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第百十回 一蔵ひとりの会 [落語]

第百十回 一蔵ひとりの会
於:神保町 らくごカフェ

春風亭一蔵『代書屋』『笠碁』『青菜』

さいたまでの兼好師の会が終わり、大急ぎで神保町に。ナビで見る限り到着は開演20分後。間に合わないかなーと思っていたのだが、ああしたりこうしたりとしていたらなんとか開演2分前に滑り込むことができた。これはなかなか奇跡では。もちろん警察に怒られるようなことはしていない。

一席め、6月は忙しかった、特に旅の仕事が多かったと小辰さんと同じことをいう。
㐂三郎師とふう丈さんとの仕事が1本、三人集が2本、小辰さんとの仕事が1本、ひとり旅が1本と、月に5本の旅仕事というのはかなり珍しいという。そのうち半分以上小辰さんと同じ仕事ならそら言うこと被るわ。「もう遠足よ」ってそんな気の合う人たちとだけならそうだろうなあ。
㐂三郎師との仕事は以前から話していたあラやしきの熊本ツアーのようで、ほぼ手弁当のようなものらしい。そのかわり世話人の方の実家だかに毎年泊めてもらっているそうで、「ご飯を食べさせてもらって酒も飲んで、ふたりで一緒に風呂入ってお孫さんのアヒルのおもちゃでキャアキャアいいながら遊んで。そんなの毎年よ」。楽しそうだとは思うも、「見てみたいなら一度呼んで」は遠慮しておこう。
その家のお母さんに痩せたことを心配されてしまい、大判トンカツと大盛りごはんを出されたものの、ダイエット中なのでほぼふう丈さんにパワハラまがいに押し付けたとか。
ただ、なぜかマクラになるような面白い話は誰かと一緒にいるときよりもひとりでいる時の方が起こるという。
三重の仕事で松坂の居酒屋に入ったところ、隣の男女がなにやら揉めており、その会話の内容を話す。確かにそのまんま落語になっており、「もう今後私の『親子酒』のマクラはこれでしょ」と言わしめるほどのネタに仕上がっていた。
そのまま『親子酒』かと思ったが、どういう話の流れか『代書屋』に。
元は上方の噺のはずだが、主人公がやたらと江戸弁が強くて江戸っ子気質なのはその裏返しなのか。一蔵さんも「履歴書」を巻き舌の「るぇるぇきしょ」とまくしたて、「笑いが起きるまでやめない」と繰り返す。
とはいえ確かに「話の通じない人に振り回されて話がまったく進まない」という噺の構造は上方っぽい。

二席め、やはり三重での仕事の途中で立ち寄った競艇場で見かけたおっちゃんをマクラに。「旅はいろんなことが起こる」といっていたが、いいなあ~俺も久しぶりに旅に出たいなあ。猫がいるから一泊も難しいのはわかっているけれども。
「雨が降っていたから」と『笠碁』に。
後で「今シーズン最後じゃないですかね……。雨の時期じゃないとできないし」とのこと。私個人的には梅雨よりも秋の長雨のほうがイメージに合うんだけど。
待て待たないの攻防で過去の借金の話を持ち出すが、今日のバージョンでは「あいつは『待った』をしたいときには毎回あの話を持ち出す」となっていた。そらいくら温厚な人でも意固地になるわ。

三席め、この時期落語会をはしごすると『青菜』がかぶるのはあるある。
お屋敷の奥方が「その名を九郎判官」といってから「義経にしておけ」というまでにまったく間がない。
「打ち合わせもなくアドリブで返す回転の速さ」を表現するためのようだけど、さすがに一拍の間もないのはちょっと不自然すぎかな。「ああ」とか「じゃあ」とかの短い間があったほうが「あの一拍で考えたのか」と思う。ノータイムだとさすがに打ち合わせなしではできないでしょ。

終演後、どれとはいえないけれどもチケットを販売していたので大量に買い込む。いよいよですなあ。
一蔵さんもそこにやってきて少し話していたら「昨日もありがとうございました」といわれてしまう。高座から見えてたの? そんな前の席でもなかったのに。と思ったら見えてたらしい。実際一蔵さんのブログにも「いつも来る常連の人ふたりが見えてた」と書かれてた。目いいんですな。
タグ:春風亭一蔵
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TOIRO寄席10周年記念 第60回TOIRO寄席 三遊亭兼好独演会 [落語]

TOIRO寄席10周年記念 第60回TOIRO寄席 三遊亭兼好独演会
於:さいたま新都心 さいたまスーパーアリーナTOIRO

三遊亭兼好『蛇含草』
三遊亭けろよん『転失気』
三遊亭兼好『たがや』
三遊亭兼好『青菜』

前回来たときと同じくスーパー銭湯に寄ってスーパーアリーナに。今日は風呂の時間を優先したので飯抜き。もっと早い時間に家を出ればいいだけなのだけれど。

最近の猛暑に触れ、クーラー嫌いの兼好はまだクーラーを使っていないらしい。大変なのはそれに付き合わされているおかみさんで、一晩中家の中の涼しいところを探して彷徨っているのだとか。
昔はクーラーがなくても涼しくなるように工夫していた、と主人公が手拭いを二枚縫い合わせただけのものを甚兵衛と言い張る『蛇含草』に。
餅をご隠居に焼いてもらっているときに「焼けた餅はここに置いてもらって……いや、猫舌じゃねえんですけど、手が猫なんですよねえ……」と「ゆるしてニャン」みたいなポーズをするのがおかしい。焼き上がった餅を両手でせわしなく叩いて手で持てる熱さまで冷ますという仕草があるのだが、そこでも時折「ニャッ」という声を入れるのが芸が細かい。
昨年聴いたときは「今年だけの技」としてスケボーのトリックみたいな餅の食べ方をしていたが、今年は本当になし。もったいない。

けろよんさん、なんつーか入門1年足らずでこの安定感はすごい。すごいけれども。なんつーかホント「マシンか」というくらいいつも同じなので正直面白みはない。逆に兼矢さんの入門一年めはまあハラハラドキドキで、正直楽しめたかと問われれば不安しかなかったけど、それはそれで楽しかったんだよなあ。難しいね。

兼好師の二席め、『たがや』は今年二回め。
侍に野次を飛ばす江戸っ子たちの無責任なやりとりが軽妙で、その無責任な感じがなんとも楽しい。

三席め、林真理子氏が日大の理事長になったことに触れ、「いいですね、OGで、有名人で。でも私は、前の理事長も好きなんです。あそこは夫婦仲がいいのがいいじゃないですか」と『青菜』に。
これで夫婦仲がいいかというと結構演者によって異なるのだが、兼好師のは完全に仲良し夫婦。植木屋が家に帰ると浴衣に男物のふんどしを締めたおかみさんが待ち受けてるというだけでもう楽しい。近所の子どもたちに「お相撲のおばちゃん」と呼ばれているというのも笑えるが、「お前三指なんかついたことないだろ」と亭主に言われ「いつもやってるじゃない!」と応えるも「あれは仕切りだ」と論破されるのが最高。
こないだ柳雀師の『青菜』を聴いたときに「おかみさんの株が上がるからと理由づけしている人は少ない」とか書いておきながら、兼好師のはまんまそれだった。一番聴いているだろうに、何をやってるんだか。
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