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第四回入船亭扇辰独演会「入船亭扇橋十八番」師匠の命日に [落語]

第四回入船亭扇辰独演会「入船亭扇橋十八番」師匠の命日に
於:水天宮前 日本橋社会教育会館

入船亭辰ぢろ『狸の札』
入船亭扇辰『道具屋』
入舟辰乃助『茄子娘』
入船亭扇辰『麻のれん』

今日はハシゴ。さっき遊雀師が「今日は白髪のおじさんがふたり出てきます」といっていたが、私にしてみたら白髪のおじさん3人連続だ。
本来は19時開演だったのだが時短の関係で開始が30分早まり、さらに仲入りなしという超詰め込み型になっている。さらに時短のお詫びとクリアファイルまでついてきた。そんなんいいのに。

今日は扇橋師匠の命日ということで、扇橋師の得意ネタを掛けるという趣旨の会のようで、今回が4回目だとか。「もうね……ネタが尽きてくるんですよ。そりゃ普通のネタならありますよ。けど十八番となるとね……」と困っている様子。
命日に師匠への供物がいくつか届いたそうで。「コーヒーの詰め合わせだったんですが、すぐに送ってくださった方に連絡してね。……『これ私が飲んでいいんですか』って。だって私に送ってきたってことはそういうことでしょ!? だから今日まではお供えして、明日私がいただきます」。
コーヒーの件から扇橋師の思い出話を。コーヒーには苦味を求めるタイプなので、マンデリンやブラジルメインだったそうで、酸味は好きではなかったとか。「でもたまにモカもありましたけどね」。コーヒーの好みが完全に私と同じでなんかちょっと嬉しい。
「コーヒーにね、砂糖をこう……3杯も入れるんだ。でも缶コーヒーは嫌いでね。楽屋に缶コーヒーが用意されてると不機嫌になって『缶コーヒーは甘いんだよ』って怒ってましたなあー」としみじみ話し、中空に向かって「師匠、もういいですか。あのコーヒーはあたくしが頂きますんで」と語りかける。
形見の袴をつけての登場だが、扇橋師はほとんど袴を履かなかったとか。「普段履かないから下手でしたなあー。正月なんかに袴つけたまま歩いているとなぜかずり落ちてくるんですよ。アレは不思議だった」そうだ。
扇橋師の思い出話をたっぷり語って『道具屋』に。
なるほどこないだの辰ぢろさんはこれを教わったんだなというのがよくわかる。扇辰師もこれを扇橋師から教わったのだとすると、代々伝わっているんだなあとしみじみ思う。そう考えると師匠に直接教わるというのは前座噺が多いのかな。扇辰師の、というかベテランの『道具屋』を聴く機会はなかなかないのでレアかもしれない。

辰乃助さんの『茄子娘』、前も同じ感想だったんだけど、茄子娘への可愛がり方が生々しいんだよなあ……。

扇辰師の二席め、「『茄子娘』やろうと思ってたのに……!」。とはいえ実際には別のネタを用意していたようだが、「一席めで師匠のマクラ喋りすぎた。一応さらってきたんですがね、……うん、20分じゃどうしたって無理だ。これは次回にということで」。なんのネタだったかは明かさない。なんだったんだろ。気になる。
ということで『麻のれん』3連荘。うーんまあ時期だし得意ネタだから仕方ないとは思うが……。これは避けようがないしなあ。
やっぱり扇辰師はキッチリしてるなあということを再確認。

明日はバースデー休出だ。
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第三十九回 鶴川落語会 らくご@鶴川 三遊亭遊雀 三遊亭萬橘二人会 [落語]

第三十九回 鶴川落語会 らくご@鶴川 三遊亭遊雀 三遊亭萬橘二人会
於:鶴川 和光大学ポプリホール鶴川

三遊亭遊かり『ちりとてちん』
三遊亭遊雀『七段目』
三遊亭萬橘『次の御用日』
三遊亭萬橘『あくび指南』
三遊亭遊雀『紺屋高尾』

久しぶりの鶴川落語会。
本来は去年行われるはずだったのだが、コロナで延期になり1年越しの開催となる。
久しぶりに太陽が顔を見せたのでバイクで出かけたいものだが、さすがに2時間以上かけて行く気力が湧かない。前もって「バイクで行くぞ!」と心に決めてたら行けるんだけど。
明日は免許の更新した後に休出するつもりなので、家事をするなら今日の午前中にするしかない。洗濯や買い物、猫のトイレ掃除に草むしりなどをしていたらあっという間に出かける時間に。昼メシ食う時間もない。忙しないなあ……。

