三遊亭兼好 独演会 [落語]
三遊亭兼好 独演会
於:三鷹市芸術文化センター 星のホール
桂伸ぴん『あわてもの』
三遊亭兼好『王子の狐』
寒空はだか 歌うスタンダップコメディ
三遊亭兼好『寝床』
『新真打の披露目はできるだけ行く』
『兼好師の会へ行くペースも守る』
「両方」やらなくっちゃあならないってのが
「ファン」のつらいところだな
覚悟はいいか? オレはできてる
とブローノ・ブチャラティばりの覚悟を決めてチケットを取る。まあ別に辛いわけじゃないんだけど。ここでいう「覚悟」ってのは「財力」とほぼ同義です。
とはいえ浅草から三鷹まで約1時間半しかなく、結構ギリギリ。夕方の都心を横断しなければならず、あまり行儀はよくないが車の間をすり抜けて向かう。無事開演5分前に席に着く。
伸ぴんさん、噺の筋は『堀の内』とほぼ同じだが、お参りに行くのは浅草の観音様で、金坊と行く風呂屋がメイン。粗忽とはいえ女湯に入ったり他人の女の子脱がして「うちの子にしちゃついてるものがついてない」とか今なら確実に事案になることばかりで、時代を感じさせる。
兼好師の一席め、金翁師や圓楽師など、ここ最近であちら側へ行った師匠たちの話に。
「あの方たちは若い頃から第一線で売れ続けて、売れない時期がなく売れっ子のまま亡くなった。ああいう人は今後出てこないでしょうねえ。▲▲師匠はxxだし、〇〇師匠はxxだし、■■師匠はxxだし」と大御所を斬る。「宮治くんなんかも今頑張ってますけど、彼はすごく周りに気を使う八方美人ですからストレスは半端ないはず。だから長生きできないんじゃないですか。一之輔くんは大丈夫そうだけど途中でなんか捕まりそうだし。ちょっと違うけど伯山くんはあんな高座でぐわっとやってるんで、いつか血管切れそう」。
どういう話の流れか忘れてしまったが、「私の大好きな動物にウォンバットっているんですけど」と軽く握った拳を鼻の前に持っていく。「通じないと思うんですが」というが、おそらくあれはウォンバットのでかい鼻を表してるんだろうなあ。
ウォンバットという動物は人が大好きで、野生下にいるときよりも寿命が5倍も伸びるのだという。その他にも足立区の荒川河川敷に現れたシカなどの動物の話から『王子の狐』に。
狐を騙して扇屋に連れ込んだ男が、頼んだ酢の物を食べるときに必ずむせるのが芸が細かい。
狐を見つけた仲居がパニクってろくに話すことができず、身振り手振りで旦那に伝えた挙げ句「これなーんだ」と謎を掛けるのがおかしい。
はだか先生はいつものように。
久しぶりに見たが、いつも若々しくて見た目が変わらないのはすごい。
兼好師の二席め、宮内庁に務めるご贔屓の結婚式の司会をしたことがあるそうで、新婦がはだか先生の大ファンだったそうだ。新郎新婦入場ではだか先生の東京タワーの唄が流れたそうで、会場はぽかんとした空気が流れたらしい。そりゃそうだ。
噺に入り、重蔵が旦那に報告をする場面では「岩田のご隠居はどうした?」などと聞かれた後に一瞬考え込むような素になる間が入るのがおかしい。この間のタイミングが絶妙。
提灯屋の行かれないワケとして「すべての提灯に『鬱』って文字を入れるように頼まれた」という無茶苦茶な理由がすごい。
だんだん旦那が不機嫌になっていき、無言の間が長くなっていくのが上手い。
旦那が癇癪を起こした後に重蔵がおだてにかかるのだが、このときの「旦那が仏頂面を貫こうとしているのに思わず笑ってしまう」という表現がとにかくすごい。この「溢れ出る嬉しさを抑えきれない」という表現が自然で、見ているこちらが思わず旦那に「無理すんなよ」といいたくなってしまう。
やっぱりこういう感情の動きのグラデーションが見事だと思う。
於:三鷹市芸術文化センター 星のホール
