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プチ人形町落語会 昼の部 [落語]

プチ人形町落語会 昼の部
於:人形町 日本橋社会教育会館

春風亭いっ休『手紙無筆』
笑福亭たま『洗濯屋さん』
春風亭一之輔『七段目』
旭堂南湖『エベレスト(下)』
三遊亭遊馬 『蜘蛛駕籠』
三遊亭兼好『ぞろぞろ』
柳家三三『雪とん』
怖-1グランプリ

昼食を挟んで昼の部。
ちょっとブログが渋滞中なので簡略版にて失礼をば。
順番決めのじゃんけんは南湖一之輔兼好遊馬たま三三の順。

たまさんがサラ口で登場するが、「東京と大阪の前座の違いというのは……」と話し始めた途端、「あっ」となにかに気づいた様子。「そういえば今日はいっ休さんが手伝いに来てくれていて、高座返しとかしてくれているのに出ないのは悪いなーっていうてたんやった。一席演るっていってたよな? ……ほないっ休さん出てきてください」と自身は下がる。こんなの初めてみた。

「急なご指名で……」と苦笑いのいっ休さん、それでもきっちりと話すのはちゃんとしている。

再登場のたまさん、東京と大阪の前座の違いというのは、東京は前座は開演前に出て、大阪は開演後に出るらしい。東京は「料金の外、お金を取れる芸ではない」と名前や写真も出さないが、大阪は開演前に出ると時間通りにきた客が「損した」と騒ぐらしい。それに前座でも人数が多いほうが「お得」と思うのだそうだ。なんとなくわかる気がする。
その流れで噺も大阪の笑いのお約束の説明のような感じ。とりあえず「ドンドーン」と芸人が言ったらそこはオチで笑いどころなんだとか。

一之輔師、「……あれは洗濯屋さんじゃなきゃいけないんですかね」とごもっともなご意見。
一之輔師は赤ちゃんを見るのが大好きだそうで、春になると抱っこされている赤ちゃんが電車の中で靴下を脱いでしまうという光景を見るという。そのときの赤ん坊との妄想会話を楽しそうに話す。
「赤ちゃんの話と『七段目』のマクラがつながらない」と困り、「赤ちゃん歌舞伎なんてあったらいいですなあ」と無理やりお芝居に持っていく。
やっぱりこういう派手な噺は一之輔師はピタッとハマって面白い。

南湖先生、上で出会った外国人登山家ふたりがエベレストで命を落とし、遺体が「グリーンブーツ」と「オレンジグローブ」という登山家たちから目印にされていたが、そのふたりを日本人登山家が埋葬しようとするもの。「グリーンブーツ」という遺体は実在するようだが、それ以外はフィクションぽい。

遊馬師の『蜘蛛駕籠』は初めてか。というか『蜘蛛駕籠』自体あまり聴かないもんなあ。今年は遊馬師が二席ともあまり聴かないネタなのが嬉しい。
仲入り前ということで持ち時間が長めなのか、しっかり丁寧にやっている印象。
踊りながら駕籠屋に「お前もやれ」と強要する若者に戸惑いながらもたどたどしく対応する駕籠屋の狼狽ぶりが楽しい。
細かいことだが、客がこっそりとふたり乗り込んだ駕籠を担ごうとするときの重量感の表現がいい。すごい重いってことがかなり伝わってくる。

兼好師の『ぞろぞろ』は約4年ぶり。子どもたちが散らかしたお稲荷さんの幟を片付けるとか、じいさんばあさんがやっているのは茶店ではなく荒物屋だったりとか、あまり他の人では聞かない型。好楽師が同じだったかな。もしかしたら師匠譲りなのかもしれないが、実際のところは不明。
床屋の親父がひげを毛抜で抜いているシーンでは、顎のあたりは痛くないが、もうすこし顎の付け根の方へ行くと痛がる。この痛みの境界線を探しているというのがくだらなくて面白い。

三三師、昨日扇辰師で『雪とん』の前半部というか前日譚の『お祭り佐七』を聴いていたので個人的に扇辰三三のリレー落語のように思える。この贅沢な体験をしているのはこの会場で俺だけだろうなと考えるとなんだか気分がいい。それにしても「まだネンネ」といわれていた糸屋のお嬢さんを一瞬で大胆にさせるとはどんだけいい男なんだろうか。

