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ひぐらし亭 夜席 21年7月30日 [落語]

ひぐらし亭 夜席 21年7月30日
於:日暮里 にっぽり館

おしゃべり 三遊亭萬橘 林家たけ平
林家たけ平『宮戸川』
三遊亭萬橘『茶金』

せっかくの有給なのでもうひとつ行ってしまえ。
緊急事態宣言中なのにな。
ちょっと時間はあくので一度家に戻り、意を決してバイクで日暮里に向かう。もう今日は雨は降らない。天気予報は信じない。

まずはおしゃべり。
たけ平師、オリンピックの話題を振られるも「名前読めないよね!」とオッサン丸出しの発言を。まあ読めないけども。「名前覚えられないから漫談にも使えないんだ! こっちは昭和なんだよ!」。そうすね。あと最近の前座はみんな顔が似すぎててたけ平師は見分けがつかないという。なんとなくわかる気がする。「最近は(萬橘師を指して)こういう顔いないから」「こういう顔ってなんだよ!」「もう俺らの頃はエースだったからね」「エースってなんだよ……」。萬橘師は近い年代の人達には容姿イジられるなー。
「それと最近はみんな名前が変わるんだけど、携帯の名前の変え方がわからない」というたけ平師。そこまでの機械オンチも珍しいというか。「『緑太』は何人もいるから、俺の携帯に入っている緑太はどの緑太かわからない」そうで。前座名だからなあ。「こないだそれで大しくじりよ。好二郎が地方で『プロレス落語』なんてのに出るのを見かけたから、『お前プロレス落語なんてやるんだって?』と電話したら『たけちゃん間違ってるんじゃない?』って。兼好師匠に電話かけてた。あの人昔好二郎だったから。それからもう平謝りよ」。萬橘師は大笑い。「好二郎はね、アイツに小言いうのが気持ちいい。『好二郎テメエこの野郎!』って言えるから」。だいぶ溜まってるものが……。
某オリンピアンが不倫で使ったホテルが足立区で、それを地元のみんなで見に行った話などをたけ平師から出る。足立区だったんだ。「セコなホテルなんだよ。通りをもう一本いったところにあるホテルだったらもうちょっとマシだったんだけど」だそうだ。そうなんだ、知らんかった。今日負けちゃったみたいだけど。つーかそんなご近所さんだったんだね。
夏の予定が潰れたースイカ割りがしたかったーという茶番からビーチボールのスイカを出し、「落語家なんだから言葉を割ろう」ということに。……んん? たけ平師が出したお題の「ラクゴ」を割ると「裸」「苦」「誤」になって「裸になるくらい貧乏で苦しくて道を誤った」ということだとか。んんー。このほかにもいろいろな単語を分解していたが、なかなか難解というか。
このおしゃべりネタはいつもホワイトボードを使って行うのだが、萬橘師はいつもホワイトボード用マジックのキャップを開けっ放しにするため、オチの前あたりで文字が書けなくなるらしく、たけ平師からガチ説教を食らう。

たけ平師、若手の頃の辛かった仕事の話をマクラに。
海老名家は某鉄道系百貨店とつながりがあるらしく、その百貨店からの仕事が回ってくるという。デパ地下の新しいスイーツ売り場に並んでる人たちに「退屈だろう」と小咄を聞かせるというサービスを行ったことがあるらしく、その仕事が一番辛かったという。
「あの人達は好きで並んでるんだから退屈なんかじゃないんだよ。それなのにわざわざ『スミマセン』って声かけて『パンツ破けたよ』『またかい』ってやらなきゃなんない」。ステージとかじゃなくて個別!? それはキツい……。聞かされる方も……。
「中には『大変ですね』と言ってくれるとか愛想笑いとかしてくれる人もいたんですけど。一番傷つくのは、イヤホンしてる人にわざわざイヤホン外してもらって『パンツ破けたよ』ってやるんですよ。その後無言でイヤホンつけられるのが一番辛かった」。いやそうなるよ。
『宮戸川』はお花たちよりもやはり叔父さん夫婦のやり取りが面白い。叔父さんの「すべて呑み込んだ」ニターとした顔もおかしい。

萬橘師、今日は茶碗繋がりですな。『茶金』は高座で聴くのは前に他の人で一度だけあったきりで、そのときはなんか政治ネタとか織り込まれて白けたらしく全然覚えていない。
萬橘師はもちろんそんなクソ野暮なことはせず、ちゃんと面白いことを最優先させる。
京都人のイヤミな感じと江戸っ子の向こう見ずな感じの対極さが面白い。
茶金さんが首を傾げた茶碗をなんとか手に入れようとする攻防や、茶金さんの店の番頭さんにねじ込んだやり取りなどもどこか江戸vs京都の匂いがする。どうにか茶金さんに取り次いでもらおうとする必死さが楽しい。

ところで今日座った場所は、演者の前に張った透明なシートのためのポールがちょうど演者の顔にかかる位置で見づらかった。大失敗。次は気をつけねば。

……ほーらやっぱり雨降らない。これはバイクで正解だった。
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亀戸梅屋敷寄席 令和三年七月三十日 [落語]

