんもーどき」という売り声はかなり進まないと出てこない。どうすんのかなーと思ったが、最後の方のお花との縁談を計画する場面まで出てこない。そのゴマ入りがんもどきも善吉が考案したことになっている。
豆腐屋の若い者の金公は豆腐屋をやめておらず、最後の方にも出てくるがこれがまたちょっとしたアクセントで面白い。

来年は31日は月曜かー。来たいけどどうかなー。そして何より末廣亭が……。
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人形町噺し問屋 その93 [落語]

人形町噺し問屋 その93
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭兼矢『お見立て』
三遊亭兼好『馬のす』
ふくろこうじ パントマイム
三遊亭兼好『船徳』

クライアントが先週夏休みで、休み明けの動きが鈍いうちにさっさと仕事を上がって人形町に。

まずはご挨拶。
「あんまり触れるのもアレなんですが、やっぱり安倍さんのことは避けられないでしょう。あの日、私は関西の仕事だったんですが、新幹線の中でアレとソレとコレのネタかなあ、マクラはあの話とこの話をして……と考えがまとまっていて余裕があったんです。そしたらあの事件があって……。で、その日考えていたネタが『近日息子』『たがや』『死神』だったんです。もう全部ダメ。代わりのネタを慌てて探して、『井戸茶』なら大丈夫か? 『五十両であの騒ぎですよ、百五十両なんて持っていったら大砲で……』ダメだ! なんて考えて、結局出てきたのが『藁人形』。全然ウケなかった」。あの日にできるネタなんてそうそうないでしょうねえ。
話題が「『ナウシカの呪い』っていうのがありますね。最近ナウシカをネタにした落語を作らなきゃならなくなって」といったときにちょっと会場がザワつく。こないだの新宿の会のヤツですな。まあ驚くよねえ。
「なのでレンタル屋でナウシカを借りて女房と娘と一緒に観たんです。あれはよくできた話ですね。で観終わって『虫も大切にしなきゃね』なんていってたら次の日ですよ。リビングで本を読んでいたら小さい虫がやけに飛んでるんです。『今日はやけに多いな』と思っていたら、風呂から上がってきた娘が『うわあっ』って。なにかと思ったら後ろの壁一面にびっしりと小さい虫がいるんです」。うへえ。普段は虫がほとんど入ってこないのに、ナウシカを観たらそんなことが起こり、さらに二日連続でGも出たとか。俺もこないだの噺を聴いてアマプラかなんかでナウシカ見返そうかと思ったけどやめた。
けろよんさんがコロナ感染のため、今日は兼矢さんが開口一番。「仕事がないっていうんで呼びました。今日の出来次第によっては前座に戻すかもしれません」と怖いことをいう。

「仕事がないんでこちらに来たんですが、そんなに私の二ツ目生活がかかっていたとは……」という兼矢さん、聴きに行きたいんだけど土日にあんまりやってないんだよなあ。こないだは二ツ目の弟子3人揃ってお祝いの会をやってたけど、その時間に師匠は他の会に出てるという。なんでそんなときにやるかなあ。そら師匠の方に行っちゃうよ。
『お見立て』は先日も聴いた噺。間もそんなに取らずにどんどん進んで行ってしまうので少々慌ただしい感じ。いくつか面白いフレーズもあったので、もう少し落ち着いたテンポで聴いてみたい。

兼好師の一席め、最近は旅の仕事も戻ってきたが、あまり交通機関でツいていないという。先日福岡空港であった交通整理係との交流をマクラに。
また、落語協会のお囃子さんときく麿師のお弟子さんの十八さんと三人で旅の仕事から帰る際にいろいろと話をしたという。お囃子さんも十八さんもふたりとも学習院卒らしい。しかも十八さんは元教師だったそうで、「喜多八師匠とか文菊くんとかいますから、学習院からの噺家というルートもないわけでもないですが……。『えーもったいない。バッカだなーお前。なんで落語家になんてなろうと思ったの?』『いや、どうしてもなりたくなっちゃって。それにインタビュー記事で”いつでもなれる”っていうのを読んで……』『うわーそんなの本気にしちゃったの!? 誰の話ソレ?』『兼好師匠です』。……最後まで聞かなきゃよかった」。
「最後まで聞かなきゃよかった」繋がりで『馬のす』に。
兼好師の『馬のす』は初めて聴く。というか『馬のす』自体ほとんど聞かない。まあ小道具として枝豆が出てくるので、どうしても夏の噺ということになるのだろうか。本当にただただくだらない話をだべりながら枝豆を食べるというのがいかにも落語的。
噺の冒頭の釣り道具の点検をしている場面でテグスを口で舐める仕草があるのだが、実際に糸があるんじゃないかと思えるくらい自然でなめらかな動きがすごい。

ふくろこうじ先生、基本はパントマイムなのだろうが、シガーボックスなどの大道芸も。こういうのずっと見ていられる。

兼好師の二席め、「羽生結弦さんがプロになるそうですね。フィギュアは競技を引退してからプロになるってんですからすごいですね。落語なんてどこからがプロかわかりませんからね。それにしても羽生さんはナルシストなんでしょう。自分が大好きで、さらに自分を客観的に見て『理想の自分にはコレが足りないからこういう練習をしよう』というのがわかる。それでより理想の自分になっていって自分をより好きになる」だそうだ。彼に憧れてフィギュアを始める人も多いでしょう、憧れるといえば昔は船頭で……のような流れで『船徳』に。
船頭たちが勝手に罪を自白するシーンでは、場を仕切っている船頭が「他には誰かいねえのかい。今なら俺が一緒に謝ってやる」などといいながら、最後に「女将さんの行水を覗いたのはアタシです」と白状するのがおかしい。
若旦那の船頭ぶりもナルシストが入っており、竿をさすシーンでは「アタシは踊りが踊れるんで」と踊るような仕草で竿を操るが、そのうち踊るのに夢中になって竿を流してしまうというのがたまらない。
船に乗る客が、事前に女将から「もし船が止まるようなことがあったら『女の子がいるぞ』と声を掛けてください。そうすれば進みますから」とアドバイスされているのもおかしい。実際に若旦那がへばったときに言ってみるのだが、一瞬だけキリッとなってすぐに「女の子なんていない。騙された」と駄々をこねるのも笑える。
全編バカバカしさがまぶされており、どこを切り取っても楽しい一席。
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新しき哉!!特別編 三遊亭兼好独演会 [落語]

