SSブログ

けんこう一番!第十回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第十回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『熊の皮』
三遊亭じゃんけん『初天神』
三遊亭兼好『お見立て』
横濱シスターズ ステージ
三遊亭兼好『寝床』

久しぶりに平日少し早めに上がって落語に行く。
久々に帰りのラッシュにぶつかる。みんなこの時間に帰れてるんだなあ。

一席め、ベルリンの壁崩壊から30周年の特集テレビを見ていたときに、旧東ドイツの老人が「統一されていない方が夢があった」と語っていたという。「そうでしょうね、『この壁を乗り越えたら素晴らしい暮らしが待っている』と思えていた方が幸せだったんでしょうね」と。
実際に壁を乗り越えてみたら思っていたのと違うというのはよくあることで、それは噺家に入門するのもそうだし、結婚もそうだという。「しかも結婚の場合は『絶望』までついてきますから」と相変わらずの結婚観。
そんなところから『熊の皮』に入るが、この夫婦はなんだかんだで仲良しなので微笑ましい。甚兵衛さんはおかみさんにいいように使われているに見えるが、そんなに嫌がってるわけでもなく操り方が上手い。

じゃんけんさん、「小児は白き糸の如し」なので染まりやすく、子どもには兼好師の落語を聴かせない方がいいという。「おい、と呼んで『はい!? はいはいはいはい』と答えるようになる」と兼好師の返事のモノマネ。ちょっと似てるが文字じゃ絶対に伝わらない。
噺は完全に兼好師の型。

兼好師の二席め、桜を見る会について触れ、「招く方が偉そうなのは嫌ですねえ。麻生さんと安倍さんがブルーシートで場所取りとかしてて、『(麻生)誰も来ねえなあ』『(安倍)先に飲んじゃいましょうか』とか言ってたら面白いのに」とモノマネしつつ提案する。たしかにそれなら親しみやすいけども。
昔は花見の名所として吉原もあって、と廓噺に。
兼好師の『お見立て』は久しぶり。
いつもは喜助が「お大尽が見舞いぶつと言ってる」ところから始まるが、今日は最初から。
喜瀬川のわがままに振り回される喜助の苦悩に満ちた表情がなんともリアルで楽しい。
何度聴いても涙用のお茶に手を突っ込んだときに「うっわすっげあっつい」と素になるところがたまらない。

仲入り時に次回と次々回の「けんこう一番!」のチケットを買う。つーかまだ一般発売されていないのに、もうほとんどいい席埋まっちゃってんじゃん。

ゲストの横濱シスターズは名前の通り横浜を拠点としたコーラスグループ。
シスターズといっても叶姉妹や阿佐ヶ谷姉妹スタイルのようだ。
やっぱり国立演芸場は絶望的に音響が悪く、こういうのには向いていないように思う。コーラスなのになんかバラついて聴こえてしまう。

横濱シスターズが調子合わせ用のピッチパイプを高座においていたのだが、高座返しのときにしゅりけんさんがそれを見落としており、高座に上がった兼好師がそれを発見して驚く一幕も。じゃんけんさんを呼び、「これ持ってってくれる? 落語では調子合わせしないので……」。
兼好師も学生時代はカラオケを歌うことがあったという。学生に安く歌わせてくれるスナックで当時流行っていた『とんぼ』を歌っていたところ、店にいた反社会勢力の人から名刺をもらい、その人に「いい歌だよなあ、もう一回歌え」といわれて結局7回歌わされたのであまりいい思い出はないとか。
冒頭の旦那が調子合わせをしているときの声の出し方のバラエティの豊かさがすごい。ここだけであれだけ笑わせてくる人もそういない。
長屋の人たちの断りの文句が揃いも揃って「義太夫が終わるまでは用事が終わらない」と言い張るのがおかしい。
「お前はどこが悪い」と旦那にロックオンされたときの重蔵の覚悟を決めた表情の移り変わりがいい。やはり後ろの方の席でもこういう表情まで見えるのは小さめの会場ならでは。
とはいえすぐ売り切れになったり音響が悪いのは困るのだけれど。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。