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けんこう一番!第十回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第十回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『熊の皮』
三遊亭じゃんけん『初天神』
三遊亭兼好『お見立て』
横濱シスターズ ステージ
三遊亭兼好『寝床』

久しぶりに平日少し早めに上がって落語に行く。
久々に帰りのラッシュにぶつかる。みんなこの時間に帰れてるんだなあ。

一席め、ベルリンの壁崩壊から30周年の特集テレビを見ていたときに、旧東ドイツの老人が「統一されていない方が夢があった」と語っていたという。「そうでしょうね、『この壁を乗り越えたら素晴らしい暮らしが待っている』と思えていた方が幸せだったんでしょうね」と。
実際に壁を乗り越えてみたら思っていたのと違うというのはよくあることで、それは噺家に入門するのもそうだし、結婚もそうだという。「しかも結婚の場合は『絶望』までついてきますから」と相変わらずの結婚観。
そんなところから『熊の皮』に入るが、この夫婦はなんだかんだで仲良しなので微笑ましい。甚兵衛さんはおかみさんにいいように使われているに見えるが、そんなに嫌がってるわけでもなく操り方が上手い。

じゃんけんさん、「小児は白き糸の如し」なので染まりやすく、子どもには兼好師の落語を聴かせない方がいいという。「おい、と呼んで『はい!? はいはいはいはい』と答えるようになる」と兼好師の返事のモノマネ。ちょっと似てるが文字じゃ絶対に伝わらない。
噺は完全に兼好師の型。

兼好師の二席め、桜を見る会について触れ、「招く方が偉そうなのは嫌ですねえ。麻生さんと安倍さんがブルーシートで場所取りとかしてて、『(麻生)誰も来ねえなあ』『(安倍)先に飲んじゃいましょうか』とか言ってたら面白いのに」とモノマネしつつ提案する。たしかにそれなら親しみやすいけども。
昔は花見の名所として吉原もあって、と廓噺に。
兼好師の『お見立て』は久しぶり。
いつもは喜助が「お大尽が見舞いぶつと言ってる」ところから始まるが、今日は最初から。
喜瀬川のわがままに振り回される喜助の苦悩に満ちた表情がなんともリアルで楽しい。
何度聴いても涙用のお茶に手を突っ込んだときに「うっわすっげあっつい」と素になるところがたまらない。

仲入り時に次回と次々回の「けんこう一番!」のチケットを買う。つーかまだ一般発売されていないのに、もうほとんどいい席埋まっちゃってんじゃん。

ゲストの横濱シスターズは名前の通り横浜を拠点としたコーラスグループ。
シスターズといっても叶姉妹や阿佐ヶ谷姉妹スタイルのようだ。
やっぱり国立演芸場は絶望的に音響が悪く、こういうのには向いていないように思う。コーラスなのになんかバラついて聴こえてしまう。

横濱シスターズが調子合わせ用のピッチパイプを高座においていたのだが、高座返しのときにしゅりけんさんがそれを見落としており、高座に上がった兼好師がそれを発見して驚く一幕も。じゃんけんさんを呼び、「これ持ってってくれる? 落語では調子合わせしないので……」。
兼好師も学生時代はカラオケを歌うことがあったという。学生に安く歌わせてくれるスナックで当時流行っていた『とんぼ』を歌っていたところ、店にいた反社会勢力の人から名刺をもらい、その人に「いい歌だよなあ、もう一回歌え」といわれて結局7回歌わされたのであまりいい思い出はないとか。
冒頭の旦那が調子合わせをしているときの声の出し方のバラエティの豊かさがすごい。ここだけであれだけ笑わせてくる人もそういない。
長屋の人たちの断りの文句が揃いも揃って「義太夫が終わるまでは用事が終わらない」と言い張るのがおかしい。
「お前はどこが悪い」と旦那にロックオンされたときの重蔵の覚悟を決めた表情の移り変わりがいい。やはり後ろの方の席でもこういう表情まで見えるのは小さめの会場ならでは。
とはいえすぐ売り切れになったり音響が悪いのは困るのだけれど。
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第39回 宝寄せ 早い忘年会 [落語]

