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人形町噺し問屋 その109 [落語]

人形町噺し問屋 その109
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭げんき『八九升』
三遊亭けろよん『ん廻し』
三遊亭兼好『身投げや』
一龍斎貞鏡『西行 鼓ヶ滝』
三遊亭兼好『抜け雀』

ちょっと早いが、自分の50歳の誕生祝いとしてバイク(2020年モデルのホンダreble250)を購入した。
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30歳を超えてからバイクの免許を取ったはいいものの、教習所に通ってるあたりで同棲を始め、それからは家を買ったりなんだりと自分の自由になるお金がなかったのだが、住宅ローンも終わり、子どももいないし落語以外に金のかかる趣味もない。あれコレそろそろ俺自分の好きに金使っていいんじゃね? と……。
まあそうはいってもあまり高すぎるのはちょっとアレなんで、中古にしておく。
本当は夏のボーナスで買おうと思っていたのだが、ドラレコにETCついてワンオーナー、それでいてフルノーマルとほとんど値段が変わらない。聞いてみたら中古車は完全ノーマルなのが人気で、オプションがいろいろついているとかえって人気がなくなるのだとか。確かにマフラーとかハンドルとかが変なのに変わってたらイヤだけど、ドラレコとETCなんてあった方が絶対いいじゃん。ドラレコなんて買うだけで4万くらいするし、取り付け費用もお高い。もともとバイクにつけている人も少ないから中古ではほとんど出ないし、えいやっと勢いで買ってしまった。
とはいえこれまではいわゆる原付2種しか乗っておらず、教習所以来のギア付きバイク。
バイク屋のある世田谷から北千住までなんとか帰ってきたものの、まあぎこちないったら。坂道でエンストするし。思ってたよりはちゃんと乗れたが、もうちょっと練習しないとなあ……。まだ頭の中でいろいろ考えながら操作してるので、無意識に運転できるようにならねば。

まずはご挨拶。光沢のある鮮やかな青紫の着物で、「高座では着ない着物でやってみようと……」とのこと。
「新年度が始まったばかりの忙しい時期にありがとうございます。新年度になっていろいろな事件や地震なども起きてますが、いいことでいうと愛子さまがご卒業されましたね。小学生になる前ですかね、どこかの公園へ行ったときにカメラをじっと睨んでるんです。『お前はどこのカメラマンだ』みたいな。……いやあホントお美しくなってよかったですよね。……私まだ失礼なこと言ってないですよね? まあ雅子さまの血を引いてるんですから美しさの下地はあるんでしょうが、やっぱり品がありますよね。もしあの方がボロを着ていたとしても、おそらく気づくと思いますよ。品が溢れてる。逆に綺麗に着飾っててもどことなく品がない人っていますよね。北千住に多いんですが……」と足立区ディスを入れてくる。
「卒業とは反対に、『笑点』では晴の輔師匠が入りましたね。木久扇師匠というおバカキャラが卒業されて、じゃあやっぱりおバカキャラが新しく入るのかと思ったら、意外と落語界っておバカキャラがいないんですよ。……本当にバカなのはいっぱいいますけど。木久扇師匠は50年以上あのキャラを貫き通した。それは本当にすごいことだと思いますよ。前回はなぜか私のところに『残念でしたね』というメールがたくさんきたんですが、今回はそれがなかった。でも『いよいよ次は好楽師匠ですね』というメールが……」。
その他にもSTAP細胞の小保方氏の結婚について「旦那さんは絶対に夫婦喧嘩になったとしても『STAP細胞はなかったくせに』とか言ってはいけない」とか、パソコンのサポート詐欺に騙されそうになたがおかみさんが撃退した話とか。

