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扇辰日和 vol.86 [落語]

扇辰日和 vol.86
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰むめ『狸札』
入船亭扇辰『天災』
三遊亭青森『もう半分』
入船亭扇辰『雪とん』

昨日は神・長渕剛の武道館ライブ。18時半開演なので早上がりでも間に合うのだが、万全を期して有給を取る。さらにライブに向けでスタミナをつけないとな! 昼に近所の食べ放題の焼肉屋へ行くも、なんか最初のカルビだけで腹一杯になってしまう。というか肉のほとんどが脂なんだもんよ。肉を網に乗せるとゴオウッと炎が上がるという炎上焼肉。肉の質もよくない上、一皿の量がやたら多い。前に行ったときはもうちょっとよかった気がするんだがなあ。結局最初にババッと頼んだ分をあ食べるだけで精一杯。「残したら追加料金」とくどいほど書かれているので無理をせず。もうこの店で食べ放題は頼まないほうがいいな。

ところでこの店に貼られてたカード。
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言いたいことは何となく分かるけど、これだと食い残しを推奨してることにならんか? 言うなら「フードロス削減にご協力ください」とかじゃねーの?
神のライブは最高でした。遠慮せずに大きな声で歌えることの嬉しさといったら。おかげで今日は声が出ません。あと拳の突き上げ過ぎで右肩が痛い。

さて前座は存在は知っていたが高座は初めての辰むめさん。文字で書くと「辰むめ」だが発音は「辰ンめ」。歴代の扇辰門下のお弟子さんはこの会で初高座を踏んでいるそうだが、辰むめさんはすでに初高座済みのようだ。『寿限無』かと思ったら『狸札』。
狸に「どうやって入ったんだ」と2回尋ねてしまったり、狸が恩返しにきた晩に札に化けられると明かしたりなど、おそらくミスだろうと思われることがあったがそつなくリカバーしていた。

扇辰師の一席め、「今日はそれほど暑くはないんですがなあ……。やる気が出ねェのよ。皆さんはご案内でしょうが先週謝楽祭っていうのがありましてね。もう疲れちゃって。開場は10時ですけど、8時に朝礼がある。だから6時起きだよ。まあアタシは落語会の担当だったからそんなに大変じゃなかったんですよ、みんなプロなんだからまかしときゃいい。けど三K辰文舎でライブやってくれっていわれてさ。これが暑ィの。直射日光でさァ。やってるうちにギターが熱くなって壊れたらどうしようって……。それにその後に鈴本の出番もあって。ホントは休みたかったんだよ。でも湯島と鈴本なんてすぐそこだから、休むわけにはいかなくてね。でもまぁ落語ファンはみんな湯島天神にいるんでしょ、ガラガラでしょ、と思ってたらギッシリ。みんな暑いところ行きたくねェんだね」。謝楽祭お疲れ様でした。
「その疲れが2~3日抜けなくて。で、一昨日ある方のライブに行ったんだよ。NHKホール。定員3600人がいっぱいなの。……なんですか今日のこの人数は!」。確かに今日は空いてたなあ。「でさあ、これが長ェの。3時間だよ? さすがに最初からワァって総立ちになるような感じではないんだけど、やっぱり最後の30分くらいはみんな立っててさ、見えねえからしょうがなく私も立ちましたがね、それでもう疲れちゃって」。そんなこといったら長渕ライブなんて2時間以上ずっと総立ちで拳突き上げなんですが。
「今日のお客さんは運がいい。ゲストは青森さん。扇辰青森なんて組み合わせはそうありませんよ。だってあの白鳥さんのお弟子さんだよ?」。確かに扇辰師と白鳥師では芸風がぜんぜん違うしなあ。
「でもアタシは青森さんのこと買ってるんだ。なんといっても彼は上下が切れる。白鳥さんの弟子なのにだよ? 白鳥さんの上下なんてグチャグチャなんだから」。ひどい言われよう。
「でもこないだクラシックと落語のコンクールがあって、アタシが審査員のひとりだったんだけど、その会はクラシックも落語も同じ人が審査するの。だからアタシがクラシックの審査もするし、クラシックの先生が落語の審査をする。そこでダントツで青森さんが落語の賞を獲った。クラシックの先生も大絶賛でしたなあ。彼には仲入り前に時間を気にせずたっぷりやってもらいますんで」と袖を見ながら「……単にプレッシャーをかけてるんだよ」と青森さんにニヤリ。「アタシは短いところで」と『天災』に入る。
「江戸っ子の噂を申し上げます……そういえば白鳥さんの弟子、青森に続いてぐんまだってさ。白鳥さんも二ツ目時代はにいがただったし……江戸っ子はいねェのか」ご自身だって新潟でしょうに。
べらんめえ口調も鮮やか、というか強調しすぎがおかしい。「離縁状」が「れれれぇぇぇぇぇんじょう」になったり。

青森さん、「扇辰師匠が『江戸っ子はいねェのか』とおっしゃってましたけど、バカにしちゃいけない、三番弟子に『東村山』がいますから。……東村山が江戸かどうかは皆さまにおまかせしますが……」。それはちょっと無理が。
訥々とボソボソと話すスタイル。誰かと似ているような気がするけどそれが誰か思い出せない。
「私の爆笑新作でドカンと笑わせようと思ったんですけど、今日のプログラムを見たら『古典芸能研究会』って書いてあって……。なのでさっき思い出した古典をやります」と『もう半分』に。
押し殺すような話し方が、雨が降って蒸し暑い夏の夜を容易に思い起こさせる。老爺殺しの場面ではかなりの芝居仕立て。「国宝直伝です」。ええすげえ。じゃあ龍玉師と同じソースなんだ。
扇辰師もいっていたが、白鳥師の一門とは思えない重厚な一席。

仲入り明けの前にリンゴーンとチャイムが鳴る。扇辰師、「まあいいんですけどね。ベルとチャイムを間違えるバカがどこにいるんだ」と苦笑い。というかそんなスイッチあるんだ。
「実は白鳥さんのお弟子さんは私のところに結構お稽古にきてる。五本の指に入るんじゃないかな。白鳥さんのお弟子さんてね、真面目なんだよ。アゲの稽古にもちゃんとくるしね。ぞろっぺえだとこないんだよ。うちの弟子なんかぜんぜんこない」。え、アゲの稽古しないと高座に掛けられないんだと思ってた。
「青森っていったって広いからね、出身どこ? って聞いたら陸奥だって。陸奥って下北半島の端の方ですよ。前に仕事で行ったことがあるけど、なんにもないの。もう少し南に行くと恐山。だからあんなに乗り移ったような噺が上手いんだよ」と褒めてるのかけなしてるのか。
「青森さんが夏の噺をやったんで、アタシは夏に絶対やらない噺をしましょうか」と『雪とん』に。
病は四百四病で恋の病はその他、というところから『幾世餅』『紺屋高尾』『崇徳院』? 季節に関係あったっけ? と思っていたら、なるほど。扇辰師で聴くのは4年近く振り。
この蒸し暑いさなかに大雪の日の寒さを思い起こさせるのはさすがのひとこと。佐七のいなせっぷりと糸屋のお嬢さんの儚さと強かさぶりもお見事。

謝落祭の三K辰文舎の様子でも。
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Nikon Df
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