第39回 宝寄せ 早い忘年会
於:六郷土手 宝幢院

柳家一琴『真田小僧』
三遊亭兼好『権助魚』
古今亭駒治『同窓会』
古今亭駒治『鉄道戦国絵巻』
柳家一琴 紙切り
三遊亭兼好『締め込み』

中野の小辰さんの会が終わった後、兼好追っかけ仲間にビールでもタカろうかと思っていたのだがいつの間にかいなくなっていた。撒かれたか。この会には行かないと言っていたし。
仕方ないので最寄りの雑色駅まで行き、そこでランチビールでもすっかと思ったのだがあまり店がない。そりゃそうか。昼間っから酒が飲める北千住とか中野がおかしい。
久しぶりに松のやでとんかつをビールなしで食す。おいしい。……しかしかなりもたれる。ううむ。

さて久しぶりの宝寄せ。実に6年ぶり。
駅からやたら遠い道のりをテクテク歩く。雨やむってわかってたらバイクできたらよかったなあ。

開演前に住職のご挨拶。なにやら一琴師からサプライズがあるという。

で一琴師。「サプライズというのは黙ってるからいいのであって、前もって言ってしまっては……」ごもっとも。さてそのサプライズの内容はというと「ひとり二席ずつやります」とのこと。これは嬉しい。この顔付けでこの木戸銭なら前座を含めてひとり一席ずつだろうなあと思っていたのでかなりのお値打ち。
「なので私が前座。短い噺をやります」といいながら『真田小僧』に。なるほど確かに短めにするためか、父親に小遣いをせびる算段の場面などは短め。しかし日曜の昼のお寺で結構な直截的な濡れ場を演じる。
短めといっていたので「お前この話聞きたい? ならハナ一銭出しねえ」で終わりかと思ったがしっかりと『真田三代記』のところまで。そもそも女房が聞きたがる場面がない。一度で講談を覚えた金坊に「おめえ頭いいなあ」と素直に感心する父親の表情がおかしい。

兼好師の一席め、師匠は5年振りだそうで、「いいですね、このアクセスの悪さ。しかしアクセスが悪いということは、皆さん目的を持ってここにきている。たまたま通りかかって『へー落語やってるんだ、行ってみよう』という人はいないですから。ここはたまたまは通りかからない」と会場をいじる。
昔は親戚縁者一同の了承があればお妾さんを持つことができたのだが、そこに至るまでが大変だったようで……と噺に入る。兼好師の『権助魚』は久しぶり。
『悋気の火の玉』でもそうなのだが、ヤキモチを焼いているお内儀さんはなぜか目を見開きつつアゴを上げて左右に小刻みに揺れる。それがなんだかよくわからないけどおかしい。「……お前ねえ、それお前が思ってる以上に怖いよ」という旦那の一言がまた。
そして毎回思うがこの権助の愛嬌のあること! やっぱり兼好師の権助最高。

駒治師、一席めは甲子園の決勝、9回裏ツーアウトからサヨナラエラーをした元球児たちが同窓会で集まる噺。んー、うん。
仲入りを挟んだ二席めは私が駒治師を初めて聴いたときのネタ。このネタを聴いて彼女とゲラゲラ笑ったっけ。初めて作った鉄道落語だそうだが傑作だと思う。東京の人じゃないと通じない噺ではあるが。ちゃんと実際の鉄道の変化に合わせて細かく噺がアップデートされているのもポイント高い。

一琴師は二席めは余技といって紙切りを。そういえば前にも見たことあったな。
桃太郎にきびだんごをもらう犬や宝船を器用に切り抜く。
特にムーミン一家は見事だった。
また、会場に来ていたお客さんの似顔を切ったのだが、これが本当に似ていた。仕込みじゃないならこれかなりすごい特技なんじゃなかろうか。

トリの兼好師、地元の会津若松でまむしに噛まれた知人が血清を打ってもらったという話をマクラに。血清といってもまむしからできているのではなく、馬由来なのだそうだ。まむし毒にも効くが、そのかわり馬アレルギーになるのだとか。……まあ普通に生活してる分には影響なさそうだが。血清が効くときには幻覚が見えたりするそうで、「沢尻さんも血清にしとけばよかったのに」と相変わらずの兼好節。
「『まむしの〇〇』なんてあだ名が付くと悪いやつと決まっていますが落語に出てくるのは泥棒からしてそんな二つ名を持っているやつはおらず……」と『締め込み』に。
ネタは鉄板なのでつまらないなんてことはあろうはずもない。いつもながら半泣きになりながら女房を問い詰める亭主の姿が最高。