亀戸梅屋敷寄席 令和三年七月三十日
於:亀戸 亀戸梅屋敷 藤の間

三遊亭しゅりけん『金明竹』
三遊亭ぽん太『大師の杵』
三遊亭真楽『壺算』
三遊亭兼好『湯屋番』
三遊亭萬橘『井戸の茶碗』

今週は思った以上に仕事が暇だったのでもう一日休みを取る。
そして久しぶりに亀戸梅屋敷寄席に。これ来たかったんだよなあ。
開場時間15分後に行ったらすでに満席。うええ? みなさんお仕事は? いや俺もだけれども。
しゅりけんさんがなんとか一席分作ってくれ、ギリギリ入れた。顔つないでおくのは大事だ。入れなかったら会社休んだ意味が半減しちゃうからね。まあこの顔付けならむべなるかな。兼好萬橘両エースを仲入り後にまとめて入れるとは。おかげで出演者全員が「こんな景色初めて」と口を揃えていたくらい。

しゅりけんさん、いやあ上手くなったなあ。言い立ても実にスムーズで、1回めはとにかく早口に、2回めは松公にわかるようにゆっくり始めるが「兵庫のぼんさんが〜」あたりでギアを入れ替えて一気にトップに持っていく。3回めもおかみさんに伝えるために最初はハッキリと。4回めはハナからトップギアと、ちゃんと毎回話し方が異なる。まったく噛まずに中手までもらう。
『味噌豆』や『八九升』でつまづいてハラハラしたのが遠い日のよう。といってももう3年以上前だけど。
今や立前座……とはいえ今は前座ふたりしかいないんだよなあ。昇進どうすんだろ。

ぽん太さん久しぶり。……あれ二ツ目昇進後は初か。ずいぶん開いたなあ。
『大師の杵』を高座で聴くのは初めて。先代圓楽師のCDで聴いたことがあるくらいかな。
ぽん太さんが達者なのは入門前から知っているのでハラハラはしない。
弘法大師、つまり坊さんの噺なので「ごめんなさいねぇ、こんなね、いやらしいお坊さんみたいなね……」と文菊師のモノマネを入れてくる。「すみません、やりたかっただけです」といいながらずっとやっていたので気に入ったんだな。まあ似てるっちゃ似てる。

兼好師もこの客の入りに目を丸くし、「おあとの萬橘くんが『一生懸命やっている』ように見える噺をやってくれるでしょう」といじる。
返す刀で「緊急事態宣言が出て、オリンピックもやっているさなかにこんなところで落語を聴いているなんて、『非国民!』と言われても仕方ないですね」と客席もいじる。「でも個人的な感想ですけど、落語好きの人ってそういうふうに周りから『非国民』と言われることが好きっていう人が多い気がします」。なんかわかる。なんかちょっと斜に構えてみるとか「変わってるね」といわれることが好きな感じ。もちろん私は違いますけど。
「ただ今年はオリンピック反対派の人も多いので、さほどオリンピックを見てなくても『非国民!』と非難されないんですよねえ」とちょっと残念そう。
どこまでもポジティブな若旦那の妄想に会場はずっと笑い通し。このキャラはやっぱり兼好師じゃないと出ないなあ。
妄想の中の「湯屋の親方が昼のおかずの鮭を喉につまらせて死んだ」という話を客にそのまま話してしまうというのがおかしい。さらに話の最後に親方が「近所の人がみんな香典持ってやってくる」と小言をいって伏線を回収するのが面白い。
噺の中に雷のシーンがあるのだが、それまでずっと外で鳴っていた雷がその時はタイミングが合わずに鳴らない。さすがに天は空気を読まない

萬橘師、「もうみんなアレで満足したでしょ? 笑うってのも体力使うんだよ。まあ先輩の命令は絶対ですから一生懸命やってるように見える噺をやります」といって井戸茶に。
萬橘師の井戸茶は5年ぶりくらい。久しぶりだなあ。
正直清兵衛さんが思ったことをすぐに口に出すという、正直というかバカというか……。しかも結構口が悪い。でもこのキャラが萬橘師と合っていて楽しい。
千代田卜斎から仏像を預かった後のシーンで「くずーい……」と声を出した途端に外の雷がひときわ大きく鳴り、「……。『湯屋番』まだ続いてんのか!?」と叫ぶのも楽しい。
仏像の五十両騒動が収まるときに、井戸の茶碗が譲られるシーンがバッサリと抜ける。……いやいや、これ抜けちゃったら後の話につながらないからカットしちゃだめなシーンでしょ。まあ平日の昼間に亀戸まで落語を聴きに来ているような人たちだからみんな知ってるだろうけど。ちょっと珍しい。

今日は雲行きが怪しいので電車で来たのだが、結局は雷は鳴ったものの雨は降らず。とはいえ道路も濡れてるしやっぱちょっとは降ったのか? こういう天気は困るなあ。
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