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桃月庵白酒 三遊亭兼好 二人会 夜の部 [落語]

桃月庵白酒 三遊亭兼好 二人会 夜の部
於:三鷹市芸術文化センター 星のホール

桃月庵あられ『真田小僧』
桃月庵白酒『風呂敷』
三遊亭兼好『藁人形』
三遊亭兼好『新聞記者』
桃月庵白酒『青菜』

昼は和食ヌーベルキュイジーヌというかなんかよくわからないまま派手なものを食ってややもたれ気味なので、夜はビシッと本格派の会へ。
この会はいつも会員発売期間で売り切れてしまうためチケット救済サイトで購入したのだが、夜席は普通に買えたらしい。

先日も聴いたあられさん、やっぱりなんか妙にベテラン感がある。見た目も老けてるし、実は結構歳いってるんだろうか? 高座姿も落ち着いてるし。
『真田小僧』で親父から金を巻き上げる前半部をバッサリカットして『真田三代記』の後半だけをやるというのはかなり珍しい。大半の人が「面白くないから」と切ってしまう部分だけをやるとはよほど自信があるのか。

出囃子『正札付き』で白酒師が登場。「圓生師匠の出囃子なんですけど、出にくいですね。談志師匠の『木賊刈り』とかも。性格に難のある人の出囃子は出にくいのかもしれない」といつものように毒を吐く。
「今日は昼夜公演なのでどちらもきているという人もいるでしょう。気をつけてください、そういう人はいつの間にか入門してますから。私のところにも入門志願がきますが、学校出たての子には必ず見聞を広めるために他の分野も見てくることを勧めます。……そうするとだいたいそっちへ行っちゃう」だそうで。
教養があるという触れ込みの兄貴分が出てくる噺に入っていく。
この兄貴分はだいぶ学があるということをひけらかすタイプで、周りをバカにするタイプ。もう少し歳を取ったら「竜田川は相撲取り」と言い出すんだろうと思わせる。
「女三界に家なし」を知ってるか、と吹っ掛け、結局は「女は三階に家がない」とそのままの解釈を披露して「じゃあ最初から『家がない』って言えばいいじゃないですか。なんで『家なし』なんですか?」と突っ込まれ、「これは強調の『し』だ」と言い張るのがおかしい。

兼好師が一席め、「あの出囃子を使われると『お前も圓生狙ってるのか』と思いますね、圓生を狙ってる身からすれば」。本当かなあ。一応五代目圓楽一門と考えれば系列だけど、好楽師が外様だからなあ。
「最近は落語会も一席おきをやめていっぱいに入れるようになりましたね。こないだ知ったんですけど、裁判所の傍聴席も一席おきをやめたらしいですよ。……空ける意味あります? 落語とかお芝居とかならまだ『プッ』って笑っちゃうとか思わず声が出ちゃうとかわからなくもないんですけど……。裁判所でそんな声上げることとかないと思うんですけどねえ。『よっ名奉行!』とか声掛けがあったらちょっと面白いですけどね。新内みたいに『女殺し!』とか。そんで弁護士が『いや、女は殺してないんです』なーんて」と楽しそう。
「梅雨でじめじめしているので暗い噺を」と『藁人形』に入る。
兼好師のは約4年ぶり。兼好師よれば「1年に1回くらいはやらないと」とのことなので、まあ当たるのは珍しいんだろう。
おくまが金をむしり取ったあとに西念から「あの話どうなりました……?」と聞かれたときにあっさりと「ああ、アレやめにしたのよ」だけで終わらせる酷薄さがゾクッとさせる。

二席めでは「大丈夫です、もう暗い噺はしません」と宣言。
最近新聞を読まないようにしている兼好師だが、スポーツ面くらいしか見ていないという。「私あまり日本の野球に詳しくないんですが、今年は完全試合とかノーヒットノーランとか多くないですか? これはピッチャーがすごいのか、バッターが情けないのか……。こないだの佐々木朗希君なんて2試合連続で完全試合目前だったんですよ。でも2試合目は球数的なこともあって身体優先ということで途中で交代。考えられます? 昭和だったら『腕が折れても!』っていうでしょ。令和だなあと思いましたね。彼も多分なんとも思ってないと思いますよ。『交代な』『はーい』みたいな。噺家も途中でやめる勇気を持ってもいいんじゃないかと思いますね。『叔父さんなんで釘じゃねえんだい』『……(おじぎ)』みたいな」。さすがに「令和だから」ではすまないような。
新聞の話から『新聞記事』に。
ご隠居に引っかかった手を他の人にやろうとして、「天ぷら屋の竹さんが殺された」というところでどうしても笑ってしまう表情が秀逸。『崇徳院』の恋煩いを打ち明けられたときの熊さんの表情にも通じる。
「恵比寿様の持っているもの……」「竿?」「じゃなくてその先に……!」という一連のやりとりでかなりオーバーアクションで飛び跳ね、「『藁人形』の分」というのもおかしい。

