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兼好庵 〜夏、庵の木陰で〜 [落語]

兼好庵 〜夏、庵の木陰で〜
於:池袋 東京芸術劇場 シアターウエスト

三遊亭じゃんけん『道具屋』
三遊亭兼好『青菜』
バロン ヴォードヴィル
三遊亭兼好『質屋蔵』

この会は早いうちにネットで予約していたのだが、コンビニで発券してお金を払うというシステムだった。チケットは当日までに発券すればいいんだろ、と思っていたら発行期限があり、それに気づいたのが期限当日。
危なかったー、会社の昼休みにローソンで発券しなきゃと思っていたら、昼休みのコンビニは長蛇の列。うへえ危険だけど夜に発券するか……と思っていたら、案の定発券し忘れる。
慌てて販売元に問い合わせてみたところ「完売」のつれない返事。oh...
だがチケット救済サイトをこまめにチェックしていたら出品している人を発見。しかも定価よりも結構値下げしてくれていた。席は後ろながらほぼ高座正面で私の好きな席。禍福は糾える縄の如し。結果良かった。

じゃんけんさんの『道具屋』は初めて。
口跡がだいぶ江戸っぽいというか落語っぽくなっている。

兼好師の一席め、出囃子が『さんげさんげ』ではなく『栄冠は君に輝く』。
お囃子の恩田えりさんに「夏っぽいものを」とリクエストした結果だそうで、今日高校野球が開幕したかららしい。関係ないけど高校野球の開会式見てたら役員たちの話の長いことといったら。給水タイムもいいけど、あんなオッサンたちのくだらない話なんかカットすりゃいいのに。
なんでかプロ野球の話に。「巨人はすごいですね。選手揃ってますね」というから最近の若手の台頭のことかと思ったら「裸になって謹慎でしょ。上はこないだ山口投手がノーヒットノーランやって、下はノーブラノーパンで写真撮ってるんですから」巨人ファンとしては笑い事じゃない。「しかも泥棒までいるんですから。セコムしてなかったのかって話ですよ」。ぐうの音も出ません。
話の途中で「あ」と何か思い出したらしく、「ウチに税務署がきたんです」と嬉しそうに話す。別に悪いことをしてるつもりはないので「どうぞどうぞ」とネタになりそうとばかりにきてもらったそうだが、至ってフレンドリーだったそうだ。
どうやら前座さんに渡すお金やゲストに払うギャラの名目が違っていたそうで、交際費や接待費ではなく、前座さんに荷物を運んでもらってお小遣いを渡したのなら赤帽と同じ扱いなのだそうだ。また、落語会で一席やった前座さんにお小遣いをあげたり、ゲストに謝礼を支払うのは外注費なのだという。この「ガイチュウ」という響きをおかみさんが気に入ったらしく、「ガイチュウきた? ガイチュウもう家の中に入った? ガイチュウ西瓜食べるかしら」などと連呼するのだとか。
これらが接待費などにならないのは支払う対象がクライアントではないから、らしい。クライアントから仕事をもらうためにもてなすなら接待費だが、前座やゲストにはそれが当てはまらないのだとか。それを聴いたおかみさんは「いずれ立場が逆転して、彼らから仕事を貰うようになるんです!」と主張したとか。
ということで支出の名目を修正するだけだったそうだが、「これは○蔵師匠みたいに脱税になるんですか?」と聞いたところそんなことはないらしく、正○師は犯罪だが兼好師はそうではないらしい。
そんな「持つ者と持たざる者」の格差は昔は今より激しく、という流れで『青菜』に入る。
他の人だと要所要所でしか酒を呑まないが、兼好師の植木屋は結構ちょくちょく酒を呑み続ける。こういうところが芸が細かいと思う。
また、他の人ではおかみさんは「仕方なく亭主に付き合ってあげてる」という感が強いが、兼好師のは「おめえ『もとはお姫様なんじゃねえか』っていわれるぞ」という亭主の甘言に乗ってむしろノリノリなのがかわいい。

