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第6回 三遊亭兼好 噺の会 [落語]

第6回 三遊亭兼好 噺の会
於:浅草 ことぶ季亭

三遊亭しゅりけん『宗論』
三遊亭じゃんけん『反対俥』
三遊亭兼太郎『紀州』
三遊亭兼好『壺算』
桂小すみ 三味線と唄
三遊亭兼好『宿屋の富』

毎年恒例の落語納めの会。

まずはしゅりけんさん。
やっぱり兼好一門の『宗論』は面白い。
「主、イエースの……」で兼好師は舌をチロチロっとさせるし、兼太郎さんはアヘ顔になるが、しゅりけんさんは首をインド人のように回す。こういう仕草は自分で考えているんだとか。
この一年でまたこなれてきた感じ。

じゃんけんさん、汗びっしょりの熱演。
梶棒を握る手の動きが速い。手の位置がちょっと高めなので猫パンチしているみたいに見える。
若い俥屋がドラム缶を超えるシーンはなし。そのシーンがなくてもけっこう跳んではいたけれども。
途中で路面電車と競争をしてぶつかりそうになるシーンでスローモーションになるのは上方風なのかな?

兼太郎さん、こまごまとネタを入れられる地噺との相性は良さそう。
えーーーと、いくつか「これ面白いな」と思ったネタがあったんだけど、その後の打ち上げとかやらで忘れてしまった。なんだったけなあ。いやほんとに面白かったはずなんだけど。

兼好師の一席め、東京オリンピックのマラソンが札幌に行ったことについてのマクラから、「オリンピック委員会は誰も責任取らない。というか誰も仕事してない。詐欺みたいなものだ」というような流れから詐欺師チックな噺の『壺算』に入る。
兼好師では久しぶりに聴いたけど、やっぱり面白いなあ。
まず瀬戸物屋の番頭が水瓶を「3円50銭です、ハイ」というところでなぜか一瞬溜めて顔を作るところが面白い。
さらに二荷入りの瓶を買おうとしているときに兄いの企みに気づいたときの仕草が面白い。なんであの一瞬の間であんなに面白いのか。
50銭を負けさせるために爺さんの幽霊話まで聞かせるのだが、「もし二荷入りの瓶は6円じゃ売れないと言ったら……」と聴く番頭に対して「俺の婆さんが……」と増えていたのも面白い。
「3円と3円足して6円だよね? もし7円のままだったら駄目だけど、6円に値引いてくれたんだから持ってっていいよね?」と畳み掛けられて結局「んん……? ……はい」と答えてしまうのも面白い。人を騙すのに「もし7円のままだったら駄目だけど」というワンフレーズが効いているように思う。

桂小すみさんも毎年の恒例。
昨年は三味線と三味線の間で割と話していたのだけれど、「お席亭からあまりしゃべるなと言われた」ということで三味線をたっぷりと。
少し早いけれど、と『春の海』の三味線バージョンも。

兼好師の二席め、年末にはなぜか富くじネタ多い気がする。やっぱり年末ジャンボとかがあるからか?
二番富が当たるといっている若い衆の妄想ぶりがおかしいのはいつものことで、その後に宿の客の男に「あの人なんでうどん食って泣いてるんだろ」と不思議がられるところまでがワンセットになっていたのだが、今回はさらに宿の主人に「今年もうどん食ってるねえ!」とツッコミが入っていた。てことは毎年天神さまが夢枕に立って毎年惜しいところまでいってるのか。それはそれですげえな、とまで一瞬で思い至ってそれもまた面白い。

恒例の抽選会では今年は私にも兼好師の手ぬぐいが当たった。

今年も打ち上げまで参加。
地元の北千住までは東武線で兼好一門の皆さんと一緒なのだが、兼太郎さんがチャージ不足で改札で止められている間に電車が出てしまう。
あーららと思いながら北千住に着いてみたら、改札の外で兼太郎さんが待っていた。どうやったのか教えてくれなかったが、多分ダッシュでつくばエクスプレスの浅草駅まで移動したのだろう。飲み会の会場からはちょっと遠いのでいつも東武線を使っているのだが、時間だけならつくばエクスプレスのほうが全然速いからなあ。全然誰も驚かない時刻表トリック。

さて今年一年の集計。
今年は全部で402席。去年は533席だったからだいぶ減っている。まあこれだけ仕事忙しけりゃそうなるわなあ。平日の会はほとんど行けてないし。
十席以上聞いた人は下記。小辰さんが大幅に増えた。

1.三遊亭兼好:73席(37会)
2.入船亭小辰:43席(16会)
3.春風亭一蔵:27席(16会)
4.三遊亭遊馬:22席(9会)
5.入船亭扇辰:11席(5会)
5.三遊亭天どん:11席(5会)

参考記録でじゃんけんさん16席、しゅりけんさん11席。
一之輔師9席、宮治さん8席、萬橘師7席。
まあいつもどおり。

演目は『真田小僧』7回、『初天神』6回、『井戸の茶碗』、『黄金の大黒』、『寄合酒』、『宿屋の富』、『青菜』、『代脈』、『大安売り』、『堀の内』、『明烏』が5回。
来年もいい落語に出会えますように。
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第5回 天にどんと陽が昇る 三遊亭天どん&宮田陽・昇落語漫才落語会 [落語]