大喜利の「怖-1グランプリ」は特に順位付けなどはせず、出演者それぞれの怖い思いをした体験を話す。
たまさんは師匠おかみさんをしくじった話。
一之輔師は自販機での怖い(?)話。
遊馬師は大学の落研での怖い先輩の話。
兼好師は実家の猫のみゃーちゃんの話。
三三師はマンションのエレベーターの話。中途半端な位置で止まって扉が開いたらしい。
南湖先生は大阪の「安まちメール」の話。結局は人間が一番怖いとゾッとさせられる。さすが講談師。

最後は恒例の三本締めで。
来年も同じ会場で、今度はフルに入れられればいなあ、とのこと。
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プチ人形町落語会 朝の部 [落語]

プチ人形町落語会 朝の部
於:人形町 日本橋社会教育会館

旭堂南湖『エベレスト(上)』
三遊亭遊馬『置き泥』
三遊亭兼好『孝行糖』
春風亭一之輔『花見小僧』
柳家三三『鰻屋』
笑福亭たま『夏の医者』
クイズ「前座さんに聞きました」

3年振りのこの会、待っておりましたよ。
今年はチケットがe+での扱いとなっており、まあ大丈夫だろうと思いつつふと不安になって発売日の発売開始時間に(会社でこっそりと)アクセスする。
朝の部は問題なく購入できたが、ログイン認証やらカードの認証やら多少時間がかかる。
さて次は昼の部を、と思ったら「規定枚数終了」の文字が。は? え? と軽くパニクリながらも、なぜか進めた購入画面で「購入」ボタンを押すとチケットが買えた。あの表示はなんだったんだ。
とはいえ実際あっという間に売り切れたらしく、私の周りでも買えなかったという話を聞いた。あっぶねえ。
考えてみれば第1回めは真打はまだ2〜3年めの三三師しかいなかった若手の会だったのに、いまやそれぞれ各協会を担う看板ばかり。そりゃ即完売もするでしょう。
先日出演者のある師匠から、どうしてこのメンツになったのかという裏話も伺った。ひとことでいえば偶然らしい。へええ。

さてオープニングは恒例の順番決めのじゃんけんから。
一之輔兼好遊馬三三南湖たまの順に勝ち抜け(遊馬師と三三師が逆だったかも)、上記の出演順をそれぞれ選ぶ。
二番勝ち抜けの兼好師、「三番め〜♪」と嬉しそう。この会はトリを取らされることが多く、さらにたまさんにサゲをネタバレされるという仕打ちを受けたことがあるため、トリは嫌だったようだ。そんなこともありましたね。

一番手の南湖先生、今日はたまさんが釈台を忘れてきたといい、代わりに前座のいっ休さんが出してきたのは舞台で使う箱馬と呼ばれる台のような木箱。
南湖先生自身は釈台がないと思っていたため張り扇を楽屋に置きっぱなしにしており、これまた裏でバタバタとした気配がありいっ休さんが持ってくる。
「富士山に登らぬバカ二度登るバカ」という格言から、幼少期にお父上に負ぶわれて富士山に登ったこと、お父上を亡くされてから自力で富士山に登った体験を語る。
そこから富士山登山をきっかけに知り合った外国人登山家カップルがエベレスト登山に挑むという噺に。とりあえず序、なのかな。

遊馬師、「アタシは他の人と違って家にいることが多くて……」っていやだから土日祝日に会やりましょうよー。
リーマン遊馬ファンとしては絶対にトップ5には入る自信がある俺だが、今年まだ2回めよ?
「GWに電話かかってきたのは兄弟子から『モモヒキ作り過ぎたんだけどいる?』ってだけ。『サイズ合わないんで無理です』って……。それと母親と話していたら、いまだにオレオレ詐欺ってあるらしいですね。こないだも実家で母親が電話で誰かと話し込んでたんで誰と話してるのか聞いたら、『アンタから電話かかってるんだけど』だって……」というところから『置き泥』に入る。
遊馬師の『置き泥』は4年前に一度聴いたきり。「お、なんか妙なヤツが入ってきたぞ」と住人目線なのが珍しい。
「ダテには差さねえ二尺八寸ダンビラもの、うぬの腹にずぶりずぶりとおみめえ申すぞ」と凄むものの、「やってくれ」といわれて「やだよ、人を殺めたくねえもの。『おみめえ申すぞ』って教わったとおりにやってるだけだ」とまるで前座や二ツ目のような言い分がおかしい。