帰りは少し足を伸ばして蒲田まで歩く。せっかくの蒲田なんだから安酒場でちょっと呑んでから帰ろうと思って焼鳥屋に入ったら、煙がすごくて全身焼鳥臭くなり早々に退散。電車で迷惑だっただろうなあ……。
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実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会 [落語]

実力派二ツ目独演会 らくご長屋 小辰独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭小辰『普段の袴』『替り目』『藪入り』

今日も雨。なんだよもー。またバイクのバッテリーをあげるつもりか。
会場に着くとなぜか兼好追っかけ仲間の面々が何人もいる。ん? 小辰さんの会だよね? と一瞬戸惑うも、主催のオフィス10が賛助会員向けにチケットを配ったようだ。おかげでいつもより客の入りが多い。

相変わらずこの会、というか10時から始まる会は皆ボヤきから始まる。曰く「7時半起きなんて正気の沙汰じゃない」。今日は家族も家にいないそうで、何もする気が起きないと朝食も摂らずにきたという。そんなだからか今日は珍しくいろんなところでそこそこ甘噛みをするし、やや聞き取りづらいところも。珍しい。

一席め、寄席のある街の話をマクラにしながら、鈴本の前の通りを御成街道といって……と『普段の袴』に入る。
やはりこういう落ち着いた雰囲気の侍などは上手い。扇辰師譲りの端正さが光る。
煙草の「呼び火」を説明するときに「ごくいいタバコになると火の方から迎えに行く。『火事と喧嘩は江戸の華』『鳶のヤニ嫌い』というのはここからきていて……」と話し、「火事と喧嘩は」はどこにかかってるんだろうとか「鳶の」なんて格言知らなかったなぁと思っていたら「嘘です」とまんまと騙される。
一方のガラッパチもまた面白い。考えなしの軽薄な若者なんだけど、どこか生真面目な印象もあるのは小辰さんだからか。

そのまま二席めに。
俥屋との場面はカットし、夫婦のやりとりだけに。
酔っ払いの亭主が嘘をつくときには下唇が出るという演出にし、女房にことごとくウソや強がりを見破られているのがおかしい。
「……隣のご主じ」「いただきました」「お前そういうドキッとするようなこと……いや俺はお前が隣のご主人とどうなろうと……」といいながら必死に下唇を引っ込めようとするところなどもたまらない。

二席めが終わって一度幕が下りてから再度上がる。小辰さんは「なんか撮影OKタイムがあるらしいです」とよくわかっていない様子だったが、今日は小辰さんの誕生日だそうでサプライズで花束贈呈があり、そこが撮影可ということらしい。
せっかく一眼も持っていたので撮る。知ってたら望遠レンズとかも持って行ったのに。
今日は電車で重いものを持って行きたくなかったため50mmの単焦点しかなかった。まあトリミングすればいいだけの話なんだけど。

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Nikon Df

三席め、最近は夏とか正月の季節に関係なく結構聴く。
亀吉の子どもっぽさと背伸びした感じがほどよい感じ。
タグ:入船亭小辰
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第十二回ユタカプラン落語会 入船亭扇辰独演会 [落語]

第十二回ユタカプラン落語会 入船亭扇辰独演会
於:成増アクトホール5階

入船亭辰ぢろ『狸札』
入船亭扇辰『雪とん』
入船亭扇辰『ねずみ』

久しぶりのユタカプラン落語会。
昨日からの雨でバイクは使えないため、成増まで電車で行く。池袋は10年以上毎日通っていたが、東上線に乗ったことは多分10回ないくらい。なぜかほとんど縁がない。
時間もちょうどいいので、久しぶりに北千住のワンコインランチで刺身定食を頼み、生ビールとハイボールでほろ酔い。楽しい。