遊かりさん、似ている人として小池都知事を挙げ、「感染症対策と鶴川落語会をよろしく」と語る。……似てるかあ?
前座時代の女性ならではの苦労をマクラに。

遊雀師の一席め、「さんざん好き勝手なこと言いやがって……。すぐセクハラだパワハラだって言いますけどね、気ぃ使ってんのはこっちですからね!? 最初の頃は小言いうと『ハイ』っていってたのが3年も経つと小言いったら『あ?』ですから。それにね、実をいうとアイツは女房とひとつ違いなんですよ。うちは子どもいないから女房と差し向かいでメシ食うんだけど、女房の横にアイツいるんだよ。女房ふたりいるみたいだ」だそう。
先日のNHKの特集などもさんざんいじったあとで「この鶴川落語会のネタ帳とか見るとすごいんだ。現役トップの人がすごいネタやったりしてる。……今回はその合間ということでね、落語らしい落語やりません。白髪のおじさんふたりが出てくるだけです」と宣言して『七段目』に。
クサくクサく演る芝居の真似事がたまらなくおかしい。
若旦那に「お軽をやれ」と言われ「えー、だってこんなイガグリで木綿のお仕着せで変ですよ」といいながらも「ホントに? 嬉しい」と女形のように色っぽくしなだれるのがたまらない。

萬橘師の一席め、「遊雀師匠のマクラ、あれは遊雀遊かり親子会でのマクラですよ。俺のことはいつ出てくるのかなと思っていたら最後に『白髪のおじさん』だけだって」と不平をぶつける。途端に舞台袖の方からドタドタと走ってくる足音がして袖からステテコ姿の遊雀が登場。「私は中川大臣と小池百合子が嫌いだったんですが、今日から遊かりも嫌いになりました」とちゃんと遊かりさんの言葉も拾う。
「私は遊雀師匠を尊敬してるんです。後輩の私がこういうこと言うのは不遜なのですが、師匠は寄席や落語会で『自分が何を求められているか』ということや立場を常に考えている方」だそうだ。萬橘師は「落語はチームプレイ」と『新ニッポンの話芸ポッドキャスト』でも何度も言ってるし、今月の『東京かわら版』の巻頭インタビューでも同じようなことをいっているので、本当に人を評価するときのポイントなのだろう。
「なのに『今日は落語らしい落語やらない』ってどういうことですか。やるかもしれないじゃないですか」そうだそうだ。「まあやらないんですけど」やらないんかい。
確かに『次の御用日』は元は上方だから東京ではほとんど聴かないから珍品か。
前半は小僧の常吉がとにかくペラペラと屁理屈を捲し立て、後半はお白洲で奉行と臥煙と常吉が「ヴァーーー」と言い合うという、コレだけ見たらカオスな噺。
とにかく早口言葉のように言葉が紡ぎ出され、こちらはそのリズム感というかテンポに身を委ねるしかない。それだけでなんか楽しい。

萬橘師の『あくび指南』は初めてか。
あくびを習いに行く理由が「俺は今までなんにもできなかった。あくびくらいなら一番になれるんじゃないかと思って」という前向きなんだか後ろ向きなんだかわからないのがおかしい。
あくびの他にいびきやせき、くしゃみなどいろいろ教えているというのは斬新。
師匠に向かって「アンタが教えるの? できるの?」と面と向かって聞き、「面と向かって聞かれたのは初めてですな。くあ(あくび)」と実演すると「師匠!」とあっという間に手のひらを返すのが面白い。
「夜は吉原で新造でも買って」が「夜は吉原へつーっと入ってくと、いるんだよぉー馴染みの女が……」という私の一番好きなくすぐりがなかったのはちょっと残念だったかな。
それでも師匠のお手本が1回めと2回めでまったく異なり、「全然違いますよね!?」「あくびが重要なのでセリフは何でもいいんです」というのはなるほどと思う。ちょっとジャズ的な匂いがする。

遊雀師の二席め、「褒められたから言うわけじゃないけど、萬橘さんはすごい。あんなに変えているのに噺を壊していない。こういうのはね、やっぱりセンスがいいんです」と絶賛。
「今日は落語らしい落語をやらない」といっておきながらまた正統派のネタを持ってくるんだから期待を裏切りませんああ。
遊雀師も冒頭で「所帯を持とうと思いまして。三浦屋の高雄と。親方、間を取り持ってください」という型。
久蔵はどこまでもピュアでちょっと弱々しい感じがいい。なんか遊雀師っぽいなあと思う。

高座は満足だったのだが……残念だったのは真後ろの客。以前の遊雀遊かり親子会でも見かけたのだが、とにかく笑い声がけたたましく、さらに小刻みに手を叩くのがとにかくウザい。しかもゲラだから定番のくすぐりで耳をつんざく奇声を発するので高座の声が聞こえないことがある。ツボはそれぞれだからしょうがないけどさあ……。正直迷惑です。でかい声で笑えばいいってもんじゃなかろうによ。
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