兼好師、「こういう会は『この会があるってことはもうGWなのね』なんて感じに定着するのはかなり難しい。逆に忘れるのは1回2回中止するだけであっという間に忘れられる」と再開を喜んでいるような口ぶり。「たま兄貴に会えないのも寂しいですしね。……まあ『ホントに寂しいのか』って聞かれたら年に一度でいいって答えますけどね」。
噺に入ると客に呼び止められているのに手を振って立ち去ろうとするなど、与太郎の与太郎っぷりが突き抜けていて楽しい。「何だアイツ少し足りねえんじゃねえのか」「失礼なことをいうな! ……少しじゃねえ、すっかり足りねえんだ」という客のやり取りが楽しい。

一之輔師、「みんな10時で早い早いっていってますけど、私はもっと早い時間にしたことがあります。二ツ目の頃、ちょっと上の馬玉アニさんの弟が大山ケーブルカーに勤めているということで大山で『大山詣り』をやるという仕事があった。集合時間が朝の6時半」。……学生の頃伊勢原に住んでたけど、それ始発じゃないと間に合わないんじゃないかなあ。
「登山前の登山客に聴かせるんですよ、朝の7時半に。ホントは30分に収まる噺じゃないんだけど無理やり詰めて。で、第二陣が8時5分出発ですよ。第三陣が8時40分。9時には仕事が終わってた」だそうで。
少し時期は外れるけれど、と『花見小僧』に。あれ、一之輔師の『花見小僧』初めてかな? あまり初めての気はしないんだけれども。二ツ目時代かな。
定吉のこまっしゃくれつつも結局は子どもだな……と思わせつつやっぱり油断のならない抜け目のなさが楽しい。

三三師、トリ前だからかサクッとという印象。短い噺でもちゃんと落語聴いたな、という満足感がある。
鰻が右のたもとから入って左のたもとまで出てくるというくすぐりがあり、「誰も気づいてねえじゃねえか」と言っておりましたがちゃんとわかりました。
鰻のニョロニョロっとした姿が見えるようなのはさすが。

たまさん、どうやら自身のTwitterに噛みついてきた人がいたようで。そのやりとりについては探すつもりもないのでたまさんの言い分のみ聞くことになるが、正直それをここで話すのはどうかな。
その人とのやりとりでいろいろ腹を立てたのだろうが、この会場にいるってことは少なくともたまさんにさほど悪印象を持っているわけではない人なわけで、その人たちに向けてあのワーッとした喋り方でまくし立てるというのはどうもいただけない。あれは一方的な吊し上げだ。
たまさんはさぞかし溜飲が下がったことであろうが、相手本人のいない(と思われる)ところで「皆さん聞いてくださいよ」みたいな感じで喋るのは正直ダサい。そんないざこざの片方だけの言い分を一方的に聞かされて「皆さんはわかってくれますよね、私の味方ですよね」みたいなことされてもね。なんかもっとクレバーな人だと思っていたが、ちょっと印象を改めなければならなそう。そんなこともあり落語も楽しめなかった。

お楽しみの大喜利のコーナー、今回はいろいろな項目を前座さんにアンケートを取り、その答えを出演者が当てるというもの。昔あった『クイズ100人に聞きました』みたいな感じ。ただしサンプリングは3人くらいっぽいけど。
「前座に嫌われる真打の行動は?」「前座に嫌われる二ツ目の行動は?」「前座に嫌われる色物の行動は?」「前座に嫌われるお客の行動は?」あとひとつお題何だったかな……。
なお大体において「ずっと楽屋にいる」が嫌われるようです。
今年は例年のように観客が誰が優勝するか、というトトカルチョはなし。2つ回答を当て、遊馬師が優勝。
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らくご長屋 扇辰独演会 [落語]

らくご長屋 第13回扇辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『道具屋』
入船亭扇辰『お祭り佐七』
入船亭扇辰『竹の水仙』

昨日は昼に駅前にできた焼肉屋へ平日限定のランチ食べ放題に。飲み放題もつけて胃袋が破裂するほど飲み食いする。カルビはなんというかよくある網の上に乗せた途端に火柱が上がるという炎上系というか火だるま系というかアレな肉だけれども、ハラミはちゃんとしてるし、なによりミックスホルモンがあるのが嬉しい。よく行く焼肉屋はシロがないのが不満だったのです。
家に帰ってはちきれんばかりの腹を抱えて昼寝。夜に猫に「ゴハンちょーだい」と起こされ、ひととおり猫の世話をしたが、まだ腹いっぱいでやることがないのでベッドで本を読みながらまた寝てしまう。まあ昼に家の掃除してたからまだよし。