辰ぢろさん、扇辰師のお弟子さんは4人のはずだが、自己紹介で「三番弟子」と名乗っていた。小辰さん、辰之助さんの次ははい辰さんだと思っていたが。うーんはい辰さんは一門会には出るようだが。謎。
噺は前に聴いた時よりさらに落ち着いた感じ。いかにも柳家の前座らしいという空気がある。

扇辰師の一席め、昨日今日の寒さから雪の話題になって『雪とん』へ。
いつものことではあるが、船宿の女将や女中のお清など、登場人物たちの表情が細かい。ほんのわずかな目線や顔の動きで心の中までが伝わってくるのがすごい。これはやっぱり若手じゃまだまだ難しいだろうなあ。

二席めは袴姿になりマクラなしで直接噺に入る。
小柄で線の細い扇辰師は私の中の甚五郎像に近い。これもまたわずかの表情の違いだけで甚五郎の心の動きがわかる。
一方でねずみの初観客となる近所の農民たちは外連味たっぷりでクサいくらい。この落差が楽しい。

どうでもいいけど、この会はなぜか司会が入る。二番太鼓が鳴り終わって『前座の上がり』がかかる前に「それでは辰ぢろさんです」とか、辰ぢろさんが下りると「では扇辰師匠お願いします」とか。……いらないんじゃないかなあ。

帰りは池袋に寄って24時間営業の居酒屋で5時前から飲む。
満席でダメな大人たちが佃煮にするほどいる。たーのしーい。
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一蔵ひとりの会 横浜場所 [落語]

一蔵ひとりの会 第2回横浜場所
於:桜木町 横浜にぎわい座のげシャーレ

林家やまびこ『堀の内』
春風亭一蔵『宮戸川』
春風亭一蔵『火焔太鼓』
春風亭一蔵『阿武松』

彼女が打ち合わせで米子まで行くので空港まで送ってほしいという。11時に羽田でこの会は13時半開演。
一度帰るにはちょっと時間が足りないし、そのまま車でにぎわい座まで行くにはちょっと早いし。羽田から横浜までは30分ほど。2時間ほど余ってしまう。が、間に合わないよりはマシなので駐車場代を家のお金で出してもらうことにして車で送る。……なんかいいように使われている感は否めないが。
ランチも家のお金で食っていいということになったので、にぎわい座の近くにあるステーキ屋のランチを食う。明日も迎えに行くことを考えれば安いくらいだ。しかしステーキ屋ってなんでどこもカレーとサラダが食い放題なのか。腹一杯食う。

前座のやまびこさんが出てくると常連客の戸越銀座おじさんから「よっ、洗剤アタック!」と声が掛かる。前にもどこかで聴いたことがあるが、歌橘師に「宣材(宣伝材料)送って」といわれてアタックを送ったそうな。それがもとで花王の仕事が入ったらしい。
声がけされるのは予想外だったらしく、ちょっとあわあわとする。そんな様子も面白い。

一蔵さんの一席め、昨年も言っていたが、のげシャーレにはにぎわい座が主催の会と自主開催の会とがあり、その扱いの差がひどいという。にぎわい座主催の場合は会場の設営などもにぎわい座がやってくれるが、自主開催の場合は設営から撤収まですべて自分でやらなければならないとか。「え、でも明日ぴっかり☆の会があるんですよね? ぴっかり☆も自分で設営するんでしょ? なのに今日撤収するんですか?」みたいなやり取りを何度も重ね、ようやく撤収は避けられたそうで。その融通の効かなさに腹を立てた一蔵さん、「もう将来にぎわい座から『一蔵さん出てください』といわれてもね! 断ってやりますよ!」とビシッと啖呵を切った次の瞬間、上でモニターで聴いているであろうスタッフに向かって「ウソですー! 何でも出ますー!」と訴える。さすがです。
一蔵さんの『宮戸川』は初めて。叔父さんとのやり取りの場面や叔父さんと叔母さんのやり取りの場面は面白いが、最後の場面は一蔵さんがいつものテンションで語るのであまり色っぽくはない。が、なんかやたら生々しい。