新しき哉!!特別編 三遊亭兼好独演会
於:新宿シアタートップス

三遊亭兼好『かぐや姫』
みま オペラ座の道化師
三遊亭兼好『ナウシカ七段目』
三遊亭兼好『PTAブルース』

値段高いし、平日だしどうしようと悩んでいるうちに満席になってしまった会。
たまたま有給を取ったし、とチケット救済サイトを見ていたら少し安く出品されていた。しかも振込先は同じ銀行で振込手数料もない。これはいいと思って購入。……いかんなー金がない金がないといいながら全然歯止めが効かなくなってる。今月これ含めて13回、先月なんか15回も落語行ってる。15回て。2日に1回行ってるって趣味の域超えてるよなあ。
木母寺から一度家に戻り、荷物を置いてすぐに家を出る。これが大きな間違いだったとも知らずに。
朝に腹いっぱい食べたため昼は食べなかったのだが、そのせいか夕方になって腹が減ってきた。ささっと蕎麦でも手繰るかと小諸そばに入ると蕎麦を茹でるといって結構待たされる。小諸そばいいんだけどこれがあるんだよなあ。慌てて食うも時間がヤバい。
新宿に着いた時点で開演3分前。バイクを置いた場所から会場までが遠い。やべえ前座あるのかな? と焦りつつ3分ほど過ぎて会場に着く。まだ開演してなかった。助かったー。席に着いた途端に出囃子が鳴る。

登場した兼好師、いつもよりやや困り笑いをしているような……。
「この会があることはわかっていたんです。でも先日あるお客さんから『兼好さん、新作の会やるんですって? 楽しみにしてるわ』といわれて。おや? と思って。そしたら他のお客さんからも『新作″だけ″の会やるんですって?』といわれて。おやおや? と思ってチラシを見たら『新作限定』と銘打たれている。ええーって。それに気づいたの7月頭ですよ。私としては『PTAブルース』だけ新作で、権助魚、PTA、ゲスト、ちりとてちんのつもりだったんです。慌てて原作の黒川さんに『台本送ってください』って頼んだら、4行くらいの台本が送られてきた。『いやいやこれじゃなくて、あるでしょちゃんとしたの』と返信して、とりあえず他のネタを考えなきゃってちょっと放っておいたんです。で、そっちも煮詰まっちゃって、じゃあせめてPTAを覚え直そう、と思って送り直してもらった台本見てみたら……やっぱり4行しかないの。そうだ、確か冒頭にある人がPTA会長をたずねて学校にやってきたところだけ原稿あって、その後は口頭で打ち合わせしながら作っていったんだったって思い出した。で、前に小劇場でやったんですが、ビデオに撮ってないから音源が残ってないんです。何が言いたいかというと……今日は不安です」。
最近は新作を作るのもいろいろ大変だそうで、「昔は寄席で噺家がなんか言っても『噺家がいってることだからしょうがねーな』で笑って許してくれていた。だけど最近は真面目な人が多いんでしょうね、すぐセクハラだパワハラだとクレームがつく。男女の差もダメ。……あのー、レースのパンツ、パンティあるじゃないですか。アレ、男物もあるんですってね。それをはいている人を見たら何て言うのが正解なんでしょう。……聞いてもどうしようもないんですが。たとえば喬太郎師匠はいつも楽屋をパンツ一丁で『今日は何演ろうかなあ』なんていいながらウロウロしてるんですよ。その喬太郎師匠がですよ。レースのパンツはいてウロウロしてたらなんていえばいいんですか」。知りません。
「こういう許容しない世の中だからか、結婚も難しいですわね。離婚も多い。結婚する数は年々減ってるのに、離婚する数はずっと変わらないんですって。つまり離婚する割合が増えている。……でも離婚して再婚する人ってなぜか結局同じタイプの人を選びますよね。アレなんででしょうかね」。まあ人の好みはそうそう変わらないでしょうからねえ。
そこから月の世界に戻ったかぐや姫の噺に。月に帰った後に天帝と結婚したかぐや姫が、天帝がいろいろと細かい人ですっかり嫌になって別れ、部下に延々と愚痴をいう噺。かぐや姫は月の世界だと上の中の下くらいのレベルだが、地球では「絶世の美女」と呼ばれていて良かったと回想している。「じゃあまた地球に行けばいいじゃないですか」といわれてその気になるも、結局は天帝と同じく細かい人と結婚してしまい……というもの。
かぐや姫の性格の悪さが楽しい。

ゲストのみまさん、「オペラ座の道化師」という肩書だがバンドネオンを持ち何とも言えない衣装で登場。バンドネオン漫談みたいなものかとも思ったが、オペラ歌唱ありマジックあり。

二席め、ナウシカ歌舞伎についていろいろ熱く語る。「いいですよ、菊之助さんがあのナウシカの青い衣装を着てるんです。歌舞伎の化粧で。最初見たときはモンゴル料理屋の女将にしか見えない。『ヒツジヤケタヨ』っていってる感じ。でも6時間あるんで、徐々にナウシカに見えてくるんですよ。王蟲の完成度もすごいん。6時間あるうち、10回は感動できます。そんで20回爆笑できる」だそうで。
そこからいつもの『七段目』の場面に。あれ、新作諦めた? と思っていたら若旦那が真似事をする芝居がナウシカ歌舞伎。ナウシカの名台詞や名場面が『七段目』のストーリーに載っていく。
……うん私『風の谷のナウシカ』は30年前に一度観たきりで、セリフやらストーリーやらほとんど覚えてないんだよなあ。覚えてたら面白いんだろうけども。
若旦那と定吉が遊んでるのに激怒した大旦那が踏み込んできたときにふたりで「バルス!」を唱えるのがおかしい。

三席めにネタ出しの『PTAブルース』。これ確か8年前にスタジオフォーの会で聴いていて、多分ネタおろしだったはず。原作者の黒川さんも来ていたと記憶している。
けどその時のブログを読んでも感想があんまり書いてない。うーんなんかそれほど面白くはなかったみたいな印象だった。
今回久しぶりに聴いたがかなり面白かった。次期PTA会長を決めるための話し合いの場にある人物がやってくる。「台本はここまでです」。
現PTA会長に拉致同然に連れてこられた参加者たちが、「こんな騙し討ちみたいに集められた会は無効だ」と詰め寄るも、「あなた方も嘘をついてこの会合を欠席しようとしていたでしょう」と関係者に聞き込みを行い、その証言を動画に撮ってくる。その再現VTRを演じるのがたまらない。これは『花筏』で「花筏(提灯屋)は病気じゃない」と暴く手法に通じる。
次期会長を押し付け合い、自分は前科者だからとか自分の店が潰れそうだとかいろいろ白状するのにそれをいちいち現会長に潰されるのがおかしい。
現会長に戦いを挑むも、あしらわれてロッカーにしまわれてしまう「ロッカーのミタさん」のキャラも楽しい。