今日は買い物。通勤用の夏の服や食料品などを買い込む。車もあまり乗らないからたまには遠乗りしないとバッテリーあがっちゃうなあ。

昼食を終えてのんびりしてたらいつの間にか出かける予定の時間を10分も過ぎてた。慌ててバイクで会場へ向かうが、無事開演10分前に着く。バイクは気持ちいいが、まだやや寒いかな。

一席め、「『ゴールデンウィーク』ってのは映画業界がつけたんですってね。だからNHKなんかは『大型連休』としている。アタシの話はアカデミックでね。宮治とは違う……いや別に悪口じゃなくてね。さっきそこで会ったからさ」。この会の前に宮治師の会があったのは知ってたんだけど、チケットも買ってなかったし今回はパスしたんだよなー。……だって宮治師結構この会は手ェ抜いてない? なんかこの会だとイマイチ面白さが八割くらいなんだよなあ。あくまで私の印象です。違うっていわれたら謝る。
それはともかく。
「なんでこんな話してるかっていうとね。ネタ決まってねえんだよね。何を話しましょうかなあ」と少し迷った後で「じゃあ珍しいところで『お祭り佐七』という噺がありましてね。今じゃ誰もやらないんだ。なんでかっていうと……お察しのとおりそんなに面白くないんだ。『圓生百席』なんかにも入っていて、ネタに対する対談なんかもあるんだけど、このネタに関しては圓生師匠もほとんど触れてない。『このネタについてはもういいでげしょ』なんていって……。講談社の速記本があるっていうから見てみたら高ぇの。協会にあるって聞いて見てみたら、確かにあった。でもあそこは資料の貸出をしてくれない。『コピーはいいの?』って聞いたらコピーはしてくれるんだけど、1部5円取るの。協会員なのに」だそうで。なんかそういう裏話っぽいのも楽しい。
さて噺に入ると確かに大きな笑いどころやあるわけでもなく、ストーリーもあるようなないような。『船徳』の船頭たちがわーわーやっているところを楽しむような噺なのかと思う。
これ扇辰師もよく掛ける『雪とん』の前半なのね。確かに「お祭り佐七」という名前にはなんか聞き覚えはあったのだが。兼好師で一度聴いたことがあったがそれっきり。扇辰師で新しいネタに当たったのは嬉しい。しかし聴いたことないネタなんてまだたくさんあるだろうに、そういう噺ってどこに行けば聴けるんだろう。独演会でも大体ネタ決まってるような感じだしなあ……。

二席め、GWつながりか旅の噺に。
相変わらず本人が亡くなっても細川公のおつかいは郡山剛蔵氏。それが扇辰師の敬愛というかリスペクトなのかもしれないが。
そういや扇辰師の場合、竹の水仙が花開くのは一度めの商談後なんだな。他の人だとだいたいは彫り上がった後、ちょうど細川公が通る頃に花が開いてその香りが細川公の鼻に届いて目に留まるというパターンなので、扇辰師の型は珍しい。まあその他にも宿の主人が入り婿だったり甚五郎が宿代を倍払うといい出したり、サゲもだいぶ他の人と違うのだが。
かなりたっぷりとで、終わったのが5時3分前。幕が閉まった途端、主催者が「5時に完全に出なきゃならないんで、早く出てください」という。楽屋も5時までしか使えないのか、出ていく後ろで「師匠、外(ロビー)で着替えてください」という声が聞こえてきた。確かにロビーの外で次のイベントの人たちが待機している感じだったので待ったなし。珍しいハプニング?
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三遊亭兼好@能舞台 [落語]

三遊亭兼好@能舞台
於:長谷 鎌倉能舞台

三遊亭兼好『湯屋番』
春風亭枝次『かぼちゃや』
三遊亭兼好『ちりとてちん』
三遊亭兼好『包丁』

昨日は久しぶりにドームへ野球観戦に行ったのだがものすごいくだらない負け方をする。さらに坂本がファインプレーで沸かせたのだが、靭帯損傷で登録抹消。マジか。
というか以前はちょいちょい野球を観に行っていて、今でも1年か2年に1回くらいは観に行くのだが、俺が行くと必ず負ける。下手すると10年以上勝ちゲームに行けてないんじゃなかろうか。今年は巨人調子いいし、反対に対戦相手の阪神は最近持ち直してるとはいえ最下位。今度こそ大丈夫だろと思ったらクソ惨敗。さすがに心折れるわ……。

