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第九十四回 一蔵ひとりの会 スペシャル [落語]

第九十四回 一蔵ひとりの会 スペシャル
於:池袋演芸場

三遊亭ごはんつぶ『子ほめ』
春風亭一蔵『ちりとてちん』
春風亭一蔵『雛鍔』
春風亭一蔵『死神』

浅草演芸ホールから池袋演芸場に。さすがに寄席二軒をかけもちってのは記憶にないな。

ごはんつぶさん、さすがに演芸場での出番では新作ではなく古典なのか。しかしまったくそつなくこなしている。さすが天どん師の弟子。最近天どん師が聴きたいのだが機会がなく、仕方ないのでCDを聴き返している。天どん師聴きたいなあ。

一蔵さんの一席め、ふう丈さんやつる子さんがYouTubeでやっている、キャストが噺家のドラマにゲストで出た話をマクラに。変な衣装を着させられた上に一蔵さんの声が大きすぎて、撮影場所の公園で職質をされてしまったそうだ。
『ちりとてちん』は久しぶりに聴いた。二席めのマクラで語っていたところによると、季節を先取りするのはいつものことだが、本来『ちりとてちん』はもっと暑いときの噺。3月4月になると掛ける人が増えるらしい。そこで「この時期にやっておけばまず間違いなく今シーズン最初の『とてちん』になるわけです!」だそうだ。
最初にご馳走になる六さんのヨイショがさすがに過剰な感じ。「アタクシ〇〇というものがある、と聞いたことはあるんですが、やったことはなくて……。いいですよね、口に入れたときの歯応えと旨さが口に広がって……」と明らかにすでに食べたことがあり、ご隠居にもツッコまれる。まあそれくらい突き抜けてるのも一蔵さんぽいといえばぽいが。
ちりとてちんを一気に流し込んだ寅さんが口の中で上がり下がりするたびに合わせて腕も大きく上がり下がりするオーバーアクションも楽しい。

二席め、たびたびマクラに登場する上の娘さんが20歳になったそうだ。大人になったんだからマクラにするなと釘を刺されたらしいが。大学に入ってなんと落研に入り、「パパ『〇〇』教えて」などと言われていたそうだが、3か月で辞めたのだそうだ。理由は「誰ひとりとして入船亭小辰知らないような落研にいたって仕方ない」偉い!! 場内拍手。そういえば前にも言っていたが、娘さんの好きな噺家のセンスいいんだよな。……いや単に私の趣味と似ているってだけだけど。
子どもは思い通りにいかないというところから『雛鍔』に。一蔵さんでは初めてか。
植木屋の熊さんの妻子への当たりが結構強い感じ。
お店の旦那に謝られて「こちらから謝りに行こうと思ってもきっかけがなくて……。火事でもあれは見舞いに行けるんですが。いっそのこと明日あたり火をつけに行こうかと……」というのは一之輔師と同じ型。
羊羹を出す際におかみさんに小言を言う場面では、勢い余って旦那にまで怒鳴ってしまうのがおかしい。

三席め、YouTuberとして競艇のチャンネルをもっているそうだが、撮影や編集をしている志ん松さんの発案で5レースはずしたら罰ゲームという企画をやったとかで、カードを引いて当たったのが「48時間ミンティア生活」だったとか。飲み物以外はミンティアしか食べられないというもので、2日で2.6kg落ちたそうだ。
罰ゲームのは他に何があるのかとチラッと見てみたら「〇〇師匠に後ろからケリを入れる」などがあり、「そんなことしたら俺はクビだ! アイツは頭おかしい」。
自分は借金をしてまでギャンブルはしないが……と噺に入る。
死神と会う場面では「そんなに太った死神がいるのかよ。死神ってのはもっと痩せてるもんじゃねえのか」という問いに対して「喬太郎。白酒。歌武蔵。一蔵」「結構いるな!」という会話がおかしい。
運が良かったのは男ではなくその女房で、別れたことで運気が下がるというのは他で聞いたことがない。誰の型なんだろ。
男に裏切られた死神の敵意がものすごく、ろうそくを灯す場面では「死ねぇー、死ねぇ!」と圧をかける。やっぱり「死ね」という言葉はパワーワードで、落語であまり本気の「死ね」というのは出てこないので、なんというか当てられそうになる。最後のサゲの一言にも合わない気がするので、あんまり言わないほうがいいと思うんだけど。

8時ぴったりに終演。さすがに今日は落語疲れが……。
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浅草演芸ホール 二月下席 昼の部 桂宮治真打披露興行 [落語]

浅草演芸ホール 二月下席 昼の部 桂宮治真打披露興行
於:浅草演芸ホール

三遊亭こと馬『からぬけ』
桂しん乃『狸札』
三遊亭遊子『強情灸』
おせつときょうた 漫才
春風亭昇々『指定校推薦』
瀧川鯉八『俺ほめ』
瞳ナナ マジック
三遊亭竜楽『味噌豆 七カ国語メドレー』
春風亭柳好『禁酒番屋』
コント青年団 コント
桂右團治『動物園』
桂小文治『手数のかかる話』
林家今丸 紙切り
柳家蝠丸『パブロン』
真打昇進披露口上
東京ボーイズ 歌謡漫談
春風亭柳橋『魚根問』
桂伸治『あくび指南』
ボンボンブラザーズ 曲芸
桂宮治『蛙茶番』