第5回 天にどんと陽が昇る 三遊亭天どん&宮田陽・昇落語漫才落語会
於:日暮里 日暮里サニーホール コンサートサロン

三遊亭ごはんつぶ『わけがあって』
宮田陽・昇 漫才
三遊亭天どん『富久』
三遊亭天どん『12.18』
宮田陽・昇 落語漫才『芝浜』

ううー超絶二日酔い。昨日会社の忘年会で飲み過ぎた。
よろよろしながら会場に。トイレの芳香剤の臭いが強くて会場の中にまで入ってきて気持ち悪い。

ごはんつぶさん、無断欠勤を繰り返す社員を問い詰める社長との会話劇。社員は宝くじで10億当たったのでやる気が出ないという。じゃあ会社辞めればいいじゃないか、となったら産業スパイとして入社しているので無理、というなんかいろいろカオスな噺。
荒唐無稽ではあるけれど面白い。オチとかもうちょいひねれそうな気もする。

宮田陽・昇さん、相変わらずキレのいい「わかんねぇんだよ」漫才。
陽さんの「『曇天に日が陰るの会』にようこそ」というつかみは上手い。昇さんの「俺がいないじゃねえか」というツッコミもおかしい。
話の流れの中で陽さんが「お前はよく俺に『バカなのか?』って質問してくるのはなんでだ」「仕事だ!」「じゃあお前は『バカなのか?』って聞くたびにお金が発生しているのか」と話し、その後ツッコミが入るたびに「またお金が入った」と絡むのがおかしい。

天どん師の一席めはネタ出しの『富久』。
マクラでごはんつぶさんのネタをいじったり、「あの人バカなんじゃないですかね。……僕の場合は聞いてもお金にならないんですけどね」などと陽・昇さんのネタをとり込んだり。
久蔵のやさぐれ感が天どん師にマッチしていて楽しい。
富くじに当たった後、売り主と会ったときに「五百両でもいい。百両。五十両。十両。……一両」のように値段交渉する場面はなし。あそこはなんか苦手なのでよかった。
ただ「何見てんだお前ら。これからお前らの家にいって一軒一軒首くくってやるからな」というセリフはギャグなんだけど鬼気迫っていてそれもおかしい。

仲入り後、なぜか出囃子の『松の木小唄』がピアニカの生音。なにかと思ったらピアニカを持ったごはんつぶさんが登場してきた。
「髪型がのだゆき先生に似ているからやれと言われました。このだゆきです」とのだゆきさんぽく話す。漫談を2〜3本やってオチのところでピアニカを使う。
そういえば前に来た時も前座さんがここで音楽小ネタやってたな。この会の恒例なのだろうか。

天どん師の『12.18』はこのブログの初めての記事を書いたときに聴いたネタ。その時は演目がわからなかったのでようやく知ることができた。
エロDVDを借りにきた男が女性店員に「いいんですか。今日7泊8日で借りると24日に返すことになりますよ」と諭される逆算の物語。変に理屈っぽいのも天どん師らしくて面白い。

最後は陽・昇さんのネタ出しの『芝浜』。
プログラムでは天どん師がトリだったのだが、『芝浜』だったらトリでやらなきゃ、と変えられたそうだ。
以前に他のネタでも聴いたように、落語のあらすじを紹介するという体で漫才が進んでいく。
ふたりで進めるというスタイルのため、普通の落語では入らないツッコミが入ったりするのが目新しい。噺の内容に対するツッコミや、ボケで噺の内容が変わっていくのも新鮮で楽しい。勝五郎役の陽さんが、女房役の昇さんの告白を聴いた後にスパーンとビンタを食らわすのもおかしい。
このスタイル面白いなあ。他のネタももっと聴きたい。
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第八十一回 一蔵ひとりの会 スペシャル [落語]

第八十一回 一蔵ひとりの会 スペシャル
於:池袋演芸場

春風亭いっ休『桃太郎』
春風亭一蔵『短命』
春風亭一蔵『ふぐ鍋』
アサダ二世 奇術
春風亭一蔵『御神酒徳利』

世の中を呪いながら今年最後の休日出勤。
半端なところながらも決めた時間に会社を出て池袋演芸場に向かう。
会社から池袋向かう路線乗るの久しぶりだなー。

いっ休さん、確か学生時代に落研で学生選手権の転失気杯でいいところまで行ったんじゃなかったっけ。
廣瀬和生氏がポッドキャストで「あの人がいつの間にか一之輔さんの前座になっていて驚いた」みたいなこと言ってたような。
それも納得の落ち着いて流暢な話しぶり。
一蔵さんによれば京大にストレートで入ったそうで。「大学で一留したそうだけど、その理由が『卒論の題材であるナメクジが卒書く前に全部死んでしまったから』だって。頭いいのか悪いのか」。多分頭良すぎて周りがついていけないパターンなんだろう。多分。

一蔵さんの一席め、今日は競艇ファンには大事な日なんだとか。賞金王決定戦がナイターであるらしく、その出走が20時40分。「だから今日は8時半までには終わらせます!」。
そのまま今日出走するメンバーについてやレース展開について真剣に語るのだが、もちろん私を含めほとんどの人が理解できていない。何人かは頷いていたみたいだけど。「……興味ないですか。このまま2時間話し続けられるのに」。
ようやく短命の訳を察した熊さんの「ああ〜、これ?」といいながら行う仕草が下品でおかしい。

