SSブログ

扇辰日和 vol.76 [落語]

扇辰日和 vol.76
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『千早振る』
入船亭扇辰『目黒の秋刀魚』
入船亭扇辰『権兵衛狸』
入船亭扇辰『野晒し』

久しぶりの扇辰日和。
昨日くらいから入場規制が緩和されたからか、一席おきにはなっておらず、半数よりも入っている。拍手の大きさも違うようだ。

辰ぢろさん、「こないだ高座で前座を務めていたら、会場の前の方のドアが開いて、遅れてきたお客様かなと思ったらステテコを着たオジさんで……。目をころして見るとこれが師匠で、『暗いよ! 明るくやれ!』と言われてしまったので明るくやります」と言ったところでステテコ姿の扇辰師が舞台に登場。「なんだ『目をころす』って。『目を凝らす』だろう!」と公開稽古。
慌てて座布団から降りたのをいいよいいよと身振りで戻すところがなんとなく師弟関係が透けて見えるようで興味深い。
緊張からかポロポロとトチる感じではあるがまあこれからこれから。

扇辰師の一席め、「さっきは出るつもりはなかったんですがね……、言葉遣いが気になって。なんだ『ステテコを着た』って。ステテコは『履いた』でしょう。一番いいのは『ステテコ姿で』とか。あとなんかほかにもあったんだよなあ……」とブツブツ。相変わらずお弟子さんには厳しいようで。
そんなところからご自身の前座時代の思い出話をマクラに。
高座で一席やっていてどうも足が痛いなと思っていたら座布団に柝が仕込まれていたり、舞台袖から輪ゴムで狙撃されたりしたらしい。「そういうことをするのは本人の名誉のために名前は言いませんが、当時は『かな文』という名前でしたねえ」文蔵師か。
それに「最近は前座にかわいい女の子が多くてさ。俺らの頃にはきく姫姐さんくらいしかいなくて。いいよなあ」まあいろいろ捗りそう。
昨日は初物の秋刀魚を食べたそうだが、「細くてちっちゃいの。美味しかったけどさ、それで千円以上するんだもん、高級魚になっちゃったねえ」だそうだ。
その流れで『目黒の秋刀魚』に。
いやあ殿様が秋刀魚を食べるときの美味そうなこと。咀嚼音とか実にお見事。ホント秋刀魚が食べたくなる。

そのまま二席め。
秋ののどかな田舎の風景が見えてくるような。
狸の頭を刈るときに「人間はしくじったら頭を刈るんだ。こないだ白鳥の弟子が坊主になったのは驚いた」。何したんだろう。

三席め、幕が開いて登場するも、座布団をじっと見つめたまま座らない。袖の辰ぢろさんに向かって「返した?」と身振りで聞くと、自身で座布団を返す。「見るとね、わかるんだよ」。へええ。
「さて辰ぢろは今日の『千早』が最後の高座になるわけですが……」厳しすぎ。
「明日、太鼓の稽古に行くから休ませてくれっていうんだよ。そりゃいいんだけど、誰に習いに行くんだって聞いたら辰之助だって。びっくりしちゃったよ」なんでかと思ったら「前座の会で月に一度太鼓とかの稽古があるんだ。今は一朝師匠に教えてもらってるんだってよ。羨ましいよねえ」そりゃあすごい。「それで辰之助は毎回帰ってくるたびに死にそうな顔をしてるんだけど、あるとき妙に明るい顔をしてるからどうしたんだって聞いたら、『これだけ前座がいっぱいいるんだから、君は太鼓番になったら逃げなさい』とアドバイスもらったんだってよ」つまりそれだけヘタってことか。「順番だからそうなのかもしれないけどさ、だったら小辰に頼めばいいじゃない。小辰は結構上手いんだよ。……なんで皆さん頷いてるんですか」。小辰さんが太鼓上手いってのは聞いたことがある。
「太鼓ってのはセンスだから、稽古してもあまり上手くならないんですよ。……太鼓が上手い人ってのは噺が上手い人が多いね。やっぱり話しててもリズム感がいいんでしょうね。我々の世代ではかな文は上手かったね。あの人は今三K辰文舎でパーカッションやってるくらいだし。あとは菊之丞さんとか。あとはちょっと下だけど三三さんが上手かったねえ」。なるほどつまり小辰さんも噺が上手くなるってことですね。
太鼓の話から「最近は和楽器が危機的状況でね。三味線の最大手も畳むって。今は寄付とかで延命したそうだけど、それもいつまでもつか。三味線は猫の皮だし、三味線の撥やブリッジに当たる部分は昔は鼈甲とか象牙とか。太鼓は馬の革だし、あまり動物愛護の人たちには聞かせたくないんだ」とここで『野晒し』かなとピンとくる。この扇辰日和では結構かかる割合が高いような。
さいさい節はもちろんだが、幇間の新朝が長屋にやってきてぺらぺらと喋り続ける場面も好き。

雨が降ると思って電車で行ったのに、結局降ったのは家から昼食を食べに行った店の間だけだった。一回家に戻ってバイクで行きゃよかった。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。