二日続けての浅草は初めてか。
昨日あらかじめ聞いていたため、整理券をもらいに8時半頃に一度演芸ホールまで。その時点で72番。マジかよみんな早すぎねえ? 俺は近いから一回帰るけど、みんな近くで暇潰しているのだろうか。余計なお世話ですね。
10時50分に来いとのことなので一旦帰り、朝食を摂って再び浅草演芸ホールへ行くと、もう大勢の人だかりができていた。
72番めだけれども前から6列目のど真ん中という好位置をゲット。やったぜ。

遊子さん、灸をすえるときに左腕をまくると「宮治」の文字が。「一番尊敬している兄さんの名を彫っているんだー!」だそうだが「最近古典をいじりすぎて新作みたいになってる。灸をすえてやる!」と「宮治」の文字の上にもぐさを乗せる。割とあっという間に「あっつい!」とギブアップし、「宮治」の文字に口づけをする。サゲは「いやあ俺は熱くなかったが、今日の宮治の高座は熱く燃え上がるだろう」。するとそこにダブルピースでカニ歩きの宮治さんが乱入して場を沸かせる。なおちなみに遊子さんの右腕には「大好き♡」と入っていた。

昇々さん、早稲田大学に現役で推薦合格するために通知表の評価が低かった音楽の先生に交渉に行く生徒の新作。いろんな伏線が張られ、それが回収されていくのが楽しい。

鯉八師、個人的には苦手な噺が多いのだが、これは面白かった。

蝠丸師、なんとも言えないふわっとしたオーラというかフラのある感じ。
なんか聴いていて落ち着くというか。

真打披露の口上は鯉八師が司会で、伸治師、竜楽師、小文治師、蝠丸師、柳橋師が並ぶ。
伸治師は「いろいろ考えたんですが、あまりコレといったエピソードがない」とのこと。「しかしそれはつまりしくじらないということ。しくじりがないのであまり記憶に残らない。いろんなことに気がつくし、落語も皆さんご存知の通り。はっきりいって『よい』です」と手放しで褒める。なるほど以前に宮治さんが「師匠のこと大好き」といっていたのもわかるし、伸治師も宮治さんのことが大好きそう。
宮治さんが二ツ目に昇進した頃、誕生日プレゼントとしてウォシュレットを贈ってもらった話を嬉しそうに話し、「つまりそれから宮治にお尻を洗ってもらっているようなもので、今日も宮治に洗ってもらいました」とか。真ん中で真面目な顔を保とうとしている宮治さんも思わず吹き出す。
「それから毎年誕生日にいろいろもらってるんですが、5年くらい前には冷蔵庫か炊飯器かということになって、……あれは一門の弟子みんなで買うってことだったんだっけ?」と宮治さんに問いかける。それまでガマンして口を利かずに真面目な顔を保とうとしていた宮治さんもとうとう「師匠、披露目は質問形式ではないので……」と苦笑しながらツッコむ。こんな口上初めて見た。

伸治師を聴くのは実は初めて。
柔らかい雰囲気でなんだか常にほんわかした気分にさせてくれそうな印象。兼好師のインスタに上がっていたが、宮治さんの高座を袖から嬉しそうに眺めているのだとか。なんだかそれもわかるような気がする。なんというか、初めて聴いたにもかかわらず「この人を嫌いっていう人いるのかな?」とまで思ってしまう。なぜこんな穏やかな師匠からあんな猛毒劇物のような弟子が……。

さて宮治さん、じゃなくてもう宮治師、あいかわらずいろんな方向にまんべんなく毒を吐き、「これSNS禁止で」とか「すみません、もうちょっと笑っていただかないとホントに単なるワルグチになっちゃうんで」という話のオンパレードのマクラ。特に演劇界の演技のわざとらしさをたっぷりといじる。
また、落語協会の二ツ目も遊びにきているらしく、「あいつらバカだから」みたいなことをいったらたま平さんやつる子さんたち4人が高座に乱入。さすがに4人乱入は初めて見た。つーかつる子さんの私服始めてみたけどスタイルいいんだね。
演劇の話から芝居の話になって『蛙茶番』に。噺に入ってからもさまざまな悪ふざけを繰り出し、定吉の腹黒さや半次のバカっぷりをあぶり出す。
なかでも一番の悪ふざけはようやく舞台番に上がった半次が、想い人のみいちゃんを探して着物の裾をまくりあげた仕草のまま、客席に向かって「みいちゃん?」と聞き回るところ。もちろん実際に出しているわけではないが、相当下品で相当面白い。さらにそのさなかにぽそっと「落語は想像力」とマクラで話していた内容をもってくるのも面白い。

一度膜が閉まったあと、拍手が鳴り止まずカーテンコールで宮治師が登場。どうやら恒例になっているらしく、写真撮影OKタイムらしい。「まだ『いいよ』って言ってないのに撮り始めてる」と言っていたが、
伸治師も高座にあがり、ふたりでキャッキャと楽しそう。こんな事もあろうかと一眼持ってきといてよかったー。

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Nikon Df
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