桂伸ぴん『あわてもの』
三遊亭兼好『王子の狐』
寒空はだか 歌うスタンダップコメディ
三遊亭兼好『寝床』
『新真打の披露目はできるだけ行く』
『兼好師の会へ行くペースも守る』
「両方」やらなくっちゃあならないってのが
「ファン」のつらいところだな
覚悟はいいか? オレはできてる
とブローノ・ブチャラティばりの覚悟を決めてチケットを取る。まあ別に辛いわけじゃないんだけど。ここでいう「覚悟」ってのは「財力」とほぼ同義です。
とはいえ浅草から三鷹まで約1時間半しかなく、結構ギリギリ。夕方の都心を横断しなければならず、あまり行儀はよくないが車の間をすり抜けて向かう。無事開演5分前に席に着く。
伸ぴんさん、噺の筋は『堀の内』とほぼ同じだが、お参りに行くのは浅草の観音様で、金坊と行く風呂屋がメイン。粗忽とはいえ女湯に入ったり他人の女の子脱がして「うちの子にしちゃついてるものがついてない」とか今なら確実に事案になることばかりで、時代を感じさせる。
兼好師の一席め、金翁師や圓楽師など、ここ最近であちら側へ行った師匠たちの話に。
「あの方たちは若い頃から第一線で売れ続けて、売れない時期がなく売れっ子のまま亡くなった。ああいう人は今後出てこないでしょうねえ。▲▲師匠はxxだし、〇〇師匠はxxだし、■■師匠はxxだし」と大御所を斬る。「宮治くんなんかも今頑張ってますけど、彼はすごく周りに気を使う八方美人ですからストレスは半端ないはず。だから長生きできないんじゃないですか。一之輔くんは大丈夫そうだけど途中でなんか捕まりそうだし。ちょっと違うけど伯山くんはあんな高座でぐわっとやってるんで、いつか血管切れそう」。
どういう話の流れか忘れてしまったが、「私の大好きな動物にウォンバットっているんですけど」と軽く握った拳を鼻の前に持っていく。「通じないと思うんですが」というが、おそらくあれはウォンバットのでかい鼻を表してるんだろうなあ。
ウォンバットという動物は人が大好きで、野生下にいるときよりも寿命が5倍も伸びるのだという。その他にも足立区の荒川河川敷に現れたシカなどの動物の話から『王子の狐』に。
狐を騙して扇屋に連れ込んだ男が、頼んだ酢の物を食べるときに必ずむせるのが芸が細かい。
狐を見つけた仲居がパニクってろくに話すことができず、身振り手振りで旦那に伝えた挙げ句「これなーんだ」と謎を掛けるのがおかしい。
はだか先生はいつものように。
久しぶりに見たが、いつも若々しくて見た目が変わらないのはすごい。
兼好師の二席め、宮内庁に務めるご贔屓の結婚式の司会をしたことがあるそうで、新婦がはだか先生の大ファンだったそうだ。新郎新婦入場ではだか先生の東京タワーの唄が流れたそうで、会場はぽかんとした空気が流れたらしい。そりゃそうだ。
噺に入り、重蔵が旦那に報告をする場面では「岩田のご隠居はどうした?」などと聞かれた後に一瞬考え込むような素になる間が入るのがおかしい。この間のタイミングが絶妙。
提灯屋の行かれないワケとして「すべての提灯に『鬱』って文字を入れるように頼まれた」という無茶苦茶な理由がすごい。
だんだん旦那が不機嫌になっていき、無言の間が長くなっていくのが上手い。
旦那が癇癪を起こした後に重蔵がおだてにかかるのだが、このときの「旦那が仏頂面を貫こうとしているのに思わず笑ってしまう」という表現がとにかくすごい。この「溢れ出る嬉しさを抑えきれない」という表現が自然で、見ているこちらが思わず旦那に「無理すんなよ」といいたくなってしまう。
やっぱりこういう感情の動きのグラデーションが見事だと思う。
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