二席め、んー前に聴いたときにも思ったのだが、最初からテンション高めで演じているため、最後の夫婦で金を見せる場面ではテンションのインフレがすごいことになっていてちょっとやりすぎかなあと思う。一蔵さんも疲れるだろうけど、聴いているこっちも結構疲れる。もうちょいメリハリがあるといいなあ。

三席め、独演会のシメにふさわしいネタ。
錣山に入門するときに「米の援助はお断りします」といいながらも結局は受け入れてしまっているのがおかしい。

終演後にチケット売り場で来年1月の圓楽一門会のチケットを買いに行く。1月には兼好師の独演会もあるのだがチケットを買ったかどうかが定かではない。メールを見ると予約していたので受け取りに行く……が、どうもスタッフと話が通じない。よく見てみると、その予約メールは去年のものだった。わー赤っ恥。改めて独演会のチケットを購入する。残りわずかだったので危なかった。
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西武新宿のあさらく [落語]

西武新宿のあさらく
於:新宿永谷ビル8F

三遊亭わん丈『牛ほめ』
橘家文吾『五目講釈』
林家つる子『星野屋』

昨日は二ツ目昇進間近のじゃんけんさんと有志たちと昇進祝いを買いに上野や浅草へ。帯などを購入し、さらに食事をして解散、となったのが8時過ぎ。
さすがにまだちょっと早いなーと思いつつ、さりとてすぐに2軒目に行くには酔いや腹具合がいっぱいめ。
歩いて帰れない距離でもなし、適当に歩いてしんどくなったら車にでも乗ろうと考えて夜の浅草をぶらぶらする。そういやこのブログ始めたときは散歩のカテゴリとかあったんだよなあ。別になくしたわけじゃないけど、バイク買ってからめっきり散歩しなくなった。
観音様の裏っ手あたりを突っ切って北千住方面へ。
途中で良さげな飲み屋でもあったら入ろうかとも思いつつ、地元密着型の店ばかりで気づけば隣の南千住。亡き喜多八師の名演を聴きながら1時間ちょっとで家に着く。
じゃあ家でもうちょっと飲もうと思ったのだが、久しぶりに歩いたら思いのほか疲れていたらしく、ちょっとベッドにゴロッと横になったらそのまま朝まで寝てしまった。

朝起きるとこの会に行くのにちょうどいい時間。今日はパレードがあるので少し遠回しして皇居周辺を外したルートで。
バイクを停める場所探しにちょっと手間取り
5分過ぎくらいに会場に入る。15〜6人の入りといったところ。

わん丈さん、男の人生にはモテ期が3回あるといい、2回めのモテ期だった大学入試直前のエピソードを。当時はだいぶ調子にのっていたそうで、入試前日に地元の人と仲良くなって遊び歩いたとか。モテ期とは不思議なもので、男からもモテるのですぐに友だちになれるという。「モテ期はちょっと話すだけですごくウケるんです。だから今はモテ期じゃない」。で、地元の女の子といい雰囲気になるも……「それでうまくいっていたらここで話してない」。そりゃそうだ。
さて今日はガチガチの古典をやる、という。「そういうこといってなんかやるんだろ、と思われるかもしれませんがホントに何もしません。前座噺をキッチリやります。これからやるのは『牛ほめ』で、なんで最初にタイトルをいうのかというと恥ずかしいからです」とのこと。
二ツ目に上がってからはほとんどやっていないそうだが、宣言通りキッチリとした一席。変にアレンジを一切せずスタンダードに徹しているが、それでもやっぱり面白いのは地がしっかりしているからだろう。

文吾さん、途中まではすらすらっと出てきたのだがあるところで講談が止まってしまう。「若旦那がトチった」という演出ではなく、どうやら本当に出てこなくなってしまったようで、「ちょっと待ってくださいね……」とやり直しをしたりするも出てこず、「んー……ダメだちょっともう読みますね」とネタ帳を高座に持ってきて台本を読み始める。
問題の箇所をクリアした後はまたスムーズに。まあああいう「わざとぐちゃぐちゃにした噺」ってのは逆に覚えるのが大変なんだろうなあ。なかなかレアな場面に遭遇させてもらいました。