終演後、珍しく高座から降りて舞台の上に立ちアフタートーク。
「もうこんな会は今後ないと思うんで、せっかくだから撮影タイムでも」。
えええええええ! さっきカメラ家に置いてきちゃったよ! 家に戻らず直接くれば遅れそうになることもなく、一眼レフを持ってきていたのに……!
GRIIはあったけど、28mm相当の広角だから遠い……! トリミングしてようやく見えるかな。なにげにiPhoneの方がよく撮れてるような……。やっぱりこういう突発的な撮影だとGRIIはいろいろ設定とか必要だから辛いね。

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RICOH GR II

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iPhone 11 Pro

でもこうやって並べるとやっぱりGR IIの画像いいな……。
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三遊まつり記念寄席 [落語]

三遊まつり記念寄席
於:鐘ヶ淵 梅柳山木母寺

三遊亭兼好『宮戸川』
三遊亭楽天『壺算』
三遊亭萬橘『風呂敷』

有給。
朝はこないだテレビで見たパンビュッフェというところに行ってみる。思ったより遠い。
「接客が悪い」なんて評価があったけど、別にそんなこともなく。パンも美味い。
さて帰ろうとしたら結構な雨。まあTシャツだしもう濡れて帰るんでいいよ。寒くもないし。

家に帰り二度寝。うーんせっかくの有給なのに有効に使えてるのかどうか。

三時から法要があり、四時から記念寄席。うーむ。法要か……。
空はすっかり晴れ、暑そうなので少し遅れて向かう。寺の三遊塚に向かって読経をしているところ。それに参列者がお焼香をしていた。
どうしたもんかと見ていたら、兼矢さんが私を見つけて説明してくれた。任意で護摩札を購入し、さらに一般の人も参列していいのだとか。せっかくなので護摩札も奉納し、焼香もする。

兼好師匠も会場でその様子を眺めていたので少し雑談を。このあと新宿で新作の会があるんですよねーと聞いたところ、「だからここの順番を早めにしてもらってそのまま向かうの。どうしよう」。どうしよう? 今日は全部新作なんですか? と聞いたら「知らなーい。なんにも聞いてない」。マ? 笑ってたけど困ってる雰囲気は感じた。

そのうち読経も終わり、福袋の販売に。千円で手拭い2本と両国寄席のチケットが入り、運が良ければ扇子の引換券が入っているらしい。扇子は3人しか当たらないとか。
私が購入した福袋には圓橘師と上楽師の手拭いが。……一勝一敗、か……。どっちがどうとは人として言わないけれど。扇子はハズレ。兼好追っかけ仲間が当たっていた。おおすごい。

宣言通り兼好師がサラ口で登場。
「こんな暑い中ありがとうございます。こういうときは涼しい噺を演る人が出ればいいとお思いになるかもしれませんが、それでは終演後に外に出ると暑さが倍増する。こういうときは萬橘くんのような暑苦しい噺を聴くのがいいんです。『うわっ、もうやめて』と暑苦しさを浴びた後に外に出すと涼しく感じる」とめちゃくちゃを言う。
どうやらけろよんさんもコロナに感染したらしく。兼好一門の割合高いな。
「私も2月に感染しましたけど、面倒なんですよ。ずっと家にいなきゃならないんですが、そうするとずっと女房と一緒にいなきゃならない。これは辛いですよ。最初は『女はお前しかいない!』と思って結婚するんですが、三月もすれば『女はお前しかいないのか?』と疑問形になりますから」と男女の仲の噺に。
冒頭の「締め出し食べちゃった」で「食べちゃった」というお花の顔がなにかあざとさを感じさせる言い方になっているのは気のせいか。
最後の場面でお花が半七に迫る場面では、半七が「なんでそんなに笑いながらこっちにくるんですか!」と抵抗する場面は『紙入れ』と通じるものがあって余計におかしい。

楽天さん、噺家の世界は年功序列で、先輩の言うことには逆らえないのが不文律だという。多分兼好師が先に上がってることのいいわけかな。上の先輩のいうことだから逆らえない、と。
楽天さんの『壺算』は兼好師とはまた違った感じ。値下げ交渉もあっさり決まるし。全体的に刈り込んだからか、ややあっさりめというか。このフレーズを入れるのであればこのセリフは入れとかなきゃダメだろう、というところまで刈ってしまっていたため、なんとなく全体につながりが悪いように感じた。

萬橘師、開口一番「兼好は帰りました。あれだけ人の悪口を言っておいて、自分が終わったらすぐ帰る。『俺、後があるから』って。仕事があるっていうのも腹立たしい」とぶつぶつ。
「奉納落語って誰に向かってやるんですかね。三遊亭の先輩方に『頑張ってやってますよ』って見せるためのものなんですよね。昨年もここでやっていたら師匠に『そんなに汗だくになって一所懸命にやんなくたっていいんだ』って言われたんですけど、ここ暑いんだよ!」とすでにうっすらと汗をかいている。ここなんだろ、お寺の控室かなんか? クーラーも旧型ですんごい寒いか全然効かないかのどっちか。
「『トップガン』観ました?」と唐突に話題は変わる。萬橘師は映画館で観たそうだが、ポップコーンの食べ過ぎで気持ち悪くなってしまったそうで、家に帰って奥さんに訴えたら冷たい声を掛けられたという。夫婦の力関係に触れて『風呂敷』に。
萬橘師の『風呂敷』は初めて。兄いのところに飛び込んでくるおかみさんも兄いのところのおかみさんも強い。
大体の人は弟分のおかみさんは「後ろめたいところはないけど亭主がヤキモチ焼きなので押し入れに隠した」という演出だが、萬橘師は確信犯。兄いに「お前、後ろめたいことはないのか?」と聞かれ、目を泳がせたり「だって私が呼んだんだもの」と完全に浮気をしている。で、サゲを聞くと弟分も実はそれに気づいているという構図。ちょっとわかりづらいけど、夫婦の関係がうかがえるし、亭主が単なるバカではないというのがいい。