二席め、大阪へ行った時にふぐの店に行くことがあるそうで、そこはふぐ刺しとふぐ鍋しかないそうだ。ふぐ刺しも量が多く、一人前でも他の店の二人前くらいの量があるとか。気取りのない店で、酒の熱燗もずっと熱湯の中で温められているような状態で、「どれだけアルコールが飛んでるんだろう」とのこと。店の名前は落語ファンが聞いたら忘れられないもので、『牛ほめ』とか『錦の袈裟』とかに出てくる主人公の名前なのだそうだ。
幇間の一八のヨイショぶりは相変わらず達者。他の旦那のお供で旅に出ていた、とのことだが、出てくる地名がどうやら競艇場がある街ばかりのようで、その不自然な地名のラインナップに笑いが起きる。
旦那と一八の食べろ食べないのやりとりのドタバタ加減がいかにも一蔵さんらしい。

アサダ二世先生、つかみの「いらっしゃ〜い」で会場を沸かせる。
いつものように奇術に入るまでが長いが、その引っ張り振りを堪能する。
今日は「今日はちゃんとやります」の言葉通り、一度奇術を始めたらあまり脱線せずに奇術を続ける。
「……あれー?」という声はわざとだとはわかっているけど、たまに本当に途中でやめたりするから油断できない。その微妙な緊張感も楽しい。

一蔵さんの三席め、「年末らしい長めの噺を」というので『文七元結』かとも思ったが、先日は小辰さんとリレーした『御神酒徳利』。
先日は一蔵さんが前半を担当していたが、今日はひとりで通しで話す。
徳利を見つけた後に宴席で調子に乗った善六さんが、呼んでいた芸者相手に算盤占いをして「無駄遣いするな!」と旦那に叱られるのがおかしい。
後半部分も先日の小辰さんがやった内容とほぼ同じ。もちろん話し方とかは違うが。おそらく小辰さんが一蔵さんのやり方に寄せていたのだろう。
「断食したってわかるわけねえんだ! わかったことといえば『断食すると腹が減る』ってことばかり」というのはやはり一蔵さんの方が説得力がある。
そういえばこの噺ってお稲荷さまが「観音像を崇めよ」ってお告げをしてるんだな。やっぱり昔は今よりも神仏混淆してたんだろうなあ。

予告通り8時20分には終演。お見送りしてちょうどいい時間に出走ですな。プロだなー。
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三遊亭兼好の落語入門 [落語]

三遊亭兼好の落語入門
於:立川 ルミネ9F

三遊亭兼好『花筏』『茶の湯』

病院行って薬もらったりバイクのバッテリー交換したり素人落語会のチラシ作ったり。
なんだかそこそこ忙しい。
そして明日は久しぶりに休日出勤。後輩に渡した仕事がどうにもクライアントに提出できるレベルにないので引き上げ。そういう時に限ってしばらく音沙汰なかったところからドサドサっと駆け込みで仕事が入ってできるだけ急ぎで、とかいう。はあ? もう来週で今年最後なんですけど? ああ……みんな滅んでしまえばいいのに。

この会はいつもは平日だった気がするのだが、今回は土曜。
遠いのでさすがにバイクではなく電車にしたのだが、まあ北千住から1時間ちょっとだし横浜あたりと変わらないのか? 実際客席に知った顔がチラホラと。みんなここまできてんの? パーじゃないの? と全力で自分を棚にあげる。

さて一席め。
昨日から富山に行き、1泊してさっき戻ってきたという。
富山は志の輔師の地元だが、落語は志の輔師の会しか売れないのだという。中には「志の輔は聞いたことあるけど落語は聞いたことがない」という人もいるのだとか。
ちょうどバドミントンの大きな大会が富山であったらしく、泊まったホテルでは周りはほとんどバドミントンの選手だったそうだ。選手同士は皆顔見知りのようで、エレベーターなどで顔を合わせると挨拶をするのだが、勢いあまって兼好にも挨拶しようとして皆一様に戸惑っていたのが面白かったとのこと。
「スポーツといえば、日本人はまだ『スポーツを楽しむ』というのがヘタですねえ」と切り出し、五輪のマラソンの対応のまずさなどについて面白おかしく話す。
「まあ日本には昔から楽しむ『スポーツ』と呼べるものがなく、武道とか宗教行事とかになってしまう。昔は職業としてのスポーツなんか相撲くらいしかないし、相撲だって本来は宗教儀式ですからね」と相撲の成り立ちなどを語り始める。ここを結構詳しく長く話していたのは一応この会が「落語入門」と謳っているからだろうか。前は落語の間にいろいろ解説があったみたいだけど。
水戸の素人力士の大吉が父親に「お前が勝てているのはわざと負けてくれてるんだ。力士なら『あとは流れで』とかできるんだ」とかさらっと毒を混ぜてくるのがなんとも。
行司が力士名を呼び上げるときに「かたや」と「こなた」以外は何言ってるかわからない、という細かいくすぐりもおかしい。