ヴォードヴィリアンのバロンさん、歌ったりウクレレ弾いたりタップダンスしたりハットジャグリングしたり。歌にはスキャットでトロンボーンやトランペットも表現したり。「ヴォードヴィル」とは「街の声」という意味らしく、風刺を込めた歌などもある。まあつまり大道芸のややオサレ寄りって感じか。

二席め、雷に打たれたことのあるおじさんが髪が生えてきたという。それは聞き捨てならないと思いきや「髪成り」という洒落だった。
そんなところから『質屋蔵』に。この噺はいくつもの話が入れ子入れ子になっていて演じるのが大変そう。しかしそんなことを一切感じさせないのはやはり腕なんだろうなあ。
まあそんな面倒くさいこと抜きで単純に面白い。

帰り、いつも池袋にきたら寄っているランチハウスでいつものチキンカツ定食でも食って帰ろうかと思ったが、さすがのこの暑さでそんなギットリとしたものを食べる気も起こらず。
次があるのでおとなしく一度家に帰る。
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第十三回上原落語会 昼の部 三遊亭兼好独演会 [落語]

第十三回上原落語会 昼の部 三遊亭兼好独演会
於:代々木上原 ムジカーザ

三遊亭しゅりけん『子ほめ』
三遊亭じゃんけん『西行』
三遊亭兼好『磯のあわび』
林家あずみ 三味線漫談
三遊亭兼好『応挙の幽霊』

あっつ。
さすがに猫のためにクーラーつけっぱなしで外に出る。

会場は初めて来るホールで、普段は音楽会を演っているそうだ。
音楽ホールなので声が響く。

しゅりけんさん、最近はさすがに噺を間違えなくなった。
そろそろただ話すだけじゃなくて間とか取るようになっていくといいなあ。

じゃんけんさん、いわゆる地噺と呼ばれる会話のほとんどない噺。
あまり自由にくすぐりも挟めなそうで、やや苦戦気味か。
いろいろな噺にチャレンジしてるなー。
本来もっと長いんだろうが<序>で終わり。

兼好師の一席め、今日は午前中に習っている能のおさらい会があったそうで、仕事の都合上、小学生たちに続いて発表してきたのだとか。
能は舞の前に謡があるそうだが、謡は落語と違って勝手にセリフというか歌詞を変えられないので大層苦労をしたのだとか。落語ではほとんど緊張したことがないのにものすごく緊張したので、今日はもう終わり、だそうだ。
東京医大の話題に触れ、「あれはなんですかね、簡単に言うと頭のいい女子を切ってバカな男子を入れたってことでしょ?」と身も蓋もないことをいう。「医者でバカが増えるって嫌ですねえ……女子はやめる人が多いからってことらしいですけど、だったら入れる人数を増やせばいいじゃないですか。バカを少し入れるより、やめてもいいように頭のいい女子を2倍入れればいいじゃないですか」なるほど。
「裏口入学ってもっとコッソリやるものだと思ってたんですけど、あんなにやってたなんて。ああいうのって二世なんですかね。でも父親が名医だからって子がそうとは限らないでしょ。そんなことは落語界を見てみればわかることで……」あーあ。
物事はちゃんと先人に教わった方がいい、と噺に入る。
久しぶりに聴くが面白さは相変わらず。源兵衛が与太郎に持たせた手紙を読むご隠居のリアクションがおかしい。

二席め、今日はどちらも兼好師のDVDに納められているネタ。
どちらもあまり土日にはやらないような珍しめの噺(土日は初めて落語を聴く人も多くいるため、メジャーな噺になりやすいとか)。
まあ今日のこの会場にくるような人たちは初めてってことはないんだろうが。
酔っ払った道具屋と幽霊が都々逸の回しっこをしている場面があるが、そこはさすがに音楽ホール、唄がものすごく上手く聴こえる。最後の方では中手というより普通の拍手が沸き起こる。
噺家は歌が上手い人が多いが、兼好師もかなりのものだと思う。ただ普通の歌を歌っているところはほとんど見たことないなあ。打ち上げの席で扇辰師に無理矢理歌わされてたのを聞いたくらいかな。その時は「割と普通」って感じだったけど。

帰り、途中の代々木公園でなにか撮ろうかと思ったが、暑いのでパス。……いかんなー。最近ホントまともに写真撮ってない。
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