終演後にオークション。
談志師の反物を六代目圓楽師用に仕立てた浴衣のような超貴重品から団扇まで。先代文楽師の手ぬぐいも出され、これは最低価格2万円からで誰も手を上げず。
談志浴衣は最低価格3万だったが購入者が出た。すげー。
兼好師の切り絵も何点か出品されており、ちょっと欲しかったが兼好追っかけ仲間たちがあらかた落札していた。機会があれば見せてもらおう。

扇子が当たった兼好追っかけ仲間に誰の扇子でした? って聞いたらややしょっぱい顔をされた。あっ(察し)。
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和室カフェ 其の二十七 [落語]

和室カフェ 其の二十七
於:神保町 らくごカフェ

トーク
立川笑二『長短』
入船亭小辰『百川』
入船亭小辰『麻のれん』
立川笑二『妾馬』

水天宮から一度家に帰り、少し休憩してからまた出かける。
まずは恒例のふたりのオープニングトーク。
やはり小辰さんの真打昇進の話に話題が集中する。
真打披露興行のチケットの売り方が芸協とは異なるそうで、芸協は3つの寄席で共通の上、どの日に行ってもいいという。このため寄席のキャパ以上にチケットを売ることが可能なうえ、手売りしたチケットの代金は一度芸人の懐に入るという。その後、使われたチケットの半券の数に応じて半額を各寄席に払うのだそうだ。
「だから芸協の人たちは『来なくてもいいからチケット買って!』っていう。特に地方でも『祝儀代わりに買って』っていえるんだよなあ」「てことは宮治アニさんなんか家建てられるんじゃ……」「夢があるよなあ」「ありますねえ」。
一方落語協会は末廣亭以外は日付指定なので、各寄席のキャパ以上はチケットが売れないという。でもその分芸協はチケット持ってても入れないってことがあり得るけど、落協はチケット持ってりゃとりあえず入ることはできるから、私のように行ける日が限られてる人に取っちゃそっちのほうがありがたい。昨年の宮治師の披露目は行ける日が限られてたから、朝早く整理券取りに行ったもんなあ。逆に行けるかどうか当日にならないとわからないという場合は買いづらいよねえ。
「扇橋」になる実感はあるか、という問いには「まだ全然ない。ポスターに『扇橋』って書かれてるのを見ても完全に他人事。おそらく大初日に高座に上がったときに『扇橋です』って名乗ると思うんで、そのときに実感するんじゃないかなあ」とのこと。その日は午後休取って行くわ。
出囃子はどうするのかと聞かれると「大師匠の『俄獅子』は扇里師匠が使ってるから。それにうちの師匠や扇遊師匠も、二席やるときは一席は自分の出囃子で、もう一席は『俄獅子』で、って結構やってるんだよねえ。披露目の間だけ『俄獅子』を使わせてもらうかもしれないけど、『いっさいいっさいろん』のままじゃないかな。でも上方の二葉さんから『アニさんの出囃子使わせてください』っていわれて承諾したら、彼女あんなに売れちゃって。正月にテレビから『いっさいいっさいろん』が流れてきたのが聞こえてきて『なんで俺の出囃子が!』って焦った。……もうこうなると俺のほうが二葉さんの出囃子使わせてもらってるみたい」。いろいろ大変ですなあ。
また真打に昇進したらこの会を続けるのかということも話題に。そもそも「小辰(炬燵)」と「笑二(障子)」がらくごカフェでやる会だから「和室カフェ」なわけで、扇橋になったらそうは銘打てないという問題と、二ツ目同士でやっていた会が片方が昇進すると消滅する問題があるとか。特に後者は立場が違ってしまうことでトリが固定してしまうなどいろいろ問題が出てくるという。この会も最初のうちは笑二さんが前座だったので、毎回小辰さんが仲入りとトリを取っていたらしい。小辰さん個人としては続けたいらしいが。
「披露目のときに楽屋まで遊びに来てくれたら続けよう」「鈴本に行って大丈夫ですかね?」「……昇也アニさんでさえつまみ出されたらしいぞ」。鈴本ってなんでそんなに頑ななんだろ。
トークだけで40分。座布団を敷かずに話していたので笑二さんの足が限界だったようだ。

笑二さんの一席め、以前にも一度聴いたことのある『長短』。
この長さんは話し方や動作がのんびりしているのではなく、まんじゅうを手にしながらとにかくグダグダと話し続けてまんじゅうを食わなかったり、タバコに火をつけてから話し出してタバコを吸わなかったりととにかく他人をイライラさせる。小辰さんも「サイコパスだ」と評しており、ちょっと異常者だよなあ。
しかも人がイラついているのを楽しんでいる素振りさえ見せる。面白くないわけじゃないんだけど、これをずっと続けられるのはちょっとキツい。

小辰さんの一席め、祭の季節であることから『百川』に。
百兵衛を四神剣の掛合人だと兄貴分が言い張り、周りがそれに流されている中、最後まで「そうかなあ」とひとりだけ信じない弟分がいる。兄貴分に「(きんとんを飲み込めと)お前らからも頼め!」と促されてもひとりだけ気のない様子で「お願いしまーす」と流しているのがおかしい。このひとりがアクセントになっている。

仲入り時にホントは21日まで売っちゃダメらしいけど手売りは目をつぶられているというなんかのチケットを販売する。俺はこないだ買ったし。
「えーあと10枚売れたら笑二さんが後半で『乳房榎』を演りまーす」。

小辰さんの二席め、あれから10枚は売れなかったようで。
「思い出したことがひとつあって、『乳房榎』には悪い男が人妻に子どもを人質にとって関係を迫る場面がある。『枕を交わす』という表現が出てくるんですが、喜多八師匠がこの場面で『枕を交わすといっても″まくらなげしよー″ってんじゃないですよ』って言っていて……。満員の博品館で。袖で聞いててひっくり返った」とか。
『麻のれん』は扇辰師では何度か聴いているが、小辰さんでは初めて聴く。
もちろん扇辰師とも似ているのだが、いくぶん師匠よりもあっさりと軽くやっている感じ。クイツキにはちょうどいい。