二席め、こげ茶の羽織と深緑の着物で「抹茶チョコみたいな組み合わせになった」。
噺家はいろいろ習い事をするという。
前座時代は太鼓を習うが、兼好師は太鼓は苦手だったとか。三三師は太鼓が得意で、二ツ目時分に太鼓の腕前で呼ばれる会もあったそうな。
一方で兼好師が笛が得意なことはファンの間ではよく知られていることだが、やはり笛といえば一朝師。兼好師によれば、それまで普通に吹いていたのに後ろで一朝師が聞いていることに気づいた途端にあわあわになってしまった人もいるとか。
『あくび指南』かなとも思ったが、習い事はいろいろあるが茶の湯を習えばその他の習い事も含まれるんだそうです、と『茶の湯』に入る。冒頭の抹茶チョコにも誘発された?
「ご隠居が茶の湯できないなんてありえないですよね、蔵前の旦那ができるんだから。子ができるのに親ができないなんてそんなおかしなことないですよね」とまくし立ててご隠居を追い込む定吉の腹黒さと、それに対してタジタジのご隠居の様子がおかしい。「……お前そうやって畳み掛けるのやめな」とポツリと呟くのも力関係が逆転しているようで面白い。
できあがった青きな粉わさび茶を一口飲んだときの、わずかな目の大きさの変化だけでこれだけ笑いを起こせるんだからすごい。もちろんその後の悶え苦しむ様もたまらないのだが。
苦しむ定吉に「飲み込みなさい。……暇出すぞ」と脅すのは先ほど追い込まれた意趣返しか。大人気ないご隠居もおかしい。

帰りに神田で待ち合わせて久しぶりに鳥貴族に。最近は値上げした上に質が下がったと散々な評判で、私もそう思っていたのだが、あれ普通に美味しいな……。店舗によって違うんだろうか?
タグ:三遊亭兼好
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らくごカフェに火曜会 12月17日 [落語]

らくごカフェに火曜会 12月17日
於:らくごカフェ

入船亭小辰『大安売り』
春風亭一蔵『佐野山』
春風亭一蔵『御神酒徳利(上)』
入船亭小辰『御神酒徳利(下)』

初めての火曜会。
今日はたまたま早く上がれそうだし、19時半開演と遅めだったのできてみることにする。一蔵小辰の二人会なんていい組み合わせだし。
さて後は帰るだけ、となったところでクライアントからちょっとメンドくさい感じのメールがきてその対応などをしてたら開演5分前のギリギリになってしまった。
三田線とか久しぶりに乗ったのでちょっと迷う。
ワンドリンク付きなのでビールを頼む。ビール飲みながら落語聴けるって最高。

小辰さんの一席め、一蔵さんと一緒だと楽屋でずっと話しっぱなしになるので考えがまとまらなくて困る、とこぼす。おかげで何を話すかまったくプランのないまま高座に上がるはめになって困った、とのこと。
忘年会などのイベントごとの話題からディズニー酉の市の話やクリスマス、お遊び場と移って昔の楽しみとして相撲に落ち着く。
そういえばこないだ小辰さんが兼好師に稽古つけてもらいにきてたとじゃんけんさんから聞いていた。
「親方や」「ご贔屓衆の」で手を挙げるあの謎の仕草はもうちょいキレよく、ため気味にした方が面白いと思う。
が、それはともかく小辰さんのコピー能力の高さよ。
じゃんけんさんと小辰さんの話題になったときにも、一緒にいた兼好追っかけ仲間と「小辰さんの扇辰愛がヤバい」となったが、扇辰師ばかりでなく喜多八師もそっくりだし、やっぱり器用なんだろう。今日はまだぎこちなさがあったが、次に聴くときはもっと馴染んでるんだろうなあ。

一蔵さんの一席め、先日あった一朝一門会でやった一花さんとの茶番の話題がマクラ。一花さん、馬久さんと結婚されたそうで。なんか前にそれはタブーって聞いた覚えがあって、そのために小八さんと粋歌さんの結婚もしばらく伏せられていたように思ったんだけど、そんなことないのかな? まあ古くは花緑師ときく姫師のカップルとかいたしなあ(結婚はしなかったみたいだが)。
茶番の最後に馬久さんも登場させたのだがド滑りしたらしく、その直後に出たトリの一朝師がガチ小言をしてから噺に入ったとか。ちょっと見てみたかった。つってもチケット完売で入れなかったんだけど。
さて噺はさっきの小辰さんの大安売りがまた名前を変えて頑張って一時期は前頭筆頭まで行った、と人物リレーで『佐野山』に。
普段の寄席なら絶対にしない続け方だろうが、こういう会だからこその演出だろう。
一蔵さんの『佐野山』は初めて。というか『佐野山』はほぼ遊馬師でしか聴かないなあ。その遊馬師でも最後に聴いたのが3年前なので、噺自体がすごい久しぶり。
佐野山が元大安売りという設定からか、やや軽い印象。

二席め、「一席めは相撲つながりでリレーでしたが二席めもリレーにします」と『御神酒徳利』に。これまた一蔵さんでは初めてで、私がよく聴くのは遊馬師というちょっとした偶然の一致。まあ最近は小辰さんでもよく聴くけれども。
そういえばあまり普段気にしないし年中掛かる噺だけれども、考えてみたらちょうど今頃の噺なんだな。
善六さんのキャラがややドタバタ風だが、それが一蔵さんによく似合っている。徳利の在り処を思い出したときの慌てぶりが大げさでおかしい。
また、そろばん占いの仕草もとんでもなく大げさにクサくクサく行い、「この仕草を後で小辰もしなきゃいけない、こういうのは先にやったもん勝ち」と容赦なくハードルを上げに行く。なぜかそろばんを弾くのに「ぴゃー!」という掛け声まで入る。
コッテコテの関西弁を話す鴻池の支配人と江戸を出るまでを一蔵さんが担当。