つる子さん、今日のパレードに触れ、こういうハレの場つながりか春に安倍首相主催の花見に行ったことを思い出したとか。海老名香葉子のお付として参加したそうだが、ひとりひとりと握手をしており、海老名香葉子に首相が「いつもお世話になっています」と挨拶していたのだとか。「一体何を首相に世話してるんでしょうね」とのこと。まったく。まあ金なんですかね。で、息子の三平にも「『笑点』で活躍されて……」と声をかけていたのだが、人間ウソをつくときにはまばたきが増えるそうだがどうも首相のまばたきが多かったとか。
嫁の国分佐智子が「家族仲良くてよろしいですね」と声をかけられ、「はい」と答えたときのまばたきは……というようなところからウソをめぐる『星野屋』に。
さすがに女性だけあって、お花の様子が上手い。途中でお花のまばたきがパチパチと派手にやられるのがおかしい。
しかしこのお花、天然ぽいところがあったり、流されやすいところがあるかと思えば腹黒さや気の強いところがあったり、一体どれが本当のお花の性格なのかよくわからない。まあその場その場で性格が変わるのも人間なのかもしれないが、ちょっと一貫性がないような。
それと先週小辰さんで聴いたときも思ったが、旦那の仕組んだ狂言もエグすぎて誰も幸せにならないウソだよなあ。あまりいい趣味じゃないね。最後の騙し合いの場面などは双方のイヤラシさばかりが出ていてあんまり素直に笑えない。「人間の醜さを笑った噺なんだ」といわれればその通りなのかもしれないけど、落語にそういう寓意性いらねえんだけどなあ。

さて新宿にきたのでタイ料理でも……と思い、いくつか心当たりを回っていると突如バッテリーが上がってエンジンがかからなくなってしまった。私のバイクはモーターセルのみでキックがないのでバッテリーが上がってしまうとどうしようもない。日曜でどこのバイク屋も開いておらず、バッテリー上がり専門のレスキュー業者もバイクはできるかわからない上に、もしかかったら15000円だという。えー、たかが一瞬ジャンプアップさせるだけでそれ? 足元見てんなぁ……。というか昨日のお祝いとか最近いろいろ物入りなので15000円はちょっと痛い。
というわけで押しました。新宿から上野まで3時間半。上野のバイク街の開いてるバイク屋でジャンプアップしてもらい(しかも無料でやってくれた。ありがとうございます上野BIG BEATさん)、ようやく帰ってこれた。
昨日に続いてこんなに歩くとは……。足は痛いしハンドルを押していた肩も痛い。ホントひどい目に遭った。
今日は黒門亭の2部に天どん師が出ているのでちょっと行こうかと思っていて、ちょうど2時半に黒門亭の前を通りがかり、前座が出てきた拍手が聞こえたのだがさすがにパス。その状況でもわざわざ黒門亭の前を通る自分もどうかと思ったが。

追記:よく考えたら新宿でドンキとかあるんだから、安いジャンプスターターとか買えばよかったんだよなあ……。今思えばやっぱりいつもとは異なる事態にパニクってて、「バイク屋でジャンプしてもらう」しか思いつかなかったんだろうな。早く思いついてたら3時間半もバイク押して体中が痛くならずに済んだのに……。
とりあえず今後もあるかもしれないんで、Amazonでモバイルバッテリーにもなるジャンプスターターを買っときました。





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第21回 小辰の寸法 [落語]