笑二さんの二席め、『乳房榎』のあらすじを語り、「悪役の磯貝浪江は好きになった人が人妻だっただけ。ちょっと行動力がありすぎただけで、『紺屋高尾』の久蔵と心情は変わらない。浪江はなんてかわいそうなんだ……と力説したら、あんなに優しい柳枝アニさんに『気持ち悪いよ』っていわれた」。しょうがないんじゃないかなあ。やっぱり視点がちょっと違うんだろうな。
八五郎お鶴兄妹は母親ももう亡く、長屋の子どもとして育てられたという設定。大家を親と慕っており、お鶴が屋敷に奉公に上がる前日から描いている。
実の親がいないからなのか、八五郎は荒唐無稽な乱暴者というよりももう少し抑えられ、そこそこ敬語も使えたりする。殿様に都々逸を披露して馴れ馴れしくしたりもしない。
通常は「これから八五郎が出世をしたという『妾馬(八五郎出世)』というお話でした」と終わるが、ちゃんとサゲとなるセリフも用意されていた。
笑二さんということで「このままホントに終わるのか?」と身構えたものの、そのまま「いい話」として終わった。……うん。いい話なんだけど。なんかこれはこれで優等生すぎるというかあざとくない? 『長短』との振り幅が広すぎてちょっと戸惑うわ。
笑二さんはホント油断できないというか油断させてくれない。曲者というか、見えないところからフックが飛んでくるというか。もちろん褒め言葉です。
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桃月庵白酒 三遊亭兼好 ふたり会 No.4〜ケセラセラでいきましょう〜 [落語]

桃月庵白酒 三遊亭兼好 ふたり会 No.4~ケセラセラでいきましょう~
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭ごはんつぶ『狸札』
三遊亭兼好『孝行糖』
桃月庵白酒『船徳』
桃月庵白酒『短命』
三遊亭兼好『ちりとてちん』

高いんであまり行くつもりがなかったんだが、まあ二階席なら3500円で普通だし、当日ならバカバカしい手数料も取られないしと行くことに。やっぱり行けるのに行かないってのはもやもやするし。……あーしかしカネないなー。いやないわけじゃないんだけど、予算というかここから先は使っちゃいけない境界線というか割とそこら辺を超えてきた。一蔵さん小辰さんの祝儀もあるしさあ。
二階席は初めて入ったが、なるほどまあそこそこ見づらいね。うーん。それにそもそも落語はあまり上から見られることを想定してないよなあ。

さて前座はなぜか兼好門下でも白酒門下でもなくごはんつぶさん。
狸に股ぐらを覗かれて「きゃーエッチ」と言ってみたり小僧に化けた狸が作ったおまんまを主人公が食べてないことにやけにこだわったり。今日はふたりともガチガチの古典派だからなかなかいつものようにはいかないだろうが、どうしてもアレンジを加えたい「新作派のジレンマ」があるらしい。

兼好師の一席め、「ごはんつぶさんいいですねえ。落語もしっかりできるし口跡もいい。見た目もいいし気働きもできる。……でも結局天どんアニさんみたいになっちゃうんですかね」と黒いエールを。
昨日は博多での日帰りの仕事があったそうで、それがことごとくツイてなかったという。起きる時間を間違えたりバスを間違えたりしながらも無事仕事は終わり、帰ろうと博多空港へ行ったらフライトまで1時間くらいあったという。本を読みながら待っていたところ、ふと気づくとフライト時間だったとか。えっと思っていたらアナウンスがかかり、空港特有のふわふわとした聞き取りづらいアナウンスの中に「……サトウ……」と聞こえたので「私本名が佐藤ですから、自分のことを呼んでるんだと思って『ハイ!』って行ったら『あなたじゃありません』って……。見たら私の乗る飛行機が1時間遅れるって。じゃあ何かちょっと食べようと思ったらまた時間が変わってもう出るみたいな……。で、また『……サトウ……』って聞こえるんでもう一度『ハイ!』って行ったらまた『あなたじゃありません』って……。見たらまたフライト時刻が変わってる。あのですね、普通のときはいいですよ、あのふわふわとした上品なアナウンスで。でもフライト時間が変わったとか、人を探してるとかのときは『ハイ聞いて! 時間が変わります!』とか、『人を探してます! 〇〇さん!』とか言わないと! ……ひとりで言っても説得力がないんで、これをぜひ皆さんにも空港に言ってほしくて……」とのこと。
ハッキリと聞かせなきゃいけないものとして売り声を挙げ、売り口上の噺へと入っていく。
こういう二人会のサラ口としての『孝行糖』はサイズとしても内容としてもぴったりな気がする。
水戸様のご門前で「何奴であるか」と誰何されて「お向かいの金ちゃんと同い年」と答える与太郎がたまらない。

白酒師の一席め、白酒師は昨日は熊本だったらしく。
やはり熊本でもフライト予定が大きくずれたようで、空港はイライラした雰囲気だったとか。そこにパイロットが談笑しながら飛行機に向かっていたら、どこかのオジさんが「何やってんだ、走れ!」と怒鳴ったとか。パイロットが急ごうがゆっくり行こうがフライトには影響ないということは頭ではわかっていても、思わずオジさんに同意してしまったそうだ。
CAやパイロットはあこがれの職業で、それは昔は船頭だったと『船徳』に。
親方に呼ばれた船頭たちが己の罪を自白してしまうシーンはカットし、若旦那の船のシーンを多めに。
竿を流してしまうのはもちろんだが、艪まで外してしまい、それをお客につけさせるというとことんまでに甘ちゃんな若旦那がおかしい。
そんな甘ちゃんな若旦那なので、諦めるのも早い。「もうダメ」と川の真ん中で諦め、客から励まされてもふてくされてるのに、川岸から女の子に「若旦那ー、頑張ってー」と声を掛けられると途端に張り切るのも楽しい。

仲入りを挟んで二席め、「この会の次回のチケットを今日から発売したそうですが……。その日の同じ時間帯に私は他の会に出ている予定がありまして」と告白。
「先日亡くなった川柳師匠にちなんだ会で、前座自分にはよくお世話して『あげた』師匠でして。……断じてお世話にはなってません。けど川柳師匠をネタにした新作を作ったという縁もあるんで、どうしても断れなかった。おそらくそちらの会はネタはやる余裕がないので挨拶くらいで急いでこっちに向かいますから」だそうな。
落語をよく知らない人には「桃月庵ってどういう名字なんですか?」と聞かれることがあるという。「名字というか亭号なんですけどね……。志ん生直系の古今亭なんですよ。でも真打に昇進したら亭号を変えるのは独立して一家を構えるため、というと『え、ヤクザ?』と聞かれる。もうそうなったら面倒なので『ヤクザです』って答えます」だそうな。「白鳥師匠ともよく会をやって名前に『白』が入ってるから親戚筋と間違えられたり。体型は似てますけど……」など、いろいろ話が通じない人がいるというところから『短命』に。
とにかくこの八っつぁんが話が通じない。「指から毒が」とか「そばアレルギー?」とかは普段どおりだが、イライラしたご隠居が「だからこの話にはホントはおまんまは関係ないんだ。手が触れる、奥に布団、いい女! お前どうする!?」と詰め寄るも「おまんまは?」と返され、「うるせえ!」とキレるのが最高におかしい。