鎌倉能舞台での落語会は2回め。
ちゃんと余裕持って出たのに、東海道線が微妙に遅れ、横須賀線への乗り継ぎが予定通りに行かず。もーーーー。せっかく鎌倉までいくのに天気も悪いし。天気よけりゃツーリングがてらバイクで行ったんだけど。なんかここ最近いろいろ思ったとおりにいかなくてイライラする。うまくいかんなあ。

一席め、このさなかになかなかの密度の会によくいらっしゃいましたとジャブをかます。
今年は3年ぶりに特に規制のないGWとなり、落語会は軒並み入っていないのだという。「そりゃそうですよね、ようやく出かける格好で外に出ても白い目で見られなくなったってのに、わざわざ落語会行きます? 皆さん自覚がないようですが、今日ここにいるって普通じゃないですからね」。そう言われましても。
「一昨日ワクチンの3回めを打ってきた。遅いと思われるかもしれませんが、私はほら一度感染してるんで。これまではそんなに副反応は辛くなかったんですが、今回は一番重いですね。ファイザー、天然、モデルナの中で天然が一番軽かった」だそう。
自宅から鎌倉までは遠いのでその間の電車で寝ていようと思ったのにずっと座れなかったそうで、「今はようやく座って休んでいる」。まあたまにそういうときもありますわね。師匠もいろいろうまくいかないweekなのかもしれない。
噺に入り、超絶ポジティブな若旦那に励まされる。こんだけ前向きに生きられたら楽だろうなあ。
それにしてもこの若旦那、お湯屋のおかみさん狙いで奉公に潜り込んだのに、いつの間にかお妾さん狙いになっているのか。
お妾さんの家に若旦那がたまたま通りかかり、「泳ぐような形で出てくるよ」と妄想しているときのお妾さんの仕草がおかしい。若旦那を見つけたときになぜか二度見をし、動作にキレがある。

枝次さん、トーホーのサラリーマンだったそうで。
百栄師のお弟子さんとのことで私は初。かっちりとした古典を聞かせる。

兼好師の二席め、「百栄師匠も前座の頃は本格古典をやってましたから。その後どんどんキモチワルクなっていくという……。彼も今はあんなにしっかりしてますけど、いずれキモチワルクなっていくんでしょうねえ」とヒドいエールを。
以前この時期になるとお客から筍をもらっていたという。これまでの鍋では小さかったので、コンロ3つを使うような大きな鍋を買ったら……とサゲる。
筍やふきのとうのような春の食べ物のエグみや苦味は人間の体が冬の体から春の体に変わるのに必要なのだそうだ。
食べ物の話から『ちりとてちん』に。かなり久しぶりでほぼ4年ぶり。
この噺でも愛想のいい金さんの動きが楽しい。「灘の生一本があるよ」とか「鯛の刺身をおあがり」と言われるたびにわざとらしく「えっ」と驚いて動きが止まり、その後何かを覗くように小刻みに揺れる。このわざとらしさがたまらない。
知ったかぶりをする六さんは酒を飲むときは「昔は灘にいた」「昔は明石にいた」などとフカす。飲んだり食べたりしても顔に出したり声に出したりしないが、結局モリモリ食べるのも楽しい。
「ちりとてちんを知ってるかい」と聞かれてキョトンとしてしまい、「何だ知らないのか」といわれて「発音が悪いからわからなかったんだ」とより中国語っぽい言い方で言い直すのもいい。
ちりとてちんを食べようとする動きや食べたときの動きも実に大げさで多彩なアクションで笑いが絶えない。

三席め、いまだに結婚詐欺は年に数件検挙されるらしい。結婚詐欺師というのはあまりイケメンでもダメらしく、顔がイマイチで声がいいというのが適しているのだとか。
噺に出てくる寅んべえもノドがいいという設定。
「酒を飲めば何でもできる」という寅んべえだが、口説くべき相手のおあきさんに一喝されてちょっと素に戻り「……ちょっと醒めちゃった」と飲み直すのがおかしい。
「なんだい! アンコウが逆さ吊りされたようなツラしやがって! それが女を口説く顔か!」という啖呵もすごい。和解後に「さっき『アンコウが逆さ吊りされた』って言ってたじゃねえか」「アンキモ好きなの」というやりとりも楽しい。

終演後、兼好追っかけ仲間と鎌倉まで移動してちょっと呑む。さすが観光地値段、そんなに頼んでないのにそこそこなお会計に。地元の人たちって外食どうしてるんだろ。同僚が会場近くに住んでいるので今度聞いてみるか。
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