神奈川の宿からは小辰さん。「善六はん、えろう痩せましたなあ」「そういう支配人さんも」というセリフからスタートする。一蔵さんがそうだったからか、いつもよりも支配人の関西弁が強めな気がする。
善六さんのキャラはいつもの小辰さん軽めだがやや落ち着いたものに戻っている。
新羽屋でそろばん占いをしたときは一蔵さんの仕草を引き継いで「ぴゃー!」という掛け声も入っていた。あの仕草、袖というか楽屋からみていたのだろうか。そんなようにも見えなかったけど。モニターとかあるのかな。
新羽屋でもらった金をすべて親孝行の女中に渡しながらも説教をする場面などは、すでに若手の雰囲気ではないような。
大阪で占いをするために21日の断食などの荒行を行い、その結果「……わかるわけねえんだよなあ」という結論に達するのがおかしい。そりゃそうだ。

せっかく早く帰れたんだから年賀状とかいろいろやらなきゃならないことが多いんだけど、結局それらは全部後回しに。うーん。
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遊馬百席 第125回 [落語]

遊馬百席 第125回
於:板橋 みやこ鮨

三遊亭遊馬『中村仲蔵』『厩火事』

バイクのバッテリーは問題なく動いている様子。……あれー? まあさすがにもうあまり信用できないので、新しいのがきたら交換しとこう。

昨日は六本木の居酒屋で落語会があった。私も行きたかったのだが、予約をしていなかったこともあり、いつもいっぱいなので多分今回もいっぱいだろうなーと遠慮してしまった。するとなんと先生に連れられて女子大生が5人もきていたのだという。なんだとー。
打ち上げでは遊馬師は女子大生のテーブルに張り付きっぱなしだったとか。たまさか他のテーブルに回ろうとすると、その席は争奪戦だったそうな。いいなーと一瞬思うも、冷静に考えてみれは女子大生と話すことなんかないなと思い直す。猫の写真見せるか。うん、単なる気持ち悪い猫おじさんだな。

さてそんな会だったためにウケるネタをやらなければとどうやら鉄板ネタを置きにいったらしく、常連からは「またかよ」みたいな顔をされてしまったのだとか。
なので今日は普段やらない噺を前半でみっちりと1時間ほどかけてやるという。おお、それは貴重だと思っていると、「昔の芝居で中村仲蔵という人がいて」と話し始める。
ん? 『中村仲蔵』ならこの会でも何度か掛けてるし、独演会でもやってるじゃんと思っていたら、中村仲蔵の子ども時代から始まって大部屋役者時代や一度芝居の世界を離れたときなどもじっくりと語る。
これは確かに地噺で笑いどころも少なくさほど盛り上がるものでもないので、普段の寄席や落語会で掛けるのは難しいだろうなあ。
普段の噺の始まりである、次の芝居の配役を聞かされるシーンになったのは50分くらい経った頃。
なるほど噺の前の経緯や仲蔵の人となりを知っていると、いつもより一層理解が深まる。
そんな噺を覚えるのも結構大変だろうなーとも思う。今日はやや危なっかしいところも多かったが、これを枝葉末節を整えていったらもしかしたらすごい武器になる一席になるんじゃないかとも。

二席めの『厩火事』はスタンダードに。
女房のおさきはさほどウザさも少なく、どちらかといえばかわいらしく描かれている。

終演後、お見送りに出ていた遊馬師に先週買った手ぬぐいへサインを入れてもらう。
タグ:三遊亭遊馬
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第十二回 大師匠噺 [落語]

第十二回 大師匠噺
於:両国 お江戸両国亭

三遊亭ごはんつぶ『子ほめ』
三遊亭天どん『文七元結』
蜃気楼龍玉『芝浜』

バイクのバッテリーが完全に駄目っぽいので交換する。
3年くらい前にも道端でいきなりバッテリーが上がって止まってしまい、そのときに交換用に買っておいたもの。その時は家でバッテリーを充電したらその後も普通に使えたので、そのまま交換せずに置いておいた。
……というか3年前のバッテリーとか使えんのかな……。
ネットを見ながら自分で交換し、キーをONにするもうんともすんとも言わない。うん、どうやら完全放電してしまったようだ。まあでしょうね。充電してみてもエラーが起こるし、キーをONにしてみたら今度はバイクから「キュウウ」という音が聞こえる。だめだこりゃ。
バッテリーは新たにamazonで買い直す。
そのバッテリーが来るまでは仕方ないので元のバッテリーに戻し、ダメ元でブースト充電をかける。取説によればブースト充電するとバッテリーの機能が生き返る、らしい。これで今日明日凌ぐしかないかな。