兼好師の二席め、「最近はいろいろ物騒ですよね。こういう落語会が世の中で一番平和なんじゃないですか? 落語好きで悪い人はいないでしょう。……もっとも落語好きで本当に悪いヤツはも入門してますから」とブラックジョーク。
落語の登場人物の中で悪いヤツ、イヤなヤツとしてちりとてちんを食べさせられる六さんが挙げているのかもしれないが、実はご隠居が一番悪いヤツなんじゃ……。腐った豆腐って食中毒起こすみたいだし、ヘタしたら死んじゃうよなあ。さすがに健康被害を及ぼすのはシャレにならない。
まあそれはさておき愛想の上手い金さんのごちそうに対する鶏のようなリアクションが相変わらず面白い。
それに対して六さんの嫌味っぽいのもまたすごい。いざちりとてちんを食わされる際に鼻を摘み目をつむりながらも言葉にならない声で悲鳴を上げているときの落差がたまらない。

『船徳』も『ちりとてちん』もいかにも夏の蒸し暑い日に合ったネタでした。
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第20回東大島亭 春風亭一蔵 柳亭市弥 入船亭小辰三人会 [落語]

第20回東大島亭 春風亭一蔵 柳亭市弥 入船亭小辰三人会
於:東大島 東大島文化センター

オープニングトーク
入船亭小辰『たらちね』
春風亭一蔵『寝床』
春風亭朝之助『近日息子』
入船亭小辰『替り目』

なんだかぐずぐずとハッキリしない天気。
降ったり止んだりしてるのでバイクではなく電車で。
市弥さんが濃厚接触者となったため欠席。二人会になると会場のスタッフから留守番が入っていた。

オープニングトークではまずふたりで登場。小辰さんが「いつもは市弥兄とやってる会なんだけど、今度三人で真打に昇進するからと無理矢理頼み込んで……」「あっ、お前そう言い方すんのか」「私と市弥兄、一蔵アニさんと市弥兄は仲良いんだけど、私と一蔵アニさんとはあんまり仲良くない」みたいな茶番を。
一蔵さんが「いやー、初めて降りましたよ『ひがしおおしま』」「『おおじま』ね。アニさんダメ、『おおしま』っていったら嫌われるから」という豆知識も。毎年忘れる。
「今日は市弥さんがお休みということで、昨日会場スタッフの方が予約した人全員に電話したんですって。偉い! 〇〇の✕✕さんも見習え! ■■の△△とか! ※※とか!」と実名を挙げる。まああまり良くない噂のところばかりだったがマジなのか。1個はホントに劣悪らしいが。
「でね、そのときに『市弥さんはお休みです』っていったら『じゃあいいです、行きません』っていった人が3人いるんですって。……つーかスタッフもなんでわざわざそんなこというの? とりあえず名簿を見せてもらえませんか。毎晩2時に電話してやる」と怖いことを一蔵さんがいう。
「まあそんなことしませんけども。そんなわけで市弥さんはこられないので二人会にしようかとも思ったんですが、急遽ゲストをお呼びしました! 皆さん今日はすごいお得! 『ええっ!』って人に来てもらいましたから! あっ一之輔師匠じゃないですよ。一之輔師匠もお休み中ですから。私の師匠の一朝でもないです。扇辰師匠は他の仕事があるらしく……。そもそも市弥さんの代演なんだから市馬師匠……は予算が……」「今いった人の誰が来ても予算足りないよ」などのハードルが爆上げされたやり取りの後に朝之助さんが登場。
「昨日真打昇進披露目の準備の手伝いをしてるときに突然『明日空いてる?』って聞かれて。準備の続きだと思ったらここにいます」とのこと。
一蔵さんが「俺たち三人の会の恒例なんだけど、出番はじゃんけんで決めてる。勝った人がトリ」と朝之助さんに説明する。「で、これはガチだけど、これから俺と小辰さんはパーを出します」と宣言。朝之助さんは「え、え?」と戸惑いながらもグーを出す。「そりゃそうなりますって……」とこぼすも一蔵さんからは「この茶番がわかってる」と褒められる。
普段は小辰さんの会ということでサラ口とトリを、仲入りが一蔵さん、仲入り後が朝之助さんとなる。

小辰さんの一席め、新真打それぞれの番頭の噂を。一蔵さんの番頭は朝之助さんで、「十のことを頼むとそのうち九間違ってる」。市弥さんの番頭は市童さんだそうで「十のことを頼むと五でいっぱいになる」。小辰さんの番頭は辰乃助さんで「十のことを頼んでも何も聞いてない」そうだ。
噺はなんとも端正な雰囲気が漂う『たらちね』。キッチリとしていて隙がなく、落語の教科書にでも載せたいような感じ。やっぱり上手い。

一蔵さんは先日いってきた三重の旅の仕事の話をマクラに。落語のワークショップをやったそうで、「落語のような芸事は自分もやってみたいと思うのか」と『寝床』に。一時期はよく聴いていた気がするが、高座では約4年ぶり。
この旦那は自分がまずいとは思っていないタイプで、重蔵との見解の相違で会話が噛み合わないのがおかしい。

仲入り時になんかのチケットを。先日小辰さんのチケットを買えなかったので、今日はちゃんと現金を持ってきた。最近大体スイカで払うから現金あんまり持ってないのよ。
小辰さんの大初日と土日祝でのトリをすべて。つっても5枚。一蔵さんも5枚なのでイーブンということで。つっても真打披露興行は一之輔師も天どん師も一度しか行ってないので、5回ずつってのは初めて。
仲入りが終わる前に一蔵さんが「そろそろ仲入りが終わります。このあとは朝之助さんの大爆笑落語が始まります」とプレッシャーをかける。