けろよんさん、おそらく萬橘師に習ったんだろうなーとわかる『ん廻し』。

兼好師の一席め、コロナが明けて1年が経つといい、コロナワクチンが6600億分も余らせていたことに振れる。「政府は『無駄ではなかった』って言ってますし、足りなくなるよりはいいんですけど、それでも6600億ってねえ。せめて10億くらいだったらまだわかりますけど……。だって官僚とか頭のいい人が計算したんでしょ!? 余らせることは誰にだってできる。だったら前座さんとかにやってもらったほうがよかったんじゃないですかねえ。地方に行くときも前座さんに『チラシ持っていって』と頼むと、会場の広さや独演会なのが二人会なのか、二人会なら相手は誰かとか当日の天気とか考えて予想した数しか持っていかない。それでチラシを4枚しか余らせないとかありますから。そういう配分が上手い。しかし毎回言ってますが、『国のお金』とわかると途端にそれをどうにかして奪おうとする人たちがいますね。そういう人に『その知恵を普通の仕事に活かせ!』と思うんですが、どうも善行には頭が働かないのに、悪巧みとなるとものすごく頭の回転が早い人がいる」と『身投げ屋』に。
『身投げ屋』自体ほとんど聴かない噺で、もちろん兼好師でも初めて。ここ最近初めての噺が多く聴けて嬉しい。
身投げ屋は橋の欄干から「聞こえるか聞こえないか、でも確実に聞こえる声で」念仏を唱えなければならないのだが、身投げ屋の真似をしている男はあからさまに念仏を唱え、そのわざとらしさが楽しい。
身投げから助けてくれた人に借用書を書かせるまでの図々しい男が、なんで自分と同じ遣り口の首くくり屋に騙されるんだよ、という単純なおかしさもある。

貞鏡先生、「兼好師匠がご挨拶のときに『高座では着ない色』といっていた着物とまったく同じ色の着物を出てまいりました。こんなことあるんですね……」。
昨年第四子をお産みになり、いつもならこれくらいの時間は寝かしつけの時間なので眠くなるという。育児や昨年からの真打昇進披露などの話をマクラ(講談でマクラというのかわからないけど)に『鼓ヶ滝』へ。
落語でも同じ噺があるが、講談では「ワシは西行だ」と慢心しまくっているし、最初に詠んだ歌も「はるばると 鼓ヶ滝にきてみれば 沢辺に咲きし たんぽぽの花」とちょっと異なっていた。
滝の水辺に咲いていたのは白百合の花なのだが、鼓の音は「たたぽぽ」と表されるのでたんぽぽの花にした、という違いも。

兼好師の二席め、「貞鏡さんいいですね。でもあまり褒めすぎると静岡の知事のようにもなりますからね。人を褒めるために他の人を貶めるとか、人を傷つけることになりますから」とあの知事の話から当然のようにリニアの話へ。
「名古屋まで1時間で行けるってことですけど、……名古屋ってそんなに急いでいかなきゃならないところですか? 別に用事ないでしょ。今は交通網が発達しすぎてどこも日帰り。一之輔くんとかさん喬師匠とか、昼に地方公演やって、夜に上野でトリを取ったりしてる。これがリニアが開通したら、『早くて便利だね』じゃなくて朝に地方に行って、都内へ戻って一席やって、もう一度地方へ行って夜にまた寄席へ戻ってくる、ともっと忙しくなるだけなんですよ」。確かに一之輔師のワーカホリックぶりはすごいからなあ。
「今でも新幹線で富士山がきれいに見えるときはアナウンスが流れる。でもそれを聞いても『えっ』なんて言っている間にもう窓の後ろですからね」。そういや久しく東海道新幹線乗ってないなあ。
昔は特に東海道の旅が人気があり、小田原は賑わっていたと『抜け雀』に。
絵描きの若者は街道を歩いているときから酔っていて、だいぶ崩れている。一文無しだと告げられたときに宿の主人から「お前みたいに『自分は本当はできる、やってないだけだ』と思い込んでるヤツは大っ嫌いなんだ。銭なんかいいから出てけよ」とかなりキツめにピシャっと叱られる。
貞鏡先生の『鼓ヶ滝』での驕った西行を窘めているのと通じるものがある。これは兼好師では珍しい場面。でもこれだけ啖呵を切れるのにおかみさんには弱いのはやっぱり兼好師らしい。
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