さて久しぶりの天どん師。
ちょっと見てみたら6月以来じゃないですか。そのときもこの「大師匠噺」。
いかんなー。今年は天どん師がトリの寄席にも行けてないし。それもこれも忙しすぎるのがいけない。はあ、いつになったらこの忙しさから解放されるのやら。って前回も同じような愚痴書いてるな。
開演15分前に着いたがすでにギッシリめ。

ごはんつぶさん、久しぶりに前座の『子ほめ』を聴いた気がする。一時期はどこいっても前座は『子ほめ』ばっかりだったのが、最近はあまり聴かない。前座噺にも流行り廃りがあるのかそれとも単なるめぐり合わせなのか。
子どもの褒め方を教わる流れが今まで聞いたことのあるパターンと異なり、大人は歳を聞いて持ち上げ、それでおごってもらえないときは連れている子どもを褒めるというもの。「顔が黒い」くだりがないのは珍しい。
天どん師に「龍玉くんは酒飲みの噺なんですけどね、あの子が呑める呑めるって散々言っちゃいましたね。バカなんですかね。誰の弟子なんでしょうね」と容赦なく突っ込まれる。

天どん師、「今日は一席ずつってことらしいですよ」。ええそうなの? 「間違えて着物2着持ってきちゃいました」。二席やっていただいてもいいんだけど……。でもまあネタ出しされているのが『文七元結』と『芝浜』だからなあ。どうやら去年も同じネタをそれぞれ逆で演ったらしい。そりゃあ聴きたかったなあ。なぜ行かなかったのか。
まずは龍玉師に対するディスりをひとくさり。まあこの会の恒例というかお約束というか。
それもそこそこに噺に入る。
天どん師はお久が長兵衛の連れ子の型。最近はあまり聴くことがないが、私としてはこちらの方が血の繋がりもないのに女房を気遣うお久のいじらしさが出ていて好き。
長兵衛も佐野槌の女将にいわれずともお久に手をついて礼を言い、良好な親子関係にあるようだ。
吾妻橋で文七を助けるときも、「お前は五十両なきゃ死ぬのか」という問いに食い気味に「はい、死にます!」と元気よく答え「なんで死ぬことに前向きなんだ」と呆れるのもいかにも天どん師らしいおかしみがある。
逡巡の結果、悩みながらも金を差し出すところがこの噺のクライマックスだと思うのだが、隣のオヤジが「上手い。上手いねえ」と大きめの独り言を言う。
うるせえ。
くそっ、てめえの感想なんざ聞いちゃいねえっつーか高座中にしゃべんじゃねえよ。いいところで意識が切れるだろうが。
文七たちが金を返しにきたときに、「あー! お前だー! 俺お前に金やったよな! ほら見ろ! おーっし!」と派手にガッツポーズをするのも天どん師らしくて面白い。その後に金を返すいらないのくだりになったときに女房からアームロックをかけられるのも笑えるのだが、ここでもまた隣のオヤジが「上手い。あー痛い」とかほざく。だからうるせえっての。もー。
親戚づきあいやら文七の後見やらをいろいろ頼む近江屋の主人に「まだなんかあんの? もう帰ってくんねえかなあ。眠いんだよ」とバッサリいうのもまた天どん師らしい。
天どんテイストがふんだんに散りばめられ、50分近い噺があっという間だった。

代わった龍玉師もまた龍玉師らしい端整でスキのない一席。
冒頭の勝五郎のやさぐれ方もなんかリアル。
芝の浜に降りたときの描写も丁寧で、まるで見えるかのようだ。
改心した勝五郎がお詫び行脚に出ているときの様子も細かい。
やはり龍玉師はこういう細かい所ひとつひとつがキッチリキッチリしていて完成度が高いと思う。
最後の場面では酒との再会を喜ぶさまを長めにしている反面、最後の一言は溜めずにさらっと。余韻が爽やかに感じる。
こちらも長さをまったく感じさせない一席。

今年最後の「大師匠噺」ということで三本締め。天どん師もせっかく持ってきた着物に着替えていた。無駄にならずに良かった。

帰りにまたバイクのエンジンを携帯用ジャンプスターターでかけなきゃならないんだろうなあと思っていたら、スターターで簡単にエンジンが掛かった。……あれブースト充電でバッテリー蘇った? ……これでまた新しくバッテリーが届いたのに古いバッテリーが問題なく動いて新しいバッテリーが放置されたらどうしよう。
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三遊亭遊馬独演会 2019年12月8日 [落語]

三遊亭遊馬独演会 2019年12月8日
於:国立演芸場

三遊亭遊馬『金明竹』『たちきり』『芝浜』

柏から戻って家で30分ほど休憩して国立演芸場まで。
ここ最近の独演会はなにかテーマがあってそれに則した噺を三席やっていたのだが、今回は特にないとのこと。

一席めは前座噺だからか、羽織を着ずに高座に上がる。
始めてみた柄の着物を着ており、薄いクリーム色の生地なのだがよく見ると細かい柄が浮き出ている。着物の良し悪しはよくわからないけど、結構いいものなのではなかろうか。
マイクなしでもよく広がるいい声。やっぱり国立の舞台に映えるなあ。
与太郎に隠れてはいるが、この噺のおかみさんも結構な天然というかおかしな人で、上方弁の男に「おかみはんもアホなんでっか?」と言われてしまうのがおかしい。