朝之助さん、「なんであんなハードルを上げるんでしょうか……」とボヤく。
『近日息子』はほぼ兼好師ばかりで聴いている一席。その点では昨日の王楽師と同じなのだが、噺の骨組みだけが同じで中身がぜんぜん異なるので比較しないで楽しめた。
特にいい間違えをする男とそれを指摘する男の言い争いの場面は新鮮。

小辰さんの二席めは酒飲みのマクラから『替り目』に。
最近は亭主帰宅後から始まりうどんやを呼ぶところまでを演ることが多かったのだが、今日は最初の俥屋の場面からおでんを買いに行かせるところまで。
その場合ウソをつくと下唇が出るという亭主が「(弁天様といったのは)ウソだからな!」「わかってるよ……下唇が出てるから」とサゲるのだがそれがちょっとわからないんだよな……。「ほんとは出てない(ウソをついてない)けど女房がそういうことにしておいてあげてる」というものなのか。

終演後もちょぼちょぼと降ったりやんだり。ガッと振ってカラッと晴れてくれたほうがいいんだけどなあ。
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両国寄席令和4年7月15日 [落語]

両国寄席令和4年7月15日
於:お江戸両国亭

三遊亭王楽『蛇含草』
柳家小春 粋曲
三遊亭萬橘『蛙茶番』

今日は遅くならずに上がれたのでなんかいいのがあるかなーと探したところ両国寄席が萬橘師がトリ。あらいいじゃないですかと両国に降り立ったところ盆をひっくり返したような大雨。折り畳み傘じゃ防げず結構濡れた。
ちょうど仲入りで1000円で入る。自分メモ。仲入り明けは19時半。

王楽師、コロナに感染したときのエピソードをマクラに。自分ではコロナかかってないと謎の自信を持って診察を受けたのに即陽性と判定されたとか。しかしまあ扱いが軽くなったもんだ。前は触れちゃいけないような雰囲気だったが、今じゃマクラだもんなあ。
『蛇含草』は東京では演じ手が少なく、兼好師の他には一度一之輔師で聴いたくらい。そうするとどうしても兼好師と比べることになってしまう。……あの鮮やかな高座と比べるってのは酷ですぜ。王楽師のだって決して悪いわけじゃないけど、例えば餅の伸ばし方ひとつとってみても「ああやっぱ兼好師匠は上手いな、伸ばし始めと途中でスピードが違うから餅が最初に抵抗しているのがわかるんだよなー」とか思ってしまう。ヤな客。
繰り返し言うが王楽師のも悪くはないのよ。比較対象の相手が悪過ぎた。

萬橘師、井岡一翔の防衛戦を観に行っていたらしい。一万円の席だったそうだが、それでも5人掛けのベンチだったらしい。高え。さすがタイトルマッチ。萬橘師の前一列を買い占めていた人がいたらしく、その顛末をマクラで話す。しかしタイトルマッチの後にも試合があるってのは驚いた。選手もやりづらいだろうなー。
萬橘師の『蛙茶番』はかなり久しぶり。好きなネタなので嬉しい。
定吉に「みいちゃんが褒めてたぜ」と持ち上げられるとバカ半がキリッとした表情をするのがおかしい。あの顔はかなりの飛び道具というか反則。
ほとんどの演者は実際にみいちゃんはきていないのだが、萬橘師のはみいちゃんがきていて思い切り見せつけていた。
芝居の場面もおざなりではなくちゃんと作り込んであるのもポイント高い。

これで仲入り後割で1000円は安い。
終演後はあれだけ降ってた雨もやんでいた。
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第五回入船亭扇辰独演会「九代目入船亭扇橋十八番」師匠の命日に落語と思い出話を [落語]

第五回入船亭扇辰独演会「九代目入船亭扇橋十八番」師匠の命日に落語と思い出話を
於:月島 月島社会教育会館

入船亭辰ぢろ『寿限無』
入船亭扇辰『千早振る』
入船亭扇辰『権兵衛狸』
入船亭小辰『茄子娘』
入船亭扇辰『団子坂奇談』

今日は四万六千日様。なので黒門亭から浅草へ移動し、浅草寺に。
お参りしてほおずき市を撮る。
今日はいろんなところで『船徳』が掛かってるんだろうなー。
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Nikon Df

さて毎年恒例の扇橋師の命日に行われる会。とはいえ私は去年のしか行ったことないんだけど。今年は十代目扇橋となる小辰さんも出るというのだから行かないという法はない。
社会会館ということで昨年と同じく日本橋の会場に。……ん? なんか雰囲気がおかしい。受付がいないしなんかクラシックが聞こえてくるんだけど。……おおん? 社会教育会館は社会教育会館だけど、月島? え? 社会教育会館に他の場所あんの? えーと今が開演15分前で、グーグルマップで調べた限り月島まで11分? ……ギリ間に合うか? まあ辰ぢろさんの高座あるだろうし最悪間に合わなくても……と思ったがちゃんと開演前についた。あっぶねえ。……なんかまた最近こういうこと多いなー。今日はちょっと早めに出てたから事なきを得たけど。確認大事。けど去年が日本橋だったんだもん、間違えるよ。

辰ぢろさん、慌ててるのかなんなのか、語尾を飲み込んで食い気味に次のセリフに移るのが気にかかる。

扇辰師の一席め、「今日も暑かったですなあ。師匠が亡くなった時も暑くてね。特に葬儀の日は溶けるような暑さだった。あん時は師匠を恨んだねえ。なんでよりによってこんな時に目をつぶるんだってね。約4年間寝たきりだったんで、我々弟子は覚悟もしていたし涙も出なかったんだけど、こみちさんが声を出して号泣してましたなあ。師匠は女性に優しかったからね。まああれだけ泣かれりゃ師匠も満足でしょう」。
「今日は早く着き過ぎたもんだから久しぶりにモスバーガーに入った。フィッシュバーガーとロイヤルミルクティーで800円もすんの。たっけえー。800円ありゃ焼肉定食食えるでしょう」とこぼす。800円を高いという庶民感覚もさりながら、扇辰師がロイミティーを飲むというのがちょっと意外。イメージになかったなあ。
食後の一服をしようと思ったら吸えるところがまったくなくて苦心した話も。「魔女狩りみたい。喫煙所作ってくれよ。なんで師匠の命日にこんなことを……。でも師匠も吸ってましたからね。……ていうかネタ決まんねえんすよお。この会も5回めで扇橋縛りでしょ。もうないよ。……あっ、アレやりましょうか、『寿限無』。アタシがやった方が面白いよ」。そりゃそうでしょうけども。
弟子を潰すようなことはせず、「人のご気性は十人十色」と『千早振る』に。そういえば寄席では聴いたことがあるが、ホール落語では初めてかも。お弟子さんたちはよく掛けているから、師匠で聴く機会があまりないのか。
千早や神代に振られたと聞いた時の八五郎がやたら嬉しそうなのがおかしい。