第21回 小辰の寸法
於:人形町 日本橋社会教育会館

入船亭小辰『転失気』『星野屋』『夢の酒』『鰍沢』

三連休。

---ここから愚痴---
今仕事で組んでいる人は会社の中でいえば管理職でベテラン。いわば上司みたいなもの。とはいえ仕事としてはこちらから指示を出してその進捗を確認するというやり方なので、指示を出すにも気を遣うしぶっちゃけやりにくい。このところずーっと仕事の愚痴をここに書き込んでいるが、いよいよヤバいんじゃないかと焦り始める。かなり押していてクライアントに提出するのもずっと遅れている。確かに新しい手法に変えたので見積もりもできないのもわかるんだけど、「いつまでにできますか?」と聞いてものらりくらり。こっちも「いやそんなことはどうでもよくて……結局いつまでにできるんですか!?」と強めに聞くと「そんなこといわれたってわかんねえよ!」と逆ギレ。「じゃあ私はお客さんに『いつになるかわかりません』っていうんですか!?」とさらに強めにキレるとようやく結論が出てくるという有様。さーこれはヤバいぞー会社のこの立場の人がこんな場当たり的なことをいい出したってどうすんだこれ会社としてヤバいんじゃねえのいよいよ納期に間に合わないってことになるんじゃねえの最悪これクライアントに切られるだけじゃなく賠償沙汰になるんじゃねえか俺知らんぞ平社員なんだし。この三連休もいっそ休出してれば少しは気が休まるかもしれないがボールはすべて向こうにあるのでやることがない。俺はこのモヤモヤした焦った状態のまま三連休を過ごさなければならないというなかなかの地獄。ああもうどうすりゃいいんだ。
---ここまで愚痴---

昨日は奮発して地元の鰻屋に。やっぱり鰻は美味い。タレもしっかり甘くて私好み。昼からビールを飲み、帰って昼寝。起きて散歩がてら図書館に行き、帰ってラグビー決勝を見て晩飯を食いに行ってまた寝る。ほぼ食ってるか寝てるか。少しは気力体力を補充しなければ。
今日も昼飯食って昼寝してからの落語。

プログラムには九州への旅の仕事で初日に遅刻したと書いてあり、ご挨拶ではそのときのエピソードをたっぷりと。つまりはギリギリの時間にいったら羽田の保安所を通れなかったというパターン。わーこれ俺も1月に高松行ったときにやったわー。ただ俺はその時にすぐ次の便に振り替えてもらったので特に何もなかったのだが、聞いてみたらそんな対応はかなり珍しいのだとか。実際小辰さんはチケットを買い直し、バスやら新幹線やら特急をギリギリで乗り継ぎに乗り継いで自腹で6万をかけて会場までたどり着いたのだとか。
乗り物好きとしてはこういう話は本当に面白い。しかし6万はすごい。最初は5分の遅れだけだったのにそれで6万の損失とは。この旅の仕事の大部分持っていかれたんじゃ……。ただその話を聞いた先輩方が、旅の間中ずっと出してくれたんだとか。それもすごいなあ。すごい世界。

ご挨拶だけで30分ほど使い、その後に前座さん、というところで『前座の上がり』に乗せて小辰さんが登場。「え?」「ん?」という会場の声を受けながら「十人寄れば気は十色と申しまして……」とわざと前座さんぽい口調で話し始める。
後で話したところによると、12月の分はすでに前座を頼んであるのだが、11月は頼んで断られたのをそのままにしてしまったらしい。「おかげで今日は(出囃子などの)CDを全部(主催のオフィスM’sの)加藤さんにやってもらっている」とのこと。
学校公演のときはほとんど『転失気』だそうで、以前に聴いたときよりもよりキメ細やかになっている印象を受ける。
転失気がおならだと聞いた後の「……え?」「え、ではない、屁だ」というやり取りを珍念だけでなく和尚とも繰り返すのがおかしい。

その後の三席はそれぞれ違うタイプの女性がメインの噺。
『星野屋』のお花はほわほわとした印象がありながらも本性としては結構な腹黒な感じ。とはいえこの噺を聴くたび思うのだが、そりゃあいきなりそんなこといわれても、という感じで、どちらかというと旦那と重吉のほうがタチが悪いのでは……。

『夢の酒』ではヤキモチ焼きのお花と色気のあるの夢の御新造の対比がいい。
お花の癇癪が炸裂したときのパワーが凄まじく、大旦那が圧倒されている様子がおかしい。
そのある意味一直線なお花に比べて、向島の御新造の手練手管ぶりが上手い。

『鰍沢』のお熊の雰囲気もまたいい。婀娜っぽい空気を出しつつも、心中相手だった現亭主のために旅人を殺そうとする一途さもあり、吹雪の空気感もあってゾクッとさせられる。こういうところは扇辰師の繊細な表現が受け継がれているように思う。

---ここからまた愚痴---
ああ……会社行きたくねえ……というかもうヤダ辞めたい。
---ここまで本音---
タグ:入船亭小辰
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