二席めは一転してしんみりとした噺。
独演会お約束のハメモノもばっちりと入る。
もともと私がこの噺をあまり好きではないので、なんというか感想があんまり出てこない。
芸者の小糸もややストーカーのケがあるのでは、と思わせるような一途さがなかなか怖い。

三席めは年末らしく。そういえば誰もがなぜか冒頭の場面では女房の起こし方が優しいのだが、その後は気が強くなったり健気になったりと性格に一貫性がないような気がする。今日の遊馬師は「なんだその気色の悪い起こし方は!」「もっと優しく起こせっていうから変えてみた」と調整されていた。
遊馬師は断酒して7年だそうだが、まだ酒に未練があるのかどうか。未練があってよく酒の話をするようにも見えるし、逆に一切の未練を断ち切っているからこそネタにしているようにも見える。

いつも三席めが終わった後に少しだけアフタートークがあり三本締めで終わりなのだが、今回からはもうやめようと思っていたそうだ。が、この会の前座働きをしている遊七さんが来年5月に二ツ目に昇進するとのことで、今回が最後の遊馬独演会だから、と高座に呼んで客席に紹介する。……というか前座さんがいるなら一席やらせればいいのでは……。基本的に遊馬百席も独演会も前座さんすら入れないってことは、ホントに誰かと一緒にやるのが好きじゃないのかな……。

この週末は兼好、遊馬、一之輔と私のトップ3の独演会を制覇。かなり贅沢というか満足満足。
仲入りには手ぬぐいも購入。終演後は忙しそうだったので、来週の遊馬百席のときにでもサインを入れてもらおう。
タグ:三遊亭遊馬
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第160回 柏落語会 [落語]

第160回 柏落語会
於:北柏 たんぽぽホール

春風亭貫いち『転失気』
春風亭一之輔『錦の袈裟』
春風亭貫いち『道灌』
春風亭一之輔『睨み返し』

久しぶりの柏落語会。いつもなら当日に行っても入れるのだが、念のため電話して聞いてみるとすでに満席でキャンセル待ちだという。ついにここまで一之輔フィーバーがきてしまったか……。7人待ちとのことだが結構キャンセルも出ているということなのでダメ元でキャンセル待ちを入れていたら次の日の昼には入れるという連絡がきた。そんなにキャンセル出るもん? まあ入れるならありがたい。

相変わらずバッテリーの調子の悪いバイクで柏まで向かう。いい加減バッテリー交換しなきゃダメっぽいな。
会場は超満員。最後列のソファー席という座り心地はいいんだが、隣の人とは超近いといういいんだか悪いんだかの席。つーかソファーに座って落語聴くのは初めてかもしれない。

貫いちさん、四番弟子だそうで。もうそんなにいるの? まだ幼さの残る顔立ちで、高校を卒業したばかり? とはいえ今は見習い期間だけで1〜2年あるはずでもう20歳は超えているのだろうか。
童顔でも落ち着いた感じ。珍念がよく似合う。

一之輔師の一席め、世話人が「一之輔さんは地元の落語家さんです」と紹介していたのだが、それに対して「私は野田出身なんでね。地元じゃないです。柏なんて野田からみたら嫉妬の対象でしかありませんから。電車一本で東京まで出られるくせに。……東京といっても日暮里ですけど」。嫉妬の対象って。え、周りはすごいのどかな風景しかありませんけど。ホントかー? と思ってさっき野田出身の彼女に聞いてみたところほんとにそうらしい。「都会だからねえ」だって。
「野田は電車があまり走ってない。どうやら昔は鉄道を引く話もあったそうなんですが、当時の偉い人が『醤油で儲かってるからこれ以上人を増やしたくない』といって断ったんだそうですよ。浅草も同じで、最初は山手線も浅草を通すつもりだったらいいんですが、断ったそうで。今はまた賑わってますけど、私の前座時代の浅草は閑散としてました」という話から寄席のある池袋の話に移る。
「池袋演芸場のある西一番街というのはネオン街でいかがわしい店がたくさんある。道の入り口のアーケードに横断幕が出ていて『呼び込みは100%ぼったくりです』と書いてある。その横断幕の下で池袋演芸場のスタッフが呼び込みやってる」。
そういう盛り場の話から昔の遊び場の吉原の噺に入っていく。
おかみさんの気の強さは半端なく、与太郎が話しているときに情け容赦なくゲンコツが飛ぶ。いろんな噺に気の強い女房がでてくるけど、さすがに亭主に手を挙げる女房は珍しい。「いたーい!」と顔を押さえつつもヘラヘラと「でもアタイも吉原行きたい!」と声高に主張する与太郎がおかしい。

貫いちさんの二席め、「皆さん『なんで出てきたんだ』という顔をしてらっしゃいますが」といったときに「そうだ!」と混ぜっ返され、「ホントに凹むんでやめてください」。
落語協会の前座らしい『道灌』。

一之輔師の二席めは年末らしく借金取りの噺。私自身はこの噺に巡り合うことがほとんどなく、このブログを始めた頃に桂才紫(現やまと師)で一度聴いたことがあるくらい。もちろん一之輔師では初。
最初の薪屋が「払うまでここを動かねえ」とやっていたあたりまでは『掛取り萬歳』かと思った。
借金取りに対してただ睨んでいるだけという顔芸のようなところもありつつ、睨む顔にもいろいろなパターンがあって面白い。照明の加減で顔に影ができるのだが、表情によってその影の形が変わっていくのが楽しい。