白酒師の二席め、「師匠が『俺ももうそろそろだ』とかいうんですよ。まあ弟子ですから『そうっすね』とか答えてるんですけど」。軽い。「師匠そうやって寄席の出番を15分のところ10分で降りてくる」そうで、老獪?なテクニックを使っているようだ。
今シーズン初の『青菜』かな。今年は全然暑くならないのでちょっと掛けづらいのかもしれない。
白酒師の『青菜』はおかみさんがノリノリなのがおかしい。しかも自分の用事を全部長屋の他の住人にやらせている独裁者のようなキャラなのに、「『元は武家の出だ』とか思わせられればもっと長屋の連中をこき使えるかも!」という理由なのも強烈。時々出てくる隣の婆さんがすべて「おおせのままに」と答えるのもヤバい。

今日は電車なのでぷらぷらと歩いて駅まで。会場は駅から結構遠いのだが、三鷹の街を歩くのも初めてかも。というか結局雨降らねえじゃん。
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春風亭ぴっかり☆改メ蝶花楼桃花真打昇進披露公演 [落語]

春風亭ぴっかり☆改メ蝶花楼桃花真打昇進披露公演
於:有楽町 よみうりホール

桂南太郎『狸札』
瀧川鯉斗『片棒』
春風亭小朝『楊貴妃』
春風亭小朝『新作(三人兄妹と父親)』
真打披露口上
五明樓玉の輔『新作(話のコツ)』
ナイツ 漫才
蝶花楼桃花『涙をこらえてカラオケを』

普段ならまず行かない公演なのだが、招待券が手に入ったので行ってみることに。
高座の真正面なのはいいのだが、ほぼ最後列で演者の表情までは見えない感じ。
周りは古典芸能鑑賞なのか、中学生の集団も。楽しそうでなにより。

小朝師は初席の10分とかだけで、ちゃんと聴いたのは初めてかも。
板付きで登場し、釈台を置いて周りを暗くしていた。なんかケガでもしてるんだっけ? そういうスタイル? 無知ですいません。
二席めの噺は今日が初演らしい。上の兄ふたりと妹が出てくるのだが、それらのキャラの名前は圓太郎師、玉の輔師、桃花師のそれぞれの本名とは桃花師の弁。

鯉斗師が司会で小朝師、玉の輔師が並んで口上。
小朝師によれば二ツ目時代は彼氏も作らずに精進していたという。ただイケメン好きなので鯉斗師が好みだというから告っちゃえと焚きつけたところ、モテ男の鯉斗師に「身の程を知れ」と断られたとか。

玉の輔師、長屋の八っつぁんがご隠居のところに話し方のコツを教わりにくるというネタ。「話の⅔は本当のことを話して、残りの⅓は冗談やシャレを入れるのがウケるコツ」だそうで、実演を交えていくつか教えてくれる。なるほどご隠居の話は面白いけれども八っつぁんがやってみると……というオウム返しもの。『つる』をより増量した感じ。

ナイツのヤホー漫才は大谷翔平ネタ。あとはテレビでも見たことがある英語漫才。前の席の中学生がスゲースゲーと大興奮。よかったね。
というか今日は一門以外みんな芸協だな……。

桃花師も高座に釈台が置かれ、腕をグルグル回しながら高座に上がる。出囃子の『仙桃』は小朝師が作曲したのだとか。
「口上の師匠のハナシ、信じないでくださいね! 口上じゃ声出せないから辛かったー! たしかにイケメン好きですけど、私の中のイケメンて鯉斗アニさんよりもナイツのつっちーですから」。
カラオケ好きの義父が亡くなったため、葬儀はカラオケ葬にするというもの。『飾りじゃないのよ涙は』『なんてったってアイドル』などの替え歌を熱唱。釈台から小道具がどんどんでてくる。小道具隠しだったのね。
『チャンピオン』では見えないけど鼻テープとちょび髭までつけてた模様。
ここまでくると落語というより座ったままのひとりコントですな。別に批判ではないです。

盛りだくさんというか、いろいろ派手だった会。中学生たちが「金払ってきてもよかった」と満足気だったのが印象的。マジかよ4500円もするんだぜ。
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