そのまま二席めに。『千早振る』について「くっだらねえ噺。でもそういうネタを淡々と演って上手でしたなあ。……次はもっとくだらない噺を……」と『権兵衛狸』に。
「昔話なんかでは狐や狸が戸を叩く時に尻尾を使いますが、あれはウソなんですってね。尻尾で叩いたって(フサフサだから)音がしない。じゃあどこで叩くのかというと後頭部を使うんです」って「戸を叩く」って時点でウソじゃんってのは野暮か。
確かにこの噺も狸が何をしたかったのかよくわからない、単に構ってほしかっただけなのか。
おとなしく毛を刈られている狸を想像するとかわいい。

仲入りのときに小辰さんが何とはいえないけれどもチケットを手売りしている。なんで俺の手持ちが少ないときに……。
終演後に金おろしてくるから待って、というと「知ってる人だし取っておきますよ」と言ってくれる。まあ週末に新版三人集の会にも行くからその時にでも。

その小辰さん、「私が扇橋を継ぐとは思わなかった。それを許してくれた一門の諸先輩方は心が広い。私は師匠が扇橋になると思ってましたから。そうすると弟子も名前変わるんですかね。辰ぢろは橋ぢろ。辰之助は橋之助。私は小橋? もはや名字じゃねえかという……」。
地元のお寺のイベントに呼ばれた話から坊さんのワルグチに。「今まで何度か坊さんと仕事をしたことがあるけど、坊主で酒嫌いという人にあったことがない。生臭ばっかり」と暴露する。
「私も落語での知識しかありませんが『五戒を保つ』とか厳しい修行をしていた人もいたようで」と邪淫戒と戦う僧の噺の『茄子娘』に。
濡れ場を結構しっかりめに語るが、「ここからがいいところなんですが、その先は師匠が教えてくれない」とカラスカーと夜が明ける。
全体的には硬めで軽く、扇辰師を思わせる感じ。

扇辰師の三席め、お客さんからの供花を携えて高座に上がる。「せっかくいただいたんでね。……あ、これここに置いたら(照明に当たって)ダメかね? 下ろそうか。……まあいいか?」と自問しているうちに小辰さんが出てきて下げようとする。「ああいいよ置いといて。……それにしてもお前の茄子娘は可愛くねえなあ。俺ぁそんな教え方してねえぞ」と公開ダメ出し。小辰さんが「そういう方向性で……」と答えるも「まあいいけどさ。……私は違うと思います!」とあくまで弟子に厳しい。
噺は時期もぴったりの『団子坂奇談』。これもまたくだらないというか「え、それで終わり?」という唐突なオチのもの。
お絹さんの駒下駄の「ことっ、ことっ」という効果音が月夜の静寂さを引き立て、緊張感を高めたところで一気にびっくりさせられる。何度も聴いてるのに毎回引っかかるんだよな……。この効果音の使い方がやはり一日の長がうかがえ、上手いなーと思わせる。
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黒門亭 第一部 3577回 [落語]

黒門亭 第二一部 3577回
於:落語協会2F

入船亭扇ぱい『鮑のし』
柳家花飛『田能久』
三遊亭圓王『悋気の火の玉』
林家たけ平『死ぬなら今』
三遊亭天どん『スイカ泥』

すっげえ久しぶりの黒門亭。コロナでしばらく休んでたってのもあるけど、私自身5年ぶりくらい。落語協会の2階に上がったのも3年半ぶりくらいか。あまり変わってなさそうで安心する。

扇ぱいさん、鮑のしの根本の前に大家さんの家で「鮑は持って帰るからお返しの1円だけくれ」でサゲ。ここで切るのは初めて聴いた。

花飛さん、「前座時代は『フラワー』という名前でやってまして。前座時代だけの仮の名前ですからカリフラワー」って8年もやってんの? まあウケるならいいけど。

圓王師、昨年からバタバタと亡くなった一門(元も含む)の圓龍師、川柳師、圓丈師の話を。「それと出ていっちゃった一門だけど、圓楽さんもね。あの人肺がんもあって脳梗塞やって、さらに腹黒いという……」とそこそこ腹黒いことをニコニコと話す。なんかいいなあ。
噺に入ってもにこやかなままで、噺の持つバカバカしさをふわっと軽やかに表現している感じ。いかにも寄席の芸という雰囲気が楽しい。

たけ平師、まずはいつものように「ありそうな気もするけどやっぱりどう考えてもそんなこと起こんねーだろ」というマクラをかます。ベタベタといえばベタベタだが、それもまた寄席の芸という感じ。もしかしたらたけ平師が正統な林家の芸を受け継いでいるのかもしれない。いや林家をそこまでよく知らないので適当。一朝一門や好楽一門も大ぐくりにすれば林家なのかもしれないが。

天どん師、「たけ平くんは声が大きくていいですねえ。よっぽど老人ホームに営業に行ってるんでしょうね」とひとくさし。「最近はこういうことをいうとお客さんが引いてっちゃう。こないだも寄席で『圓丈師匠が死にまして』っていったらさーっと引くのが手にとるようにわかった」そうだ。最近はあまりブラックジョークも言いにくいからなあ。
『スイカ泥』は初めて聞く噺。スイカ専門の泥棒が新人の泥棒を連れてスイカ農園に忍び込んだところ、そこは幼なじみの女性の家で……というもの。「なんでこんなのネタ出ししちゃったかなあ。たけ平くんも終わったんで、帰る人は帰ってもいいですよ」と身もふたもないことを言い出す。
「スイカ泥」という時期が限定される上にもうかるのかどうかもわからないような職業を出してくるのがおかしい。泥棒が幼なじみから「私を迎えに来てくれたのね」と逆プロポーズをされるのもシュール。
と、ほんとに途中で退席して帰った(?)人がおり、「おおう。ホントに帰るとは思わなかったぞおー」と若干パニクった様子。
終演後にお見送りに出ていたが、そこでも「ほんとに帰る人いるんだな……」とこぼしていた。けどね、その人誰の高座でも出たり入ったりを繰り返していた。なんだろ、よっぽど強烈にハラを下していたんだろうか。無理してくることないのに。
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