帰りは夕暮れの中を南下していく。松戸のあたりで夕焼けの中に浮かぶ富士山のシルエットがくっきりと浮かんでおり写真を取りたかったのだが、バッテリーのせいで一度バイクのエンジンを止めてしまうと再始動させるのにものすごく手間取るため断念。来週にはバッテリー交換しよう……。
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第四十八回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好独演会 第八幕 [落語]

第四十八回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好独演会 第八幕
於:吉野町 吉野町市民プラザホール

三遊亭兼好『強情灸』
三遊亭じゃんけん『貧乏花見』
三遊亭兼好『紋三郎稲荷』
三遊亭しゅりけん『牛ほめ』
三遊亭兼好『二番煎じ』

「この会は遠くて本来追っかけ対象エリア外なのだけれども、ここ最近の兼好分不足のために」と毎回のように書いている。最近は兼好師の会も土日なら行けるようになってきているんだが、今年は全体的に落語に行くのが減っているので行けるものは全部行ったれとばかりに行くことにする。
これまでの経験から、前日に予約するといい席に当たるので今回も前日に予約する。思った通り2列めの席だった。

兼好師の一席め、インフルエンザの話題から耐性菌について。「薬を飲み過ぎると耐性がつく。前座への小言と一緒」とのこと。曰く、前座に小言をいつも言っていると本当に反省するのは入門して一年半くらいだという。反対に八代目文楽師はほとんど小言を言わない代わりに、ほんの些細なことでものすごく怒ることがあったそうで、それが常に緊張感を生んでいたようだとか。「だから私も弟子についてあまり小言を言わないようにしている。じゃんけんが来年二ツ目に昇進するんですが、それまでいろいろ溜めておいて、前日に『破門!』てしてやろうかと」。そりゃ怖い。
昔は薬もほとんどなくて揉み療治やお灸などに頼っていた、と『強情灸』に入る。
いつもながら峰の灸の従業員の首振りがおかしい。
そのほかにも順番を変わってくれた年増の仕草とか、腕に乗せた灸が熱くなってきたときの表情とか、とにかく細かいところのひとつひとつまで行き届いており、それが心地よい。
灸が熱くなったときに急に声が高くなって細くなるのがおかしい。

じゃんけんさん、師匠のマクラを聴いていてドキドキしたが、今日なにかやらかしたかな? と思ったら自分のめくりを忘れてきたという。
本来噺家は季節に合った噺をするものだが前座は後ろの師匠方に気を使うのであまりできない、せっかく季節の噺を覚えてもその季節に演ることできないことが多いという。せっかく覚えたので春の噺を勉強させてください、と上方版『長屋の花見』の『貧乏花見』を。
……うーん、話の内容はほぼ同じだし、口調は江戸弁なのでわざわざ上方版でやる必要あるかな?

兼好師の二席め、最近よく個人情報の流出について聞くが、それはもう仕方のないことで、何かアンケートに答えるとすぐ営業のDMがきたりするという。それが嫌ならばウソを書くしかないといい、女性の名前を使ってみたり年齢をごまかしてみたりするという。「佐藤兼平80歳、健康に不安あり、なんて書くとすぐお墓のDMがくる」そう。
そんな騙し騙されの話から『紋三郎稲荷』に。
駕籠から狐のしっぽが出ているのを見つけた後棒の仕草がたまらなくおかしい。駕籠かきの掛け声も先棒が「はい、はい」なのに対して後棒が「ヤダ、チョット」となぜかオネエ口調になるのも面白い。

いつもならば仲入り後はすぐに兼好師の三席めなのだが、今日はしゅりけんさんも登場。
『牛ほめ』は何度か聴いたことがあるが、次第に上手になっていく。家を褒める場面でのカンペを読むくだりが面白かった。

兼好師の三席め、「三度の火事より一度の後家」ということわざを紹介。「火事を三度出すよりも夫を亡くすほうが悲しい」ということだそうだが、「そうですかねえ。こないだうどん食べようとしてヤケドした私を見て女房は大爆笑してましたけど」。相変わらず仲が良さそうでなによりです。
昔は火事が出やすかったと火事の悲しさの話になっていったので『富久』かなとも思ったのだが『二番煎じ』だった。
この噺を聴くと冬になったんだなあとしみじみ思う。
夜回りのシーンではじいさんたちの「火の用心」の声出しが面白い。謡の師匠の黒川先生が「イヨォー、ィイヨォー、イ、イヨォー」と掛け声が入るのはいかにも能の稽古をしている兼好師らしい。
後半の鍋の大宴会もいい。歌ったり唸ったり、隠居たちのかくし芸の場面は兼好師がやりたいだけなんじゃないかと思うほどノリノリ。
こないだも書いたが、こういう人が大勢出る噺は誰が話しているのかわからなくなるものだが、兼好師の場合は人物ひとりひとりに個性をつけて、誰が話しているのかがすぐにわかるようになっている。なのでより一層火の見番屋の様子がありありと浮き上がってきてまるで自分もそこにいるかのように思えてくる。

終演後は近くの飲み屋で兼好追っかけ仲間たちと飲む。『二番煎じ』の後なんだから日本酒飲めばよかったかな。
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